多様性を重んじる
多様性を重んじる
「小選挙区制が機能している」を「p」、「衆議院・参議院とも改憲派が2/3以上を占める」を「q」とすると、「p ⇒ q」は、「小選挙区制が機能している」ことが原因で「衆議院・参議院とも改憲派が2/3以上を占める」という結果になったことを述べる命題を表します。「q」は長いので、以下、「2/3を占める」と略します。
「p」の上にバーを付けてある「」は、「p」の否定を表します。ローマ字の上にバーを付けるのがワープロソフトでは簡単ではありませんので、言葉で表現することにします。「pではない」そして「qではない」です。それも煩雑になりますので、具体的に小選挙区と2/3についての話に限って議論を進めましょう。
このような命題の間の関係は、数学の時間に習っていても、数学以外の分野で応用すると混乱が生じることは経験されているかもしれません。現実の命題を扱う際には、どうしても時間的に前後関係が出てくるからです。
しかし、考え方を整理したり、新たな視点に気付くという目的のためには、論理的な正確さを犠牲にすることも許されると思いますので、ちょっと乱暴な解釈を続けます。そこで心配なのは、今この関係を学校で習っている若い人たちがいるかもしれないということです。そうだとしたら、皆さんへのお願いです。教科書や先生の言うことを優先して下さい。ここでの議論は、友だちとの息抜きのための雑談程度に扱って貰えれば嬉しいです。
元々の命題が「小選挙区が機能していることから改憲派が2/3を占めるという結論が得られる」だとすると、「逆」に相当するのは「改憲派が2/3を占めることは、小選挙区制は機能している」という意味に取れますし、「裏」は「小選挙区が機能していないことからは、改憲派は2/3を占めないという結論を得る」、と表現できます。元の命題と論理的には同じ意味を持つ「対偶」は、「改憲派が2/3を占めないということは、小選挙区制は機能していないことを意味する」です。
こう見てくると、「小選挙区制が機能している」という事実と、「2/3を占める」ことがほとんど同じ意味だと取れるほど、選挙制度と政治の動きとが密接に関係していることが分ります。
と述べてから、この分析に問題があることを指摘するのも気が引けますが、それは「機能している」という言葉の意味に幅があるためですし、因果関係についての文章に曖昧さがあるからなのです。その代りに「機能する」という文章に変えて、因果関係をより正確に表現すると、「逆」は「2/3を占める」ことによって「小選挙区制が機能する」というという意味になり、この主張はあまり納得の行くものではありません。実は論理的な関係としてはこちらの方が正しいのです。
こんなに面倒臭いことをしないでも、小選挙区制導入の意味が憲法改正にあったことは、高校生にも分ります。だから選挙権を18歳以上に、ということにしたはずです。となると、このような結果が想定されていたのにもかかわらず、何故、小選挙区制が採用されてしまったのかが問題になります。
それは、憲法第59条「法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる」という規定、つまり、多様な意見があることを現実として認め、その多様さを尊重することが健全であるという基本的な原理を憲法が採用しているにもかかわらず、小選挙区制が審議された時の国会は、その考え方を尊重しなかったからです。
ようやく「多様性」という言葉まで辿り着きました。次回は、このことについて舞台裏で起きていた「驚くべき」真実を当事者の回想を通して御紹介します。
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