核実験被害者の記念碑
核実験被害者の記念碑
前回の記事では、鎌田七男先生の書かれた『広島のおばあちゃん』そしてその英訳『One Day in Hiroshima』のどちらからか、フランス語の訳とタヒチ語の訳を出せればという問題提起をしましたが、より具体的なプロジェクトとして立ち上げられないか、検討してみる必要があるのではないかと思います。第一段階ではフランス語訳を目標にして、具体的にどんなアプローチなら実現可能性があるのか、国際交流を支援している財団やフランス語の専門家等に相談してみる積りです。
核実験の被害者救済のために若い世代が立ち上がって組織した「193の会」が、今回の50周年記念の集会の主催団体の一つであること、集会に先立って党内の行進・デモと夜には、その日に泊まる地域での集会を開催しつつ、フランス政府に住民の意思確認のための住民投票を求める署名運動もしてきていることには既に触れましたが、現在進行中のこうした運動もさることながら、既に大きな成果を挙げていることにも大変勇気付けられました。
「193の会」のトラック。行進の先頭を切った。
7月2日の集会の日の記念碑
それは、2014年に、当時の仏領ポリネシアのガストン・フロス大統領が突然、核実験被害者の記念碑を撤去すると言い始めたことがきっかけになりました。今回の集会もこの記念碑のある公園で開かれたのですが、元々はこの場所はジャック・シラク広場として、世界の反対を無視して1995年に核実験を強行したシラク大統領に捧げられていました。
しかし、フランスの核実験が始まってから40周年の2006年7月2日の記念日に、核実験にも核兵器にも反対してきた当時の仏領ポリネシアの大統領オスカー・テマル氏が、「モルロアと私たち」とともに、この広場を「1966年7月2日広場」と改名して記念碑を立て、フランスの核実験に抗議するとともに、その被害者たちの人権回復のための象徴的な場所として使うことにしたのです。広場の中には、核実験で被害を受けた島々に見立てた石が配置され、また友情と連帯の印として広島・長崎・福島から贈られた石も一番前に据えられています。
この記念碑を撤去するというフロス大統領の暴挙に対して「モロレアと私たち」と「193の会」が立ち上がり反対の集会やデモを開き、国際的な支援を求めることで、記念碑の撤去を阻止したのです。日本でも原水禁やピースボート、そして多くの市民が撤去に反対する署名運動を展開して、タヒチの運動を支援しました。次回は「193の会」が成功裡に活動を進めている背景を考えて見たいと思います。
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