本川小学校平和資料館を訪ねて
本川小学校平和資料館を訪ねて
昨日の昼下がり、本川小学校の平和資料館を見学しました。過去に1度だけ見学したことがあったのですが、先日、広島市立中区図書館が開催した「大人のための図書館セミナー」で、本川小学校平和資料館ボランティアガイドの岩田美穂さんのお話を聞く機会があり、改めて見学しようと思い立ったからです。
岩田さんの講演のタイトルは「平和のバトンを受け継ごう~絵本『いわたくんちのおばあちゃん』あの日の悲劇を繰り返さないために~」でした。講演の内容は、絵本(2006年出版)のモデルであるお母さん智津子さんの被爆体験と広島市立本川小学校平和資料館のボランティアガイド活動の様子、資料館の概要などについてでした。
お母さんの家族写真に隠された原爆の悲劇を伝えながら、爆心地から最も近い小学校での被爆の実相を通じて伝えるガイドの様子などがくわしく語れましたが、私が個人的に興味を持っていたのは、もう一つの原爆被害の問題でした。
本川小学校は、爆心地から最も近い場所で被爆した小学校です。ですから被害も甚大です。校舎は外部を残して全焼、壊滅し、校長先生ほか10名の教職員と約400名の子どもたちの尊い生命が、一瞬のうちに奪われてしまったそうです。あの日、奇跡的に生存したのは、教師1名と生徒1名のわずかに二人と言われているそうです。まさに奇跡としか言いようがないと思います。
ところで、私の言うもう一つの原爆被害とは、原爆孤児といわれる人たちのことです。本川小学校は、爆心地に最も近い小学校ですから、校区の被害も甚大だったはずです。ですから、生き残った子どもたちの中にも原爆孤児といわれる人たちが多いのではないかというのが私の推測です。中区図書館のセミナーで「学童疎開中の子どもたちはどうなったのですか」と質問したのですが、私の思いがうまく伝わらなかったようで、期待したような答えを得ることができませんでした。しかし、セミナーが終わった時、私の前に座っていた20代の青年が声をかけてくれ「本川小学校平和資料館には、学童疎開のこともちゃんと触れてありますよ」と教えてくれました。
確かにありました。「昭和20年4月15日に、3年生以上205人(男子126人、女子79人)と教職員10人が、双三郡十日市町(現在の三次市)の4つのお寺に学童疎開しました」と。つづいて「西福寺(女子のみ)の40名のうち、被爆後両親が揃っていたのは1人、片親だけが、7から8人でした。」と記述されています。両親ともなくしてしまった子どもの人数は書かれていませんが、引き算をすれば31から32人ということになります。残念ながら、西福寺以外に寄宿した子どもたちの両親の消息は、記載がありませんでした。しかし、西福寺の子どもたちに起きたことは、他のお寺の子どもたちもほぼ同じだっただろうと予測できます。大変な実態です。ただ残念なことは、私が最も知りたかった親を亡くした子どもたちのその後について触れた部分がなかったことです。
原爆被害を考えるとき、被爆者ではないが、被害者である人たちのことについても、もっと目を向ける必要があると改めて考えさせられました。
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