歴史の"if"を考える
歴史の"if"を考える
今日、7月10日は参議院議員選挙の日です。5月のオバマ大統領の広島訪問、そして最新のタヒチ報告、ずっと前から書き始めていた平和宣言や平和についてのトピック等ある中で、やはり選挙が気になります。
私は昨日9日に事前投票をしてきましたので、今日は前から約束していたイベントに集中できるのですが、未だ投票されていない方は、何が何でも一票を投じて下さい。
選挙の結果は開票後にならないと分りませんし、結果の予想をするほど全国的な情勢を把握してはいませんので、視点を変えて、敢えて「歴史に”if”があったら」を取り上げて見たいと思います。つまり、何らかの歴史的事実を取り上げて、前段の仮定の部分を変えたらどうなるのかを考えて見たいと思います。
これでは抽象的過ぎますので、具体例で説明します。歴史的事実として「光秀が本能寺攻めをした結果、信長は天下を取れなかった」を取り上げます。前段の「光秀が本能寺攻めをした」という文章を「p」という記号で表します。そして後段の「信長は天下を取れなかった」は「q」という記号で表すことにします。
数学の教科書では、これをさらにもう一つの記号「⇒」を使って、「p ⇒ q」という形に置き換えます。声に出して読む場合は、「pならばq」です。また、この形「p ⇒ q」を命題と呼びます。
「歴史に”if”はない」という言葉で、どちらかというとネガティブに捉えられているのは、この「p」の部分についていろいろな可能性を考えることを指しています。例えば「光秀が本能寺攻めをしなければ」という可能性を考えることです。私自身は、歴史的にはあり得ないことでも、「思考実験」として、頭の体操として「仮に」という前提で想像力を膨らませてみることの意味は大きいように思います。つまり「歴史からの教訓を得るために、敢えて歴史の”if”を考えて見よう」と言いたいのです。
数学に戻ると、これは「pの否定 ⇒ qの否定」という形に相当します。これを元の命題の「裏命題」略して「裏」と呼びます。「裏金」とか「裏口入学」という言葉があるくらいですから「裏」、つまり「歴史に”if”はない」も、「裏はいけないよ」ということだけなのかもしれないのですが、繰り返すと、歴史を考える上での「裏」を復権させたい思いを強く持っています。
それは、数学的には「逆」と呼ばれる命題が大手を振って歩いているだけではなく、マスコミが好んで使う手法でもあることにフラストレーションを感じているからかもしれません。逆とは「q ⇒ p」という命題を指します。つまり、「信長が天下を取れなかったのは、光秀が謀叛を起こしたからだ」です。論理的な命題と、歴史的な事実との関係には、時間的な要素が関わっているのかどうかという点で大きな差があるのですが、分り易く説明するために、この差については大目に見て下さい。
しばしばこの形が取られるのは、その結果として、「p」を非難できるからですし、「p」という行為の主体である人や団体等を批判するケースもあるからです。これ自身は必要ですし、大切なことなのですが、でもそれだけでは「歴史を繰り返すな」という目的からは遠いようにも思います。これには必要条件と十分条件とが関わってきます。
おっと、時間が無くなってきました。続きは明日にしましょう。
その前に、命題の論理的な関係を示す上でもう一つ「対偶」という命題もあります。これを図式で示すと、「qでなければ ⇒ pでない」になり、論理的には元の命題と同じ意味を持っています。これらの関係を図式で示しておきましょう
またまた、悪い癖が出てしまいました。本題に入る前の説明に時間を取られて、本題が遠く霞んでしまっています。しかも、図式を挿入しないまま、記事をアップしてしまいました。午前9時に訂正しましたので、宜しくお願いします。
それはともかく、投票には行って下さい。
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イギリスのように、自分が投票結果を悔やむような馬鹿者の投票は止めて欲しいですね。
だから、自ら考え自分の意思のない人は、投票すべきではないですね。
ifという考え方は面白いですね。でも、ifは気をつけないと自分にとって都合の良い結果を導き出すかもしれませんね。この次の記事にどうなっていくのか楽しみです。
私は、whyで歴史を考えていかないと、歴史認識は難しいのでは思います。
ところで、身近の歴史であるイラク戦争をを検証したイギリスは、見習うべきですね。
先の憲法は、間違っていなければ、イギリスの憲法を参考にしたと思います。
憲法を改正する議論の前に、見習うべきことだと思います。
「やんじ」様
コメント有難う御座いました。
命題の論理関係を示したのは、「変革」と「自分」の関係を客観的に見ながら、変革のためのエネルギーを創り出したいという願望からです。小生の考えていることを、今日以降、上手く説明できると良いのですが。
イギリスの国民投票ですが、あれが特別なのではなく、世界のどこでも選挙の内容はあの程度のものなのだ、ということが分るような選択肢だったからなのではないでしょうか。
より深刻な問題は、事実上、英国の国民投票と同じレベルの投票が行われ、その結果も本当なら「大後悔」しなくてはならないにもかかわらず、その事実にさえ気付かない人が圧倒的に多いということなのではないでしょうか。
日本の選挙に比べて、選挙後「後悔」する人がいるだけ、イギリスの選挙民の方がましだという議論もできると思います。
if には英文法でいうところの仮定法と直接法があると思いますが、それを説明するのに、歌の if は殆ど仮定法だが、プログラミングの if は全て直接法だと言われ、余計に分からなくなったことがあります。
歴史の if は常に仮定法で、そこから直接法の if を考えて行動すべきだと思いますが、今度の選挙で、どれほどの人がそれを考えたのか疑問ですね。
「通りすがり」様
コメント有り難う御座いました。仮定法や直説法、懐かしい言葉です。歴史の「if」について整理して下さり、有り難う御座います。おっしゃる通りですね。
もう一つ、イギリスの国民投票もそうなのですが、まずは投票をし、その結果を見て学んでいくことも大切だと思います。そのプロセスが生きて、参院選の結果が都知事選につながると良いのですが。
イギリスのように、自分が投票結果を悔やむような馬鹿者の投票は止めて欲しいですね。
だから、自ら考え自分の意思のない人は、投票すべきではないですね。
ifという考え方は面白いですね。でも、ifは気をつけないと自分にとって都合の良い結果を導き出すかもしれませんね。この次の記事にどうなっていくのか楽しみです。
私は、whyで歴史を考えていかないと、歴史認識は難しいのでは思います。
ところで、身近の歴史であるイラク戦争をを検証したイギリスは、見習うべきですね。
先の憲法は、間違っていなければ、イギリスの憲法を参考にしたと思います。
憲法を改正する議論の前に、見習うべきことだと思います。
投稿: やんじ | 2016年7月10日 (日) 13時02分
「やんじ」様
コメント有難う御座いました。
命題の論理関係を示したのは、「変革」と「自分」の関係を客観的に見ながら、変革のためのエネルギーを創り出したいという願望からです。小生の考えていることを、今日以降、上手く説明できると良いのですが。
イギリスの国民投票ですが、あれが特別なのではなく、世界のどこでも選挙の内容はあの程度のものなのだ、ということが分るような選択肢だったからなのではないでしょうか。
より深刻な問題は、事実上、英国の国民投票と同じレベルの投票が行われ、その結果も本当なら「大後悔」しなくてはならないにもかかわらず、その事実にさえ気付かない人が圧倒的に多いということなのではないでしょうか。
日本の選挙に比べて、選挙後「後悔」する人がいるだけ、イギリスの選挙民の方がましだという議論もできると思います。
投稿: イライザ | 2016年7月11日 (月) 12時09分
if には英文法でいうところの仮定法と直接法があると思いますが、それを説明するのに、歌の if は殆ど仮定法だが、プログラミングの if は全て直接法だと言われ、余計に分からなくなったことがあります。
歴史の if は常に仮定法で、そこから直接法の if を考えて行動すべきだと思いますが、今度の選挙で、どれほどの人がそれを考えたのか疑問ですね。
投稿: 通りすがり | 2016年7月13日 (水) 11時07分
「通りすがり」様
コメント有り難う御座いました。仮定法や直説法、懐かしい言葉です。歴史の「if」について整理して下さり、有り難う御座います。おっしゃる通りですね。
もう一つ、イギリスの国民投票もそうなのですが、まずは投票をし、その結果を見て学んでいくことも大切だと思います。そのプロセスが生きて、参院選の結果が都知事選につながると良いのですが。
投稿: イライザ | 2016年7月14日 (木) 10時24分