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2016年7月28日 (木)

「193の会」とキリスト教

193の会」とキリスト教

 

タヒチでは若い世代の人たちが「193の会」を立ち上げ、核実験被害者の団体「モルロアと私たち」を支えつつ新たな運動を展開しています。彼ら/彼女らのエネルギーや創造性を見ながら、自然に、高齢化する被爆者たちの運動組織を支えたり継承するために、若い世代が苦闘し続けている日本の状況と重ね合わせて考えていることに気付きました。「193の会」が上手く行っている背景を考えて見ましょう。

 

628日にマタイエア村で開かれた「モルロアと私たち」と「193の会」との合同集会は、その地域の教会の一つが会場でした。集会に先立って、多くの教会での定例行事になっている、地域の皆さんが持ち寄ったタヒチ料理のパーティーがありました。ご飯の上に少し甘みのあるポーク・カレーをかけた家庭的な料理にサラダの組み合わせで、その夜の強い雨と風を吹き飛ばすような温かみを感じました。

 

天候には勝てず、屋外で開かれる予定だった集会は急遽、室内の集会に変わりましたが、会場を移す作業は全員参加でとてもスムーズに進行しました。部屋に上がる際には靴を脱ぐのも日本と同じで親しみを持てましたし、年長者を大切にする文化もしっかり続いていました。

 

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例えば、この写真の左側の男性ですが、タヒチ語からフランス語への通訳をしてくれました。「193の会」のオーギュスト神父やリーダー格の若者たちからは「学者」と呼ばれて、「ぜひ通訳も」という形でボランティアをしてくれたのですが、これが年長者への敬意を表す気配りであることも伝わってきました。72日のデモでも先頭を歩くリーダーたちの一人でした。このように、若い世代の運動である「193の会」が年齢構成にも配慮しているのも、多くの市民の支持を受けている理由の一つです。

 

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その夜、発言をした人たちは高齢の人が多かったのですが、リーダーたちはその一人一人と面識があるような感じでしたし、参加者の多くも通訳の男性に対して一種の尊敬の念を持っていることも伝わってきました。

 

こうしたきめ細かい配慮や地域との強い連帯感など、「193の会」が成功する要素は多くあるのですが、良く考えて見るとそれは、教会とのつながりに基づいています。

 

タヒチ滞在中に何人もの人から聞いた言葉は「タヒチの人は宗教心に篤い」ということです。アメリカ社会でもかつては、宗教的理由でお酒を買えない街や日が決められていましたが、宗教の影響力が減るに従って、こうした風習も強制できなくなってゆきました。それが今でもタヒチでは守られていることも、一つの証拠になります。

 

タヒチに独自の宗教もあったのですが、フランスをはじめヨーロッパからの移住者が増え、それとともにキリスト教が伝わると、熱心な伝道活動に支えられて、キリスト教の信者が増えて行きました。熱心なキリスト教信者たちが、「神の教え」を説く神父や牧師を尊敬し、核実験被害についても彼らの問題提起に応えるのは極めて当たり前のことだったと言って良いでしょう。

 

 

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