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2016年6月12日 (日)

「核なき世界実現のための一里塚として」 (オバマ大統領広島訪問の先を考える) [『世界』7月号]

「核なき世界実現のための一里塚として」

(オバマ大統領広島訪問の先を考える)

[『世界』7月号]

 

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『世界』7月号の内容はこれまでこのブログで書いてきたことをまとめたものです。ブログをお読み下さった皆さんにはお分り頂けると思いますが、分量はかなりありました。しかし、活字媒体のために、ずいぶん努力をしてコンパクトにしました。当然、捨てなくてはならないトピックや考え方がそれなりにあります。でも残しておきたい気持ちも強くあります。その葛藤の中から妥協点を見付けるのですが、いつもこうした努力の後に思うのは、「無理だ、これ以上削れない」を乗り越えることで得るものの大きさです。

 

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何とか残せたものの一つに「Wish List」あるいは「欲張りリスト」と名付けたリストがあります。「Wish List」の方は、単に「願望」を示しているという意味ですが、「欲張りリスト」の方は、広島ではプラハ演説を超えて欲しい、そのためにはこのような「サプライズ」が考えられる、という過大な期待が元になっている言葉です。リストには三つの項目があります。

 

 核即応態勢の解除を宣言

 核保有9カ国によるNPT6条遵守会議の開催を宣言

 任期中に長崎を訪問

 

まず①ですが、今、核保有国は、ボタン一つで核兵器が発射されるような態勢を取っています。これを解除して、核兵器の使用が簡単にできないようにする、そして「核戦争」中のようなメンタリティーから脱却することが目的です。その結果として、偶発核戦争、というより偶発的に人類が滅亡してしまう危険性をかなり減らすことができます。

 

次に②ですが、その背景として、核保有国は核不拡散条約の第6条、「誠実な交渉」義務違反をしていることが挙げられます。核廃絶に至る条約を締結するための交渉です。46年間、核保有国がこの義務を果していないということが、核廃絶の最大の障害になっています。この障害を取り除くために、オバマ大統領が核保有国全てに、この第6条を遵守するための準備会議を開こうと提案するのです。

 

そして、③は、大統領の真剣さを示すために、もう一度被爆地を訪れ、そこでは充分時間を取って被爆者の体験証言に耳を傾け、最後に上のような「宣言」をしてしまうという提案です。

 

このような提案をオバマ大統領が任期中に実行してくれる可能性は低いと思いますが、それを言うなら、10年前に戻ればアメリカの大統領が広島を訪れる可能性も随分低かったのです。それでも実現したことを考えると、大切なのは、もし実現したとすると大きなインパクトのある提案、または提言を続けることだと思います。また、「他人任せ」にするのではなく、こうした提案実現のための市民レベルでの努力も組織的・系統的に行うことです。

 

それぞれの項目について詳しく説明したいのですが、まずは②を取り上げましょう。これは大統領退任後に、相手は現職の大統領や首相でも良いですし、「元」職に呼びかけても効果がある点が重要です。

 

オバマ氏が、アメリカ以外の8カ国の首脳あるいは元首脳に呼び掛けたとしましょう。それを世界に公表して、世界が注目する中、一カ国ずつ返事を貰うようにします。「行かない」という国、返事をしない国等もあるでしょう。しかし、北朝鮮はどうでしょうか。必ず来ることになるか、あるいはオバマ氏を北朝鮮に招待することになるかのどちらかの選択肢を選ぶのではないでしょうか。とにかく、アメリカに自分の方を向いて貰いたいと思い続け、ありとあらゆる手段を講じているにもかかわらず、それでもアメリカの方針は「無視」という状況に照らすと、効果があるはずです。

 

そして、世界が注目するその場では、「平和を愛する、核兵器を廃棄したい北朝鮮」というイメージ以外、北朝鮮が世界にアピールできる切り札はないでしょう。

 

 これが実現するだけで、世界は大きく変わります。しかも、このような会議の開催提案をして、仮に実現しなかったとしても実害は何もありません。「夢」のような話かもしれません。でも、空を飛ぶこともかつては夢でした。「夢のような話」と決めつけてしまって、誰も努力をしていなかったら、今でも夢のまま残っていたかもしれないではありませんか。

 

 

 

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