被爆の実相と被爆者のメッセージを伝える--「目標」リスト その3
被爆の実相と被爆者のメッセージを伝える
――「目標」リスト その3――
○1960年--被爆の実相と被爆者のメッセージを伝える
エルムウッド・パークの同級生--社会科の時間
AFSという高校留学のお世話をする団体があります。1914年にできたのですが、元々は、第一次世界大戦中に戦場で救急車の運転をボランティアで行うアメリカの若者の集まりでした。当時AFSは、American Filed
Serviceつまり、戦場で奉仕をするアメリカの団体という意味だったのです。
第二次世界大戦でも救急車の運転手としてのボランティア活動を続けたのですが、戦争が終ってから、それまでの活動を振り返って新たな使命を見付けたのです。それは、戦争が起きてからの活動も大切だが、戦争が起きないような活動をすべきではないか、という問題提起になり、世界の若者にアメリカへの留学の機会を提供しようという結論になったのです。最初は大学生の留学が中心だったのですが、その後、地域社会に溶け込んで日常生活を経験することの大切さに気付いて高校生の留学を促進することになりました。
さらに、最初は経済的格差も大きかったために、アメリカに留学し、アメリカの学生が他の国に留学するという、アメリカ対世界という図式だったのですが、今は、世界の国々の間の様々な組み合わせで留学をする形になっています。インドネシアからノルウェーに、ベネズエラから中国へといった具合です。
そのAFSは、1959年、海外旅行そのものがまれだった時代に高校生の私にアメリカ留学の機会を与えてくれました。シカゴの近くの小さい町、エルムウッド・パークで、ホスト・ファミリーの一員になり一年近く過ごすことになりました。日米の格差が今とは比べ物にならないほど大きかった時代です。見るもの聞くもの驚きの連続でしたが、その中でも一番大きなショックを受けたのは、アメリカ史の授業で教えられた原爆投下についての考え方でした。
それは投下直後にトルーマン大統領が記者会見で披露した通りの内容でした。つまり、原爆よりパール・ハーバーが先だった、原爆により戦争が早く終わった、その結果、アメリカ側で25万人、日本側でも25万人の命が救われた、だから原爆投下は正しかったというものです。
反論を試みましたが、先生と級友全てを向うに多勢に無勢でしたし、私自身の英語力や知識、そして説得の仕方等も不十分でした。その時の悔しさはやがて形を変えて、私自身の「宿題」になりました。全ての人を説得するのは難しいとしても、私自身が納得の行くレベルで被爆の実相や被爆者のメッセージをアメリカ社会、そしてできれば世界中に伝えることが、AFSから私に与えられた「宿題」だと考えるようになったのです。
「被爆の実相と被爆者のメッセージを伝える」ことは、その後、様々な形で続けてきています。今もその努力は続いていますし、生きている間は続けることになるだろうと思います。
次回は、
○1963年--被爆者の言葉が十分通じていないところで代弁をする
を取り上げます。
[凡例]
① 下線を引いてあるのは、未達成
② ○印は進行中
③ ☑は実現済み
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