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2016年4月14日 (木)

夢と目標の違い (続)


夢と目標の違い ()

 

オバマ大統領がプラハ演説で設定した時間枠を誰よりも良く理解したのは、潘基文国連事務総長かもしれません。それは、翌2010年の8月、平和記念式典に参列してくれた後、元気の出るスピーチを何カ所かでしてくれた事務総長が、締めくくりの言葉として、オバマ演説に言及したときに明らかになりました。

                       Photo_6  

 

「核兵器の廃絶は、私たちが力を合わせれば可能です。それは私たちの生きている間に実現できます。特に、私の生きている間に。オバマ大統領より私の方が年上ですから、それはオバマ大統領が想定しているより早く実現するということです」

 

潘基文事務総長はまた、「2020ビジョンは、完璧なビジョンだ」とも言ってくれました。「2020ビジョン」とは全世界の (現在の加盟都市数は) 7000の都市がメンバーである平和市長会議が2003年に始めた行動計画で、都市の力を合わせて2020年までに核兵器を廃絶しようというものです。

 

2020_vision

 

潘基文事務総長の言葉は英語の語呂合わせです。彼の言葉はでは、「2020 Vision is a perfect vison.」です。そして、「2020 vison」とは両眼とも2.0見えることを指します。それを別の言葉では、「完璧な視力」つまり「perfect vision」とも言うのです。視力についての誰でも知っている表現で、平和市長会議の計画が完璧だ、と言ってくれたのです。

 

「期限」を付けるという観点からは、計画に「2020」を付けることほど具体的な方法はありません。ですから、2003年に平和市長会議として問題になったのは、「核廃絶のための行動計画」の目標年を何時にするかでした。2020年を選んだ理由はいくつかありますが、その一つは、1986年にピークに達した世界の核弾頭数とその後の傾向です。1986年以降、減っていた核弾頭数ですが、ピーク時と2000年の核弾頭数を直線で結んで、それを延長すると、2019年には全ての核兵器がなくなるという機械的な計算ができたのです。

 

でも、多くの被爆者からは文句が出ました。「目標年次はもっと近くしてくれなくては困る。私たちは2020年まで生きられない。だから、私が生きている内に核廃絶ができるという計画に作り直して欲しい。」

 

問題は、私たち市長が核兵器を廃絶するための実際の政治的権力は持っていないということでした。私たちだけで決めてそれがそのまま現実になるのであれば、喜んで前倒しした計画を作ったはずです。世界の都市が集まり、世界の世論を大きくして核保有国に迫るにはそれなりの時間が掛かります。10年とか15年というスパンで何とか頑張ろうというのが「2020 Vision」です。

 

この点を説明した上で、「是非長生きをして欲しい」ことを伝え、そして「2020年より前に核廃絶が実現するよう、皆で努力をしなくてはならないので、そちらに力を入れましょう」としか答えられませんでしたが、私が親しかった、そして平和市長会議に期待してくれた被爆者の方々の内、厳しく注文を付けて下さった方々は、御自分で予測されたように、その後、幽明境を異にされています。

 

そして今年、ケリー国務長官が来広し、オバマ大統領も広島まで来てくれそうな雰囲気になりつつあります。

 

Photo_8

 

オバマ大統領の広島訪問が実現すれば、それは文句なしの素晴らしいことなのですが、亡くなられた方々も含めて全ての被爆者へのメッセージを携えて来て頂きたいとお願いしたい気持です。

 

それは、被爆者たちの「和解の哲学」「和解のメッセージ」に真摯に応えるオバマ大統領自身のメッセージです。良識ある大統領ですから、被爆者たちが「和解」の境地に達していたことを理解さえすれば、それに応える感動的な演説は期待して良いと思います。それ以上の行動があるかも知れません。それはオバマさんに任せるとして、その出発点として、先ずはオバマ大統領に被爆者の哲学を説明する手紙を書く積りです。

 

もう一つ、私たちが認識しておかなくてはならないのは、これが究極的な「目標」ではないことです。大切な出発点なのです。オバマさんだけではなく、私たち一人一人が、様々な形で積極的に関わることで、その後の道筋が豊かで明るく輝くものになることを確信しています。

 

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コメント

今更ながら凄い人が市長さんだったのですね~と感心するばかりですー‼︎
どの説明を読んでも納得!です!(^人^)
報道番組からまともなキャスターがいなくなっているのでキャスター、せめてコメンテーターをして欲しいですm(_ _)m

サチ様

大変温かいコメントを有難う御座います。

新聞・テレビ・書籍等、従来からのメディアの役割が大切であることには変わりないと思いますが、そのあり方そして生き残り方が問われる時代になっていますね。

そんな状況下、インターネットの重要性がますます脚光を浴びていますが、個人的には、「広島ブログ」に登録されているブロガーの皆さんの記事がとても勉強になっています。その結果を「ヒロシマの心を世界に !」の中に反映できればと思いつつ頑張っています。

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