資料館を訪れて
資料館を訪れて
雨がようやく小降りとなった先日(4月1日)の午後、東京から訪ねてきた甥とその子どもたち2人と一緒に、半年ぶりに原爆資料館を訪れた。
大人二人の入場料を支払おうといつものように100円を準備しそうになったが、ちょっと慌てて千円札を財布から取り出した。そう、この日から原爆資料館の入館料が、改定になったのを思い出したからである。入館料が改定(大人200円)にされたその日に入館するのも何かの縁。
ところで支払った入館料は、400円のはずが、700円のお釣りが返ってきた。最近恩恵を受けることが多くなったシニア料金のおかげだ。入館料改定による増収分は、「被爆の実相を守り、広め、伝える事業を拡充する」ために使用するとのこと。市民にその使われ方が具体的にわかるように広報してもらいたいものである。
館内に入ると人人人。進むのにも苦労するぐらいの人の数。前回訪れたのは、昨年の秋。その時は、修学旅行のシーズンとだから仕方がないと思っていたが、今は春休み。もちろん私たちと同じような親子ずれの姿も多かったが、この人の多さは。特に目につくのは、外国からの訪問者の多いこと。人の多さは良いことだと思いながら、余りの多さにゆっくりと説明文を読むゆとりのないように見受けられた見学者。もちろん東館が改修中ということで、本館に集中しているという事情は分かるものの、もっとじっくりと見てもらうためには、どうすればよいのかと考えさせられた。
今度の資料館見学で期待したもう一つが資料館見学を終えて外に出る階段付近で進められている発掘作業の現場を見ることだった。しかし今月の外相会合に向けて作業は中断中で、現場は白いシートに覆われて直接見ることはできなかった。当時の遺構が出たと言われていただけに残念だった。調査が終わればまた埋め戻されると聞いているが、せっかくここまで発掘したのなら、一部でもよいからアクリル板で覆うなどして誰でも見学できるようにはできないだろうか。それこそ、今回の入館料値上げで得た財源を使えばよい。これほど被爆の実相を守り、ひろめ、伝える事業への有効活用はないように思うのは私一人だろうか。
金子哲夫(広島県原水禁代表委員・元衆議院議員)
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