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2016年4月12日 (火)

ケリー国務長官の来広

ケリー国務長官の来広

 

 

昨日今日(410日、11)と広島で開かれていたG7外相会合が終わりました。マスコミの評価は概ね良好で、特に今日のテレビでは会合全体を高く評価しています。

 

改めて、G7とは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本ですが、それにEUの代表も加わっていますので実際は8人になります。このメンバーを見ると、第二次世界大戦の連合国側の内、ソ連と中国を除いた主要国と、当時の枢軸国です。これをどう見るかも興味の尽きないところですが、かつての敵国が今や緊密な協力関係を築くに至っている、それだけ世界は平和になっている、とまとめても良いでしょう。時間の持つマジック力のなせる業と言いたくもなりますし、人類も進化している証拠のようにも思えます。

 

もちろん、G7の外務大臣が広島にやってくることには歓迎以外の言葉はありません。特にアメリカのケリー長官は、アメリカ政治のナンバー2として、次は大統領の広島訪問を期待して良い地位の人ですので、来広の意味が大きいことは皆さん御存じの通りです。

 

アメリカの高官来広についても、ここまで来るのにやはり時間が掛かっています。時間がマジックとも言える力を持っていたとしても、その力を引き出せたのは、多くの人々が積極的に動いた結果でしょう。私もその一人として1980年代に掲げた「夢」実現のための、私なりの努力の軌跡を辿りたいと思います。

 

1980年代、当時ワールド・フレンドシップ・センターで活動していたロレンス・ウィーグ氏と共に、ロナルド・レーガン大統領あての要請状を毎年のように送りましたし、アキバ・プロジェクトに参加した記者たちに、大統領来広の意義を聞いて貰い、実現に力を貸してくれるように頼んだりもしました。

 

その後も機会のある度に働き掛けは続けましたが、実現への大きなターニング・ポイントは、2008年に当時の河野洋平衆議院議長のイニシャティブで広島開催が決まった、G8下院議長会議です。この会議には、当時、アメリカの下院議長だったナンシー・ペロシさんが参加しました。元資料館の館長だった故高橋昭博氏の被爆体験を聞いてペロシさんが、「Mr. Takahashi, you are beautiful!」と称賛したことはまだ鮮明に記憶に残っています。

 

G8080902_2

原爆死没者慰霊碑前での固い決意

(2008年9月2日)

 

これはその時の写真ですが、今回の外相たちと違うのは、議長たちが皆、慰霊碑の方を向いていて私たちには背中しか見えないことです。慰霊碑に献花してすぐ、自然発生的にこのような形になったので、マスコミは全く予想だにしておらず、慰霊碑の裏側から、議長たちの正面を撮った写真は一枚もありません。慰霊碑に向かっている議長たちの姿を見て、「自分たちは手をつないで世界人類と共に必ず核を廃絶します」と誓っていると考えたのは私だけではなかったと思います。

 

2009年には、オバマ大統領腹心のジョン・ルース駐日大使が赴任してすぐ広島まで来てくれましたし、翌2010年の平和記念式典にはアメリカ合衆国の公式代表として参列してくれました。その年は、国連事務総長として初めて潘基文氏も式典に参列してくれました。

 

同じ2010年には、全米市長会議の招きで訪米し、ホワイトハウスでオバマ大統領にお会いする機会がありました。被爆者と市民を代表して「近い内に是非、広島に来て下さい」と直接お願いしました。大統領からは「Yes, I would like to come.」という前向きの言葉を頂きました。

Photo

 

最後に、広島でのケリー長官の言葉から受けた個人的感慨の一つは、アメリカの原爆理解がようやくここまで進んだのか、ということでした。やはり時間にはマジック力があるのです。

 

オバマ大統領来広への私たちの期待は大きいのですが、ケリー長官の訪問が、今後どう発展して行くのかはまだ分かりません。でもこれまでの流れが続くのであれば、時間のマジック力の助けも借りて、被爆者を初め私たち多くの夢は実現すると信じても良いのではないでしょうか。

 

 

 

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コメント

アキバプロジェクトに始まり、長年に渡る秋葉市長の尽力に対して、広島市民として本当に頭が下がります。

ところで、あまり報道にはありませんが、ケリー国務長官の記者会見の中で印象的だったのは「(人々が広島に来て学ぶべきは)被爆の惨状だけでなく、和解の力」だという行です。

松井市長が、記者から何度問われても、ただ「被爆の実相を見て感じて欲しい」と漠然としたことしか発言しなかったのとは違い、非常に的確な見方だと感じました。

先ほどのコメントで、つい「頭が下がる」と書きましたが、ただ非常に感謝しているということでして、もし日本語として違和感があれば、また次回の「違和感のある日本語」で取り上げて頂いても結構です。

工場長様

大切な御指摘を有難う御座いました。「和解」こそヒロシマのメッセージだと思います。それを理解し、広島で確認してくれたことだけでもケリー長官の広島訪問の意味があったと言って良いと思います。

「頭が下がる」という言い方には全く違和感はありません。私に取って常に「頭の下がる」存在は、あの生き地獄、非人間的状況の極みで、それでも人間として生き抜いて、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」に象徴される和解の哲学を創り実践した被爆者の皆さんです。

もう一つの夢である「被爆者にノーベル平和賞を」実現のためにも頑張りましょう。

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