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経済・政治・国際

2021年4月17日 (土)

広島朝鮮初中高級学校 創立75周年記念行事

広島朝鮮初中高級学校が主催し、民族教育の未来を考える・ネットワーク広島、 日朝友好広島県民の会、広島無償化裁判を支援する会の三団体が協力する「広島朝鮮初中高級学校 創立75周年記念行事」が昨日午後6時30分から東区の広島朝鮮初中高級学校体育館で開催されました。朝鮮学園でも、昨日の午後、生徒たち全員で「75」の一文字を作り祝ったそうです。

広島県内に初めての朝鮮学校の初等学院が広島県大竹市に創設されたのは、ちょうど75年前の昨日1946年4月16日でした。翌1947年には、一気に17校に増えたといわれています。県内各地に創設された朝鮮学校では、紆余曲折がありながらも75年間広島の地で民族教育が行われてきました。朝鮮人同胞の手でつくられた朝鮮学校は、在日朝鮮人のみなさんにとって、希望の砦でもあったといえます。しかし、その歴史は、決して順風満帆ではありませんでした。子どもたちへの差別事件は、後を絶ちませんでした。特に、日朝関係が悪化するとそうした動きが強まりました。

この歴史の中で、日本政府による度重なる弾圧や差別があったことを忘れてはなりません。その中でも特に、2010年に導入された高校無償化制度から、朝鮮高級学校だけが排除されたことは、その象徴ともいえる事案です。政治とは無縁ともいえる子どもたちに対し、教育とは全く関係のない政治的な理由で、この制度から除外したことは、政治によるあからさまな差別であり、全体に許されるものではありません。

広島朝鮮学園と卒業生らが「国が朝鮮学校を高校無償化の適用から除外したことは違法」だとして処分取り消しを求めて広島地裁の控訴したのは、2013年8月1日でした。その後広島地裁は、2017年7月19日に不当判決を出し、控訴審である広島高裁も2020年10月16日に不当判決を言い渡しました。それに対し、学園と原告109人が直ちに上告し、現在、 最高裁判所での闘いが続いています。

本来なら「創立75周年」という節目の年ですので、お祝いムードで記念行事が行われるのが当然ですが、裁判係争中ということもあり、昨日の記念行事は「広島無償化裁判の意義」を考える集会となりました。

20210416_183653

集会は、民族教育の未来を考える・ネットワークひろしまの森崎賢司さんの司会で始まり、最初に李昌興学園長が開会のあいさつ、続いて明治学院大学教授鄭栄桓(チョンヨンファン)の「無償化裁判の本質から見えたもの、 そしてこれからの闘い―民族教育の存続と発展のために―」と題した記念講演。鄭栄桓さんは、まず「高校無償化制度は、外国人を主たる対象とする全く新しい制度を作りながら、なぜ朝鮮高校だけが排除された。政府が認めるとしながら排除するのは新しい差別だ」とし、さらに「無償化法は生徒の権利。受給する権利がある生徒を差別するのであれば、差別する側がその理由を説明すべきだ。当時のマスコミの論調の中に、『朝鮮学校も学習内容などが変わったのだから』という論調があったが、学校の変化を理由に、国を批判することは、これまでの差別を認めることになる」と話されたことが、印象に残りました。さらに「朝鮮学校は問題だよねと言う意識はどうやって作られてきたのか」と問題提起され、戦前、戦後を通じてくり返された朝鮮学校への差別の歴史が詳しく紹介されました。あらためて朝鮮学校の歴史を学ぶと同時に、日本政府が進めてきた民族教育権侵害の歴史を学ぶことが出来た講演でした。

集会は、その後、原告、2021年3月卒業生、生徒、弁護団が、それぞれの思いをリレートーク。支援団体を代表して「民族教育の未来を考える・ネットワーク広島」の村上敏さんの連帯のメッセージと続きました。そして「今後の行動提起」として、最高裁に対し「公正公平な判決を求める署名」と各人の「ハガキ行動」が提起され、全力で取り組むことが参加者全員の拍手で確認されました。最後に再び、李昌興学園長がたち、閉会のあいさつを行い、集会は終了しました。

いのちとうとし

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2021年4月16日 (金)

自然災害の歴史から学ぶ (3) ――災害対応にも政治にも「論理」を持ち込もう――

自然災害の歴史から学ぶ (3)

――災害対応にも政治にも「論理」を持ち込もう――

 

規定事実を無理矢理、押し付けようとするとき、為政者は「分り易い」喩えや理屈で説得しようとする癖があります。福島の第一原発の汚染水についての麻生副総理・財務大臣の発言が典型例です。汚染水を、処理済みとは言え海洋放出することに何の問題もないと強調するために、「別にあの水飲んでもなんてことないそうですから」と宣うた。

そこで論理に登場して貰うと、「だったら、飲んで見せて」、「飲み水と同じなら、何故捨てなくちゃいけないの?」等々、究めて当たり前の結論です。

それに対して、麻生副総理が論理的な対応をするのであれば、一番簡単なのは、「汚染水」を飲んで見せることでしょう。「飲んでもなんてことない」のですから。それで、政治的な責任が果たせるのであれば安いものです。

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これは、カフェラテですから飲んでも大丈夫

でも、十中八九、飲まないでしょう。安部・菅政権の常套手段、そして歴代自民党の常套手段は「白を切る」ことだからです。つまり、「答えられない」のです。論理的には破綻していることを、「答えない」という行動を通して認めてはいるのですが、それだけではなく、その事実を認めない上に、最初の言葉、つまり「飲んでもなんてことない」が嘘だったことも認めないのですから、何重にも人を馬鹿にしています。

それでも、政党の支持率では自民党が一番多いのです。その理由は全く理解できませんが、それを変えるのはやはり選挙です。手始めに、今月の参議院選挙で自民党候補を落とすことから始めましょう。とは言ってもこのブログを読んで下さっている方には、釈迦に説法なのですが、あまり関係のないような場でも話を選挙に持って行って、河井夫妻のことや麻生副総理のこと等、遣り切れない思いであることを伝えるという作戦はどうでしょうか。

自然災害について遣り切れない思いをした記憶はたくさんあるのですが、その一つとして阪神・淡路大震災後の復興についての国の対応があります。自宅が倒壊して住めなくなった人は20万人以上に上りました。全壊が104,906戸、半壊が144,274戸、全焼が7,036 戸、半焼が96戸という数字が、ウイキペディアには載っています。

しかしながら、我が国の法的な立場は伝統的に、私有財産に公費を投じる施策は取らないというもので、当時の村山富市首相は「自然災害により個人が被害を受けた場合には、自助努力による回復が原則」と言っています。

つまり、ローンを組んでようやく建てた家が地震で倒れてしまっても、再び自力でローンを組んで家を建て、地震でなくなってしまった家のローンと新しい家のローンの両方を払い続けるのが原則だったということです。

義援金や自治体からの援助もありましたが、やはり国の責任で、主権者である国民の窮状を救うのが筋であるという多くの国民の声を受けて、ようやく1998年になって「被災者生活再建法」ができました。「自助努力による回復が原則」から、市民の生活にようやく目が向いたのですが、それでも多くの問題がありました。

まず、この法律は遡及適用がされなかったのです。つまり、阪神淡路大震災の被災者には適用されなかったのです。これって、あまりにも冷たい、非人間的な対応ですよね。

さらに、住宅の再建には使えないどころか、補修にも使えない、基本的には住宅関連の費用に充てることはできないものだったのです。しかも、最大の額が100万円でした。

そんな中で、大きな一歩になったのが、2000年10月に、鳥取県西部地震の後、片山善博知事 (当時) が「鳥取県西部地震被災者向け住宅復興補助金」という制度を作ったことでした。その結果、住宅再建に公金が使えるようになったのです。国のレベルでもこの法律の後追いをして、法的にも徐々に整備がされてきました。

このような政治の貧困 (それに風穴を開けた片山元知事の様な例外のあったことも重要ですが―――) が、なかなか改善されない背景を考えてみると、そこに再び、「受忍論」の影がチラつくのです。その点を検討する上で、やはり「論理」を持ち出さなくてはならないのです。以下は次の機会に。

 [2021/4/16 イライザ]

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2021年4月12日 (月)

立憲民主、国民民主両党代表が来広―宮口はるこ候補を応援

参議院広島県選挙区再選挙の選挙戦が始まって最初の日曜日となった11日、立憲民主党、国民民主党の代表が、共に推薦する宮口はるこ候補の応援のため広島入りし、街頭から支援を訴えました。

立憲民主党の枝野幸男代表は、広島市の安佐南区と中区の2か所、国民民主党の玉木雄一郎代表は、広島市中区と福山市でそれぞれ街頭に立ちました。同じく推薦する社民党福島みずほ党首は、8日の出発式に参加しました。

私が応援に行ったのは、午後3時半から両代表がマイクを握った金座街入り口での街頭演説会です。

最初にマイクを握ったのは、立憲民主党の枝野代表。

20210411_153246

 「コロナ、第4波。無為無策の政治の失敗と言わざるを得ない。今のやり方では、感染を止めることはできない。ゼロコロナ戦略、台湾、ニュージランドですでにできているのに、〃島国の日本でなぜできないのか。一人ひとりの暮らしに目が向かない政治が続いてきるから。暮らしを守る政治に変えなければならない。再選挙の根っこは、同じ仲間内の、身内だけ良い思いをさせるだけで、県民一人ひとりに目が向いていない政治が続いていること。宮内さんが勇気をもって立ち上がってくれた。その思いを共有し、政治の流れを変えよう。主役である県民の底力を示すことが出来るかどうかにかかっている」と支援を訴えました。

次に国民民主党の玉木代表が登壇。

20210411_155259

1年9カ月前の参議院選挙の最終日に同じ場所に立ったことを紹介しながら「自民党は出直し選挙と言うが、党も本人も全く総括していないのに、なぜ出直しですか。政治の流れを変える。広島からその烽火を上げよう。命と健康を守るために政治を変えよう。小さな声を届けるために立ち上がった宮口さんを国会に送って下さい。この選挙を世直し選挙にしましょう」と呼びかけました。

二人の応援を受けて、力を得た宮口はるこ候補の演説にも力が入ります。聞くたびに内容も力強さも加わっています。聴衆からも「よっしゃ」「そうだ、そうだ」「がんばれ」の声が飛びます。

20210411_153117

ただ少し残念に思ったのは、両代表と宮口はるこ候補が揃って立つことがなく、3人そろい踏みのシーンが取れなかったことです。両代表のそれぞれの日程もあったと思いますが、野党が結集している姿を見せるためにも次回の応援演説ではぜひそのシーンを実現してほしいものです。

枝野代表は、金座街での演説に先立ち午後2時からフジグラン緑井前で街頭演説に立ったようです。フジグラン緑井前は、私も何度も街頭演説をした場所ですが、買収で失職した河井夫妻の地元中の地元。枝野代表の演説にも力が入ったことがうかがわれます。一方玉木代表は、金座街から福山市に移動し、午後5時から行われたJR福山駅前での街頭演説に臨みました。福山市は、宮口はるこ候補の地元ですので、大きな声援が送られたものと想像できます。

残された選挙期間は、ちょうど二週間。立候補表明が少し遅くなった宮口候補、追い上げる選挙戦、支援者の輪を広げて走りぬいてほしいと思います。

広島での選挙結果は、国政への大きなインパクトを与えますから、絶対に負けることのできない選挙です。がんばれ宮口はるこ候補!

いのちとうとし

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2021年4月11日 (日)

自然災害の歴史から学ぶ (2) ――6・29豪雨災害――

自然災害の歴史から学ぶ (2)

――6・29豪雨災害――

 

自然災害の歴史を繙き、それに対してどのような対策が取られてきたのかを検証しています。前回は、明治以降に起きた地震で、死者数からどのくらいの被害があったのかを年代順に整理した表を見てみました。

その中でも関東大震災の被害の大きさに胸を突かれました。亡くなった方が10万人を超えているのですから、東日本大震災と比べると、正に桁が違うのです。そして、その内の9割が、火災によって亡くなっています。

となると、東日本大震災に関係のある事柄での「9割」が頭に浮かびます。それは、東日本大震災で亡くなった方の9割が溺死だということです。つまり、津波で亡くなっているのです。さらに亡くなった方の内、3分の2は、60歳以上の方なのです。

このように数字から数字へと連鎖を辿ることでも、自然災害の形が見えてくるように思います。連鎖を辿らなくても一つ一つの災害を客観的に把握するためには数字が役立ちます。

 その中でも忘れられないのは、市長就任直後に起きた「629豪雨災害」です。被害の状況、そして広島市の対応は次の図を御覧下さい。

  629

その日の午後、開会中の市議会の議場が突然雷雨の音に包まれ、人の声が聞えるようになるまでかなりの時間がたったくらい、それまでに経験したことのないような豪雨が降り始めたことを覚えています。

 被害状況は、報告を受ける度に拡大し、夜には自衛隊の派遣を依頼しましたが、遅きに失したのかもしれません。30日には現地の視察もしましたし、市としての対応にも追われましたが、とにかく消防を初めてとして全職員が力を合わせて頑張ってくれました。

私個人としても、その時点では事後的な対応しかできませんでした。しかしこれほどの惨事になった原因を確かめて、それに対する「事前」の対策を取れないものかとも考えていました。

 それは、次の年に実現しました。通称、「土砂災害防止法」が制定されたからです。それについては、4年後の防災の日、つまり91日付で市の広報誌に掲載された記事の一部をお読み下さい。

 

「それ以上に忘れられないのは、4年前の629日の、梅雨前線豪雨による災害です。死者20名、負傷者45名、全半壊家屋203戸といった甚大な被害を広島市にもたらしました。

その直後に関谷勝嗣建設大臣(当時)が視察に来てくれましたが、一日も早い災害復旧と、今後これほど大きな被害を出さないための対策をお願いしました。大臣は直ぐに手を打つことを約束してくれましたが、特に、「こんなに山ぎりぎりのところにまで家を建てることは止めるべきだ。法的な規制が必要だ。」と強く主張されたことが印象的でした。

その結果、通称では「土砂災害防止法」という画期的な法律が一年後にできました。629日に起きたような土砂災害を防止することを目的とする法律ですが、分り易く説明すると、危険が起こりそうな地域についての調査を行い、「警戒区域」と「特別計画区域」を指定する。特に「特別警戒区域」については、その区域内に新たに家を建てないようにしたり、既に建っている場合には移転、あるいは現在の建物の建て替えや構造補強によって、被害を最小に食い止めるというのがこの法律の内容です。

しかし、個人の責任で別の住居を探して移転したり、自宅の建て替えや構造の補強を行うとしたら、経済的負担だけでも大変です。国からの支援策という形で、解決できないものか、機会ある毎に要望を続けています。

しかし、個人でできることも多くあります。例えば、安佐南区の伴地区では住民の自主的組織である自主防災会が中心になって「防災マップ」を作りました。

内容は、危険区域の表示や、いざ災害が起きた場合、水や食料、災害復旧のための道具がどこにあるのか、避難の際に、一人では避難できない例えば一人住まいのお年寄りがどこに住んでいるか等、実際に役立つ情報が中心になっています。

このような地図は、地域を熟知したその地域の住民の皆さんでなくては作成できないものです。皆さんの協力で素晴らしい物を作って頂きましたが、それが全国的にも認められ、消防庁の災センター長表彰を受ける栄誉に輝きました。

もちろん地図だけでは十分とは言えません。市内では、各区毎に防災訓練も行っていますが、特に安佐南区では、毎年、泊り込みの防災訓練を行っています。今年は8月の3031日に行われますが、こうした形での、市民の皆さんの日頃からの努力が、万一災害が起きたときの備えとして大切です。多くの皆さんのこれまでの努力に感謝しつつ、今後の御協力をお願い致します。」

 

「特別警戒区域」では、三つの措置が取られることになったのですが、それも図で見て頂いた方が分り易いと思います。

  Photo_20210410234201

残念なのは、良い法律ができても予算措置が伴わないと実質的な効果はないということですし、「天災は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦の言葉を裏切って、かなり頻繁に台風の被害や、2014年そして2018年と再三にわたる大きな土砂災害が起きてしまっていることです。

 [2021/4/11 イライザ]

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2021年4月10日 (土)

「規制の虜(とりこ)」

「規制の虜」という言葉があります。米国の経済学者が唱えた学説で、国(規制する側当局)が国民の利益を守るために行う規制が、逆に企業など「規制される側」に転換されてしまう現象を現わすものです。

まったくの素人だとは思いませんが、規制する側の知識よりも、それを所有している側の方が専門知識もあり、様ざまな経験やノウハウを持っているということで陥る現象です。分かりやすくいえば、規制される側が規制する側をバカにしているというか、甘く見られているという状況の中で起こることだと思います。お互いが癒着している状況の中では、ナアナアということで「見て見ぬふり」で済んだのでしょうが。

福島原発事故の前にはよく云われていましたが、国の原発行政が、規制する部門と、推進する部門が共存しているという中でも起こりました。

すでに亡くなられましたが、一級プラント配管技能士として20年間に亘り原発内で働いた経験を持っていた平井憲夫(ひらい のりお)さんが、「昨日まで農林行政を担当していた者が、明日から原子力を担当するようになる。こんなことがまかり通っているのですよ」と話されていたことを思いだします。

こういう国の政治構造だから、福島原発事故は起こったのだという指摘もあります。事故後に立ち上がって調査した「国会事故調査委員会」は、「事故は明らかに人災」とする報告書を提出しました。その報告書が指摘した扱いや対策は、まさに現在「行方不明」状態にあります。ただ福島原発事故後、新たに独立した立場で原子力規制行政を行う原子力規制委員会が発足しました。

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しかし最近の動きを観ていると、「規制の虜」が復活してきたと思えてならないのです。その理由は福島原発事故から10年が経過したこと、10年までは大人しくしていたというか静かにしていた「原子力ムラ」が、頭を持ち上げてきたという感じです。

その現象は、第6次エネルギー基本計画の議論の様子を観察していると分かります。40年で廃炉という原則について、「20年でも30年でも運転継続を…」、「新増設も…」といった発言が相次いでいるのです。ほんとうに国民をバカにしているとしか思えません。

極めつけは東京電力柏崎刈羽原発での、ID不正使用問題、原発に取り付けられていた地震計が故障していた問題、テロ対策用の侵入検知装置の故障問題、それを原子力規制庁・規制委員会に報告も行っていなかったことです。

5月には原子力規制委員会から「合格」が出るのではとされていた島根原発でも、中国電力の用意した地震・津波などに関する総括資料に対し、表現が曖昧だとする意見が原子力規制庁から出て、中国電力は「やり直し再提出」というお達しを受けたのです。

まだ規制される側(電力会社)に、長年培われてきた「規制の虜」体質が抜け切れていないのでしょうね。

長年電力会社を観てきている者として思うのは、この体質はそう簡単には直らないでしょうね。

改めて国会事故調査委員会が報告した、7つの提言を伝えておきたいと思います。

1)規制当局に対する国会の監視

2)政府の危機管理体制の見直し

3)被災住民に対する政府の対応

4)電気事業者の監視

5)新しい規制組織の要件

6)原子力法規制の見直し

7)独立調査委員会の活用

 

最近、再び「規制の虜」に陥るのではないかという危惧が強くなっています。

木原省治

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2021年4月 7日 (水)

ヒロシマとベトナム(その23-2) 日本の姿勢が問われる「出入国管理及び難民認定法」改正-その2

― 極端に少ない難民認定 ―

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

申請数

1,202

1,867

2,545

3,260

5,000

7,586

10,901

19,628

10,493

10,375

認定数

39

21

18

11

27

28

20

42

44

認定率

3.24

1.74

0.71

0.18

0.22

0.36

0.26

0.10

0.40

0.42

(出典:出入国在留管理庁の統計を基に作成)

上表は2010~2019年まで難民申請数と認定数の推移です。10年間に申請者は7倍余り増えているにもかかわらず、認定率は10分の1に低下しています。

下図は主要先進国7カ国のうち、イギリスとイタリアを除く5カ国の2019年の難民認定数と認定率です。トランプ政権下で「移民排斥政策」が進められたアメリカですら296%ですから、日本の0.42%という低さは異様に映ります。

 

― 長期化する収容による人権侵害 ―

在留資格期限が切れて残留しているオーバースティや不法入国や不法上陸による不法滞在など在留資格がない人を、出入国管理庁(入管庁)の行政権限で全国の施設に収容しています。下表は入管庁の資料を基に作成した収容者数とそのうち6ヶ月を超える収容者数の推移です。6ヶ月以上の長期収容者が占める率は上昇傾向にあり、この数年は4割を超え、2019年には3年以上収監されている人も63名いました。

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

収容者数

1,028

914

932

1,003

1,133

1,351

1,494

1,054

6ヶ月以上の長期

353

263

290

290

313

576

706

462

6ヶ月以上の率

34.3

28.8

31.1

28.9

27.6

42.6

47.3

43.8

人身の自由を奪う収容行為は本来、裁判所の令状が必要ですが、入管の収容手続きは行政権限で行われています。いわば、警察官・検察官・裁判官・刑務官の役割を入管庁の行政職員が行っており、チェック機能が働かない上に入管職員の裁量に委ねられてしまっています。

長期収容されている人たちの中には、家族と一緒に長く日本で暮らしている人や、母国に帰国すると迫害や弾圧の恐れがあったり、生命が危険に晒されるなど、帰国したくともできない理由がある人たちが多いと言われています。いつ釈放されるか分からない不安など過度なストレスから健康を害したり、不幸にして亡くなるケースも後を絶ちません。

こうした扱いに抗議するハンガーストライキが各地で起こり、20196月には長崎の収容所でナイジェリア人男性が餓死しました。

Photo_20210403172101

(出典:朝日新聞DIGTAL、2019年8月21日)

2020年8月、国連人権委員会「恣意的拘禁に関する作業部会」は、日本政府に対し、こうした入管施設への収容という「身体の自由の剥奪は世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に違反し、恣意的なもの」であり、「遅滞なく是正し、国際的規範に適合させるために必要な措置を講ずる」とともに、「出入国管理及び難民認定法を見直すよう」求めました。

※作業部会意見書(日本語訳)は下記からご覧になれます。https://migrants.jp/user/media/ijuuren/page/news/pdf/WGAD_Opinion_JPN_final.pdf

しかし、収容環境は一向に改善されず、今年36日にも名古屋の施設に収容されていた30歳代のスリランカ人女性が、体調変調にもかかわらず適切な医療措置を受けられず死亡するという「事件」が起きています。

 

― 政府「改正案」のひとつ、「監理措置」 ―

改正案の主な内容を見てゆきたいと思います。

一つには、「監理措置」の新設です。「送還時まで収容すること」を原則とする現行制度を維持しつつ、収容に代わる「監理措置」を新設するというものです。逃亡や証拠隠滅の恐れが低いことや「その他の事情」の条件を満たせば、300万円以下の保釈金で収容所を出て監理人(弁護士、支援者、家族など)の下で生活することが認められるというものです。

しかし、その対象者の範囲は曖昧なうえ、在留外国人にとって相当な金額である300万円が果たして準備できるのか疑問です。条件を満たすことは極めて困難と言わざるを得ません。こうした条件が満たされなければ、入管庁という一行政機関が、裁判を経ずして個人の身体的な自由を制限し続けることができる仕組みは、以前と何ら変わりありません。さらに、就労はできず健康保険にも加入できないなど、人権が保障されていません。

野党共同案では、退去強制令書による収容は、あくまでも送還の準備のために認められるものであり、送還の予定が立っていない外国人や、送還が法律上禁止されている難民申請者を収容することは、本来の日的外の収容であり、明確に違法であるとの立場から、「退去強制事由に該当すると思料される外国人の収容は、明らかに該当する場合であって、逃亡の恐れのあるときに限って、裁判官のあらかじめ発する収容許可状により、行うことができること」とされています。

そして、「収容許可状による収容期間は、10日以内とする。ただし入国審査官の請求があった場合、裁判官はやむを得ない事由があると認めたときは、10日を限り延長することができる」とされています。

こうした日本の入管制度(収容)に対し、国連人権委員会が是正勧告を出したことは前回述べました。加えて、憲法第1 8条が禁止する「意に反する苦役」や、拷間等禁止条約第1条第1項が禁止する「拷間」に該当するものであって、 この点からも明確に違法です。

次回(5月5日)も引き続き、「出入国管理及び難民認定法」改正について見てゆきたいと思います。

(2021年4月7日、あかたつ)

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2021年4月 6日 (火)

完全に舐められている私たち (3) ――官僚からも。でも私たちには憲法がある――

完全に舐められている私たち (3)

――官僚からも。でも私たちには憲法がある――

 

「完全に舐められている」シリーズを続けていますが、今回はその根底に憲法のあることを強調します。

 もう古いことになってしまっているようですが、先月の24日、まだ時短の要請が続いている中、厚労省の職員が銀座で (「また銀座かよ」という声が聞こえる) 深夜まで、「送別会」と称して大宴会を開いていたと言うではありませんか。日本中、官僚たちを除いて、大憤慨したはずです。

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何年か前の昼間の銀座

 

老健課の課長が言い出しっぺで、「誰も止められなかった」という言い訳まで聞こえてくるのですが、それだけで終りにしてはいけません。あるいは、「外での飲食は控えて下さい」とお願いしている側が外で飲食、しかも大人数でするとは怪しからん、という受け止め方もあるようです。それもそうなのですが、もっと根が深いのではないでしょうか。

 そもそも、官僚、つまり公務員が給料を貰って生活できるのは、国民、つまり私たちのために働いているからです。主権者のためにです。給料を貰う条件として、「全体の奉仕者」として働く、という義務が課されています。それが憲法15条です。

 その義務を果たすためには、四六時中、どんな時にでもこの義務を思い出し、それに照らして自らの行動を律する必要があります。課長なら、課員に先駆けてその義務を全うするのが当たり前です。そして、課員は、課長がおかしな行動をとったのなら、課長と自分という関係ではなく、主権者と課長という関係を元に、主権者の代理として発言すべきなのです。そして主権者には公務員を罷免する力もあるのですから、そのことも考えた上で、上司であっても主権者目線で物を言う義務があるのです。

 法律の専門家はこのような直線的な議論はしないでしょう。法律ができたり慣例があるとそれらに縛られてしまうからです。でもいったん慣例を認め始めると、切りがありません。今回の送別会も「慣例」に縛られた結果です。そんなものに縛られないようにするためには、原点に戻って考えることなのです。

 もう一点、これはマスコミの罪も大きいことなのですが、この課長は「事実上の」更迭なのだそうです。そう報じられています。「事実上」とは何を意味するのでしょうか。それは、「良~く、底の底まで調べてみると、本当は更迭ではありませんよ」という意味です。ここでも私たちは舐められ馬鹿にされていますね。

つまり、今後の異動等の際には影響が出ず、退職金も減らされないし、天下り先もきちんと回ってくる、ということなのです。「官房付」等と聞くと訳が分りませんが、人の噂が消えるまではちょっと隠れておくということでしょう。その間、ほとんど仕事はないでしょうから、ただで給料を貰うということになってもおかしくはありません。

私たちが求めなくてはならないのは、何度も繰り返される「事実上」の更迭ではなく、正真正銘の更迭です。それは、憲法を守るという宣誓をして、仕事にありついた公務員誰しもが受けるべき処罰なのではないでしょうか。

 [2021/4/6 イライザ]

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2021年4月 5日 (月)

ヒロシマとベトナム(その23-1) 日本の姿勢が問われる「出入国管理及び難民認定法」改正

― 政府案・野党共同案、審議はじまる ―

開会中の第204国会に「出入国管理及び難民認定法改正案」(政府案)が提出され、野党(立憲民主党・共産党・国民民主党・沖縄の風・れいわ新撰組・社民党)も共同で「難民等の保護に関する法律案」と「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」を提出、間もなく本格的な論戦が始まります。

政府の改正案は、法務大臣の私的懇談会である「第7次出入国管理政策懇談会」(第7次懇談会)が、2020年6月にまとめた「送還忌避・長期収容問題の解決に向けた提言」に基づいたものです。提言は「退去強制命令を受けたにもかかわらず、様々な理由により送還を忌避するものが相当数存在」し、「我が国にとって好ましからざる外国人の退去強制を没却する」として、「送還を促進するための措置」や「収容の在り方」について法改正を求めたものです。

一方、野党共同案は、日本の入管収容および難民認定制度が憲法や国際人権基準に違反している実態を立法根拠に提出されています。また国連の人権条約機関からも再三にわたり、入管法を国際人権基準に則った見直しを求める勧告を受けていたことなどを根拠にしています。

― 許されない!ミャンマー国軍による虐殺 ―

2月1日のミャンマー国軍によるクーデーターから2ヶ月、連日にわたる弾圧で数百名の尊い生命が奪われています。広範な人びとの不服従運動と国際世論の広がりにもかかわらず、国軍の残虐性は日増しに強まり、犠牲者は後を絶ちません。日本の各地でミャンマーの人びとによる抗議行動が展開されていますが、帰国すれば国軍の迫害や弾圧を受け、生命すら危うくなる可能性があります。

そんな危惧を抱くのは私一人ではないと思います。

ミャンマー国軍との「特別の関係」を重視し、国際的な国軍非難(制裁)に同調せず、事態解決への外交努力も見えない日本政府の姿勢は批判されるべきです。そして、日本に暮らすミャンマーの人びとと連帯した行動が求められていると思います。

― 「ノン・ルフールマン原則」に反する政府案

ところで、国際法上、迫害を受ける恐れがある国への追放や送還は禁止されています。「ノン・ルフールマン原則」と呼ばれ、帰国すると人権侵害を受ける恐れがある人は、いかなる場合であっても強制送還してはならないというのが国際的なルールなのです。いまの入管法では難民申請は何度でもでき、申請中は本国に送還することが認められていません。しかし、改正案では申請を原則2回までとし、3回以上申請した場合は相当の理由がなければ送還を可能にするというものです。「無期もしくは3年以上の実刑判決を受けた者」、また「暴力的破壊主義者等」の強制送還も可能とされています。

もし、仮に日本国内で国軍弾圧の抗議行動に参加した人が、本国に送還されたらどうなるでしょうか。

日弁連やアムネスティ・インターナショナル日本なども、「“ノン・ルフォーマン原則”に反する」と反対を表明しています。

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(出典:NPO法人 難民支援協会)

2018年6月、法務省は東京オリンピック・パラリンピックに向けて「世界一安全な国」を創り上げるとして、不法滞在者の積極的な摘発を図ると表明しています。同じ時期の201 8年2月28日、法務省入国管理局長が「仮放免を許可することが適当とは認められない者は、送還の見込みが立たない者であっても収容に耐え難い傷病者でない限り、原則、送還が可能となるまで収容を継続し送還に努める」と指示文書を出しています。

国際法に反する入管制度と難民・移民政策の見直しが内外から求められている最中、「我が国にとって好ましからざる外国人」の「送還を促進」するという「第7次懇談会」答申に基づく政府提出の「出入国管理及び難民認定法改正案」は余りにも問題が多いと言わざるを得ません。

今回から幾度かに分けて、「政府案」、「野党共同案」、それぞれについて見てゆきたいと思います。

(2021年45日、あかたつ)

〈編集者〉つづきは、4月7日に掲載します。

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2021年4月 4日 (日)

4月の「3の日行動」―参院補選勝利に向けて

戦争させない・9条壊すな! ヒロシマ総がかり行動実行委員会が毎月午後5時半から実施している「3の日行動」の街宣活動を、今月は3日が土曜日ということで、午後2時から本通電停前で実施しました。今回掲げられた横断幕には、「4.25参議院再選挙 広島の良心を示そう!」「改憲&金権政治をストップ!」と書かれていました。

今月の「3の日行動」は、25日投票日で施行される参議院広島選挙区補欠選挙の告示日が5日後(8日)に控えるということで、立憲野党の統一候補として立候補が予定されている宮口治子さんを迎えての街宣活動となりました。

アイ女性会議の佐藤奈保子さんの司会で始まった街宣は、実行委員会の川后和幸共同代表のアピールでスタートしました。次にマイクを握ったのは、予定候補の宮口治子さん。福山市出身でフリーアナウンサーとして活動を続ける宮口さんの演説は、聞く人の心に響きます。宮口さんは、自らの自己紹介をしながら、特に障害のあるわが子との生活を通じた実感している誰もが生きやすい社会を作ることの重要性を強く訴えました。その視点は、コロナ禍での犠牲が全て弱者に押し付けられている現状を指摘しながら「そうした人たち、弱者にこそ光が当たる政治を実現したい」という訴えに繋がっています。そして「何の説明もないままに進む河井問題は重要な選挙の争点。小さな声を政治の場に届ける役割を果たしたい。ぜひ選挙に行ってください」と政治とカネの問題を訴えました。アナウンサーとしての経験が生かされた聞きやすい話でした。

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次の弁士は、「河井疑惑をただす会」の特別ゲストとして、この日のために東京から来広された弁護士の郷原信郎さんです。郷原さんは次のように呼びかけました。「自民党は絶対に許せない。なぜコロナ過で国政選挙をしなければならないのか。すべて自民党が起こした問題。自民党の選挙資金にまつわる問題であるにもかかわらず候補者を擁立するなど、立てるなど、県民をばかにするのもいい加減にしろ、この選挙は有権者を愚弄するものだと言いたい。被買収者としての犯罪が問われるべき人が野放しになって選挙を行おうとしている。県民を代表して国会で働く人を選ぶ選挙。広島から政治を変えよう」と呼びかけました。

二人の演説を受けて、アイ女性会議の貴田月美さん、山田延廣、石川幸枝両共同代表がマイクを握り、ジェンダーの問題や、宮口さんとの政策協定を結んだこと、総がかり行動として全力で応援することなどを訴え、約1時間の行動を終了しました。参加者は、130人でした。

今回の参議院再選挙は、広島の良心が問われる選挙です。河井夫妻が議員辞職したといっても、説明責任を果たしたとはとても言えず、全ての実態が解明されたわけではありません。特に、自民党から異常とも思える税金からの政党交付機を含んだ1億5千万円もの巨額な選挙資金がなぜ提供されたのか、そしてその使い道についても、河井夫妻はもちろんですが、自民党からも何の説明をなされていません。それどころか二階自民党幹事長の全く人ごとのような「他山の石」発言に見られるように、自民党は全く責任をとろうとしない姿勢に終始しています。さらに、郷原さんの指摘されたように、被買収罪に問われるほどの罪を犯した自民党の自治体議員の責任もあいまいなまま(離党も議員辞職も求めない)もしている自民党広島県連にも自助能力が無いことが明らかになっています。

この重要な参議院再選挙に臨んで、ヒロシマ総がかり行動実行委員会は、「市民と野党の共闘で政治の流れを変えよう」と宮口治子さんを支持し、支援することを確認しています。

投票日まで、今日を入れて22日しかありません。広島での勝利は、安倍、菅と続いた国民不在の自民党政治に終止符を打つことに直結しています。それぞれの持ち場で、各人ができる活動を強め、参議院広島選挙区再選挙に勝利させることを誓い合い、3の日行動を終えました。

いのととうとし

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2021年4月 1日 (木)

完全に舐められている私たち (2) ――東電からも官僚からも――

 

完全に舐められている私たち (2)

――東電からも官僚からも――

 

「完全に舐められている」シリーズを続けようと思うと、その実例が毎日、「これでもか、これでもか」と現れますので、完結することはなくなってしまうような気がします。そうならないように、私たち主権者が責任を果さなくてはなりませんが、その結果が早く出ることを祈りつつ、今回は東電と厚労省の官僚を取り上げます。

 東電の柏原刈羽発電所の不祥事についてのマスコミ報道は、抑制の利いた表現で感心したのですが、これは皮肉です。これほどの不祥事を伝えるのに抑制を利かしてはいけないのです。

 言うまでもありませんが、原発と原爆は同じ原理でエネルギーを発生させます。原爆は、核分裂によって生じるエネルギーをそのまま放出させるのですから、技術的にはそれほど難しいことではありません。事実40年ほど前にも、プリンストン大学の学部4年生の書いた設計図が、「軍事秘密」だという理由で没収されるという事件がありました。物理学の専攻とは言え、そのレベルの勉強でできるということです。

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それに対して原発は、同じ原理で発生するエネルギーを、原爆のように瞬間的に放出するのではなく、お湯を沸かせるくらいの低レベルで何時間も何日も続けさせるという技術なのです。複雑な装置が必要なのですが、問題は、この装置のどこかが上手く作動しないと、原爆の爆発にすぐつながってしまうという点です。そして、どの段階でも毒性の強い放射線が発生していることなのです。

 そんな装置がテロの対象になれば、核兵器で攻撃されるのと同等のあるいはそれ以上の被害を受けることはお分り頂けると思います。

 324日付の『東洋経済電子版』によると、

 「テロリストなど外部からの不審者の侵入を検知するための設備の複数が故障したまま、十分な対策が講じられずに放置されていたことがわかった。

 原子力規制庁の検査を機に、20203月以降、16カ所で設備が故障していたことが判明。そのうち10カ所では機能喪失をカバーする代替措置が不十分な状態が30日以上続いていた。」

 それだけではなく、原発の頭脳ともいえる中央制御室に、他人のIDを使って侵入した職員 (Aと呼びましょう) がいたことも報じられています。『新潟日報』の電子版によると、この職員Aは、他の職員のロッカーからIDを盗み出し、中央制御室に入ったようなのですが、入るまでに二回も警備の職員に怪しまれています。IDの写真とAの顔が一致しなかったからです。でも警備員は、そのままAを通過させています。しかも、二度目のときには、IDに掲載されていた電子情報まで書き換えさせていたということなのです。IDは、また元のロッカーに返されたとのことです。

 それが分ったのは、IDを盗まれた本人がそのことを知らずに職場に入ろうとして、認証の失敗が何度かあって「おかしい」ということでIDをチェックして貰い、記載情報が書き換えられていたため、認証されなかったことが分かったという報道内容です。

Aという職員も問題ですが、Aを見抜けず簡単に通してしまった警備システムそのものが、もう完全にアウトです。それも昨日今日始まったことではないでしょう。そんなセキュリティー・システムで今まで良く大事件が起きなかったのか不思議です。日本という国は善人ばかりが住んでいるのでしょうか。

そして仮に、このAが、日本に強い敵意を持つどこかの国のスパイだったとすると飛んでもないことになっていたはずですね。中央制御室からの操作で原発そのものを止めることもできるのですから、これはお分り頂けるでしょう。それだけの事件なのですから、抑制を利かせるのではなく、「もし」という仮定で警告を発しても良かったのではないでしょうか。

 ことによると、そんなことをすると、本物のスパイがこの不祥事に目を付けて、それこそとんでもない結果になるのを心配したのかもしれません。でも、手遅れです。この事件のもう一つ大きな「効果」は、日本の原発が本物のスパイにとって、いかに容易く侵入できる施設であるのかを、大々的に宣伝してしまったことです。

 それに対抗できるセキュリティー・システムを構築するのは、並大抵の努力では叶わない仕事です。福島の原発事故では、「自然」のせいにして、主要幹部の責任はないと公然と宣言しているくらいなのですから、今回も「悪いのは一人の職員」、事実上「更迭」しましたから、それで終わりでしょう、といった幕引きになるかもしれません。

 そんなシナリオが頭に浮かぶのは、厚労省の職員への「懲戒処分」と関連があるのですが、それは次の機会に。

 [2021/4/1 イライザ]

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