2019年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

学問・資格

2019年10月24日 (木)

子どもの権利条約」30年

10月17日,文部科学省が2018年度の「問題行動・不登校調査」を公表しました。いじめの認知件数は約54万件で前年度から31.3%増え,いじめが確認された学校は全体の80%に上りました。心身に深刻な被害が生じるなどの「重大事態」も602件と過去最多となっています。

広島県内のいじめ認知件数は,前年度より70%近く増え,7,435件(小学校5,127件,中学校1,875件,高校410件,特別支援学校23件)で,過去最多を更新しました。発覚のきっかけは,被害児童・生徒や保護者からの訴えを含む「情報提供」が4,208件(56.6%),教職員による発見は43.4%で全国平均66.2%を大幅に下回っています。なぜ,教職員による発見の方が少なくなっているのかをしっかり分析していく必要があります。

191024

自殺した小・中・高校生は332人(小学生5人,中学生100人,高校生227人)に上り,3年連続で増加しています。国内の自殺者数が9年連続で減少する中,子どもの自殺は増加傾向にあります。不登校も,小中学生約16万人(前年度より約2万人増),高校生約5万人(前年度より約3千人増)と増加傾向にあります。

これらの背景の一つには学校に広がる「管理強化」による閉塞感があると指摘されています。子どもを全体主義で管理するために,校則や規律を細かく決め,それに黙って従う子どもを「良」とするなど,ゼロトレランスの考え方に基づく指導が蔓延るようになりました。例えば,「黙働流汗清掃」「給食の黙食」「細かな挨拶のルール」等々,軍隊に似た光景が珍しくなくなりました。また,小学校道徳では,とりわけ低学年を中心にマナー講座のような内容を教え込むようになっています。これだけでも,息苦しさを感じますし,自殺も不登校も学校に通うことが苦しいと感じている子どもたちのSOSに他なりません。

今年は,国連で「子どもの権利条約」が採択されて30年になります。日本がこの条約を批准したのは,世界で158番目であったことからも分かるように,当初から積極的ではありませんでしたし,この条約の理念が日本社会に根付いているかと言えば,そんな状況にはありません。

191024_20191022213601

今年の2月,国連「子どもの権利委員会」は,日本政府に対して,「過度な競争的システムを含むストレスの多い学校環境から子どもを解放するための措置を強化すること」「朝鮮学校への授業料無償化制度の適用を促進するために基準を見直すこと」などを勧告しました。また,子どもへの虐待などの暴力が高い頻度で報告されていることに懸念を示し,対策強化を求めています。日本は,「委員会による審査」という仕組みも含めて条約を批准しており,その審査の結果を誠実に受けとめ,対応していく必要があるはずです。

私たちおとなは,子どもを「権利行使の主体」として,「子どもの最善の利益を一番に考える」という条約の理念をしっかり胸に刻まなければなりません。特に,新自由主義と国家主義に飲み込まれている学校教育の姿を,そうした視点で問い直していくことが,教職員の責務であることを確認し合いたいと思います。

(西迫 利孝)

[お願い]
この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
広島ブログ

広島ブログ

 

2019年8月 3日 (土)

「数学書として憲法を読む」ー秋葉忠利代表委員の新著発刊

広島県原水禁代表委員の秋葉忠利さんは、これまでにも多くの著書がありますが、この度「数学書としての憲法を読む」という新著を発刊されました。サブタイトルは「前広島市長の憲法・天皇論」となっています。私にも「著者謹呈」として一冊送っていただきました。

本来なら、本を読んだ感想を書くべきですが、私の能力では、それを待っているとずいぶん遅くなってしまいますので、取り急ぎ新著が発刊されたことを紹介をさせていただきます。署名を見た時、私の頭に浮かんだ書名は「数学書」ではなく「数学者」でした。「数学者秋葉忠利」の憲法解説本と思ったからです。

Img028

「数学書」など読んだことのない私には、大きな?がつくのですが、本にまかれた帯には「原理原則などどこ吹く風 ごまかしだらけの政治の時代―文字通りに、素直に読んでみませんか?」と書かれていますので、素直に読めばよいのだなとちょっと安心です。さらに裏表紙側の帯の「憲法を基本に据えて、本当の意味での立憲政治を実現するための出発点として私が選んだのは、憲法全体をもう一度、数学書を読むように丁寧にそして論理的に読んで、その内容を理解することでした。その試みから得た教訓は、99条の(復権の)重要性です。これが私にとっても貴重な『発見』だったことから、多くの皆さんと共有したいと考えるようになりました。」との紹介で、この本が書かれたゆえんが、憲法99条にあることが分かります。安保法制の審議を機に、クローズアップされた99条の「憲法尊重擁護義務」について、その実践のための具体的な提案も含めて、その重要性が本書では書かれています。(ちょっと斜め読みで受けた印象)

ところで、この本、開いてみるとちょっとびっくりします。最初に出てくるのが「はしがき」です。これは、「はじめに」や「まえがき」と同じような意味を持つ本の書き出しだと思います。ところがこの本では、この後に「前口上」、そして「序章」と続きます。「まえがき」とも思える部分が、こんな組み立てで出てくる本は、見たことがありません。と言っても私の少ない読書歴での感想にすぎませんが、ここでまず「秋葉さんらしいな」という印象を強く持たされます。その「前口上」「序章」がなぜ必要だったのかが、「はしがき」に書かれています。「なぜ、『数学書として読む』ことに意味があると思ったのか、それが『広島市長』とどう関わっているかについては『前口上―なぜ前広島市長が憲法を語るか』で説明したので、そちらをお読みいただけると幸いです。」ということです。そしてさらに「はしがき」を読み進むと「本書を読む順序」について記載されています。「論理的には最初から順番に読んでいただくことを想定しています。しかしながら、難しいかもしれないと危惧をお持ちの方は、第5章からはじめてみてください。その他、興味のある章から、始めてくださっても本筋はご理解いただけるでしょう。」となっています。ちなみに第5章のタイトルは「憲法は死刑を禁止している」となっています。そもそもこの章は、3章で構成される「第Ⅱ部 憲法は死刑を禁止している」の最終章として登場しています。

今のところ、ここまでぐらいしか読んでいませんので、これ以上のことは書けません。

秋葉代表委員の憲法論については、このブログでも何度か登場していますので、なじみがあると思います。ぜひ一人でも多くの人に読んでいただけることを期待します。

いのちとうとし

[お願い]
この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
広島ブログ

広島ブログ

 

2019年3月26日 (火)

呂歓喜先生への手紙

呂歓喜先生

ご無沙汰しております。お変わりなく、お元気でお過ごしのことと存じます。私は他国の日本に住んでいます。もちろん結婚をして子どももいます。家族団らんな生活を送れていることは,先生の教えのおかげです。感謝しています。

私は,日本の広島に住んでいます。考えてみれば日本の生活も17年目を迎えます。17年前の2002年は、毎日の生活がドキドキ、ワクワクの連続でした。なぜなら慣習や文化が違い、それを学ぶ楽しさがあったからです。でも,時が過ぎると、すごく違和感を感じ始めました。その理由は、皇族を「陛下」「殿下」と呼んでいたからです。

私の記憶では,高校2年生の古文の時間だったと思います。もう37年前のことですね。先生から「皆さん!『閣下』の意味を知っていますか?」と聞かれました。その時は、一日も欠かさずテレビのニュースや新聞で、「全〇〇大統領閣下」を見聞きする時代でした。また、歴史ドラマには「殿下」はよく出ていましたね。

Photo_8

その授業で先生から「民主主義と呼称」について教えていただいたことは、今の私の宝になっています。先生は、

「陛下の『陛』は『天子の宮殿の階段』で、殿下の『殿』は貴人を敬って言う代名詞であり、その人が居る建物を意味することもある。例えば景福宮の勤政殿・康寧殿・交泰殿は、王の執務室であり、王と王妃が生活する建物であり、閣下は、殿下より一段下の人、または、その人が居る建物を意味する。すなわち『陛下』『殿下』『閣下』は、人の上下を表す言葉であり、民主主義とは正反対の意味になる。しかし今、テレビや新聞が『全〇〇大統領閣下』と呼び、書いているのは民主主義国家ではあり得ないんだ!このことを皆に知ってほしい」と言われました。

その後、国民が直接大統領を選出することになり、それで就任した盧大統領時代から公式的に「閣下」という呼称がなくなったことを覚えています。もちろん、完全になくなるまでには大統領が二人も交代しました。

日本は君主制で戦前の天皇家が今も続いています。5月には新しい天皇が誕生します。「陛下」「殿下」が「人の上に人あり、人の下に人あり」を意味する差別語であることを日本の新聞やテレビも知ってほしいなと思う今日この頃です。

韓国にいつ帰るかはわかりませんが、先生との再会を強く望んでいます。お元気で過ごされることを心からお祈りします。

広島より(李 昇勲)

[お願い]

この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ

広島ブログ