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2021年1月21日 (木)

新たな決意で核のない平和な世界を目指そう・その3 ――「成功例」を別の視点から整理し直そう――

新たな決意で核のない平和な世界を目指そう・その3

――「成功例」を別の視点から整理し直そう――

 

これで、3回目になりますが、これまではまず、人類の多数派の考え方をまとめると、1945年には「自明の理」を確認する形で「核兵器廃絶宣言」なり「核兵器禁止条約」といったものが出来ていて当然だったことを指摘しました。

次に、核兵器禁止条約が発効した後の目標として、「2040ビジョン」を提案しました。念のため、復習です。

 2040ビジョン

  • 出発点: 今
  • 最終目標: 2040年までに、核なき世界の実現と核の脅威からの解放を達成
  • 中間目標: 2030年までに、日本政府が核兵器禁止条約を批准する

さらに前回は、核兵器禁止条約 (TPNWと略します) の発効に至るまでの平和運動の「成功例」も掲げておきました。

今回は、「成功例」を少し違った視点、つまり「事実」として「成功しましたよ」という事例を中心にするのではなく、「何故」あるいは「どのように成功したのか」についても考えながら4つの「柱」としてまとめておきたいと思います。論理的な分析ではありませんので、重複もありますし、これで全ての場合を尽している訳でもありません。でも、次のステップを考えるためには役立ちそうなものを掲げています。

同じテーマで、何カ所かで発言しているのですが、今回はそれらの場での内容を少し進化させて、5つの柱を取り上げたいと思います。

 

「多数派の力」を活用   

「核兵器廃絶」「核実験禁止」等を求めているのは成果の大多数の声です。つまり、私たち「多数派」の意思です。ですから、目的実現のためには、「多数の力」、あるいは「多数派の力」を使うのが一番効果的です。これまでの運動の歴史を振り返ると、この効果的な手法を使って目的実現をしてきた「成功例」がかなりあるますが、分り易い例を挙げておきましょう。

1996年に、ICJが勧告的意見を出すことになったのは、ごく簡潔にまとめると、「世界法廷プロジェクト (WCPと略)」という市民運動の力です。大切なのは、WPCの活動家たちは、WHOと国連総会が「多数決」で最終決定を行うことに注目し、それを最大限に活用した点です。世界的なロビー活動が展開され、その結果としてWHOと国連総会は、多数決による決議を採択してICJに勧告的意見を出すよう要請したのです。この作戦は、安全保障理事会やNPT再検討会議等の「コンセンサス」による意思決定の場で、核大国が「拒否権」を使うことによって、世界の多数派の意思を葬り去って来た歴史を塗り替えるという結果をもたらしました。

TPNW採択に当って、ICANや志を同じくする国々は、WCPが成功した根本理由である、多数決による意思形成を活用しました。単純化した話にすると、国連総会は「公開作業部会 (Open-Ended Working Group、略してOEWG) を設置しました。そこでNGOの参加も許す形でTPNWの概略を決め、それを受けて条約交渉会議が開かれるようにお膳立てをし、最終的には国連総会での多数決でTPNWを採択したのです。

その過程で効果的だったのは、多くのNGOや専門家、そして志を同じくする国々が、核兵器の使用が如何に非人道的結果をもたらすのかを教育するための会議や集会を数多くの場で開催したことでした。科学的知見に基づいた説得によって、世界の「多数派」の信念はますます固くなり、より多くの人々が運動に参加することになりました。

5本の柱に加えて、この「科学的知見」の役割を取り上げる必要があるかもしれません。となると、6本の柱になってしまい、数が増えると分り難くなるという結果にもつながりますので、一応、「5本」で抑えておきましょう。

 

➁ 条約や法律制定を目標に掲げた

「多数派の力」の使い方は色々あります。一番大切なのは、選挙で多数派の意思を実現してくれる政権を選ぶことだと思いますが、「王道」とは言え、なかなか思う通りに行かない経験や苦い思いもされて来ている方も多いのではないでしょうか。

そこで諦めずに、これまでの「成功例」から学びましょう。一つには、「目的」、「目標」 (GOAL) をハッキリさせ、しかも期限を付けることです。

TPNWの場合は、条約の制定が目標でした。その他、「成功例」として列挙したものの多くは条約です。そして、TPNWは、2017年の国連総会で採択されるという結果に至る「多数派の力」の使い方が、これからも同様の結果を国連で挙げて行くことができるというお手本になるという点なのです。

核兵器の廃絶に直接は貢献しないものの、二国間の条約で大切なものもあります。迎撃ミサイル制限条約 (ABM条約、アメリカの通告で2001年に失効)、中距離核戦力全廃条約 (INF全廃条約、2019年に失効)、新戦略核兵器削減条約 (新START、延長を交渉中) 等が頭に浮びます。当事国同士が、賢明な対応をするよう、関係国の市民の力に期待していますが、同時に、国際条約によって核兵器そのものが禁止されたという文脈で新たな作戦を模索することも重要ではないかと考えています。

また、これまで締結された多国間条約を補完したり、拡充する新たな条約制定のための運動も視野に入れるときが来ているのかもしれません。

 

国家が条約や法律を遵守するよう、裁判所に訴えを起こした

Court_20210120134801

国家はしばしば法を犯します。その中には国際法も入ります。そんな場合、さらには、市民の正当な権利主張を弾圧するような場合、国家の不法行為を裁判所に提訴することは、「多数派」を利する結果につながります。市民が勝てば、それで権利が守られます。もし市民が負けたとしても、裁判で公開される我々の立場はメディアを通じて多くの人に共有されますので、その知識を用いて、政府に法の遵守をさらに強力に要求することができますし、政府が説明責任を果すよう、協力に運動を展開することも可能です。

 例えば、1999年、スコットランドのグリーノック裁判所の判決では、「国際トライデント・プラウシェアー 2000」に属する3人の女性による、トライデント潜水艦への直接抗議を合法と認めました。被告の無罪主張の根拠は、ICJ勧告的意見とニュルンベルグ原則でした。(: 「無罪」は確定したものの、上級裁判所の政治的介入によってその他の判断は覆されました。)

 2014年には、マーシャル諸島共和国が、核保有9カ国をICJに提訴しました。それは、「誠実な交渉義務」を規定しているNPT6条に違反しているという訴えでした。事実、これらの国々は、核兵器禁止のための様々な機会を無視し続けて来ただけでなく、その後、国連総意が設置した「公開作業部会 (OEWGと略)」にも不参加でした。管轄権の問題で、ICJからは却下されたものの、世界世論を喚起し、多くの支持を得る上では重要な役割を果した。さらに、「法の支配」の基本的な原則の一つである「pacta sunt servanda(約束(合意)は守られねばならぬ、あるいは、約束履行義務) の重要性を再確認することになりました。

 参考までにNPT6条を掲げておきましょう。「各締約国は、核軍備競争の早期の停止及び核軍備の縮小に関する効果的な措置につき、並びに厳重かつ効果的な国際管理の下における全面的かつ完全な軍備縮小に関する条約について、誠実に交渉を行うことを約束する。」

 国内的には、複数の裁判所が、日本政府による法の曲解や無視について、軌跡を修正してきました。

 1955年には「原爆投下は国際法に違反する」という東京地裁の判決が出されました。1978年には「原爆医療法」は海外の被爆者にも適用されるという孫振斗(ソン・ジンドウ)訴訟、1976年には白内障も原爆症として認めた石田訴訟、そして2009年には、「輸送・救護・看護・処理等」での被曝は、人数に依らないことを認めた、3号被爆者訴訟が具体例です。

 WCPTPNWのように、国連の内外で外交官や政治家に働き掛けるロビー活動を展開することは、誰にでもできることではありません。しかしながら、固い意志を持った個人が、地方裁判所において訴訟を起こすことは可能です。国レベルでもマーシャル諸島共和国のように、小さな国が単独で国際的問題提起を行えるという意味で、裁判制度の存在は貴重です。

 

随分長くなりましたので、残りは次回に回しますが、そこで取り上げたいのは次の二つです。

非核兵器地帯を創る

平和創造の基礎単位としての都市と市長の役割

それに続いて、2040ビジョン」達成のための具体的ステップ になり得る、[次のステップ候補を4]を説明したいと思います。

 

[2021/1/21 イライザ]

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