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2020年11月25日 (水)

荻野晃也さんが残した『科学者の社会的責任を問う』

親しく付き合いをさせて頂いていた荻野晃也さん、今年6月29日、80歳で逝去されました。死期を予想しながらペンを走らせ、亡くなられた後、8月30日に遺稿として緑風出版から出された『科学者の社会的責任を問う』(定価2500円+税)という著書があります。

 頼まれた訳ではないのですが、この本の書評を書いていました。反原発新聞の11月号に掲載させていただきました。ぜひ皆さんにお勧めです。


 本の題名だけでは、見るからに難しいなあーという感じがしていた。しかし実生活や実践から書かれたものは違う。引き込まれるような読みやすさと、荻野さんの人物考察に興味を持った。

日本人のノーベル賞受賞者も多くなると、その名前を憶えていることは不可能だが、最初に物理学賞を受賞した湯川秀樹さんくらいは、なんとなく「すごい人」だと誇りに思っているだろう。

荻野さんも湯川秀樹博士に憧れて京大理学部に学んだ。しかし戦後、湯川博士は核兵器廃絶を訴えながらも、なぜ原発問題には「沈黙」していたのか。湯川博士の授業を受けながら、そのことに疑問を持ち「何故だろう」と自分自身にも問うてしまう。そこが何とも興味深かった。しかしそのことをズバーと言わないのが荻野さんの品性の良さか。

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そして四国電力伊方原発訴訟(1973年提訴、92年最高裁が住民側上告を棄却)の、特別補佐人として加わり、原発の危険性を50年間訴え続けた。この部分に登場されている人は、ほとんど私自身も知り合いだったから、とてもリアルであった。

広島との関わりの中では、1974年から放映されたNHK連続テレビ小説の「鳩子の海」、主人公の鳩子が、原爆に遭い記憶を失い孤児になり、成人して原研(日本原子力研究所)に勤める男と結婚しそして離婚するというストーリィである。この時代は、原子力発電の最盛期でもある。荻野さんの、この当たりのウラ話的な背景の話しはとても面白かった。「鳩子の海」といえば、上関原発建設計画のある山口県熊毛郡上関町の観光シンボルでもある。

この時代はなんといっても「平和利用」の最盛期時代。荻野さんは、そんな中でも反対を貫く「反骨精神」で、最後まで講師として定年退職された。定年後は「電磁波の危険性なら荻野」とまで形容されるほどの研究者として、電磁波の健康リスク問題では多くの本も書かれた。

今年6月に3年間のがんとの闘いの末、80歳で亡くなられた。地元の京都新聞は『末期がんの病床で原稿を校正した赤鉛筆。手の力が弱まり何度も落としたが、拾えるようにヒモを付けてある』と写真を入りの記事を載せた。

今年1月17日広島高等裁判所は、山口県民らが求めていた、伊方原発3号機の運転差し止め請求を認める仮処分決定をおこなった。この知らせを病床で受けた荻野さんは、とても喜んでおられたと思う。

「科学者の社会的責任」、荻野さんから私たちが引き継がなくてはならない。


木原省治

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