「広島大学旧理学部1号館~未来へ受け継ぐ記憶~」展
広島市が主催し、広島大学が共催する「被爆75周年特別企画 広島大学旧理学部1号館~未来へ受け継ぐ記憶~」展が、1日から旧日銀広島支店で始まりました。私も初日に行ってきました。
展示は、10のコーナーに分かれており、次の10の項目で組み立てられています。
「①広島大学旧理学部1号館(広島文理科大学本館)の沿革 ②被爆前の広島文理科大学 ③原爆による被害(10枚の写真) ④市民が描いた原爆の絵(15枚)なぜが馬の絵が目立ちます ⑤広島文理科大学ゆかりの人物1 三村剛昂(よしたか)(1944年同大理論物理学研究所の初代所長) ⑥広島文理科大学ゆかりの人物2 橋本初次郎(被爆当時、研究室の焼失を防いだ広島文理科大学生) ⑦カタカナのヒロシマ ⑧ヒロシマの地質学に挑む理学部地質学教室の調査 ⑨ヒロシマの医学に挑む 広島大学原爆放射線医学研究所所蔵資料から ・「ヒロシマ」に挑む広島の医師たち 原爆投下直後からの活動 ・原医研と爆心地復元調査 ・被爆者の医療研究と被爆資料の収集 ⑩ヒロシマピースツーリズムで巡る被爆建物」
この他にも被爆した弁当箱など現物も展示されています。
入口すぐ左には、広島文理科大学や東千田町に関する被爆体験証言映像の上映や証言パネルの展示がされ、11月3日(火、祝)、11月7日(土)、11月8日(日)の14時及び15時から、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の朗読ボランティアによる被爆体験記朗読会が、実施されます。
会場内は、撮影が禁止されており、展示物を紹介する印刷物も配布されていませんので、細かな紹介は残念ながらできません。タイトルだけはメモを取りましたので、雰囲気だけでも感じてほしいと思い、紹介をしました。
ところで、上の展示会の案内チラシの最初には次のように書かれています。「広島の『知の拠点』再生プロゼクトにより、『知の拠点』にふさわしい保存・活用に向けて検討が進められている被爆建物」
そうです、この「広島大学旧理学部1号館」は、貴重な被爆建物です。
被爆によって、外部を残して延焼したようですが、復興過程においては絶対的に研究・教育施設が不足した時期にあった中で、校舎として存在し続けてきた歴史を持っています。しかし、1985年頃からタイルが壁面から剥離するようになり、特に北面が激しく、頭上注意の看板と防護ネットによって対処したと言われています。そして1991年9月に理学部が東広島に移転し、大学の建物としての役割を終え、保存を前提とし跡地利用計画が検討されてきました。しかし、今もなお方針は固まっていません。既に使われなくなって29年という年月が経ち、老朽化は一層進んでいます。
昨年末以来、同じ被爆建物である旧陸軍被服支廠の保存を求める市民の関心が大きくなっています。松井広島市長も「全棟保存を求める」と発言されました。この発言を聞いた時、改めてこの広島大学旧理学部のことを思い出し「広島市がやるべきことは、旧陸軍被服支廠をどう保存するのかも大切だが、この広島大学旧理学部の被爆建物をどうするのか、どう保存するのかの結論を早急に出すことだ」と強く感じました。
旧広島大学跡地は切り売りされ、周囲にはどんと新しい建物が建っています。タワーマンションも建ちました。幸いにして建物の北側のひろばは残っています。わたしが現地を訪れた日は好天に恵まれた日曜日でしたので、多くの家族連れや友人同士と思える人たちが、この広場を憩いの場として活用していました。
「被爆75周年特別企画 広島大学旧理学部1号館~未来へ受け継ぐ記憶~」展を観ながら、「広島市は、早急に被爆建物広島大学旧理学部の保存活用方針を立てる必要がある」ことを改めて痛感しました。
この展示会は、今月12日(木)まで開催されていますので、ぜひ訪れていただき、被爆建物の保存を考える機会になればと思います。
いのちとうとし
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