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2020年9月 5日 (土)

ヒロシマとベトナム(その16) 被爆75周年 ―ヒロシマとベトナム戦争- を考える〔Ⅲ〕

非人道的な枯葉剤(ダイオキシン)散布

私が初めて枯葉剤被害児と出会ったのはベトちゃん・ドクちゃんの分離手術が報道されてから3年後、1991年でした。北爆の痕跡を残した大きなクレーターや破壊された橋脚が残り、まちには戦傷者やストリートチルドレンが溢れていたハノイでのことでした。その時の衝撃は「ヒロシマとベトナム」(その1)に書きましたが、以降幾度も「ホアビン村」(枯葉剤児施設)や病院、枯葉剤被害者団体(VAVA)や被害児者宅を訪れています。

右の写真は1998年にベトちゃんとドクちゃんが分離手術を受け、過ごしていたホーチミン市にあるツーヅー病院を訪れたときのものです。枯葉剤(ダイオキシン)の影響により、生を受けることなく亡くなった数多くの嬰児が安置されていました。

1998

この写真を見ただけで、アメリカ軍が10年間もジャングルと散在する村々の上空から枯葉剤(ダイオキシン)を撒き続けたことが、いかに非人道的なものか分かると思います。

多様な形で現れる人体への影響

青酸カリの1,000倍を持つというダイオキシンの毒性については、前号(85日)で述べましたが。その人体への影響は、奇形児、子宮外妊娠、早産、流産、死産、胞状奇胎、新生児死亡などの生殖障害として現れています。

Photo_20200903132101

生殖障害の中でも注目されるのは先天奇形で、奇形にはベトちゃん・ドクちゃんの例にある結合性双生児の他、無脳症、手足の奇形、目などの感覚器官の無形成や奇形、口蓋裂などがあります。

その他、枯葉剤(ダイオキシン)による人体への影響は多くの器官や機能に及び、循環器や呼吸器障害、癌など極めて多様です。

最も枯葉剤被害児の多いタイビン省

480万人以上もの人々が被曝し、100万人以上に何らかの傷害や疾病があると言われていますが、最も被害児者が多いのがハノイ近郊のタイビン省です。ベトナム戦争中、北部地域から激戦地帯の中部地域に派遣された多くの若者が大量の枯葉剤を浴び、帰国後の偏頭痛や倦怠感などの健康不調になり、また結婚・出産により世代を超えた障害が続いているのです。

2012年に中国新聞の同行取材を得ながらタイビン省枯葉剤被害者団体(VAVA)を訪れたときの状況を紹介します。ハン会長(写真左)は、「1968年、ベトナム中部クアンナム省とラオス国境付近で枯葉剤を浴びた。子どもには影響が出なかったが、孫が2人死んだ。娘の子どもは死産(奇形)だった。第二世代に障害が出なくても第三世代に出てくる。」と世代を超えた被害について強調されました。

2012年当時のタイビン省の人口は182万人(2019年:194万2千人)、うち被害者はベトナムで最も多い3万3千人。その内訳は第1世代(直接被曝者)が2万4千人、第2世代(子)が8千人、第3世代(孫)が1千人、第4世代(ひ孫)は今のところ1人と言うことでした。その後、第3世代、第4世代への影響がどうなっているのか気にかかります。

身体・健康への影響では第一世代は癌が最も多く、第2世代に現れている特徴的な被害は下表です。

手足の奇形

8.2%

知的障害

2.0%

精神疾患

8.2%

手足の障害

4.3%

皮膚障害

6.1%

言語障害

4.9%

骨血液癌

1.6%

視覚障害

3.3%

歩行障害

8.8%

関節障害

7.6%

心臓障害

3.0%

神経障害

9.2%

指障害(合着、6本など)

8.6%

口唇口蓋裂

3.7%

白血病

0.8%

激戦地クアンチの状況

 私たち一般社団法人広島ベトナム平和友好協会(HVPF)が2009年以来、毎年「訪問団」を派遣しているクアンチ省は、旧南北国境線が敷かれたベトナム戦争の最激戦地であり、枯葉剤被害者もタイビン省に次ぎ多い地域です。枯葉剤の直接被曝による人や土地・森林への影響、不発弾など負の遺産を抱えるクアンチ省は、「ベトナムで最も貧しい地域の一つ」と言われています。

「3万人の被害者は、貧しいクアンチの中でも最も貧困な状況で生活に追われています。植物状態の被害者も260人おり、その家族は仕事に就くことすら困難」と、リ・キム・トゥ被害者の会会長は訴えています。

2012

上の写真はグエン・ルク・タンくんです。17歳ですが体重は僅か12kg、腕と足は細く立つことも、ものを持つこともできません。肺の病気で吐血し、最近退院したばかりというタンくんは、うつろに目を向けますが会話はできません。

軍隊時代に強い枯葉剤を浴びて身体が弱い父親(41歳)は、65キロ離れたフエでタクシーのドライバーをしており、母親は2歳のときに家を出たきりとのことです。老いた祖母が政府の援助月36万ドンと息子の仕送り10万ドン余りとで50万ドン(注1)ほど暮らしているとのことでした。(注1)1万ドンが約50円ですので2,500円。

「コロナ禍」でチャリティー・コンサート中止

2001年に初めて東広島市で「枯葉剤被害児救援のためのベトナム民族アンサンブル・チャリティーコンサート」を開催、以降、今日まで県内12市町・22会場でのコンサート通じ、タイビン省の枯葉剤被害児のためのリハビリセンター建設をはじめとする支援を続けています。

「被爆75周年」を迎えた今年は、「ベトナム戦争集結45周年」でもありました。そこで、10月に東広島市だけでなく、広島ベトナム協会や日本ベトナム友好協会広島県支部などのご協力をいただき、広島市と福山市での開催も予定していました。しかし残念ながら「コロナ禍」で中止し、来年以降の開催を目指すことにしました。

次号(10月5日)では、枯葉剤被害児などに対する支援活動について述べたいと思います。

(2020年9月5日、あかたつ)

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