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2020年2月21日 (金)

「憲法遵守義務」の重要性・その2 ――他の条項でもこの「義務」を補強しています――

前回は、憲法9条の重要性は、軍隊の規定が存在しないこと、つまり軍隊の規定が空集合であるという「繰り返し」によって強調されていることを説明しました。それを《憲法では繰り返しで「強調」》という括りでまとめておきました。念のため、前回の記事のURLを掲げておきます。

http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/shinkokoro/2020/02/post-475346.html

今回は99条に注目します。憲法内にこれと同趣旨の条文があることには多くの皆さんがお気付きになっているはずです。それは、98条です。2項は条約遵守の規定ですので、1項だけ引用します。

第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

ここには「詔勅」が入っていますが、そもそも、憲法の規定では実際に効力を持つ詔勅は、国政についての権能を持たない天皇が出すことはできないのですから、これは、昔出された詔勅を差しています。

さて、公務員の仕事とは、法律や政令等を作ること、それらに従って国政上の仕事、そして地方公務員の場合はそれぞれの地域の仕事をすることですから、ここで述べられているのは公務員が与えられた仕事をする場合には、最高法規である憲法に従った法律、命令、その他を作り行わなくては無効になる、と言っているのですから、それは、つまり、憲法を遵守しなさいということです。「全部または一部」という限定がちょっと引っ掛かりますが、現実的に考えると、仮に憲法に違反している法律があったとして、その全てが無効になるのではなく、憲法違反をしている部分だけが無効になるのだ、と理解しておきましょう。

「憲法遵守義務」の重要性を繰り返して強調しているのは、98条だけではありません。もう一条、重要性を繰り返している条文があります。15条の2項です。

  第15条 

        2  すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

ここでも「全体」と「一部」という対概念が使われています。ただし、98条では、法律や命令等の具体的な存在の「全体」か「一部」という意味ですから、「全体」には具体性がありました。しかし、15条の「全体の奉仕者」の場合はどうでしょうか。国政の場合には、国民全体の奉仕者という意味でなくてはなりません。税金を使って、自分の後援会やお友だち、そしてこれらの人が後で自慢できるようなセティングとして、一緒に写真に写ってインスタ映えのする芸能人を招待する「桜を見る会」は、この「一部」の極端な例ですが、これは明白に憲法違反です。

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それと対概念の「全体」は、市長という仕事からは良く理解できます。議員とは違って、市長は一人しかいませんし、一つの都市の代表です。それは「全ての」市民の代表ということでもあります。特に広島や長崎のように、「平和宣言」という世界に注目される発信をする場合には、特にこの点が重要です。それを表現するのに、「市民の総意」という言葉を使うことが相応しいと思いますが、「全体の奉仕者」とは、その市民の「総意」に応える形で、奉仕者の側から見た奉仕の対象としての市民「全体」だと言っても良いのではないでしょうか。

となると、「市民の総意」を発する主体が「全体」だという意味になります。国のレベルでは「主体は」「国民の総意」を発する主体ですから、「国民の全体」あるいは「国民の総体」と表現したらよいのではないかと思います。

『数学書として憲法を読む』の解釈では、憲法とは、この「国民の総意」に基づいて作られていますし、その「総意」の表現としては憲法以外の物は存在しませんので、それに対する「奉仕」とは、当然、憲法に対する「奉仕」です。憲法に反することは「奉仕」とは言えませんので、ここでも憲法の遵守義務が、少し形は違っていますが、強調されていると読むべきなのではないでしょうか。

[2020/2/21 イライザ]

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