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2019年11月 7日 (木)

終戰記録―議會への報告書並びに重要公文書輯

横川のフレスタ前で「第13回カジル横川古本市」が今月10日まで開催されています。いつも何か掘り出し物はないかとのぞくことにしています。今回も、先日横川駅を利用する機会がありましので、ちょっと寄り道をして、並べられた本を見たまわりました。

毎回一冊ぐらいは、掘り出し物を見つけることができますが、今回も本当に珍しい本(私のとって)を見つけることができました。本の名前は「終戰記録」、副題は「議會への報告書並びに重要公文書輯」となっています。発行者は「朝日新聞社編」です。古い漢字が使われていますので戦後すぐの発行物だと思い、奥付を見ると「昭和二十年十一月十日印刷 昭和二十年十一月十五日」となっています。「定価」は「二圓」です。ちなみに今回の私の購入価格は消費税込みで1,100円でした。

「議會への報告書並びに重要公文書輯」という副題に興味をそそられ、手に取り中身を見てみました。目次に「帝國議会に對する終戰経緯報告書」と書かれ、その後には外務省から始まって内務省、厚生省などなど各省からの報告が続いています。もちろん、陸軍省も海軍省もあります。いずれも旧漢字が使用されていますが、ここからは現在使用されている漢字に変えて記載します。

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内務省の報告は全体が「大東亜戦争開始以来一般空襲被害の概況」で、その後に各項目が続きます。最初に「死傷者及び建築物の被害」の報告があり、数項目後に「新型爆弾に依る被害状況」とあります。「新型爆弾に依る被害状況」が記載されたページには、広島の被害状況が次のように書かれています。「廣島市 死者 約七万名 負傷者 約十三万名 家屋 全焼全壊 約六万二千戸 家屋半焼半壊 約一万個 罹災者 約十万人(死傷者を含まず)」 もちろんその後に長崎市も同様の記載があります。このブログでも「原爆被害」について何度か触れてきましたので、この内務省報告を興味深く読みました。死者約七万人となっています。こんな報告があったのです。

大事なことはこの報告がいつの時点に作成されたのかです。この本の最後の方に「帝國議会における東久邇首相宮殿下の御演説」という項目がありましたので、そこを読むと、その冒頭部分に「ここに第八十八回帝国議会に臨み、諸君に相見え、今次終戦に至る経緯の概要を述べ、現下困難に処する・・・」とありますので、本の副題の「議会への報告書」とある「議会」が第八十八回帝国議会だということが分かります。では「第八十八回帝国議会」は、いつ開かれたのかです。調べるとこの議会は、臨時国会として1945年(昭和20年)9月4日から9月5日までの二日間開会されていることが分かります。

そうなると、報告書はそれ以前にまとめられたことになります。開会日である9月4日は原爆投下から一カ月もたっていません。終戦の日といわれる8月15日からだと20日もたっていないにもかかわらず、これだけの数字がまとめられていることにちょっとびっくりします。

この資料を見ながら考えることは、もし政府が本気で原爆被害実態を調査し続けておれば、もっと正確に原爆被害の実相を今に残すことができたのではないかということです。

「一般空襲被害の概要」の項では、「目下調査中に属する府県もあるも」としながらも「死者241,309名」と一ケタの数字まで明記して報告しています。府県別の数字も非常に具体的です。政府がやろうと思えば、実態に近い被害状況を明らかにすることがこれでわかります。この報告書が出された時には、一般市民の被害もきちんと調べようという視点があったということが想像できます。

この本には、まだ興味深いことがたくさん記載されていますので、次の機会にでいれば紹介したいと思います。

いのちとうとし

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