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2019年10月13日 (日)

原爆被害を改めて考える(3)―原爆被爆者動態調査

一日遅れになりましたが、「原爆被害を改めて考える」のつづきです。

念ずれば通じるということでしょうか、たまたま見つけた新聞の古い切りぬきの見出しに、びっくりする数字を見つけたのです。2013年3月24日付の中国新聞も1面です。「広島被爆者55万7478人」とあります。記事は、広島市が実施した第7期原爆被爆動態調査結果を紹介するものです。「えっ、ここまで具体的な人数が、わかっているの」という数字です。その調査報告の実物を見たいと思い、再び広島市役所の担当課を訪れました。その資料は、広島市が2013年(平成25年)3月に「原爆被爆者動態調査事業報告書」(A4判120ページ 以下「報告書」という)として発行したものです。「少しなら残部がある」ということなので、無理にお願いし、1部入手することができました。早速「報告書」を見てみました。「原爆被爆者動態調査事業の目的」は、「各種調査結果の統合を図り、これまで推計の域を出なかった被爆死亡者一人ひとりの氏名を積み上げ、原爆投下から現在までの被爆の状況を具体的、体系的に明らかにする」(太字は、いのちとうとし)となっています。私がかねてから考えていたことです。

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この調査は、昭和44年(1969年)から始まり、今回は、国の補助を得て、第7期原爆被爆者動態調査事業として、平成11年度(1999年度)から平成24年度(2012年度)までの間に実施されたものです。過去に6回の調査は、すべて2~3年の期間で実施されていたのに対し、この第7期は、広島大学原爆放射線医科学研究所(以下「原医研」)を中心に14年という時間をかけて進められています。中国新聞の記事では、「調査に関わった原医研の大滝慈教授(統計学)は『何らかの資料が残っている被爆者については、出来る限り調べた』と説明する。」とし、それに加えて「『新たな情報が入らない限り、これ以上、被爆者数の実態に迫るのは難しいのではないか』と見ている」としていますので、現在調べ得る最も正確な報告といえると思います。

 「報告書」を見ると、私が考えていた「被爆者健康手帳交付申請書」も資料として使われたようですが、特に力を入れたのは、「現行データの重複整理」だったようです。その結果「直接被爆者38万4743人」が明らかとなったのです。まさに被爆者一人ひとりの氏名が積みあがった数字です。貴重な数字です。驚くのは、よく言われている「35万人」よりもずいぶん多い人数になっています。「この数字を何故使わないのですか」と広島市に問うたところ返ってきた答えはこうです。「まだ重複者がいると思われます。被爆地域として安芸郡戸坂村や中山村、府中町、安佐郡祇園町なども含まれているためです」。ところが、「報告書」の次のページで示された「被爆地域別被爆者数」というでは、「隣接町村 13,269人」となっています。仮にすべて被爆地域外としてそのすべてを差し引いても「37万1474人」になります。これでも「35万」を大きく上回っています。さらにこの「報告書」には、もう一つ重要数字が示されています。「『昭和20年(1945年)死亡者』(直接被爆者)に関しては、今回の調査では、88,049人であり、上記の推定値(いのちとうとし注 「国連への要請書」に記された14万人±1万人)と比べ30%以上少なくなっていた。」と確認された死亡者数を明示しています。「報告書」の「直接被爆者38万4743人」は、当然のことですが、8,049人を含んだ人数です。推定数とはいえ「国連への要請書」では「死亡者数は14万人±1万人」としているのですから、この推定するを変えない限り、今回の調査で確認できなかった5万2千人を直接被爆者に加えることになり、直接被爆者数はさらに拡大することになります。

中国新聞の記事では、この調査に携わった原医研の大谷敬子助教が、特に死亡者について「書類がある人は網羅できたが、記録のない人も多い」と指摘したことを紹介しながら、さらに「一家全滅の事例、被爆後に広島を離れた外国人や軍人が多数もれている可能性を指摘」としています。

指摘されるようにまだまだ不確実な様子はありますが、日頃言われている「直接被爆者約35万人、死亡者14万人±1万人」という推定数は、修正されるべきではないでしょうか。しかし残念なことに、この貴重な「原爆被爆者動態調査事業報告」に基づいて被爆実態を伝える数字が変えられたという話を聞いたことがありません。私には、とても不思議なことです。

いのちとうとし

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