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2019年6月 1日 (土)

子どもの権利条例があったら (3) ――条例で子どもの権利を守ろう――

野田市の少女虐待死事件のような悲惨な出来事を繰り返させないために何ができるのかを、憲法・子どもの権利条約・子どもの権利条例といった視点から3回に分けて考えていますが、その3回目です。前回までは、憲法が子どもも守っていること、国際的には子どもの権利条約があり、世界規模で子どもたちを守る動きが定着していることを強調しました。特に国連の取り組みは大切なのですが、その国連による評価では、日本はまだまだ問題を抱えています。その点も含めて改善する上での鍵を握るのが自治体です。つまり都市です。

 《国連の子どもの権利委員会による警告》

条約締約国は5年毎に報告書を提出し、国連の子ども委員会がその報告についての評価を公表します。2010年の日本の報告に対する評価では、次のような指摘がありました。多岐にわたるのですが、スペースの関係で、家庭でも学校でも子どもに対する虐待の口実に使われる「体罰」についての見解だけを引用します。

体罰

 47. 学校における体罰が明示的に禁止されていることに留意するが,委員会は,体罰の禁止が効果的に履行されていないとの報告に懸念を表明する。委員会は,全ての体罰を禁止することを差し控えた1981年の東京高等裁判所によるあいまいな判決に懸念をもって留意する。さらに,委員会は,家庭及びその代替的監護環境において,体罰が法律上明示的に禁止されておらず,特に民法及び児童虐待防止法が,適切なしつけの行使を許容し,体罰への許容性について不明確であることを懸念する。

  1. 委員会は,締約国に対し以下を強く勧告する;

    (a) 家庭及びその代替的監護環境を含む全ての環境における,体罰及び児童の品位を下げるあらゆる形態の扱いを法律により明示的に禁止すること,

    (b) 全ての環境において,体罰の禁止を効果的に行うこと,

    (c) 家族,教師,児童とともに又は児童のために働くその他の職業的従事者に対し,代替の非暴力的形態によるしつけについての教育を行うための,キャンペーンを含む広報プログラムを実施すること。

 

  2010年の時点でこれだけ明確に、日本社会における「体罰」のあり方についての問題提起がなされているにもかかわらず、それを受けて2016年には児童福祉法の質的大改正(福祉の「対象」から「権利の主体」へという転換)が行われたにもかかわらず、結果として今回のような事件が発生してしまったことについて、日本国政府として真剣に反省すべきだと思うのですが、国レベルでの今回の事件に対する「反省」が無きに等しいことが、実はもう一つの大きな問題です。「仏作って魂入れず」の状態なのですが、それは何故なのか、子どもの権利条例を巡る日本社会の現況を見ることがヒントになります。

Photo_118

  救いになるのは、子どもの権利を守るための効果的な施策が全国の自治体で展開されているということです。「子どもの権利条例」を制定することで、子どもたちに一番近い市や町、村が頑張っているのです。その先進的な試みをしている川崎市の子どもの権利条例 (2000年12月制定) では、次のような条文が輝いています。例えば、虐待があった場合の対応についての条文です。

(虐待からの救済及びその回復)

第20条 市は,虐待を受けた子どもに対する迅速かつ適切な救済及びその回復に努めるものとする。

2 前項の救済及びその回復に当たっては,二次的被害が生じないようその子どもの心身の状況に特に配慮しなければならない。

3 市は,虐待の早期発見及び虐待を受けた子どもの迅速かつ適切な救済及びその回復のため,関係団体等との連携を図り,その支援に努めるものとする。

 

  しかも、この条文の解説部分には、次のような一節もあるのです。

      緊急時のシェルター的な機能や第1項で述べたような迅速性を確保するためには,児童相談所のような公的機関だけでは物理的・時間的に制約があります。この分野ではとりわけ関係団体等と市との相互の連携が必要となっています。このため第3項では,救済にあたっての市と関係団体等との連携とその支援につき規定しています。

      関係団体等としては,民間のシェルターや弁護士会,医師,駆け込み寺的な個人宅等を想定しています。

     なお,本市では,平成12年6月1日より,家庭や地域における児童虐待に関する相談を夜間や休日にも受けることができるようにし,緊急対応が必要と思われる場合には,児童相談所と連携し,緊急保護等の対応も可能な川崎市児童虐待防止センター事業をスタートさせています。

 

  川崎市のような条例が野田市にも制定されていたら、今回のような事件は起こらなかったであろうと言い切れるほど単純な状況ではありませんが、それでも社会全体としての取り組みが、虐待を受けている子どもの救済に役立つことは勿論、一人一人の父や母にも何らかの影響を与えるであろうことを視野に入れれば、自治体レベルでの取り組みの大切さについて、お分り頂けるのではないかと思います。

  残念なことに、全国で1700以上ある自治体で、子どもの権利条例を制定しているのは50に満たない自治体なのです。仏に魂が入っていないことの証拠です。その理由の一つは、社会全体の無関心という背景がある中で、子どもの権利条例制定に反対する大きな政治的な動きがあることです。これまではそれに対抗することが出来なかった日本社会が未来のために一大決意をして、子どもたちの命を守るために力を結集しなくてはならないのです。

  これは、市長在任中に子どもの権利条例を制定できなかった私自身の大いなる悔恨と反省の気持の表明でもあります。

[2019/6/1 イライザ]

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