呂歓喜先生への手紙
呂歓喜先生
ご無沙汰しております。お変わりなく、お元気でお過ごしのことと存じます。私は他国の日本に住んでいます。もちろん結婚をして子どももいます。家族団らんな生活を送れていることは,先生の教えのおかげです。感謝しています。
私は,日本の広島に住んでいます。考えてみれば日本の生活も17年目を迎えます。17年前の2002年は、毎日の生活がドキドキ、ワクワクの連続でした。なぜなら慣習や文化が違い、それを学ぶ楽しさがあったからです。でも,時が過ぎると、すごく違和感を感じ始めました。その理由は、皇族を「陛下」「殿下」と呼んでいたからです。
私の記憶では,高校2年生の古文の時間だったと思います。もう37年前のことですね。先生から「皆さん!『閣下』の意味を知っていますか?」と聞かれました。その時は、一日も欠かさずテレビのニュースや新聞で、「全〇〇大統領閣下」を見聞きする時代でした。また、歴史ドラマには「殿下」はよく出ていましたね。
その授業で先生から「民主主義と呼称」について教えていただいたことは、今の私の宝になっています。先生は、
「陛下の『陛』は『天子の宮殿の階段』で、殿下の『殿』は貴人を敬って言う代名詞であり、その人が居る建物を意味することもある。例えば景福宮の勤政殿・康寧殿・交泰殿は、王の執務室であり、王と王妃が生活する建物であり、閣下は、殿下より一段下の人、または、その人が居る建物を意味する。すなわち『陛下』『殿下』『閣下』は、人の上下を表す言葉であり、民主主義とは正反対の意味になる。しかし今、テレビや新聞が『全〇〇大統領閣下』と呼び、書いているのは民主主義国家ではあり得ないんだ!このことを皆に知ってほしい」と言われました。
その後、国民が直接大統領を選出することになり、それで就任した盧大統領時代から公式的に「閣下」という呼称がなくなったことを覚えています。もちろん、完全になくなるまでには大統領が二人も交代しました。
日本は君主制で戦前の天皇家が今も続いています。5月には新しい天皇が誕生します。「陛下」「殿下」が「人の上に人あり、人の下に人あり」を意味する差別語であることを日本の新聞やテレビも知ってほしいなと思う今日この頃です。
韓国にいつ帰るかはわかりませんが、先生との再会を強く望んでいます。お元気で過ごされることを心からお祈りします。
広島より(李 昇勲)
[お願い]
この文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 山口県議会議員佐々木明美さん、最後の一般質問 | トップページ | 宮島戦跡紀行 »
「学問・資格」カテゴリの記事
- 「2021年度ヒロシマ平和カレンダー」完成に寄せて(2021.01.04)
- 新型コロナ対策への不信感 ――まず東京都は、「実態」に即した「重症者」数を発表すべき―― (2020.12.11)
- 子どもたちにこそワークルールを学ぶ機会を!(2020.11.26)
- 憲法を、文字通り、素直に読んでみませんか ――『数学書として憲法を読む』で伝えたかったこと―― (2020.11.01)
- 「今でしょ!」・その2 ――「SUGA」政権は「本気」―― (2020.10.21)
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 大田洋子文学碑の保管場所(2021.02.02)
- 2021年元日の平和公園(2021.01.02)
- 藤登弘朗さんの水彩画「被服支廠」(2020.12.24)
- 原水禁国民会議の被爆75周年記念事業「高校生『平和』の作文コンクール」の最優秀賞作品「本気なのか~『黒い雨』控訴を思う~」(2020.12.20)
- 「広島大学旧理学部1号館~未来へ受け継ぐ記憶~」展(2020.11.03)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 「県民を舐めるな! 有権者を馬鹿にするな!」 ――怒りを発信することも私たちの義務です―― (2021.02.26)
- 島根原発が立地する松江市の市議会議員選挙(2021.02.25)
- 「軍都と被爆の証人 広島城」散策(2021.02.24)
- 三原地区・府中地区の「19の日行動」(2021.02.22)
- 世界における広島の役割 ――広島市の平和推進条例は世界の期待に応える義務があります―― (2021.02.21)
最近のコメント