自動車運転の安全性を高めるために (5) ――自動運転が普及するまで――
前回は、急発進防止装置の「ペダルの見張り番」を国内の全車に取り付けるべきだという問題提起をしました。費用は、何の役にも立たない、ということは人の命を助ける上でも役に立っていないということなのですが、オスプレイとイージスアショアを止めてそれを充てればお釣りの来ることを説明しました。
でも、それで十分かと言われると、そうではありません。人命を守る上で効果のあるのは、「自動ブレーキ」です。ペダルの踏み違いによる事故だけが事故なのではないのですから、その他の事故でも、自動車のフロントの部分が、人間や他の車に近付いたことをセンサーが察知すれば、自動的に防レーキが掛るような装置は必要不可欠です。
費用面では、現在でも、自動ブレーキを搭載したモデルとそうでないモデルとの価格差は5万円くらいらしいので、個人的に自動ブレーキを採用することも可能です。しかし、全車に搭載した方が効果的ですので、その線で考えましょう。日本全国で一年間の新規登録される自動車数は約500万です。現在の価格、一台5万は、大量生産や技術革新等で、2万円くらいに下げるのは難しくないでしょう。となると、全部で1,000億円です。
そこですぐ頭に浮ぶのが、「思いやり予算」です。アメリカ軍が日本に居続けるために、そしてアメリカ国内より豊かな生活をし、基地でアメリカ軍のために働く労務者の費用も、私たちの税金で払うということになってしまっているのですが、「思いやり予算」というニックネームが付いているくらいですから、どうしても必要な支出ではなく、相手を「思いやる」ための予算です。
この「思いやり予算」が一年約2,000億円ですので、その半分で多くの日本人の命が、交通事故から守られます。それ以前の問題として、これまで、技術的には可能ではあっても、ヨーロッパに売る車には搭載しても日本国内の車には搭載して来なかった自動車メーカーが、罪滅ぼしのために、内部留保の一部、それもほんの一部を使って、日本人の命を守るための「社会的責任」を果しても罰は当りません。
これを10年続けると、国内で走っている車のほとんどには自動ブレーキが搭載されることになります。それまでには自動運転車も普及してくるはずですので、それと合わせると、これから10年経つと、国内での自動車事故は激減するでしょう。
自動運転車の装備の一部になるであろう、その他の機能の一つは、赤信号で車が自動的に停車することです。人間は赤信号を見ても交差点に突っ込みます。でも赤信号をセンサーが感知したら自動的に車を止めることは技術的には簡単です。
そして、自動運転車の普及のための中間的な措置として、高齢者の住む割合が多い団地で、自動運転バスサービスを5年から10年の間、提供すべきです。アイデアは簡単です。バスが団地内を一巡するコースを決めて自動運転車を走らせ、公共交通機関の駅まで輸送するのですが、鍵は固定ルートに限った、しかも時刻表に従ったサービスだという点です。これを実現するのはそれほど難しいことではありません。
実現可能なのは、団地から駅までのバスサービスが次々と廃止された理由にあります。それは、運転手さんの人件費が賄えなくなったからです。自動運転バスは、人件費の問題がありませんので、つまり、「無人」のサービスになれば、そのコスト上の問題がクリア―されますので、高齢者に取っては素晴らしい環境が出現します。
「高齢者の免許返納」キャンペーンよりはこちらのキャンペーンの方が、希望に満ちていると思いますし、こんなサービスがあれば、自分で自動車を運転しなくても済むことになりますので、それこそ「自動的」に免許返納をする高齢者が増えるというボーナスも期待できそうです。
[2019/6/26 イライザ]
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歳を取ると、
今話している目の前の人の名前が、思い出せないことがあります。
試験勉強して、効果があるというのも若いうちだけでしょうか。
もっとも私の娘は中学生の頃、昨晩勉強した漢字を翌朝のテストでできませんでした。
我が家は皆生まれた時から認知症のようです。
投稿: ニンチショウ | 2019年6月 6日 (木) 10時02分
「ニンチショウ」様
コメント有り難う御座いました。
物忘れに大きな影響のあるのは、睡眠の長さと質らしいです。それについても、最近読みましたので、その中でも面白かったことを近い内にアップします。役立つ情報が含まれている可能性もありますので。
投稿: イライザ | 2019年6月 6日 (木) 16時10分
老人介護の現場では、交通事故を上回る転倒死亡事故が問題になっていますが、日本では、他の先進国では禁止されている高齢者への睡眠導入剤が簡単に処方されていることも大きな問題です。先日も知人高齢者が比較的安全だと言われているマイスリーを飲んだ直後に転倒し、救急車で運ばれるという事故がありました。
睡眠薬は睡眠の質を著しく劣化させますが、私の場合、その睡眠薬すら効かないほどの酷い睡眠障害なので、医師からも「記憶については諦めてください」と言われています。
投稿: 工場長 | 2019年6月 7日 (金) 09時51分
「工場長」様
コメント有り難う御座いました。
「睡眠薬すら効かないほどの酷い睡眠障害」とは、大変ですね。マシュー・ウォーカーの『睡眠こそ最強の解決策である』には、「健やかな眠りのための12のアドバイス」が載っていますが、それは既に試された上でのことですよね。
そんな状態であるにもかかわらず、工場長さんの書かれるブログの記事は、それなりに睡眠の取れている私のものなどより、はるかに洞察力に富み、知識のレベルも深いですし、幅も広いのですから、ある意味で「天才的」な人格の一部としての睡眠障害といった位置付けになるのでしょうか。
投稿: イライザ | 2019年6月 7日 (金) 12時17分