脱原発

2017年8月12日 (土)

私たちの生きる意味 ――広島を問い、憲法を問うことと同じです――

私たちの生きる意味

――広島を問い、憲法を問うことと同じです――

 

86日夜、「広島を語る会」に集まった8人で共有できたことの一つは、奇しくも、722日に開かれた講演会で、講師の石川健治教授の問い掛けと同じでした。それは、「私たちの生きる意味とは何か」です。石川教授の言葉を要約すると、「物語として憲法がその意味を伝えてくれている」と要約できるように思います。

 

             

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Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?

(我々はどこから来たのか?我々は何なのか?我々はどこに行くのか?)

ポール・ゴーギャン作

[By Paul Gauguin - Museum of Fine Arts Boston, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36264337]

 

フォトジャーナリストと御紹介しましたが、「核ジャーナリスト」としても知られているT氏からの問題提起も石川教授と軌を一にしていました。T氏は、被爆・被曝を合わせて「被ばく」と書いていますので、ここでもそれに倣います。広島・長崎の被ばく者、福島やチェルノブイリ等の原発事故での被ばく者、原発労働者、原水爆実験の被害者、その中には、南太平洋諸島で被ばくした人たちもいれば、「アトミック・ソールジャー」として、アメリカ本土での核実験で被ばくした兵士たち、また、核実験の風下に住んでいたために被ばくした「ダウン・ウインダー」たちもいます。さらにウラン鉱の採掘に駆り出されて被ばくした先住民たち等々、核被害を受けた人々は世界のいたるところに住んでいますし、被害の受け方も多種多様です。

 

2015年に明治学院大学で開かれた講演会T氏は、被ばくを4層に分けてその本質を説明しています。


 Nuclear Colonialization (核の植民地化)――政治的・経済的支配という面から被害を理解する。

 Nuclear Racism (核による人種差別)――ウランの採掘・精錬の75パーセントは先住民の住む土地で行われ、主要核保有国の核実験は全て先住民の住む土地で行われた。

 Nuclear Refugee (被ばく難民)――被ばくさせられた上に、難民として自分たちの住む土地から追い出されている。

 Nuclear Violation (被ばく被害は人権、生存権の侵害)――被ばく者を生むこと自体が人権侵害であり、その対応も人権という視点から考えるべきだ。

被害の受け方も、受けた場所や日時も違い、それぞれが置かれていた「被ばく」当時の状況も戦争中だったり、あるいは核実験のモルモットとしてだったりという差もある。労働者として、あるいは平穏な日常に起きた事故等、こうした背景の違いをも視野に入れると、被害者としての、そして運動としての連帯を育む上で、結局は「私たちの生きる意味」を問うという一番基本的な立場に立つことが、鍵になるのではないか。

 

最後に、ジャーナリストのI氏による、86日の広島レポートが、「リベラル21」というブログに掲載されています。優れたレポートですので一読をお勧めします。

 

 

 

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2017年8月 9日 (水)

被爆72周年原水爆禁止世界大会国際会議 ――フロアからの発言も凄かった――

被爆72周年原水爆禁止世界大会国際会議

――フロアからの発言も凄かった――

 

国際会議の報告を続けますが、今回はフロアからの発言を取り上げます。

 

 脱原発について、野党の姿勢がしっかりしていないが、その理由の一つは連合の方針にあると思う。しかし、労働組合の中での議論が私たちには伝わってこない。説明して貰えるだろうか。

 (A) これに対しては、藤本事務局長から丁寧な説明がありましたし、イさんからは労働組合が中心になって闘っていること、また日本からの情報や激励が力になっていること、労働者数では原発関連の仕事より再生エネルギー関連の方が多くの人を雇うまでになったことも報告されました。詳細は割愛します。

 

 

 選挙で勝つためには、原発を争点にすることが効果的だと思うが、台湾や韓国では、どのようにして争点化に成功したのか。

 

(A) シューさんとイさんからは、簡潔な歴史的説明がありました。両国の歴史や現在についての知識が私にはあまりないため、正確にお伝えするだけの理解には至っていませんので、割愛します。

 

 大阪府立大学名誉教授の方から、いくつかのコメントがありました。私の知らないことも含まれていましたので、とても勉強になりました。会場にいた方で、この名誉教授のお名前を御存知の方がいらっしゃいましたら、教えて頂けますでしょうか。

 

東電に21兆円もの負債があることは良く知られているが、最終的には電気代に上乗せして払う以外の道はない。(筆者注税金を投入するという理不尽な選択肢はないという前提での話だと理解しました)

 

しかも、それをさらに悪くする状況がある。東電には、送電用の鉄塔が24.8万基ある。これまでの計画では、老朽化した鉄塔を毎年1000基ずつ建て替えて行くことになっていた。しかし、これでは248年も掛るので、最近1年あたり5000基建て替えることにした。となると、コストは5倍になる。その上、廃炉費までということになると東電の破産は既成の事実だ。問題はこれを税金から出すことにするのかどうかだ。(筆者注送電用の鉄塔のことは初耳でした。コストがいくらになるのかは聞き逃しましたので、何方か教えて下さい。)

 

             

Photo

               

東電のホームページから

 

 

「トイレのないマンション」であることも、具体的に明らかになってきている。原発を再稼働すると、当然使用済みの核燃料をどこに保管するのかが問題になる。最終処分場がないのだから、それぞれの原発の貯蔵プールに保管することになるが、それも4,5年で一杯になる。その時点で原発は運転できなくなる。

 

 最後にこのような発言を踏まえて、新潟の有田さんから柏崎・刈羽の現状と新潟の政治状況についての力強い報告がありました。

 

その後、たまたま目にした『産経デジタル』には、「トイレのないマンション」についての事実に即した報告がありました。推進派も認めざるを得ない状況だということなのです。

 

 

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コメント

核弾頭が減り、核実験はほぼゼロになったということ、
そしてそれがヒバクシヤそして市民の活動の世論によるということは大変素晴らしいことですが、
核実験が減ったというのは、コンピューターシミュレーションにより、改めて爆発させずとも充分な成果が得られるようになったということも大きいようですね。
英国はそのためのシミュレーターを購入したとのことですし、
http://businessnewsline.com/news/201707071753110000.html
中国は、日本は核実験なしでも、そうしたシミュレーションによりすぐにでも核開発ができ、米ロに次ぐ世界3位の核保有国になれる能力があると警戒しているそうです。
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20150812/1439363542
北朝鮮が核爆発実験を繰り返しているなんてことは、それだけ核に関する技術が遅れているという証明だともいえそうですね。
弱い犬がキャンキャン吠えるのと同じかもしれません。
そんなに目くじらたてるほどのことではないと思いますが、
でも噛まれたら痛いでしょうから、嫌ですね。

「シミュレーション」様

コメント有り難う御座いました。鶏と卵論争になるかもしれませんが、そもそも、実際には核実験をしないでシミュレーションで済まそうと考えた動機が、世論の批判をかわしたいからだった、という可能性もあるのかもしれません。

そして、地下核実験でもかなりのコストも掛りますので、コスト削減という全く別の理由もあるのかもしれません。

しかも、最近では、本当の地下実験なのか、シミュレーションなのかの区別が付かないようなシミュレーションもあるようですので、事はますます複雑です。

2017年8月 7日 (月)

被爆72周年原水爆禁止世界大会  ――事務局長によるまとめ――

被爆72周年原水爆禁止世界大会

――事務局長によるまとめ――

 

被爆72周年原水爆禁止世界大会が終りました。その全体像を理解して頂くために、大会の事務局長である藤本泰成さんの「まとめ」をアップします。昨年に続いて感動的なまとめです。私は第二分科会に参加しましたが、スペースの関係だと思いますが、私の発言への言及はありません。次回手短に補足をさせて頂きたいと思います。

 

             

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写真は開会総会のものです

 

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原水爆禁止世界大会・広島大会まとめ

被爆72周年原水爆禁止世界大会実行委員会

事務局長 藤本泰成

 核禁止条約に対する日本政府の態度が問題になっています。第2分科会の湯浅一郎ピースデポ副代表は、オバマ政権の8年間を総括しながら、「核なき世界」をめざす米国では、核兵器への巨額投資が続き、核戦力の近代化が続いた、今後10年間で核の近代化に800億ドル、運搬手段の近代化に1000億ドル、全体で1800億ドル、約18兆円が支出されることになったと指摘しています。オバマ大統領がプラハ演説で述べた「この目標は、私の存命中には実現しないかもしれない」と言う言葉は、米国社会に染みついた核依存態勢を象徴し、このことを変えるのは至難の業との思いの表れでは無いでしょうか。

 

 第1分科会で発表した、米国の平和NGOピースアクションのポール・マーチン代表は、米国で様々な問題を起こしているトランプ新大統領が、守っている唯一の公約は、軍事中心主義と軍事費の増額であると述べました。貧困層対策のプログラムの予算を削減し、軍事費を大幅に増額している事実を指摘しています。トランプ政権は、核の近代化政策においても、オバマ政権の方向性を支持しています。ただし一方で、イランとの間の核開発放棄の合意と北朝鮮の金正恩政権との対話の姿勢は保ち続けるとしています。

 

 北朝鮮は、核実験を繰り返し、ICBM・大陸間弾道弾の実験に成功し、米国内の全てを射程に入れたと主張しています。米国の核兵器とは規模も違いますが、核のにらみ合いとも言える状況が続いています。北朝鮮を対象とした、米韓軍事演習は規模を拡大し、日本を含む日・米・韓の軍事同盟強化はこれまで以上に進んでいます。米艦防護や後方支援など米国との軍事同盟を強化するために、安全保障関連法が成立しました。

 

 第1分科会で、軍事評論家の前田哲男さんが、43の民放70の新聞を使い、3億円以上をかけたと言われる「弾道ミサイル落下時の行動について」という政府公報を紹介しています。「できる限り頑丈な建物や地下街などに避難する」「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭を守る」「窓から離れるか、窓の内部屋に移動する」と書かれていますが、前田さんは、原爆投下の直後に大本営の「防空総本部」が出した新型爆弾に対する「対策心得」に書かれている「待避壕はきわめて有効、頑丈なところに隠れること」「普通の軍服や防空ずきんおよび手袋でやけどから保護できる」「伏せるか 物陰に隠れる」と比較し、全く変わらないとして、政治が言う安全保障のキャンペーンが、いかにむなしく、いかに危険かと述べています。

 

 小野寺五典防衛大臣は、自民党の「弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」の座長を務め、「敵基地反撃能力」が必要として、2017330日に「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」を総理に提出しています。安部首相は、すでに日本の自衛隊の役割を「抑止力」から「対処力」へと変貌させようとして、安全保障の議論を進めています。前田さんは、高高度ミサイル防衛システム(サード)や巡航ミサイルトマホークの導入などを通じた「敵基地反撃(攻撃)能力」の確保に議論が進み、安全保障政策は「憲法解釈上の議論」のレベルではなく、実際的な「防衛上の政策論」まで進んでいると警鐘をならしています。

 

 「日本が『核の傘』依存をやめること」これが、東北アジアの冷戦構造と安全保障のジレンマを解消することにつながっていく。東北アジアの非核化の問題を、第2分科会で議論していただきました。第3分科会では、核兵器の材料であるプルトニウムを創りだす核燃料サイクルの議論がありました。原子力資料情報室の伴さんからは、「再処理は崖っぷち」との報告がありました。サイクルの一翼を担う高速増殖炉もんじゅは、廃炉になっています。計画通りの実施が困難となった今こそ、核燃料サイクル計画からの脱却を実現しなくてはなりません。そのことこそが、東北アジアの平和のために、東北アジアの非核化そして共通の安全保障の道へつながっていくのです。原水禁運動が、この間主張してきた東北アジア非核地帯構想とその実現のための、日本を、プルトニウム利用政策から脱却させるためにがんばらねばなりません。

 

 事故を起こした福島第一原発は、6年を経過してもなお、事故処理の作業が全く進んでいません。政府は、除染によって避難指示区域の解除を進め、帰還を強要するかのように、これまでの支援の打ち切りを進めています。ヒロシマ・ナガサキの被爆者がそうであったように、フクシマのヒバクシャの生活再建にも、支援の手を自ら伸ばすことはありません。これまでの原水禁運動の経験に学び、福島県民と周辺県で放射能汚染を強いられた人々の健康不安、特に子どもの健康にしっかりと向き合い、生活再建・生業再建を目途に、「被爆者援護法」に準じた法整備を、国に求めていかなくてはなりません。

 

 このような中で、「脱原発」は確実に市民社会に根付いています。市民社会の声が、原発推進に戻ることはあり得ません。第4分科会では、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長が、「世界は再生可能エネルギー時代を迎えつつある」として、再生可能エネルギーが指数・関数的に増加していることを明らかにしました。原発384GW、風力490GW、太陽光300GW、原発は漸減しているが太陽光発電は昨年1年で76GW増加していることを考えると、太陽光発電が原子力を上回るのは時間の問題です。当初、1Wあたり1万円もしていた、太陽光の発電コストは、今や1Wあたり40円となっています。地域分散型の再生可能エネルギーが、新たな地域再生の大きな力になり、日本のエネルギーを支えることを、私たちは、私たちの選択として実現しなくてはなりません。エネルギー・デモクラシーの時代を、私たち自身で切り拓かなくてはなりません。

 

 今年の国際会議は、「なぜ日本で脱原発は進まないのか」と言うテーマで、開催をしました。2025年までに脱原発を決めた「台湾」から、また、ムン・ジェイン新大統領が脱原発を志向し国民的議論に入ろうとする韓国からゲストをお招きしました。

 原水禁運動は、1955年のその発足から、核兵器問題と原発問題に、運動の両輪としてとりくんできました。様々な確執があったにせよ、私たちは、「核絶対否定」「核と人類は共存できない」ことを基本に運動を進めてきました。自民党政権は、195757日の参議院予算委員会で岸信介首相(当時)が「憲法は、核兵器保有を否定していない」と発言したり、また、201641日には、安倍政権が「必要最小限度の核兵器は合憲」の閣議決定をするなど、核兵器保有を否定しないできました。

 

 日本は、エネルギー基本計画に、使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを利用する核燃料サイクル計画を位置づけています。結果として47トンものプルトニウムを所持しています。日本は、常に瞬時に核兵器保有国に変貌できることを、再処理で担保しています。原水禁は、商業利用の名を利用した核政策としてのプルトニウム利用に反対してきました。脱原発が確定すると、結果として核燃料サイクル計画、再処理がその意味を失います。それは、日本が真の意味で核政策を転換するために、大きな意味を持ちます。核兵器禁止条約が採択された今、日本の条約批准が求められていますが、そのためには日本の核政策の転換を図らなくてはなりません。原水禁は、脱原発の視点から、日本の核政策の転換を考えようとしました。そして、フクシマを二度と繰り返さないことの、人権としての当然のとりくみとして、脱原発を考えました。

 

 パネラーのひとり、吉岡斉九州大学教授は、「日本の原発は動いていない。稼働可能な原発の内、現在稼働中は、5基、2017年中に稼働するとしている玄海原発を入れて7基である。2020年においても稼働できるのは15基から20基程度ではないか」とし、脱原発の実現に向けては、地方自治体からも、新潟の米山知事、静岡の川田知事など、再稼働を許さない動きが出てきている。今後、重要になるのは政治家の姿勢であると指摘しました。旧民主党政権が、「2030年代、原発ゼロ」の方向性を示したことも大きな動きだったとして、国会における多数派形成は、最重要課題としています。

 

 シュウ・グァンロン台湾大学教授は、台湾の脱原発が法律に規定されていることを報告されましたが、しかし、政治家を動かすには運動の力も重要であると指摘しています。イ・ユジン韓国緑の党脱核特別委員会委員長は、「これまで、韓国には原発推進の関係法律は存在するが、原発を止める方向での法律は存在していない。このことは重要な課題だ。現在野党が多数派を形成しており、野党の議員の理解を求めることも重要である」としました。

 オーストリアは、脱原発と核兵器不保持が、憲法に規定されていると聞きました。政権が変わっても重要な政策が変更されないようにすることが目的とされています。

 原水禁運動のとりくみを通じて、脱原発の方向を確固たるものにするために、私たちのとりくみの方向は明らかになっています。

 

 

 少し話を変えたいと思います。私は、北海道の本当の田舎町で育ちました。昼は蝉の声が、夜は蛙の声で眠れないことがあるほどの、自然の中で育ちました。夏は野山を走り回り、冬は雪の中を転げ回りました。

 

 北海道の冬の夜は、冷えます。深々と音もなく雪は、静かに降り積もります。子どもの頃、覚えた詩が頭に浮かびます。三好達治のたった2行の有名な詩です。

 

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

 

 詰めたい布団に入って、最初はじっと我慢しながら、ちょっとした不安の中で眠ってしまう。朝起きた後の、朝日の中の雪のキラキした輝きが、今でも目に浮かびます。

 自然の中で、泥だらけになって、雪まみれになって、育ってゆく。日本の故郷の子どもたちの姿です。

 

 福島第一原発の事故以降、フクシマの野山はどうでしょうか。フクシマの雪の中を、転げ回ることができるのでしょうか。

 

 フランスの文学賞を受賞した、福島市在住の詩人、和合亮一さんの詩をツイッター上で読ませていただきました。

 

「石の礫」と言う作品ですが、長文ですので、その中の「悲しみ」と題された部分を、抜粋させていただきながら、一部を紹介します。

 

 

  三月十一日 悲しい 揺れ 巨大な 揺れ あれから

  私の町の駅はまだ目覚めない。囲われて、閉じられて、消されている。

 

  あなたにとって、懐かしい街がありますか。私には懐かしい街があります。

  その街はなくなってしまいました。

 

  あなたは地図を見ていますか。私は地図を見ています。その地図は正しいですか。私の地図は、昔の地図です。なぜなら今は、人影がない。…。

 

  放射能が降っています。静かな夜です。

 

  ここまで私たちを痛めつける意味はあるのでしょうか。

 

  ものみな全ての事象における意味などは、それらの事後に生ずるものなのでしょう。ならば「事後」そのものの意味とは、何か。そこに意味あるものは。

 

  この震災は何を私たちに教えたいのか。教えたいものなぞ無いなら、なおさら何を信じればいいのか。

 

  放射能が降っています。静かな静かな夜です。

 

 

 私は、自然の中で、のびのびと育ってきたことが、私にとってかけがえのない素晴らしい贈り物であったように思います。

 

 放射能が降っている。静かな静かな夜です。皆さん想像してみて下さい。

 

 雪は見えます、が、放射能は見えません。雪の中を子どもたちは転げ回ります、が、放射能の中を転げ回ることはできません。雪を口にする子どもたちがいます、が、放射能を食べることはできません。

 

 私たちが、子どもたちに残し、受け継いでいくはずの自然を、放射能は奪い取っていったのです。

 

 基調提起で申し上げました、憲法には、健康で文化的な生活を営む権利、人間らしい生活を営む権利が、しっかりと決められています。フクシマは、憲法違反です。

 

 放射能が降っています。静かな静かな夜です。

 

 そんなところに、人間らしい生活があるはずはありません

 

 

 この詩は最後を、こう結んでいます。

 

 246分に止まってしまった私の時計に、時間を与えようと思う。明けない夜は無い。

 

 さあ、私たちは、明日のために何をしますか。昨日、今日の議論から、私たちは何をしますか。

私たちの生活の場から、答を出そうではありませんか。

 それは難しくありません。

 

 最後に、実行委員会の皆さん、参加いただいた講師の皆さん、海外ゲストの皆さん、そして全国からの参加者の皆さんに、心から感謝を申し上げて、まとめといたします。

 

 

 

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2017年8月 6日 (日)

被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議 ――なぜ日本で脱原発が進まないのか?――

被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議

――なぜ日本で脱原発が進まないのか?――

 

被爆72周年原水爆禁止世界大会の二日目は分科会と国際会議が開かれました。その他に、「ひろば・ワークショップ」等のイベントもありました。全てについての報告をするには時間がありませんし、スペースも限られていますので、以下、国際会議のホンのさわりだけです。

 

               

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開会挨拶は世界大会実行委員長の川野浩一さん、その後のキーノートスピーチは事務局長の藤本泰成さんでした。パネル・ディスカッションのメンバーは、壇上の写真の右から、発言順でもありますが、司会の伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)、九州大学教授の吉岡斉さん、台湾大学教授のシュウ・グァンロンさん、そして韓国の環境省中央環境政策委員のイ・ユジンさんです。上の写真でイさんのプレゼンテーションを横で同時通訳しているのは、キム・ポンニョさんです。

 

パネリストの発言からもそしてフロアからのコメントどちらからも、これまで知らなかった多くのことを学べましたし、テーマの「なぜ日本では脱原発が進まないのか?」という現状認識そのものについても、ちょっぴり修正が必要なのかも知れないとさえ感じるようになりました。

 

日本・台湾・韓国の大きな違いはそれぞれの国のトップの姿勢です。今年の一月には「全ての原子力発電施設は2025年までに運転を停止する」という法改正を行った台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総督、選挙公約に掲げた脱原発を大統領就任後、公的に宣言した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と比較すると、全く異質なのが、世界に原発を売り歩く安倍晋三首相です。にもかかわらず、脱原発の方向に向かっているという客観情勢を指摘してくれたのが、吉岡さんでした。

 

 再稼働される原発の数には上限がある。

まず、201255日から75日にかけての2か月間、稼働していた原発はゼロ、そして20139月から20159月までの約2年間も、原発ゼロ状態が続いた。201785日現在、運転中の原子炉は5基。今年中には玄海34号機が再稼働する見込みだが、それでも7基。

福島事故前に法的に運転可能な原子炉は54基あったが、福島第一原発の6基を含め、12基が廃止された。つまり、原子力規制委員会の審査をパスすれば運転可能な原子炉は現在42基ある。その中で、5基しか動いていない。大半は停止したままだ。

今後、再稼働する原子炉の基数は少しずつ増えると予想されるが、安全性の難点、立地自治体の反対、電力会社がコスト・リスク回避のため原子炉廃止へ動く可能性などを考えると、2020年ころに最大15基〜20基で、これがピークになるだろう。

新増設がなければ老朽化とともに減少しゼロに向って行く。

 

 行政レベルの原子力政策

民主党政権は20129月、原発の新設・増設は行わず、2030年代までに原発をゼロにするという目標を掲げた。しかし、201212月の衆議院選挙で情勢が変り、安倍内閣は原子力政策の基本を福島原発事故前に戻し、出来るだけ多くの原子炉の再稼働を目指しているが、すでに指摘したように実績は芳しくない。

 

 日本で脱原発を進める根拠――原子力は万人を不幸にしているから

以前は「多くの人を不幸にしている」と言っていたが、今は「万人」に改めたい。一部利益を得ている人々もいるが「原発さえなければ」の思いは、多くの人に共有されている。

[立地地域の住民の損害・被害についても詳しい説明がありましたが、福島のフィールドワークの報告等をお読み頂きたく、今回は省略します。フィールドワーク第一日目第二日目三日目]

都市住民も損失を被っている。過酷事故による生命・健康・財産リスクは都市住民にも及ぶが、過酷事故の後始末コストを含めたコストは火力より高く、その結果、無用の電気料金を払わされている。

電力会社は加害者だが、被害者としての面もある。東京電力は国家資金の投入がなければ存続できない会社になり、東芝は原発輸出に社運を賭けたが、子会社のウェスティングハウス社の巨額債務により存亡の危機にある。

   

 原発なしでも電力供給は問題ない

世論調査によると、国民の多数派が原発の即時または将来の脱原発を支持している。再稼働についても過半数は批判的。

脱原発世論の第一の要因は、福島の原発事故。

第二の要因は、原発の大半が停止していても電力不足に陥らない事実。それは、電力自由化前に過剰気味に発電施設が作られたことと、エネルギー消費の急速な減少による。リーマン前の電力需要のピーク時と比べると2015年には、14.4%の減少になっている。原発が電力需要の3割を賄っていたのだから、残りの約15パーセントの中、約5%は再生可能エネルギーで、残る10%は、人口減・労働力減も含む様々な省エネで圧縮できる。

 

 脱原発を進める政治体制作り

  国会の衆参両院における多数派により脱原発政権が作られ、数年以上にわたり政権を維持し、粘り強く脱原発に関連する法令体系の整備を進めることが必要。ドイツでの経験から、脱原発が政治的に決定されてから10年くらいは掛ると覚悟した方が良い。

  脱原発政権誕生前にも、また脱原発政権を作るためにも有効な手立ては多くある。

(1) 住民投票制度の活用

(2) 裁判による意思表示

(3) 国レベルでの市民の側に立つ専門家集団による政策決定権独占への挑戦

(4) 地方自治体による脱原発のための施策展開

(5) 自治体首長の活用

 

脱原発が進まない理由は政治の貧困さにある、と言ってしまうとあまりにも陳腐かつ一般的な表現でしかなくなるような気がしますが、それは、安倍政権の醜態にようやく気付いた大多数の市民が、遅かれ早かれ諦めてしまうかも知れまないという、これまで繰り返されたパターンが頭を過ぎるからかもしれません。吉岡教授が描いてくれた鳥瞰図は、流行り廃れの激しい世の中でも、希望の持てる大きな流れのあることを示してくれています。これをもっと多くの人たちに共有して貰うことで、核兵器禁止条約ができたのと同様の成果を挙げることが可能だと確信できました。

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