国連

2017年5月25日 (木)

核兵器禁止条約交渉への参加を! ――外務大臣と総理大臣の翻意を促す申し入れをしました――

 

核兵器禁止条約交渉への参加を!

――後世の「笑いもの」にならないために―

 

核兵器禁止条約交渉の後半が615日に再開されますが、その際の議論の叩き台として22日にコスタリカのホワイト議長が草案を公表しました。その中で特に、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)の苦難を心に留める」という文言が採用されていることを高く評価したいと思います。

 

できることなら、この言葉は広島出身の岸田外務大臣が、あるいは「唯一の被爆国」という言葉を良く使う安倍総理が会議に出席した上で、被爆者の立場を世界にアピール。その結果として原案にも盛り込まれた、というシナリオの結果だったら素晴らしかったのに、と残念でなりまません。

 

しかし、このお二人のうちのどちらかが後半の会議に出席し「被爆者の存命中に何とかして核兵器の廃絶を」という流れを作ることは可能です。

 

そのために24日、内閣官房と外務省で、総理大臣ならびに外務大臣あての要請書を担当官に渡してきました。これまでの努力の延長線上にあるのですが、できることなら直接お会いして要請できないかと考えました。お会いできたのは代理の方々ですが、アポ取りをしてくれたのは、広島県選出民進党の参議院議員森本真治氏で同議員の事務所にもお世話になりました。

 

まずは岸田外務大臣宛の要請書ですが、16日に開かれた広島県原水禁の常任理事会で承認された内容です。

 

再び「核兵器禁止条約交渉」への参加を強く求める

――被爆者の悲願実現のために――

 

100-8919

東京都千代田区霞が関2−2−1

外務大臣 

岸田文雄 殿

 

 

核廃絶を求め続けてきた被爆者、平和を希求する広島市民そして日本国民、さらには世界の圧倒的多数の期待を裏切り、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」に不参加を決めたことは大変残念ですが、私たち原水爆禁止広島県協議会は、常任委員会の決議を基に再度、翻意を促します。

被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。その理由については、45日の要請文中、既に触れていますが、今回はその中でも、特に被爆地広島を代表・代弁すべき貴殿の決断への期待がさらに大きくなっていることを強調しておきます。

 

 これまで核なき世界の実現を悲願として世界に訴え続けてきた多くの被爆者が既に鬼籍に入っています。そして、自分たちの生きている間に核兵器が廃絶されることを信じて今でも活動している被爆者たちも高齢化しています。一人でも多くの被爆者が、自らの目で核なき世界の実現を確かめられるよう最大限の努力をするのは、貴殿ならびに日本国政府が徒に回避してはならない義務であります。

 貴殿ならびに日本国政府はしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で誠実に行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう強く求めます。

 

繰り返します。私たち原水爆禁止広島県協議会は常任理事会の決議に基づき、貴殿が、被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、615日から再開される「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

2017524

 

原水爆禁止広島県協議会

                代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

総理大臣への要請書もほぼ同じ内容ですが、一か所、岸田外務大臣を任命した責任ならびにそれに付随して生じる連帯責任の部分が大切だと思いますので、その部分を掲げておきます。

 

また、岸田氏は、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した政治家です。彼がその決意を実行に移すのは今であることは言を俟ちません。岸田氏を外務大臣に任命したことで貴殿は、広島一区選出の岸田外務大臣の義務履行への意志を重んじる責任そして、総理大臣としての連帯責任を負っています。総理大臣としての任命責任を全うすることを強く求めます。

 

内閣官房・内閣総務官室では、調査役の檀原均氏と請願担当主査の日高優介氏が対応してくれました。口頭でも説明をしましたが一切コメントはなく、「伺った内容を起して総理にお伝えします」という言葉が返ってきました。

 

             

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左から秋葉代表委員、森本参議院議員、檀原調査役

 

 

外務省では、軍備管理軍縮課長の村上顯樹氏と事務官の古川祥久氏が対応してくれました。

 

20170524_13_55_50

左から村上課長、森本参議院議員、渡邊広島県原水禁事務局長、秋葉代表委員

 

核兵器禁止条約は国連総会で採択され、世界の圧倒的多数の国々が署名・批准し核保有国と雖も無視できなくなることは、長期的な世界の趨勢を見ると明らかです。要請書には書きませんでしたが、そうなった時に、「唯一の被爆国」である日本政府が不参加だったことは、後世の「笑いもの」になること必定です。そうならないように今、外務省・外務大臣・総理大臣が決断すべきであることを、「武士の情け」で提案しました。


担当部署ということもあり、村上課長からは一応の説明がありました。新しい内容ではありませんでしたが、紳士的かつ丁寧に対応してくれた点は評価したいと思います。

 

外務省としては核保有国も巻き込んでの会議にしたいと思っていること、そのための代替案も示していること、今回の会議には核保有国は全も、核依存国も不参加なので、良い結果にはなないと見極めて日本も不参加になったこと等です。「代替案」というのは、これまでも言い古された「漸進的」進め方で、結局、Aを達成するためにはまずBが必要、そしてそのためにはCが必要、という具合にそれぞれ高いハードルを設けて、何も進まない状態を作った上で、ため息を吐いて「難しい」と嘆く、といったシナリオです。

 

しかし、大切なのは、こんな姿勢で核兵器の廃絶に対応するのは、核不拡散条約の第六条に掲げられている「誠実な交渉義務」違反だという点です。

 

最後に村上課長が強調したのは、「我が国が目指しているのは核廃絶であって、今回の会議の核兵器の禁止ではない。禁止されただけでは廃止されないかもしれない」ということでした。

 

核廃絶のために被爆者と共に世界を駆け巡り、核保有国を説得し、市民団体との連携も深めて、核廃絶につながるあらゆる努力をし尽してきた人がこう言うのならまだ話は分ります。しかし、あらゆる場で「核兵器は国際法違反ではない」ことを主張し、国際司法裁判所での審理に当っては、広島・長崎市長の陳述ができないように働き掛け、マーシャル諸島共和国の国際司法裁判所への提訴も屁理屈で葬り去るなど、とにかく、核廃絶への努力を表から裏からそしてあらゆる角度から妨害してきた外務省が、とても正気では言えない言葉です。

 

しかし、今回の要請が岸田大臣の許まで届けられ、岸田大臣の英断によって、核兵器禁止条約の交渉に6月から参加する可能性についても諦めてはいけないと思います。被爆者の思いと市民社会の良識・そして正気を発信し続けましょう。

  

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2017年5月20日 (土)

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし ――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし

――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

2017519日、衆議院の法務委員会で自民・公明・維新は、「強行採決」によっていわゆる「共謀罪」新設法を可決しました。2015年の919日には参議院での強行採決によって「戦争法」が可決されたことを思い起すと、政府・与党は「19日」に特別の意味を持たせているのかもしれません。

 

一つの可能性ですが、彼らが多数を恃んで「強行採決」連発している事実を少しは疚しく思っているのだとしましょう。仮に強行採決の日にちが5日、12日、それに19日といった風にずれると抗議行動が毎週行われるような結果になります。それぞれ違った内容ですから、道行く人たちもさすがに、政府・与党が如何に酷いことをしているかに気付くではありませんか。

 

戦争法を廃止させるための行動を毎月19日に続けていた「戦争をさせない広島1000人委員会」は19日、「共謀罪」法案の強行採決への抗議と参議院での廃案を目指すというもう一つの目標も掲げて本通りの青山前で街頭行動を行いました。集まってくれたメンバーは60人を超えました。また、たまたま通り掛かった市民の方々の中からも、チラシを持ってアピールすることで私たちと行動を共にしてくれる新たな仲間も現れるなど、大変心強い一時間になりました。

 

               

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街頭行動の一場面

 

このところ立て続けにニュースになっている、「2020年までの改憲」「高浜原発の再稼働」「加計学園への便宜供与」等、一見無関係のように見えますが、より大きな枠組みの中に置いてみると、底辺でしっかりつながっている様子がハッキリします。この点については改めて解説させて下さい。

 

また、共謀罪についての問題点は多過ぎて手短に説明するのは困難ですので、これも回を改めて詳しく論じたいと思います。

 

今回は街頭行動に先駆けて、広島県知事そして広島市長への申し入れを行いましたので、その報告をさせて下さい。

 

国連で3月から始まった核兵器禁止条約締結のための交渉ですが、日本政府は参加していません。アメリカをはじめとする核保有国も当然、参加していないのですが、世界の市民団体の多くの支持ならびに参加を得て、志を同じくする世界の圧倒的多数の国々が進めてきた核兵器禁止条約制定の動きは大きな流れを作りつつあります。今の会議で条約案が採択されれば、国連総会では圧倒的多数の賛成票によって正式に国連の認める条約として、各国の署名そして批准を待つことになります。

 

今の段階では、このような動きを無視している核保有国ならびに、日本、韓国、オーストラリア等の「核依存国」もやがてはこの条約に参加せざるを得なくなります。しかし、「唯一の被爆国」だと世界に向けて言い続けてきた日本政府が、この条約案の審議には参加していなかった、そして後になって渋々その存在を認めることになった、というのではあまりにも情けないではありませんか。

 

しかもそれが、爆心地を選挙区としている外務大臣の任期の最中の行われることになると、後世の人たちから呆れられても仕方がありません。

 

そんな事態にならないよう、6月に再開される禁止条約締結のための交渉に日本政府も参加するよう、再度翻意を求める要請を外務大臣と総理大臣にする予定です。

 

しかし、この気持はただ単に広島県原水禁に止まるものではありません。広島市民・県民全ての願いであるはずです。知事も市長もその点は理解してくれています。それぞれ外務大臣そして総理大臣にその旨の要請をしています。

 

しかし、その効果は挙っていないのです。被爆者は高齢化していますし、被爆地を代表する政治家が外務大臣を務めるという「好機」も半世紀に一度あるかないかの出来事です。その機会を生かすためには、市長・知事に音頭を取って貰い、「全ヒロシマ」の陳情団を組織して外務大臣と総理大臣の説得に当るくらいの覚悟が必要なのではないでしょうか。

 

その趣旨を簡明に記した市長への要請書を以下に掲げます。

 

要請書

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める共同行動のお願い

 

730-0042

広島県広島市中区国泰寺町1丁目634

広島市長 

松井一實殿

 

私たちは、被爆者や平和を希求する広島市民・広島県民、さらに日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことを到底容認し難く強く抗議してきました。

それだけではなく、日本国政府には翻意を促してきています。すなわち、被爆者と世界の人々に対して、被爆国として果たすべき責任を再確認し、できるだけ早く「核兵器禁止条約交渉」に参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを日本国政府に求めてきました。

特に安倍総理大臣と岸田外務大臣がそれぞれ「被爆国」あるいは「被爆地」の代表としての責任を果すよう求めています。御参考までに両大臣への要請書を同封致します。松井市長・湯崎知事にも広島市民・広島県民の代表として総理大臣・外務大臣に対して同様の働きかけを行って頂くよう、できれば私たちの先頭に立ち、被爆者団体や平和団体等にも呼び掛けた上、「ヒロシマの声」を総理大臣ならびに外務大臣に直接届け要請する行動をオーガナイズして頂くようお願い申し上げます。

時間は迫っています。今行動しないと、被爆者の存命中の核兵器廃絶という目標に到達できないかもしれないという、瀬戸際です。

 

2017517

 

原水爆禁止広島県協議会

代表委員 秋葉 忠利   

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

Photo_2

広島市の谷本市民局長に要請書を託す

 

 

Photo_3

広島県の下崎課長に趣旨説明

 

 

 

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2017年4月 4日 (火)

総理大臣と外務大臣への抗議文 ――情理を尽して翻意を促している積りです――


総理大臣と外務大臣への抗議文

――情理を尽して翻意を促している積りです――

 

先週開かれた国連の「核兵器禁止条約締結のための交渉」に日本政府は参加しませんでした。会議の議長はコスタリカのゴメス大使が務めましたが、出席した市民社会のリーダーたちからは会議そのものが順調にスタートしたとの報告がありました。

 

               

Photo

             

 

既にこのブログに書かせて頂いたように、私自身は「堪忍袋の緒が切れた」状態だったのですが、少し冷静になって、総理大臣と外務大臣に抗議し翻意を促す書簡を書いてみました。広島県原水禁としての強い意思表示です。

 

近日中に二人に届けること、そして広島市長と広島県知事にも、もう既に行動を起しているかもしれないのですが、同様の働き掛けをして貰うよう要請したいと思っています。どんな形でも結構ですので、皆さんにも共同行動に参加して頂けると幸いです。

 

総理大臣と外務大臣では、内容が微妙に違いますので、以下、両方を掲げさせて頂きます。

 

 

(A) 安倍総理大臣への書簡

 

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める

 

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

 

本年322日付の私たちの要請にもかかわらず、また、広島をはじめとする被爆者さらには平和を希求する広島市民、日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことは到底容認し難く強く抗議します。

「過ちて則ち改めるに憚ること勿れ」と論語にあるように、被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。以下、何点か理由を述べておきます。

 

 「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」という貴殿の断定に対しては、そもそも「分断」の原因が、核不拡散条約(NPT)6条に義務付けられている「誠実な交渉義務」を核保有国が果してこなかったからであり、「分断」を解消するためには、第6条の遵守そしてその一歩である今回の交渉への参加が最も効果的であることを指摘しておきます。

 さらに「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」は「語るに落ちた」典型です。第6条の「誠実な交渉義務」を果していない核保有国は既に、「誠実に参加すること」を拒否しているのですから、これは理由になりません。自ら作った「困難」さは、交渉に参加することでしか解消されません。

 さらに日本を含む核依存国がこうした核保有国の姿勢を忖度し支持してきたことが状況を悪化させてきた責任も問われます。

 貴殿ならびに日本国政府がしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員を外務大臣に起用したことは、上記の責任を果すというさらに明確な意思表示であり、特段に重い責任を貴殿が負っていることを意味します。

 仮に禁止条約ができたとしても「北朝鮮が守らないかもしれない」とのアメリカ側の心配は、トランプ大統領が選挙期間中に行った約束通り、北朝鮮との対話を行い、その際に貴殿も同席して北朝鮮を説得するという努力をした後で考えても十分間に合うことです。「まず隗より始めよ」ですから、アメリカこそ、交渉の場に加わってお手本を示すべき立場なのではないでしょうか。

 

被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

20174月〇日

 

原水爆禁止広島県協議会

 代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

           

           

(B) 岸田外務大臣への書簡

 

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める

 

外務大臣 岸田文雄 殿

 

本年322日付の私たちの要請にもかかわらず、また、広島をはじめとする被爆者さらには平和を希求する広島市民、日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことは到底容認し難く強く抗議します。

「過ちて則ち改めるに憚ること勿れ」と論語にあるように、被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。以下、何点か理由を述べておきます。

 

 「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」という貴殿の断定に対しては、そもそも「分断」の原因が、核不拡散条約(NPT)6条に義務付けられている「誠実な交渉義務」を核保有国が果してこなかったからであり、「分断」を解消するためには、第6条の遵守そしてその一歩である今回の交渉への参加が最も効果的であることを指摘しておきます。

 さらに「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」は「語るに落ちた」典型です。第6条の「誠実な交渉義務」を果していない核保有国は既に、「誠実に参加すること」を拒否しているのですから、これは理由になりません。自ら作った「困難」さは、交渉に参加することでしか解消されません。

 さらに日本を含む核依存国がこうした核保有国の姿勢を忖度し支持してきたことが状況を悪化させてきた責任も問われます。

 貴殿ならびに日本国政府がしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう、求めます。

 仮に禁止条約ができたとしても「北朝鮮が守らないかもしれない」とのアメリカ側の心配は、トランプ大統領が選挙期間中に行った約束通り、北朝鮮との対話を行い、その際に貴殿も同席して北朝鮮を説得するという努力をした後で考えても十分間に合うことです。「まず隗より始めよ」ですから、アメリカこそ、交渉の場に加わってお手本を示すべき立場なのではないでしょうか。

 

被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

20174月〇日

 

原水爆禁止広島県協議会

代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

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2017年4月 1日 (土)

日本こそ最初に核兵器禁止条約交渉に参加せよ ――被爆者や被爆体験の「抹殺」に怒りの声を――



日本こそ最初に核兵器禁止条約交渉に参加せよ

――被爆者や被爆体験の「抹殺」に怒りの声を――

 

人間、生きて行く間には何回か「もう好い加減にしろ!」と言いたくなる時があります。かつての私は「何回か」という頻度ではなく、かなり「頻繁に」そんな発言をしていました。でも「老化現象」の一部なのかもしれませんが、段々と腹の立つことが少なくなってきていました。でも最近の政治状況を見るに付け、何とも遣り切れない思いは強くなり、核兵器禁止条約締結のための交渉に日本政府が参加しないと表明したことで、もう我慢が限界に達しました。本来なら、日本こそ最初にこのような交渉に参加すべきですし、それ以前の問題として、世界をリードしてこのような舞台を設定すべきなのです。

 

「好い加減にしろ!」という形で、怒りを直接、安倍総理大臣、岸田外務大臣、外務省等にぶつけることも大切です。圧倒的多数の市民が、電話やファクス、直接の訪問、デモや集会等で「怒り」をぶつければ、いくら総理大臣といえども無視し続けることは難しくなるはずです。だからこそ、マイケル・ムーア監督の「トランプをやっつけるための10のアクション・プラン」でも、このような行動が推奨されています。

                  

013

           

 

そして少しでも多くの人にこのような行動に参加して貰うためには、「怒り」だけではなく、「情理を尽した」説明も効果的です。日本政府の「言い訳」が出鱈目であること、そして日本が「被爆国」であることを国際社会で強調してきた為政者たちには、自分たちの言葉に責任を持つ必要のあること、さらに、外務大臣が被爆地広島選出の議員である責任を簡単にまとめておきたいと思います。

 

 「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」という、政府の言い分にに対しては、そもそも「分断」の原因が、核不拡散条約(NPT)6条に義務付けられている「誠実な交渉義務」を核保有国が果してこなかったからだと反論しておきましょう。

 NPTは、核保有国も批准した条約ですので、それを守らないのは当然、国際法違反です。(条約に参加していない国も、「一般国際法」に従う義務があります。)

 「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」という政府の断定は、「語るに落ちた」典型です。第6条の「誠実な交渉義務」違反をしている国は既に、NPTの規定を「誠実に」は守っていないという事実から出発しなくてはなりません。だから、圧倒的に多数の国々が、多数決が力を持つような場で、国際世論を反映する決定をして行こうというのが、今国連で起きていることなのです。そもそも「建設的かつ誠実に参加すること」を自分たちが拒否したのですから、日本政府が言う「困難」さを作ったのは核保有国そして核依存国です。それを変えるためには、核保有国、核依存国が交渉に参加する以外の道はありません。

 どの世代も、自分たちが作ったのではない課題を解決しなくてはならないという宿命を背負わされています。地球全体でもそうですし、国単位でも同じことが言えます。そして特に都市や地域という単位での責任は重大です。

 広島という地から選挙に出る選択をした時点で、政治家は、被爆者や被爆体験の意味を代弁するという、人類史的かつ未来志向の責任を負っています。その責任を全うすることは、広島選出の政治家全ての義務です。

 特に被爆者の訴えを一番効果的に世界に発信できる外務大臣という要職に、広島選出の議員が就いているのですから、彼の責任は他の政治家の何倍にもなっていると考えて良いと思います。

 そして、彼に実際に投票した有権者たちには、「広島という歴史的存在に本質的に付随している」責任を果せと迫ることをお願いします。「今責任を果さなければ、次回は投票しない」という発信をして下さい。

 広島県知事、広島市長、広島選出の各級議員も同様に、「広島選出」の意味をそれぞれの立場から訴えて下さい。

 「広島」という立場は、国内という枠組みでも重要ですが、世界的には、「広島」を「日本」に変えても全く同じ議論が通用します。総理大臣そして外務省には特に、「被爆国」としての責任を果す義務が、あるのです。

 

皆さんの声を総理大臣や外務大臣その他の政治家に届けて頂くために、念のため、総理大臣や官房長官、外務大臣の連絡先を掲げておきます。怒りの声、あるいは情理を尽して物事の理非曲直をきちんと伝えるメッセージ等を皆さんの言葉で送って頂ければ、政治は変ります。

 

 

安倍晋三 総理大臣(自民 衆・山口4区):

【首相官邸】

100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1

TEL: 03-3581-0101/03-5253-2111 FAX: 03-3581-3883

HP: http://www.kantei.go.jp/

(メールフォームあり。各府省にも送信可)

HP: http://www.s-abe.or.jp/

(メールフォームあり)

 

菅義偉 官房長官(自民 衆・神奈川2区):

【 横浜本部事務所 】

232-0017 横浜市南区宿町2-49

TEL. 045-743-5550 FAX. 045-743-5296

380-0935 長野県長野市中御所岡田102-28

HP: http://www.sugayoshihide.gr.jp/

(メールフォームあり)

 

岸田文雄 外務大臣(自民 衆・広島1区):

【広島事務所】

730-0013 広島市中区八丁堀6-3 和光八丁堀ビル9

TEL(082)228-2411 (代表)  FAX:(082)223-7161

【国会事務所】

100-0014 東京都千代田区永田町2-2-1 衆議院第一議員会館1222号室

TEL(03)3581-5111 (代表) 内線 51222

TEL(03)3508-7279 (直通) FAX:(03)3591-3118

HP: http://www.kishida.gr.jp/

(メールフォームあり)

 

広島県原水禁でも、抗議のメッセージ、為政者たちが責任を果すよう促す文書を関係各方面に届けたいと思っています。文案ができた段階で報告させて頂く積りです。

 

 

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2017年3月30日 (木)

核兵器禁止条約交渉開始 ――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――


核兵器禁止条約交渉開始

――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――

 

現地時間327日に、国連で核兵器禁止条約締結のための交渉が始まりました。日本は、高見沢軍縮大使が「この交渉には参加しない」という演説をしただけで、今後の交渉には参加しないことを表明しました。

            

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核兵器禁止条約交渉一日目

 

昨年10月に交渉開始の決定をした国連の第一委員会でも日本は反対をしましたが、その時以来主張は一貫しています。今回の言葉は、「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」そして「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」。

 

こうした言葉が如何に空虚で出鱈目か、さらには知性も良識もかなぐり捨てアメリカの意向を忖度し、日本も核兵器を持ちたいという妄想に操られている結果だということは何度も指摘していますが、このブログの昨年1030日の「核兵器禁止条約締結への大きな一歩!112日の「外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか」、そして同3日の「「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省」を再度お読み頂ければ幸いです。

 

こうした日本政府の「情けなさ」、「傍若無人」振り、「破廉恥」さ、等々、どう私たちの気持を表現すれば胸が晴れるのか思いあぐねている方には、ジョージ・オーウエルの『1984年』をお勧めしましたが、今回は「我慢するのももう限界だ」という皆さんとともに行動しようという決意表明ができればと思います。

 

私が「限界」を感じている理由をもう一つ挙げておきましょう。「国家」とは国際社会で、その国に属する人間の生命・財産や意向を代表し代弁する義務を負っていると考えられます。集団自衛権を認め自衛隊の海外派兵も容認しろと政府が言った時には、海外に住む日本人の生命を保護するためだという理由を上げたのですから、この点は政府も認めなくてならないはずです。

 

さて、核兵器廃絶の議論を国際的に行う際、当然被爆者の体験やそれに基づいた被爆者の意向を国際社会に伝え、その意向が実現されるため他の国家に働きかける役割は、どこかの国家が行わなくてはなりません。それはどこの国なのでしょうか。

 

国際社会では日本政府が「唯一の被爆国」だと言い続けているのですから、当然、日本でなくてはなりません。その日本政府は、核兵器を禁止しようとする国々が苦労の末に、「交渉開始」まで漕ぎ着けた核兵器禁止条約締結のための会議に参加しないと、「堂々と」述べています。

 

これは被爆者に対する「裏切り」だと表現されていますが、それだけではありません。日本という国家が被爆者の存在を重んじ彼ら彼女らの意思を国際社会で「自国民」の言葉として代弁することを拒否しているという事実は、世界中の200近い国家の中で、被爆者の生命や体験、そして哲学を、国連を含めた国際社会で代表する国、代弁する国が一国もないということに他なりません。

 

単純化すれば、被爆者の存在を無視している日本という国家は、事実上被爆者がいないも同然の扱いをしているのですから、それは、国際社会という枠組の中で被爆者を抹殺したことになります。そんな国家に対して手を束ねていても良いのでしょうか。

 

日本が始めた戦争という枠組みの中でアメリカの投下した原爆によって殺され、あるいは負傷し地獄の苦しみを受けてきた被爆者たちが、核兵器の廃絶が現実的な課題として国際社会で取り上げられている今、今度は自国という国家によって「存在しない」も同然という、過酷な運命を背負わされていることに、今こそ私たちは真っ正面から向き合うべきなのではないでしょうか。

 

どはどうすれば良いのかですが、次回は私たちも覚悟を新たにして、安倍総理大臣、岸田外務大臣、国会議員、広島県知事、広島市長等に働き掛けるときが来たことを確認したいと思います。

 

 

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2017年2月 2日 (木)

詭弁の技法・その2 ――戦争責任をどう誤魔化すか――


詭弁の技法・その2

――戦争責任をどう誤魔化すか――

 

戦後70年総理大臣談話 (以下「談話」と略す) が、詭弁の典型であることを検証しています。第二回目は、「戦争責任」について、「全ての真実」を述べないことでどう誤魔化しているのかの具体例です。

 

「談話」の中の次の一節を取り上げます。

 

あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

 

後段の「私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。」は、国籍に関係なくすべての人間が持つ責任だと言って良いでしょう。このように普遍的に正しい命題を改めて持ち出す目的として、前段との関連が重要になってきますので、前段では何を言っているのかを丁寧に読み解いてみましょう。

 

ここで使われている「あの戦争には何ら関わりのない」は、時間的経過として、戦後70年経ち、今の若い世代やこれから続く世代の人たちは、時間的にあの戦争には全く関わりのない存在だ、という意味だと取るのが自然です。だとすれば、それは正しい記述です。

 

しかし、この「談話」で問題にしているのは戦争についての直接体験があるかどうかではなく、「戦争責任」です。となると、「あの戦争には何ら関わり」があるかないかを問うのではなく、ここで問題にすべきなのは「あの戦争の責任」が誰にあるのかです。そうであれば、責任の主体として「子や孫」に言及する以前に、戦争を起こした当時の日本政府や軍隊を視野に入れなくてはなりません。それは、「責任」を問う上では因果関係がなくてはならないからです。原因を作る立場になかった「子や孫」の責任を持ち出してくるのは、お門違いですし、何らかの意図があると考えなくてはなりません。さらに、仮に未来の時点での戦争責任の取り方について言及したいなら、未来の日本政府が謝り続けるのかどうかが問題になるはずです。

 

そして未来の日本政府を考える上で、現在の日本政府は「関係ない」どころか、大いに関係があるのです。二つの理由を挙げておきましょう。

 

一つは、「行政の継続性」です。新しいことをしたくない、あるいは改革に抵抗する際に官僚が好んで使う言葉です。例えば、20151013日に、沖縄県の翁長雄志知事が、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古移設で、公有水面埋立法に基づく辺野古の埋め立て承認に瑕疵(欠陥)があったとして承認を取り消す手続きを行ったことに対して、菅官房長官は記者会見で「行政の継続性からこのようなことは認められない」という趣旨の発言をしています。

 

しかし、「行政の継続性」は両刃の剣でもあります。つまり、1945815日に存在した日本国政府と、それから70年経った2015年の日本国政府とは、同じ主体であると考えるべきだということです。その意味では「謝罪し続ける宿命」を背負わされているのは日本国政府です。しかし、「談話」中、日本国政府の謝罪責任についての言葉はありません。責任の主体を「子や孫」に摩り替えてしまっているからです。そして「子や孫」が出てくると私たちの目は曇りがちになります。

 

もう一つの理由は、それとほぼ同じ内容なのですが、国連における日本国という国家の位置付けです。日本国は依然として、国連憲章第53条と第107条に規定されている「敵国条項」による「敵国」なのです。対照的にイタリアとドイツは最早「敵国」とは見做されていません。イタリアは、降伏後ドイツと日本に宣戦布告したからですし、ドイツは近隣諸国への真摯な謝罪と外交努力によって「敵国」とは見做されなくなりました。しかし日本は依然として「敵国」のままなのです。

 

               

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この状態を解消するための一番論理的かつ分り易い、しかもドイツが試験済みの解決手段は、「戦争責任を持つ」国家としての日本が、真摯な謝罪を行い、それが近隣諸国をはじめ全世界に受け入れられることです。その結果として「敵国条項」が外されることになるというシナリオが自然の流れです。

 

近隣諸国から日本政府の真摯な謝罪が受け入れられれば、その結果、この「談話」に述べられている願望は、近隣諸国からの「もう謝罪は必要ないよ」という言葉によって実現されるのです。つまり、日本政府に対して「まだ十分な謝罪をしていない」というクレームはなくなります。国家を構成する国民という位置付けの「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたち」が「謝罪を続ける」必要もありません。それを実現するのに最低限必要な要件は「政府の責任」を認めることなのですが、それがすっぽり抜け落ちているところが重要です。

 

過去そして現在の政府の言動とは全く関係のない文脈を作り上げて、国際社会から戦争責任そのものを背負わされているのが、未来の「子どもたち」であるかのように表現すること自体、無責任極まりないのですが、国家と国民という図式で考えると、国家、あるいは政府自体が、臆面もなく無責任振りを曝け出してきた記録もきちんと残っています。それは再度、取り上げます。

 

 

 

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2016年12月28日 (水)

海外派兵は滅亡への道


海外派兵は滅亡への道

 

日本の歴史を振り返って、500年前の「国と国」が戦争をするのが当り前であった時代から、「県と県」の戦争など考えられない今という時代になったことは、日本が平和になってきたことを示す大切な事実です。

 

歴史を振り返るのは、そこから得られる「教訓」を未来のために有効活用する目的があるからですが、日本が平和になってきている歴史的事実からはどんな教訓が得られるのでしょうか。あるいはどんな教訓が元になってこのような傾向が生まれたのでしょうか。

 

この問に答えるために、現在の日本で、これまでの歴史的事実を否定して、戦国時代のように「国と国」、今なら「県と県」(都、府、道も特別の場合として含めます)が戦争できるように憲法や政治制度を変えようとしている人がいるかどうか、を考えて見て下さい。皆さんの周囲にそんな人はいないはずです。歴史を逆戻りさせようとしている、あるいは周回遅れのコースを走っていることに気付かない安倍政権でも、そんな提案はしていません。(とまで書いて、「今のところは」と断った方が良いかも知れないと考えざるを得ない理由がいくつも挙がるのは、情けない限りです)

 

日本人、そして日本という国家は、国内での平和は戦争に勝る、という教訓を得てそれを実現してきたのです。平和であることの一例は、犯罪率が国際的にも低いことです。殺人のためにしか役立たない拳銃の携帯も許されていません。刀剣の所持も厳しく規制されています。それ以上に、私たちが平穏に日常生活を送れることですし、夜でも街を安心して歩けるほど治安の良いことです。国連本部にある「ねじれた銃」を自ら作った国とも言えるのではないでしょうか。

 

             

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憲法の三大原理として「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」が挙げられますが、「平和主義」の基礎は、このような国内での平和に依拠していることが重要です。

 

その国内での平和を国際関係でも実現して行こうという方針を「平和主義」と呼んでも良いと思いますが、それは、日本社会が世界の範たるシステムを国内的には実現しているからこそ可能なのです。「歴史を振り返る」というところまで戻ってまとめると、日本の歴史から得た教訓を「戦争の拒否と平和の実現」として掲げそれを積極的に世界に広げる方針を「平和主義」と呼んで良いでしょう。安倍政権がこの歴史の教訓を理解できないことが何よりも残念です。一例を挙げれば、「武器輸出三原則」を放棄して死の商人になり下がり、その上、アメリカ提案の「政府側にも反政府側にも武器を売らない」という安保理決議案に日本は棄権し「周回遅れ」の姿を世界に晒しています。

 

その最大の理由は、日本政府、特に安倍政権になってから顕著なのですが、「海外派兵は滅亡への道」という歴史の教訓を無視し続けているからだと言えそうです。

 

これまで日本が関わった外国との戦争を振り返ると、「海外派兵は滅亡への道」が日本にとって 、そして他の国にとっても、大切な教訓であることが分ります。

 

まずは元寇を見てみましょう。白村江まで遡りませんが、ポイントは十分伝わるはずです。

 

1274(文永の役)1281(弘安の役)、元と高麗の連合軍が日本侵攻を企てて当時最大級の艦船を率いて北九州を襲いましたが、二度とも日本側の勝ちとなり、元・高麗連合軍は大きな損害を受けて逃げ帰った、というのが超短い歴史です。文永・弘安のどちらでも「神風」が吹いたため、兵力では圧倒的に有利だった元・高麗連合軍が敗北したという伝説まで作られましたが、台風が戦況を決めたのは弘安の役だけだったようです。

 

さて、元寇からどのような教訓が得られたのかを考えると、大敗を喫した元そして高麗がその後衰退することになった主たる原因の一つがこのような戦争を仕掛けたことでした。元はその後も日本侵攻を試みようとしますが、敗戦という手痛い経験と国全体が戦争の結果疲弊したことを理由に、それ以後の侵攻はなく、地理的にはその後王朝が変わっても中国、そして朝鮮半島から日本に対して戦争を仕掛けてこなかったことは、元寇からの教訓を汲んだからだとも考えられます。それ以後も日本に対する侵略はありませんでした。両国は「海外派兵は滅亡への道」という教訓を得たと言っても良いのではないでしょうか。

 

次の歴史からの事例は、豊臣秀吉による朝鮮出兵 (文禄の役・慶長の役) です。

 

 

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コメント

日本の平和は、難民や移民を認めない事で成り立っている部分もえるのではと思います。
トランプ氏の違法移民を認めないことは、国内平和を望む事でもあると思います。
それと日本は、日本で生まれ育っても強制退去する国なのに、トランプ氏を責める前に考えることは大きいと思います。
ハワイでの安倍首相の話で、日本の爆撃で亡くなっ米兵について語ってましたが、この過去の悲しい話は明日の自衛隊員だとは思わないのでしょうか。
全ての戦争は、他国への侵略侵攻が始まりですね。駆けつけ警護もその国には侵攻ですね。
あの透明な盾で、何が守れるのか?国民を馬鹿にしてますね。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。侵略戦争を侵略だと公言して戦争をすることは、最近ではあり得なくなっています。他国からの侵略に対して自国を守るという原則を口だけにしろ前に出すのが、「建前」になっています。

しかし、他国への派兵が出来なければ、この建前と本音の違いはなくなります。それを為政者に知らしめるために、海外派兵をすれば、あなたが自滅しますよ、というメッセージは効果があるのではと思っています。

2016年12月 6日 (火)

「原水禁学校」第3回講義    RMI提訴棄却の理由


「原水禁学校」第3回講義

RMI提訴棄却の理由

 

「核兵器廃絶と日本の役割」をテーマにした原水禁学校の講演アウトラインの続きです。

 

 今回は国際司法裁判所 (ICJ) がマーシャル諸島共和国 (RMI) の提訴を棄却した理由を取り上げます。この訴訟でRMIが求めていたのは、核保有国が自らの義務を果たしていないことを確認し、その義務放棄行為の差し止め救済措置(declaratory and injunctive relief)をICJが取ることです。つまり、核保有国が誠実な交渉を行うよう適切な措置をICJが取ることを求めています。

           

Icj

                   

 マーシャル諸島共和国(法律的に正確かどうかはわかりませんが、通常の用語を使って原告国と呼んでおきます)が提訴をしても自動的に裁判が始まる訳ではありません。最初に問題になるのが「管轄権」があるかどうかです。その最初の段階で、提訴された側、(普通の言葉を使って「被告国」と呼んでおきましょう) が、この裁判を受けるかどうかが問題になります。

 

被告国は受けなくても良いのですが、「強制的管轄権」を認めている国は、受けて立つ以外の選択肢はありません。「強制的管轄権」とは、「原告国」が強制的管轄権を受諾している場合 (RMIは受諾していますので、この場合に該当します) には、自らも同じくICJの強制的管轄権を受諾することを一般的な原則として認めている場合を指します。9つの核保有国のうち、イギリス、インド、パキスタンは強制的管轄権を認めていますので、この3カ国には「受けて立つ」以外の選択肢はありません。その他の国は「受諾しない」という選択肢があるのですが、これら6カ国は見事に「受諾」を拒否しました。

 

次にICJが裁判する権限を持つかどうかが議論されます。つまり、ICJがこの件について裁判をする力を持つという法的確認が必要になります。そのための「予備審査」が行われてきたのですが、今年3月にはそのヒアリングが行われました。予備審査の結論は、105日に言い渡され、RMIの提訴が「棄却」または「却下」されました。またこの決定は最終的なもので、上訴することはできないことも示されています。

 

理由は、三つとも同じで、「dispute (係争あるいは紛争) が存在するという明確な根拠がない」ので、ICJは管轄権を持たないということだそうです。つまり、係争の「存在証明」ができないという理由です。係争のあるということはどのように検証するのかも示されています。それをまとめてみましょう。予備審査は、RMI対イギリス、RMI対インド、RMI対パキスタン、という三つのケースとして扱われました。内容はほぼ同じですので、RMI対イギリスを取り上げておきます。

 

 ICJが管轄権を持たなくてはならない。

 そのためには、当事者両国の間に、「係争」のあることが確認されなくてはならない。

 確認のためには、(a) 原告国が被告国の言動に異議を唱えていることだけではなく、(b) 原告国が異議を唱えていることを、被告国が知っている必要があり、(c)  被告国はそれに異議を持っている必要もある。

 これらの判断は、原告国が提訴を行う前の事実だけを対象にして行われる。

 

この内、③が判断基準なのですがその中の(a)は、RMIが、イギリスは第6条違反をしていると、公の場で発言しているのかどうかを問題にしています。(b)は、そのことをイギリスが知っているかどうか、そして(c)は、そのRMIの発言に対してイギリスが、それは違う、といった意思表示をしているかどうかが問題にされているということです。

 

これに対して、RMIはこれまで様々な場で、NPT6条違反について述べていることを挙げて、基準を満たしていることを主張しました。スペースの関係で、個々の発言は省略します。

 

それに対するICJの最終判断は次の通りです。

 

 ノルウェーの会議での発言は、イギリスが欠席した会議で述べられているから認められない。

 その発言、またその他の発言も、核軍縮のための交渉について言及しているのではなく、より一般的な、核兵器の人間に対する影響の問題として述べられている。

 さらにこれらの陳述は一般的に全ての核保有国の言動についての批判であって、イギリスが具体的に義務を果していないということの指弾にはなっていない。

 こうした非常に一般的な内容と文脈で行われた陳述に対して、イギリスは特別の反応を示すことはなかった。

 

この段階でも、このような判断が如何に理不尽なのかはお分かり頂けると思いますが、それに対する少数意見を見てみましょう。モロッコのモハメッド・ベヌーナ判事の意見です。

 

 係争の不存在という理由だけで管轄権がないと結論付ける判断は、ICJ史上初めてである。

 判断基準の③の(c)と、④は、これまでのICJの判例に反している。

 特に、③については、この提訴を取り下げて、再度、同じ内容の提訴を行えば、今回ICJの場で表明されている当事者両国の言い分から、全ての項目は満たされるので、このような技術的な条件で棄却すべきではない。

 

常識的に考えて、ベヌーナ判事の指摘している事実①と②が正しいとすれば、法律的な見地からだけ考えても、RMIの提訴を棄却したICJの判断はおかしいのではないでしょうか。それ以上に問題なのは③です。提訴する前の時点での言動のみに限って議論することの不毛さが明らかにされています。こんなに人工的な基準を作って、人類の存否が問われるような問題についての判断をすること自体、厳しく批判されるべきものであることはお分かり頂けたのではないでしょうか。

 

そして、棄却するかどうかの判断は賛成8、反対8の同数で、最後に裁判長が「棄却」に一票を入れて決定が行われたのですから、少数意見の重みと、判例違反までして核大国を守った判事たちの責任は重いと言わざるを得ません。日本の小和田判事は、当然「棄却」の立場です。

 

しかし、日本政府が本当に被爆体験を大切にし、市民の声を重んじていれば、結果は正反対になっていました。一票の違いでRMIの提訴の実質審議が始まり、核保有国のエゴが俎上に載せられることで、核廃絶への道が開ける端緒にはなり得たのです。

 

 

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2016年12月 5日 (月)

改訂版  「原水禁学校」第3回講義     日本政府の裏切り


改訂版  「原水禁学校」第3回講義

日本政府の裏切り

 

「核兵器廃絶と日本の役割」をテーマにした原水禁学校の講演アウトラインの続きです。

              

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 国連の第一委員会で採択された決議「L.41」が画期的なものであり、世界の未来を導く新たな光を照らすことになるのは、核兵器の廃絶に関心を持ってきた人なら誰でも分ることです。内容は極めて単純なことで、基本的には次のように要約できます。

 核兵器禁止条約締結に向けての多国間交渉を来年2017年から始める。

 日程は、2017327日から31日までと、615日から77日までの間の20日間。

これほど簡単なこと、しかも核不拡散条約(NPT)の第6条に「誠実な交渉義務」として、全ての締約国に義務付けられていたことが、これまでの46年間、核保有国の妨害によって実現されなかった点が問題だったのです。

 

その決議に、「被爆国」を標榜する日本政府は「反対」しました。それについては1030日に「核兵器禁止条約締結への大きな一歩!112日の「外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか」113日の「「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省」 で、取り上げましたので、再度お読み頂ければ幸いです。

 

核兵器廃絶という大切な目標を実現する上で、日本政府はこれまでも被爆者や市民を「裏切って」来ましたが、第一委員会決議に対する「反対」はそれらの全てを代表するものです。私たちがもっと厳しく批判の声を上げなくてはならないのではないでしょうか。

 

そのために、もう二例、「日本政府の裏切り」を報告しておきましょう。

 

一つ目は、元々オーストリアが提案し、20154月にはNPT再検討会議に提出した「人道の誓約」に署名していないことです。この誓約に署名したのは全世界で127カ国、さらに、この誓約を「決議」として採択した際には、それらの国に加えて23カ国が賛成しています。つまり、国連加盟国193カ国中、150カ国が賛成しているのです。その内容は、日本政府がどうしても賛成できないような難しい点を含んでいるのでしょうか。以下、内容の要約です。

 

核兵器の危険性や歴史、そして人類に与える破滅的な影響等についてまとめた後、次の三つの誓約をする文書。

 NPT6条を守り、核廃絶に至る道にある「法的ギャップ」を取り除く努力をする。

 それが実現するまで、核兵器による危険性を低減させるための中間措置を取る。

 法的にも道徳的にも核兵器が忌むべき存在して廃棄されるよう、あらゆる個人・団体・市民社会等との協力体制を作る。

 

説明を加えておくと、①は「法の支配」を強調しています。力の強い国の言いなりになるのではなく、NPTにも決められているように、多国間交渉により、例えば核兵器禁止条約を作りましょう、という内容です。②は、条約ができたとしても核兵器が廃絶されるまでには時間が掛かるので、その間にも中間的な措置として、核実験を止めたり、即応態勢にある核兵器を少しずつでもその態勢から解除し、すぐには使えない状態に転換する等のことをしましょうという現実的な内容です。そして③は、できるだけたくさんの人や組織等と協力しましょうということですから、全く問題のないことはお分かり頂けたと思います。

 

二つ目は、マーシャル諸島共和国の国際司法裁判所(ICJ)への提訴却下についてです。同国が、核保有9カ国を相手取ってNPTの第6条違反の廉でICJに提訴をしたことは何度か取り上げてきましたが、その提訴が却下されました。この点については、107日の「マーシャル諸島共和国の提訴は「却下」 でも、判事の評価は 8 : 8、そして109日の「In Good Faith (誠実に) RMI提訴の却下と「白紙領収書」」でも取り上げました。

 

残念ながら、あまり時間がなかったために、これまでICJがどんな理由で却下したのかについては詳しく報告して来ませんでしたが、122日の原水禁学校では、この点にも触れましたので、できるだけ分り易く説明しておきたいと思います。ただし、却下理由は極めて人工的・技術的ですので、読むのは大変かもしれません。稿を改めてしっかりまとめたいと思います。

 

  

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「原水禁学校」第3回講義    日本政府の裏切り


「原水禁学校」第3回講義

日本政府の裏切り

 

間違ってアップしてしまいましたので、「日本政府の裏切り」は削除します。明日御覧頂ければ幸いです。今日はこの下の「法の支配とアメリカ」をお読み下さい。


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