日本政府

2017年6月27日 (火)

福島原発被災地フィールドワーク➂ ――浪江町・大熊町・双葉町・富岡町・楢葉町の視察――

 

福島原発被災地フィールドワーク

――浪江町・大熊町・双葉町・富岡町・楢葉町の視察――

 

フィールドワーク最終日の626日(月)は8:30にホテルを出発し、昨日は霧のため十分には見ることのできなかった浪江町から始めて、大熊町・双葉町・富岡町・楢葉町(福島第一原発近くの線量の高い地域)を視察しました。バスから降りて現地に触れ、また高線量の場所ではバスからの視察も含めて広範囲を訪れることができました。

 

案内役はいわき市議会議員の狩野光昭さんです。昼食(弁当)は、時間の関係でいわき市から郡山市への移動中のバスの中で、その後「まとめ」を行い、13時過ぎに郡山駅で解散しました。

 

浪江町では、避難指定解除後、帰還の準備をする中で必要性が強くアピールされた商店街を役場の敷地内に公設民営の形で作った「浪江町マルシェ」を視察しました。担当の係長さんの説明によると、飲食店は需要があり黒字だがその他の店は苦しい経営状況であること、日曜日にも開店していて欲しいという要望も強いことなどの現状が分りました。

 

             

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開店前のマルシェ

 

また、全部で10店がこのマルシェには開店してくれたけれど、必要な商品全てが揃っている訳ではなく、薬局は町外に出て買い物をするしかないこと、生鮮食料品を扱うスーパーがないこと、そして本格的ホームセンターのないことで、帰還のための条件が必ずしも整っていないことにも言及されました。

 

その後国道6号線を南下して福島第一原発のある双葉町に入り、できだけ原発に近い場所までバスで入る予定だったのですが、6号線から原発に至る道が閉ざされていて残念ながらその場からの写真を撮るだけに終りました。

 

次に、楢葉町の太平洋に近い場所にある天神岬公園から海を臨み、また、除染物質の減容施設と自治体毎にまとめてフレコンバッグの集積を行っている施設を上から俯瞰しました。

 

 

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今日通過した地域の中にはまだ帰還困難区域の指定のあるところもあり、信号機とともに表示されている線量も2.00を超えているなど、昨日とは桁の違う数字を現実として目の前にして、緊張感が走りました。残念ながら高線量を示しているモニターの写真は上手く撮れませんでした。

 

次に、自治労はつかいちユニオンの生永裕行さんが、最終日の案内人、狩野光昭いわき市議による原発作業員についての報告をまとめてくれました。

  

いわき市議会議員の狩野さんからは、原発で働く人々の健康被害や労働条件の酷さについての話がありました。現在、廃炉作業と除染作業にそれぞれ毎日6000人の作業員が従事しています。

 

作業員の中には、ごく一部ですが、賃金未払いや雇用契約に悩む作業員もおり、原発労働者相談センターを20152月に立ち上げ、労働問題の解決に取り組んでおられました。 作業員は全国から福島県に集まっており、福島県だけでなく、全国で労働者教育に取り組む必要があると感じました。

 

ボランティアとして調査活動を行いながら、原発労働者の相談センターを運営していることから得られた貴重なお話を伺うこともできました。

 

また、黒いフレコンバッグが山積みになっている様子を見ると、街が元の姿を取り戻すまでには、相当な時間を要すると思いますが、これからが本当の復興の正念場だと感じました。

 

 

さらに狩野議員からは、原発の建設、運営で膨大な利益を上げてきたゼネコンが、原発事故後も除染や防潮堤の建設、その他の様々な建築工事でさらなる利益を得ている構造についての指摘もありました。

 

今回の3日間にわたるフィールドワークで感じたことの一つは、チームワークの大切さです。一人で経験したのではなく、10人が福島で時間を共にすることで理解や共感が深まり、より豊かな全体像を把握することが可能になりました。

 

その全体像は現地での「体感」「体得」に基づいています。例えば、避難指定が解除されている地域で民家の9割方には誰も住んでいない様子を直接目にすることで、また物を買える店も周りにはない上、子どもたちの姿も見えないことから、帰還の難しさを肌で感じることが可能になったのです。

 

帰還できないのは、放射線量の高さが主な原因ですが、これも線量計の数値を現地で確認しながら問題の深刻さや理不尽さを共有できたと思います。

 

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そしてこれほど大規模かつ長期的、深刻な状況を創り出してしまった責任についての国や東電、原子力ムラの言動は許しがたいこと、またこうした事態がこれからも続くことが明白であるにもかかわらず、「収束化」を図ろうとする国や東電、原子力ムラに対して、私たちが声を上げ続けなくてはならないことを改めて強く感じました。

 

今回、福島で私たちのフィールドワークのために貴重な時間を割いて下さった多くの皆様に心から感謝しつつ、新たな決意を固めたことを再度、強調します。

 

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2017年6月26日 (月)

福島原発被災地フィールドワーク② ――飯館村、浪江町、南相馬市の視察――

 

福島原発被災地フィールドワーク

――飯館村、浪江町、南相馬市の視察――

 

フィールドワーク2日目の625()は、朝 8:30 にホテルを出発して飯館村役場へ。

 

研修IIは、飯館村の視察でした。視察させて頂いたのは、331日に居住制限区域解除された地域、そして除染物質集積作業です。案内役は前福島地方平和フォーラム事務局次長の菅野幸一さんでした。

 

飯館村では、今年の331日に、帰還困難区域である長泥地区を除いて「避難指示解除準備区域・居住制限区域」の避難指定が解除されました。今日の視察では、その一番南の端にある「減容化施設」の前――それは帰還困難地域としての指定が続いている浪江町との境界近くなのですが――まで、飯館村内の状況をつぶさに見ることができました。

 

                 

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減容施設からの帰り道は「飯館発電」という名前で、村民の皆さんが中心になって進めているソーラー発電事業の現場を体感することができました。

 

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視察後の参加メンバーの報告と感想です。最初に私鉄広電支部の木村浩隆さんの寄稿です。

 

バスで飯館村南側半分を視察しました。ここは村の中でも線量の高い地域です。村全体の避難状況は人口約6000人、1800所帯で、被災当時と大きな変化はありません。日曜日のため除染作業は行われていませんでしたが、住民不安に対応するために設置されていた線量計が目立ちました。

 

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目盛りは0.619マイクロシーベルト/時です

 

これも大切なのですが、国が昨年8月に、「ネットで確認できる」という理由で線量データの定期的公開を止めてしまったため、地域ごとの比較や総蓄積量の把握等、困難・不便になったことも多くあります。

農作物についても線量の測定は行われていますが、特筆すべきなのは、コウダケ等のきのこ類の数値です。特に高いことが問題なのですが、高齢者の中には「仮に害が出ても、もう残り少ない人生だから」と言って食べる人も多いとのことでした。

大きな問題の一つは、医療です。市の診療所は、市外から医師が「往診」という形で週二回、午前中だけ来てくれて存続されている状況です。また、役場横にある老人ホームは、震災後避難はさせませんでした。移動に伴う身体的負担が大きいので、そのリスクを避けるためでした。さらに役場の裏には全国初の市営の本屋が作られていました。

減容施設のある蕨平地区は、村内で最も線量の高いところで、今は立ち入り禁止区域になっていますが、ここで減容化された放射線汚染物の再利用についても検討されています。

除染そのものは、昨年12月で一応完了されたことになっており、現在はスポット的に線量の高い場所についてのフォローアップ除染が行われています。また、除染された土やゴミを入れるフレコンバッグは数年しか持たず、今後、除染されたものをどう処理するのかという大問題には答が出ていません。

 

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現地に来て、テレビで視たときとは違う現実を目の当たりにして、問題の大きさを改めて実感しました。広島に持ち帰り、一人でも多くの人に認識を高めて貰い、私たちでできることをもっと広範に共有し頑張りたいと思いました。

 

同じく広電支部の松本知孝さんの追加のコメントです。

 

飯館村に入った時、震災前はのどかで平和な暮しがあったのだなと感じました。そして震災から6年経った今も、「復興」は見た目には感じられませんでした。それは、村内の至る所に除染物の仮置き場があることとも深く関わっています。

阪神淡路大震災の際は、6年経過した時点である程度の復興が見て取れました。しかし福島では原発事故故の大きな負担があり、被災地の復興を妨げています。

「原発さえなければ」という思いで、脱原発そして核なき世界を実現すべく訴え行動して行きたいと思います。

 

午後は13:00から、浪江町の331日に居住制限区域から解除された地域そして津波被害の視察、その後南相馬市の201721日に居住制限区域から解除された地域、ならびに津波被害を視察しました。案内役は相馬地方平和フォーラム代表の寺田亮さんです。

 

広島県原水禁常任理事、広教祖の石岡修さんは午後の視察を次のようにまとめてくれました。

 

浪江町請戸漁港を見下ろす震災慰霊碑に花を手向けながら、瞬時に日常を飲み込んだ深い悲しみに思いを寄せていました。

 

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そして午後に視察した二つの地域、困難を抱えながらも復興に向けて進み始めたかに見える南相馬と、見通しが立たないまま避難指示だけが解除された浪江町の現実を目の当たりにしました。

誰もが故郷に帰りたいと思うだろう。しかし、帰還率1.5%の浪江には、帰ることをためらわせる現実が横たわっていました。

6年の月日を経た我が家に愕然とし、動物に奪われた家を取り戻すためには解体を決意せざるを得ないのですが、その決断をためらう人の多いことも理解できます。子どもの声が聞こえない場所に未来を描けない、あるいは人が住まない土地で仕事が再開できるのか等、不安の種には事欠きません。その不安を何より増大させているのが、廃炉への見通しが全く立たない原発の存在そのものです。

「避難解除が復興の証」などと決して言わせてはなりません。そのためには多くの人が原発事故の引き起こした現実を確認し、証言することが不可欠です。そのことを何より強く感じた一日でした。

 

広島県原水禁常任理事・前事務局長の藤本講治さんによる追加のコメントです。

 

  浪江町と南相馬市は、大震災と大津波によって起こされた原発事故が元で放射線への不安が続き、未だに日常の暮しが取り戻せない地域です。

 

 

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津波で破壊され今でも取り残されている家

 

 27カ月ぶりに訪れた被災地は行政や地域住民の復興に向けた並々ならぬ営みの中で復興への道筋が出来上がりつつありました。

  しかし、除染物質集積の仮置き場が至る所にあるという現実にも心が痛みましたし、津波に流された街なみ、荒れ果てた田畑、子どものいない学校(廃校)など、原発震災の傷跡を目の当たりにして原発事故が終っていないことを痛切に感じました。

  「浪江町東日本大震災慰霊碑」に参加者一同献花をし、震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするのと同時に、被災地の早期復旧・復興を願いました。「原発事故さえなかったら」という被災者の叫びを心に刻み、脱原発の取り組みを強めて行こうと決意を新たにした一日でした。

 

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2017年6月25日 (日)

福島原発被災地フィールドワーク① ――浪江町の状況を伺いました――

 

福島原発被災地フィールドワーク

――浪江町の状況を伺いました――

 

広島県原水禁では、2017624日(土)から26 (月)までの三日間、福島の原発被災地を訪ね、多くの皆さんのお話を伺いながら、被災地の現状を確認した上で、私たちに何ができるのかを再確認しさらなる行動に発展させたいという思いを元に、フィールドワークを実施します。

 

開催の趣旨を簡単にまとめておくと次のようになります。

 

福島第一原発事故から6年。命を、くらしを、絆を、故郷を、奪われた人は数えきれません。今もなお8万人を超える被災者が苦しい避難生活を強いられ、帰還の問題、生活の再建や復興、風評被害、子どもを中心とする健康被害、除染廃棄物の処理問題など課題が山積する中で悩み苦しんでいます。

にもかかわらず、政府は福島への帰還政策を強引に進めています。さらに、各地の原発再稼働を強行しています。私たちは、原発政策に前のめりする政策に抗い続け、福島原発事故を風化させず、フクシマに連帯する取り組みを継続して行っています。

201411月には、福島県平和フォーラムの協力のもと飯館村内、浪江・南相馬沿岸、帰還困難区域境周辺を視察し被災地の現状を学んできました。今回、二度目になりますが、被災地を訪れ、被害の実態や復興状況などを視察して、改めて原発事故とは何だったのかを考え、今後の脱原発.原水禁運動に活かしていきます。

 

今回のフィールドワークの参加者は10名、一日目の24日午後3時にJR福島駅近くのコラッセふくしまの会議室に現地集合しました。

 

最初に、受入れて下さる側の福島県平和フォーラム事務局次長 湯野川 守さんによるオリエンテーションがあり、その後、浪江町長の馬場有さんと、浪江町の紺野則夫町議会議員から、「原発事故から6年――フクシマの現状と課題」をテーマに、浪江町を中心にこれまでの取り組み、課題、そして今後の展望や広島との連携の可能性等についてお話を伺いました。

 

馬場町長のお話のポイントは、被災した事実の「風化」と無責任な「風評」による被害、そして避難している町民の生活の再建と同時に、これから町を存続させて行けるのかどうかということでした。パワーポイントを駆使した講演でしたが、風化と風評被害を語り未来の世代への責任を果すべく決意を表明する馬場町長に人間としての「風格」を感じ、静かな闘志を垣間見たのは私だけではなかったはずです。詳細を載せるには時間が足りません。またの機会に是非御紹介したいと思います。

 

               

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馬場町長(左の人)

 

また紺野議員が強調されたのは、国や福島県の無責任さ、その結果として「二次災害」が起り多くの犠牲者が出たという点でした。例えば原発事故の直後に、浪江町周辺の放射線量のデータを国は持っていたのもかかわらず、それを被災地には伝えなかった。その結果、原発から遠い地点という理由で北西方向に避難した数千人の浪江町民が被曝したことです。

 

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紺野議員(左の人)

 

被災者の健康を優先する制度ができる日を思い描きながら、そのための基礎になるデータを書き込む「健康手帳」を広島・長崎の先例を見習って作ったこと、そして、やはり子どもたちの未来が一番心配で、被災者の医療費を無料にする恒久的な制度を作ることを最優先したい、そのためには、以前、一緒に案を練ったけれど実現できなかった、国際的な支援体制の構築にも取り組みたい、と強い決意を語ってくれました。

 

 

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健康手帳

 

その後、場所を移って、紺野議員や福島の受け入れ団体の責任者を交えての夕食交流会が開かれました。浪江町を訪問しお二人にお会いしたのは20133月でしたが、久闊を叙しさらなる協力体制について建設的な意見交換ができ、大変有意義だったと思います。

 

参加者の皆さんに取っても感慨深い一日目になったようです。参加者の一人、自治労広島県本部の鈴木孝文さんは短時間の内に次のような感想をまとめてくれました。

浪江町馬場町長からは、63カ月が経過し風化と風評被害があること、また避難の状況や国の対応の遅れにより、線量の高い地域に避難してしまったことが強調されました。それは、浪江町が原発から北西の方向に細長い形の町であること、そして放射線がその方向に放出されたためでした。その結果全町域が帰還困難になりました。

しかし、2017331日に、一部の地域でその指定が解除され、苦渋の選択の結果、町長として解除を承認した理由についても語ってくれました。

その一つは、帰りたいという人は少ない、それは若い世代の人たちの間では、避難先に定住を決めた人が多いからなのですが、「自分の家で最期を迎えたい」という高齢者も多く、その人たちの思いを尊重したことと、「最低限の形でも良い、次の世代に町を残したい」という意見に耳を傾けたためでした。

曾孫の世代が「町が残ってくれていて良かった」と思うような町作りをしたいと、町長としての力強い決意も示してくれました。

原発は町の全てを奪うと改めて感じ、原発はいらないことを再確認できた一時でした。

 

また、自治労はつかいちユニオンの瀬戸将央さんは紺野議員のプレゼンテーションについて次のような感想を寄せてくれました。

報道では決して語られることのない、2011311日、東日本大震災発生時の現場の生々しい話でした。

私が率直に感じたのは、国、東電の無責任さです。事実として、地震、津波ではなく、原発事故で、60人から70人の人が施設から避難先に向かうマイクロバスの中で亡くなっていること、子どもたちへの影響の可能性も出ていること、現在も放射線の影響の管理をしなければならないことなど、本来であれば最優先されるべき問題が後回しどころか、放置されていることなどが具体的事例です。

私たち、事実を知るに至った人間が情報発信をすることで、フクシマのミライに向けて、国際社会への訴えの第一歩を踏み出すことも含めて、進んで行きたいと思います。

 

第二日目は、現地での視察が中心になります。第一日目の今日は、現地での見聞をしっかり受け止めるための枠組みが私たちの中にできましたので、明日は現地でこの枠組みを元に多くの情報を整理しつつ、さらなる活動につなげられればと思います。

 

 

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2017年6月17日 (土)

共謀罪反対の理由の一つ・冤罪 ――それには予算のあるなしが関係してきます――

 

共謀罪反対の理由の一つ・冤罪

――それには予算のあるなしが関係してきます――

 

安倍政権は、強行採決までして国会が承認したという形だけを作り上げ、共謀罪というとんでもない「犯罪」を新たに「合法化」してしまいました。このような暴挙を許してはいけない、そのためには世論が高まり、短時間に「良識の大合唱」が沸き上がるようにしたい――そんな思いで613日、14日、15日の三日間、午後5時半から一時間、本通りの青山前で、市民有志による街頭行動が行われました。

 

                 

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共謀罪がなぜ問題なのかについては、64日の集会ならびにデモについての報告をお読み頂きたいですし、YOKOさんからの報告も貴重です。そして「いのちとうとし」さんも続けて報告をしてくれました。また、日本弁護士連合会のまとめた『合意したら犯罪?合意だけで処罰?が分り易く説明してくれていますので、是非お読み下さい。


後は私たち一人一人がさらなる行動をすることのみ、と締め括っても良いところなのですが、私の感想も一つ二つ付け加えたいと思います。一つは、ネットで共謀罪について、自分は犯罪とは関係のない普通の人間だから共謀罪ができても怖がる必要はない、つまり全く問題なし、という趣旨の考え方が散見されることです。

 

ここで反論しても仕方がないかもしれませんが、このように考えている方々が想定していないことの一つは、法律ができるとそれにはお金が付いてくるという事実です。より正確には、出来上がった法律を施行するための予算を請求する根拠になるという意味ですが、その結果、法律の趣旨に沿った形で使えるお金が担当者たちの手に入るということです。

 

共謀罪の場合、2人以上の人間の合意が必要ですので、合意があるかどうかを調べることは捜査上、当然、許されることになるでしょう。その場合、例えば盗聴とか、メールやLINEを盗み見することも捜査上必要だと、為政者が判断すればそれは行われることになります。

 

現状だけで将来を判断することが難しい理由の一つは、現在の状況を元に未来を考えることには限界があるからです。特にお金の面での違いに気付かないとその違いが見えてこない場合もあります。今私たちが理解している現在の捜査の状況とは、現在行われている範囲での捜査をするだけの予算しか付いていない、という前提条件があります。それより多くの予算がついて、より広範囲の「捜査」がどのような形になるのかを予想するのは難しいと思います。しかし、仮に潤沢な予算が付いた場合の捜査と、現状とでは大きな違いが生じても不思議ではないことは御理解頂けると思います。

 

そして「オリンピック」という大義名分があるのですから、そのための予算として多額が計上されても恐らくは問題にならないでしょう。しかも「オリンピック」に隠されて中身までは十分分らないかもしれません。そして予算は使い切るのが原則ですから、そのお金を使って、「安全のため」そして「テロ予防のため」に盗聴・盗み見の範囲が増えて行くことは目に見えています。

 

そうなると、次に心配なのが冤罪です。「合意」をしたかどうかを事実だけで立証するのが難しいことはお分り頂けると思います。となると、私たちの言葉そのものが捜査の対象になります。日常生活の中でも「言った、言わない」の決着をつけるのは難しいことは私たち経験済みですが、権力を持って捜査する人たちが、「言った」と結論付ければ、それに対して私たち普通の市民が対抗することはほとんど不可能に近くなります。そこから冤罪が生まれます。

 

これは私たちにとっても無縁ではありません。共謀罪とは関係のない冤罪で最近、注目されたRCCの元アナウンサー煙石さんの冤罪事件が、冤罪の恐ろしさを示しています。この事件については、北村弁護士⑦パパさん、そして事件鑑定人のブログでも取り上げられていて、とても勉強になりました。

  

そして皆さんが指摘しているように冤罪は誰にでも起り得ることです。煙石さんはマスコミ人です。そしてマスコミ人は、普通の人たちよりは権力との接点がありますし、例えば違法捜査をしたりすればそれは仲間のマスコミから公表されて問題視されるであろう可能性も一般人の場合よりは高いはずです。したがって、警察や検察は恐らくより慎重に捜査をすることになるでしょう。にもかかわらず、煙石さんは最高裁まで闘ってようやく無罪を勝ち取らなくてはなりませんでした。

 

煙石さんの御苦労と勇気、そして彼を支えた英雄たちの存在を讃えたいと思います。同時にこの事件は、冤罪は他人事ではないことをはっきりと示してくれているように思います。

 

もう一点、事件鑑定人さんが指摘しているのは科捜研の予算が厳しいために高価な解析ソフトが使えなかった可能性です。それが煙石さんの無罪の証明と関わっていたということなのですが、それは、科学的な捜査でも「予算」が大きな役割を果している事実を認めなくてはならないという結論になります。共謀罪でも、予算の付くことで捜査内容が大きく変わるであろうことの傍証にもなっているのではないでしょうか。

 

 

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2017年6月16日 (金)

「BAN NUKES NOW!」原爆ドーム・キャンドル・メッセージ

BAN NUKES NOW!」原爆ドーム・キャンドル・メッセージ

&「共謀罪」強行採決抗議の街宣

 

今日(現地時間15日)からニューヨークの国連本部で、「核兵器禁止条約第2回交渉会議」が始まります。この会議の成功を願う広島の声を、国連に・世界に届けるため、昨晩午後7時半から原爆ドーム横に市民200人余りが参加し、「核兵器禁止条約のためのヒロシマ緊急共同行動・そのⅡ」として、原爆ドーム・キャンドル・メッセージの集いが、開催されました。

 

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渡辺朋子さんの司会で始まった集いで、森滝春子核兵器禁止条約のためのヒロシマ共同行動実行委員会(6月6日現在22団体参加)事務局長は「市民が参加し、市民の思いをキャンドル・メッセージの込めて、世界の人々に伝えましょう。そして日本政府を変えることが大事です」と訴えるとともに、「このキャンドル・メッセージは、国連事務局の日本人スタッフや、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)などの努力によって、国連や世界の人々の届けられます。」と今日の行動の意義を訴えました。

 

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続いて参加者の手によって「BAN NUKES NOW! 2017」の文字に並べられた1000個のキャンドルに次々と火がともされました。並行して被爆者、若者、原爆小頭症と家族の会きのこ会の代表から、「核兵器禁止条約の成立」を願うとともに、自らが署名活動や平和公園ボランティアガイドを通じて訴えていくなどの決意が語られました。

 

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完成したキャンドル・メッセージの後ろに全員が集合した写真撮影があり、最後に秋葉忠利原水禁代表委員から閉会のあいさつがありました。秋葉さんは、「国連であるから始まる会議で必ず、核兵器禁止条約を成立させなければなりません。そのためにさらに広島から声をあげましょう。」と訴えるとともに、「昨夜から今朝にかけての国会の状況は以上です。こんな政治が許され続けることはありません。安倍政権を変えましょう、歴史的にこんな政治が長く続くことはありません。そのためにも力を尽くしましょう」と強く訴え。約1時間余りの集いは終了しました。

 

この集いに参加した中億垂穂さん(中学1年:昨年の広島市平和記念式典で子ども代表として「平和への誓い」を発表)は、「こうした場所には初めて参加しましが、沢山の人に出会え、そして一緒に平和のアピールができて本当によかったです。」と私に感想を述べてくれました。

 

 

3日連続の抗議行動に80名超える人たちが参加

 

このキャンドル・メッセージの集いに先立つ午後5時30分から3日目となる「共謀罪廃止」を求める街頭活動が、本通り青山前で行われました。

 

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もちろん昨日は、その日早朝に行われた参議院本会議における「異常な強行採決に抗議」する行動となりました。委員会での採決を行わず、本会議採決を行うことなど、国会の民主的ルールを踏みにじる行為であり断じて許されるものではありません。良識の府と言われる参議院の自殺行為ともいえる今回の採決強行は、「加計学園問題」で窮地に追い込まれた安倍政権が、国会を早く終え、「加計学園問題」をうやむやにし、国民の目からそらすための数の力による暴挙以外の何物でもありません。このように「数さえあれば何をやってもよい」という力による政治を進める人々が、「共謀罪法」を手にすれば、これからどんなことが起きるかは明らかです。たとえ成立したとはいえ、容易にこの危険な法案を認めることはできません。そんな危惧と怒りの思いが、参加者の急増となって現れました。

 

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安芸太田町からこの行動に駆け付けた田島安芸太田町会議員と法正寺住職の城山大賢さんは、「私たちは決してあきらめない。明日の町議会に、『共謀罪の廃止を求める意見書』を提出します。必ず採択されるはずです」と強い決意を語っていただきました。

 

昨日は、いつも以上に若い人たちがビラを受け取ったり、ビラ配布者の話しかけに耳を傾ける姿が目につきました。あきらめることはできません。こうした若い人たちの姿に希望を持ちながら、粘りづよく「共謀罪廃止」と安倍政権に終止符を打つ活動を強めなければと改めて決意しています。

 

 

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2017年6月15日 (木)

「共謀罪」は許さない!

 

「共謀罪」は許さない!

 

今回は怒りに燃えたYOKOさんの報告です。怒りを新たなエネルギーに変えて、次の行動を起こしましょう。

 

           

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「監視社会をつくる」「現代版の治安維持法だ」と反対の声が多い「共謀罪」。

アベ政権は、この法案を、法務委員会での採決をすっ飛ばして、参議院本会議に「中間報告」を提出して採決するという。

 

重要法案をろくな審議もしないで、14日深夜~15日早朝にかけて、徹夜してでも採決強行!!

こんなひどい国会、今まで見た事も聞いたこともない! こんなひどい政治がまかり通っていいのだろうか?

 

アベ内閣NO!と訴えるために、市民も国会前に集結し、徹夜の構えという。

 

「ストップ!戦争法 ヒロシマ実行委員会」は、13日と14日夕、広島市・本通り青山前で、「共謀罪」反対!の街宣行動で市民に訴えた。

 

オリンピックのためにテロ防止が必要という理由そのものがウソ。

「一般人が対象になることはありません」「国民のみなさまに丁寧に説明していきます」・・・こんなこと言ってたけど、一度もきちんとした説明はなかった!

 

アーサー・ビナードさんは「ぼくが最初に日本に来たころと、今の日本は全く違ってしまった」と、戦争法、改憲の動きなど、危険な道を歩もうとしている日本政府を批判。

 

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安倍首相は、多数で何でもかんでも自由にできると思っているようだけど、国民をないがしろにして、続くわけないよ!!と思い知らせてやりたい!!!

 

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YOKO

 

 

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コメント

妻が今日の朝日新聞の読者投稿欄「声」に赤川次郎の投稿をみつけて驚き、共感していました。ただ、危機感を持つ人の多くが年配で、ネットでは安倍政権を支持している若者が多いようにも思えます。それだけに、色々な形で「声」を上げることが重要だと改めて思いました。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。おっしゃる通り、特に若い世代の人たちに権力者の恐ろしさを伝える必要があると思います。続けて声を上げて行きたいと思います。

伝え方の一つとして、お金、経済と政治との関係からのアプローチも有効なのではないかと思います。その点についても、また触れてみたいと考えています。

2017年6月 5日 (月)

共謀罪反対集会とデモ ――広島弁護士会主催のテーマは「私の心を探るな」――

 

共謀罪反対集会とデモ

――広島弁護士会主催のテーマは「私の心を探るな」――

 

527日に衆議院で強行採決された共謀罪新設法案は今、参議院で審議されていますが、どうしてもこの法案の成立を阻止しなくてはならないと、広島弁護士会の呼び掛けで、午後2時から原爆ドーム前の集会が開かれました。炎天下にもかかわらず、500名の参加者があり、集会後は原爆ドームから八丁堀、本通りを通って平和公園までのデモを通じて多くの人々に呼び掛けました。

 

集会は、最初に主催者を代表して下中奈美広島弁護士会会長の挨拶があり、続いて民進党の森本真治参議院議員の国会報告、そして連合事務局長を含む3人から市民の立場を代弁するアピールがあり、最後に弁護士会の共謀罪担当の前川弁護士から閉会の挨拶がありました。以下、アイ女性会議の佐藤奈保子さんにまとめて頂いたレポートです。

 

             

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下中会長の挨拶

  

下中会長は「これまで『テロ等準備罪』は3回廃案となっている。2020東京オリンピック・パラリンピックでテロを未然に防止するためと提案しているが、すでに国際犯罪防止条約にプラスして国際・国内法の整備がされているにもかかわらず、今回、277の対象犯罪を盛り込んだ「共謀罪」を提出しました。一般市民も「話し合い」や「計画」をしていたとして恣意的に犯罪対象にされかねない。安倍首相は一貫して「戦争のできる国」づくりのために急いでいる。今国会で通そうと必死だ。弁護士会はみなさんと一緒に廃案にむけてがんばります。」と力強いあいさつ。

 

 

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森本参議院議員の国会報告

 

民進党の森本真治参議院議員からは「法案は不明な点(180の論点)が次々と出ているが、十分な整理もされていないにもかかわらず、審議を拒否すると「質問なし」として強行採決されるので審議を徹底して迫る。みなさんの声とともに国会でがんばる」と国会内の状況報告。

 

広島市立大学の湯浅正恵教授は「『安保法案』に次いで危機感を感じてこの場に来た。安全・秩序と銘打って当局が問題ありと思ったら何もしていなくても監視強化され、表現・言論・集会の自由を奪い、脅かされる。当局に睨まれないために自己規制することに始まって、結局は私たち一人一人が言葉を奪われる。私は『秘密保護法』の時も言ったが、1人の人間として生きる自由・権利を放棄したくないから反対する」と力強い反対の意思表明。

 

写真家の藤岡あやさん(呉出身)は「『共謀罪』がよく分からなくて勉強した。2020オリンピック・パラリンピックのテロ対策で一般市民は対象外と言うが、私が護衛艦やデモを撮っていたら、犯罪の対象にされるかも。生きる喜びや表現が制限されるとしたらいやだ!」と具体的な表現手段に沿っての説得力ある反対論。

 

連合広島の山﨑幸治事務局長が「連合としても重要な問題と捉えている。大きくまとめると4つの問題点がある。

  適用する対象があいまい 

 「犯罪」の構成要件が好い加減 

  捜査等の手法が拡大され監視社会が作られてしまう 

  人間相互の不信感を高める(密告等により)

このような法案は何としても撤回させなくてはならない。連合広島もがんばります」と決意表明。

 

デモのシュプレヒコールも共謀罪の本質を突く鋭くかつ記憶に残るもので、500人の参加者の熱い思いが伝わりました。

 

「戦争反対」「共謀罪は廃案に」「テロ対策と嘘つくな」「話し合いは人間生活の基本」「告げ口を奨励する法案に反対」「憲法を変えるな、政治を変えろ」

 

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2017年6月 4日 (日)

問題は「たばこ」だけではありません ――核兵器、原発、環境、教育等あらゆる分野で同じことが起きています――

 

問題は「たばこ」だけではありません

――核兵器、原発、環境、教育等あらゆる分野で同じことが起きています――

 

熱が入るとついつい長ったらしいエントリーになってしまいますが、頭の中では分っている積りになっていたことでも、文章にしてみると別の視点からの考え方に気付いたり、自分の知識の浅さに愕然としたりします。お付き合い頂く皆さんにも何らかのメリットがあることを願いつつ続けます。

 

今回は、WHOの標語を厚労省が薄めている2011年より前の例を何件か取り上げます。どこに問題があるかはお読み頂くことで伝わるものばかりです。

 

2006 Tobacco : Deadly in any form or disguise

 (たばこ:どんな形や装いでも命取り)

[日本政府]  やめたい人を手助けする禁煙支援

 

               

Who2006_poster

             

WHO2006年世界禁煙デー・ポスター

 

2005 Tobacco control and health professionals

 (たばこに向かう保健医療専門家-行動と対策を)

[日本政府]  たばこ規制における保健医療専門家の役割

 

2004 Tobacco and Poverty

 (たばこと貧困:その悪循環から逃れよう)

[日本政府]  禁煙支援の推進

 

2003 Tobacco free films tobacco free fashionAction

 (たばこと無縁の映画やファッションへ 行動を!)

[日本政府]  受動喫煙防止対策等の喫煙対策

 

この中でも特に2006年の標語の違いは、それこそ命取りです。またこの事実は、2012年にWHOが出した『たばこ産業の干渉』の中で、WHOが指摘している「干渉」の結果、日本政府が乗っ取られてしまっていることを示しています。もっとも、専売公社の時代まで遡ると「たばこ産業」イコール「日本政府」だったのですから、事態はもっと深刻なのかもしれません。念のため、WHOによる「干渉」のリストを再度、掲げます。

 

 政治的あるいは立法についてのプロセスを乗っ取ろうと企んでいる。

 たばこ産業の経済的な重要性を誇張している。

 たばこに正統性があるかのように装うための世論操作をしている。

 やらせの団体等を使って、たばこ支持派がいると見せかけている。

 確立された科学的事実の信頼を損なうようなことをしている。

 規制しようとする政府を訴訟によって、あるいは訴訟を起こすと脅すことで圧力を掛けている。

 

敢えて申し上げるまでもないことかもしれませんが、このリストの中の「たばこ産業」を「軍産複合体」や「原子力 ムラ」等に差し替えても、立派に通用する内容です。そして日本政府、特に安倍政権がこうした勢力と協力関係を作り、現在の政治が嘆かわしい状況に置かれてしまっていることは皆さん御存じの通りです。

 

さらに、このような陰の力の意思を「忖度」しながら、あるいは「結託」してこんなシナリオを描いているのが官僚たちですが、前川元文科事務次官の例に見られるように、掃きだめの鶴のように志を曲げず、自らの良心に従って市民一人一人の権利を守るために闘っている人たちもいます。

 

塩崎大臣は官僚ではありませんが、今後も「屋内全面禁煙」のために頑張って欲しい存在です。ここで、マイケル・ムーア監督の登場です。「トランプをやっつけるための10のアクション・プラン」は、私たちが応援する政治家や議員に対しても効果的です。これまでの努力を評価し感謝した上で、さらに頑張って貰いたい内容をきちんと伝えることがポイントです。「原則」のつかない「屋内全面禁煙」実現のために頑張って欲しいことを多くの市民が発信すれば、強硬な反対派も業界もやがては多数派の意見、そして科学的知見を尊重せざるを得ない結果になるはずです。

  

 

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コメント

私が強く思うのは、少なくとも科学者や技術者は絶対に忖度してはならない、ということです。

安全に関する規制が緩いことは特定の産業を守ることが多いものですが、逆に、規制が厳しくても、それが国民を守るためより、特定の産業を守るための非関税障壁であったり、既得権益を守るためのものであることもあり、そうした規制の必要性や妥当性を裏付けるデータが、科学者の忖度による恣意的なものであることも少なくないように思います。

例えば、排ガス規制ひとつみても、アメリカとヨーロッパ、そして日本では内容に違いがありますし、対象も違い、どの国も堂々と「世界一厳しい基準」と言えますが、そこには国民ではなく、特定の業界に対する配慮があることも感じられます。

そこを国民第一、人類最優先とするためには、このブログに書かれているように、一人ひとりが少しでも声をあげ行動していくことが重要だと思いますが、そのためにも正確な知識や情報は不可欠で、科学者や技術者は、いくら予算が欲しくても、誠実で正直でなければならないと思うわけです。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

御指摘のように、科学者や技術者が真実以上に優先すべきことはないはずですが、金・権力・イデオロギー・その他の欲望に毒された人々も多くいます。絶対的な予防策はないにしろ、やはり教育の役割は大きいと思います。

その教育を有家持つ大学等で軍事研究をしようとする人々が現れ、それらの人々の数を金で増やそうとする政府がテコ入れしています。

対抗して「軍学共同反対」の声も大きくなっていますが、今やあらゆる場面で私たちの主張をきちんと広め、より多くの仲間を作る努力が一層大切になっています。以前のエントリーでも報告しています。

http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/changeorg-e7cf.html

2017年6月 2日 (金)

5月31日は世界禁煙デー ――5月31日から6月6日までは禁煙週間です――

 

531日は世界禁煙デー

――531日から66日までは禁煙週間です――

 

2020年を目標年に、国際オリンピック委員会や世界保健機構(WHO) は、日本政府に国の主導で「屋内全面禁煙」を実施するよう勧告しています。それに対して、厚生労働省は「喫煙室」を設ければ「分煙」を認めるという立場を取り、自民党内の喫煙支持派は、飲食店などの判断を尊重する立場のようです。つまり、どちらも屋内全面禁煙には反対ということです。

 

しかし、塩崎泰久大臣は、自民党の強硬派に対して26日、閣議後の記者会見で「建物内の原則禁煙という前提を譲るのは、なかなか難しい」と強調するなど、それなりに頑張っています。「原則禁煙」の「原則」が曲者ですが、恐らく厚生労働省官僚たちの言いなりになれば、そのまま自民党案を飲むことにもなり兼ねないような気がしますので、そんな環境下、大臣が頑張っていると考えるのは、贔屓目に過ぎているでしょうか。

 

でも、これまでの厚労省が喫煙問題に如何に後ろ向きだったのかの歴史を振り返ると、こう考えたくなる気持もお分り頂けるように思います。そのために、毎年WHOが世界禁煙デーに発表する煙草についてのスローガンと、厚労省が禁煙週間に発表するテーマとを比較してみましょう。世界禁煙デーのスローガンは英語ですが、その下のカッコの中の訳は、2017年と2016年は日本禁煙学会によるもの、2015年以前は厚労省によるものです。

 

2017 Tobacco – a threat to development

              (たばこは成長の妨害者)

2016 Get ready for plain packaging

             (プレーン・バケッジを目指そう)

 

2017年の標語は、いわゆる先進国では禁煙が進んでいるために、たばこ産業は開発途上国を新たな市場として煙草を売り込んでいる状況に対する言葉です。2016年のスローガンは、たばこの箱には健康被害を正確に伝える表現以外のどんなメッセージも使ってはいけない、もちろん色も使わないプレーンなものにすることで、たばこを魅力的なものであるというメッセージを伝えないようにしましょう、という呼び掛けです。

 

この2年とも、厚労省は次のスローガンを採用しています。

 

              2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~

 

                     

Photo

       

 

オリンピックを念頭に置くと理解できなくはないのですが、2015年より前の対比とも関連付けると、別の意図も見えてきます。そしてこの標語は、恐らく2020年まで変えない積りなのだと思いますが、「目指して」は「実現します」ではなくあくまで目指せばそれで良いのですから、強い決意は伝わってきません。「屋内全面禁煙」にならなくても、約束違反にはならないのです。

 

2015 Stop illicit trade of tobacco products

 (たばこ製品の不正な取引をなくそう)

 

[日本政府] 2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~

 

日本社会ではあまり知られていませんが、世界的に売られているたばこの1割は不正な取引によるものだと推計されています。税を払わない分だけ安くなること、法律には従わないパケッジなので健康上の問題が表記されていないなどの弊害があります。

 

2014 Raise taxes on tobacco

 (たばこ税の引き上げを!)

 

[日本政府]  オールジャパンで、たばこの煙のない社会を

 

この辺りから、日本政府の本音が見えてきます。元々は、国有の会社なのですから、税を上げるのは簡単なはずですし、その効果についても十分分っている日本政府が音頭を取って税の引き上げをするのは簡単なことです。でも、「目指して」という緩やかな形さえ取らずに「無視」です。

 

2013 Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship

 (たばこの広告、販売促進、スポンサーシップを禁止しよう)

 

[日本政府]  たばこによる健康影響を正しく理解しよう

 

確かに、広告や販売促進、スポンサーシップを禁止する目的の一つは健康被害の正確な理解ですが、具体的に何をすれば良いのかを提案しているのがWHOのメッセージです。それを薄めて、これまた日本政府がその気になれば明日からでもできる提案を抽象的なお題目に摩り替えています。

 

2012 Stop Tobacco industry interference

 (たばこ産業の干渉を阻止しよう)

 

[日本政府]  命を守る政策を!

 

『たばこ産業の干渉』とは、WHOが発行したパンフレットです。この中で、WHOは世界のたばこ産業が、たばこについての規制をさせないように、様々な形で干渉していることを報告しています。そのような干渉を止めさせようという呼び掛けです。「干渉」とは次のような行為を指しています。

 政治的あるいは立法についてのプロセスを乗っ取ろうと企んでいる。

 たばこ産業の経済的な重要性を誇張している。

 たばこに正統性があるかのように装うための世論操作をしている。

 やらせの団体等を使って、たばこ支持派がいると見せかけている。

 確立された科学的事実の信頼を損なうようなことをしている。

 規制しようとする政府を訴訟によって、あるいは訴訟を起こすと脅すことで圧力を掛けている。

 

これまた、日本政府がその気になれば、かなりの改善がすぐにできることなのですが、この年の禁煙週間で厚労省は「平成24年度においては、喫煙及び受動喫煙による健康被害等についての普及啓発に加え、今年度の世界禁煙デーのテーマである「たばこ産業の干渉を阻止しよう」についても、普及啓発を積極的に行うものである」と述べ、その年に開いたシンポジウムで取り上げられたテーマは、たばこ産業の干渉には触れていません。

「政府における主なたばこ対策」

「次期健康日本21と受動喫煙対策(仮)」

「命を守る政策を!(仮)」

「パネルディスカッション「受動喫煙からみんなの命を守るために(仮)」

 

簡単に比較が終り、納得して貰えると思っていたのですが、結構長くなってしまいました。実は、これ以前にはもっと酷い乖離があるのですが、それは次回に回します。


そしてもう一つ大切なのは、この傾向を逆の方向から見ると、つまり、昔は酷かったけれど今はそれほどでもない、と読むと、厚労省のたばこに対する施策や考え方が少しは改善されている、ということにもなるのです。そして塩崎大臣はその傾向を加速化させ、真面目にたばこ対策に取り組もうとしているように私には見えるのですが、それは私が贔屓目に見過ぎているからなのでしょうか。そのどちらであっても、大臣にはもっと頑張って貰わなくてはなりません。そのために何ができるのかも考えて見たいと思います。

  

 

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コメント

日本は食べるものに関する規制は厳しいが、大気汚染に関しては甘いと言われています。私は喘息なので気象庁が出しているPM2.5などの予測データを見て暮らしていますが、花粉や黄砂の情報は広報しても、より命に関わるPM2.5については非常に消極的な公開に留まっているように感じます。

福島の原発事故後は放射線についてもそうですが、食中毒などに比べ「直ちに影響のない」大気汚染については規制も緩い上に、情報も十分ではなく、かかりつけの呼吸器科の医師も、いつも憤っています。

日本の大気汚染は世界でも上位であり、WHOの調査でも、日本で大気汚染のために死亡する人の数は交通事故死の5倍以上で年間2万5千人と言われています。

肺に毒物を入れることが如何に危険なことなのか、基本的な認識=教育から必要な気がします。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

私たちは胃に入れるものについては敏感でも、肺になると鈍感だという基本的な違いを御指摘下さり、有難う御座います。なぜ日本社会がそんな価値観を持つに至ったのかも知りたいと思います。その辺も含めて、一度、ブログで論じて頂けるとさらに有り難いのですが。

2017年5月25日 (木)

核兵器禁止条約交渉への参加を! ――外務大臣と総理大臣の翻意を促す申し入れをしました――

 

核兵器禁止条約交渉への参加を!

――後世の「笑いもの」にならないために―

 

核兵器禁止条約交渉の後半が615日に再開されますが、その際の議論の叩き台として22日にコスタリカのホワイト議長が草案を公表しました。その中で特に、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)の苦難を心に留める」という文言が採用されていることを高く評価したいと思います。

 

できることなら、この言葉は広島出身の岸田外務大臣が、あるいは「唯一の被爆国」という言葉を良く使う安倍総理が会議に出席した上で、被爆者の立場を世界にアピール。その結果として原案にも盛り込まれた、というシナリオの結果だったら素晴らしかったのに、と残念でなりまません。

 

しかし、このお二人のうちのどちらかが後半の会議に出席し「被爆者の存命中に何とかして核兵器の廃絶を」という流れを作ることは可能です。

 

そのために24日、内閣官房と外務省で、総理大臣ならびに外務大臣あての要請書を担当官に渡してきました。これまでの努力の延長線上にあるのですが、できることなら直接お会いして要請できないかと考えました。お会いできたのは代理の方々ですが、アポ取りをしてくれたのは、広島県選出民進党の参議院議員森本真治氏で同議員の事務所にもお世話になりました。

 

まずは岸田外務大臣宛の要請書ですが、16日に開かれた広島県原水禁の常任理事会で承認された内容です。

 

再び「核兵器禁止条約交渉」への参加を強く求める

――被爆者の悲願実現のために――

 

100-8919

東京都千代田区霞が関2−2−1

外務大臣 

岸田文雄 殿

 

 

核廃絶を求め続けてきた被爆者、平和を希求する広島市民そして日本国民、さらには世界の圧倒的多数の期待を裏切り、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」に不参加を決めたことは大変残念ですが、私たち原水爆禁止広島県協議会は、常任委員会の決議を基に再度、翻意を促します。

被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。その理由については、45日の要請文中、既に触れていますが、今回はその中でも、特に被爆地広島を代表・代弁すべき貴殿の決断への期待がさらに大きくなっていることを強調しておきます。

 

 これまで核なき世界の実現を悲願として世界に訴え続けてきた多くの被爆者が既に鬼籍に入っています。そして、自分たちの生きている間に核兵器が廃絶されることを信じて今でも活動している被爆者たちも高齢化しています。一人でも多くの被爆者が、自らの目で核なき世界の実現を確かめられるよう最大限の努力をするのは、貴殿ならびに日本国政府が徒に回避してはならない義務であります。

 貴殿ならびに日本国政府はしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で誠実に行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう強く求めます。

 

繰り返します。私たち原水爆禁止広島県協議会は常任理事会の決議に基づき、貴殿が、被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、615日から再開される「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

2017524

 

原水爆禁止広島県協議会

                代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

総理大臣への要請書もほぼ同じ内容ですが、一か所、岸田外務大臣を任命した責任ならびにそれに付随して生じる連帯責任の部分が大切だと思いますので、その部分を掲げておきます。

 

また、岸田氏は、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した政治家です。彼がその決意を実行に移すのは今であることは言を俟ちません。岸田氏を外務大臣に任命したことで貴殿は、広島一区選出の岸田外務大臣の義務履行への意志を重んじる責任そして、総理大臣としての連帯責任を負っています。総理大臣としての任命責任を全うすることを強く求めます。

 

内閣官房・内閣総務官室では、調査役の檀原均氏と請願担当主査の日高優介氏が対応してくれました。口頭でも説明をしましたが一切コメントはなく、「伺った内容を起して総理にお伝えします」という言葉が返ってきました。

 

             

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左から秋葉代表委員、森本参議院議員、檀原調査役

 

 

外務省では、軍備管理軍縮課長の村上顯樹氏と事務官の古川祥久氏が対応してくれました。

 

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左から村上課長、森本参議院議員、渡邊広島県原水禁事務局長、秋葉代表委員

 

核兵器禁止条約は国連総会で採択され、世界の圧倒的多数の国々が署名・批准し核保有国と雖も無視できなくなることは、長期的な世界の趨勢を見ると明らかです。要請書には書きませんでしたが、そうなった時に、「唯一の被爆国」である日本政府が不参加だったことは、後世の「笑いもの」になること必定です。そうならないように今、外務省・外務大臣・総理大臣が決断すべきであることを、「武士の情け」で提案しました。


担当部署ということもあり、村上課長からは一応の説明がありました。新しい内容ではありませんでしたが、紳士的かつ丁寧に対応してくれた点は評価したいと思います。

 

外務省としては核保有国も巻き込んでの会議にしたいと思っていること、そのための代替案も示していること、今回の会議には核保有国は全も、核依存国も不参加なので、良い結果にはなないと見極めて日本も不参加になったこと等です。「代替案」というのは、これまでも言い古された「漸進的」進め方で、結局、Aを達成するためにはまずBが必要、そしてそのためにはCが必要、という具合にそれぞれ高いハードルを設けて、何も進まない状態を作った上で、ため息を吐いて「難しい」と嘆く、といったシナリオです。

 

しかし、大切なのは、こんな姿勢で核兵器の廃絶に対応するのは、核不拡散条約の第六条に掲げられている「誠実な交渉義務」違反だという点です。

 

最後に村上課長が強調したのは、「我が国が目指しているのは核廃絶であって、今回の会議の核兵器の禁止ではない。禁止されただけでは廃止されないかもしれない」ということでした。

 

核廃絶のために被爆者と共に世界を駆け巡り、核保有国を説得し、市民団体との連携も深めて、核廃絶につながるあらゆる努力をし尽してきた人がこう言うのならまだ話は分ります。しかし、あらゆる場で「核兵器は国際法違反ではない」ことを主張し、国際司法裁判所での審理に当っては、広島・長崎市長の陳述ができないように働き掛け、マーシャル諸島共和国の国際司法裁判所への提訴も屁理屈で葬り去るなど、とにかく、核廃絶への努力を表から裏からそしてあらゆる角度から妨害してきた外務省が、とても正気では言えない言葉です。

 

しかし、今回の要請が岸田大臣の許まで届けられ、岸田大臣の英断によって、核兵器禁止条約の交渉に6月から参加する可能性についても諦めてはいけないと思います。被爆者の思いと市民社会の良識・そして正気を発信し続けましょう。

  

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