日本政府

2017年5月25日 (木)

核兵器禁止条約交渉への参加を! ――外務大臣と総理大臣の翻意を促す申し入れをしました――

 

核兵器禁止条約交渉への参加を!

――後世の「笑いもの」にならないために―

 

核兵器禁止条約交渉の後半が615日に再開されますが、その際の議論の叩き台として22日にコスタリカのホワイト議長が草案を公表しました。その中で特に、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)の苦難を心に留める」という文言が採用されていることを高く評価したいと思います。

 

できることなら、この言葉は広島出身の岸田外務大臣が、あるいは「唯一の被爆国」という言葉を良く使う安倍総理が会議に出席した上で、被爆者の立場を世界にアピール。その結果として原案にも盛り込まれた、というシナリオの結果だったら素晴らしかったのに、と残念でなりまません。

 

しかし、このお二人のうちのどちらかが後半の会議に出席し「被爆者の存命中に何とかして核兵器の廃絶を」という流れを作ることは可能です。

 

そのために24日、内閣官房と外務省で、総理大臣ならびに外務大臣あての要請書を担当官に渡してきました。これまでの努力の延長線上にあるのですが、できることなら直接お会いして要請できないかと考えました。お会いできたのは代理の方々ですが、アポ取りをしてくれたのは、広島県選出民進党の参議院議員森本真治氏で同議員の事務所にもお世話になりました。

 

まずは岸田外務大臣宛の要請書ですが、16日に開かれた広島県原水禁の常任理事会で承認された内容です。

 

再び「核兵器禁止条約交渉」への参加を強く求める

――被爆者の悲願実現のために――

 

100-8919

東京都千代田区霞が関2−2−1

外務大臣 

岸田文雄 殿

 

 

核廃絶を求め続けてきた被爆者、平和を希求する広島市民そして日本国民、さらには世界の圧倒的多数の期待を裏切り、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」に不参加を決めたことは大変残念ですが、私たち原水爆禁止広島県協議会は、常任委員会の決議を基に再度、翻意を促します。

被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。その理由については、45日の要請文中、既に触れていますが、今回はその中でも、特に被爆地広島を代表・代弁すべき貴殿の決断への期待がさらに大きくなっていることを強調しておきます。

 

 これまで核なき世界の実現を悲願として世界に訴え続けてきた多くの被爆者が既に鬼籍に入っています。そして、自分たちの生きている間に核兵器が廃絶されることを信じて今でも活動している被爆者たちも高齢化しています。一人でも多くの被爆者が、自らの目で核なき世界の実現を確かめられるよう最大限の努力をするのは、貴殿ならびに日本国政府が徒に回避してはならない義務であります。

 貴殿ならびに日本国政府はしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で誠実に行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう強く求めます。

 

繰り返します。私たち原水爆禁止広島県協議会は常任理事会の決議に基づき、貴殿が、被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、615日から再開される「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

2017524

 

原水爆禁止広島県協議会

                代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

総理大臣への要請書もほぼ同じ内容ですが、一か所、岸田外務大臣を任命した責任ならびにそれに付随して生じる連帯責任の部分が大切だと思いますので、その部分を掲げておきます。

 

また、岸田氏は、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した政治家です。彼がその決意を実行に移すのは今であることは言を俟ちません。岸田氏を外務大臣に任命したことで貴殿は、広島一区選出の岸田外務大臣の義務履行への意志を重んじる責任そして、総理大臣としての連帯責任を負っています。総理大臣としての任命責任を全うすることを強く求めます。

 

内閣官房・内閣総務官室では、調査役の檀原均氏と請願担当主査の日高優介氏が対応してくれました。口頭でも説明をしましたが一切コメントはなく、「伺った内容を起して総理にお伝えします」という言葉が返ってきました。

 

             

Photo

               

左から秋葉代表委員、森本参議院議員、檀原調査役

 

 

外務省では、軍備管理軍縮課長の村上顯樹氏と事務官の古川祥久氏が対応してくれました。

 

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左から村上課長、森本参議院議員、渡邊広島県原水禁事務局長、秋葉代表委員

 

核兵器禁止条約は国連総会で採択され、世界の圧倒的多数の国々が署名・批准し核保有国と雖も無視できなくなることは、長期的な世界の趨勢を見ると明らかです。要請書には書きませんでしたが、そうなった時に、「唯一の被爆国」である日本政府が不参加だったことは、後世の「笑いもの」になること必定です。そうならないように今、外務省・外務大臣・総理大臣が決断すべきであることを、「武士の情け」で提案しました。


担当部署ということもあり、村上課長からは一応の説明がありました。新しい内容ではありませんでしたが、紳士的かつ丁寧に対応してくれた点は評価したいと思います。

 

外務省としては核保有国も巻き込んでの会議にしたいと思っていること、そのための代替案も示していること、今回の会議には核保有国は全も、核依存国も不参加なので、良い結果にはなないと見極めて日本も不参加になったこと等です。「代替案」というのは、これまでも言い古された「漸進的」進め方で、結局、Aを達成するためにはまずBが必要、そしてそのためにはCが必要、という具合にそれぞれ高いハードルを設けて、何も進まない状態を作った上で、ため息を吐いて「難しい」と嘆く、といったシナリオです。

 

しかし、大切なのは、こんな姿勢で核兵器の廃絶に対応するのは、核不拡散条約の第六条に掲げられている「誠実な交渉義務」違反だという点です。

 

最後に村上課長が強調したのは、「我が国が目指しているのは核廃絶であって、今回の会議の核兵器の禁止ではない。禁止されただけでは廃止されないかもしれない」ということでした。

 

核廃絶のために被爆者と共に世界を駆け巡り、核保有国を説得し、市民団体との連携も深めて、核廃絶につながるあらゆる努力をし尽してきた人がこう言うのならまだ話は分ります。しかし、あらゆる場で「核兵器は国際法違反ではない」ことを主張し、国際司法裁判所での審理に当っては、広島・長崎市長の陳述ができないように働き掛け、マーシャル諸島共和国の国際司法裁判所への提訴も屁理屈で葬り去るなど、とにかく、核廃絶への努力を表から裏からそしてあらゆる角度から妨害してきた外務省が、とても正気では言えない言葉です。

 

しかし、今回の要請が岸田大臣の許まで届けられ、岸田大臣の英断によって、核兵器禁止条約の交渉に6月から参加する可能性についても諦めてはいけないと思います。被爆者の思いと市民社会の良識・そして正気を発信し続けましょう。

  

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2017年5月21日 (日)

憲法51条も忘れないで下さい ――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

憲法51条も忘れないで下さい

――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

2017517日の衆議院厚生労働委員会で民進党の大西健介議員の次の発言が波紋を呼んでいます。

 

「(美容外科の)CMも陳腐なものが多いんですね。皆さんよくご存じのように、例えば『イエス○○』とクリニック名を連呼するだけのCMとか」

 

これに対して、名指しも同然に例示された高須クリニックの高須克弥院長が「まったく無関係で、僕が悪者の仲間みたいになっちゃうから、怒りますよ」と反発し(Sanspo記事)、大西議員、民進党、同党の蓮舫代表、そして国を相手取って名誉棄損の訴えを起しました。

 

双方の言い分は、HUFFPOSTが引用していますので、それをお読み頂くのが簡単だと思いますが、このニュースから私がすぐ思い出したのは、憲法51条です。


〔議員の発言表決の無答責〕

51両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 

大西議員の言い分も分りますし、事実関係についての高須院長の主張が正しければ、大西議員の発言が誤解を生みかねないという趣旨の院長の言い分も分ります。しかし、それとは別次元のもう一つ大切な点があります。それが憲法51条です。

 

この条文の大切さを理解して貰うために、アメリカの例を引きたいと思いますが、それは劇的な形で議員の良心を賭けた行動が保証される大切さを示しているからです。

 

1941年、対日戦争の開戦を認め、宣戦布告を承認する決議案に、下院議員の中でただ一人反対票を投じたのが、共和党のジャネット・ランキン議員でした。

 

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Rankin's portrait, by Sharon Sprung, in the House of Representatives Collection 

                 

また、2003年の対イラク戦争開戦に下院議員としてただ一人反対票を投じたのは、民主党のバーバラ・リー議員でした。リー議員には何度かお会いしたことがありますが、彼女の勇気ある行動がアメリカ市民だけではなく世界中の多くの人に感動を与え、彼女に続く多くの若者がいることもお伝えしました。

 

現在の日本の政治状況では、与党議員にこのような勇気と良識を求めること自体ナンセンスなのかもしれませんが、その一因になっているのが、「党議拘束」と呼ばれている慣行です。政党が決めた方針に背いてでも自分の良心に従って行動すると、党則によって何らかの懲戒処分を受けることを指しています。

 

政党は憲法51条の規定の中にある「院外」の存在ですから、そこで処罰を受ける謂れはないはずなのですが、アメリカの場合と違って「党議拘束」が厳しく課せられているのが日本の現状です。

 

大西議員と高須院長の見解の相違を超えた次元で、もう一度「党議拘束」と議員一人一人の良心にあり方についての議論が始まれば素晴らしいのですが------

 

 

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コメント

小選挙区も党議拘束も間接民主主義を危うくするもので、アメリカでは小選挙区を基本としながらも、司法の独立性や党議拘束がないことなどと合わせて、最後の最後は民主主義に期待できるのではないかと感じますが、報道の自由度ランキングまで下がり続ける日本では絶望すら感じることがあります。

ただ、そんな政治状況でも日本は素晴らしいものが多く、それは単に地政学的なものだけではなく、遺伝的なものだけでもなく、ここに暮らす人々の良識と誠意であり、それだけに伸び代はまだまだあり、希望もあるのだとも思います。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。おっしゃる通り、権力を握る側が劣化し制度の面でもそれに釣られての改悪が続く中、それでもまだ希望が持てるのは市民の側の良識と誠意なのだと思います

東京中心の表現になってしまいますが、「江戸っ子」という言葉が伝えたかったのは、そんな庶民の心意気なのかもしれません。

まだ生まれていない未来の世代からの声を汲み取ることで、私たちもまだまだ踏ん張りなさいという、激励の声にも聞こえます。

2017年5月20日 (土)

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし ――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし

――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

2017519日、衆議院の法務委員会で自民・公明・維新は、「強行採決」によっていわゆる「共謀罪」新設法を可決しました。2015年の919日には参議院での強行採決によって「戦争法」が可決されたことを思い起すと、政府・与党は「19日」に特別の意味を持たせているのかもしれません。

 

一つの可能性ですが、彼らが多数を恃んで「強行採決」連発している事実を少しは疚しく思っているのだとしましょう。仮に強行採決の日にちが5日、12日、それに19日といった風にずれると抗議行動が毎週行われるような結果になります。それぞれ違った内容ですから、道行く人たちもさすがに、政府・与党が如何に酷いことをしているかに気付くではありませんか。

 

戦争法を廃止させるための行動を毎月19日に続けていた「戦争をさせない広島1000人委員会」は19日、「共謀罪」法案の強行採決への抗議と参議院での廃案を目指すというもう一つの目標も掲げて本通りの青山前で街頭行動を行いました。集まってくれたメンバーは60人を超えました。また、たまたま通り掛かった市民の方々の中からも、チラシを持ってアピールすることで私たちと行動を共にしてくれる新たな仲間も現れるなど、大変心強い一時間になりました。

 

               

Photo

             

街頭行動の一場面

 

このところ立て続けにニュースになっている、「2020年までの改憲」「高浜原発の再稼働」「加計学園への便宜供与」等、一見無関係のように見えますが、より大きな枠組みの中に置いてみると、底辺でしっかりつながっている様子がハッキリします。この点については改めて解説させて下さい。

 

また、共謀罪についての問題点は多過ぎて手短に説明するのは困難ですので、これも回を改めて詳しく論じたいと思います。

 

今回は街頭行動に先駆けて、広島県知事そして広島市長への申し入れを行いましたので、その報告をさせて下さい。

 

国連で3月から始まった核兵器禁止条約締結のための交渉ですが、日本政府は参加していません。アメリカをはじめとする核保有国も当然、参加していないのですが、世界の市民団体の多くの支持ならびに参加を得て、志を同じくする世界の圧倒的多数の国々が進めてきた核兵器禁止条約制定の動きは大きな流れを作りつつあります。今の会議で条約案が採択されれば、国連総会では圧倒的多数の賛成票によって正式に国連の認める条約として、各国の署名そして批准を待つことになります。

 

今の段階では、このような動きを無視している核保有国ならびに、日本、韓国、オーストラリア等の「核依存国」もやがてはこの条約に参加せざるを得なくなります。しかし、「唯一の被爆国」だと世界に向けて言い続けてきた日本政府が、この条約案の審議には参加していなかった、そして後になって渋々その存在を認めることになった、というのではあまりにも情けないではありませんか。

 

しかもそれが、爆心地を選挙区としている外務大臣の任期の最中の行われることになると、後世の人たちから呆れられても仕方がありません。

 

そんな事態にならないよう、6月に再開される禁止条約締結のための交渉に日本政府も参加するよう、再度翻意を求める要請を外務大臣と総理大臣にする予定です。

 

しかし、この気持はただ単に広島県原水禁に止まるものではありません。広島市民・県民全ての願いであるはずです。知事も市長もその点は理解してくれています。それぞれ外務大臣そして総理大臣にその旨の要請をしています。

 

しかし、その効果は挙っていないのです。被爆者は高齢化していますし、被爆地を代表する政治家が外務大臣を務めるという「好機」も半世紀に一度あるかないかの出来事です。その機会を生かすためには、市長・知事に音頭を取って貰い、「全ヒロシマ」の陳情団を組織して外務大臣と総理大臣の説得に当るくらいの覚悟が必要なのではないでしょうか。

 

その趣旨を簡明に記した市長への要請書を以下に掲げます。

 

要請書

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める共同行動のお願い

 

730-0042

広島県広島市中区国泰寺町1丁目634

広島市長 

松井一實殿

 

私たちは、被爆者や平和を希求する広島市民・広島県民、さらに日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことを到底容認し難く強く抗議してきました。

それだけではなく、日本国政府には翻意を促してきています。すなわち、被爆者と世界の人々に対して、被爆国として果たすべき責任を再確認し、できるだけ早く「核兵器禁止条約交渉」に参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを日本国政府に求めてきました。

特に安倍総理大臣と岸田外務大臣がそれぞれ「被爆国」あるいは「被爆地」の代表としての責任を果すよう求めています。御参考までに両大臣への要請書を同封致します。松井市長・湯崎知事にも広島市民・広島県民の代表として総理大臣・外務大臣に対して同様の働きかけを行って頂くよう、できれば私たちの先頭に立ち、被爆者団体や平和団体等にも呼び掛けた上、「ヒロシマの声」を総理大臣ならびに外務大臣に直接届け要請する行動をオーガナイズして頂くようお願い申し上げます。

時間は迫っています。今行動しないと、被爆者の存命中の核兵器廃絶という目標に到達できないかもしれないという、瀬戸際です。

 

2017517

 

原水爆禁止広島県協議会

代表委員 秋葉 忠利   

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

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広島市の谷本市民局長に要請書を託す

 

 

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広島県の下崎課長に趣旨説明

 

 

 

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2017年5月 7日 (日)

総理大臣には憲法遵守義務があります ――しかし、私たちの想像以上に事態は深刻です――

 

総理大臣には憲法遵守義務があります

――しかし、私たちの想像以上に事態は深刻です――

 

2020年には改憲し新憲法を施行すると総理大臣が明言しました。主目的は9条に項目を追加して自衛隊を明文化することですが、自衛隊を合憲化するには、自衛隊の任務から軍事的側面を削除すれば良いことは、すでに述べた通りです。

 

それ以上に問題なのは、総理大臣がこのような発言をすること自体、憲法違反だということです。総理大臣だけではなく、全ての公務員は憲法遵守義務を負っています。この点については、昨年の憲法記念日にも言及していますが、改めて憲法遵守の規定である憲法第99条の条文を掲げます。


99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

ここで使われているのは「尊重」と「擁護」ですが、簡単に「遵守(じゅんしゅ)」とまとめて、「遵守義務」と書くことにします。これが大変重い規定であることはお分り頂けると思います。何しろ、天皇にまで憲法遵守義務があるのですから。

 

             

Photo

               

文部省の『あたらしい憲法のはなし』から

 

自衛隊の「明文化」がそれほど重要なら、すでに明文化されている憲法99条の規定を忠実に守るべきはずなのですが、この点についての論理は一貫していません。

 

また憲法を「尊重し擁護する」ことイコール「改憲」では辻褄が合いません。改憲せずに憲法を「そのまま」尊重し擁護することだと読むのが自然なのではないでしょうか。

 

しかし、先日指摘したように、これまで憲法を蔑ろにしてきた人たちの常套手段は、憲法に明文化されていないこと、あるいは明文化されていることでもそれを無視して、戦争を正当化し軍国主義路線を実現することでした。自衛隊が明文化された暁には、まだ明文化されていないより大きな次の目標が待ち構えています。それは、核兵器を持つことです。そのための第一歩を踏み出す企みに同調することこそ無責任です。

そして戦争を美化し戦意を高揚、軍事路線こそが唯一の選択肢であるかのようなデマで多くの人々を洗脳するために自民党・公明党政権が恥も外聞も忘れて採用してきたのが、戦争放棄を謳った憲法第9条を無視し、軍隊を保持、さらには海外派兵まで可能にするシナリオでした。

 

しかし、これが憲法遵守を定めた99条違反であることは疑う余地もありません。しかし、「敵」もしたたかです。これも何回か指摘していることですが、憲法を遵守することは「法的義務」ではなく「道徳的要請」であるという判決が確定しています。

 

1977217日、水戸地方裁判所による百里基地訴訟の第一審判決では、「憲法遵守・擁護義務を明示しているが、これは、道義的な要請であり」法的義務ではない、との判断が示されていますし、198177日に東京高等裁判所による控訴審判決では、憲法99条は「憲法を尊重し擁護すべき旨を宣明したにすぎない」と述べられています。

 

こんな御託宣があれば、総理大臣が良心の呵責はほとんどなく、とは言え道徳的には問題のあることくらいは理解してくれていると思いたいのですが、期限付きの改憲を「宣明」できるのかもしれません。

 

事態がこれまで私たちが考えていた以上に深刻なことは御理解頂けたと思いますが、さてどうすれば良いのでしょうか。当面思い付くのは、既に多くの皆さんが行動に移していることです。

 

改憲を許さない野党が協力して統一候補を立て、次の選挙で勝利すること、そして安倍内閣を退陣に追い込むことが急務です。選挙に勝つための作戦を立て、できるだけ多くの市民が参加できる体制を作って、動き始めましょう。

 

 

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2017年5月 4日 (木)

憲法記念日は改憲阻止の日になりました ――まずは野党共闘で安倍内閣を退陣に追い込む――

 

憲法記念日は改憲阻止の日になりました

――まずは野党共闘で安倍内閣を退陣に追い込む――

 

こともあろうに憲法記念日を選んで、2020年までの改憲、そして改悪された憲法の施行を、安倍総理が明言しました。憲法9条の第一項、第二項はそのままにして、自衛隊の存在を許容する旨明文化するのが目的だそうです。

 

             

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自衛隊の存在を「合憲化」することが目的なら、もっと簡単な方法があります。自衛隊の任務から、軍事的側面を取り除き、自然災害その他の災害救助を主任務とすれば良いのです。この考え方については、またの機会に詳しく述べたいと思いますが、今、頭に浮んだ二三の思いをお読み頂ければ幸いです。

 

 まず、改憲を許さない野党が協力して統一候補を立て、次の選挙で勝利すること、そして安倍内閣を退陣に追い込むことが急務です。選挙に勝つための作戦を立て、できるだけ多くの市民が参加できる体制を作って、動き始めましょう。

 

 また安倍総理は改憲派に向けたビデオの中で、言うに事欠いて「多くの憲法学者や政党には自衛隊を違憲とする議論が今なお存在する。あまりにも無責任だ」とまで宣っています。しかし、これには世論を誘導する意図があります。

 

災害等で自衛隊に助けられた人、救助活動の報道を見て感動した人たちは多くいます。そのこととは別の次元で、自衛隊の存在を認めないという議論には確固とした法的な根拠があります。その点を誤魔化して、「あんなに立派な活動をしている自衛隊を『違憲』だというのは無責任だ」と糾弾する摩り替えを行い改憲に好意的な世論を作る、という意図です。

 

 「自衛隊の明文化」という言葉に騙されないで下さい。これまで憲法を蔑ろにしてきた人たちの常套手段は、憲法に明文化されていないこと、あるいは明文化されていることでもそれを無視して、戦争を正当化し軍国主義路線を実現することでした。自衛隊が明文化された暁には、まだ明文化されていないより大きな次の目標が待ち構えています。それは、核兵器を持つことです。そのための第一歩を踏み出す企みに同調することこそ無責任でしょう。これについても、再度取り上げたいと思います。

 

 「周回遅れの世界観」は破滅への道です。かつての歴史を振り返っても、「大日本帝国」は世界の変化を認識することができず、周回遅れで自分が先頭を走っている積りになっていました。1939年にナチスがポーランドに攻め込んで第二次世界大戦が始まり、日本はその翌年1940年にそのナチスならびにイタリアと三国同盟を締結し、1941年にはアメリカとの戦争を始めました。当時の為政者たちには、それが時代の最先端の動きに乗っていると見えたのかもしれません。でも、その4年後、1945年には原爆そして終戦が待っていました。

 

2020年は3年後ですが、4年後、5年後も一緒に考えて見たらどうでしょうか。かつての日本が「ナチス」と組んでから5年後には、周回遅れの現実が突き付けられたのですが、2017年版の「ナチス」は何を指すのかをしっかり見据えなくてはなりません。この点についても再度、詳説したいと思います。

 

 

 

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2017年5月 3日 (水)

日米憲法事情 ――アメリカは最高裁、日本は内閣が憲法破壊?――

 

日米憲法事情

――アメリカは最高裁、日本は内閣が憲法破壊?――

 

最初にお詫びです。昨日の記事は、「いのちとうとし」さんの担当だったのですが、それを失念していて私が割り込むような形になってしまいました。申し訳ありませんでした。昨年も好評だった渓流釣りの記ですので、まだお読みになっていない方、是非、御一読下さい。

 

もう一つ、「さっちさん」が指摘して下さったように、Sさんから頂いたのは「ゼンマイ」ではなく「ワラビ」でした。御指摘有難う御座いました。

 

さて今日は憲法記念日、しかも憲法施行70周年という記念の年です。立憲政治・民主主義・そして平和な生き方を守るために決意を新たにしたいと思います。

 

           

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この70年間、日本国憲法が様々な試練を潜ってきたことは御存知の通りですが、特に安倍内閣になってからの状況は目に余ります。何とかしなくてはならないという気持だけはあってもどうすれば良いのか、なかなか具体的かつすぐ行動に移せるアイデア、しかも必ず効果の上がる方策を思い付かないのは残念なのですが、ちょっと枠組みを変えて考えて見たらどうかなと考えて見ました。それは日米の憲法を比較することです。そこから何らかのヒントが得られるかもしれません。

 

議論を簡単にするために、前から取り上げている、「選挙を金で買える」ことにしてしまったアメリカの最高裁判所の判断を取り上げます。

 

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By Noclip at en.wikipedia - Transferred from en.wikipedia, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4051476

アメリカの最高裁判所、夕暮れ時の正面玄関です

 

世界で一二を争う資産家であるコーク兄弟の作ったネットワークに属する「United Citizens」という組織が、2010年に「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」という最高裁判所の判決を勝ち取りました。詳細は、27日付の記事に掲載しましたが、要点だけ抜き取って再掲します。

 

2008年にCitizens United という、コーク兄弟から膨大な資金を受け取っている団体が、ヒラリー・クリントン候補についてのネガティブ・キャンペーンの一環としてオン・デマンドのビデオを作り、そのビデオを宣伝するメディア・キャンペーンを精力的に行いました。連邦選挙委員会(FEC)は、これが超党派キャンペーン改革法違反だと判断して、中止命令を出したのですが、CU側は、表現の自由を保障している憲法の修正第一条違反であることを理由に、裁判を起こしました。

最終的には最高裁判所が判決を下したのですが、その判断には重要な4つのポイントがあります。

① FECそして、超党派キャンペーン改革法は、憲法の修正第一条違反を犯している。

企業にも、個人と同様に「表現の自由」が与えられている。それは「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されているからである。

巨額の資金が使われているという事実だけから、政府がそれを「腐敗」であると断定することはできない。つまり、いくら以上なら腐敗であり、それ未満ならそうではないという客観的な基準を設けることができないからである。

支出額の制限を加えることは、市民の知る権利を侵害する可能性がある。情報を広げるのにはお金がかかるという理由で作られた規制によって、ある情報が隠されてしまうのは市民の知る権利の侵害になり得る。

この結果、CUそしてコーク兄弟、ならびに多くの億万長者たちは、選挙戦を勝つためには無制限に自分たちの資産を使えるようになり、アメリカ社会は大きく変りました。

 

ここで憲法に関連して大切なのは、②に掲げられている「「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されている」です。「どのような主体」の中には当然企業が入るからです。

 

つまり、アメリカ憲法で保障されている「表現の自由」を享受する主体には、私たち人間、形容詞を付ければ、人間として生れ「自然人」としての権利を受ける立場の私たちだけではなく、「法人」として、法律的に人格を認められている存在まで含まれているということです。

 

法律的な契約は人間と人間の間で行われるのが自然なのですが、経済活動を行っている企業が企業という立場で契約を行えなくなるととても不便です。法人がこうした経済活動を行えるように法律を整備するのは「合理的」だと考えられます。

 

わが国でもこの点が大きく取り上げられ、「特定非営利活動法人」、略して「NPO法人」に法人格を与える、という法整備が1998年に行われました。それまでは、多くの市民活動の団体は単なる「任意団体」としてしか認められず、その結果「法人格」がないため、活動するために事務所を借りたり、電話の契約をしたりするときにも団体名での契約はできませんでした。メンバーの一人の名義で契約を行わざるを得ず大変不便だったのです。

 

企業やその他の団体に「人格」を与えることにそれなりの合理性があることは御理解頂けたとして、では、その「人格」が享受できる権利はどのくらい広いものなのか、というのが、2010年のアメリカ最高裁判決の焦点でした。例えば、テレビ局や新聞社には「表現の自由」が認められています。それを敷衍して、マスコミという事業をしていない企業、例えば極端な例を挙げれば兵器を作っている企業にも、同じように「表現の自由」があるのだという結論です。

 

日本では、特定秘密保護法や共謀罪といった形で「表現の自由」を制限する方向性が強く打ち出されています。単純化するとアメリカでは逆に、「表現の自由」が企業や団体にも広範に認められ、それが民主主義の危機として捉えられているという、一見相反する方向性を示す問題を抱えているように考えられます。

 

事実、アメリカで今、大きな運動になっているのは、「企業は『人(person)』ではないことを憲法の修正、あるいは法律の整備によって確認しろ、という声なのです。

 

日本の法律では、企業が選挙のために無制限に資金を投入することは認められていませんから、それだけ見ると、日本の方がまだましな状況にも見えますが、問題はそれだけではありません。以下、次回に続きます。

 

 

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2017年4月16日 (日)

「Xデー」に何が起きるか ――4月15日午後9時時点では大事に至ってはいませんが――

 

Xデー」に何が起きるか

――415日午後9時時点では大事に至ってはいませんが――

 

415日は北朝鮮では金日成生誕105周年イベントが開かれ、韓国では大統領選挙の候補者登録、そしてアメリカの空母カール・ヴィンソンが北朝鮮を睨む公海に展開といった緊迫した状況下、この日を「Xデー」とみる予測が目立ちました。

 

             

Photo

 

空母カール・ヴィンソン (米海軍省のホームページから)


北朝鮮が核実験をするあるいはミサイルを発射する、アメリカが北朝鮮に対して攻撃を行う等の可能性の指摘でしたが、幸いなことに15日の午後9時時点ではこれらの可能性のどれも現実にはなっていません。

 

とは言え、一触即発の状態であることは論を俟ちません。以前も御紹介した平和活動家のジョン・ハラン氏は最悪のシナリオとして次のような可能性のあることを、発信しています。

 

北朝鮮が核実験を行いそれに反応してアメリカが北朝鮮を攻撃、さらにそれに対抗して北朝鮮が①通常兵器でソウルを攻撃する、あるいは②核兵器で、ソウル、上海、東京あるいはその距離にある他都市を攻撃する、という可能性を指摘しています。それに対してアメリカ、中国、あるいはロシアが何らかの対応をすることになり、北朝鮮が全面的に破壊される結末を迎えるという、絶対に起きては欲しくないシナリオです。

 

軍事行動とともにアメリカが歴史的に手を染めてきたのは、「暗殺」ですが、それを踏まえて考えると、「緩和ケア医」さんの予想にはそれなりの説得力があるように思います。とは言え、それで「問題解決」ということにはにはなりそうもありません。

 

しかし、北朝鮮はICBMの「保有」を誇示するという愚を続けていますし、対するアメリカ側は軍事力や経済力で相手を捻じ伏せようという姿勢を変えていません。

 

しかし、こんな時だからこそ頭を冷やして、ことによると億の単位の人たちが被害を受けるシナリオを、ハラン氏の表現を借りれば「正気の洪水」によって元に戻す努力をしなくてはならないのではないでしょうか。

 

東京新聞の412日の社説で、半田滋氏が説いているのも正にこの点です。

 

「トランプ米政権は北朝鮮に対する先制攻撃を否定していないが、日本や韓国が受ける被害はだれが攻撃しても変わりない。日本がとるべき道は米国に対し「北朝鮮との対話に乗り出し、その過程で核・ミサイルの放棄を求め、見返りに平和協定を結んで北朝鮮に『米国は攻撃しない』という保障を与えるべきだ」と強く進言することである。」

 

今の時点で対話の必要性を説いても手遅れだ、と言われるかもしれません。でも、まだ手の打てるときにでさえ何もして来なかった付けが今になって回ってきたのですから、これ以上の被害が出る前に、事態を平和裡に解決する努力をしても罰は当らないはずです。

 

 

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コメント

恥ずかしながらコメントいたします。
nancyです。

「正気の洪水」によって元に戻す努力をしなくてはならない。
本当にその通りだと思います。

戦争も経済も環境問題も
その根幹は人の心が
国や民族や宗教で分断され
バランスを失っているから起こること。

命も心もつながっているイメージを持つことが大事なのではないかな…
と思っています。

甘い夢想家だと笑われるかもしれませんが…

「Nancy」様

コメント有り難う御座いました。おっしゃる通りです。

9mm Parabellum Bulletというロックバンドも、Wanderlandという曲の中で同じことを歌っています。

「正気の洪水」が世界を包み込むよう、頑張りましょう。

「正気の洪水」。その手でしたね!
ついつい、「狂気」を批判することにばかり、エネルギーを取られてしまうので、反省です。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。「言うは易し」という側面もありますが、言い続けることの大切さを噛み締め、小さな波作りのための努力から始めましょう。

私たちが勘違いしていることは、北朝鮮は中国やロシア以外にもたくさんの国と国交があることです。国際的に孤立していないのですね。
どうしても戦いたいのなら、中国も含めて兵糧攻めしかないのでしょうが。
トランプ政権で北朝鮮対策が強行的になっているように感じますが、私はそれ以前から強化されていたと思ってます。それは岩国基地の在日米軍の強化です。
その岩国基地の強化を岩国市民が選挙で選んだことで、岩国市はミサイルの標的になってしまってますね。
軍事強化は、平和への道のりには含まれないということですね。
戦争で利益を得るのは、軍需産業とその株主だけであり、北朝鮮にも韓国にも日本にも国民にはなんの利益はないでしょうね。
今回の件で日本とアメリカの利害は一致してますね。戦争をすることでなくその危機を煽ることで、トランプ大統領と安倍首相は絶対政権を作ることに。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

沖縄の負担を軽くするために、米軍の一部を沖縄から岩国に移すのだという説明もされていますが、総量は多くなっていることを隠すために使われていてもおかしくはありません。

かつて、「列強」が「帝国主義」で先頭を切っていることだけを見て、「追い付け追い越せ」で頑張った日本が、時代の変化を読み取れずに周回遅れの破滅に陥ったのと同じことを今また繰り返していることに気付かず、同じ轍を踏んでいるのは残念ですね。

2017年4月 4日 (火)

総理大臣と外務大臣への抗議文 ――情理を尽して翻意を促している積りです――


総理大臣と外務大臣への抗議文

――情理を尽して翻意を促している積りです――

 

先週開かれた国連の「核兵器禁止条約締結のための交渉」に日本政府は参加しませんでした。会議の議長はコスタリカのゴメス大使が務めましたが、出席した市民社会のリーダーたちからは会議そのものが順調にスタートしたとの報告がありました。

 

               

Photo

             

 

既にこのブログに書かせて頂いたように、私自身は「堪忍袋の緒が切れた」状態だったのですが、少し冷静になって、総理大臣と外務大臣に抗議し翻意を促す書簡を書いてみました。広島県原水禁としての強い意思表示です。

 

近日中に二人に届けること、そして広島市長と広島県知事にも、もう既に行動を起しているかもしれないのですが、同様の働き掛けをして貰うよう要請したいと思っています。どんな形でも結構ですので、皆さんにも共同行動に参加して頂けると幸いです。

 

総理大臣と外務大臣では、内容が微妙に違いますので、以下、両方を掲げさせて頂きます。

 

 

(A) 安倍総理大臣への書簡

 

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める

 

内閣総理大臣 安倍晋三 殿

 

本年322日付の私たちの要請にもかかわらず、また、広島をはじめとする被爆者さらには平和を希求する広島市民、日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことは到底容認し難く強く抗議します。

「過ちて則ち改めるに憚ること勿れ」と論語にあるように、被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。以下、何点か理由を述べておきます。

 

 「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」という貴殿の断定に対しては、そもそも「分断」の原因が、核不拡散条約(NPT)6条に義務付けられている「誠実な交渉義務」を核保有国が果してこなかったからであり、「分断」を解消するためには、第6条の遵守そしてその一歩である今回の交渉への参加が最も効果的であることを指摘しておきます。

 さらに「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」は「語るに落ちた」典型です。第6条の「誠実な交渉義務」を果していない核保有国は既に、「誠実に参加すること」を拒否しているのですから、これは理由になりません。自ら作った「困難」さは、交渉に参加することでしか解消されません。

 さらに日本を含む核依存国がこうした核保有国の姿勢を忖度し支持してきたことが状況を悪化させてきた責任も問われます。

 貴殿ならびに日本国政府がしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員を外務大臣に起用したことは、上記の責任を果すというさらに明確な意思表示であり、特段に重い責任を貴殿が負っていることを意味します。

 仮に禁止条約ができたとしても「北朝鮮が守らないかもしれない」とのアメリカ側の心配は、トランプ大統領が選挙期間中に行った約束通り、北朝鮮との対話を行い、その際に貴殿も同席して北朝鮮を説得するという努力をした後で考えても十分間に合うことです。「まず隗より始めよ」ですから、アメリカこそ、交渉の場に加わってお手本を示すべき立場なのではないでしょうか。

 

被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

20174月〇日

 

原水爆禁止広島県協議会

 代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

           

           

(B) 岸田外務大臣への書簡

 

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める

 

外務大臣 岸田文雄 殿

 

本年322日付の私たちの要請にもかかわらず、また、広島をはじめとする被爆者さらには平和を希求する広島市民、日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことは到底容認し難く強く抗議します。

「過ちて則ち改めるに憚ること勿れ」と論語にあるように、被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。以下、何点か理由を述べておきます。

 

 「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」という貴殿の断定に対しては、そもそも「分断」の原因が、核不拡散条約(NPT)6条に義務付けられている「誠実な交渉義務」を核保有国が果してこなかったからであり、「分断」を解消するためには、第6条の遵守そしてその一歩である今回の交渉への参加が最も効果的であることを指摘しておきます。

 さらに「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」は「語るに落ちた」典型です。第6条の「誠実な交渉義務」を果していない核保有国は既に、「誠実に参加すること」を拒否しているのですから、これは理由になりません。自ら作った「困難」さは、交渉に参加することでしか解消されません。

 さらに日本を含む核依存国がこうした核保有国の姿勢を忖度し支持してきたことが状況を悪化させてきた責任も問われます。

 貴殿ならびに日本国政府がしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう、求めます。

 仮に禁止条約ができたとしても「北朝鮮が守らないかもしれない」とのアメリカ側の心配は、トランプ大統領が選挙期間中に行った約束通り、北朝鮮との対話を行い、その際に貴殿も同席して北朝鮮を説得するという努力をした後で考えても十分間に合うことです。「まず隗より始めよ」ですから、アメリカこそ、交渉の場に加わってお手本を示すべき立場なのではないでしょうか。

 

被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

20174月〇日

 

原水爆禁止広島県協議会

代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

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2017年3月30日 (木)

核兵器禁止条約交渉開始 ――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――


核兵器禁止条約交渉開始

――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――

 

現地時間327日に、国連で核兵器禁止条約締結のための交渉が始まりました。日本は、高見沢軍縮大使が「この交渉には参加しない」という演説をしただけで、今後の交渉には参加しないことを表明しました。

            

Photo

                 

核兵器禁止条約交渉一日目

 

昨年10月に交渉開始の決定をした国連の第一委員会でも日本は反対をしましたが、その時以来主張は一貫しています。今回の言葉は、「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」そして「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」。

 

こうした言葉が如何に空虚で出鱈目か、さらには知性も良識もかなぐり捨てアメリカの意向を忖度し、日本も核兵器を持ちたいという妄想に操られている結果だということは何度も指摘していますが、このブログの昨年1030日の「核兵器禁止条約締結への大きな一歩!112日の「外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか」、そして同3日の「「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省」を再度お読み頂ければ幸いです。

 

こうした日本政府の「情けなさ」、「傍若無人」振り、「破廉恥」さ、等々、どう私たちの気持を表現すれば胸が晴れるのか思いあぐねている方には、ジョージ・オーウエルの『1984年』をお勧めしましたが、今回は「我慢するのももう限界だ」という皆さんとともに行動しようという決意表明ができればと思います。

 

私が「限界」を感じている理由をもう一つ挙げておきましょう。「国家」とは国際社会で、その国に属する人間の生命・財産や意向を代表し代弁する義務を負っていると考えられます。集団自衛権を認め自衛隊の海外派兵も容認しろと政府が言った時には、海外に住む日本人の生命を保護するためだという理由を上げたのですから、この点は政府も認めなくてならないはずです。

 

さて、核兵器廃絶の議論を国際的に行う際、当然被爆者の体験やそれに基づいた被爆者の意向を国際社会に伝え、その意向が実現されるため他の国家に働きかける役割は、どこかの国家が行わなくてはなりません。それはどこの国なのでしょうか。

 

国際社会では日本政府が「唯一の被爆国」だと言い続けているのですから、当然、日本でなくてはなりません。その日本政府は、核兵器を禁止しようとする国々が苦労の末に、「交渉開始」まで漕ぎ着けた核兵器禁止条約締結のための会議に参加しないと、「堂々と」述べています。

 

これは被爆者に対する「裏切り」だと表現されていますが、それだけではありません。日本という国家が被爆者の存在を重んじ彼ら彼女らの意思を国際社会で「自国民」の言葉として代弁することを拒否しているという事実は、世界中の200近い国家の中で、被爆者の生命や体験、そして哲学を、国連を含めた国際社会で代表する国、代弁する国が一国もないということに他なりません。

 

単純化すれば、被爆者の存在を無視している日本という国家は、事実上被爆者がいないも同然の扱いをしているのですから、それは、国際社会という枠組の中で被爆者を抹殺したことになります。そんな国家に対して手を束ねていても良いのでしょうか。

 

日本が始めた戦争という枠組みの中でアメリカの投下した原爆によって殺され、あるいは負傷し地獄の苦しみを受けてきた被爆者たちが、核兵器の廃絶が現実的な課題として国際社会で取り上げられている今、今度は自国という国家によって「存在しない」も同然という、過酷な運命を背負わされていることに、今こそ私たちは真っ正面から向き合うべきなのではないでしょうか。

 

どはどうすれば良いのかですが、次回は私たちも覚悟を新たにして、安倍総理大臣、岸田外務大臣、国会議員、広島県知事、広島市長等に働き掛けるときが来たことを確認したいと思います。

 

 

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2017年3月29日 (水)

凄い人にお会いしてきました その2 ――何十年も続く運動を構築したTさんをお手本にしよう――


凄い人にお会いしてきました その2

――何十年も続く運動を構築したTさんをお手本にしよう――

 

「雑草グループ」は、活動形態を変えて続いているようですが、「雑草グループ」の活動の様子をA3の用紙4ページにまとめた記録にも圧倒されました。

 

                   

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そして現在進行形の活動も「凄い」のです。何十年も素晴らしい運動を続けて来られたエネルギーには完全に脱帽です。誰にでもできることではないかもしれませんが、それを実行してきた人がいるのですから、Tさんをお手本にして私たちも頑張る上での目標にしたいと思います。

 

まず、Tさんの特技である洋裁を26歳の時から教え始め、それが今でも続いていることです。それは洋裁もさることながら、お喋りが楽しくて続けている人がほとんどだということらしいのです。「少し年取ってきたからそろそろ止めようか」とTさんが言ったところ、「止められたらお喋りを楽しめるところがなくなる」「ここがなくなったら鬱になる」という声が続出し、その結果、現在でも間続いているという約60年の記録になっています。Tさんが、多くのお弟子さんの中にある「The Better Angels of Our Nature」を引き出せる良きリーダーだということを示すエピソードです。

 

1995年の阪神淡路大震災の時には、地域での助け合いが如何に大切なのかに気付き、そのために「つたの会」を立ち上げ、近隣の48軒が集まって今でも防災訓練などを続けているそうです。

 

YWCAでは、1960年代から日本の大学や大学院で勉強する留学生のための「里親制度」を作って留学生支援をしてきたそうなのですが、それが関西にはないから作れないかと相談を受け、1970年から大阪のYWCAでもその制度を作り、それから45年間「里親」として活躍、世界に親戚ができたそうです。最近、Tさんの家で、これまで留学生としてお世話をした人たちが集まって「同窓会」を開いたときの写真を見せて貰いましたが、テーブルの上に並んでいる料理は一流ホテルのパーティーのように豪華なものでした。それも全部Tさんの手作りだとのこと。「今度はあなたたちに御馳走するから、大阪までいらっしゃい」とお誘いまで頂きました。

 

そんな活動をしている内に、日本がどんどん右傾化していることに黙っていられなくなり、平和運動にも関わり始めました。

 

例えば、昨年1115日には、「戦争法違憲訴訟」で戦争体験を陳述しています。京都と兵庫での男性一名ずつの陳述に互してのTさんの陳述は裁判官5名、国の弁護士10名、Tさんたちの弁護士3名、役員7人、傍聴者約70人の前でのものでした。

 

そのすぐ後、1120日には、沖縄の「高江の森が泣いている」のDVDを借りて、42人が参加する上映会を開催、そこでTさんが仲間と一緒に辺野古の座り込みに参加した時の模様も報告したそうです。

 

某新聞の報道が、事実を曲げ市民の立場を無視していたときには、自分でも抗議の手紙を出すだけではなく、30枚ものハガキを買い、表には新聞社の住所と名前、担当者と編集局長の名前を書き、友人には、何が問題なのかを説明して、それぞれの名前で、抗議の手紙を出して貰うこともしたそうです。


まさにマイケル・ムーア監督の推奨する「トランプをやっつけるための10のアクション・プラン」の日本版です。

 

広島に来られる前に頂いた手紙にはTさんの熱い思いが綴られていました。「私は命を一番大切に思っております。(中略) 秘密保護法案、憲法9条改悪、集団的自衛権、原発、PTTと次々に強行採決する異状、福島の放射能も止められず大雨が降ると垂れ流し、被災者5万人は今も仮設住宅、それなのに稼働を進めて行く首相、議員の無神経さは全く理解できません」

 

平和公園の桜を楽しみに来て頂いたのに、桜の開花はまだでした。でもTさんのお話で、私たちの心の中では桜の花が満開でした。卒業式ワンコイン・シンポジウムでは40代の「若者」に背中を押され、今回は84歳の先輩に手を曳かれるような感じで、強力なエネルギーを貰うことができました。

 

その翌日には東京に飛んで、「京の昼寝」どころか「京の勉強」振りを堪能しました。問題は、頭に浮かんだアイデアを全て実行するには時間が足りない、ということです。でも一つずつ片付けて行きたいと思っています。

 

 

 

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