日本政府

2017年3月26日 (日)

軍事研究について学術会議が新声明 ――過去二回の声明を「継承」――



軍事研究について学術会議が新声明

――過去二回の声明を「継承」――

 

昨年9月に、軍学共同反対連絡会への参加呼びかけについて報告しました。その後、多くの皆さんの目には触れていなかったのかもしれませんが、大学や研究機関に属する専門家の皆さんは素晴らしい運動を展開して下さいました。


また学術会議の「学術会議の軍事研究拒否声明」見直し反対! 軍事研究解禁反対!の署名を集めていた「change.org」の運動についても報告しました。

 

学術会議は1950年と1967年の二回にわたって、「軍事研究拒否声明」、つまり軍事研究はしませんという決議を行い、その方針を守ってきたのですが、それを投げ捨てて軍事研究に走ろうとしている「科学者・専門家」の一部の動き、またその背後にある防衛省や政府の意図に対して市民の側から明確なメッセージを伝えることが目的でした。

 

学術会議でも当然重大問題として議論が続けられていましたが、昨324日に、新声明が決定されました。

            

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 その内容は、これまでの二つの声明を継承することが中心なのですが、それらが総会での決議によって採択されたのに対して、今回は幹事会での決定という形が取られています。詳しくは、前回も引用した東京新聞の望月衣塑子記者が、検討委員会の段階でまとめた記事をお読み頂きたいのですが、9月と同様に、新声明についての分り易い図が付けられています。

 

 

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 また、学術会議の新声明全文は、次のサイトに掲げられています。

http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/anzenhosyo/pdf23/170324-seimeikakutei.pdf

 

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2017年3月24日 (金)

点字プリンターと点字カラオケ ――日本テレソフトとカラオケ館高田馬場2号店に拍手――  


点字プリンターと点字カラオケ

――日本テレソフトとカラオケ館高田馬場2号店に拍手―― 

 

このブログでは、しばしば外務省批判をしていますが、今回は外務省も (つい、「たまには」と入れたくなってしまうのですが) 良い仕事をしていることの報告です。昨322日に、外務省からODA白書が発行されましたが、その中に、次のような記事が載っています。

 

               

Oda

             

 この点字プリンターを開発、製造して世界で販売しているのが「日本テレソフト」という会社です。私の友人が社長を務めていますが、気骨のある正義漢でしかも幅広い分野の人々との交流があり、時代を先取りできる素晴らしい能力の持ち主です。

 

以下、日本テレソフト社のホームページからの抜粋を中心に、同社の活動を紹介します。

 

まずODA白書には、日本テレソフト社による「セルビア国の視覚障害者団体を支援した草の根ODAが紹介されました。点字プリンターが同国の教育の向上などに貢献し、有意義に活用されているという内容です。日本テレソフト社では、同様の海外支援の取り組みを、ベトナム、ドミニカ共和国、グレナダ、南アフリカなど数カ国で行い、いずれも高い評価を受けています。」

 

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点字プリンターの一つです

 

このプリンターの特徴は、画面にもあるように、点字と墨字の両方を同時印刷できることです。しかも静かな点が「売り」です。点字は物理的に凹凸を付けることが「印字」になる訳ですから、ある程度の速さを確保しようとすれば当然、音が出ます。その音がうまくコントロールできていないと、教室や事務室で使うのにはうるさ過ぎますので、高度の技術が必要なのです。となるとコストが高くなるのですが、それも合わせて良い製品として完成したところが、世界的に評価されています。

 

もう一つ、日本テレソフト社の製品で私のお勧めするのが「点字カラオケ」です。カラオケの歌詞は、最近は画面に表示されますが、視覚障碍者には利用できません。そこで、カラオケの機械とパソコンそして点字ディスプレーをつないで、画面の歌詞を点字に翻訳し、それを点字ディスプレーに表示する装置を開発・製作したのが日本テレソフトです。

 

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広島市もこの機械を購入して、無料で貸し出しをしています。窓口は「(社)広島市視覚障害者福祉協会(電話・ファクス 082-249-7177)」です。

 

カラオケボックスでは、高田馬場のカラオケ館高田馬場2号店 (☎ 03-5155-2458) が導入しています。ここで実際に体験をした方の感想が点字毎日に掲載されています。是非、お読み下さい。

 

 

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クリックすると文字が大きくなります

 

この点字カラオケを、ロスアンゼルスの展示会で、スティービー・ワンダーが実際に使ってくれました。自分の歌を点字でチェックして、「素晴らしい」とコメントしてくれたというエピソードもあります。

 

世間的にはあまり知られていませんが、日本テレソフトもカラオケ館高田馬場2号館にも大拍手を送りたいと思います。そして、世の中、多くの分野でこのような地道な取り組みをして頑張っている人や企業、団体等がもっともっとあるのだろうと思います。その全ての皆さんにも拍手です。

 

 

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2017年3月20日 (月)

ストップ!戦争法街頭行動

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ストップ!戦争法街頭行動

 

今日19日は、「ストップ!戦争法ヒロシマ実行委員会」の呼び掛けで、午後2時から金座街入口で街頭行動を行いました。署名の呼び掛け、チラシの配布などのために参加してくれたのは約50名の同志です。

 

             

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とても暖かい日になりましたので、チラシを配るのも楽でしたし、受け取ってくれた人、そして署名をしてくれた人も多かったように思います。

 

 

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人並みの少なくなった一瞬に撮りました

 

マイクを握った何人かが訴えた内容は、チラシに分り易くまとめてあります。まずは御覧下さい。

 

 

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参加者の思いや市民の願い、そして今の政治の課題を見事に切り取ってくれたのが、森容子さん、もう一人のスター・ライターの登場です。以下彼女のレポートです。

 

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戦争をさせない1000人委員会などが参加する「ストップ!戦争法 ヒロシマ実行委員会」では、319日(日)14時から広島市・福屋前で、街頭宣伝と署名活動を行いました。

街宣では、社民党代表の檀上正光さん、新社会党委員長の三木郁子さん、戦争をさせない1000人委員会の秋葉忠利さん、弁護士の山田延廣さんらが次々とマイクを持ち、南スーダンからのPKO派遣部隊の撤収! 共謀罪反対! 危険な安倍政権の暴走を許さない! 憲法を守れ!と訴えました。

また沖縄県で、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設を強行しようとしていることに対し「沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回を求める全国統一署名」も合わせて行いました。

 

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■南スーダンPKO派遣部隊は直ちに撤収を!

安倍政権は、憲法違反の「戦争法」を強行成立させ、南スーダンに派遣している自衛隊に「駆けつけ警護」の任務を課しましたが、310日、PKO派遣部隊を今年5月に撤収すると発表しました。

南スーダンでは「戦闘」状態にあることが、自衛隊の「日報」や現地の国連・NGOの報告でも明らかになっています。自衛隊員の命を危険にさらす「派遣」を続けることは絶対に許されません。5月を待たず、今すぐ帰還させるべき!と訴えました。

 

■市民を監視・盗聴する「共謀罪」は戦争への道

政府は、3度も廃案になった「共謀罪」を「テロ等組織犯罪準備罪」と名前を変えて、法案提出しようとしています。321日にも閣議決定するかと言われています。

計画や相談するだけで罪になる、一般市民にまで広げられた捜査、電話やメールの監視・盗聴が行われる恐れがあります。

戦前の「治安維持法」で「戦争反対」の声が封じられた歴史を繰り返してはなりません。

 

■沖縄にこれ以上の基地負担は許せない。

日本の国土面積のわずか0.6%に在日米軍基地の約74%が集中している沖縄。さらに、辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設を強行しようとしています。

高江ヘリパッド建設に反対行動していた沖縄県平和運動センターの山城博治さんを軽微な罪で逮捕し、約5か月間も拘留し続けました(318日保釈)。 政府に都合の悪い者は、どんな手を使ってでも排除。人権なんて、全く無視しています。

知事選をはじめ衆院選・参院選・県議選・市長選挙でも、いずれも県民の基地反対の声が圧倒しているのに、政府は、県民の意思は全く無視。アメリカの方ばかり向いて米軍基地を増強しようとしています。

そのようななかで、米軍による女性へのレイプ・殺害事件も多発していますが、広島では殆ど報道もされません。「平和な島を返して!」という訴えに耳を傾け、沖縄への基地負担を許さないために、行動を起こさなければと思います。

 

■政治から目をそらせようとするメディア

こんな危険な動きがあるのに、テレビでは毎日バラエティー番組でお笑いばかり。アメリカのトランプ大統領や、韓国のパク・クネ(元)大統領のことは取り上げても、日本の政治のことは殆ど取り上げられません。

政府に都合の悪いことは、国民に考えさせないようにしているのでしょう。

でも、「知らない」「知らなかった」で済ませるのは、結局、政府の思うツボ!

いろんなところにアンテナを張って、少しでも賢い有権者になりたいと思います。

戦争反対! 人権守ろう! 平和憲法を守ろう! 声をあげ続けましょう!

(YOKO

 

 

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2017年3月18日 (土)

スマホ料金節約の旅(1) ――基本から勉強のし直しです。(a) 端末とSIMは別物――  


スマホ料金節約の旅(1)

――基本から勉強のし直しです。(a) 端末とSIMは別物―― 

 

スマホの料金がかなりになっていますので、何とか工夫をして節約したいと思っています。そのためには「格安SIM」を使えば良いようなのですが、スマホ業界の様々なキャンペーンがあり、政府の規制が不自然だったりしていたため、私自身情報の整理ができていない状態です。改めて基礎から勉強し直して、賢い消費者になりたいと考えました。その「旅」の様子の報告です。時間は少し掛かるかもしれません。なお、情報源は主にネット上で拾えるものですが、それを常識に照らしつつ整理し直しています。万一エキスパートの皆さんがこれをお読みになって、間違い等を発見された場合、御指摘頂ければ幸いです。

 

               

1iphone

             

 

さて、かつては携帯電話を買うと、電話番号が付いてきて、携帯電話を買い替えると元の番号は使えず新しい番号を貰わなくてはならない時がありました。その状況は変りました。今では携帯やスマホを買い替えても前の番号がそのまま使えます。つまり、携帯やスマホという物理的存在 (これを「端末」と呼びます) と、電話番号とは別の存在であることが認められたのです。

 

さて、スマホですが、最初はスマホを買うと、全てのサービス (電話番号だけは例外でしたが) は端末と一体になっていて、料金は端末プラスサービス込みの値段でした。それでも高かったり安かったりしたのは、端末の値段への大幅な割引かあったり、古い機種の引き取り価格が違っていたりという形での「割引」があったからです。当然、通信量や通信料金そのものについても違いが設けられていました。例えば通話料金については家族間だと無料、といったような違いです。でも、組み合わせが複雑で、結局、販売店の言いなりの「おすすめプラン」を選ぶ結果になった方が多いのではないでしょうか。我が家がその典型です。

 

しかし、海外では、安いSIMを使って、格安に通話もできその他の通信機能も使えるということが多くの日本人にも知られるようになり。「何故」という疑問が多くの人から発せられるようになりました。

 

そこで、「SIM」の登場です。一から学び直しました。

 

まず、「スマホ」には二つの構成要素があります。物理的存在の「端末」そして「SIM」です。しかし、「端末」にはそれを動かすためのソフトも入っていますので、純粋には「物理的存在」と言ってしまうのは不正確なのですが、そのソフトも付属しているという意味で、ちょっとルーズに言葉を使います。

 

そして「SIM」は「subscriber identity module」の略です。訳しておくと「加入者のIDモジュール」、つまり加入者、スマホの使用者のIDとなるICチップのことです。これがないと通話や通信ができません。テレビのB-CASカードのようなものと考えて間違いではありません。

 

では、端末にSIMを差さずに使うことはできるのかというと、通信とは関係のない機能は使えます。 パソコン初心者講座(http://www.pc-master.jp/)によると、「端末としては機能しているので この状態で無線LANにつないだり Bluetooth接続したり カメラを使ったり 電話やデータ通信以外のことはできるようになっています。」

 

このように、端末とSIMとは別々の存在ですから、別々に買えても良いはずなのですが、かつての携帯と電話番号のように、不離一体のものとして一緒に売っていたのがつい最近までの日本の業界でした。顧客の「囲い込み」が目的だと思いますが、なんでも規制を設けて利権を作り天下り先を確保する日本の官僚の体質も大きな原因でした。

 

売っていただけではなく、自社以外のSIMをスマホには取り付けられないように、端末その物に「ロック」を掛けて売っていたのです。これを「SIMロック」と言います。ですから、日本のスマホを海外に持って行って、海外の安いSIMを買って差し込んでも基本的には使えませんでした。

 

しかし、201412月にガイドラインが改訂され、20155月以降はSIMロックの解除が義務付けられました。つまり、元々はロックが掛けれられていても、解除したい人には解除できるよう対応しなくてはならなくなったのです。つまり、それ以降のスマホでは全てが「SIMロックフリー」になったと言っても良いのです。

 

ということで、今持っているスマホのロックを解除し、「格安SIM」を買ってその端末に差せば、料金は格安になるはずです。

 

とは言っても、そうは問屋が卸さないような感もあります。深く掘り下げてみましょう。

 

 

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コメント

スマホ(携帯電話)の、もう一つの重要な構成要素として通信回線があります。殆どのSIMメーカーは、大手通信会社の回線を借りている立場で、それも一部を借りているという立場なので制約を受けます。

また、端末、SIM、回線それぞれに「相性」があります。日本にだけ存在するものではありませんが、それでもガラケーと揶揄される日本ではより複雑です。掘り下げるととても深い内容であり、私も疎い分野です。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。「回線」の存在について御指摘下さり有難う御座います。どちらかというと、SIMと一体のものとして考えていたのですが、やはり、別のものとして扱うべきなのかもしれません。

続けて私なりの整理をしますので、御指導のほどお願い致します。

2017年3月13日 (月)

田舎の学問より京の昼寝 ――ないものねだりではあるのですが――  


田舎の学問より京の昼寝

――ないものねだりではあるのですが―― 

 

一昨日、コンピュータのトラブルについて報告しましたが、ボタン電池は交換したものの、それで問題の解決になったのかのチェックができないまま家を飛び出したところで時間切れになってしまいました。

 

今日、帰宅してコンピュータに電源を入れ、BIOSのページで最低回転数や日付等、以前は保存できなかった情報を入力、F10を押して保存。一度電源を落としてしばらく放置した後、再度電源を投入しました。

 

見事成功です!!            

           

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日時も反映されるようになりました

 

日付も正しい数値がキープされていました。またBIOSに入るのに、ブルートゥース接続のキーボードも使えるようになり、こちらも元に戻りましたので、随分楽になりました。

 

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以下、昨日の続きです。

 

なぜ総理大臣は国民に対して「宣誓」をしないのでしょうか。その理由を考えたいのですが、一つには、天皇による「親任式」があるからなのかもしれません。それがあまりにも「重さ」を持っているが故に、日本の制度をデザインする人たちに取っては、「宣誓」といった西洋流の形が馴染み難い位置付けになり、制度的な整備には至らなかったのかもしれません。

 

もう一つは、総理大臣は国会で議員たちの投票によって選出されます。従って、総理大臣は、国会には責任を持つけれど、間接的に総理大臣を選んだ国民に対しては、それと同じレベルでの責任は持たなくても良いのだ、という考え方にはそれなりの理屈があるように思います。

 

しかし、それ以上に説得力があるように思えることがあるのです。憲法を数学書として読む試みを続ける内に「発見」した驚愕の事実が全ての説明になっているような気がするからです。それは、憲法第99条の規定、憲法遵守義務は「法的義務」ではなく「道徳的要請」だという確定判決があることなのです。

 

1977217日、水戸地方裁判所による百里基地訴訟の第一審判決では99条について、「憲法遵守・擁護義務を明示しているが、これは、道義的な要請であり」と法的義務ではない」と述べられています。続けて、198177日に東京高等裁判所による控訴審判決でも、99条は「憲法を尊重し擁護すべき旨を宣明したにすぎない」と断定され、「法的義務」ではないという解釈が確定しています。

 

私が無知だったというだけなのかもしれませんが、憲法について私たちが護憲の立場から発言し、議論し行動する中で、この確定判決がほとんど取り上げられていないことももう一つの問題なのではないでしょうか。

 

そしてこの考え方がどう現れたのかも重要です。結論だけ述べますが、確定判決が出されたことによって99条の位置付けが確定したというよりは、それ以前から長期にわたって、行政と司法のエスタブリッシュメントの中では「常識」として、当り前のことだと受け止められていたことが明示的に示された、と考える方が、憲法を巡る様々な出来事との符丁が合うように私には思えます。

 

日本という国家、というより自分たちを国家だと自認してきた官僚や官僚制度の擁護者たちは、自分たちの作った法律はそれなりに尊重するが、「押し付けられた」憲法を遵守する気持は端から持たなかったという仮説さえ成り立つのではないでしょうか。それも正確に検証しておく必要がありそうです。

 

講演は中途半端なところで終ってしまったのですが、「話し足りなかった点は次の講演で聞かせて下さい」と何人かの方から言われましたので、次回までにはもう少し短時間で、本質を全てとは言えないまでもかなりの部分伝えられるプレゼンテーションを準備したいと思っています。

 

講演の後のディスカッション、そしてその他にも昔からの友人たち、雑誌のインタビューや翌日集まってくれた中学時代の同級生等、今回会うことができ話のできた人たちからは大きな刺激を受けました。そして癒されました。そこから今回のテーマになるのですが、東京には情報が集まっています。この数日で学べたことで今は目が眩みそうですが、しばらくは吸収・消化して新たなエネルギーに変えられればと思っています。

 

 

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2017年3月12日 (日)

高校同窓会での講演 ――毎月一度、濃い内容の話を聴く機会があるのは羨ましい限りです――  


高校同窓会での講演

――毎月一度、濃い内容の話を聴く機会があるのは羨ましい限りです―― 

 

十日は、高校同窓会の関東地方に住む人たちのグループが月に一度開催している交流会での講演でした。数年前にも話をさせて頂きましたが、講演後のコメントやその後の個人的な交流も刺激に満ちていてとても勉強になりました。

 

今回の出席者は50人ほどで、タイトルの「日米の憲法を軸に『核なき世界』を展望する」、特にオバマ、トランプ両氏の比較も含めたことに関心を持って頂けたのではないかと思います。同窓会と言っても、一学年だけあるいは一クラス毎の同窓会ではなく、全学年共通の組織ですので、10日の出席者の最高齢は92歳、そして一番若い世代の代表は34歳のカップルでした。

 

オバマ大統領の広島訪問の意味を手短にまとめ、「原爆投下が正しかった」というアメリカの世論が大きく変った理由の一つとして、大統領の持つ「絶対性」を指摘しました。

そしてその「絶対性」は何に由来しているのかを考えると、一つには大統領が直接有権者の投票で選ばれること、強大な権力を持っていることに加えて、就任の際に国民に向かって、憲法を遵守する旨の「宣誓」を行うことが挙げられるのではないかという問題提起を行いました。その点については既に触れていますので、再度お読み頂ければ幸いです。ここで鍵になっているのは、「宣誓」すること、そして「宣誓」の言葉も憲法で定められていることです。

 

日本の場合、憲法99条は憲法遵守を義務として課しています。念のため99条の条文を引用しておきましょう。

 

99条   天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

さらに我が国の総理大臣にはそれほど大きな権威がないように見えますが、それは総理大臣が就任時に国民に対しての「宣誓」をしないことにも関係があるのではないかと考えてきました。それは天皇が即位の際に、国民に対して憲法遵守をします、という「宣誓」をしていることと対照的です。「即位礼正殿の儀おことば」(19901122)を引用します。下線の部分に注目して下さい。

 

さきに、日本国憲法及び皇室典範の定めるところによって皇位を継承しましたが、ここに即位礼正殿の儀を行い、即位を内外に宣明いたします。

このときに当り、改めて、御父昭和天皇の六十余年にわたる御在位の間、いかなるときも、国民と苦楽を共にされた御心を心として、常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓い、国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。

 

では、なぜ総理大臣は国民に対して「宣誓」をしないのでしょうか。その理由を次回考えたいと思います。

 

もう一つ報告しておきたいのは、講演の後、同じ学年だった10人ほどの同級生と一緒に、講演についてまた政治や社会の問題について話をする機会があったことです。大学生になる息子も参加させて貰いましたが、とても良い勉強の機会になったように思います。

 

               

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同級生たちです

 

 

 

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コメント

秋葉さん
昨日は講演や会食でお忙しい中、千葉にも来てくださって嬉しいです。

オバマ大統領の権威が憲法の遵守を宣誓することによっているということは納得できました。

ただ、日本の総理大臣が憲法を守る宣誓をしないということを、同じまな板にのせる形で比較することはどうなのでしょうか?少し違和感を持ちました。

「根井洋子」様

コメント有り難う御座いました。日本の総理大臣が国民に向かって宣誓をしないことについて今日、続きの説明をしましたが、気持としてはやはりアメリカの大統領のように、国民に向って「憲法を守ります」という宣誓をすべき立場だと言いたいのです。

実は、「宣誓」その物をどう捉えるのかについても、かなり考え方が変りました。その辺りも説明して行きたいと思います。

2017年3月 6日 (月)

ひろしま・ふくしまを結ぶ ワンコインシンポ2017 第5回シンポジウム ――「託されたもの--大地と人と。」―  


ひろしま・ふくしまを結ぶ ワンコインシンポ2017 第5回シンポジウム

――「託されたもの--大地と人と。」―  

 

予定通り1330分に始まったシンポジウムですが、立錐の余地のないくらい多くの皆さんに御参加頂きました。心から感謝しています。 

                         

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 主催者の挨拶では、このシンポジウムも6年目を迎えて、昨年の海に焦点を合わせたシンポとは対照的に、今年は「陸」「山」をバックに大地と人を考えるイベントとして企画したこと、そのために、ゲストとして福島県須賀川市で専業農家を営む樽川和也さんをお招きした経緯の説明がありました。

 

主催者の代表である西村恵美子さんと毎回の名司会振りで多くの人を魅了している中沢晶子さんお二人が、昨年11月に福島まで樽川さんに会いに行き、樽川さんと彼の母上に歓待されたこと、その経験を通して樽川さんに広島までお出で頂くことの大切さを再確認できたとの報告でした。

 

続いて樽川さんの基調報告でしたが、原発から65キロ離れた須賀川市で東日本大震災の被害がどのようなものだったかを事実に即して生々しく描いてくれました。正に胸塞がれる思いでした。そして、お父上の言葉を交えながら、樽川さんの農業者としての原点がお父上だということが良く分るエピソードをいくつも紹介してくれました。

 

例えば、お父上は30年前から有機農業を実践してきたこと、それも「子どもに食べさせるものだから」という理由でその選択をしたこと、1988年に広島での原水禁世界大会に参加した後、原発の危険について何度も語ってくれたこと、東日本大震災後の福島第一原発事故のニュースに接して、自分の言ってきたことが正しかったと感想を漏らし「馬鹿だなこの国は」という言葉が続いたこと、それから言葉が段々少なくなって塞ぎ込むようになり「福島の野菜もこれでお終い」と言っていたことも話してくれました。

 

そして323日の夕方、県から「結球野菜の出荷停止」決定のファクスが届き、夕食になって初めてお父上にそれを見せたところ、じっとテーブルを見詰め続けた姿が瞼に残っていること、夕食後、いつもはお母上が洗っていた食器を何故かお父上が洗ったことにチョッピリ疑問を持った記憶も共有してくれました。

 

24日の朝、お父上の姿が見えないことに母と子は気付き、野菜を見回りに行ったのだろうと思っていたところ、7時になって廃材を一輪車に乗せて裏のキャベツ畑まで運ぼうとしてした樽川さんは、「畑に父が立っているような気がした」ことに気付きました。でも少し近付くと、太さ3メートルの欅の木の下、「父の足は空中にあった」ことに気付き大きなショックを受けました。

 

地震からからの被害だけなら立ち直れた、でも原発の事故が致命的だった、というのが父上の気持だったろうし自分でもそう思うと樽川さんは総括しています。また後で、お父上の知人たちからは、「子どもたちに何も残せなかった」と言っていたことも聞いたそうです。

 

前を通ると父を思い出さざるを得ない欅は伐採して貰い、出荷停止になってそのまま畑に残していた寒キャベツやブロッコリーの株、計8,000株は、凍って割れる音が聞こえるようになり、父の努力と作物の生命を悼んで線香を上げてから、トラクターで均したとのことでした。

 

二日続けて、親御さんと悲劇的な別れを告げた40代の若者が「今いるところを大切に」頑張っている姿に接して、物理的な意味での「今いるところ」と精神的な意味での「今いるところ」を重ねることで、未来の展望が新たな次元から見えること、また被爆者のメッセージの大切な側面として「今いるところを大切にする」姿勢で彼ら/彼女らが生きてきたことなども含めて議論を深めたかったのですが、オバマ大統領の功罪について樽川さん抜きのかなりヒステリックなやり取りに時間を費やすことになってしまったのはとても残念でした。

 

パネスリトとしての責任は果たせませんてほしたが、私個人としては、前日の打ち合わせとシンポ後の打ち上げで、樽川さんの話もきちんと聞けましたし、こうした深みのあるやり取りもできました。とても勉強になりましたし、マイケル・ムーア氏の「10項目アクション・プラン」PRもできましたので、これからはさらに多くの「すぐやる」チーム作りのため頑張りたいと思います。

 

 

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コメント

樽川さんのお話、心に突きささりました。西日本である広島はまるで何もなかったように日常が過ぎていきますが、出来ることはたくさんあると思いますので、日々考えて行動していかなくてはと思いました。また、秋葉さん、ビナードさんのそれぞれの視点からの発言も自分にはない視線なので大変参考になりました。ありがとうございました。

コメント有り難う御座いました。

涙に加えて、考え行動すること、私も中澤さんの言葉を噛み締めています。

今回スタッフとして参加させていただいた山根和則です。
昨年の横川シネマでの「大地を受け継ぐ」上映後に、井上淳一監督と広島に母子避難されている方や平木薫さんも交えてお話しをする機会があったので、今回樽川さんとお逢いできたのはとても嬉しいことでした。
樽川さんとは直接お話しも出来、これからの私自身の福島への取り組みにも、おおきな力と指針を与えていただけました。
つきましては、私のfacebookに、このブログの記事(前後編)をリンクさせていただきました。後からで申し訳ありませんがご了承いただけますでしょうか。もし不都合なようでしたらメールアドレスを入れておりますので連絡頂けましたら対処いたします。
コメント欄をお借りして恐縮です。よろしくお願いします。

「山根和則」様

コメント有り難う御座いました。また、リンクを張って下さったこと、感謝しています。

樽川さんが、広島に来られたことでさらなるエネルギーを得て、お父上の思いをさらに大きな形で実現してくれることになるよう祈っています。そのために、私たちも新たな連携を始められればと思います。

2017年3月 3日 (金)

民意を反映しない選挙制度 ――反映できる制度に変えよう――  



民意を反映しない選挙制度

――反映できる制度に変えよう――  

 

トランプ大統領の誕生とその背景を理解する上で一番の問題は、大統領選挙が間接選挙だということです。市民一人一人が投ずる一票は、大統領候補者の名前を書くようにはなっていますが、実際上は各州毎の「選挙人」と呼ばれる人を選ぶという結果にしかなりません。その結果、総得票数では勝っても、大統領にはなれないケースが結構出てしまうのです。次の表はクリックして頂くと大きくなります。                                                                                                                                                                           

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ここで見て頂きたいのは、当選した候補の総得票率(A)と、民主党候補の総得票率(B)です。不等号を使って、 (A) > (B) が成り立つのは、2004年だけです。共和党の方が総得票数・率で勝っている唯一の年です。その他の年では、民主党候補が当選しているか (だとすると (A) = (B) が成り立ちます)、共和党候補が当選したけれども総得票数では民主党候補が多かった、つまり ((A) < (B) )が成り立つ)、ということになります。

 

まとめると、1992年以来、昨年までの24年間に行われた7回の大統領選挙で、共和党が総得票数で民主党を破ったのは、ただの一度、2004年だけだという数字です。にもかかわらず、選挙そのものでは3回勝っているのですから、選挙制度を変えようという声が上って当然です。

 

民意を反映させる上での理想的な制度は比例代表制なのですが、日本の場合、小選挙区制度を採用してから、得票率と議席獲得率の乖離が大きくなり、政治そのものが大きく歪んでしまったことは皆さんお気付きだと思います。

 

最近の選挙結果を元に、得票率では過半数を取れていないにもかかわらず、議席は3分の2以上、つまり憲法改正が発議できるほどの力を持ってしまっていること、その力を元に、形振り構わず国家主義的・軍国主義的な道を直走りしている体たらくを見てみましょう。

   

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 この乖離を見ただけで、選挙制度を何とかしたいと考えられたとしたら、それは極めて健全な反応なのですが、ではどうすれば良いのでしょうか。そう考えた人たちが集まって、マイケル・ムーア作戦3.4.9.に関連しますが、2014年から活発に活動を続けています。選挙制度改革の素案を作り関連法案も改正することで政治を変えて行こうと頑張っている人たちです。名称は「公正・平等な選挙改革に取り組むプロジェクト」です。

 

会員になって、具体的な活動に参加することもできますので、検討して頂けると幸いです。

 

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2017年3月 1日 (水)

「さよなら原発 ヒロシマ集会」 へのお誘い ――3月10日(金)18時から原爆ドーム前――  


「さよなら原発 ヒロシマ集会」 へのお誘い

――310()18時から原爆ドーム前――  

 

「さよなら原発 ヒロシマ集会」は、310()18時から原爆ドーム前で開かれます。1830分からはデモ行進で、中国電力本社前で解散です。

 

東日本大震災、東電福島第一原発事故からもう6年になります。被災者の皆さんにとっては、何とか頑張ってようやく6年を迎えることになったというお気持でしょうか。これでは深刻さや、苦労・悲しみ・絶望といった側面について、またそんな生活を続けながらも見付けることのできた小さい喜びの意味を伝えることはできないのだろうと思います。

 

だからこそ、福島との連携・連帯が重要なのです。今の福島を知ること、これまでの6年間を振り返ること、そして未来を描くために、今年のヒロシマ集会には、福島から佐々木慶子さんをお招きしてお話を伺います。佐々木さんは、10日の集会にも出席予定ですが、11日の10時から広島弁護士会館で「「第二のフクシマ」を繰り返さないために」というタイトルでの講演があります。

                

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記者会見の様子


この集会の呼びかけ文です。お読み頂ければ幸いです。

 

「フクシマを忘れない! さようなら原発 ヒロシマ集会」

呼びかけ文

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災・福島原発事故から6年を迎えようとしています。被災地福島では、8万人近い被災者が、いまでも苦しい避難生活を余儀なくされています。長期にわたる避難生活は、暮らしや健康、就労など多くの不安と負担を与えています。さらに保障の打ち切りは、「棄民」政策ともいえるもので被災者に寄り添う姿勢に欠けるものです。被災者の不安解消や補償、医療の充実などを早急にはからなければなりません。また、政府は、福島原発の廃炉など事故処理にかかる費用が、従来想定の約2倍となる21.5兆円と試算し、費用の一部を電気料金に上乗せすることで、消費者にツケを回そうとしています。

一方、福島原発事故以降、多くの国民は脱原発社会を求め、再生可能エネルギーへの転換を求めてきましたが、安倍政権・電力会社はこうした声を無視して、川内原発(鹿児島県)、高浜原発(福井県)、伊方原発(愛媛県)と相次いで再稼働を強行。次は、玄海原発(佐賀県)の再稼働を目論んでいます。さらに耐用年数を超えた老朽原発すら酷使しようとしています。 そのことは、福島原発事故の教訓を根本的に学ばず、事故をないがしろにするものであります。反省なき再稼働は、第二、第三の福島原発事故を招くことにつながります。あらためてフクシマの現実を見つめ、被災者に寄り添う運動が求められています。

フクシマから学ぶことは、安易な再稼働ではなく、脱原発への決断です。 福島原発事故から6年、事故の風化が言われる今日、私たちは、事故を決して忘れることなく、被災者のおかれている現状を理解し、支援と連帯をしていかなければなりません。3月10日、「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」を開催します。原発事故をなかったことにする政策に対し、放射線被害を受けた被爆地から原発も核もない未来を創るため、広島から NO!の声をあげましょう。 「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」への参加を、心より呼びかけます。

 2017年2月

 

<呼びかけ人>      

坪井  (被爆者)         

秋葉 忠利(前広島市長)   

森瀧 春子(核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表)

山田 延廣(弁護士)

岡田 和樹(ハチの干潟調査隊代表)

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2017年2月25日 (土)

論理と合理を捨てる ――その代りに「孤高の日本」そして「America First1」――  


論理と合理を捨てる

――その代りに「孤高の日本」そして「America First1」―― 

 

嘘を平気で吐きその時その時のテレビ受けを狙って過激な発言をし、差別的発言を繰り返しながらトランプ氏は大統領になりました。多くの人たちには毛嫌いされながら、それでも彼は信じられないほどの共感を得、多くの人たちの心をつかむことに成功しました。それは何故なのかを考える上で、ベストセラーになった『国家の品格』を下敷にしようと考えたのは、著者藤原正彦氏が「論理と合理」を諸悪の根源として糾弾しているからです。「論理と合理」の対極にあるような選挙運動を展開し勝利したトランプ氏の言動を理解する上でこれ以上の枠組はないかも知れないと思えたからです。それも日本的な背景を舞台に書かれ多くの人に読まれた一書ですので、私たちには分り易い材料でもあります。

              

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 『国家の品格』で、何を伝えたいのかを著者は「はしがき」で明確に述べています。

 

戦後、祖国への誇りや自信を失うように教育され、すっかり足腰の弱っていた日本人は、世界に誇るべき我が国古来の「情緒と形」をあっさり忘れ、市場経済に代表される、欧米の「論理と合理」に身を売ってしまったのです。

(中略)

欧米支配下の野卑な世界にあって、「孤高の日本」でなければいけません。「孤高の日本」を取り戻し、世界に範を垂れることこそが、日本の果たしうる、人類への世界史的貢献と思うのです。

 

このことを著者は7章にわたって情熱的に「証明」しています。論理は駄目だと主張している藤原氏が数学者であることは御存知だと思います。その結果、やはり数学者としての資質は捨て去ることはできなかったからなのだと思いますが、『国家の品格』の構成は論理的に実にしっかりしています。だからこそ、多くの人の共感を呼んだのだと思いますが、当然、藤原氏御本人もこの「矛盾」には気付いていたのではないでしょうか。

 

さて、『国家の品格』の内容を簡単にお浚いしたいのですが、第一章「近代的合理精神の限界の限界」では、現代世界の荒廃の原因が近代的合理主義の限界であることを、いくつかの例を引きながら説いています。

 

本書の構成上、それ以上に重要なのは第二章「「論理」だけでは世界が破綻する」です。そこでの主張は「どんな論理であれ、論理的に正しいからといってそれを徹底していくと、人間社会はほぼ必然的に破綻に至ります。」で、「これからそれを証明したいと思います。理由は四つあります。」との宣言の後、四つの理由が挙げられています。

 

 論理の限界

 最も重要なことは論理で説明できない

 論理には出発点が必要

 論理は長くなりえない

 

それぞれの内容については、大方御理解頂けると思いますが、③と④は少し説明が必要かもしれません。そのために、『「国家の品格」への素朴な疑問』 (吉孝也/前川征弘著・新風舎刊) に登場して貰いましょう。略して『疑問』と表記します。コメント付きの4つの理由の内容を理解して頂ければと思います。

 

「私は、人間社会は、論理だけで動いているわけではないと考えています。ですから、人間社会の問題解決にあたって、科学の問題を解くように論理を辿れば、一つの正しい解に行き着くとも思っていません。しかし、人間社会の問題解決においても、理性的・論理的に対応しないと、陰謀によって罪なき人が抹殺されるような、中世の暗黒が蘇る可能性があると怖れています。」

 

ですから、①についても②についても趣旨には問題がないという立場を取っています。『疑問』の異議は、それらの点を「証明」するに当って『国家の品格』中で取り上げられている事例の適切さと、それらが社会の中でどのような位置付けをされているのかという点が中心になっています。そして、①の結論とでもいうべき部分で『国家の品格』が主張している「重要なことは押し付けよ」については次のような反論がなされています。

 

「ところで、著者が言う重要なものとは、どのような集団の中で、誰にとって重要であり、誰に押しつけるかということです。著者は、どうやら日本という集団を意識しているようですが、あまりにも集団の規模が大きすぎるので、さまざまな問題が起きます。このような大きな集団では、重要なことを誰が決め、誰の手を借りて、どこで、どのように押しつけるのか、その合意形成が難しいでしょう。重要なものの具体的なイメージも、誰にとって重要かもいまだわかりません。」

 

「重要なことは押し付けよ」、あるいは「問答無用」と言って有無を言わさず自分の意思を通すことと、次の③とは大きな関係があります。

 

③で、藤原氏が指摘しているのは、数学なら「公理」と呼ばれる前提が必要だということです。それがなければ、「AならB」という論理の流れが作れないからです。そしてその前提が「重要なこと」である場合には「押し付けよ」が正当化される、というのが藤原氏の主張です。この点についての『疑問』のコメントの一部です。

 

「論理に出発点が必要なのは、自明のように思われます。しかし、私は、人間の現実の世の中では、論理の出発点とは何かはっきりしません。また、常に出発点が必要だとは思いませんし、仮説を立てて議論するものでもないと思います。人間社会の現実の諸問題を解決するには、論理的な帰結を求めるのではなく、現実に採りうる最善の方法の模索と、採用しようとしている方法が、関係者に最善だと思わせ、多くの人の賛同を得ることが重要だと思います。」

 

その出発点としては、次のような可能性を提案しています。

 

「ところで、著者の言う論理の出発点とは、昔、指導者に要求された仁徳や人生観
などに裏打ちされた総合判断力のことだと思うのですが、違うのでしょうか。」

 

そして④は、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の危うい因果関係を指しているのですが、これは、誰でも理解できることでしょう。同時に藤原氏が指摘しているのは、ワンステップやツーステップという短い論理的な結論にも問題があるということです。「国際化が大切、だから英語」というような短絡的な論理に騙されてはいけない、ということです。長くてもダメ、短くてもダメ、だから論理はダメという結論だと考えられそうです。

 

さて、このようなお膳立ての後に、本論が控えています。

 

 

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