トランプ関連

2018年1月 6日 (土)

黒人差別に抗議したフットボール・スター ――キャパ―ニック選手の投げ掛けた波紋――


黒人差別に抗議したフットボール・スター

――キャパ―ニック選手の投げ掛けた波紋――

 

2003年、マンハッタンビル・カレッジの女子バスケットボール・チーム選手、トニー・スミスはゲームの始まる前の国歌の吹奏の際にアメリカ国旗に背を向け、イラク戦争反対の意思表示をしました。それから10年以上経っていますが、20168月には、サンフランシスコ・フォーティ・ナイナーズのクォーターバック、コリン・キャパ―ニック選手が黒人差別に抗議する行動を取りました。国旗掲揚・国歌吹奏の際に起立はしないで最初は座り込んでいたのですが、後にスタイルを変えその後、地面に膝を着く姿勢を貫いたのです。

 

これは、相続く白人警察官による黒人射殺事件、そしてその後警官が不起訴になったり、仮に裁判になっても、白人警官に有利な結果になっていることに端を発しています。

 

こうした事実は、2014年にホルダー米司法長官が公表した報告書に盛り込まれています。

 

産経ニュースの報道によると、「ホルダー長官が4日発表したクリーブランドの警察に関する報告書は、過剰な発砲など「不合理かつ不必要な武器使用」があったと認定。また、「過剰な権力行使は散発的なものではない」として組織の体質自体に問題があると指摘した。

 

同報告書に記載された事例は、201013年の約600件。この中には、警官が1211月、丸腰の黒人住民2人が乗る車と約35キロにわたってカーチェイスを繰り広げた後、車両に約140発の実弾を撃ち込み、2人を死亡させたという事件も含まれている。同警官は訴追された。

 

その他、この地図が示すように、アメリカの南西部や山岳部の州では特に、警察官による殺人事件の率が高いようです。

 

               

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By Lauren Thibert (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

さて、キャパ―ニックがこの行動を始めてすぐ、2016年の9月にオクラホマ州で起きた白人警官による黒人射殺事件も引き金になり、多くのプロフットボール選手がキャパ―ニックを支持して、国旗掲揚・国歌吹奏の際に座り込むか、膝を着くといった行動に出るようになりました。その他のスポーツでは、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、アイスホッケー等の選手が同様の行動を取るようになりましたし、プロ以外の場でも、大学生や高校生のアスリートたちがそれにジョインしました。

 

マスコミや企業でも、キャパ―ニック支持の声は多くありましたが、同時に選手たちの中にも、また市民の中にも「国旗や国歌に対する侮辱だ」と考え、キャパ―ニック批判の声も広がり、支持か糾弾かという分裂が至る所で見られるようになりました。

 

しかし、キャパ―ニックと共に闘おうとする声は一向に収まらず、トランプ大統領は就任後の9月に、「国歌吹奏の際に起立しないプレーヤーは首にすべし」という趣旨のツイートを何度も発しました。それに対して、プロリーグNFLの選手たち、それもほとんどのチームのプレーヤーたち少なくとも200人は、抗議のために、国歌吹奏の際には膝を着いたり、ロッカールームに止まってその場には参加しないという行動を取る結果になりました。

 

フットボールチームのオーナーたちの中には、トランプ大統領に巨額の寄付をした人もいますので、トランプ支持派も多いのですが、選手たちの表現の自由を認めるオーナーもいて、ここでも両極端に分れることになりました。

 

さて、キャパ―ニック選手に戻ると、彼は、2016-2017のシーズンを終えてフリー・エージェントになりましたが、その後、どのチームからもオファーがなく、NFLのチーム・オーナーたちが談合によって彼を排除していると見られても仕方がない状態が続いています。キャパ―ニック選手は、NFLを談合により彼自身の働く権利を奪った廉で訴えています。

 

今年になって早々、その訴訟の手続きが始まっています。シャバーニっくとともに行動する多くの選手たちの熱は収まらず、同時にキャパ―ニックをシンボルとする人権派、リベラル派に対する攻撃も一層激しさを増してきています。

 

経済的格差によってアメリカという社会が分断されていることは周知の事実ですし、独裁政治か民主主義かという抗争も激しさを増しています。人種を初めとして様々な線で区分けをした結果、少数派としての立場に追いやられた人々の切り捨ても容赦なく行われています。

 

そんな中、「政治とは一線を画す」が金科玉条であるとされてきたスポーツの世界でも、その考え方そのものが実は非常に重い政治性を持つ事実に気付いた人々が声を上げ始めているということなのではないでしょうか。そして既得権を持つ人々はそれを守ろうと躍起になり、その結果としての分断が起っています。その中で良識派が闘い地歩を固め、多くの人に勇気とエネルギーを与えています。今後の展開がどうなるのか予断を許しませんが、トランプ政権そのものに大きな打撃を与え得るほどの影響力をスポーツ界は持っています。

 

それと対照的に日本の状況を考えると、安心する気持にはなれませんが、スポーツ界そのものの体質も問われているような気がするのは私だけでしょうか。

 

 

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2018年1月 5日 (金)

トランプ大統領を窮地に追い込むのは ――フットボール選手その他のアスリートかもしれません――


トランプ大統領を窮地に追い込むのは

――フットボール選手その他のアスリートかもしれません――

 

暮に御紹介した、デーブ・ズィリンの著書『アメリカのスポーツと抵抗運動』は2005年に出版されていたのですが、そのオーディオ版がつい最近リリースされ、それを聞くことで新たな展望が開けてきました。そこで学んだことを復習しながらお伝えしてきたのですが、この本は10年以上前までしか触れていません。最後の方で取り上げられている2003年の出来事とその後のアメリカスポーツ界はどうなっているのかにも興味を持ちましたので、調べて見ました。

 

その結果、私にとっては驚くべき発見がありました。我が国のマスコミは取り上げていませんが、今でもアメリカのスポーツ界はアメリカ社会全体を動かすほどの大きな運動を展開しるのです。それに真っ向から対峙しているのがトランプ大統領なのですが、ことによると最後のジョーカーをつかまされるのは大統領かもしれないと思えるほどの広がりを持ちつつあります。

 

何回かに分けて、その動きを御紹介します。その前に、それに至る歴史から始めましょう。

 

2001年のアメリカ同時多発テロ以後、スポーツ界そしてアメリカ中で大きなニュースになったのは、NFLのスター・プレーヤーだったパット・ティルマンがフットボールとその後の巨額の契約を捨てて軍に志願し、イラク戦争に従軍したことでした。(残念なことに2004年には、友軍の弾に当って、ティルマンは戦死します。)

 

しかし、アメリカのメディアは、ティルマンの行動を英雄的なものとして褒め称えました。そして、2004年の戦死も同様の扱いで取り上げられました。

 

でも、アメリカのスポーツ界も多様です。2003年には、ニューヨークにあるマンハッタンビル・カレッジという小さな大学の女子バスケットボール・チームのシニアだった、トニー・スミスはゲームの始まる前の国歌の演奏の際にアメリカ国旗に背を向けました。彼女はイラク戦争は正義に反していると感じ、そんなことをしているアメリカという国家の国旗そして国歌に敬意を表すことはできないと考えたのです。

 

             

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ニューヨーク・デイリー・ニュースから

 

両隣の二人の選手も手をつないで頭を垂れ、国旗に背は向けてはいませんが、スミスを支持しています。

 

この行動を心配した大学の学長は、言論の自由・表現の自由という立場からスミスを守ろうとしますが、マスコミは徹底的に彼女と学長の批判に明け暮れました。「この行動はゴミだ。アメリカよ消えてしまえと言っているに等しい。そしてこれから国のために命を捧げようとしている人たち、そして既に国のために究極の貢献をした人たちに背を向け、彼らを愚弄する行為だ」といった調子の言葉が二人に浴びせられました。

 

そんな批判が起ることなど全く考えてもいなかったスミスは傷付きますが、それでも自分の考え方を変えることはありませんでした。その後彼女はマンハッタンの、子どもたちを犯罪に向わせ兼ねない環境を改善する仕事に現場で関わっています。

 

同時に彼女の行動は、1968年のメキシコ・オリンピックの際のトニー・スミスとジョン・カーロスの勇気と重ねて語られることも多く、多くの若者の間に浸透したことも事実です。そして2003年から10年以上経った2016年に、再び、彼女の勇気の再来だと言われる事件が起ります。

 

 

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2017年12月29日 (金)

オーストラリア政府の謝罪 ――サンノゼ州立大学には三人の立像もあります――


オーストラリア政府の謝罪

――サンノゼ州立大学には三人の立像もあります――

 

1968年のメキシコ・オリンピックでスミスとカーロスが黒い手袋をしようと考えたのは、当時のブランデージIOC会長が、白人至上主義者かつ女性差別主義者だったことが原因です。IOC会長が全てのメダルを授与し、握手をする習わしになっていると理解していた二人は、ブランデージ会長との握手はどうしてもしたくない、そのためには手袋が必要だ、それも黒人を象徴する色でと考えて黒の皮手袋を準備していたとのことです。

 

一言お断りしておきますが、この原稿は、アメリカのスポーツ・ジャーナリストであるデーブ・ズィリンの著書『アメリカのスポーツと抵抗運動』そして雑誌『The Nation』の記事等を参考に、前回そして今回の原稿を書いています。

 

さて、メキシコ・オリンピックでは男子200メートルのメダルはブランデージ会長が渡すのではないことが分り、「ブラック・パワー・サリュート」によって世界へのアピールが行われることになりました。その時点で、ノーマンは「私はあなた方と行動を共にする」と伝え、「人権を求めるオリンピック・プロジェクト(Olympic Project for Human Rights 略称:OPHR)」のバッジを付けました。そして表彰台に近付くときに手袋を忘れたカーロスに片方の手袋を渡したらと提案したのもノーマンでした。

 

オーストラリアがノーマンの偉大さに気付き、それまでノーマンに対して行われた非道な行為に謝罪するのは、彼の死後6年たった2012年になりますが、スミスとカーロスは、ノーマンの亡くなる一年前、2005年には母校であるサンノゼ州立大学に彼ら二人の功績を讃える立像が作られることで、名誉回復を遂げています。

 

               

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像の除幕式には、ノーマンも招待され出席していますが、彼が当時立っていた第二位の台には彼の姿がありません。「二人と自分の立場は違うから」という理由と「二人を支えた私と同じ立場に立つ人々が多くいる。彼らにその場に立って貰うことで、自分の足跡を理解し引き継いで欲しい」という理由からでした。その趣旨の言葉が、第二位の台座には刻まれています。物理的存在としてのノーマンはそこにはいませんが、でも、この立像には三人の姿が見事に描かれていると思うのは私だけではありません。

 

残念なことに、ノーマンは次の年2006年に、祖国オーストラリアからの理解を得られないまま63歳で亡くなります。しかし、自分の行動が正しかったことについて、彼はは生涯、微動だにすることなく確信を持っていました。葬儀では、スミスとカーロスが、彼の棺を担いで歩む姿が印象的でした。

 

 

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そして、それから6年後の2012年、オーストラリア議会は満場一致で、ピーター・ノーマンの偉業を讃え、彼に対してのしわれなき仕打ちに対して謝罪する決議を採択しました。

 

まず、陸上選手としてノーマンが、オーストラリア記録保持者であるほどの素晴らしい業績を打ち立てたこと、そして1968年のオリンピックで、スミスとカーロスとともに自らの信念を公にしたことの勇気を讃え、彼を1972年のオリンピック代表に選ばなかった非についての謝罪をし、人種差別撤廃のためにノーマンが非凡な役割を果したことを認めています。

 

現在では、ピーター・ノーマンの果した役割はオーストラリアの教科書でも取り上げられ、子どもたちも彼の人生を知るまでになりました。その陰には、ピーターの甥であるマット・ノーマンが、叔父についての真実を残さなくてはいけないと考えて制作した映画『サリュート』が世界的評価を受け、ピーター・ノーマンのコミットメントを多くの人が知るに至ったことも重要です。

 

スポーツ選手が世界を変える上で大きな役割を果して来た歴史の一端はお伝え出来たと思いますが、もう一つの教訓があります。それは国家、そして政府の果たす役割です。

 

国家を絶対視し、「国家は過ちを犯さない」と信じている人たちには、オーストラリア議会 (それには当時の首相の意向も反映されていました) の取った行動は理解できないでしょう。しかし、国家も人間の集団ですから過ちは犯します。その事実を謙虚に受け止め、未来に生かさない限り、国家として、その過ちに対する責任を果したことにはなりません。

 

現在のアメリカはトランプ政権によって方針が変ってしまいましたが、過去には、第二次世界大戦中に強制収容所に収監され基本的人権を奪われた日系市民に対する謝罪を、慰謝料を払うことも含めて公的にしています。

 

翻って、日本政府が過去の過ちに対してどのような態度を取って来たのかを考え、それが日本の未来へつながっていることを認識すると、戦慄を感じるのは私だけではないでしょう。

 

一年を振り返りつつ、新年を期して私たちが取り組まなくてはならない課題の大きさに改めて2018年の意味を重ねつつ、エネルギーを蓄える必要性を感じています。

 

 

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コメント

'74と'77にフィルムで見た「民族の祭典」'38を思い出しました。
今では??「民族の祭典+美の祭典」=「オリンピア」と言うらしいのですが、
当時、「民族の祭典」で見たのが「オリンピア」だったのか忘れてしまいましたが。

印象深かったのが、陸上短距離で大活躍・オーエンス選手(米)のささやかな、それでした。
国旗掲揚の時、誇らしげに顔をあげない、ずっとうつむき加減。
強い意志を持って、ではなく、どうしても星条旗に目がいかないという感じ。
後年、そう廉価でもないDVDを。
ら!アメリカンバージョンであったせいか、オーエンス選手のそれは見事にカット!
マラソンで金メダルの孫選手も日の丸をあまり見てなかった→こちらはカットされず。
手を加えないDVDがあるのやら。
(レニ・Riefenstahl(←変換可能!)→「意志の勝利」ともども賛否あろうけど、
記録としてはやはりスゴイ)

「されど映画」様

コメント有り難う御座いました。

1936年のベルリン・オリンピックを振り返ると、2020年の東京オリンピックについても、色々分ることがありそうです。一度、考えて見たいと思います。

良いお年をお迎え下さい。

2017年11月 8日 (水)

日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし? ――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――


日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし?

――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――

 

 

このところ、フェークニュースとして話題になったのは安倍総理とイバンカ補佐官が113日に出席した、女性活躍の推進を目指す「国際女性会議WAW!」での挨拶でした。ガーディアン紙が「空席がイバンカ・トランプを歓迎した」と評した会議です。

 

「関係者を動員すれば良かったのに」とも思いましたが、この会議の出席者の多くは外国からの人たちです。トランプ政権の白人至上主義を初めとする人権無視、他国の立場は無視する「アメリカ・ファースト」主義等に抗議するため、イバンカ補佐官のスピーチをボイコットした外国人がかなりいたとしてもおかしくはありません。

 

共同通信によるとその会議で安倍総理は、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が設立に関わった女性起業家を支援する基金への5千万ドル(約57億円)拠出を表明した、とのことです。外務省のサイトで確認すると、総理大臣の発言は次の通りです。

 

自らもビジネスを立ち上げた実業家として,また,トランプ大統領が信頼する補佐官として,イヴァンカさんは,本年のG20ハンブルグ・サミットで,「女性起業家資金イニシアティブ」の立ち上げを主導されました。日本は,このイニシアティブを強く支持します。そして,最大拠出国の一つとして,5千万ドルの支援を行うことを決定しました。

                             

Photo

 

これだけ読むと、金額は別にしてそれほどの問題があるようには見えないのですが、(後に一部修正されていましたが)、元々のマスコミ報道では、

 

 この基金がイバンカ補佐官個人で運営している基金であり

 そのために税金が使われ

 それが、安倍総理個人のお手柄になる。

 

という、「モリ・カケ・ヤマ・アサ」スキャンダルと同じパターンではないかという、疑惑が見え隠れしていたように読めました。それを、そのまま受け止めてしまった読者が多かったのかもしれません。

 

この基金については、世界銀行の公式ページでの説明が分り易いと思いますので、そちらを御覧下さい。

 

世銀のページの最後には、イバンカ補佐官について次のような注が付けられています。

 

本ファシリティの構想に貢献し、女性の起業という課題を強く支持してきたイバンカ・トランプ米国大統領補佐官は、本ファシリティの運営管理または資金調達には関与しない。

 

これで、①の個人の基金ではなく世界銀行の活動の一環であることが分りましたし、発展途上国の女性の起業や経済活動を助けるという趣旨にも頷けます。額はともかくとして日本政府が何らかの金額を拠出することには問題はなさそうです。しかし、お金のことは、「そこに使わなかったら他にどう使えるのか」を常に考える必要があることも覚えておいて下さい。

 

さらに、③のお手柄ですが、世界中に我々の税金をばら撒いて人気取りに奔走してきたのが安倍総理ですから、マスコミも読者も正確に状況を把握していると言って良いようです。

 

しかし、私が一番引っ掛かったのは、安倍総理のスピーチの中でイバンカ補佐官を持ち上げたすぐ後の言葉です。

 

日本は,世界において,これからも「女性活躍」の旗を高く掲げ,強いリーダーシップを発揮していく決意です。

 

「アメリカ・ファースト」を掲げている人の前で、「ジャパン・ファースト」はおくびにも出さず「世界において」と言えば、それは「アメリカ・ファースト」の追認になってしまうでしょう。

 

でもそれが言えなかったのは、日本国内では「女性活躍」の結果が全く出ていないからです。ほぼ同じ時期に公表された世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」が、明確にその点を示しています。以下、日本経済新聞の電子版です。

 

世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。

 

「女性活躍」の旗を高く掲げていてこの結果になったのであれば、やる気がないか、能力がないことになります。でもお題目だけ掲げて国民を騙す常套手段だと考えると、悔しい話ではありますが、一応の説明にはなります。

 

経済も114位という世界最低のレベルですので、貧困国や発展途上国への支援も大切ですが、日本という私たちの国の中でも女性の起業について、もっと力を入れても良いのではないでしょうか。

 

イバンカ補佐官がそれほど大事なら、彼女の来日に合わせて「イバンカ補佐官来日記念日本女性起業支援基金」を作って、女性の起業家に資金提供を提供することくらい簡単にできるではありませんか。

 

それも、57億円とは言いません。約10分の16億円を「イバンカ・ファン・クラブ」とでも名付ける「トランプ・安倍お友だち」サークルから集めることくらいできるでしょう。

 

6億円の内、1億円は運営費に充て、残りは、一人/一企業あたり100万円として全国の約50の都道府県単位で、各県1000万、つまり10人の起業家を助けることが可能です。全国では500人になります。もし税金を使っての対策にするのなら、この10倍を考えても良いのではないでしょうか。

 

[陰の声] 基金を作るのは良くても「イバンカ」なんて名前を付けただけで、拒否反応だけが残ると思うよ。

 

世界でも最低レベルの地位に甘んじ、それでも毎日頑張っている日本中の女性たちが元気になるメッセージを送ること、そしてそのための施策を展開することは、イバンカ補佐官という一人の女性にオベッカを使い、トランプ大統領の覚え目出度き存在になることなどとは比べ物にならないほど、大切で基本的なことなのではないでしょうか。

 

 

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2017年9月24日 (日)

国際法違反が罷り通る国連で良いのか ――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――


国際法違反が罷り通る国連で良いのか

――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――

 

 

北朝鮮の核実験とミサイル発射が続き、李外相は太平洋上での水爆実験にまで言及しています。対してトランプ大統領の北朝鮮に対する言葉も激しさを増し、「火と嵐」が「タフさで不十分」との判断の下、国連演説では北朝鮮の「完全破壊」にまでエスカレートしました。安倍首相は、「虎の威を借る狐」よろしく、もっと「圧力」を掛けろとけしかけています。

 

               

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DOD photo by U.S. Air Force Staff Sgt. Jette Carr

 

北朝鮮は、トランプ演説後に金委員長が異例の声明を発して、「米国の老いぼれの狂人を必ずや火で罰する」と言っていますし、それに先立つ9月18日の労働新聞(朝鮮労働党機関紙)では「もしアメリカが戦争の道を選ぶなら******アメリカは核兵器による恐るべき攻撃を受け、悲惨かつ最終的な破滅を見ることになろう」と述べています。

 

 

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労働新聞が公表した画像

 

対して韓国は、21日に北朝鮮に対する9億円の人道的支援を行うと決定し、文大統領は国連の演説で、「北朝鮮の核は不可逆的に放棄すべき」と述べ、「追加挑発の場合は新たな措置を模索」とも加えて、「圧力」を掛ける路線を支持するのと同時に、北朝鮮の崩壊、吸収統一あるいは人為的統一は追求しないといういわゆる「3ノー(NO)」政策を再確認し、朴政権を倒した「ろうそく革命」のような平和的手段の重要性を強調しました。それは、演説中「平和」という言葉を30回使ったこと、そして「軍事的衝突により平和が破壊されてはならず、皆さんと国連がろうそくになってほしい」というメッセージに込められています。

 

中国やロシアが対話路線を強調していることに加えて、フランスやドイツも同様に対話を求め、スイスは大統領が仲介の労を取るとまで提案しているにもかかわらず、我が国の政府やマスコミの報道は、トランプ・安倍路線に目を奪われて世界の良識を認識できないようです。ここで付け加えておきたいのは、もう一点、とても重要なことを忘れているという事実です。それは、国連その他の場で行われている過激なレトリックが実は、国際法違反であるということなのです。

 

「力の支配」と「法の支配」と分けることでお分り頂けると思いますが、国際法は「法の支配」の立場です。トランプ・安倍路線は「力の支配」を公然と掲げ、その結果、北朝鮮とともに国際法違反を犯しているのです。


改めて強調します。「法の支配」を設立基盤としている国連の総会で、その大原則を無視し「力の支配」を信奉し実行している国々の主張をこれ以上容認して良いのでしょうか。

 

今年7月に締結され、9月20日に国連で署名式が行われた核兵器禁止条約では、核兵器の使用ならびに、核兵器を使用すると脅すことも禁止しています。しかし、北朝鮮は、党の機関紙、労働新聞を通してその脅しを行い、アメリカは、明示的に核を使うとの脅しには至っていませんが、それと同等の発言をしていますので、これも国際法違反です。

 

核兵器禁止条約は未だ発効していないから違反をしても良い、我が国は署名もしていないし批准する気もないのだから、問題にならない、という声がアメリカ・北朝鮮・日本・オーストラリア等の国から聞こえてきそうですが、この条約は集大成であって、他の条約や一般国際法を参照しても大問題なのです。国際反核法律家協会がその点を簡潔に説明してくれていますので、ここではその要約をしておきます。

 

(A)戦争をするとしても、そのために使うことのできる手段は無制限ではない。

 ジュネーブ諸条約の追加第一議定書では、敵国に対して、全人口を一人残さず殲滅するという脅し、ならびにその前提で戦闘行為を行うことを禁止している。

 また、ニュルンベルグ裁判では、ナチスの「国家総力戦」という考え方を否定している。それは、戦時国際法の全てに反し、その根底にある原則にも反しているからだ。つまり、「総力戦」は、戦争目的のためには他の全ての事柄は二次的な地位に落され、全ての規範・原理・原則・保障・条約の持つ意味が軽んぜられることになるからだ。

 一つの国家全てを破壊する目的で戦争を行うことは、1948年に採択され、1951年に発効したジェノサイド条約に違反している。つまり、その条約の禁止している「国家や人種や民族、宗教的なグループの全滅または部分的な破壊することを目的とする殺戮」に該当するからだ。

 戦争手段に制限のあることは、攻撃側のみならず防衛側にも適用される。したがって、北朝鮮からの攻撃に対してのアメリカまたは同盟国の防衛にも適用される。しかも、2003年のイラク戦争におけるアメリカの方針は、北朝鮮からの攻撃がなくても、アメリカが戦争を仕掛けることも「防衛」の範疇に入るという意味である。

 北朝鮮は核兵器を使用するとの脅しを明示的に行っている。アメリカは、そこまでは言っていないが、「火と嵐」や「完全破壊」はその方向を強く示している。これは、核兵器禁止条約が正に禁止していることだ。

 

(B) 戦争に訴えるというアメリカならびに北朝鮮の脅しは、戦争を正当化できる根拠がないので国際法違反である。

 

 国連憲章51条は、敵からの攻撃があった場合にのみ、自衛のための軍事力の使用を認めている。これまでに攻撃はなかったし、それが近々起こることも考えられない。

 国連の安全保障理事会はこの件についての軍事力の使用を認めていない。直近の安保理決議でも、軍事力の使用を認めない範囲での制裁が強化されている。これまでの決議でも、北朝鮮との間の平和的な解決を追求することが強調されている。これは国連憲章の第2条の3によって義務化されている。つまり、「全ての国際的争いは、平和的に解決されなくてはならない、それは、国際的に平和と安全そして正義を危険にさらさせないために必要だから」

 

つまり、アメリカと北朝鮮がお互いに戦争への道をエスカレートさせるのではなく、まず、両国が直接の対話を始めること、そして軍事力の不使用協定から朝鮮戦争終結、さらに朝鮮半島の非核化へと進む平和への道を探ることにあるのは、明らかでしょう。


国際反核法律家協会のホームページも御覧下さい。近日中には、この件についてもアップされると思います。 

 

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2017年9月16日 (土)

誰が一番得をしているのか ――犯人捜しの鉄則です――



誰が一番得をしているのか

――犯人捜しの鉄則です――

 

推理小説やドラマのファンとしていつも気になるのが、「誰が得をするのか」です。犯人捜しの鉄則なのですが、北朝鮮の暴走行為・挑発そのものについて、またそれをどう受け止めるのかについても参考になるのではないでしょうか。

 

まず、これだけ世界から注目され続けているのですから、北朝鮮自体、そして金正恩委員長に取って大きなメリットのあることは言うまでもないでしょう。

 

                 

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ウイキペディアから

   
   

 

では、日米に取ってはどうでしょうか。NHKの世論調査によると、急激に下っていた安倍内閣の支持率がこのところ上向いています。

 

 

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NHKの世論調査

 


そしてアメリカでも、最悪の支持率がさらに下がりつつあったトランプ政権ですが、これもこのところ、少し改善しています。

 

Photo

Five Thirty Eight のページから

 


推理小説ではありませんから、単純な結論に走るべきではありませんが、しかし、危機を煽ることで得をしている三人の指導者の利害関係が一致しているのだから、バランスを取りながら危機的状態は維持し続けるというシナリオが当分続いてもおかしくはありません。

 

ここで、注釈を付けておくと、独裁国家である北朝鮮では、リーダーの意思を国家に強制しているのかも知れませんので、状況は違うのかもしれませんが、一般的に国家そのものの利害関係とそのリーダーの利害関係は100パーセント一致している訳ではありません。

 

さらに、国際政治を動かす要因は複雑です。だからこそ、多くの専門家らよるもっともらしい予測が繰り返されているのですが、同時に単純なシナリオの方が真実を語っている場合もかなりあるのです。

 

このシナリオから考えられるもう一つの可能性は、戦争をしてしまうとこのバランスが崩れてしまうということです。しかし、理不尽な攻撃をされた、という事態になると世論は大きく変ります。戦争をしたいと考えているリーダーは、そちらのシナリオ作りに励んでいるのかもしれません。


あくまでも冷静に、合理的・論理的に、考えたいものです。

 

 

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コメント

推理小説と言えば、今「三度目の殺人」という映画が上映中ですが、そこでは「群盲象を評す」ということが描かれています。

北朝鮮のミサイル問題も色々な視点、様々な立場からの考察が可能ですが、間違いないのは核抑止論は核拡散にしか繋がらず、地球全体で如何に核を減らしなくしていくかが重要だと思います。

ミサイルを撃たれる度に支持率が上がるのが
癪で癪で堪りません。

北朝鮮の現状は、アメリカが原因だと思います。
北朝鮮は大国の核保有国の核抑止論に従っているだけですね。核兵器の保有と相手国への核攻撃力。
ところでどうして朝鮮戦争を終わらす努力をしていないのでしょうか?
そこにはアメリカの東アジアでの軍事力の維持のためとしか思えません。大規模な北朝鮮への侵攻のための軍事演習をし、故意に朝鮮戦争を維持させているように見えます。
安倍内閣は、なんの役にも立たないJアラートで国の危機感を演出し、自衛隊の必要以上の軍事力の強化とアメリカの手下として戦争ができる組織にしょうとしてますね。
また、アメリカと一緒になって北朝鮮を煽り、北朝鮮を利用して憲法の改悪が必要だと国民を洗脳してますね。
安倍内閣は自ら日本を危機にして、日本を守るのは私だとし、また国民にそう思わせ支持率を上げてますね。この手法は明治維新以降の日本が世界に戦争を仕掛けて不幸な道に進んだのと同じではないでしょうか。

「三度目の殺人」は別として普通の小説やドラマでは悪役や「敵」がはっきりしていますが現実というのは白黒が簡単ではなく「昨日の敵は今日の友」ということまで起こります。とはいうものの今のところ誰が一番悪いかと言えばやんじさんの言う通りで日本政府は非難する相手を完全に間違えています。政府は分かった上でのことですが国民は騙されてはいけません。

北朝鮮による核開発やミサイル発射を「到底容認できない」と言うのであれば、米国や韓国や日本が行う軍事演習やミサイル発射や核保有も同じ様に容認できないものであり、それを「自衛のためだ」と言うなら北朝鮮と同じです。もし日本海や北海道沖で北朝鮮とロシアが軍事演習したら日本や米国はどうするのでしょうか。

「工場長」様、「⑦パパ」様、「やんじ」様、「是枝」様、「同類」様

コメント有り難う御座いました。本来、お一人お一人にコメントのお礼とお返しのコメントをすべきなのですが、これほどの重大問題について、少しずつ違った視点から、それでもベクトルが一致しているコメントを頂いて、大感激しています。その気持をこのような形で表現させて頂くことをお許し下さい。

皆さんの御指摘の通り、現在進行中の核を巡る大ドラマは異常です。目標は当然核廃絶でなくてはなりませんし、核抑止論が虚構であることも世界的に共有されてきています。そして戦争になれば、犠牲になるのは市民です。この点を一番強調しなくてはならないのが、日本政府のはずなのですが--。

できるだけ早くこの虚妄を暴いて、民主的で平和と環境を柱とする政権を創るため頑張りましょう。また、以前の記事の二つ、これと関連がありますので、御覧頂ければ幸いです。

核を巡る「偽善」
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-faf9.html

Xデーに何が起きるか
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/x-4159-f5b1.html

確かに実務もそうです。
ミステリーのように「第一発見者を疑え」とはならず,むしろこれは最後ですね。

「ふぃーゆパパ」様

コメント有り難う御座いました。

実務でもそうなのですね。政治も実務の内でしょうか。

2017年9月14日 (木)

何故「カルバン・クライン」なのですか? ――本拠はニューヨークです――


何故「カルバン・クライン」なのですか?

――本拠はニューヨークです――

                

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ニューヨークで物議を醸したCalvin Kleinの広告

版権: <a href='https://jp.123rf.com/profile_zhukovsky'>zhukovsky / 123RF 写真素材</a>

 

外国の固有名詞の片仮名表記で一番長くモヤモヤが続いていたのは、「カルバン・クライン」です。元々は「Calvin Klein」なのですが、何故「カルバン」?

 

ウイキペディアでも「カルバン・クライン」ですし、ネットで検索してもほとんど全て「カルバン・クライン」で統一されています。

 

御丁寧にYahoo!知恵袋での質問には、次のような回答もありました。「カルバン・クライン」と「ミッシェル・クラン」とどちらも「Klein」なのに、なぜ表記が違うのか、に対する「ベストアンサー」は、「カルバン・クライン」は英語読み、「ミッシェル・クラン」はフランス語読みだからというものなのです。「カルバン」は英語読み?という疑問符が付きます。

 

疑問を解くために、「Calvin Klein」の日本語公式サイトで確かめてみました。それが一番手っ取り早いはずですので、見てみると  Calvin Klein Japan – Official Online Storeは次のような感じです。つまり、目次を除いて日本語表記はありません。

 

Calvin_klein_official_online_shop

 

このサイトでも、本拠はアメリカであることが分りますし、ウイキペディアでも「Calvin Klein」の本拠はアメリカで、Calvin Klein氏本人もアメリカ人であると書かれています。となると、読み方はアメリカ英語の発音に従うのが自然でしょう。

 

では、アメリカ英語で「Calvin」をどう読むのかですが、このファースト・ネームを持つもう一人の有名人がいます。アメリカの第30代大統領の「Calvin Coolidge」です。その読み方ですが、「カルヴィン」または「カルビン」が普通です。今まで、クーリッジ大統領関連の片仮名表記で、「カルバン」は見たことがありません。

 

もうこれで十分だと思いますが、「Calvin Klein」は「カルビン・クライン」が元の発音に近く、「カルバン・クライン」は、それよりかなり離れています。耳でも確かめて下さい。困ったときのYouTubeのお出ましです。



 

 

まだ、納得が行かない方のために、「多数決原理」を採用してみます。複数のスピーカーが、どう発音しているのかを録音しているサイトがあります。矢印を次々に押してみて下さい。御自分の発音を残すこともできます。

 

 

最後に発音とは関係がないのですが、ちょっと目を引く「トリヴィア」です。「Calvin Klein」社のホームページで「About Calvin Klein」の説明を読んで初めて知ったことなのですが、「Calvin Klein」のブランドは「PVH Corporation」が所有し、世界中に製品を販売しているそうです。自社ブランドの他にライセンスされたブランドとして多くの名前で製品を供給しているのですが、その一つに「Donald J. Trump Signature Collection」、つまり、「ドナルド・J・トランプ コレクション」があるのです。

 

「カルバン」と「カルビン」の違いが大きいと感じるのは私だけかもしれませんし、「コスコ」と「コストコ」のような経緯があるのかも知れません。何か御存じの方がいらっしゃれば御教示下さい。

 

さて三回にわたって、英語の固有名詞を片仮名でどう表記するのかについてお読み頂き有難う御座いました。このシリーズは、続けて行きたいと思います。

 

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コメント

企業名やブランドの場合、イメージ=印象ということも大きな要素です。例えばメルセデス・ベンツの場合、欧米では「メルセデス」、日本や韓国では「ベンツ」とだけ呼ぶことが一般的で、それはベンツという名前が如何にもドイツを連想させるため、かつての欧米では印象(ドイツ=ナチス)が悪く、日本や韓国では印象(ドイツ=技術や医療の最先端)が良い、という理由ということでした。(最近は日本でもなるべくメルセデスに統一しようとしています)

Calvin Kleinは確かにアメリカの企業であり、創業者のCalvin Kleinもアメリカ生まれのアメリカ人ですが、日本のファッション業界ではアメリカよりフランスの方がイメージが良い、という意図もあって、敢えてフランス読みにしているのかも知れません。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

デザインではフランスの方が格が上、という理由は十分にあり得ますね。あるいは、フランス語を齧ったことのあるワンマン社長の思い込みとか、発音の難しさ易しさに配慮したとか、可能性としてはあり得るのですが、確証がないものでしょうか。

こういう場合、当事者に聞くのが一番確かだろうと、直接、と言ってもアメリカ人に聞いても仕方ないと思い、日本サイドで聞いてみました。

日本でCalvin Kleinを製造・販売しているのはオンワード樫山ですが、ブランドを管理しているのはPVHジャパンなので、そちらのカルバン・クライン担当からの回答です。

回答は「本人の発音も、アメリカで使われている発音も、カルビンよりカルバンに近かったので、当初からカルバンという表記にしており、それ以上の意図はない」ということでした。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。またPVHジャパンに問い合わせて下さり、有難う御座います。

YouTubeにアップされている発音から、片仮名表記だとどちらに近いのかは明らかだと思いますが、発声の段階を客観的に測ることはできても、それが耳でどう聞こえるのかの客観的なデータを取るのはかなり難しそうですので、そう言われてしまうとそれでお終いですね。

でも、片仮名表記に関わらず、英語の発音を正確に再現する努力はし続けても良いのかもしれません。

2017年5月14日 (日)

大統領の弾劾(2) ――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

大統領の弾劾(2)

――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

トランプ大統領が弾劾される可能性について考えてきましたが、先ずはアメリカの弾劾制度のお浚いです。大統領の弾劾はアメリカ憲法24条に定められています。

 

合衆国憲法第2条第4

 

大統領、副大統領及び合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪又はその他の重罪及び軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる。

 

この手続きを発議するのは連邦の下院です。大統領の訴追は多数決で決められます。しかも、対象となる罪は大統領就任後の期間に限られていませんし、さらに特定の罪を犯した廉で有罪になっていない場合でも訴追される可能性はあります。

 

下院の訴追に続いて上院が弾劾裁判所として機能し、裁判が行われます。その際、大統領が弾劾された場合には最高裁判所の長官が弾劾裁判の指揮を執ります。ここで、3分の2の議決があると罷免されるのですが、罰則はありません。

 

とは言え、大統領を辞任した後では、大統領に与えられていた免責特権がなくなりますので、その時点で時効を迎えていない犯罪について罪を問われる可能性は残っています。

 

これまでの大統領で「弾劾」を受けたのは2人だけです。第17代のアンドリュー・ジョンソン大統領と第42代のビル・クリントン大統領です。前者は南北戦争後の国家再建についての南北の利害関係が元になっています。後者はセックス・スキャンダルが原因ですが、二人とも裁判の結果、罷免は免れています。

 

               

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アンドリュー・ジョンソン大統領

米国会図書館蔵 Image by Mathew Brady, Retouched by Mmxx

 

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ビル・クリントン大統領

By Bob McNeely, The White House[1] - http://www.dodmedia.osd.mil/DVIC_View/Still_Details.cfm?SDAN=DDSC9304622&JPGPath=/Assets/Still/1993/DoD/DD-SC-93-04622.JPG, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3164287

 

もしトランプ大統領が弾劾された場合、前の二人とは違って実際に罷免される可能性が大きいようにも思われます。それは、彼の罪状がこれまでの二人以上に広範かつ重いように見えるからです。

 

先ずは取り沙汰されているトランプ大統領や側近とロシアとの関係があります。今後の取り調べ次第でどうなるか分りませんが、最悪の場合、「国家反逆罪」にも問われ兼ねない性質のものです。また、就任後100日までに、134件の訴訟が起こされていることも重要です。この中には憲法違反の訴えも混じっていますが、それ以前のクリントン、ブッシュ、オバマの3大統領が訴えられた件数を合計したものの3倍以上の数字です。

 

また、大統領就任前、ビジネスマンとしても常識的な範囲を超える多くの係争事案を抱えていましたし、未だに解決していないものもあります。

 

さらに、「人道に対する罪」違反を問う人もいます。元々人道に対する罪とは、「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」ですが、その後、拉致も含む強制失踪やアパルトヘイト、性的奴隷や強制妊娠、強制断種も加えられ、ハーグの国際刑事裁判所が担当しています。

 

この「人道に対する罪」の中に、地球環境を破壊する温暖化を含めて考えるべきだとの主張が強くなっています。トランプ大統領の勧めている環境政策は、これに反していますので、これも弾劾の際には強力な理由になりそうです。

 

これだけ多くの問題の全てについて調べ上げれば、総体として弾劾の対象にはなるだろうと思いますが、政府機関でもない限りそれだけの時間も手間も割けないのが常識でしょう。しかし、今回のFBI長官の解任が脚光を浴び、世論が高まれば、ロシアとの関係 (ウォーターゲートに関連付けて、「ロシアゲート」とも呼ばれています) について、特別検察官を設置するという結果になるかもしれません。それを避けるためにトランプ大統領はさらなる過激かつ突然の手段を取らざるを得ないかもしれません。

 

時々刻々新たな言動でマスコミの脚光を浴び続ける作戦が何時まで持つものか疑問ですが、これも岡潔先生の指摘した「セックス・スクリーン・スポーツ」の内の「スクリーン」の一部だとすると、そんなことに時間を取られるのではなく、人類にとってより本質的な核兵器の廃絶や、温暖化防止にこそ直ちにかつ本腰を入れて取り組んで貰いたいと思うのは私だけでしょうか。

 

 

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2017年5月12日 (金)

大統領の弾劾(1) ――「土曜の夜の虐殺」から始まった――


大統領の弾劾(1)

――「土曜の夜の虐殺」から始まった――

 

アメリカ時間の59日、火曜日に、FBI長官のジェームズ・コミー氏が突然解任されました。長官の任期は10年、大統領はどのような理由であれFBI長官を解任できる権限を持っていますが、その力が一番最近使われたのは1993年、クリントン大統領の時代で、理由は公私混同等の倫理的なものでした。

 

今回は、表向き、クリントン元国務長官の私用メール問題の捜査における不手際だと発表されていますが、実は、トランプ大統領や側近たちとロシアとの関係についての捜査の本格化を妨害するためなのではないかと、多くのメディアが報道しています。

 

この解任劇が火曜日に起きたため、「火曜の夜の虐殺」と呼ばれていますが、それは、19731020日、土曜日に起きたもう一つの解任劇である「土曜の夜の虐殺」に準えて今回の事件を捉えている人が多いからです。

 

「土曜の夜の虐殺」では、ウォーターゲート事件の捜査のために「特別検察官」として任命されたアーチボルド・コックス氏が解任され、氏を特別検察官に任命したエリオット・リチャードソン司法長官とウィリアム・D・ラッケルズハウス副長官は、コックス氏の解任はできないと拒否して辞任をしています。そこまで司法当局を追い詰めたのは、自分自身が捜査の対象になっていた第37代のリチャード・ニクソン大統領でした。

 

           

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37代大統領リチャード・ニクソン氏の肖像画

 

今回も、FBIの捜査の対象になっているトランプ大統領が、捜査の責任者であるコミー氏を解任したのですから、この二つの事件の関連性に注目するのは当然でしょう。

 

1973年には「土曜の夜の虐殺」が引き金になって、ニクソン大統領の弾劾という大場面に近付くのですが、結局彼は弾劾されませんでした。大統領は、下院で訴追決議の行われる直前に辞任してしまつたのです。

 

「土曜の夜の虐殺」と「火曜の夜の虐殺」とが対になって出てくるのには、より大きな背景もあります。解任だけがニクソン氏とトランプ氏の共通点ではないのです。

 

ニクソン氏はウォーターゲート事件で悪徳政治家の代名詞にさえなった政治家ですし、彼のあだ名は「Tricky Dick」つまり、「悪賢いディック」が、一般的印象を良く表しています。さらに、歴史を遡って検証すると、ニクソン氏の政治的言動、特に権力を手に入れる手法、例えば嘘の吐き方等は、トランプ氏のそれと類似点があまりにも多過ぎるという指摘もあるほどです。ニクソン氏の政治手法が結局ウォーターゲートで破綻したように、トランプ氏の手法も、ニクソン氏の場合より早く破綻するだろう、あるいは弾劾されるだろうとの予測も、特に「火曜夜の虐殺」以降多くなりました。

 

次回は、アメリカの弾劾制度について、そしてその可能性がかなりあることを検証したいと思います。

 

 

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2017年5月 6日 (土)

憲法解釈の違いは何に由来するのか ――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

憲法解釈の違いは何に由来するのか

――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

日米の憲法について、それぞれどのような点が問題になっているのかを比較して見ることで、立憲政治と民主主義の擁護について何らかの示唆が得られるかもしれないと思っていたのですが、「2020年までに改憲」という安倍発言から頭に浮んだ何点かを先ず文字にすることになりました。

 

そこで書き散らしたことを敷衍しながら整理すると、先ず、我が国では個人の自由を制限する特定秘密保護法や共謀罪の動きがあり、アメリカでも同様に、特定国の国民を入国させないといった方針が示されるなど、個人の基本的人権を狭める動きが顕著になっています。

 

同時に、トランプ大統領の誕生を可能にした条件の一つである2010年の最高裁判所の判断は、企業も表現の自由を持つことを確定しました。この判決も含めて企業の権利を大幅に広げる動きにも注目する必要があります。我が国でも、武器禁輸三原則が反故にされ防衛装備移転三原則が取って代るなど企業の権利をより大きくする方向の施策が取られています。

 

少し乱暴ですが、個人の権利は尊重し企業の権利は制限するという立場をリベラル派と呼ぶなら、正反対の立場、つまり個人の権利を制限し企業の権利を尊重するトランプ・安倍両政権は超保守派、あるいは反動派とでも呼べば良いのでしょうか。

 

リベラル派のもう一つの特徴は、知性を活用することによって人類の生きる環境を変え改善することができると信じていること、特に理想を目指す政治的な立場の持つ価値を重んじていることかもしれません。

 

その立場から、日米の憲法に関わる問題点をもう一度検証して見ましょう。

 

アメリカの最高裁が、「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」と判断した理由は、

  企業にも、個人と同様に「表現の自由」が与えられている。それは「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されているからである。

  巨額の資金が使われているという事実だけから、政府がそれを「腐敗」であると断定することはできない。つまり、いくら以上なら腐敗であり、それ未満ならそうではないという客観的な基準を設けることができないからである。

  支出額の制限を加えることは、市民の知る権利を侵害する可能性がある。情報を広げるのにはお金がかかるという理由で作られた規制によって、ある情報が隠されてしまうのは市民の知る権利の侵害になり得る。

だったのですが、仮に、この中の①、つまり、企業も表現の自由を持つことを認めたとしても、それを実現する手段として「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」という結論にはならないのではないかと思います。

 

   1787年のアメリカ憲法署名式

 

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特に、②では、支出金額が多いからと言ってそれを腐敗として認めようとすると、その客観的な「線引き」ができないから、という理由が述べられています。

 

確かに、抽象的な議論をすればそれには一理あるのですが、現実の世の中では利益の追求を最優先する企業あるいはビジネスと、生活する主体としての個人との間には明確な違いがあり、それを対立関係と捉えられる場合の多いことも事実です。

 

そして、選挙の際にビジネス側が使える選挙資金と個人とが支出できる金額には大きな差があります。公正な選挙と表現の自由との間のバランスをどう取るのかの問題になりますが、個人の使える額には当然上限がありますので、それに見合った上限を企業・ビジネスに課すことこそ、民主的な政治を維持する上での重要事項の一つになるのではないでしょうか。

 

つまり、企業の使える金額の条件は抽象的レベルで「客観的」に決めるべき事柄ではなく、公正な選挙により民意ができるだけ忠実に反映されるためにはどの程度の支出なら許されるのかを、これまでの選挙についてのデータや今後の動きの推定を元に、「合理的」に決定すべきことなのではないでしょうか。

 

「自衛隊の明文化」についての考察も続けて行いたいと思います。

 

 

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