トランプ関連

2017年11月 8日 (水)

日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし? ――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――


日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし?

――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――

 

 

このところ、フェークニュースとして話題になったのは安倍総理とイバンカ補佐官が113日に出席した、女性活躍の推進を目指す「国際女性会議WAW!」での挨拶でした。ガーディアン紙が「空席がイバンカ・トランプを歓迎した」と評した会議です。

 

「関係者を動員すれば良かったのに」とも思いましたが、この会議の出席者の多くは外国からの人たちです。トランプ政権の白人至上主義を初めとする人権無視、他国の立場は無視する「アメリカ・ファースト」主義等に抗議するため、イバンカ補佐官のスピーチをボイコットした外国人がかなりいたとしてもおかしくはありません。

 

共同通信によるとその会議で安倍総理は、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が設立に関わった女性起業家を支援する基金への5千万ドル(約57億円)拠出を表明した、とのことです。外務省のサイトで確認すると、総理大臣の発言は次の通りです。

 

自らもビジネスを立ち上げた実業家として,また,トランプ大統領が信頼する補佐官として,イヴァンカさんは,本年のG20ハンブルグ・サミットで,「女性起業家資金イニシアティブ」の立ち上げを主導されました。日本は,このイニシアティブを強く支持します。そして,最大拠出国の一つとして,5千万ドルの支援を行うことを決定しました。

                             

Photo

 

これだけ読むと、金額は別にしてそれほどの問題があるようには見えないのですが、(後に一部修正されていましたが)、元々のマスコミ報道では、

 

 この基金がイバンカ補佐官個人で運営している基金であり

 そのために税金が使われ

 それが、安倍総理個人のお手柄になる。

 

という、「モリ・カケ・ヤマ・アサ」スキャンダルと同じパターンではないかという、疑惑が見え隠れしていたように読めました。それを、そのまま受け止めてしまった読者が多かったのかもしれません。

 

この基金については、世界銀行の公式ページでの説明が分り易いと思いますので、そちらを御覧下さい。

 

世銀のページの最後には、イバンカ補佐官について次のような注が付けられています。

 

本ファシリティの構想に貢献し、女性の起業という課題を強く支持してきたイバンカ・トランプ米国大統領補佐官は、本ファシリティの運営管理または資金調達には関与しない。

 

これで、①の個人の基金ではなく世界銀行の活動の一環であることが分りましたし、発展途上国の女性の起業や経済活動を助けるという趣旨にも頷けます。額はともかくとして日本政府が何らかの金額を拠出することには問題はなさそうです。しかし、お金のことは、「そこに使わなかったら他にどう使えるのか」を常に考える必要があることも覚えておいて下さい。

 

さらに、③のお手柄ですが、世界中に我々の税金をばら撒いて人気取りに奔走してきたのが安倍総理ですから、マスコミも読者も正確に状況を把握していると言って良いようです。

 

しかし、私が一番引っ掛かったのは、安倍総理のスピーチの中でイバンカ補佐官を持ち上げたすぐ後の言葉です。

 

日本は,世界において,これからも「女性活躍」の旗を高く掲げ,強いリーダーシップを発揮していく決意です。

 

「アメリカ・ファースト」を掲げている人の前で、「ジャパン・ファースト」はおくびにも出さず「世界において」と言えば、それは「アメリカ・ファースト」の追認になってしまうでしょう。

 

でもそれが言えなかったのは、日本国内では「女性活躍」の結果が全く出ていないからです。ほぼ同じ時期に公表された世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」が、明確にその点を示しています。以下、日本経済新聞の電子版です。

 

世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。

 

「女性活躍」の旗を高く掲げていてこの結果になったのであれば、やる気がないか、能力がないことになります。でもお題目だけ掲げて国民を騙す常套手段だと考えると、悔しい話ではありますが、一応の説明にはなります。

 

経済も114位という世界最低のレベルですので、貧困国や発展途上国への支援も大切ですが、日本という私たちの国の中でも女性の起業について、もっと力を入れても良いのではないでしょうか。

 

イバンカ補佐官がそれほど大事なら、彼女の来日に合わせて「イバンカ補佐官来日記念日本女性起業支援基金」を作って、女性の起業家に資金提供を提供することくらい簡単にできるではありませんか。

 

それも、57億円とは言いません。約10分の16億円を「イバンカ・ファン・クラブ」とでも名付ける「トランプ・安倍お友だち」サークルから集めることくらいできるでしょう。

 

6億円の内、1億円は運営費に充て、残りは、一人/一企業あたり100万円として全国の約50の都道府県単位で、各県1000万、つまり10人の起業家を助けることが可能です。全国では500人になります。もし税金を使っての対策にするのなら、この10倍を考えても良いのではないでしょうか。

 

[陰の声] 基金を作るのは良くても「イバンカ」なんて名前を付けただけで、拒否反応だけが残ると思うよ。

 

世界でも最低レベルの地位に甘んじ、それでも毎日頑張っている日本中の女性たちが元気になるメッセージを送ること、そしてそのための施策を展開することは、イバンカ補佐官という一人の女性にオベッカを使い、トランプ大統領の覚え目出度き存在になることなどとは比べ物にならないほど、大切で基本的なことなのではないでしょうか。

 

 

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2017年9月24日 (日)

国際法違反が罷り通る国連で良いのか ――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――


国際法違反が罷り通る国連で良いのか

――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――

 

 

北朝鮮の核実験とミサイル発射が続き、李外相は太平洋上での水爆実験にまで言及しています。対してトランプ大統領の北朝鮮に対する言葉も激しさを増し、「火と嵐」が「タフさで不十分」との判断の下、国連演説では北朝鮮の「完全破壊」にまでエスカレートしました。安倍首相は、「虎の威を借る狐」よろしく、もっと「圧力」を掛けろとけしかけています。

 

               

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DOD photo by U.S. Air Force Staff Sgt. Jette Carr

 

北朝鮮は、トランプ演説後に金委員長が異例の声明を発して、「米国の老いぼれの狂人を必ずや火で罰する」と言っていますし、それに先立つ9月18日の労働新聞(朝鮮労働党機関紙)では「もしアメリカが戦争の道を選ぶなら******アメリカは核兵器による恐るべき攻撃を受け、悲惨かつ最終的な破滅を見ることになろう」と述べています。

 

 

Kimjongunseptemberexlarge169

労働新聞が公表した画像

 

対して韓国は、21日に北朝鮮に対する9億円の人道的支援を行うと決定し、文大統領は国連の演説で、「北朝鮮の核は不可逆的に放棄すべき」と述べ、「追加挑発の場合は新たな措置を模索」とも加えて、「圧力」を掛ける路線を支持するのと同時に、北朝鮮の崩壊、吸収統一あるいは人為的統一は追求しないといういわゆる「3ノー(NO)」政策を再確認し、朴政権を倒した「ろうそく革命」のような平和的手段の重要性を強調しました。それは、演説中「平和」という言葉を30回使ったこと、そして「軍事的衝突により平和が破壊されてはならず、皆さんと国連がろうそくになってほしい」というメッセージに込められています。

 

中国やロシアが対話路線を強調していることに加えて、フランスやドイツも同様に対話を求め、スイスは大統領が仲介の労を取るとまで提案しているにもかかわらず、我が国の政府やマスコミの報道は、トランプ・安倍路線に目を奪われて世界の良識を認識できないようです。ここで付け加えておきたいのは、もう一点、とても重要なことを忘れているという事実です。それは、国連その他の場で行われている過激なレトリックが実は、国際法違反であるということなのです。

 

「力の支配」と「法の支配」と分けることでお分り頂けると思いますが、国際法は「法の支配」の立場です。トランプ・安倍路線は「力の支配」を公然と掲げ、その結果、北朝鮮とともに国際法違反を犯しているのです。


改めて強調します。「法の支配」を設立基盤としている国連の総会で、その大原則を無視し「力の支配」を信奉し実行している国々の主張をこれ以上容認して良いのでしょうか。

 

今年7月に締結され、9月20日に国連で署名式が行われた核兵器禁止条約では、核兵器の使用ならびに、核兵器を使用すると脅すことも禁止しています。しかし、北朝鮮は、党の機関紙、労働新聞を通してその脅しを行い、アメリカは、明示的に核を使うとの脅しには至っていませんが、それと同等の発言をしていますので、これも国際法違反です。

 

核兵器禁止条約は未だ発効していないから違反をしても良い、我が国は署名もしていないし批准する気もないのだから、問題にならない、という声がアメリカ・北朝鮮・日本・オーストラリア等の国から聞こえてきそうですが、この条約は集大成であって、他の条約や一般国際法を参照しても大問題なのです。国際反核法律家協会がその点を簡潔に説明してくれていますので、ここではその要約をしておきます。

 

(A)戦争をするとしても、そのために使うことのできる手段は無制限ではない。

 ジュネーブ諸条約の追加第一議定書では、敵国に対して、全人口を一人残さず殲滅するという脅し、ならびにその前提で戦闘行為を行うことを禁止している。

 また、ニュルンベルグ裁判では、ナチスの「国家総力戦」という考え方を否定している。それは、戦時国際法の全てに反し、その根底にある原則にも反しているからだ。つまり、「総力戦」は、戦争目的のためには他の全ての事柄は二次的な地位に落され、全ての規範・原理・原則・保障・条約の持つ意味が軽んぜられることになるからだ。

 一つの国家全てを破壊する目的で戦争を行うことは、1948年に採択され、1951年に発効したジェノサイド条約に違反している。つまり、その条約の禁止している「国家や人種や民族、宗教的なグループの全滅または部分的な破壊することを目的とする殺戮」に該当するからだ。

 戦争手段に制限のあることは、攻撃側のみならず防衛側にも適用される。したがって、北朝鮮からの攻撃に対してのアメリカまたは同盟国の防衛にも適用される。しかも、2003年のイラク戦争におけるアメリカの方針は、北朝鮮からの攻撃がなくても、アメリカが戦争を仕掛けることも「防衛」の範疇に入るという意味である。

 北朝鮮は核兵器を使用するとの脅しを明示的に行っている。アメリカは、そこまでは言っていないが、「火と嵐」や「完全破壊」はその方向を強く示している。これは、核兵器禁止条約が正に禁止していることだ。

 

(B) 戦争に訴えるというアメリカならびに北朝鮮の脅しは、戦争を正当化できる根拠がないので国際法違反である。

 

 国連憲章51条は、敵からの攻撃があった場合にのみ、自衛のための軍事力の使用を認めている。これまでに攻撃はなかったし、それが近々起こることも考えられない。

 国連の安全保障理事会はこの件についての軍事力の使用を認めていない。直近の安保理決議でも、軍事力の使用を認めない範囲での制裁が強化されている。これまでの決議でも、北朝鮮との間の平和的な解決を追求することが強調されている。これは国連憲章の第2条の3によって義務化されている。つまり、「全ての国際的争いは、平和的に解決されなくてはならない、それは、国際的に平和と安全そして正義を危険にさらさせないために必要だから」

 

つまり、アメリカと北朝鮮がお互いに戦争への道をエスカレートさせるのではなく、まず、両国が直接の対話を始めること、そして軍事力の不使用協定から朝鮮戦争終結、さらに朝鮮半島の非核化へと進む平和への道を探ることにあるのは、明らかでしょう。


国際反核法律家協会のホームページも御覧下さい。近日中には、この件についてもアップされると思います。 

 

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2017年9月16日 (土)

誰が一番得をしているのか ――犯人捜しの鉄則です――



誰が一番得をしているのか

――犯人捜しの鉄則です――

 

推理小説やドラマのファンとしていつも気になるのが、「誰が得をするのか」です。犯人捜しの鉄則なのですが、北朝鮮の暴走行為・挑発そのものについて、またそれをどう受け止めるのかについても参考になるのではないでしょうか。

 

まず、これだけ世界から注目され続けているのですから、北朝鮮自体、そして金正恩委員長に取って大きなメリットのあることは言うまでもないでしょう。

 

                 

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ウイキペディアから

   
   

 

では、日米に取ってはどうでしょうか。NHKの世論調査によると、急激に下っていた安倍内閣の支持率がこのところ上向いています。

 

 

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NHKの世論調査

 


そしてアメリカでも、最悪の支持率がさらに下がりつつあったトランプ政権ですが、これもこのところ、少し改善しています。

 

Photo

Five Thirty Eight のページから

 


推理小説ではありませんから、単純な結論に走るべきではありませんが、しかし、危機を煽ることで得をしている三人の指導者の利害関係が一致しているのだから、バランスを取りながら危機的状態は維持し続けるというシナリオが当分続いてもおかしくはありません。

 

ここで、注釈を付けておくと、独裁国家である北朝鮮では、リーダーの意思を国家に強制しているのかも知れませんので、状況は違うのかもしれませんが、一般的に国家そのものの利害関係とそのリーダーの利害関係は100パーセント一致している訳ではありません。

 

さらに、国際政治を動かす要因は複雑です。だからこそ、多くの専門家らよるもっともらしい予測が繰り返されているのですが、同時に単純なシナリオの方が真実を語っている場合もかなりあるのです。

 

このシナリオから考えられるもう一つの可能性は、戦争をしてしまうとこのバランスが崩れてしまうということです。しかし、理不尽な攻撃をされた、という事態になると世論は大きく変ります。戦争をしたいと考えているリーダーは、そちらのシナリオ作りに励んでいるのかもしれません。


あくまでも冷静に、合理的・論理的に、考えたいものです。

 

 

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コメント

推理小説と言えば、今「三度目の殺人」という映画が上映中ですが、そこでは「群盲象を評す」ということが描かれています。

北朝鮮のミサイル問題も色々な視点、様々な立場からの考察が可能ですが、間違いないのは核抑止論は核拡散にしか繋がらず、地球全体で如何に核を減らしなくしていくかが重要だと思います。

ミサイルを撃たれる度に支持率が上がるのが
癪で癪で堪りません。

北朝鮮の現状は、アメリカが原因だと思います。
北朝鮮は大国の核保有国の核抑止論に従っているだけですね。核兵器の保有と相手国への核攻撃力。
ところでどうして朝鮮戦争を終わらす努力をしていないのでしょうか?
そこにはアメリカの東アジアでの軍事力の維持のためとしか思えません。大規模な北朝鮮への侵攻のための軍事演習をし、故意に朝鮮戦争を維持させているように見えます。
安倍内閣は、なんの役にも立たないJアラートで国の危機感を演出し、自衛隊の必要以上の軍事力の強化とアメリカの手下として戦争ができる組織にしょうとしてますね。
また、アメリカと一緒になって北朝鮮を煽り、北朝鮮を利用して憲法の改悪が必要だと国民を洗脳してますね。
安倍内閣は自ら日本を危機にして、日本を守るのは私だとし、また国民にそう思わせ支持率を上げてますね。この手法は明治維新以降の日本が世界に戦争を仕掛けて不幸な道に進んだのと同じではないでしょうか。

「三度目の殺人」は別として普通の小説やドラマでは悪役や「敵」がはっきりしていますが現実というのは白黒が簡単ではなく「昨日の敵は今日の友」ということまで起こります。とはいうものの今のところ誰が一番悪いかと言えばやんじさんの言う通りで日本政府は非難する相手を完全に間違えています。政府は分かった上でのことですが国民は騙されてはいけません。

北朝鮮による核開発やミサイル発射を「到底容認できない」と言うのであれば、米国や韓国や日本が行う軍事演習やミサイル発射や核保有も同じ様に容認できないものであり、それを「自衛のためだ」と言うなら北朝鮮と同じです。もし日本海や北海道沖で北朝鮮とロシアが軍事演習したら日本や米国はどうするのでしょうか。

「工場長」様、「⑦パパ」様、「やんじ」様、「是枝」様、「同類」様

コメント有り難う御座いました。本来、お一人お一人にコメントのお礼とお返しのコメントをすべきなのですが、これほどの重大問題について、少しずつ違った視点から、それでもベクトルが一致しているコメントを頂いて、大感激しています。その気持をこのような形で表現させて頂くことをお許し下さい。

皆さんの御指摘の通り、現在進行中の核を巡る大ドラマは異常です。目標は当然核廃絶でなくてはなりませんし、核抑止論が虚構であることも世界的に共有されてきています。そして戦争になれば、犠牲になるのは市民です。この点を一番強調しなくてはならないのが、日本政府のはずなのですが--。

できるだけ早くこの虚妄を暴いて、民主的で平和と環境を柱とする政権を創るため頑張りましょう。また、以前の記事の二つ、これと関連がありますので、御覧頂ければ幸いです。

核を巡る「偽善」
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-faf9.html

Xデーに何が起きるか
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/x-4159-f5b1.html

確かに実務もそうです。
ミステリーのように「第一発見者を疑え」とはならず,むしろこれは最後ですね。

「ふぃーゆパパ」様

コメント有り難う御座いました。

実務でもそうなのですね。政治も実務の内でしょうか。

2017年9月14日 (木)

何故「カルバン・クライン」なのですか? ――本拠はニューヨークです――


何故「カルバン・クライン」なのですか?

――本拠はニューヨークです――

                

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ニューヨークで物議を醸したCalvin Kleinの広告

版権: <a href='https://jp.123rf.com/profile_zhukovsky'>zhukovsky / 123RF 写真素材</a>

 

外国の固有名詞の片仮名表記で一番長くモヤモヤが続いていたのは、「カルバン・クライン」です。元々は「Calvin Klein」なのですが、何故「カルバン」?

 

ウイキペディアでも「カルバン・クライン」ですし、ネットで検索してもほとんど全て「カルバン・クライン」で統一されています。

 

御丁寧にYahoo!知恵袋での質問には、次のような回答もありました。「カルバン・クライン」と「ミッシェル・クラン」とどちらも「Klein」なのに、なぜ表記が違うのか、に対する「ベストアンサー」は、「カルバン・クライン」は英語読み、「ミッシェル・クラン」はフランス語読みだからというものなのです。「カルバン」は英語読み?という疑問符が付きます。

 

疑問を解くために、「Calvin Klein」の日本語公式サイトで確かめてみました。それが一番手っ取り早いはずですので、見てみると  Calvin Klein Japan – Official Online Storeは次のような感じです。つまり、目次を除いて日本語表記はありません。

 

Calvin_klein_official_online_shop

 

このサイトでも、本拠はアメリカであることが分りますし、ウイキペディアでも「Calvin Klein」の本拠はアメリカで、Calvin Klein氏本人もアメリカ人であると書かれています。となると、読み方はアメリカ英語の発音に従うのが自然でしょう。

 

では、アメリカ英語で「Calvin」をどう読むのかですが、このファースト・ネームを持つもう一人の有名人がいます。アメリカの第30代大統領の「Calvin Coolidge」です。その読み方ですが、「カルヴィン」または「カルビン」が普通です。今まで、クーリッジ大統領関連の片仮名表記で、「カルバン」は見たことがありません。

 

もうこれで十分だと思いますが、「Calvin Klein」は「カルビン・クライン」が元の発音に近く、「カルバン・クライン」は、それよりかなり離れています。耳でも確かめて下さい。困ったときのYouTubeのお出ましです。



 

 

まだ、納得が行かない方のために、「多数決原理」を採用してみます。複数のスピーカーが、どう発音しているのかを録音しているサイトがあります。矢印を次々に押してみて下さい。御自分の発音を残すこともできます。

 

 

最後に発音とは関係がないのですが、ちょっと目を引く「トリヴィア」です。「Calvin Klein」社のホームページで「About Calvin Klein」の説明を読んで初めて知ったことなのですが、「Calvin Klein」のブランドは「PVH Corporation」が所有し、世界中に製品を販売しているそうです。自社ブランドの他にライセンスされたブランドとして多くの名前で製品を供給しているのですが、その一つに「Donald J. Trump Signature Collection」、つまり、「ドナルド・J・トランプ コレクション」があるのです。

 

「カルバン」と「カルビン」の違いが大きいと感じるのは私だけかもしれませんし、「コスコ」と「コストコ」のような経緯があるのかも知れません。何か御存じの方がいらっしゃれば御教示下さい。

 

さて三回にわたって、英語の固有名詞を片仮名でどう表記するのかについてお読み頂き有難う御座いました。このシリーズは、続けて行きたいと思います。

 

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コメント

企業名やブランドの場合、イメージ=印象ということも大きな要素です。例えばメルセデス・ベンツの場合、欧米では「メルセデス」、日本や韓国では「ベンツ」とだけ呼ぶことが一般的で、それはベンツという名前が如何にもドイツを連想させるため、かつての欧米では印象(ドイツ=ナチス)が悪く、日本や韓国では印象(ドイツ=技術や医療の最先端)が良い、という理由ということでした。(最近は日本でもなるべくメルセデスに統一しようとしています)

Calvin Kleinは確かにアメリカの企業であり、創業者のCalvin Kleinもアメリカ生まれのアメリカ人ですが、日本のファッション業界ではアメリカよりフランスの方がイメージが良い、という意図もあって、敢えてフランス読みにしているのかも知れません。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

デザインではフランスの方が格が上、という理由は十分にあり得ますね。あるいは、フランス語を齧ったことのあるワンマン社長の思い込みとか、発音の難しさ易しさに配慮したとか、可能性としてはあり得るのですが、確証がないものでしょうか。

こういう場合、当事者に聞くのが一番確かだろうと、直接、と言ってもアメリカ人に聞いても仕方ないと思い、日本サイドで聞いてみました。

日本でCalvin Kleinを製造・販売しているのはオンワード樫山ですが、ブランドを管理しているのはPVHジャパンなので、そちらのカルバン・クライン担当からの回答です。

回答は「本人の発音も、アメリカで使われている発音も、カルビンよりカルバンに近かったので、当初からカルバンという表記にしており、それ以上の意図はない」ということでした。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。またPVHジャパンに問い合わせて下さり、有難う御座います。

YouTubeにアップされている発音から、片仮名表記だとどちらに近いのかは明らかだと思いますが、発声の段階を客観的に測ることはできても、それが耳でどう聞こえるのかの客観的なデータを取るのはかなり難しそうですので、そう言われてしまうとそれでお終いですね。

でも、片仮名表記に関わらず、英語の発音を正確に再現する努力はし続けても良いのかもしれません。

2017年5月14日 (日)

大統領の弾劾(2) ――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

大統領の弾劾(2)

――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

トランプ大統領が弾劾される可能性について考えてきましたが、先ずはアメリカの弾劾制度のお浚いです。大統領の弾劾はアメリカ憲法24条に定められています。

 

合衆国憲法第2条第4

 

大統領、副大統領及び合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪又はその他の重罪及び軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる。

 

この手続きを発議するのは連邦の下院です。大統領の訴追は多数決で決められます。しかも、対象となる罪は大統領就任後の期間に限られていませんし、さらに特定の罪を犯した廉で有罪になっていない場合でも訴追される可能性はあります。

 

下院の訴追に続いて上院が弾劾裁判所として機能し、裁判が行われます。その際、大統領が弾劾された場合には最高裁判所の長官が弾劾裁判の指揮を執ります。ここで、3分の2の議決があると罷免されるのですが、罰則はありません。

 

とは言え、大統領を辞任した後では、大統領に与えられていた免責特権がなくなりますので、その時点で時効を迎えていない犯罪について罪を問われる可能性は残っています。

 

これまでの大統領で「弾劾」を受けたのは2人だけです。第17代のアンドリュー・ジョンソン大統領と第42代のビル・クリントン大統領です。前者は南北戦争後の国家再建についての南北の利害関係が元になっています。後者はセックス・スキャンダルが原因ですが、二人とも裁判の結果、罷免は免れています。

 

               

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アンドリュー・ジョンソン大統領

米国会図書館蔵 Image by Mathew Brady, Retouched by Mmxx

 

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ビル・クリントン大統領

By Bob McNeely, The White House[1] - http://www.dodmedia.osd.mil/DVIC_View/Still_Details.cfm?SDAN=DDSC9304622&JPGPath=/Assets/Still/1993/DoD/DD-SC-93-04622.JPG, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3164287

 

もしトランプ大統領が弾劾された場合、前の二人とは違って実際に罷免される可能性が大きいようにも思われます。それは、彼の罪状がこれまでの二人以上に広範かつ重いように見えるからです。

 

先ずは取り沙汰されているトランプ大統領や側近とロシアとの関係があります。今後の取り調べ次第でどうなるか分りませんが、最悪の場合、「国家反逆罪」にも問われ兼ねない性質のものです。また、就任後100日までに、134件の訴訟が起こされていることも重要です。この中には憲法違反の訴えも混じっていますが、それ以前のクリントン、ブッシュ、オバマの3大統領が訴えられた件数を合計したものの3倍以上の数字です。

 

また、大統領就任前、ビジネスマンとしても常識的な範囲を超える多くの係争事案を抱えていましたし、未だに解決していないものもあります。

 

さらに、「人道に対する罪」違反を問う人もいます。元々人道に対する罪とは、「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」ですが、その後、拉致も含む強制失踪やアパルトヘイト、性的奴隷や強制妊娠、強制断種も加えられ、ハーグの国際刑事裁判所が担当しています。

 

この「人道に対する罪」の中に、地球環境を破壊する温暖化を含めて考えるべきだとの主張が強くなっています。トランプ大統領の勧めている環境政策は、これに反していますので、これも弾劾の際には強力な理由になりそうです。

 

これだけ多くの問題の全てについて調べ上げれば、総体として弾劾の対象にはなるだろうと思いますが、政府機関でもない限りそれだけの時間も手間も割けないのが常識でしょう。しかし、今回のFBI長官の解任が脚光を浴び、世論が高まれば、ロシアとの関係 (ウォーターゲートに関連付けて、「ロシアゲート」とも呼ばれています) について、特別検察官を設置するという結果になるかもしれません。それを避けるためにトランプ大統領はさらなる過激かつ突然の手段を取らざるを得ないかもしれません。

 

時々刻々新たな言動でマスコミの脚光を浴び続ける作戦が何時まで持つものか疑問ですが、これも岡潔先生の指摘した「セックス・スクリーン・スポーツ」の内の「スクリーン」の一部だとすると、そんなことに時間を取られるのではなく、人類にとってより本質的な核兵器の廃絶や、温暖化防止にこそ直ちにかつ本腰を入れて取り組んで貰いたいと思うのは私だけでしょうか。

 

 

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2017年5月12日 (金)

大統領の弾劾(1) ――「土曜の夜の虐殺」から始まった――


大統領の弾劾(1)

――「土曜の夜の虐殺」から始まった――

 

アメリカ時間の59日、火曜日に、FBI長官のジェームズ・コミー氏が突然解任されました。長官の任期は10年、大統領はどのような理由であれFBI長官を解任できる権限を持っていますが、その力が一番最近使われたのは1993年、クリントン大統領の時代で、理由は公私混同等の倫理的なものでした。

 

今回は、表向き、クリントン元国務長官の私用メール問題の捜査における不手際だと発表されていますが、実は、トランプ大統領や側近たちとロシアとの関係についての捜査の本格化を妨害するためなのではないかと、多くのメディアが報道しています。

 

この解任劇が火曜日に起きたため、「火曜の夜の虐殺」と呼ばれていますが、それは、19731020日、土曜日に起きたもう一つの解任劇である「土曜の夜の虐殺」に準えて今回の事件を捉えている人が多いからです。

 

「土曜の夜の虐殺」では、ウォーターゲート事件の捜査のために「特別検察官」として任命されたアーチボルド・コックス氏が解任され、氏を特別検察官に任命したエリオット・リチャードソン司法長官とウィリアム・D・ラッケルズハウス副長官は、コックス氏の解任はできないと拒否して辞任をしています。そこまで司法当局を追い詰めたのは、自分自身が捜査の対象になっていた第37代のリチャード・ニクソン大統領でした。

 

           

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37代大統領リチャード・ニクソン氏の肖像画

 

今回も、FBIの捜査の対象になっているトランプ大統領が、捜査の責任者であるコミー氏を解任したのですから、この二つの事件の関連性に注目するのは当然でしょう。

 

1973年には「土曜の夜の虐殺」が引き金になって、ニクソン大統領の弾劾という大場面に近付くのですが、結局彼は弾劾されませんでした。大統領は、下院で訴追決議の行われる直前に辞任してしまつたのです。

 

「土曜の夜の虐殺」と「火曜の夜の虐殺」とが対になって出てくるのには、より大きな背景もあります。解任だけがニクソン氏とトランプ氏の共通点ではないのです。

 

ニクソン氏はウォーターゲート事件で悪徳政治家の代名詞にさえなった政治家ですし、彼のあだ名は「Tricky Dick」つまり、「悪賢いディック」が、一般的印象を良く表しています。さらに、歴史を遡って検証すると、ニクソン氏の政治的言動、特に権力を手に入れる手法、例えば嘘の吐き方等は、トランプ氏のそれと類似点があまりにも多過ぎるという指摘もあるほどです。ニクソン氏の政治手法が結局ウォーターゲートで破綻したように、トランプ氏の手法も、ニクソン氏の場合より早く破綻するだろう、あるいは弾劾されるだろうとの予測も、特に「火曜夜の虐殺」以降多くなりました。

 

次回は、アメリカの弾劾制度について、そしてその可能性がかなりあることを検証したいと思います。

 

 

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2017年5月 6日 (土)

憲法解釈の違いは何に由来するのか ――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

憲法解釈の違いは何に由来するのか

――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

日米の憲法について、それぞれどのような点が問題になっているのかを比較して見ることで、立憲政治と民主主義の擁護について何らかの示唆が得られるかもしれないと思っていたのですが、「2020年までに改憲」という安倍発言から頭に浮んだ何点かを先ず文字にすることになりました。

 

そこで書き散らしたことを敷衍しながら整理すると、先ず、我が国では個人の自由を制限する特定秘密保護法や共謀罪の動きがあり、アメリカでも同様に、特定国の国民を入国させないといった方針が示されるなど、個人の基本的人権を狭める動きが顕著になっています。

 

同時に、トランプ大統領の誕生を可能にした条件の一つである2010年の最高裁判所の判断は、企業も表現の自由を持つことを確定しました。この判決も含めて企業の権利を大幅に広げる動きにも注目する必要があります。我が国でも、武器禁輸三原則が反故にされ防衛装備移転三原則が取って代るなど企業の権利をより大きくする方向の施策が取られています。

 

少し乱暴ですが、個人の権利は尊重し企業の権利は制限するという立場をリベラル派と呼ぶなら、正反対の立場、つまり個人の権利を制限し企業の権利を尊重するトランプ・安倍両政権は超保守派、あるいは反動派とでも呼べば良いのでしょうか。

 

リベラル派のもう一つの特徴は、知性を活用することによって人類の生きる環境を変え改善することができると信じていること、特に理想を目指す政治的な立場の持つ価値を重んじていることかもしれません。

 

その立場から、日米の憲法に関わる問題点をもう一度検証して見ましょう。

 

アメリカの最高裁が、「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」と判断した理由は、

  企業にも、個人と同様に「表現の自由」が与えられている。それは「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されているからである。

  巨額の資金が使われているという事実だけから、政府がそれを「腐敗」であると断定することはできない。つまり、いくら以上なら腐敗であり、それ未満ならそうではないという客観的な基準を設けることができないからである。

  支出額の制限を加えることは、市民の知る権利を侵害する可能性がある。情報を広げるのにはお金がかかるという理由で作られた規制によって、ある情報が隠されてしまうのは市民の知る権利の侵害になり得る。

だったのですが、仮に、この中の①、つまり、企業も表現の自由を持つことを認めたとしても、それを実現する手段として「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」という結論にはならないのではないかと思います。

 

   1787年のアメリカ憲法署名式

 

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特に、②では、支出金額が多いからと言ってそれを腐敗として認めようとすると、その客観的な「線引き」ができないから、という理由が述べられています。

 

確かに、抽象的な議論をすればそれには一理あるのですが、現実の世の中では利益の追求を最優先する企業あるいはビジネスと、生活する主体としての個人との間には明確な違いがあり、それを対立関係と捉えられる場合の多いことも事実です。

 

そして、選挙の際にビジネス側が使える選挙資金と個人とが支出できる金額には大きな差があります。公正な選挙と表現の自由との間のバランスをどう取るのかの問題になりますが、個人の使える額には当然上限がありますので、それに見合った上限を企業・ビジネスに課すことこそ、民主的な政治を維持する上での重要事項の一つになるのではないでしょうか。

 

つまり、企業の使える金額の条件は抽象的レベルで「客観的」に決めるべき事柄ではなく、公正な選挙により民意ができるだけ忠実に反映されるためにはどの程度の支出なら許されるのかを、これまでの選挙についてのデータや今後の動きの推定を元に、「合理的」に決定すべきことなのではないでしょうか。

 

「自衛隊の明文化」についての考察も続けて行いたいと思います。

 

 

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2017年5月 3日 (水)

日米憲法事情 ――アメリカは最高裁、日本は内閣が憲法破壊?――

 

日米憲法事情

――アメリカは最高裁、日本は内閣が憲法破壊?――

 

最初にお詫びです。昨日の記事は、「いのちとうとし」さんの担当だったのですが、それを失念していて私が割り込むような形になってしまいました。申し訳ありませんでした。昨年も好評だった渓流釣りの記ですので、まだお読みになっていない方、是非、御一読下さい。

 

もう一つ、「さっちさん」が指摘して下さったように、Sさんから頂いたのは「ゼンマイ」ではなく「ワラビ」でした。御指摘有難う御座いました。

 

さて今日は憲法記念日、しかも憲法施行70周年という記念の年です。立憲政治・民主主義・そして平和な生き方を守るために決意を新たにしたいと思います。

 

           

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この70年間、日本国憲法が様々な試練を潜ってきたことは御存知の通りですが、特に安倍内閣になってからの状況は目に余ります。何とかしなくてはならないという気持だけはあってもどうすれば良いのか、なかなか具体的かつすぐ行動に移せるアイデア、しかも必ず効果の上がる方策を思い付かないのは残念なのですが、ちょっと枠組みを変えて考えて見たらどうかなと考えて見ました。それは日米の憲法を比較することです。そこから何らかのヒントが得られるかもしれません。

 

議論を簡単にするために、前から取り上げている、「選挙を金で買える」ことにしてしまったアメリカの最高裁判所の判断を取り上げます。

 

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By Noclip at en.wikipedia - Transferred from en.wikipedia, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4051476

アメリカの最高裁判所、夕暮れ時の正面玄関です

 

世界で一二を争う資産家であるコーク兄弟の作ったネットワークに属する「United Citizens」という組織が、2010年に「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」という最高裁判所の判決を勝ち取りました。詳細は、27日付の記事に掲載しましたが、要点だけ抜き取って再掲します。

 

2008年にCitizens United という、コーク兄弟から膨大な資金を受け取っている団体が、ヒラリー・クリントン候補についてのネガティブ・キャンペーンの一環としてオン・デマンドのビデオを作り、そのビデオを宣伝するメディア・キャンペーンを精力的に行いました。連邦選挙委員会(FEC)は、これが超党派キャンペーン改革法違反だと判断して、中止命令を出したのですが、CU側は、表現の自由を保障している憲法の修正第一条違反であることを理由に、裁判を起こしました。

最終的には最高裁判所が判決を下したのですが、その判断には重要な4つのポイントがあります。

① FECそして、超党派キャンペーン改革法は、憲法の修正第一条違反を犯している。

企業にも、個人と同様に「表現の自由」が与えられている。それは「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されているからである。

巨額の資金が使われているという事実だけから、政府がそれを「腐敗」であると断定することはできない。つまり、いくら以上なら腐敗であり、それ未満ならそうではないという客観的な基準を設けることができないからである。

支出額の制限を加えることは、市民の知る権利を侵害する可能性がある。情報を広げるのにはお金がかかるという理由で作られた規制によって、ある情報が隠されてしまうのは市民の知る権利の侵害になり得る。

この結果、CUそしてコーク兄弟、ならびに多くの億万長者たちは、選挙戦を勝つためには無制限に自分たちの資産を使えるようになり、アメリカ社会は大きく変りました。

 

ここで憲法に関連して大切なのは、②に掲げられている「「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されている」です。「どのような主体」の中には当然企業が入るからです。

 

つまり、アメリカ憲法で保障されている「表現の自由」を享受する主体には、私たち人間、形容詞を付ければ、人間として生れ「自然人」としての権利を受ける立場の私たちだけではなく、「法人」として、法律的に人格を認められている存在まで含まれているということです。

 

法律的な契約は人間と人間の間で行われるのが自然なのですが、経済活動を行っている企業が企業という立場で契約を行えなくなるととても不便です。法人がこうした経済活動を行えるように法律を整備するのは「合理的」だと考えられます。

 

わが国でもこの点が大きく取り上げられ、「特定非営利活動法人」、略して「NPO法人」に法人格を与える、という法整備が1998年に行われました。それまでは、多くの市民活動の団体は単なる「任意団体」としてしか認められず、その結果「法人格」がないため、活動するために事務所を借りたり、電話の契約をしたりするときにも団体名での契約はできませんでした。メンバーの一人の名義で契約を行わざるを得ず大変不便だったのです。

 

企業やその他の団体に「人格」を与えることにそれなりの合理性があることは御理解頂けたとして、では、その「人格」が享受できる権利はどのくらい広いものなのか、というのが、2010年のアメリカ最高裁判決の焦点でした。例えば、テレビ局や新聞社には「表現の自由」が認められています。それを敷衍して、マスコミという事業をしていない企業、例えば極端な例を挙げれば兵器を作っている企業にも、同じように「表現の自由」があるのだという結論です。

 

日本では、特定秘密保護法や共謀罪といった形で「表現の自由」を制限する方向性が強く打ち出されています。単純化するとアメリカでは逆に、「表現の自由」が企業や団体にも広範に認められ、それが民主主義の危機として捉えられているという、一見相反する方向性を示す問題を抱えているように考えられます。

 

事実、アメリカで今、大きな運動になっているのは、「企業は『人(person)』ではないことを憲法の修正、あるいは法律の整備によって確認しろ、という声なのです。

 

日本の法律では、企業が選挙のために無制限に資金を投入することは認められていませんから、それだけ見ると、日本の方がまだましな状況にも見えますが、問題はそれだけではありません。以下、次回に続きます。

 

 

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2017年3月 6日 (月)

ひろしま・ふくしまを結ぶ ワンコインシンポ2017 第5回シンポジウム ――「託されたもの--大地と人と。」―  


ひろしま・ふくしまを結ぶ ワンコインシンポ2017 第5回シンポジウム

――「託されたもの--大地と人と。」―  

 

予定通り1330分に始まったシンポジウムですが、立錐の余地のないくらい多くの皆さんに御参加頂きました。心から感謝しています。 

                         

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 主催者の挨拶では、このシンポジウムも6年目を迎えて、昨年の海に焦点を合わせたシンポとは対照的に、今年は「陸」「山」をバックに大地と人を考えるイベントとして企画したこと、そのために、ゲストとして福島県須賀川市で専業農家を営む樽川和也さんをお招きした経緯の説明がありました。

 

主催者の代表である西村恵美子さんと毎回の名司会振りで多くの人を魅了している中沢晶子さんお二人が、昨年11月に福島まで樽川さんに会いに行き、樽川さんと彼の母上に歓待されたこと、その経験を通して樽川さんに広島までお出で頂くことの大切さを再確認できたとの報告でした。

 

続いて樽川さんの基調報告でしたが、原発から65キロ離れた須賀川市で東日本大震災の被害がどのようなものだったかを事実に即して生々しく描いてくれました。正に胸塞がれる思いでした。そして、お父上の言葉を交えながら、樽川さんの農業者としての原点がお父上だということが良く分るエピソードをいくつも紹介してくれました。

 

例えば、お父上は30年前から有機農業を実践してきたこと、それも「子どもに食べさせるものだから」という理由でその選択をしたこと、1988年に広島での原水禁世界大会に参加した後、原発の危険について何度も語ってくれたこと、東日本大震災後の福島第一原発事故のニュースに接して、自分の言ってきたことが正しかったと感想を漏らし「馬鹿だなこの国は」という言葉が続いたこと、それから言葉が段々少なくなって塞ぎ込むようになり「福島の野菜もこれでお終い」と言っていたことも話してくれました。

 

そして323日の夕方、県から「結球野菜の出荷停止」決定のファクスが届き、夕食になって初めてお父上にそれを見せたところ、じっとテーブルを見詰め続けた姿が瞼に残っていること、夕食後、いつもはお母上が洗っていた食器を何故かお父上が洗ったことにチョッピリ疑問を持った記憶も共有してくれました。

 

24日の朝、お父上の姿が見えないことに母と子は気付き、野菜を見回りに行ったのだろうと思っていたところ、7時になって廃材を一輪車に乗せて裏のキャベツ畑まで運ぼうとしてした樽川さんは、「畑に父が立っているような気がした」ことに気付きました。でも少し近付くと、太さ3メートルの欅の木の下、「父の足は空中にあった」ことに気付き大きなショックを受けました。

 

地震からからの被害だけなら立ち直れた、でも原発の事故が致命的だった、というのが父上の気持だったろうし自分でもそう思うと樽川さんは総括しています。また後で、お父上の知人たちからは、「子どもたちに何も残せなかった」と言っていたことも聞いたそうです。

 

前を通ると父を思い出さざるを得ない欅は伐採して貰い、出荷停止になってそのまま畑に残していた寒キャベツやブロッコリーの株、計8,000株は、凍って割れる音が聞こえるようになり、父の努力と作物の生命を悼んで線香を上げてから、トラクターで均したとのことでした。

 

二日続けて、親御さんと悲劇的な別れを告げた40代の若者が「今いるところを大切に」頑張っている姿に接して、物理的な意味での「今いるところ」と精神的な意味での「今いるところ」を重ねることで、未来の展望が新たな次元から見えること、また被爆者のメッセージの大切な側面として「今いるところを大切にする」姿勢で彼ら/彼女らが生きてきたことなども含めて議論を深めたかったのですが、オバマ大統領の功罪について樽川さん抜きのかなりヒステリックなやり取りに時間を費やすことになってしまったのはとても残念でした。

 

パネスリトとしての責任は果たせませんてほしたが、私個人としては、前日の打ち合わせとシンポ後の打ち上げで、樽川さんの話もきちんと聞けましたし、こうした深みのあるやり取りもできました。とても勉強になりましたし、マイケル・ムーア氏の「10項目アクション・プラン」PRもできましたので、これからはさらに多くの「すぐやる」チーム作りのため頑張りたいと思います。

 

 

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コメント

樽川さんのお話、心に突きささりました。西日本である広島はまるで何もなかったように日常が過ぎていきますが、出来ることはたくさんあると思いますので、日々考えて行動していかなくてはと思いました。また、秋葉さん、ビナードさんのそれぞれの視点からの発言も自分にはない視線なので大変参考になりました。ありがとうございました。

コメント有り難う御座いました。

涙に加えて、考え行動すること、私も中澤さんの言葉を噛み締めています。

今回スタッフとして参加させていただいた山根和則です。
昨年の横川シネマでの「大地を受け継ぐ」上映後に、井上淳一監督と広島に母子避難されている方や平木薫さんも交えてお話しをする機会があったので、今回樽川さんとお逢いできたのはとても嬉しいことでした。
樽川さんとは直接お話しも出来、これからの私自身の福島への取り組みにも、おおきな力と指針を与えていただけました。
つきましては、私のfacebookに、このブログの記事(前後編)をリンクさせていただきました。後からで申し訳ありませんがご了承いただけますでしょうか。もし不都合なようでしたらメールアドレスを入れておりますので連絡頂けましたら対処いたします。
コメント欄をお借りして恐縮です。よろしくお願いします。

「山根和則」様

コメント有り難う御座いました。また、リンクを張って下さったこと、感謝しています。

樽川さんが、広島に来られたことでさらなるエネルギーを得て、お父上の思いをさらに大きな形で実現してくれることになるよう祈っています。そのために、私たちも新たな連携を始められればと思います。

2017年3月 3日 (金)

民意を反映しない選挙制度 ――反映できる制度に変えよう――  



民意を反映しない選挙制度

――反映できる制度に変えよう――  

 

トランプ大統領の誕生とその背景を理解する上で一番の問題は、大統領選挙が間接選挙だということです。市民一人一人が投ずる一票は、大統領候補者の名前を書くようにはなっていますが、実際上は各州毎の「選挙人」と呼ばれる人を選ぶという結果にしかなりません。その結果、総得票数では勝っても、大統領にはなれないケースが結構出てしまうのです。次の表はクリックして頂くと大きくなります。                                                                                                                                                                           

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ここで見て頂きたいのは、当選した候補の総得票率(A)と、民主党候補の総得票率(B)です。不等号を使って、 (A) > (B) が成り立つのは、2004年だけです。共和党の方が総得票数・率で勝っている唯一の年です。その他の年では、民主党候補が当選しているか (だとすると (A) = (B) が成り立ちます)、共和党候補が当選したけれども総得票数では民主党候補が多かった、つまり ((A) < (B) )が成り立つ)、ということになります。

 

まとめると、1992年以来、昨年までの24年間に行われた7回の大統領選挙で、共和党が総得票数で民主党を破ったのは、ただの一度、2004年だけだという数字です。にもかかわらず、選挙そのものでは3回勝っているのですから、選挙制度を変えようという声が上って当然です。

 

民意を反映させる上での理想的な制度は比例代表制なのですが、日本の場合、小選挙区制度を採用してから、得票率と議席獲得率の乖離が大きくなり、政治そのものが大きく歪んでしまったことは皆さんお気付きだと思います。

 

最近の選挙結果を元に、得票率では過半数を取れていないにもかかわらず、議席は3分の2以上、つまり憲法改正が発議できるほどの力を持ってしまっていること、その力を元に、形振り構わず国家主義的・軍国主義的な道を直走りしている体たらくを見てみましょう。

   

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 この乖離を見ただけで、選挙制度を何とかしたいと考えられたとしたら、それは極めて健全な反応なのですが、ではどうすれば良いのでしょうか。そう考えた人たちが集まって、マイケル・ムーア作戦3.4.9.に関連しますが、2014年から活発に活動を続けています。選挙制度改革の素案を作り関連法案も改正することで政治を変えて行こうと頑張っている人たちです。名称は「公正・平等な選挙改革に取り組むプロジェクト」です。

 

会員になって、具体的な活動に参加することもできますので、検討して頂けると幸いです。

 

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