トランプ関連

2018年4月 9日 (月)

 中垣顕實法師から ――4月1日の質問に、ニューヨークからの返信です――

 

中垣顕實法師から

――41日の質問に、ニューヨークからの返信です――

 

「グローバル・ヒロシマ」というテーマで41日に開かれた中垣顕實法師と私の対談では、最後に会場の皆さんから興味深い発言がありました。そこで取り上げる時間のなかったものについては質問用紙に書いて頂いたのですが、中垣法師を指名しての質問が二つありました。ニューヨークに戻られた師から丁寧な回答がありましたので、二回にわたってアップします。

  

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以下、中垣師の回答を引用します。

**********************************

 

「浄土真宗では自らの内の愚かさとそれに対する慈愛を説くとお聞きしました。それを説く時、その教えはどのような力になるのでしょうか。」についての私のからの答えです。

 

質問ありがとうございます。短い質問ではありますが、仏教的平和構築という上では、とても大切なことの質問ですので、少し答えが長くなることをお許しください。

 

まず、内に愚かさということは、常に欲、怒り、愚痴といった煩悩を持ちながら生きているということの自覚です。これは聖徳太子の『憲法十七條』の第十條に書かれている、「ともに凡夫ならくのみ」という言葉にも置き換えられると思います。私は近年この「皆凡夫なんだ」「皆愚かさを持って生きているんだ」という言葉が平和を考える中で一番大切なのではないのだろうかと思うようになってきました。第十條には、愚かさを知ることには、私はいつも正しいのでもなく、聖者のように悟りきっているわけでもない、ということがあるわけで、だからこそ、自分だけが正しいと思っても、相手の意見を聞こうという姿勢がそこに出てくるべきだ、という趣旨のことが説かれています。白黒をハッキリさせるというより、白でもなく黒もないグレーの世界を人は生きているのだから、双方ともに理解し合い、その上で共に何かを作り上げていく努力がなされねばならない。その根底の力が「内なる愚かさ」の自覚から生まれます。

 

100%の善人もいなければ、100%の悪人もいない。それは自分自身もそうだから、常に学び、少しでも真理に近づこうとする力にもなります。ただ完璧な人間はいない、といってどうしようもないから何もしないということではないと思っています。完全でないから、そこ共に語り合い、聞き合い、話し合うことによってより真なる平和な社会を目指す方向にむかう力が内なる愚の自覚であると思うのです。自分が完全な人間であるなら、他人の言うことなどに耳を傾ける必要がないのです。よって、そこには対話は生まれません。白黒をはっきりさせ、二分化してものを考える西洋思想とは異なるものです。誰でも間違いはあるが、そこから学び、過去を許していくところも、愚かさの自覚に他ならないと思います。

 

私は「凡夫の知恵」、「愚者の知恵」と呼びたいと思います。この知恵が力となって平和が構築されていくべきだと私は思い、新たなNPONY平和ファウンデーション)を今年3月から始めましたが、まさにこの「愚の自覚」から始める対話による平和構築を推進するものです。 平和の第一歩は自分の声を聞き、他人の声を聞くことからはじまります。自分はこれが正しいと信じて、相手を悪と決めつけ、自分が正義だと思い上がるところに大きな悲劇をもたらし、正義の名の下でなされた戦争は多くの尊い命をうばってきました。これらの悲劇を繰り返さない道を選択する「二度と過ちは繰り返しません」という言葉にも呼応していくものだと考えています。

 

またそのような凡夫に如来の慈愛は向けられているのだと阿弥陀仏の本願には説かれている。ただ可哀そうだから慈悲がかけられているということだけでなく、その愚かな命は同時に仏になるべき尊い身であるいうことを意味しています。阿弥陀如来の本願には「一切衆生」すなわち、すべての生きとし生けるもの、という言葉ですべての人間、生命、が悟りへの可能性を秘めた存在として語られています。そこにすべての命がかけがえのない存在として、共に平和を作りあげる同志としての存在となっていくのだと考えます。平和は平等なる仏さまの慈愛の眼を通して生まれる世界だと思います。私も貴方も凡夫であるけれども、慈愛につつまれた存在としてお互いに敬い、ともに真理に近づけるように対話を続けるならば、人種、国境を越えた平和の道が開かれていく力になるのだと思っています。他人を恐れ、敵対するのではなく、互いに信頼して、理解し合えるのだという思いを持ち続けることができるのは、浄土真宗においては如来の慈愛がかけられた存在であるというところから出てくる力といえましょう。

 

以上です。

 

[ニューヨーク平和PRFファンデーションの創始者・会長 中垣顕實]

  

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2018年3月28日 (水)

 トランプ大統領とキム委員長への手紙 ――5月のトップ会談を成功させるための提案――

 

トランプ大統領とキム委員長への手紙

――5月のトップ会談を成功させるための提案――

 

2018327日に開かれた広島県原水禁の常任理事会で、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム労働党委員長宛に手紙を出すことが決りました。

                           

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手紙の中身は、310日にも言及したように、昨年トランプ大統領に提案したものを元にさらにブラッシュアップしたいと思っています。完成時には記者会見を開いて、このブログにもアップする予定ですが、今回は、キム委員長とトランプ大統領に提案の手紙を出す意味を「趣意書」としてまとめたものをお読み頂ければ幸いです。

 

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トランプ・キム会談を成功させるために(趣意書)

――両首脳に、「北東アジア非核兵器地帯」を設定するよう提案する――

 

広島県原水禁

 

本年5月を目途として、ドナルド・トランプ米国大統領とキム・ジョンウン朝鮮民主主義人民共和国労働党委員長の両首脳による会談の行われることが決りました。本来であれば、このような会談を提案し、場所を設定しその議題についても被爆者や世界の市民の意思を代弁して行動することで、日本国憲法の意思を実現する役割を果すべきであった日本政府は、周回遅れの世界観しか持てず、この役割を果していません。そればかりではなく、今起きている世界のパラダイム転換が全く見えず、米朝会談を妨害するような安倍政権の言動が世界の笑いものになっています。

 

それと呼応して、疑心暗鬼でこの会談の意味を考えている人も多くいます。しかし両首脳が、人類史的な立場から今後の世界のあり方についての画期的な成果をもたらすかもしれない可能性についても、真剣に向き合う必要があります。

 

もし、このような可能性が少しでもあるとすると、それを生かして、被爆者たちの願ってきた核なき世界実現のために、私たちができる限りの努力をすべきことも自明の理です。

 

そこで、被爆地広島の被爆者と市民を代表して私たち広島県原水禁は、両首脳に「北東アジア非核兵器地帯」を実現して貰うべく、次のような提案書を送りたいと思います。その中で、このような提案がイデオロギーとは無関係であること、現在の世界情勢、特に北東アジアの置かれている状況を考えると最も合理的な選択肢であること、またこの提案を実現することで、両首脳が世界史的に類稀なリーダーとして後世から評価されるであろうことなどを強調したいと思っています。

 

この提案は、昨年の1月に、ドンプ大統領就任直前に、代表委員秋葉が個人名でトランプ新大統領に向けて発信し、アメリカのメディア『ワシントン・ポスト』紙や『ボストン・グローブ』紙で取り上げられたたものを元にしています。また、今回他の団体・個人等からも同様の発信がある場合、または賛同を得られた場合には、協力し合ってより強力な運動体に育て、さらなる努力へとつなげられればと考えています。

 

[2018/3/27イライザ]

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[北東アジア非核兵器地帯]は、街頭に出るたびにわたしも繰り返し、訴えています。あちこちでの取り組みの積み重ねが世界を動かすことになれば、と思います。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。

このような構想のあることさえ知らない人の方が多いと思います。これなら、合理的だし、双方にメリットがかあると納得した人たちが増えて、その声が両首脳に伝われば、良い結果につながると思います。

頑張りましょう。

2018年3月10日 (土)

トランプ大統領とキム委員長の会談 --北東アジア非核兵器地帯条約に結び付くか?――


トランプ大統領とキム委員長の会談

--北東アジア非核兵器地帯条約に結び付くか?――

 

韓国のムン・ジェイン大統領特使として北朝鮮を訪問してキム・ジョンウン労働党委員長との会談を行った韓国大統領府のチョン・ウィヨン国家安保室長は、その後訪米し、ワシントンでトランプ大統領と面会しました。その際、キム委員長がトランプ大統領と早期に会談したいとの意向を持っていることを伝え、トランプ大統領は、その提案に同意、5月までにはトランプ・キム会談が実現することになりました。

 

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世界平和実現のためには大歓迎すべきことですが、その会談の内容がどうなるのかが気になります。

 

それに関しては、一昨年のアメリカの大統領選挙中にトランプ候補は「北と会っても良い」との意向を示していましたので、大統領に選ばれた後、北と会う場合にどんなシナリオが考えられるのか、合理的に双方が合意できる点はどの辺りなのかを考えて見ました。その結果、北東アジア非核地帯条約こそ、この二人がお互いを尊重しつつ、対等な立場で合意するのに最も説得力があると考えられましたので、その趣旨をトランプ大統領への手紙として、ホワイト・ハウスに送りました。

 

この手紙がトランプ氏の目に留まる可能性は少ないだろうとは思いましたが、世界平和のために、また暴力が社会の指導原理になることを防止するために、少しでも可能性のあることを最後まで諦めずに実行することも大切だと考えたからです。幸いにもアメリカのメディアでも一部を取り上げてくれました。

 

そして今回は、この手紙の中で提案しているシナリオの最初の部分が実現したということですので、残りの部分についても少しは期待をしても良さそうです。その手紙を再度御披露した上で、皆さんにもこのシナリオが合理的かつ現実的であることを御理解頂ければと思います。

 

なお、この手紙の中で提案している「北東アジア非核地帯」という考え方は、ピース・デポ、非核議員連盟、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)核兵器のない世界を目指す議員連盟(民進党非核議連)、民主党、立憲民主党、長崎市、世界宗教者平和会議等、多くのNGOや平和活動家の皆さんが提唱し広めてきたものです。トランプ氏そしてキム氏が合理的、現実的な選択肢を選んでくれることを祈りつつ、昨年のブログの記事を以下紹介します。

 

  トランプ新大統領への手紙

  トランプ新大統領への手紙・続

  トランプ大統領への手紙を米紙が取り上げてくれました

 

[2018/3/10イライザ]

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コメント

今年の元旦、わたしは「2018ノーベル平和賞は穴馬はトランプだ!」と予想し、街頭でもその見解を披露していましたが、本当になるかもしれません。びっくりしています。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。

そんなことになると良いのですが--。

もしそうなると、トランプ大統領だけではなくキム委員長も一緒かもしれません。

2018年1月 6日 (土)

黒人差別に抗議したフットボール・スター ――キャパ―ニック選手の投げ掛けた波紋――


黒人差別に抗議したフットボール・スター

――キャパ―ニック選手の投げ掛けた波紋――

 

2003年、マンハッタンビル・カレッジの女子バスケットボール・チーム選手、トニー・スミスはゲームの始まる前の国歌の吹奏の際にアメリカ国旗に背を向け、イラク戦争反対の意思表示をしました。それから10年以上経っていますが、20168月には、サンフランシスコ・フォーティ・ナイナーズのクォーターバック、コリン・キャパ―ニック選手が黒人差別に抗議する行動を取りました。国旗掲揚・国歌吹奏の際に起立はしないで最初は座り込んでいたのですが、後にスタイルを変えその後、地面に膝を着く姿勢を貫いたのです。

 

これは、相続く白人警察官による黒人射殺事件、そしてその後警官が不起訴になったり、仮に裁判になっても、白人警官に有利な結果になっていることに端を発しています。

 

こうした事実は、2014年にホルダー米司法長官が公表した報告書に盛り込まれています。

 

産経ニュースの報道によると、「ホルダー長官が4日発表したクリーブランドの警察に関する報告書は、過剰な発砲など「不合理かつ不必要な武器使用」があったと認定。また、「過剰な権力行使は散発的なものではない」として組織の体質自体に問題があると指摘した。

 

同報告書に記載された事例は、201013年の約600件。この中には、警官が1211月、丸腰の黒人住民2人が乗る車と約35キロにわたってカーチェイスを繰り広げた後、車両に約140発の実弾を撃ち込み、2人を死亡させたという事件も含まれている。同警官は訴追された。

 

その他、この地図が示すように、アメリカの南西部や山岳部の州では特に、警察官による殺人事件の率が高いようです。

 

               

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By Lauren Thibert (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

さて、キャパ―ニックがこの行動を始めてすぐ、2016年の9月にオクラホマ州で起きた白人警官による黒人射殺事件も引き金になり、多くのプロフットボール選手がキャパ―ニックを支持して、国旗掲揚・国歌吹奏の際に座り込むか、膝を着くといった行動に出るようになりました。その他のスポーツでは、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、アイスホッケー等の選手が同様の行動を取るようになりましたし、プロ以外の場でも、大学生や高校生のアスリートたちがそれにジョインしました。

 

マスコミや企業でも、キャパ―ニック支持の声は多くありましたが、同時に選手たちの中にも、また市民の中にも「国旗や国歌に対する侮辱だ」と考え、キャパ―ニック批判の声も広がり、支持か糾弾かという分裂が至る所で見られるようになりました。

 

しかし、キャパ―ニックと共に闘おうとする声は一向に収まらず、トランプ大統領は就任後の9月に、「国歌吹奏の際に起立しないプレーヤーは首にすべし」という趣旨のツイートを何度も発しました。それに対して、プロリーグNFLの選手たち、それもほとんどのチームのプレーヤーたち少なくとも200人は、抗議のために、国歌吹奏の際には膝を着いたり、ロッカールームに止まってその場には参加しないという行動を取る結果になりました。

 

フットボールチームのオーナーたちの中には、トランプ大統領に巨額の寄付をした人もいますので、トランプ支持派も多いのですが、選手たちの表現の自由を認めるオーナーもいて、ここでも両極端に分れることになりました。

 

さて、キャパ―ニック選手に戻ると、彼は、2016-2017のシーズンを終えてフリー・エージェントになりましたが、その後、どのチームからもオファーがなく、NFLのチーム・オーナーたちが談合によって彼を排除していると見られても仕方がない状態が続いています。キャパ―ニック選手は、NFLを談合により彼自身の働く権利を奪った廉で訴えています。

 

今年になって早々、その訴訟の手続きが始まっています。シャバーニっくとともに行動する多くの選手たちの熱は収まらず、同時にキャパ―ニックをシンボルとする人権派、リベラル派に対する攻撃も一層激しさを増してきています。

 

経済的格差によってアメリカという社会が分断されていることは周知の事実ですし、独裁政治か民主主義かという抗争も激しさを増しています。人種を初めとして様々な線で区分けをした結果、少数派としての立場に追いやられた人々の切り捨ても容赦なく行われています。

 

そんな中、「政治とは一線を画す」が金科玉条であるとされてきたスポーツの世界でも、その考え方そのものが実は非常に重い政治性を持つ事実に気付いた人々が声を上げ始めているということなのではないでしょうか。そして既得権を持つ人々はそれを守ろうと躍起になり、その結果としての分断が起っています。その中で良識派が闘い地歩を固め、多くの人に勇気とエネルギーを与えています。今後の展開がどうなるのか予断を許しませんが、トランプ政権そのものに大きな打撃を与え得るほどの影響力をスポーツ界は持っています。

 

それと対照的に日本の状況を考えると、安心する気持にはなれませんが、スポーツ界そのものの体質も問われているような気がするのは私だけでしょうか。

 

 

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2018年1月 5日 (金)

トランプ大統領を窮地に追い込むのは ――フットボール選手その他のアスリートかもしれません――


トランプ大統領を窮地に追い込むのは

――フットボール選手その他のアスリートかもしれません――

 

暮に御紹介した、デーブ・ズィリンの著書『アメリカのスポーツと抵抗運動』は2005年に出版されていたのですが、そのオーディオ版がつい最近リリースされ、それを聞くことで新たな展望が開けてきました。そこで学んだことを復習しながらお伝えしてきたのですが、この本は10年以上前までしか触れていません。最後の方で取り上げられている2003年の出来事とその後のアメリカスポーツ界はどうなっているのかにも興味を持ちましたので、調べて見ました。

 

その結果、私にとっては驚くべき発見がありました。我が国のマスコミは取り上げていませんが、今でもアメリカのスポーツ界はアメリカ社会全体を動かすほどの大きな運動を展開しるのです。それに真っ向から対峙しているのがトランプ大統領なのですが、ことによると最後のジョーカーをつかまされるのは大統領かもしれないと思えるほどの広がりを持ちつつあります。

 

何回かに分けて、その動きを御紹介します。その前に、それに至る歴史から始めましょう。

 

2001年のアメリカ同時多発テロ以後、スポーツ界そしてアメリカ中で大きなニュースになったのは、NFLのスター・プレーヤーだったパット・ティルマンがフットボールとその後の巨額の契約を捨てて軍に志願し、イラク戦争に従軍したことでした。(残念なことに2004年には、友軍の弾に当って、ティルマンは戦死します。)

 

しかし、アメリカのメディアは、ティルマンの行動を英雄的なものとして褒め称えました。そして、2004年の戦死も同様の扱いで取り上げられました。

 

でも、アメリカのスポーツ界も多様です。2003年には、ニューヨークにあるマンハッタンビル・カレッジという小さな大学の女子バスケットボール・チームのシニアだった、トニー・スミスはゲームの始まる前の国歌の演奏の際にアメリカ国旗に背を向けました。彼女はイラク戦争は正義に反していると感じ、そんなことをしているアメリカという国家の国旗そして国歌に敬意を表すことはできないと考えたのです。

 

             

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ニューヨーク・デイリー・ニュースから

 

両隣の二人の選手も手をつないで頭を垂れ、国旗に背は向けてはいませんが、スミスを支持しています。

 

この行動を心配した大学の学長は、言論の自由・表現の自由という立場からスミスを守ろうとしますが、マスコミは徹底的に彼女と学長の批判に明け暮れました。「この行動はゴミだ。アメリカよ消えてしまえと言っているに等しい。そしてこれから国のために命を捧げようとしている人たち、そして既に国のために究極の貢献をした人たちに背を向け、彼らを愚弄する行為だ」といった調子の言葉が二人に浴びせられました。

 

そんな批判が起ることなど全く考えてもいなかったスミスは傷付きますが、それでも自分の考え方を変えることはありませんでした。その後彼女はマンハッタンの、子どもたちを犯罪に向わせ兼ねない環境を改善する仕事に現場で関わっています。

 

同時に彼女の行動は、1968年のメキシコ・オリンピックの際のトニー・スミスとジョン・カーロスの勇気と重ねて語られることも多く、多くの若者の間に浸透したことも事実です。そして2003年から10年以上経った2016年に、再び、彼女の勇気の再来だと言われる事件が起ります。

 

 

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2017年12月29日 (金)

オーストラリア政府の謝罪 ――サンノゼ州立大学には三人の立像もあります――


オーストラリア政府の謝罪

――サンノゼ州立大学には三人の立像もあります――

 

1968年のメキシコ・オリンピックでスミスとカーロスが黒い手袋をしようと考えたのは、当時のブランデージIOC会長が、白人至上主義者かつ女性差別主義者だったことが原因です。IOC会長が全てのメダルを授与し、握手をする習わしになっていると理解していた二人は、ブランデージ会長との握手はどうしてもしたくない、そのためには手袋が必要だ、それも黒人を象徴する色でと考えて黒の皮手袋を準備していたとのことです。

 

一言お断りしておきますが、この原稿は、アメリカのスポーツ・ジャーナリストであるデーブ・ズィリンの著書『アメリカのスポーツと抵抗運動』そして雑誌『The Nation』の記事等を参考に、前回そして今回の原稿を書いています。

 

さて、メキシコ・オリンピックでは男子200メートルのメダルはブランデージ会長が渡すのではないことが分り、「ブラック・パワー・サリュート」によって世界へのアピールが行われることになりました。その時点で、ノーマンは「私はあなた方と行動を共にする」と伝え、「人権を求めるオリンピック・プロジェクト(Olympic Project for Human Rights 略称:OPHR)」のバッジを付けました。そして表彰台に近付くときに手袋を忘れたカーロスに片方の手袋を渡したらと提案したのもノーマンでした。

 

オーストラリアがノーマンの偉大さに気付き、それまでノーマンに対して行われた非道な行為に謝罪するのは、彼の死後6年たった2012年になりますが、スミスとカーロスは、ノーマンの亡くなる一年前、2005年には母校であるサンノゼ州立大学に彼ら二人の功績を讃える立像が作られることで、名誉回復を遂げています。

 

               

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像の除幕式には、ノーマンも招待され出席していますが、彼が当時立っていた第二位の台には彼の姿がありません。「二人と自分の立場は違うから」という理由と「二人を支えた私と同じ立場に立つ人々が多くいる。彼らにその場に立って貰うことで、自分の足跡を理解し引き継いで欲しい」という理由からでした。その趣旨の言葉が、第二位の台座には刻まれています。物理的存在としてのノーマンはそこにはいませんが、でも、この立像には三人の姿が見事に描かれていると思うのは私だけではありません。

 

残念なことに、ノーマンは次の年2006年に、祖国オーストラリアからの理解を得られないまま63歳で亡くなります。しかし、自分の行動が正しかったことについて、彼はは生涯、微動だにすることなく確信を持っていました。葬儀では、スミスとカーロスが、彼の棺を担いで歩む姿が印象的でした。

 

 

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そして、それから6年後の2012年、オーストラリア議会は満場一致で、ピーター・ノーマンの偉業を讃え、彼に対してのしわれなき仕打ちに対して謝罪する決議を採択しました。

 

まず、陸上選手としてノーマンが、オーストラリア記録保持者であるほどの素晴らしい業績を打ち立てたこと、そして1968年のオリンピックで、スミスとカーロスとともに自らの信念を公にしたことの勇気を讃え、彼を1972年のオリンピック代表に選ばなかった非についての謝罪をし、人種差別撤廃のためにノーマンが非凡な役割を果したことを認めています。

 

現在では、ピーター・ノーマンの果した役割はオーストラリアの教科書でも取り上げられ、子どもたちも彼の人生を知るまでになりました。その陰には、ピーターの甥であるマット・ノーマンが、叔父についての真実を残さなくてはいけないと考えて制作した映画『サリュート』が世界的評価を受け、ピーター・ノーマンのコミットメントを多くの人が知るに至ったことも重要です。

 

スポーツ選手が世界を変える上で大きな役割を果して来た歴史の一端はお伝え出来たと思いますが、もう一つの教訓があります。それは国家、そして政府の果たす役割です。

 

国家を絶対視し、「国家は過ちを犯さない」と信じている人たちには、オーストラリア議会 (それには当時の首相の意向も反映されていました) の取った行動は理解できないでしょう。しかし、国家も人間の集団ですから過ちは犯します。その事実を謙虚に受け止め、未来に生かさない限り、国家として、その過ちに対する責任を果したことにはなりません。

 

現在のアメリカはトランプ政権によって方針が変ってしまいましたが、過去には、第二次世界大戦中に強制収容所に収監され基本的人権を奪われた日系市民に対する謝罪を、慰謝料を払うことも含めて公的にしています。

 

翻って、日本政府が過去の過ちに対してどのような態度を取って来たのかを考え、それが日本の未来へつながっていることを認識すると、戦慄を感じるのは私だけではないでしょう。

 

一年を振り返りつつ、新年を期して私たちが取り組まなくてはならない課題の大きさに改めて2018年の意味を重ねつつ、エネルギーを蓄える必要性を感じています。

 

 

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コメント

'74と'77にフィルムで見た「民族の祭典」'38を思い出しました。
今では??「民族の祭典+美の祭典」=「オリンピア」と言うらしいのですが、
当時、「民族の祭典」で見たのが「オリンピア」だったのか忘れてしまいましたが。

印象深かったのが、陸上短距離で大活躍・オーエンス選手(米)のささやかな、それでした。
国旗掲揚の時、誇らしげに顔をあげない、ずっとうつむき加減。
強い意志を持って、ではなく、どうしても星条旗に目がいかないという感じ。
後年、そう廉価でもないDVDを。
ら!アメリカンバージョンであったせいか、オーエンス選手のそれは見事にカット!
マラソンで金メダルの孫選手も日の丸をあまり見てなかった→こちらはカットされず。
手を加えないDVDがあるのやら。
(レニ・Riefenstahl(←変換可能!)→「意志の勝利」ともども賛否あろうけど、
記録としてはやはりスゴイ)

「されど映画」様

コメント有り難う御座いました。

1936年のベルリン・オリンピックを振り返ると、2020年の東京オリンピックについても、色々分ることがありそうです。一度、考えて見たいと思います。

良いお年をお迎え下さい。

2017年11月 8日 (水)

日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし? ――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――


日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし?

――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――

 

 

このところ、フェークニュースとして話題になったのは安倍総理とイバンカ補佐官が113日に出席した、女性活躍の推進を目指す「国際女性会議WAW!」での挨拶でした。ガーディアン紙が「空席がイバンカ・トランプを歓迎した」と評した会議です。

 

「関係者を動員すれば良かったのに」とも思いましたが、この会議の出席者の多くは外国からの人たちです。トランプ政権の白人至上主義を初めとする人権無視、他国の立場は無視する「アメリカ・ファースト」主義等に抗議するため、イバンカ補佐官のスピーチをボイコットした外国人がかなりいたとしてもおかしくはありません。

 

共同通信によるとその会議で安倍総理は、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が設立に関わった女性起業家を支援する基金への5千万ドル(約57億円)拠出を表明した、とのことです。外務省のサイトで確認すると、総理大臣の発言は次の通りです。

 

自らもビジネスを立ち上げた実業家として,また,トランプ大統領が信頼する補佐官として,イヴァンカさんは,本年のG20ハンブルグ・サミットで,「女性起業家資金イニシアティブ」の立ち上げを主導されました。日本は,このイニシアティブを強く支持します。そして,最大拠出国の一つとして,5千万ドルの支援を行うことを決定しました。

                             

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これだけ読むと、金額は別にしてそれほどの問題があるようには見えないのですが、(後に一部修正されていましたが)、元々のマスコミ報道では、

 

 この基金がイバンカ補佐官個人で運営している基金であり

 そのために税金が使われ

 それが、安倍総理個人のお手柄になる。

 

という、「モリ・カケ・ヤマ・アサ」スキャンダルと同じパターンではないかという、疑惑が見え隠れしていたように読めました。それを、そのまま受け止めてしまった読者が多かったのかもしれません。

 

この基金については、世界銀行の公式ページでの説明が分り易いと思いますので、そちらを御覧下さい。

 

世銀のページの最後には、イバンカ補佐官について次のような注が付けられています。

 

本ファシリティの構想に貢献し、女性の起業という課題を強く支持してきたイバンカ・トランプ米国大統領補佐官は、本ファシリティの運営管理または資金調達には関与しない。

 

これで、①の個人の基金ではなく世界銀行の活動の一環であることが分りましたし、発展途上国の女性の起業や経済活動を助けるという趣旨にも頷けます。額はともかくとして日本政府が何らかの金額を拠出することには問題はなさそうです。しかし、お金のことは、「そこに使わなかったら他にどう使えるのか」を常に考える必要があることも覚えておいて下さい。

 

さらに、③のお手柄ですが、世界中に我々の税金をばら撒いて人気取りに奔走してきたのが安倍総理ですから、マスコミも読者も正確に状況を把握していると言って良いようです。

 

しかし、私が一番引っ掛かったのは、安倍総理のスピーチの中でイバンカ補佐官を持ち上げたすぐ後の言葉です。

 

日本は,世界において,これからも「女性活躍」の旗を高く掲げ,強いリーダーシップを発揮していく決意です。

 

「アメリカ・ファースト」を掲げている人の前で、「ジャパン・ファースト」はおくびにも出さず「世界において」と言えば、それは「アメリカ・ファースト」の追認になってしまうでしょう。

 

でもそれが言えなかったのは、日本国内では「女性活躍」の結果が全く出ていないからです。ほぼ同じ時期に公表された世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」が、明確にその点を示しています。以下、日本経済新聞の電子版です。

 

世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。

 

「女性活躍」の旗を高く掲げていてこの結果になったのであれば、やる気がないか、能力がないことになります。でもお題目だけ掲げて国民を騙す常套手段だと考えると、悔しい話ではありますが、一応の説明にはなります。

 

経済も114位という世界最低のレベルですので、貧困国や発展途上国への支援も大切ですが、日本という私たちの国の中でも女性の起業について、もっと力を入れても良いのではないでしょうか。

 

イバンカ補佐官がそれほど大事なら、彼女の来日に合わせて「イバンカ補佐官来日記念日本女性起業支援基金」を作って、女性の起業家に資金提供を提供することくらい簡単にできるではありませんか。

 

それも、57億円とは言いません。約10分の16億円を「イバンカ・ファン・クラブ」とでも名付ける「トランプ・安倍お友だち」サークルから集めることくらいできるでしょう。

 

6億円の内、1億円は運営費に充て、残りは、一人/一企業あたり100万円として全国の約50の都道府県単位で、各県1000万、つまり10人の起業家を助けることが可能です。全国では500人になります。もし税金を使っての対策にするのなら、この10倍を考えても良いのではないでしょうか。

 

[陰の声] 基金を作るのは良くても「イバンカ」なんて名前を付けただけで、拒否反応だけが残ると思うよ。

 

世界でも最低レベルの地位に甘んじ、それでも毎日頑張っている日本中の女性たちが元気になるメッセージを送ること、そしてそのための施策を展開することは、イバンカ補佐官という一人の女性にオベッカを使い、トランプ大統領の覚え目出度き存在になることなどとは比べ物にならないほど、大切で基本的なことなのではないでしょうか。

 

 

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2017年9月24日 (日)

国際法違反が罷り通る国連で良いのか ――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――


国際法違反が罷り通る国連で良いのか

――核を弄び危機を煽っているのは「核兵器禁止条約」に反対している国々――

 

 

北朝鮮の核実験とミサイル発射が続き、李外相は太平洋上での水爆実験にまで言及しています。対してトランプ大統領の北朝鮮に対する言葉も激しさを増し、「火と嵐」が「タフさで不十分」との判断の下、国連演説では北朝鮮の「完全破壊」にまでエスカレートしました。安倍首相は、「虎の威を借る狐」よろしく、もっと「圧力」を掛けろとけしかけています。

 

               

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DOD photo by U.S. Air Force Staff Sgt. Jette Carr

 

北朝鮮は、トランプ演説後に金委員長が異例の声明を発して、「米国の老いぼれの狂人を必ずや火で罰する」と言っていますし、それに先立つ9月18日の労働新聞(朝鮮労働党機関紙)では「もしアメリカが戦争の道を選ぶなら******アメリカは核兵器による恐るべき攻撃を受け、悲惨かつ最終的な破滅を見ることになろう」と述べています。

 

 

Kimjongunseptemberexlarge169

労働新聞が公表した画像

 

対して韓国は、21日に北朝鮮に対する9億円の人道的支援を行うと決定し、文大統領は国連の演説で、「北朝鮮の核は不可逆的に放棄すべき」と述べ、「追加挑発の場合は新たな措置を模索」とも加えて、「圧力」を掛ける路線を支持するのと同時に、北朝鮮の崩壊、吸収統一あるいは人為的統一は追求しないといういわゆる「3ノー(NO)」政策を再確認し、朴政権を倒した「ろうそく革命」のような平和的手段の重要性を強調しました。それは、演説中「平和」という言葉を30回使ったこと、そして「軍事的衝突により平和が破壊されてはならず、皆さんと国連がろうそくになってほしい」というメッセージに込められています。

 

中国やロシアが対話路線を強調していることに加えて、フランスやドイツも同様に対話を求め、スイスは大統領が仲介の労を取るとまで提案しているにもかかわらず、我が国の政府やマスコミの報道は、トランプ・安倍路線に目を奪われて世界の良識を認識できないようです。ここで付け加えておきたいのは、もう一点、とても重要なことを忘れているという事実です。それは、国連その他の場で行われている過激なレトリックが実は、国際法違反であるということなのです。

 

「力の支配」と「法の支配」と分けることでお分り頂けると思いますが、国際法は「法の支配」の立場です。トランプ・安倍路線は「力の支配」を公然と掲げ、その結果、北朝鮮とともに国際法違反を犯しているのです。


改めて強調します。「法の支配」を設立基盤としている国連の総会で、その大原則を無視し「力の支配」を信奉し実行している国々の主張をこれ以上容認して良いのでしょうか。

 

今年7月に締結され、9月20日に国連で署名式が行われた核兵器禁止条約では、核兵器の使用ならびに、核兵器を使用すると脅すことも禁止しています。しかし、北朝鮮は、党の機関紙、労働新聞を通してその脅しを行い、アメリカは、明示的に核を使うとの脅しには至っていませんが、それと同等の発言をしていますので、これも国際法違反です。

 

核兵器禁止条約は未だ発効していないから違反をしても良い、我が国は署名もしていないし批准する気もないのだから、問題にならない、という声がアメリカ・北朝鮮・日本・オーストラリア等の国から聞こえてきそうですが、この条約は集大成であって、他の条約や一般国際法を参照しても大問題なのです。国際反核法律家協会がその点を簡潔に説明してくれていますので、ここではその要約をしておきます。

 

(A)戦争をするとしても、そのために使うことのできる手段は無制限ではない。

 ジュネーブ諸条約の追加第一議定書では、敵国に対して、全人口を一人残さず殲滅するという脅し、ならびにその前提で戦闘行為を行うことを禁止している。

 また、ニュルンベルグ裁判では、ナチスの「国家総力戦」という考え方を否定している。それは、戦時国際法の全てに反し、その根底にある原則にも反しているからだ。つまり、「総力戦」は、戦争目的のためには他の全ての事柄は二次的な地位に落され、全ての規範・原理・原則・保障・条約の持つ意味が軽んぜられることになるからだ。

 一つの国家全てを破壊する目的で戦争を行うことは、1948年に採択され、1951年に発効したジェノサイド条約に違反している。つまり、その条約の禁止している「国家や人種や民族、宗教的なグループの全滅または部分的な破壊することを目的とする殺戮」に該当するからだ。

 戦争手段に制限のあることは、攻撃側のみならず防衛側にも適用される。したがって、北朝鮮からの攻撃に対してのアメリカまたは同盟国の防衛にも適用される。しかも、2003年のイラク戦争におけるアメリカの方針は、北朝鮮からの攻撃がなくても、アメリカが戦争を仕掛けることも「防衛」の範疇に入るという意味である。

 北朝鮮は核兵器を使用するとの脅しを明示的に行っている。アメリカは、そこまでは言っていないが、「火と嵐」や「完全破壊」はその方向を強く示している。これは、核兵器禁止条約が正に禁止していることだ。

 

(B) 戦争に訴えるというアメリカならびに北朝鮮の脅しは、戦争を正当化できる根拠がないので国際法違反である。

 

 国連憲章51条は、敵からの攻撃があった場合にのみ、自衛のための軍事力の使用を認めている。これまでに攻撃はなかったし、それが近々起こることも考えられない。

 国連の安全保障理事会はこの件についての軍事力の使用を認めていない。直近の安保理決議でも、軍事力の使用を認めない範囲での制裁が強化されている。これまでの決議でも、北朝鮮との間の平和的な解決を追求することが強調されている。これは国連憲章の第2条の3によって義務化されている。つまり、「全ての国際的争いは、平和的に解決されなくてはならない、それは、国際的に平和と安全そして正義を危険にさらさせないために必要だから」

 

つまり、アメリカと北朝鮮がお互いに戦争への道をエスカレートさせるのではなく、まず、両国が直接の対話を始めること、そして軍事力の不使用協定から朝鮮戦争終結、さらに朝鮮半島の非核化へと進む平和への道を探ることにあるのは、明らかでしょう。


国際反核法律家協会のホームページも御覧下さい。近日中には、この件についてもアップされると思います。 

 

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2017年9月16日 (土)

誰が一番得をしているのか ――犯人捜しの鉄則です――



誰が一番得をしているのか

――犯人捜しの鉄則です――

 

推理小説やドラマのファンとしていつも気になるのが、「誰が得をするのか」です。犯人捜しの鉄則なのですが、北朝鮮の暴走行為・挑発そのものについて、またそれをどう受け止めるのかについても参考になるのではないでしょうか。

 

まず、これだけ世界から注目され続けているのですから、北朝鮮自体、そして金正恩委員長に取って大きなメリットのあることは言うまでもないでしょう。

 

                 

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ウイキペディアから

   
   

 

では、日米に取ってはどうでしょうか。NHKの世論調査によると、急激に下っていた安倍内閣の支持率がこのところ上向いています。

 

 

Nhk

NHKの世論調査

 


そしてアメリカでも、最悪の支持率がさらに下がりつつあったトランプ政権ですが、これもこのところ、少し改善しています。

 

Photo

Five Thirty Eight のページから

 


推理小説ではありませんから、単純な結論に走るべきではありませんが、しかし、危機を煽ることで得をしている三人の指導者の利害関係が一致しているのだから、バランスを取りながら危機的状態は維持し続けるというシナリオが当分続いてもおかしくはありません。

 

ここで、注釈を付けておくと、独裁国家である北朝鮮では、リーダーの意思を国家に強制しているのかも知れませんので、状況は違うのかもしれませんが、一般的に国家そのものの利害関係とそのリーダーの利害関係は100パーセント一致している訳ではありません。

 

さらに、国際政治を動かす要因は複雑です。だからこそ、多くの専門家らよるもっともらしい予測が繰り返されているのですが、同時に単純なシナリオの方が真実を語っている場合もかなりあるのです。

 

このシナリオから考えられるもう一つの可能性は、戦争をしてしまうとこのバランスが崩れてしまうということです。しかし、理不尽な攻撃をされた、という事態になると世論は大きく変ります。戦争をしたいと考えているリーダーは、そちらのシナリオ作りに励んでいるのかもしれません。


あくまでも冷静に、合理的・論理的に、考えたいものです。

 

 

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コメント

推理小説と言えば、今「三度目の殺人」という映画が上映中ですが、そこでは「群盲象を評す」ということが描かれています。

北朝鮮のミサイル問題も色々な視点、様々な立場からの考察が可能ですが、間違いないのは核抑止論は核拡散にしか繋がらず、地球全体で如何に核を減らしなくしていくかが重要だと思います。

ミサイルを撃たれる度に支持率が上がるのが
癪で癪で堪りません。

北朝鮮の現状は、アメリカが原因だと思います。
北朝鮮は大国の核保有国の核抑止論に従っているだけですね。核兵器の保有と相手国への核攻撃力。
ところでどうして朝鮮戦争を終わらす努力をしていないのでしょうか?
そこにはアメリカの東アジアでの軍事力の維持のためとしか思えません。大規模な北朝鮮への侵攻のための軍事演習をし、故意に朝鮮戦争を維持させているように見えます。
安倍内閣は、なんの役にも立たないJアラートで国の危機感を演出し、自衛隊の必要以上の軍事力の強化とアメリカの手下として戦争ができる組織にしょうとしてますね。
また、アメリカと一緒になって北朝鮮を煽り、北朝鮮を利用して憲法の改悪が必要だと国民を洗脳してますね。
安倍内閣は自ら日本を危機にして、日本を守るのは私だとし、また国民にそう思わせ支持率を上げてますね。この手法は明治維新以降の日本が世界に戦争を仕掛けて不幸な道に進んだのと同じではないでしょうか。

「三度目の殺人」は別として普通の小説やドラマでは悪役や「敵」がはっきりしていますが現実というのは白黒が簡単ではなく「昨日の敵は今日の友」ということまで起こります。とはいうものの今のところ誰が一番悪いかと言えばやんじさんの言う通りで日本政府は非難する相手を完全に間違えています。政府は分かった上でのことですが国民は騙されてはいけません。

北朝鮮による核開発やミサイル発射を「到底容認できない」と言うのであれば、米国や韓国や日本が行う軍事演習やミサイル発射や核保有も同じ様に容認できないものであり、それを「自衛のためだ」と言うなら北朝鮮と同じです。もし日本海や北海道沖で北朝鮮とロシアが軍事演習したら日本や米国はどうするのでしょうか。

「工場長」様、「⑦パパ」様、「やんじ」様、「是枝」様、「同類」様

コメント有り難う御座いました。本来、お一人お一人にコメントのお礼とお返しのコメントをすべきなのですが、これほどの重大問題について、少しずつ違った視点から、それでもベクトルが一致しているコメントを頂いて、大感激しています。その気持をこのような形で表現させて頂くことをお許し下さい。

皆さんの御指摘の通り、現在進行中の核を巡る大ドラマは異常です。目標は当然核廃絶でなくてはなりませんし、核抑止論が虚構であることも世界的に共有されてきています。そして戦争になれば、犠牲になるのは市民です。この点を一番強調しなくてはならないのが、日本政府のはずなのですが--。

できるだけ早くこの虚妄を暴いて、民主的で平和と環境を柱とする政権を創るため頑張りましょう。また、以前の記事の二つ、これと関連がありますので、御覧頂ければ幸いです。

核を巡る「偽善」
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-faf9.html

Xデーに何が起きるか
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/x-4159-f5b1.html

確かに実務もそうです。
ミステリーのように「第一発見者を疑え」とはならず,むしろこれは最後ですね。

「ふぃーゆパパ」様

コメント有り難う御座いました。

実務でもそうなのですね。政治も実務の内でしょうか。

2017年9月14日 (木)

何故「カルバン・クライン」なのですか? ――本拠はニューヨークです――


何故「カルバン・クライン」なのですか?

――本拠はニューヨークです――

                

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ニューヨークで物議を醸したCalvin Kleinの広告

版権: <a href='https://jp.123rf.com/profile_zhukovsky'>zhukovsky / 123RF 写真素材</a>

 

外国の固有名詞の片仮名表記で一番長くモヤモヤが続いていたのは、「カルバン・クライン」です。元々は「Calvin Klein」なのですが、何故「カルバン」?

 

ウイキペディアでも「カルバン・クライン」ですし、ネットで検索してもほとんど全て「カルバン・クライン」で統一されています。

 

御丁寧にYahoo!知恵袋での質問には、次のような回答もありました。「カルバン・クライン」と「ミッシェル・クラン」とどちらも「Klein」なのに、なぜ表記が違うのか、に対する「ベストアンサー」は、「カルバン・クライン」は英語読み、「ミッシェル・クラン」はフランス語読みだからというものなのです。「カルバン」は英語読み?という疑問符が付きます。

 

疑問を解くために、「Calvin Klein」の日本語公式サイトで確かめてみました。それが一番手っ取り早いはずですので、見てみると  Calvin Klein Japan – Official Online Storeは次のような感じです。つまり、目次を除いて日本語表記はありません。

 

Calvin_klein_official_online_shop

 

このサイトでも、本拠はアメリカであることが分りますし、ウイキペディアでも「Calvin Klein」の本拠はアメリカで、Calvin Klein氏本人もアメリカ人であると書かれています。となると、読み方はアメリカ英語の発音に従うのが自然でしょう。

 

では、アメリカ英語で「Calvin」をどう読むのかですが、このファースト・ネームを持つもう一人の有名人がいます。アメリカの第30代大統領の「Calvin Coolidge」です。その読み方ですが、「カルヴィン」または「カルビン」が普通です。今まで、クーリッジ大統領関連の片仮名表記で、「カルバン」は見たことがありません。

 

もうこれで十分だと思いますが、「Calvin Klein」は「カルビン・クライン」が元の発音に近く、「カルバン・クライン」は、それよりかなり離れています。耳でも確かめて下さい。困ったときのYouTubeのお出ましです。



 

 

まだ、納得が行かない方のために、「多数決原理」を採用してみます。複数のスピーカーが、どう発音しているのかを録音しているサイトがあります。矢印を次々に押してみて下さい。御自分の発音を残すこともできます。

 

 

最後に発音とは関係がないのですが、ちょっと目を引く「トリヴィア」です。「Calvin Klein」社のホームページで「About Calvin Klein」の説明を読んで初めて知ったことなのですが、「Calvin Klein」のブランドは「PVH Corporation」が所有し、世界中に製品を販売しているそうです。自社ブランドの他にライセンスされたブランドとして多くの名前で製品を供給しているのですが、その一つに「Donald J. Trump Signature Collection」、つまり、「ドナルド・J・トランプ コレクション」があるのです。

 

「カルバン」と「カルビン」の違いが大きいと感じるのは私だけかもしれませんし、「コスコ」と「コストコ」のような経緯があるのかも知れません。何か御存じの方がいらっしゃれば御教示下さい。

 

さて三回にわたって、英語の固有名詞を片仮名でどう表記するのかについてお読み頂き有難う御座いました。このシリーズは、続けて行きたいと思います。

 

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コメント

企業名やブランドの場合、イメージ=印象ということも大きな要素です。例えばメルセデス・ベンツの場合、欧米では「メルセデス」、日本や韓国では「ベンツ」とだけ呼ぶことが一般的で、それはベンツという名前が如何にもドイツを連想させるため、かつての欧米では印象(ドイツ=ナチス)が悪く、日本や韓国では印象(ドイツ=技術や医療の最先端)が良い、という理由ということでした。(最近は日本でもなるべくメルセデスに統一しようとしています)

Calvin Kleinは確かにアメリカの企業であり、創業者のCalvin Kleinもアメリカ生まれのアメリカ人ですが、日本のファッション業界ではアメリカよりフランスの方がイメージが良い、という意図もあって、敢えてフランス読みにしているのかも知れません。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

デザインではフランスの方が格が上、という理由は十分にあり得ますね。あるいは、フランス語を齧ったことのあるワンマン社長の思い込みとか、発音の難しさ易しさに配慮したとか、可能性としてはあり得るのですが、確証がないものでしょうか。

こういう場合、当事者に聞くのが一番確かだろうと、直接、と言ってもアメリカ人に聞いても仕方ないと思い、日本サイドで聞いてみました。

日本でCalvin Kleinを製造・販売しているのはオンワード樫山ですが、ブランドを管理しているのはPVHジャパンなので、そちらのカルバン・クライン担当からの回答です。

回答は「本人の発音も、アメリカで使われている発音も、カルビンよりカルバンに近かったので、当初からカルバンという表記にしており、それ以上の意図はない」ということでした。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。またPVHジャパンに問い合わせて下さり、有難う御座います。

YouTubeにアップされている発音から、片仮名表記だとどちらに近いのかは明らかだと思いますが、発声の段階を客観的に測ることはできても、それが耳でどう聞こえるのかの客観的なデータを取るのはかなり難しそうですので、そう言われてしまうとそれでお終いですね。

でも、片仮名表記に関わらず、英語の発音を正確に再現する努力はし続けても良いのかもしれません。

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