教育

2017年11月26日 (日)

広島の被爆遺構、被服支廠で「戦争の終わり」を学ぶ   

原水禁学校の第二回の報告です。

報告は本ブログのスター・ライターの一人中谷悦子さんです。

 

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2017年度2回目の原水禁学校は、被服支廠での被爆者の証言から始まった。被爆者は中西巌さん。原爆が投下された当時15歳。広島高等師範学校附属中学校の生徒だった。学徒動員で被服支廠での連日の作業に動員されていた。賃金はなし。文字通りただ働きだった。

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被服支廠は1913年に竣工され、南北500m、東西300mの広大な敷地に1号から13号までの倉庫、作業を行う建物、従業員のための保育所などが建造されていた。ここでは、兵士が戦場で使用する軍服、軍靴、ベルト、毛布、一人用のテントが作られていた。中西さんの言では六尺褌も作られていたそうだ。まるで兵士の死装束を作っているようだと思った。

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中西さんから面白い話を聞いた。動員学徒がストライキを決行したというのだ。戦争末期になると、布や靴下などの生活必需品が不足し、中には工場から品物が消えることもあったそうだ。そのため従業員の身体検査が行われた。それが学生たちまで拡大されるということに立腹し仕事をするのを止めたそうだ。軍人は弾圧しようとしたが 肝のすわった学生二人の訴えがみとめられたそうだ。お咎めはなし。逆に彼等の言葉は廠長の心を動かした。 

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8月6日。中西さんの命を救った3つの幸運とは。一つは市内中心部に荷物の運搬に出かけることになっていたがトラックが遅れたので出かけなかった。二つは建物の近くにいたため30度の角度で襲った熱線を浴びなくてすんだ。3つは実家が郊外で、爆心地から離れていったこと。

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次から次へと運ばれてきた被爆者たちのうめき声-水!水!これは地獄だと思った。「おかあさん、死にたくないよ」という女学生の声を未だに憶えていると語ってくれた。自分の名前や自宅の住所を叫び、家への連絡を頼む声も忘れられない。亡くなった人は穴を掘ってそこで焼かれた。

 

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 広島城では中国軍管区司令部跡と大本営跡で金子哲夫さんの話を聞いた。大本営跡に立つ明治二七二八戦役廣嶋大本営の碑を前に、日本と広島が歩んだ戦争の歴史を学んだ。明治二七二八戦とは日清戦争のこと。ここに大本営が置かれ、9月15日から翌4月27日まで明治天皇が滞在し帝国議会が開催された。東京ではなかなか決まらなかった戦費一億五千万円が一日で決まったという。

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大本営跡にある石碑はなぜか塗りつぶされている。この碑文を解明した人がいるらしい。「史蹟名勝天然記念物保存法に依り 大正十五年十月内務大臣指定」の文字を占領軍が広島に入った時あわてて塗りつぶした。あった歴史を隠し、真実が伝えられないのは現在も同じ?

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ここで面白い話を聞いた。広島市の水道の歴史だ。1899年1月に市水道として給水を開始している。広島市の水道は天皇の勅令により軍用の水道という形で敷設された。これはそれまで例がないことだったという。日清戦争が起こると多くの軍人が広島市に集まったことも大きな要因になった。疫病を防ぐにはきれいな水の確保が大切だったということであろうか。こんなところにも軍と歩んできた歴史がのぞく。

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[中谷悦子]


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2017年11月22日 (水)

修学旅行 (日光) ――二日遅れですが、「同じお題で書きましょう」――


修学旅行 (日光)

――二日遅れですが、「同じお題で書きましょう」――

 

小・中・高と修学旅行には楽しい思い出がたくさんありますが、きちんと記録として残っているのが、小学校の5年と6年の修学旅行です。5年生は鎌倉・江之島、そして6年生になると日光というのが当時の定番でした。

 

修学旅行の後には、そのまとめを作文や絵として提出することになっていたのですが、私は「楽しかったことをおとなになっても思いだせるように」という「崇高な」目的のために、「旅行記」を作りました。

 

随分力を入れて作ったものですので、それから〇〇年、大切に取っておきました。今読み返してみて、改めて「楽しかったこと」を懐かしく「思い出して」います。旅行記の表紙もかなりの出来です。

 

                 

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そして「はしがき」には、525日と26日に日光に行ったこと、また修学旅行の二日間をぼんやり過してしまってはいけないことも、先生に言われた通りに守って色々調べるという決意も述べられていて、「真面目さ」の片鱗が窺えます。

 

 

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コピー機などなかった時代ですので、自分で書いた日光の地図を最初に綴じ込んであります。

 

 

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全部で、141ページの大作ですが、一ページは、200字の原稿用紙ですので、全部で2万字以上になります。父のカメラで撮った写真も添えてありますので、このブログの原型はこんなところにあるのかもしれません。

 

 

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糊がはがれていますので、近い内に修理しなくてはいけません

 

修学旅行と直接関係はありませんが、小学校6年の時に、母と一緒にマリリン・モンロー主演の「ナイアガラ」を観ていたことが分ります。

 

もう一つ、有り難かったのは、修学旅行中の同級生たちとの会話や、どんなことをして遊んだかがかなり詳しく記録されていることでした。先生方がどんな話をしてくれたのかも、そして何度も叱られていることなど、旅行記を書くときに苦労した思い出があるだけに、でも書き残しておいて良かったと、今、一人感慨に耽っています。

 

大切に取ってはあっても、何かの切っ掛けがないとなかなかページを繰るまでには行きません。「旅行記」を開く良い機会を作って下さった⑦パパに、大感謝です。

 

 

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コメント

先生、すごいですね。小学6年生で原稿用紙141枚がかけたことに
ただただ驚愕、信じられない秀才ですよね。文章も今の私より上手いw

まさに、栴檀は双葉より...。ですね。
にしても、お母さまが小6のお子に『ナイアガラ』とは、大胆な。
負けました。
私も小4あたりから母に連れられて(ま、ダシですね)、でしたが、
恋愛もの解禁?1は小6→『サヨナラ』や『晩鐘』(墺)を
見たあとの昂揚感は忘れられません。
長じては喜劇が一番、となりましたけど。

「⑦パパ」様

コメント有り難う御座いました。自分でも良く頑張ったと思います。そして、俳句の名人から褒められて光栄です。

「されど映画」様

コメント有り難う御座いました。「ナイアガラ」は、字幕でしたしサスペンス映画だったので内容は良く分りませんでした。でも良い映画だと、楽しめるのは勿論ですが、そこから結構いろいろなことを勉強しているものですね。「何度も見た映画」を紹介するシリーズも面白いかもしれません。

2017年11月 6日 (月)

選挙権を賢明に行使するには ――マスコミの役割は大切です――


選挙権を賢明に行使するには

――マスコミの役割は大切です――

 

 

                             

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昨日の続きです。

 

安古市高校の生徒さんたちの質問は素晴らしかったのに、十分には答えられなかったことも補足しての「回答」です。

 

質問をしたのは3年生でした。

 

18歳になったので投票はしたけれど、日常の生活の中で詳しく政治について知ることも考えることもないまま、曖昧な態度で投票をしてしまった。でも、政治について詳しく知っている人と同じ一票だということに違和感を持っている。それをどう考えたら良いのか、また次の機会にはより良い投票をするのにどうしたら良いのだろうか。

 

講演後、船津校長先生から伺ったのは、3年生は選挙についてグループに分かれてディスカッションをするなど、しっかりと勉強をしていたということでした。政治について詳しく知っている人、あるいは真面目に考えている人は、恐らく少数だと思いますが、安古市高校の3年生は、その少数の中に入っていると言って良いのではないかと思いました。

 

にもかかわらず、こんなに謙虚に自分の立場を見詰めて考えられること自体素晴らしいと思いますし、一票の価値についての疑問は民主主義の基本であるのと同時に、「多様性」の意味そのものへの問い掛けでもあるのです。

 

私が十分に答えられなかったと反省している点は、まず、この3年生が「自分なりにしっかり勉強して投票したこと自体、素晴らしい」ときちんと言って上げられなかったことです。そしてもう一つは、仮に、政治のついての知識が十分にないということが本当だとして、それでも投票することには大きな意味があるという点です。全ての人が日常レベルで政治に関心を持ちしかもある程度の時間を使って勉強した上で投票することになればそれは素晴らしいのですが、現実的にはそれほどのことは望めないと思います。

 

しかし、少数派の、政治に詳しい人だけが投票することによって政治が良くなるとは考えられません。関心を持ちつつも十分には分らない、しかし漠然とした思いだけはあるのが普通でしょう。そんな人々がもっと多く投票することで、つまり投票率が高くなることで、いわば「無意識」の内に、あるいは「意識下」に感じている社会に対する思いが、「多様な」結果として現れることが期待できるからです。

 

この視点からは、投票を義務化する、つまり、投票に行かない人には罰金を科する制度さえ必要だと主張しても良さそうです。ブラジルやオーストラリアでは義務制が取られていますので、これらの国の先例からも学びつつ、検討しても良いのではないかと思います。

 

しかし、ここまで述べたことで質問に対して十分に答えたことにはならないのです。私が受け止めた質問の内容は、ある程度の関心があり真面目に取り組んでも、日常的な情報だけでは自信を持って投票できないという現実です。

 

高校生は学校で勉強できますし、先生の質問することも日常的にできるのですが、それ以上に、そして社会人の場合、最大の情報源はマスコミです。そのマスコミの情報が不十分だという点が問題なのではないか、というのが私の率直な感想でした。その点については再度取り上げたいと思っています。

 

それを補完できるのがネット情報ですが、それも玉石混交です。しかし、出発点としてお勧めなのが、早稲田大学の水島朝穂教授のホームページです。特にその中の「直言」は必読です。

 

こうしたネット情報を出発点に、日常的な「自分のためのネットワーク」を作ることで、効率的な勉強を続けるのも一つの可能性です。

 

最後に、生徒代表からお礼の言葉がありました。講演の中で、「都市の特徴として、多様性を生かすために、市民がお互いの違いに寛容で、上手く折り合って生活していることが重要」だという点に注目したこと、そしてこれは都市だけに限った話ではなく、学校の中でも同級生たちとの間で、自分から積極的に発言するのと同時に、相手の言葉にも耳を傾け、それを自分の考え方に取り入れることでより豊かな内容にできると思った、という感想を述べてくれました。

 

このような問や感想を貰ったことで、スピーカー冥利に尽きる、という感慨を覚えましたし、改めて若い世代への期待に胸膨らんだ午後になりました。

 

 

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コメント

日本人には昔から性善説があって、人間は生まれながらにして皆善人であるは
最近の事件事故を見ていると当てはまらないのではないか。選挙についても考え
方の修正が必要ではないか。多様性や数の論理と言った言葉が卒業の時期に
来ているといいたい。前回のメールでも書きましたが、欧州の選挙は各政党が
独自の主張(中には極右や極左という怖い政党もある)を展開し、フリーハンドで
戦って民意の結果により一つの政党が過半数を取れなければ連立を模索すると
いった制度です。国民からは解り易いので投票率の上昇は期待出来ます!

「鯉の応援団」様

コメント有り難う御座いました。

自民・公明与党の「数の論理」を振りかざして、何の議論もせず、丁寧に説明すると口では言いながら議会も開かずに解散するようなことは「卒業」すべきだと思いますが、これは性善説ではなく、弱い者いじめの範疇に入るのではないでしょうか。

「多様性」については、LGBTについての理解もようやく広がり始まったばかりですし、多様性の出発点であるはずの女性の地位についても、世界経済フォーラムによる2017年「ジェンダー・ギャップ指数」において、日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低でした。これで「卒業」はないでしょう。まだ真剣な努力さえ始まっていない、としか考えられません。

2017年11月 5日 (日)

「多様性」を中心に選挙制度を考える ――今の制度では民意が反映されていないと8割の人が考えています――


「多様性」を中心に選挙制度を考える

――今の制度では民意が反映されていないと8割の人が考えています――

 

昨日の続きです。「多様性」を確保するという視点から政治を考えて見ることが、今の時代を生きる上での基本になって欲しいという思いです。

 

                 

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多様性を最大限に保障する政治制度は、全員参加制度です。100人の集団で、100人すべてが最終決定に関われば、最も多様な意見が反映されることになるからです。その対極にあるのはその中の「一人」による独裁制であることも分って貰えると思います。

 

しかし、国という大きな単位で、常に全員参加の決定を行うのは難しいので、選挙で代表を決めることになります。そのためには、何らかの基準を設けて選挙制度を整備する必要がありますが、何のために選挙を行うのかの再確認から始めるべきだと思います。

 

「政治改革」の名の下に導入された小選挙区比例代表並立制というシステムを推進した人たちは、「政権交代のできる制度」こそ最優先されるべきだと主張しました。そのためには、民意の忠実な反映、特に多様性を確保することは二の次三の次という価値観をあからさまに表明して、マスコミもこぞってその考え方を支持しました。こんな暴論で事が進んだ背景にあったマスコミの驕り、そして一部の学者の知的不誠実さを忘れてはなりません。

 

もし政権交代をすること自体が、多様性以上に尊重されるべきであるのなら、選挙など行わずにジャンケンで決めることにした方がお金もかからず、確率的には半々で権力が変りますので、その方が良いという議論さえ可能です。

 

しかし、政権交代を実現するために選挙制度のデザインをすることは本末転倒です。元々の母集団でも大切だった「多様性」が選挙の結果にも保障されることが本則でなくてはなりません。つまり、選挙の本来の目的とは「多様性」の確保であり、それこそ最優先されるべきなのです。そして母集団と同じように、その多様性を生かすためには寛容さがなくてはなりません。力の強い側が、力を恃みにして弱者を押し除けてはいけないのです。つまり、話し合いと創造的な折り合いを付けることが基本です。

 

そのための選挙制度としては、少数派の意見も投票結果に反映される比例代表制度が当然の選択です。実は、この点を理解するためには、その正反対のことが起きればどうなるのかを考えて見ることが役に立ちます。

 

極端なケースとして独裁制を考えると、そこで否定されている最大の要素は「多様性」だと言って良いでしょう。もう一つ、独裁制の下では、独裁者が全てを決めることになるので、当然、時間は掛りません。時間の有効活用等、時間を持ち出して話し合いを拒否する、あるいは話し合いの時間を短くすることは、独裁制につながる道であることもしっかり確認しておく必要があります。

 

もう一つ、多くの政治家や政党が「自らの身を切っての改革」といった旗印の下、推進しようとしている「議員数削減」も、「多様性」の視点から考えると決して陥ってはいけない落とし穴です。

 

数学ではしばしば、物事の本質を理解するために、「極端な」ケースを想定して、つまり「思考実験」として物事を考えることが有効です。議員削減の極端なケースとは、議員数を極限まで減らして一人にしてしまうことです。それは、独裁制ですので、「議員削減」が何を目指しているのかはこのことだけからも明らかでしょう。

 

しかも、多くの場合、「身を切る」あるいは「身を切られる」のは、少数派、あるいは弱者の代表で、議員数削減に賛成する人たちは、削られることはなく身分は安泰である場合がほとんどです。「身を切る」改革とは結局、弱者を排除し切り捨てるための口実として使われていることが分ります。

 

最後に二つのグラフを御覧下さい。最初は内閣府が2014年に行った世論調査で、今の政策に民意が反映されているかどうかを聞いています。大雑把に総括すると、8割ほどの人は「反映されていない」と考えています。そして残りの2割くらいが「反映されている」という意見ですが、小選挙区比例代表並立制が導入された1994年くらいから急激に乖離が進んだことは記憶しておくべきでしょう。

 

 

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そして民意が反映されないのは、小選挙区制が原因です。5割に満たない得票率で、8割もの議席を占有する結果に多くの有権者が不満を持っているということなのですが、得票率と議席占有率の大きな乖離もグラフとして見ておきましょう。

 

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安古市高校の生徒さんたちの質問は次回に回さざるを得なくなりましたが、質問は素晴らしかったのに、十分には答えられなかったことも補足しての「回答」を、次回アップします。

 

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コメント

多様性は別の見方をすれば解りにくいと言う事も出来ます。投票率の
低さもこの辺が原因ではないでしょうか。私は欧州の選挙制度の方が
良い様に思う。各政党が旗の色を鮮明に出しフリーハンドで選挙戦を
行い、民意の結果によって一つの政党が過半数を取れなければ初めて
連立を模索するという事です。国民には解り易い選挙といえます!

「鯉の応援団」様

コメント有り難う御座いました。

ここで言及されているのはフランスの過半数当選式小選挙区制のことでしょうか。それとも国会における総理大臣の指名についてなのでしょうか。

後者だとすると、例えばドイツでも日本でも下院における投票で過半数を得た人が指名され、日本の場合は参議院との関係はありますが、過半数を得た人がいない場合は決選投票になります。ここで、「連立」の可能性が出てきますが、基本的にドイツと日本の間で制度的な違いはないと考えた方が良いように思います。

前者だとすると、ドイツは小選挙区当選優先拘束名簿式比例代表制で、フランスとは違います。基本的には比例代表で、小選挙の当選者が多いと「超過議席」が与えられるという仕組みです。

政党色を出して選挙を行っている政党は、日本にもあります。「フリーハンド」で選挙という意味が私には良く分りません。

わたしは、市民連合が「多様性重視」のこういう方向の議論を提起し、各野党の統一綱領として提案していくことが大事だと思っており、すでに内部的に提起しています。各野党が変に合併せずに、それぞれの良さを活かしたほうが、野党全体のパイも伸びるでしょう(参院一人区と衆院小選挙区では次回一回限りの棲み分けは仕方がないですが)。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。

野党全体として推進できる共通の指針を一つか二つ明確に示せれば、政治の状況はかなり変ってくると思います。そのためには「多様性」のように少し抽象的でも、これからの社会の本質をハッキリ召している概念が大切だと思います。

市民連合、頑張って下さい。

2017年11月 4日 (土)

明治維新の原動力は藩の多様性 ――安古市高校での講演から――


明治維新の原動力は藩の多様性

――安古市高校での講演から――

 

多様性が大きな力になった例として、司馬遼太郎は「明治維新」を挙げています。

 

                   

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つまり、明治維新の原動力になったのは、当時300ほどあった藩の多様性だということなのです。今の時代では、人口で考えると、都市といっても良いと思いますが、各藩にそれぞれ特色のあったことは時代劇などにも反映されています。その中で注文すべきなのが、教育制度だというのが司馬の指摘です。(文春文庫『この国のかたち 一』「14 江戸期の多様さ」参照)

 

例えば、大隈重信の出身地、佐賀藩では、

 

 

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 67歳で藩校に入校、25, 6歳で卒業。

 「不出来のため学齢に即した段階に進めない者に対しては役人にしないばかりか、家禄の10分の8を削った」

 

西郷隆盛を輩出した薩摩藩では、それと対照的な教育をしていたようです。

 

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 「意識的に学問を軽んじた」

 藩士の教育など、初等ていど。学問をすると、理屈っぽくなり峻烈果敢な士風が鈍磨する、考えられていた

 その代り、若衆宿である「郷中(ごじゅう)」を組織し、「郷中頭」が若者を統御・訓練する制度を作っていた

 

このような教育の結果、藩のリーダーたる人材が特定され、政治や経済の方針を決めたのですが、そのリーダー、今で言えば官僚でしょうが、の登用の仕方が長州藩では一風変っていました。長州藩の出身者で有名なのは伊藤博文ですが、彼はこの制度によって武士になりました。

 

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長州藩で、藩士士分に取り立てて貰う方法

 「ハグクミ」では家士が誰かを扶養し、弟分とみなすだけで武士

 家士が「手附き」つまり家来だと届けることで、藩士として扱われる

 のちの伊藤博文は、こうして藩士として扱われることになった

 

多様性が現在の世界にどう生きているのかは、フロリダ教授の研究成果を引用して説明しましたが、続いて、政治を考える際、特に選挙のあるべき姿をデザインする上でも最優先されなくてはならないことを、歴史的な事例も含めて説明しました。

 

一人一票という選挙の大原則は、人権という立場からとても大切なのですが、それを含めて、「多様性」という立場から見直すことも重要です。

 

多様性を最大限に保障する政治制度は、全員参加制度です。100人の集団で、100人すべてが最終決定に関われば、最も多様な意見が反映されることになるからです。その対極にあるのはその中の「一人」による独裁制であることも分って貰えると思います。

 

しかし、国という大きな単位で、常に全員参加の決定を行うのは難しいので、選挙で代表を決めることになります。そのためには、何らかの基準を設けて選挙制度を整備する必要がありますが、何のために選挙を行うのかの再確認から始めるべきだと思います。そこで、多様性を生かすことを優先する制度が登場します。

 

随分長くなりましたので、選挙制度については次回に回します。

 

最後に、司馬遼太郎の代表作の一つ『坂の上の雲』について、今年の初めに総理大臣談話を分析した一環として取り上げています。多くの司馬ファンの考え方とは違っていますが、こちらも参考のためにお読み頂ければと思います。

 

 

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2017年11月 3日 (金)

安古市高校での講演 ――生徒さんたちも先生方も素晴らしい高校です――


安古市高校での講演

――生徒さんたちも先生方も素晴らしい高校です――

 

112日、安古市高校同窓会主催の文化講演会で講師を務めました。体育館で生徒の皆さんに約一時間話をしてその後、質疑の時間には核心を突いた質問があり感心しましたし、最後に謝辞を述べてくれた生徒代表の女生徒がしっかりと講演の中身を理解してくれていたことで、話が伝わったという実感を持つことができました。

 

生徒の皆さんは床に座って聞いてくれたのですが、暖かい日でしたので苦痛ではなかったと思います。その約1時間20分の間、先生方の多くは立ったまま聞いて下さいました。そのことにも感激ました。以下の写真は、同窓会の広報担当の方から頂きました。プロの写真はさすが違います。

 

                 

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立って聞いて下さった先生方はこの写真には写っていません。(右側の壁の後方)

 

講演のタイトルは「21世紀をになう皆さんに、私たちの世代から」、副題は「多様性と寛容さ」です。内容はこれまでこのブログで何回か取り上げてきた事ばかりなのですが、簡単にお浚いをしておきます。

 

最初は「孟母三遷は正しい」ことを再確認して、高校生が自分たち同士で「同化」したいという強い傾向のあることを再認識して貰いました。

 

 孟母三遷は正しい。

 ジュディス・ハリス著「子育ての大誤解」がそれを学問的に実証。

 例 親子で米国に移住すると、親は英語が喋れない、でも子どもはペラペラという場合が多い。

 それは、子どもの環境に順応する能力が高いから?

 毎日視ているテレビの英語を身に付けるのではなく、一緒に学び遊んでいる子供たちの英語が身に付くことから、周りの子どもたちに同化する能力が高いことが分る。

 これは、家庭の教育によって子どもの非行を止めさせるのはかなり難しいことにもつながる。

 

これほど、「同化」する傾向があるにもかかわらず、一人一人の違いが如何に大きいのかを「平均は存在しない」事実を目の前で見て貰い体感して貰いました。これは、以前のブログで取り上げていますので再度お読み頂ければ幸いです。

その「実験」のために、事前に船津校長先生から頂いていた、学年そして男女別の平均値の内、高校二年生の男子の身長、体重、握力を使いました。

 

2年男子(127名) 

身長   169.3cm

体重  57.5kg

握力  41.99kg

 

まず、二年生の男子127名に手を挙げて貰いました。その中で、身長が169センチから170センチの間の人に今度は立って貰いました。前にブログで取り上げたアメリカ空軍のケースでは、30パーセントの幅を付けてありましたが、今回は数が少ないので、一センチ幅にしました。

 

驚いたことに、この段階で残った人は10名ほどでした。その中で、体重が57キロから58キロの間の人には立ち続けて貰ったのですが、この範囲に入った人はゼロでした。つまり、平均的な身長と体重を持つ2年生男子はいなかったのです。

 

個人のレベルで多様性のあることは、身長や体重を通して分って貰ったとして、社会・政治・歴史において、この多様性がどのような役割を果して来たのかを、司馬遼太郎さんの鋭い観察を紹介することで具体的に理解して貰いました。それは、「明治維新の原動力は、藩の多様性にあった」ということです。この点はとても面白い内容ですので、次回にまとめて御紹介します。

 

では現代社会で多様性がどう生きているのでしょうか。これについては、トロント大学教授のリチャード・フロリダ氏の明快かつ感動的な研究結果があります。

 

 世界の経済は都市、そして広域都市圏が引っ張っている

 都市の経済的活力は、都市の多様性に由来する

 多様性を生かすために、市民がお互いの違いに寛容で、上手く折り合って生活していることが重要


その寛容さを測るための分り易い指標を見付けたこともフロリダ教授の業績です。

 

 寛容性を簡単に示している指標で一番信頼できるのは「ゲイ・レスビアン指標」(または、「LGBT指標」)

 「芸術家」の割合を示す「ボヘミアン指標」や「人種指標」も相関関係は高い。

 アメリカの都市で、この指標の高いのは、例えば、シリコンバレー (サンフランシスコ)、オースチン、あるいはボストンである。

 

これら三都市は、経済的にはシリコンバレーのようにアップルがあったり、長い間アメリカの科学・技術の中心地としての役割を果し最近ではバイオテクノロジーで注目されているボストン、そして世界最大のコンピュータ製造会社デルの本拠地だったオースチンと、それぞれゆるぎない地位を誇っています。

 

LGBT」指標の方については、サンフランシスコは、少数派の権利を守るために、アメリカの都市の中でも突出した役割を長い間、果してきていることで知られています。ボストンがあるマサチューセッツ州は、アメリカの中でも同性間の結婚を合法化した最初の州として知られています。保守的なテキサス州の州都であるオースチンは、デルの本社があることで、若い世代の人々が大量に移住した結果、リベラルな街に変貌したのです。

 

 

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左から時計回りにサンフランシスコ、ボストン、オースチン

 

たった一時間しか話さなかったのですが、こうしてまとめて見ると、ものすごいボリュームの話をしていました。となると高校生に理解するのは難しかったのかもしれないと反省しています。しかし、伝わったことも多かったはずですので、それも含めて次回も続きます。

 

 

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コメント

孟母三遷という言葉、半分は呆れられながら、言われたことが何度かあります。
それが正しかったかは別として、
子どもたちが多様性と寛容さを身につけるためには
多くの人たちと交わっていかなければなりません。
その機会が今の日本の学校ではとても難しいと感じました。
貴重な講演だったと思います。私もお聞きしたかったです。

”種まく人” ですね。
中学・高校時代に見た映画→どうってことない映画でも心揺さぶられた。
よいお話はその比ではありません。ラッキーな高校生たち。
ド田舎は中1の時→社会の先生(最年少で兵隊にとられたらしい)が
「もらった憲法なので(特に9条)変えねばという勢力があるが、
もらったものでも、いいものはいいのだ」と。
以来、護憲・非武装派に。
今日の朝日《改憲の足音 公布71年》
赤坂真理さんの、...もらった..という言葉、なつかしい。
ピーター・バラカンさんも、もちろん拍手もの。

『私にとっての憲法』で保阪正康氏が、
...いってみれば非軍事憲法...と。
この呼び名のほうがラジカルでよろし。もっと広まれ。
の前に、文化の日を明治の日などとさせてはならぬ、こちらも止めねば。

「nancy」様

コメント有り難う御座いました。

多様性の大切さが比較的簡単に分るのは、外国に留学したり、留学生を受け入れたりすることだと思いますが、少し頑張れば、受け入れの方は何とかなるような気がします。

「されど映画」様

コメント有り難う御座いました。

中学や高校の時、随分有名な人が学校まで来てくれて話をしてくれたことは覚えているのですが、内容の方となると---。ということから、何か一言だけで良いので覚えていてもらえるような魅力的な「単語」を使うよう心掛けています。

憲法の条文では9条も大切ですが、私は憲法の遵守義務を規定した99条の重要性を強調したいと思っています。

2017年9月28日 (木)

2017原水禁学校の開催決定 ――昨年と同じように充実した内容です――


2017原水禁学校の開催決定

――昨年と同じように充実した内容です――

 

 

2017年9月広島県原水禁常任理事会が開かれました。地道な活動報告もありましたが、今回の目玉は、「2017原水禁学校」の開催です。昨年に続いて二度目ですが、プログラムの基本は変えずに少し応用問題にも踏み込んだ感じです。

 

             

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常任理事会

 

まず「将来の原水禁運動の担い手づくりを進めるため」という開催趣旨の下、今年も10月から2月にかけて月1回の日程で学習会を開催します。参加者としては、原水禁、平和運動センターの構成員の皆さん約80人を中心に、多くの市民の皆さんにも参加して頂けると良いのですが――。関心のある方は、このブログのコメントとして連絡先をお教え下さい。非公開にしますが、こちらから詳細をお知らせします。

 

日程ですが、次の表を御覧下さい。

 

開催日程

 

                                   
 

月 日

 
 

時間・会場

 
 

      内 容

 
 

1025()

 
 

18:30

 

自治労会館

 

 大会議室

 
 

「原水禁運動の歴史に学ぶ」

   講師:金子哲夫さん
 

 (広島県原水禁代表委員)

 

 

 
 

1125

 

()

 

フィールドワーク

 
 

13:0016:00

 

広島城・被服支廠

 

 

 
 

「被爆建物見学と被爆体験を聞く」

 

 

 
 

1213

 

()

 
 

18:30

 

自治労会館

 

 大会議室

 
 

「核兵器禁止条約と日本の役割」

  講師:秋葉忠利さん
 

(広島県原水禁代表委員)

 

 
 

127

 

()

 
 

15:00

 

自治労会館

 

 大会議室

 
 

「被爆二世裁判の意義と課題」

   講師:足立修一さん (弁護団)
 

 

 
 

29

 

()

 
 

18:30

 

 自治労会館

 

  大会議室

 
 

 「エネルギー基本計画と脱原発」

  講師:木原省治さん
 

 (広島県原水禁常任理事)

 

 

 

 

皆さんからの御連絡をお待ち致しています。

 

 

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2017年9月10日 (日)

フォトジャーナリスト・豊崎博光さん (2) ――拓殖大学での講義「科学・技術と社会」です――


フォトジャーナリスト・豊崎博光さん (2)

――拓殖大学での講義「科学・技術と社会」です――

 

フォトジャーナリスト・豊崎博光さんの紹介を続けます。かつて私も同じようなタイトルで講義をしたことがありますが、豊崎さんの講義のテーマは「核」です。授業計画を見て私も聴講したくなるような内容でしたが、豊崎さんからお送り頂いた授業用の資料を是非お読み頂きたいと思います。まず目的からですが、概要を見るだけで豊崎さんの熱意が伝わってきます。

 

               

Photo

             

拓殖大学正門 (同大学ホームページより)

 

講義題目――科学・技術と社会 (Science/Technology and Society)

講師豊崎博光 (TOYOSAKI  Hiromitsu)  文京キャンパスにて開講

(A) 授業の目的

世界はいま、科学技術が生みだした核兵器と原子力発電(原発)が併存する核の時代ですが、核実験や原発事故の放射能による被ばくの時代でもあります。本授業では、核兵器と原発の実像と被ばく被害の実相を深めます。

(B) 授業の到達目標

核兵器や原発の開発、被ばく被害を世界や日本の歩みの中で考えることで多角的に見る能力、議論できるカを得ることです。また、小論文を書くことで自分の意思を伝える力を養うことができるようになることです。

(C) 授業計画

 ガイダンス

授業の進め方、成績評価の方法について説明後、今日の世界と日本の核、原子力の時代、被曝被害を学ぶ問う授業の意義について解説します。

 原爆の投下と報道管制

広島、長崎への原爆投下による衝撃、原爆投下を日本や海外のメディアがどのように伝え、何が報道されなかったなどを検証し、原爆投下の実相について学びます。

 核軍拡競争のはじまり

第二次世界大戦後のアメリカとソ連(ロシア)についでイギリスも始めた核兵器開発と実験、核軍拡競争とそれによる影響について学びます。

 水爆の登場と原水爆禁止運動

原爆の1000倍以上の威力がある水爆の開発、アメリカの水爆実験によるマグロ漁船第五福竜丸などの被災事件をきっかけに始まった日本と世界の原水爆禁止運動について学びます。

 部分的核実験禁止条約の意義

米ソ英についでフランス、中国の核実験による”死の灰による地球規模の被害と、部分的核実験禁止条約成立の意義について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 ウラン採掘と核兵器製造、原子力発電

核兵器や原子炉の核燃料の製造はウラン鉱石の採掘から始まります。採掘から精錬、濃縮、核兵器や核燃料製造、核廃棄物の処理までの工程の被害や影響について学びます。

 原子力発電

原子力発電(原発)の始まりとその実像、原発が日本と世界に広がった政治的、社会的背景、そして核拡散防止条約などによる原子カの国際管理について学びます。

 原発事故の衝撃

アメリカのスリーマイル島原発、ソ連のチェルノブイリ原発と福島第一原発事故から原発事故被害とその影響の実相について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 反核・非核運動と反原発運動

米ソの中距離核ミサイル配備から始まったョーロッパの反核運動、太平洋の人々の非核運動と原発事故をきっかけに始まった反原発運動について学びます。

 被爆者からヒバクシャ

広島、長崎の原爆被爆者のほかにウラン採掘や核実験、原発の運転や事故などで生みだされる放射線被ばく者(ヒバクシャ)とそれらの入々に対する補償法について学びます。

 核が生みだす差別

核兵器開発や原発事故の被害、核廃棄物の処分などを世界の先住民族の人々に押しつけるニュークリア・レイシズムという事実、人権を無視した放射能人体実験について学びます。

 地球被ばく

核実験の死の灰や核兵器製造施設、チェルノブイリ原発や福島第一原発事故などで放出された放射能による地球規模の被害と影響について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 兵器廃絶の道

国際司法裁判所の核兵器違法判決、全面的核実験禁止条約の採択、非核地帯化条約の成立など眼に見える核兵器廃絶の道について検証し、核なき未来について学びます。

 核の負の遺産

核兵器の開発や実験、原発事故による被害、大最の核廃棄物の処分、放置される被ばく者など核開発の負の遺産について検証し、改めて核兵器、原発について考えます。

 まとめ

これまでの核兵器の開発と実験と製造、原発の運転と事故などとその被害の授業内容を振り返り、核・原子力ユネルギー利用の将来について討論します。

(D) 授業の方法

講義形式で進めます。各回の授業のキーワードを示して関心を持ってもらい、私が撮影した写真や取材で得た資料、新聞や雑誌の記事などをパワーポイントで見て学ぶことで各回の授業のテーマの理解を深めます。

(E) 予習・復習

授業の冒頭で、次回授業の課題と内容を提示し、参考図書や資料映像などを明示します。また、授業後はリアクションペーパーの提出を求め、リアクションペーパーの質間や疑問に答えることで理解度を深めます。

(F) 成績評価の方法

講義の内容に関して3回、課題の小論文の提出を求めます。成績評価は、小論文の内容についての評価が80パーセント、リアクションペーパーの内容評価が20パーセントです。

(G) 教科書・参考書

教科書は使用しない。授業ごとに講義内容を要約したプリントを配布し、その中で適宜、参考図書や参考文献などを紹介し、また資料映像の視聴を勧めます。

 

被爆体験と被爆者の哲学をできるだけ正確に後世に残すため、広島市では国内外の多くの大学と協力して「広島・長崎講座」の開講のお手伝いをしてきましたが、豊崎さんのコースは、そんな講座の一つのお手本として、もっと多くの大学に広まって欲しい内容です。

 

さらに、こんな内容の教科書、しかも豊崎さんの写真やデータもふんだんに使ってあるものが出版されれば、それを使って授業をしたいと考える人も増え、「広島・長崎講座」によって、次の世代への継承に勢いが付くのではないでしょうか。

 

「凄い人」シリーズは、不定期に続きます。

 

 

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2017年9月 9日 (土)

フォトジャーナリスト・豊崎博光さん ――凄い人シリーズの続きです――


フォトジャーナリスト・豊崎博光さん

――凄い人シリーズの続きです――

 

傘寿を過ぎ米寿に近い方々が元気で活躍されている姿に大いに刺激を受けて、その報告何度かさせて頂きましたが、一応「高齢者」の一員ではあってもまだ若い方々の中に、それに負けず劣らずの活動を続けている皆さんが多くいます。

 10代、20代そして30代の若い世代の皆さんが素晴らしい活躍をしている姿にも希望を感じていますし、それより上の壮年期の皆さんの力強い活動にはもちろん大いなる期待を持っているのですが、出来れば、私たちの世代が経験し積み重ねてきた土台をしっかりと踏み締めた上でのさらなる高い境地の開拓をして貰えればと、「老爺心」ながら、「凄い人」たちの紹介を続けたいと思います。順不同で、敬称も略す時があると思いますが、尊敬している気持に変りはありません。今回はフォトジャーナリストの豊崎博光さんです。

                  

20170908_17_37_32

           

 前に報告した「竹林の八賢」のお一人ですが、私が豊崎さんから学んだ多くのことの内、四つを強調しておきたいと思います。

 念のためここでお断りしておきたいのですが、「月旦」をする積りはありません。しかし、限られたスペースでの紹介ですので、失礼な言い回しや説明の行き届かない部分、あるいは不十分な表現等があるかもしれません。その全ては、書き手である私の限界や勉強不足のせいですので、コメント欄で加筆・訂正等して頂ければ幸いです。

「核」は大変複雑なテーマですので、一人の人間が短時間でその全てを理解するのは至難の業です。理解を助けるための一つの手法として、その全体像をある角度から切り取ってその断面から理解することは有効です。医学で使われるCTスキャンで使われている方法でもあります。豊崎さんが強調してきたのは、核被害者という角度です。二つ目は、その被害の総体を問題にしている点です。つまり、「核」の核心をなす核物質の発掘から、加工、使用、廃棄というライフサイクル全ての段階で人間がどう関わりどのような被害が生じ、それに対してどんな対策が講じられているのか(多くの場合放置されているのですが)、そして二次、三次被害がどう絡まってくるのかを検証しています。

三つめは、それらの被害が生じている現場に飛んで、被害者の人間的な次元を捉えていることですし、四つ目は文字だけではなく、その場その場での真実をカメラを通して私たちに視覚的に伝えてくれていることです。

前置きが長くなりましたが、まずは、豊崎さんの略歴を御覧下さい。

194819481月、神奈川県横浜市生まれ。1968年に東京写真専門学院(現、東京ビジュアルアーツ)報道写真科ニ部を卒業後、フリーとなる。復帰前の沖縄、在日朝鮮人と韓国人、アメリカの先住民族インディアンなどを取材後、1978年にアメリカの核実験場となったマーシャル諸島を取材。以後、ウラン鉱石の採掘場や核実験場、事故を起こした原子力発電所など核兵器の製造開発や原子力発電などによる人間の健康と心への影響、暮らしや環境への被害、反核・非核運動や核被害者大会の取材のために世界各地を訪れる。

取材地は、マーシャル諸島やポナぺ、トラック、パラオ、サイパン、テニアン島などのミクロネシア全域、ハワイ、ジョンストン島、バヌアツ、オーストラリアなどの太平洋からアメリカ、カナダ、スウェーデン、ドイツ、オーストリア、イタリア、ベラルーシ、ウクライナ、カザフスタン、ロシアの北極圏にいたる。各地には繰り返し訪れ、とくにマーシャル諸島には1978年から2006年までに20回以上訪れて被害者や被害状況の変遷を取材しつづける。

199211月に横浜市で開かれた「第6回国際非核自治体会議」では、会議のコーディネーター兼スピーカーを務める。拓殖大学、中央大学で非常勤講師として「核の時代史」の授業を行う。

私たちにとってラッキーなのは、こうした広範な取材の成果を、まとまった著作として読み、写真として見られるということです。是非、一冊でも手に取ってみて頂ければ幸いです。

著書:

 『核よ騒るなかれ』(1982年、講談社)

 『グッドバイ・ロンゲラップ』(1986年、築地書館)

 『蝕まれる星・地球』(1995年、平和のアトリエ)

 『アトミック・エイジ』(1995年、築地書館)――1995年の第1 回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞(この賞については別稿で説明します)

 『核の影を追って』(1996 年、NTP 出版)

 『マーシャル諸島 核の世紀』(2005 年、日本図書センター)――2005 年に日本ジャーナリスト会議賞受賞

 『写真記録 原発・核の時代』(2014年、日本図書センター)

 共著に、『水爆ブラボー 31日ビキニ環礁・第五福竜丸』(草の根出版会)、『核の20 世紀』(平和のアトリエ)、『原発・核』(日本図書センター)など。

長くなりましたので、次回は豊崎さんの大学での講義内容を通して、核時代を振り返ってみたいと思います。

 

  

 

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2017年9月 8日 (金)

法政大学山口ゼミ(3) ――指導教官・山口二郎教授のコメント――


法政大学山口ゼミ(3)

――指導教官・山口二郎教授のコメント――

 

法政大学山口ゼミの広島合宿について報告してきましたが、やはり最後を飾るのは、指導教官・山口二郎教授の言葉です。

私も「理念」を重んじて現実を変えるという立場で頑張ってきた。しかし、最近、特に昨日は核実験があったばかりですが、現実主義からのアプローチが脚光を浴びている。とは言え、冷戦時代には大国の指導者たちはそれなりの枠組みの中での「合理的」判断をしてきたと言えるのではないか。

しかし、北朝鮮の言動、さらには非国家主体が核兵器を持つ可能性なども視野に入れなくてはならない時代になっている。それを受けて、力によるコントロール、威嚇等が必要だと論じる人たちも増えている。こういう東アジアの現実に対して、あなたはどう感じているのか。

 

               

Photo

             

山口教授と二人で

 

それに対しての私のコメントです。

核兵器を使わせない、戦争を始めさせない、ということを最優先課題にすると、話し合いしか選択肢はないのですが、実はもっと前からその努力をして来なくてはならなかったのです。そうしなかった付けが今の状況なのですが、例えば、一つの可能性として、トランプ大統領が金委員長と会って話し合いをするのが一番効果的なのではないかと今でも信じています。その具体的な話し合いの内容として、トランプ大統領の就任直前に「北東アジア非核地帯条約」を推進すべきだという手紙を送りました。

その内容は二回にわたってこのブログにアップしましたのでそちらをお読み下さい。アメリカの有力紙も手紙の一部を取り上げてくれました。それからかなり時間が経っていますが、このアプローチは、トランプ大統領、あるいは安倍総理がその気になれば今でも実現可能です。勿論そのためには、世界の世論を味方に付けなくてなりません。話し合いの目的は当然、核兵器を使わない・使わせない、そして戦争はしないことですし、そのための話し合いであることを前面に掲げればそれは可能です。さらに、核の独占体制を強化することではなく核廃絶が視野に入ってないと説得力は大幅に減じます。話し合いでの問題解決を提唱し実行すること、初めてトランプ大統領も安倍首相も歴史に名を残すことができるのではないでしょうか。

最後に山口教授の素晴らしいまとめがありました。

まず、「核兵器は使えない」という現実を日本が伝えることを出発点にすべきだ。日本がそう言うことにこそ一番説得力がある。北朝鮮問題の解決には、軍事的オプションはあり得ない。それはハッキリしている。このところ、「軍事的オプション」という言葉を使う人も出てきたが、それはあくまでも強がりと見るべきだ。

「使えない」ことを確認した上で、使えないのなら核兵器の保有には意味がなくなるのだから、なくして行きましょうという流れにならざるを得ない。北を核保有国として認めたら、という意見も出てきているが、そうなると、韓国も核武装したいと言うだろうし、となると日本も、という結果になる。しかし、「東アジアの非核化」という旗を、日本は降ろしてはいけない。

独裁者に言葉で立ち向かったって無力だと現実主義者たちは言うけれど、力で向っても無力だ。制裁を強化するという手段では今まで全く効果は挙がっていない。それなら、交渉によってまず緊張のレベルを下げるという方向が賢明な選択肢だ。

「田舎の学問より京の昼寝」と言われますが、山口教授そしてゼミ生の皆さんから大きな刺激を頂きました。最後に山口教授はカープの大ファンです。合宿の後、マツダ・スタジゥムで対阪神線の応援をして帰京されました。カープの勝利にまで貢献して下さり、再度、お礼を申し上げます。

 

 

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