経済・政治・国際

2017年12月13日 (水)

「押し付け」嫌いの皆さんへ ――アメリカに堂々と発言した時代を思い出しましょう――


「押し付け」嫌いの皆さんへ

――アメリカに堂々と発言した時代を思い出しましょう――

 

憲法を変えたいと主張する人たちの決まり文句の一つは、「アメリカに押し付けられた」憲法だからということなのですが、確かに「押し付けられ」て行動するのは、意に染まないですね。もっとも憲法については別の有力な議論がありますので、またの機会にして、ここでは核兵器の違法性についてです。

 

太平洋戦争中に日本政府のしたこと全てが違法だったり非人間的だったりということではありません。でも素直に自らの過ちを認めない人たちに対して事実を示して抗議し続けている内に、こちらは日本政府の非を指摘しなくてはなりませんので、その舌の根の乾かぬ内に、日本政府の正しさを褒めるのも、感情的には面白くありません。とは言え、歴史は客観的に捉えなくてはなりません。

 

核兵器禁止条約が発効すれば、核兵器の使用や核兵器による脅しは当然、国際法違反です。しかし、核兵器使用が国際法違反だという主張はもっと前からハッキリと国際舞台で表明されていたのです。

 

それを最初に指摘したのは、日本政府です。1945 8 10 日スイス駐在公使を通じてアメリカ政府に渡された抗議文に核兵器使用が国際法違反だと明確に述べられています。それを引用します。

 

抑々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること及び不必要の苦痛を与うべき兵器、投射物其の他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約附属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三条()号に明定せらるゝところなり。米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ残虐性において、従来かゝる性能を有するが故に使用を禁止せられおる毒ガスその他の兵器を遥かに凌駕しをれり、米国は国際法および人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り多数の老幼婦女子を殺傷し神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊又は焼失せしめたり、而して今や新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別残虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たな罪状なり帝国政府は自らの名においてかつまた全人類及び文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す」

 

大変立派な文章です。文語調ですので、分り易くするためポイントを要約しておきましょう。

 

この抗議文で根拠としている法律は1899 年ハーグ「陸戦の法規慣例に関する条約」です。日本政府は、原爆投下がこれに規定されている次の項目に違反していると主張します。

 

不必要な苦痛を与える兵器の禁止(第23 条)

無防守都市に対する無差別広域爆撃の禁止(第25 条)

軍事目標主義(第27 条)

 

さらに、原爆投下以前の日本各地での無差別爆撃も国際法違反だと主張しています。

 

           

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ハーグ陸戦条約が採択された第一回万国平和会議(1899年、ハーグ)

 

 

理路整然と、原爆の本質を突いた指摘ですし、今年採択された核兵器禁止条約の内容とも矛盾しないどころか、この日本政府の立場を敷衍したのが、核兵器禁止条約だと言って良いのです。

 

安倍総理、菅官房長官、河野外相、岸田前外務大臣、その他「押し付け嫌い」の皆さん。「アメリカからの押し付け」が嫌だから、国の基本である憲法さえ変えようという程の嫌悪感なのですから、そろそろ「押し付けられる」状態から脱して、先ずはその直前、つまり1945810日に戻って、核兵器は国際法違反と声高らかに宣言するところから始めて見ませんか。

 

 

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2017年12月 8日 (金)

原爆ドーム 世界遺産登録記念集会 ――決意を新たにする集会でした――


原爆ドーム 世界遺産登録記念集会

――決意を新たにする集会でした――

 

127日、原爆ドームがユネスコの世界遺産に登録されてから21年目の記念集会が原爆ドーム前で開かれました。今年は、「核兵器禁止条約」が採択され、核兵器廃絶を目的とするNPOであるICANがノーベル賞を受賞するという特別の年であり、核兵器廃絶のために全力を尽してきた被爆者や広島市民そして平和団体が、原爆ドームをシンボルとして、決意を新たにする機会になりました。

 

                     

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原爆ドームの世界遺産登録は21年前ですが、原爆ドームの重要性はそれ以前から認識されており、保存の努力もずっと続いてきました。その歴史を、集会のプログラムでは次のようにまとめています。

 

 

Photo

 

集会参加者全員が「原爆ドーム」を前に、亡くなった被爆者そして今も一緒に活動している被爆者の皆さんと共に核兵器廃絶への誓いを新たにしました。主催者の核兵器廃絶広島平和連絡会議を代表しての献花と献水にその心を込めました。

 

 

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最後にこの集会で採択された「アピール」です。核兵器の廃絶を一日も早く実現するためにともに頑張りたいと思います。

 

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原爆ドーム世界遺産登録記念集会アピール

 

今から72年前の194586日午前815分、この広島に人類史上最初に 原子爆弾が投下された。

爆新地近くにあった広島県産業奨励館は、「原爆ドーム」と呼称を変え、 その歴史とともに、ここに立ち続けている。

 

今から21 年前の1996127日、「原爆ドーム」のユネスコ世界遺産への登録が実現した。 原子爆弾の恐ろしさ、愚かさを後世に伝えるために、この「原爆ドーム」のユネスコ世界遺産登録に向けて、多くの市民や県民が一体となって、4 年 の歳月をかけて署名活動などの運動に取り組んだ。その熱い情熱の結集が 164万を超える請願署名となり、政府を動かし、世界遺産登録委員会の決定を手繰り寄せることとなった。

 

私たち、ヒロシマが求めてきたものは、「原爆ドーム」の建造物としての 文化的価値の評価ではなく、「原爆ドーム」に刻まれた被爆者の慟哭と被爆の実相を世界の人々へ伝え、核兵器の使用を決して許してはならないという警鐘を鳴らし続けることにある。

 

本年717 日、史上初めて「法的に核兵器を禁止する」 ことを目的とした 「核兵器禁止条約」が国連で採択された。

しかし、日本政府は「国際社会の分断を一層深める」とし、交渉会議にも参加せず、条約の制定に反対している。

また、2015年に開催された核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、核保有国と非保有国との対立により決裂し、先の「核兵器禁止条約」 に関する決議に際しては、唯一の戦争被爆国であり、核兵器保有国と非保有国との橋渡し役として核兵器廃絶に向けた議論をリードする役割と責任がある日本政府 が反対票を投じた。

 

こうした危機的状況だからこそ、ヒロシマの果たす役割は重い。

 

私たちは、「原爆ドーム」世界遺産登録の意義を再認識し、国内外の世論喚起を図るとともに、被爆の実相を着実に次代に継承していくなど、核兵器廃絶と世界の恒久平和実現に向けた運動を強化していかなければならない。

 

私たちは、72年前の惨劇を目の当たりにし、今もなお「核兵器廃絶と世界の恒久平和実現」を無言で訴え続ける「原爆ドーム」とともに、想いを共有する多くの人との連帯の輪をさらに広げ行動することをここに誓う。

 

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 原爆ドーム世界遺産登録記念集会

 

 

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2017年12月 7日 (木)

違和感のある日本語 ――「出席が叶いません」――


違和感のある日本語

――「出席が叶いません」――

 

そもそも、政治家や官僚が喋っている内容そのものに嫌悪感を持っているために、表現にまで「違和感」を持つのかもしれませんが、ずっと気になっていた言い回しを取り上げます。「慇懃無礼」の典型だと思うのですが、皆さんのお考えも聞かせて頂ければ幸いです。

 

それは、「○○ (ここに偉い人のタイトルが来るのが普通です) は、この会を楽しみにしておりましたが、公務のため出席が叶いません。メッセージを預かって参りましたので、代読させて頂きます」と言った挨拶です。その後、代理の人がメッセージの代読をするのですが、黄色のマーカー部分が違和感のある所です。

 

                     

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同じく「出席」をテーマにしていても違和感のないのは、たまたま見付けた次のような使い方です。20周年を記念して開かれたある会に来賓として招待した有名人についての報告です。「○○さまより、お葉書を頂きました。当日は、公務のためご出席頂くことは叶いませんでしたが」という言葉の後に、葉書の内容が披露されていました。

 

違いがどこにあるのかはお分りだと思いますが、「叶う」には、「夢が叶う」のように自分の力だけでは実現不可能なことでも本当になって欲しい、という感じのニュアンスが込められています。出席して貰えたら嬉しいけれど無理かもしれない、でも招待状は出した、そしてその願いは叶わなかったけれど、葉書を貰った、というストーリーにはピッタリの表現です。

 

でも、来賓として招待された側、通常は「偉い人」といったカテゴリーに括られるような立場の人が、同じ時間に開かれている沢山の行事の一つ一つに、「出席するという夢が叶えば良いな」という気持を持っているかというと、それには疑問符が付くでしょう。

 

にもかかわらず、「出席することが叶わず」と言いたくなるのは、社交辞令としてそれなりには理解できます。でも、それ以上に「慇懃無礼」の方に傾いてしまっていると感じるのは私だけでしょうか。

 

「○○は、この会を楽しみにしておりましたが、公務のために出席できないことを残念に思っており、不肖××が皆様宛のメッセージを預かって参りましたので、代読させて頂きます」くらいではいけないのでしょうか。

 

 

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コメント

なるほど、今日まで気が付きませんでした。
叶うは「恋」の枕詞かと思ってました。なことはないですがw

「公務と重なったために、出席が叶わなかった」とすれば、少しはスッキリとしますか?
公務というのは予めわかっていて、そこへ出席の依頼があったら、「叶う」という言葉は変だと思います。
日にちは決まってまぜんが、◯◯会を開催しますので、その折はご出席をお願いしますと依頼されていて、承知した後に、日にちが決まったと知らせがあり、公務と重なっていたとなると「叶わなかった」は良いのではと思います。

「⑦パパ」様

コメント有り難う御座いました。

「叶わぬ恋」は切ないですね。それも、人知を超えた力が左右しているのかもしれません。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

ポイントは、例えば大臣とか国会議員とかが、町内会の運動会に出ることを、自分の力の及ばないことでどうすることもできないけれど、出来れば出られるような運命になって欲しいと本当に思っているのかという点です。

現実問題として、仮に「夢を叶えて欲しい」と思うくらいの気持があるのなら、自分の判断で優先順位を変えれば良いだけのことなのです。それを大袈裟に、自分の力の及ばない理由があるために出席できないという言い訳をするのは、その会の主催者に対して「慇懃無礼」を働いていることになるのではないでしょうか。

2017年12月 4日 (月)

安陪9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名 ――福屋前で署名をお願いしました――


安陪9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名

――福屋前で署名をお願いしました――

 

これまで、毎月19日に、街頭に立って安倍政権の戦争政策を阻止するための行動を行ってきました。2015919日に、政府・与党が強行採決を行うことで、日本を戦争国家にするための「戦争法」を形の上では成立させた日を記憶し、その「法律」を破棄するための世論を創るためでした。

 

               

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しかし、1022日の総選挙で自民・公明が圧倒的多数を占めることになり、改憲への動きがさらに急になってきたことに対応するため、憲法記念日が53日であることから、毎月「3日」に改憲を阻止するための行動を行うことになりました。

 

昨日123日は、その第一回目で、福屋前と、本通りの青山前の二班に分かれて、市民の皆さんに署名を呼び掛けました。

 

 

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安陪総理が憲法9条に自衛隊の存在を書き込みたいと言ったのは、今年2017年の憲法記念日でした。その理由は「災害時の救援活動で頑張る自衛隊が憲法違反では気の毒」であり、「今でも自衛隊は存在しているのだから、それを憲法に明記しても何も変らない」です。

 

でもこんな甘言に騙されてしまうと、臍を噛むのは私たちの子どもや孫の世代です。

 

憲法に書き込まれる自衛隊は、災害救援で頑張る自衛隊ではなく、戦争を主たる任務にする自衛隊です。米軍と一体になって世界のどこへでも出かけて戦争をする自衛隊です。それを憲法が認めるということなのです。

 

そして、憲法に明記しても変らないのであれば、書き込む必要はないであろう自衛隊を何故書き込みたいのかというと、法律の世界では、「後からできた新しい法律は古い法律より優先される」という原則があるのです。つまり、米軍と一緒になって戦争をする自衛隊がまず優先して認められて、それに矛盾しなければ、戦争の放棄や戦力を持たないという9条の古い条文が認められる、ということです。でもそれはないですね。戦争をする自衛隊を認めてしまえば、それと矛盾する戦争放棄や戦力の不保持は認められないということになるのですから。

 

簡単に言ってしまえば、安倍9条を認めれば、日本は北朝鮮やアメリカ、韓国や中国やロシア等の「戦争国家」と同じ種類の国家になってしまうということです。そしてそれらの国々が、核軍拡競争の舞台で競い合っていることは皆さん御存知の通りです。

 

子どもたち孫たちが戦場に駆り出され、人を殺したり殺されたりするに任務に就かなくても良いように、あるいは戦場で食べ物がなく飢え死にしなくても済むように、今、戦争国家への道を選んではいけない、憲法9条を変えてはいけない、という署名に御協力ください。また、このメッセージを様々な手段に一人でも多くの人に伝えて下さい。

 

日曜日ということもあって、またお天気にも恵まれ、福屋前は多くの人で賑わっていました。子ども連れのお父さんやお母さん、恒例の御夫婦などの姿が目立ちました。署名運動に参加してくれた皆さんの中にも子ども連れの方もいましたし、何時もより多くの方々に協力して貰えました。全部で54人です。そして、頂いた署名は110筆ほどでした。全国での目標3000万に向けた一歩ですが、私たちの声に耳を傾けて下さった方々の数はいつもより多かったような気がしましたし、頷いて賛意を示してくれている人も多かったように思います。少しではありますが、危機感は共有されている、と感じた一時でした。

 

 

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なお、2018年の13日は、お休みです。23日から来年の「3の日」行動は始まります。

 

 

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コメント

わたしは青山前に参加しました。途中、広告のポケットティッシュを配っている女性から仲間がポケットティッシュを受け取ると、その女性もこちらのチラシも欲しいと言ってくださいました。良いエールの交換になりました。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。エールの交換、良かったですね。

署名をして貰いながら意見交換をするようなシーンも見られました。安陪9条改憲の「胡散臭さ」が、じわーっと広がっているような感じです。

2017年12月 1日 (金)

裁判官弾劾裁判所 ――制度ができて今年で70年目です――


裁判官弾劾裁判所

――制度ができて今年で70年目です――

 

トランプ大統領が誕生した時には、任期中に弾劾され罷免されるのではないかという予測もありましたが、このところ、物議を醸すことも少なくなっているようですので、弾劾の可能性も低くなったと言えそうです。

 

そして弾劾制度は、アメリカだけにあるのではなく、対象になるのは大統領だけではありません。我が国の裁判官弾劾制度は、憲法で規定されている制度ですので、憲法が発効した時にこの制度も発足し、今年で70年になります。

 

この制度に私が関心を持ったのは、20年前、50周年の時に『裁判官弾劾制度の50年』という分厚い書物を贈られてからです。

 

             

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最近書庫を整理していて見付けたのですが、我が国の制度の概要や歴史だけでなく、海外の弾劾制度の紹介もあり、時間があれば読んでみたいと思ってはいますが、何しろ大部ですので、まずは付録の冊子を読んでみました。もっとも、ネット上には、裁判官弾劾裁判所の公式ホームページがありますし、そちらには最近の状況も載っていますので、お勧めします。

 

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でも折角、概要が分りましたので、報告させて下さい。

 

この裁判所設置の根拠は憲法15条です。

 

15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

 

それに基づいて64条で、設置が規定されています。

 

64条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

 

裁判官も人間ですから、過ちを犯すことはあります。その結果、裁判官としては相応しくないと法律で決めているような行為があった場合、裁判官訴追委員会と呼ばれる、いわば検察のような役割を果す委員会が、訴追することを決めれば、裁判官弾劾裁判所で裁判をすることになります。流れは次の通りです。

 

 

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弾劾裁判所は一審制で、職務停止や罷免になった裁判官が再審の請求をすることはできません。その代り、罷免されてから5年経つと、「資格回復請求」ができるようになっています。

 

制度ができてから実際に訴追され弾劾裁判が行われた件数は、全部で9件あります。最初の二件は、1948年、終戦直後という時代を反映して、両件とも闇物資に関わった案件でしたが、結果は「不罷免」でした。

 

その他の7件は、罷免になっているのですが、1977年の罷免事件は、「前内閣総理大臣」の関係する汚職事件の捜査において、「検事総長の名をかたり、不当な指揮権発動の言質を取ろうとして現職総理大臣に対してかけられた謀略電話」の録音テープを新聞記者に聞かせた、というものですが、これも時代の色が濃く映し出されています。

 

平成に入ってからは3件の罷免が行われていますが、それぞれ、「3人の少女に児童買春をした」、「ストーカー行為をした」そして「乗客の女性に対し下着を盗撮した」と、これも時代の流れが裁判官にまで及んでいることを示していると言って良いのかもしれません。

 

罷免された7人のうち、資格回復裁判によって、資格回復に至ったのは4人です。その他の内、一人は裁判の請求をしましたが、棄却され、残る二人は、資格回復請求の資格がないか、請求をしていないようです。

 

弾劾裁判にかけられる裁判官は、例外中の例外だと思いますが、だからこそと言うべきか、そんな人たちにもと言うべきなのか分りませんが、弾劾裁判の歴史が社会全体の変動を反映していることに一種の感慨を覚えています。

 

因みに、アメリカでは200年以上の歴史がありますが、その間、大統領も含めて19件の訴追があり、8人が罷免されています。

 

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2017年11月24日 (金)

選挙時のマスコミ調査票 ――内容は同じ ⇒ 全社の統一調査票にすれば――


選挙時のマスコミ調査票

――内容は同じ ⇒ 全社の統一調査票にすれば――

 

公示日のブログで触れたことですが、第48回総選挙で大変だったことの一つは、マスコミの調査票でした。 (以下、その時の引用が続きます)

 

「特に大変だったのは、調査票の書き込みです。初めて自分で書くという経験をしましたが、細かく色々なことを書き込まなくてはなりません。しかもかなりプライベートなことまで、そして、生れてから今までの歴史を全て網羅しなくてはなりません。

 

まずは朝日新聞社の調査用紙を御覧下さい。

             

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1社の用紙に記入するだけでも大変なのですが、マスコミ関係の全社からの依頼がありますので、総量はかなりあります。多くの人が手伝ってくれている場合でも、調査用紙の記入の大変さは聞いていましたが、家人と二人で手分けして掛っても、疲労困憊でした。しかも、内容は各社ほとんど同じです。時間が勿体ないとは思いましたが、とにかく午後までには済ませることができました。改善のための提案を選挙後にできればと思っています。」

 

ということで、問題提起です。調査票の内容は、朝日新聞社の物を示しましたが、大同小異です。そこからの提案

 

 マスコミの統一調査にして候補者の負担を少なくする――各社毎に別の調査票を配りその一つ一つを候補者に書かせるのではなく、マスコミの方で書式を統一して、候補者は一枚だけ書き込む。それを各社が必要に応じてコピーして使う。

 候補者の個人情報は、必要最小限にする――例えば、子どもの通う学校名まで必要だとは思えませんし、三親等以内の(故人も含まれる)国会議員、首長等の経験者も、世襲制の助長にはなってもあまり意味のある情報とは思えません。

 趣味や感銘を受けた書物、配偶者とのなれそめ、武勇伝、エピソード等、仮に候補者紹介の際に使うにしろ、調査票に書かれていたからという理由だけで使うのでは、官僚的にコピペをする結果にはなっても、血肉のある候補者像にはつながらないように思います。

 さらに、候補者の自己申告をそのまま載せることにはならず、必ず裏を取る必要があるはずですので、そちらの取材中心にすべきではないでしょうか。あれだけ大変な思いをして書き込んだ調査票について、ある記者からは「学歴詐称」の疑いを掛けられましたので、この点は深刻だと思います。

 過去の調査票を活用する--過去に選挙に出た人については、調査票のかなりの部分はすでに何度となく情報を提供している事柄です。その中で、生年月日などは変りません。以前にマスコミが集めているデータを打ち出して、それに加筆訂正をする形にすれば、お互いずいぶん時間を節約できるように思います。

 

さて、このような問題提起をした理由の一つは、これだけの情報を提供していても、これまでの何回もの選挙の最中、そして選挙後にしつこいほどマスコミが直接、または電話で聞いてきた事柄があるからです。それは、新聞の発行日、あるいははテレビの放映の日に、候補者である私が何歳なのかという問合わせです。

 

調査票の一番最初に、名前と生年月日は明記してあります。にもかかわらず、何月何日には何歳ですか、と問い合わせてくる意味が全く分りません。時間を掛けて調査票に書き込んでも、こんな基本的情報さえ無視されてしまうのですから、他の事柄も有効に使われているとは思えません。いっそのこと、調査票そのものを止めてしまっても良いのではないでしょうか、とまで言いたくなってしまうのです。

 

 

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2017年11月14日 (火)

AFS同期生との楽しい一時 ――いつの間にか、皆「ラディカル」になっていました――


AFS同期生との楽しい一時

――いつの間にか、皆「ラディカル」になっていました――

 

60年近くも前、今は横浜の山下埠頭に係留されている氷川丸で一緒に留学した仲間の何人かが集まって話をする楽しさは言葉にできません。誰かが一言喋り出すと、瞬時に全員がその内容を理解してしまう、といった感じで会話が弾みます。勿論、それぞれの分野での「専門家」として知られている人たちばかりですので、初めて聞くことも多く専門的な知見も披露されるのですが、でも話の筋は感覚的に分ってしまうのです。

 

             

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私たちを留学させてくれたのはAFSと呼ばれる団体です。私との関わりは、「目標リスト その3の中で説明していますが、再度簡単にまとめておきます。

高校生留学を一番昔から推進してきた団体なのですが、その団体のそもそもの発端は1914年の第一次世界大戦です。当時パリに住んでいたアメリカの青年たちが、戦場で救急車のボランティア運転手を務めたことから始まったのです。その後も活動は続きましたが、第二次世界大戦が終った時点でAFSは大きな方針転換をしました。戦争が始まってからのボランティア活動も大事だが、戦争が起らないようにするためのボランティア活動をしようということになったのです。その結果が高校生の交換留学推進です。

 

つまり、AFSという団体の目的には、国際理解や外国語の習得も含まれますが、大目標は世界平和ですし、その実現のためのリーダーの育成です。目標達成のために、大学生の留学ではなく高校生の交換留学を進めた最大の理由は、一年間、とは言え夏休みの間を除いて10か月間、ホスト・ファミリーの家族の一員として生活をし地域の高校に通うことにありました。そのことで、大学生になってからの留学なら、例えば寮に「隔離」され、周辺の地域ともしばしば利害関係が対立するという環境に置かれます。しかし、高校留学の場合には実際にその地域に住んで、日曜日には教会にも行き、その他の地域行事にも参加することで、普通の市民の「生活」を体験することになります。

 

 

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卒業した高校のYEARBOOKから

 

そして、その生活が、10か月続くことも大切です。「家族」としてそれだけ長い間一緒に過ごすのですから、一月なら何とか我慢できたるようなことでも、どこかで「衝突」するようなことにもなります。喧嘩も起ります。それを、「平和裡」に解決して家族としての関係を維持する経験を通して、本当の「異文化体験」が身に着くことになります。もう少し抽象的に言えば、多様性の内面化です。

 

ほぼ60年前にそんな経験をした私たちは、その10か月が人生を変えるような大きな贈り物だったような気がしています。ですから当然、若い世代の皆さんにも同じ体験をして貰いたいと考え、今も続いているAFSの活動を様々な形でサポートしてきました。

 

でも最近では、その活動にも大きな変化が見られるようになりました。留学したいと考える若者の数が減ってきていることに象徴されるのですが、「内向き志向」や「コスト」、そして「生きがい」についての考え方が変ってきていることなどが原因です。

 

学校も高校生自身も、「海外に留学して進学が一年遅れるより、早く良い大学に入る」という選択をするケースが増えていますし、留学費用がかなりの負担になることから、それを大学での学費に充てた方が良いと考える人も増えているようです。また、ホスト・ファミリーを引き受けることで生じる経済的その他の負担と、留学生との10か月という時間の意味とを比較衡量して、ホスト・ファミリーを希望する家庭が減ってきていることも問題です。

 

ではどうすれば良いのか、私たち同期生の間で、熱い議論をすることができました。いくつかの具体案も生まれましたので、すぐ実行して行きますが、成果が見える段階でまた報告させて頂きます。

 

その他、現在のわが国の政治、特に改憲の動きにどう対応すべきなのか、若い世代に私たちの世代の経験やそれに基づいた教訓をどう伝えて行けば良いのか等についても、突っ込んだやり取りができました。

 

それにしても、一つ一つの発言は、「根源的」という意味での「ラディカル」さ、そして、必ずしも世間の波には流されないという意味での「ラディカル」さに満ちていました。それは、私たちに残された時間が少なくなっていることにも関係があるのですが、「いやいや、まだまだ私たちでも役立つことが沢山ある」という結論にまとめることができました。

 

 

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コメント

アメリカへの留学→アメリカの理解→アメリカのフアンになる
という方程式は、
アメリカを日本といいかえても、中国、北朝鮮といいかえてもなりたつのではないでしょうか。。
相互理解は平和への道といえるようです。

「留学」様

コメント有り難う御座いました。

「交換」留学は、基本的には双方向での留学制度です。御指摘の通り、海外で生活することから「平和」を築くという考え方です。もっと多くの若者が参加してくれると良いのですが---。

2017年11月 9日 (木)

イバンカさんの日本訪問 ――日本のために「プラス」だった? それとも「マイナス」?――


イバンカさんの日本訪問

――日本のために「プラス」だった? それとも「マイナス」?――

 

 

安倍政権、それ以前に安倍総理の無能・無策を際立たせるために、イバンカ・トランプ補佐官について、国際女性会議WAW!での基調演説で空席が目立ったことと、女性起業家支援のためというなら、まず「ジャパン・ファースト」で日本の女性起業家支援にもっと力を入れるべし、ということを前回書きました。

 それはそれで大事なことなのですが、家人から間接的に聞いたテレビ情報からは、全く違った解釈が成り立ちそうです。それは政治家の家族という視点から考えることなのですが、家人はまさにその立場に立たされてきた訳ですので、自然な発想としての問題提起になったようです。

 

その立場から考える上で、イバンカ補佐官の政治的役割等も重要なのですが、そこを少し離れて個人としての感情を考えたいと思いますので、「公人」ではありますが、以下、「さん」付けで記述します。

 

安倍総理は、トランプ大統領の長女で大統領のお気に入り、そして補佐官であるイバンカさんに「異例」の「おもてなし」をしたようですので、その「異例」の内容から確認して行きましょう。

 

まず彼女の日程ですが、112日に到着、すぐ帝国ホテルを目指しますが、渋滞に巻き込まれて1時間以上到着が遅れたようです。でも、ラッシュアワーに車を走らせれば、こんな結果になることは予測可能なのではないでしょうか。「異例」のおもてなしをする積りなら何とか手は打てたのではないでしょうか。それとも、庶民と同じ経験をして貰うことこそ「おもてなし」の神髄だと考えたのでしょうか。

 

その日の夕食はこじんまりとした席での「懐石」だったとのことでした。その場の写真では、年配のおかみさんらしい女性も交えて、数人のベテランさんが「おもてなし」をしていたようですが、通訳がいたとしても、コミュニケーションが難しい場を作ってしまったのではないでしょうか。掘り炬燵式ではない座敷に長い足を折って座り続けることが如何に苦痛であるのかは、日本人である私たちには想像の難しいことの一つなのかもしれません。

 

結局、永田町界隈しか知らない人たちの「おもてなし」の域を出ていないような気がしてしまうのですが、36歳のお金持ちの事業家に取ってはどう映ったのでしょうか。

 

その他にも、「突っ込みどころ」があり過ぎますので、ここからは飛ばして話を進めましょう。イバンカさんの日程ですが、5日以降は、日本から韓国そして中国に行く予定だったところ、結局、4日には離日ということになり、最大のイベントは3日に開かれた国際女性会議WAW!での基調講演でした。父親が大富豪で、その七光りでの事業だから本当の苦労はしていない、あるいは事業家としても未熟だ、といった批判は当然出てくるでしょうが、私たちの経験とは違った視点からの物の見方からは学べることもあるはずですし、御本人はこの講演のためにわざわざ来日するということになったのですから、それなりの準備もしてきたはずです。

 

その結果は、前にも触れましたが、イギリスのガーディアン紙が「空席の目立つホールがイバンカを歓迎」と報道するほど聴衆が少ない講演会になりました。

 

その理由として考えられるのは、「トランプ政権の白人至上主義を初めとする人権無視、他国の立場は無視する「アメリカ・ファースト」主義等に抗議するため、イバンカ補佐官のスピーチをボイコットした外国人がかなりいた」という可能性です。

 

             

Ivanka_trump_welcomed_by_emptry_sea

               

YouTubethe Guardianのページです。中央は安倍総理

 

でも、これをイバンカさんの視点で見てみるとどうでしょうか。鳴り物入りで、「大切な国際会議」での「基調講演」をして下さいと、外国に招待され、苦労して現地入りをした上に、食べ慣れない食事も笑顔でこなした上で、いざ、最重要の講演には空席ばかり―――ガッカリしたであろうことは想像に難くありませんが、プライドも傷付いたでしょうし、父親批判がこれ程大きいということに再度気付かされたのかもしれません。その結果として、主催者に対して「大感謝」の気持を持てなかったとしても納得できるではありませんか。

 

それは、その日の夕食会と併せて考えるとハッキリします。友邦・日本の総理大臣そして件の国際会議の主催者でもある安倍総理の招待ですが、その席でのイバンカさんの言葉は、彼女の訪日を総括していたのかもしれません。

 

私は父が大統領になって初めて、政治家の家族もいろいろ苦労しなくてはならないことを知りました。安倍総理はお爺様もお父様も政治家でその苦労は良く御存じのはずなのに、なぜ政治家におなりになったのですか?

 

誕生日を祝ってくれるような夕食会で、自分の苦労話を持ち出すことなど、よっぽど親しい仲ででもない限りあり得ないのではないでしょうか。

 

安倍総理の答は、「苦労もありますが、遣り甲斐のある仕事だからです」だったようですが、その言葉には家族の苦労への配慮はありません。聴衆のまばらな会場で演説をさせられた、今、目の前にいる大物政治家の家族が、その「苦労」について間接的に伝えようとしていることなど全く眼中になかったということなのかもしれません。それが「おもてなし」の中身だったとすると、イバンカさんが日本から持ち帰った「お土産」は、化粧筆だけではなかったかもしれません。

 

 

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コメント

それにしても、57億円の拠出金とはベラボーですね。
それだけ出してくれるなら、世界中どこへでもいきます。
金額の根拠はなんなんでしょうか。
アメリカ政府はいくらかだしているのでしょうか。

横から失礼します。57億円の拠出金はイバンカさんが来る前から決まっていたことなので今更ですが、海外に行っては数千億円の支援をしている安倍さんですから、57億はハシタ金です。

「ゲン」様

コメント有り難う御座いました。

ボストン・グローブ紙によると、アメリカも日本と同額の5000万ドルのようです。

「カン」様

コメント有り難う御座いました。

こちらでも、一応の説明はしたのですが--
http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-0e0f.html

恐らく追加として買わされるイージス艦一隻で1400億円ですので、57億はおっしゃる通り、安倍政権に取ってははした金なのだと思います。

2017年11月 8日 (水)

日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし? ――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――


日本女性のための「ジャパン・ファースト」はなし?

――イバンカだけでなく、日本の女性からも拍手して貰えたのに――

 

 

このところ、フェークニュースとして話題になったのは安倍総理とイバンカ補佐官が113日に出席した、女性活躍の推進を目指す「国際女性会議WAW!」での挨拶でした。ガーディアン紙が「空席がイバンカ・トランプを歓迎した」と評した会議です。

 

「関係者を動員すれば良かったのに」とも思いましたが、この会議の出席者の多くは外国からの人たちです。トランプ政権の白人至上主義を初めとする人権無視、他国の立場は無視する「アメリカ・ファースト」主義等に抗議するため、イバンカ補佐官のスピーチをボイコットした外国人がかなりいたとしてもおかしくはありません。

 

共同通信によるとその会議で安倍総理は、トランプ米大統領の長女イバンカ大統領補佐官が設立に関わった女性起業家を支援する基金への5千万ドル(約57億円)拠出を表明した、とのことです。外務省のサイトで確認すると、総理大臣の発言は次の通りです。

 

自らもビジネスを立ち上げた実業家として,また,トランプ大統領が信頼する補佐官として,イヴァンカさんは,本年のG20ハンブルグ・サミットで,「女性起業家資金イニシアティブ」の立ち上げを主導されました。日本は,このイニシアティブを強く支持します。そして,最大拠出国の一つとして,5千万ドルの支援を行うことを決定しました。

                             

Photo

 

これだけ読むと、金額は別にしてそれほどの問題があるようには見えないのですが、(後に一部修正されていましたが)、元々のマスコミ報道では、

 

 この基金がイバンカ補佐官個人で運営している基金であり

 そのために税金が使われ

 それが、安倍総理個人のお手柄になる。

 

という、「モリ・カケ・ヤマ・アサ」スキャンダルと同じパターンではないかという、疑惑が見え隠れしていたように読めました。それを、そのまま受け止めてしまった読者が多かったのかもしれません。

 

この基金については、世界銀行の公式ページでの説明が分り易いと思いますので、そちらを御覧下さい。

 

世銀のページの最後には、イバンカ補佐官について次のような注が付けられています。

 

本ファシリティの構想に貢献し、女性の起業という課題を強く支持してきたイバンカ・トランプ米国大統領補佐官は、本ファシリティの運営管理または資金調達には関与しない。

 

これで、①の個人の基金ではなく世界銀行の活動の一環であることが分りましたし、発展途上国の女性の起業や経済活動を助けるという趣旨にも頷けます。額はともかくとして日本政府が何らかの金額を拠出することには問題はなさそうです。しかし、お金のことは、「そこに使わなかったら他にどう使えるのか」を常に考える必要があることも覚えておいて下さい。

 

さらに、③のお手柄ですが、世界中に我々の税金をばら撒いて人気取りに奔走してきたのが安倍総理ですから、マスコミも読者も正確に状況を把握していると言って良いようです。

 

しかし、私が一番引っ掛かったのは、安倍総理のスピーチの中でイバンカ補佐官を持ち上げたすぐ後の言葉です。

 

日本は,世界において,これからも「女性活躍」の旗を高く掲げ,強いリーダーシップを発揮していく決意です。

 

「アメリカ・ファースト」を掲げている人の前で、「ジャパン・ファースト」はおくびにも出さず「世界において」と言えば、それは「アメリカ・ファースト」の追認になってしまうでしょう。

 

でもそれが言えなかったのは、日本国内では「女性活躍」の結果が全く出ていないからです。ほぼ同じ時期に公表された世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」が、明確にその点を示しています。以下、日本経済新聞の電子版です。

 

世界経済フォーラム(WEF)は2日、世界各国の男女平等の度合いを示した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本は調査対象144カ国のうち、114位と前年より3つ順位を落とし、過去最低となった。女性の政治参画が遅れているのが主な理由で、1日に発足した第4次安倍内閣の女性活躍の推進が一層問われそうだ。

 

「女性活躍」の旗を高く掲げていてこの結果になったのであれば、やる気がないか、能力がないことになります。でもお題目だけ掲げて国民を騙す常套手段だと考えると、悔しい話ではありますが、一応の説明にはなります。

 

経済も114位という世界最低のレベルですので、貧困国や発展途上国への支援も大切ですが、日本という私たちの国の中でも女性の起業について、もっと力を入れても良いのではないでしょうか。

 

イバンカ補佐官がそれほど大事なら、彼女の来日に合わせて「イバンカ補佐官来日記念日本女性起業支援基金」を作って、女性の起業家に資金提供を提供することくらい簡単にできるではありませんか。

 

それも、57億円とは言いません。約10分の16億円を「イバンカ・ファン・クラブ」とでも名付ける「トランプ・安倍お友だち」サークルから集めることくらいできるでしょう。

 

6億円の内、1億円は運営費に充て、残りは、一人/一企業あたり100万円として全国の約50の都道府県単位で、各県1000万、つまり10人の起業家を助けることが可能です。全国では500人になります。もし税金を使っての対策にするのなら、この10倍を考えても良いのではないでしょうか。

 

[陰の声] 基金を作るのは良くても「イバンカ」なんて名前を付けただけで、拒否反応だけが残ると思うよ。

 

世界でも最低レベルの地位に甘んじ、それでも毎日頑張っている日本中の女性たちが元気になるメッセージを送ること、そしてそのための施策を展開することは、イバンカ補佐官という一人の女性にオベッカを使い、トランプ大統領の覚え目出度き存在になることなどとは比べ物にならないほど、大切で基本的なことなのではないでしょうか。

 

 

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2017年11月 7日 (火)

水島朝穂教授講演会 ――独裁者を正確に描くと笑い飛ばすことになってしまう――


水島朝穂教授講演会

――独裁者を正確に描くと笑い飛ばすことになってしまう――

 

安古市高校の後、112日は、アステール・プラザで早稲田大学の水島朝穂教授の講演会がありました。講演の始まる30分前から多くの人が会場に着いていて、先生の来場を待っていました。イギリスのガーディアン紙が報じていた「空席の目立つホールがイヴァンカを歓迎」とはかなり様子が違います。

 

               

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YouTubethe Guardianのページです。中央は安倍総理

 

水島教授は、かつて広島大学でも教鞭を執っていたことがあります。大変精力的で頭脳明晰、快刀乱麻という言葉がすぐ頭に浮びます。事実、2日の講演も詳しいレジュメがあったのですが、90分の内、1時間ほどはそれに関連した脱線に注ぐ脱線でした。それも「安倍加憲」の本質を詳細な歴史的事実や法文の引用を交えながら、笑い飛ばす痛快なプレゼンテーションでしたので、会場は笑いに包まれつつ、知的な刺激に唸る充実した一時になりました。

 

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7月末にはスタンダップコメディアンの松元ヒロさんの笑い、そして今回の水島教授の笑いを直接経験して、チャップリンの喜劇『独裁者』を思い浮べていました。そして気付いたことは、「独裁者」をできるだけ正確に描こうとすると、それは喜劇になってしまう、という事実です。独裁者の論理は独善的かつ矛盾に満ちています。それをつなぎ合わせて何とか解釈しようとすると、その結果は、私たちの常識とはあまりにも掛け離れた世界になってしまい、しかも、それを独裁者自身が真面目に受け止めているという自己中心性を加味すると、笑わざるを得ない状況になってしまう、ということなのではないかと思います。

 

と言って、どうしても補っておかなくてはならないのは、その被害を受ける側にすれば、「笑い」とか「喜劇」とかいう言葉を使うことさえ憚られる残酷・悲惨な運命を科されるという事実です。そのこともしっかり踏まえての行動が必要です。

 

しかし、私たちの多くは「善良」です。矛盾に満ち、大惨事をもたらしてしまうシナリオの中からできるだけ無害なしかも自分に都合の良い部分だけを取り出して、独裁者の意図を中和して解釈する傾向に陥り勝ちです。

 

水島教授の講演も新聞等のインタビューも、ホームページも、もちろん論文もそんな幻想を粉々にしてくれます。詳細をここで再現するだけの時間がありませんので、まずはホームページ、そして「直言」をお読み下さい。

 

この「直言」は199713日に始まり、週一回新たな「直言」が付け加えられて2015年には1000回を迎えています。私もできるだけ毎週目を通すようにしていますが、とても勉強になりますし、水島教授の情熱に触発されて元気になること請け合いです。

 

超高スピードで話をする水島教授の言葉をメモするのは大変だったので、断片的になりますが、それでも、本質的な「サワリ」を一つ二つ報告しておきましょう。

 

(A) 四字熟語

 私たちは四字熟語に弱い。それを上手く使って、為政者たちが政治を劣化させてきた歴史を重く受け止めよう。

 「国際貢献」とは、自衛隊の海外派遣のことだった。

 「政治改革」とは小選挙区比例代表並立制という悪しき選挙制度の導入のことだった。

 「規制緩和」の名の下、誰のため、何をどう規制するのかは問われずに、私たちを守ってきた規制が緩められてしまい、何でもありになってしまった。

 「憲法改正」が一番危険な四字熟語だ。

 

(B) 安倍総理の「改憲」をどう受け止めるのか、色々な表現の仕方があるが、「お試し改憲」「あら探し改憲」というのもあった。その後、「ねじれ解消」のための「自爆改憲」という可能性もあった。つまり、自らが倒れる傾きと勢いを使った「自爆改憲」だ。この危険性についても要注意。 

 

国会議員の4分の3が改憲賛成だと言われる結果になった総選挙後、国会で改憲の発議をさせないために、世論を高め、議員個人個人にも積極的に働きかける運動がますます重要になっている、という主催者からの呼び掛けが最後にあり、参加者一同新たなエネルギーを補充して貰って帰途に着きました。

 

 

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