経済・政治・国際

2017年5月25日 (木)

核兵器禁止条約交渉への参加を! ――外務大臣と総理大臣の翻意を促す申し入れをしました――

 

核兵器禁止条約交渉への参加を!

――後世の「笑いもの」にならないために―

 

核兵器禁止条約交渉の後半が615日に再開されますが、その際の議論の叩き台として22日にコスタリカのホワイト議長が草案を公表しました。その中で特に、「核兵器使用の犠牲者(ヒバクシャ)の苦難を心に留める」という文言が採用されていることを高く評価したいと思います。

 

できることなら、この言葉は広島出身の岸田外務大臣が、あるいは「唯一の被爆国」という言葉を良く使う安倍総理が会議に出席した上で、被爆者の立場を世界にアピール。その結果として原案にも盛り込まれた、というシナリオの結果だったら素晴らしかったのに、と残念でなりまません。

 

しかし、このお二人のうちのどちらかが後半の会議に出席し「被爆者の存命中に何とかして核兵器の廃絶を」という流れを作ることは可能です。

 

そのために24日、内閣官房と外務省で、総理大臣ならびに外務大臣あての要請書を担当官に渡してきました。これまでの努力の延長線上にあるのですが、できることなら直接お会いして要請できないかと考えました。お会いできたのは代理の方々ですが、アポ取りをしてくれたのは、広島県選出民進党の参議院議員森本真治氏で同議員の事務所にもお世話になりました。

 

まずは岸田外務大臣宛の要請書ですが、16日に開かれた広島県原水禁の常任理事会で承認された内容です。

 

再び「核兵器禁止条約交渉」への参加を強く求める

――被爆者の悲願実現のために――

 

100-8919

東京都千代田区霞が関2−2−1

外務大臣 

岸田文雄 殿

 

 

核廃絶を求め続けてきた被爆者、平和を希求する広島市民そして日本国民、さらには世界の圧倒的多数の期待を裏切り、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」に不参加を決めたことは大変残念ですが、私たち原水爆禁止広島県協議会は、常任委員会の決議を基に再度、翻意を促します。

被爆者と世界に対する被爆国としての責任を再確認し、6月に開かれる「核兵器禁止条約交渉」には参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを求めます。その理由については、45日の要請文中、既に触れていますが、今回はその中でも、特に被爆地広島を代表・代弁すべき貴殿の決断への期待がさらに大きくなっていることを強調しておきます。

 

 これまで核なき世界の実現を悲願として世界に訴え続けてきた多くの被爆者が既に鬼籍に入っています。そして、自分たちの生きている間に核兵器が廃絶されることを信じて今でも活動している被爆者たちも高齢化しています。一人でも多くの被爆者が、自らの目で核なき世界の実現を確かめられるよう最大限の努力をするのは、貴殿ならびに日本国政府が徒に回避してはならない義務であります。

 貴殿ならびに日本国政府はしばしば「唯一の被爆国」あるいは「唯一の戦争被爆国」であることを世界にアピールしてきました。当然それに伴う責任も果さなくてはなりません。それは、被爆体験を二度と繰り返させないために、被爆者のメッセージを忠実に実現する努力をあらゆる場面で誠実に行うことです。

 また、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した貴殿が、その決意を実行に移すのは今です。広島選出の外務大臣として、鼎の軽重を問われないよう、この責任を忠実に果すよう強く求めます。

 

繰り返します。私たち原水爆禁止広島県協議会は常任理事会の決議に基づき、貴殿が、被爆者そして核廃絶を願う世界中の大多数の市民の声に応えて、615日から再開される「核兵器禁止条約交渉」に参加すべく翻意することを求めます。

 

 

2017524

 

原水爆禁止広島県協議会

                代表委員 秋葉 忠利

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

 

総理大臣への要請書もほぼ同じ内容ですが、一か所、岸田外務大臣を任命した責任ならびにそれに付随して生じる連帯責任の部分が大切だと思いますので、その部分を掲げておきます。

 

また、岸田氏は、爆心地を含む広島一区選出の議員として、外務省あるいは日本国政府の意思以上に被爆者の存在とメッセージを重んじる立場に立つことを選択した政治家です。彼がその決意を実行に移すのは今であることは言を俟ちません。岸田氏を外務大臣に任命したことで貴殿は、広島一区選出の岸田外務大臣の義務履行への意志を重んじる責任そして、総理大臣としての連帯責任を負っています。総理大臣としての任命責任を全うすることを強く求めます。

 

内閣官房・内閣総務官室では、調査役の檀原均氏と請願担当主査の日高優介氏が対応してくれました。口頭でも説明をしましたが一切コメントはなく、「伺った内容を起して総理にお伝えします」という言葉が返ってきました。

 

             

Photo

               

左から秋葉代表委員、森本参議院議員、檀原調査役

 

 

外務省では、軍備管理軍縮課長の村上顯樹氏と事務官の古川祥久氏が対応してくれました。

 

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左から村上課長、森本参議院議員、渡邊広島県原水禁事務局長、秋葉代表委員

 

核兵器禁止条約は国連総会で採択され、世界の圧倒的多数の国々が署名・批准し核保有国と雖も無視できなくなることは、長期的な世界の趨勢を見ると明らかです。要請書には書きませんでしたが、そうなった時に、「唯一の被爆国」である日本政府が不参加だったことは、後世の「笑いもの」になること必定です。そうならないように今、外務省・外務大臣・総理大臣が決断すべきであることを、「武士の情け」で提案しました。


担当部署ということもあり、村上課長からは一応の説明がありました。新しい内容ではありませんでしたが、紳士的かつ丁寧に対応してくれた点は評価したいと思います。

 

外務省としては核保有国も巻き込んでの会議にしたいと思っていること、そのための代替案も示していること、今回の会議には核保有国は全も、核依存国も不参加なので、良い結果にはなないと見極めて日本も不参加になったこと等です。「代替案」というのは、これまでも言い古された「漸進的」進め方で、結局、Aを達成するためにはまずBが必要、そしてそのためにはCが必要、という具合にそれぞれ高いハードルを設けて、何も進まない状態を作った上で、ため息を吐いて「難しい」と嘆く、といったシナリオです。

 

しかし、大切なのは、こんな姿勢で核兵器の廃絶に対応するのは、核不拡散条約の第六条に掲げられている「誠実な交渉義務」違反だという点です。

 

最後に村上課長が強調したのは、「我が国が目指しているのは核廃絶であって、今回の会議の核兵器の禁止ではない。禁止されただけでは廃止されないかもしれない」ということでした。

 

核廃絶のために被爆者と共に世界を駆け巡り、核保有国を説得し、市民団体との連携も深めて、核廃絶につながるあらゆる努力をし尽してきた人がこう言うのならまだ話は分ります。しかし、あらゆる場で「核兵器は国際法違反ではない」ことを主張し、国際司法裁判所での審理に当っては、広島・長崎市長の陳述ができないように働き掛け、マーシャル諸島共和国の国際司法裁判所への提訴も屁理屈で葬り去るなど、とにかく、核廃絶への努力を表から裏からそしてあらゆる角度から妨害してきた外務省が、とても正気では言えない言葉です。

 

しかし、今回の要請が岸田大臣の許まで届けられ、岸田大臣の英断によって、核兵器禁止条約の交渉に6月から参加する可能性についても諦めてはいけないと思います。被爆者の思いと市民社会の良識・そして正気を発信し続けましょう。

  

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2017年5月22日 (月)

日韓「合意」は解決ではない―歴史の証人 李 容洙(イ・ヨンス)ハルモニは訴える!

 

             日韓「合意」は解決ではない

==歴史の証人 李 容洙(イ・ヨンス)ハルモニは訴える!==

日本軍「従軍慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク結成5周年集会

 

「私たちはなぜやられてばかりいなければならないのですか。言いたいことも言えずに」

「生きている証人・本人がいる。本人さえ『日韓』合意のことは知らなかった。日本政府が、韓国政府をだました。泥棒の行為だ。とんでもないこと」

「私が合意しなければならないはずだ。聞いてもいない。印鑑もついていない。私はこの合意を無視します。」「日本には、法律はないのですか。歴史の生き証人が生きているのに無視されているのです。」「法的に謝り、法的に賠償すべきだ。」

日本軍「慰安婦」として証言の場に立った李 容洙(イ・ヨンス)は、一昨年末に結ばれ「日本軍『従軍慰安婦』問題は解決済み」とする「日韓合意」」について、厳しく断罪しました。

 

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「日本軍『従軍慰安婦』問題を解決するひろしまネットワークが主催する講演会が、昨日(21日)午後1時30分から広島弁護士会館で、100名を超える市民が参加し開催されました。

歴史の証人として証言を行った李 容洙(イ・ヨンス)ハルモニは、「歴史の生き証人としてこの場にいます。久しぶりに話すので、ちょっと恥ずかしい思いもありますが、すべてを話します。」と、自らの体験を語り始めました。

「証言は私のいのち。私のことを伝えようと思うと涙が出ます。」「数え年16歳の時・・・」と自らの体験を時には涙を流し、時には声を大きくし、時には日本語を交え、1時間半ありの証言が続きました。

連れられて別の場所に移動するとき、「お母さんのところに帰りたいといったら、頭の髪を握られて、手を足を殴るけるの暴力にあった。気絶したこともある。」「大邱から慶州、慶州から平壌、そして大連。大連から兵隊とともに船に載せられて上海。船中で犯され、着いたところが台湾の慰安所。」。そして慰安所での実態、繰り返される暴力。「腹に銃剣を突き付けられ死ぬ寸前。」

「終戦間際の空襲では、自分は助かったものの可愛がってくれた二人の姉は建物の下敷きになって死亡。」「そんな日本軍の中で親切に優しくしてくれた軍人さんは、特攻隊で出撃しかえってこなかった。」続く証言に会場は、声もありませんでした。

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李 容洙さんは、11日から広島に滞在し、県内各地で重い証言を繰り返してこられました。

その証言の最後に「日韓合意をどう思いますか」と問われて答えたのが、最初の証言です。

 

そして李 容洙さんは、強く言われました。

「私たちは、先の大統領選挙で政治を変えました。私は、選挙前に文在寅(ムン・ジェイン)さんとこの服を着て、ハグし応援しました。私が作ったのです。」

「今度は、日本の政治を変えるべきです。安倍を辞めさせるべきです。日本の皆さんの仕事です。」何度もこの言葉が出てきました。

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 厳しい指摘ですが、この優しい笑顔の90歳の李 容洙ハルモニに、今度は私たちがきちんと応える番です。「安倍政権を辞めさせる。」重い課題ですが。私たちにとっても最も緊急で重要な課題です。

村山政権時代にも失敗した「従軍慰安婦」問題の解決。その根本的な問題は、問題の解決にとって最も大切にされるべき被害者が置き去りにされていることではないでしょうか。

求められているのは、日本政府が「従軍慰安婦」の事実とその実態をきちんと認め、そして一人ひとりの被害者に政府の責任で直接謝罪をし、補償・償いをすべきです。

 

私たち国民一人ひとりがきちんとこの問題と向き合うことも求められています。そのことがなければ、この問題が解決することはありえません。

 

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2017年5月21日 (日)

憲法51条も忘れないで下さい ――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

憲法51条も忘れないで下さい

――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

2017517日の衆議院厚生労働委員会で民進党の大西健介議員の次の発言が波紋を呼んでいます。

 

「(美容外科の)CMも陳腐なものが多いんですね。皆さんよくご存じのように、例えば『イエス○○』とクリニック名を連呼するだけのCMとか」

 

これに対して、名指しも同然に例示された高須クリニックの高須克弥院長が「まったく無関係で、僕が悪者の仲間みたいになっちゃうから、怒りますよ」と反発し(Sanspo記事)、大西議員、民進党、同党の蓮舫代表、そして国を相手取って名誉棄損の訴えを起しました。

 

双方の言い分は、HUFFPOSTが引用していますので、それをお読み頂くのが簡単だと思いますが、このニュースから私がすぐ思い出したのは、憲法51条です。


〔議員の発言表決の無答責〕

51両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 

大西議員の言い分も分りますし、事実関係についての高須院長の主張が正しければ、大西議員の発言が誤解を生みかねないという趣旨の院長の言い分も分ります。しかし、それとは別次元のもう一つ大切な点があります。それが憲法51条です。

 

この条文の大切さを理解して貰うために、アメリカの例を引きたいと思いますが、それは劇的な形で議員の良心を賭けた行動が保証される大切さを示しているからです。

 

1941年、対日戦争の開戦を認め、宣戦布告を承認する決議案に、下院議員の中でただ一人反対票を投じたのが、共和党のジャネット・ランキン議員でした。

 

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Rankin's portrait, by Sharon Sprung, in the House of Representatives Collection 

                 

また、2003年の対イラク戦争開戦に下院議員としてただ一人反対票を投じたのは、民主党のバーバラ・リー議員でした。リー議員には何度かお会いしたことがありますが、彼女の勇気ある行動がアメリカ市民だけではなく世界中の多くの人に感動を与え、彼女に続く多くの若者がいることもお伝えしました。

 

現在の日本の政治状況では、与党議員にこのような勇気と良識を求めること自体ナンセンスなのかもしれませんが、その一因になっているのが、「党議拘束」と呼ばれている慣行です。政党が決めた方針に背いてでも自分の良心に従って行動すると、党則によって何らかの懲戒処分を受けることを指しています。

 

政党は憲法51条の規定の中にある「院外」の存在ですから、そこで処罰を受ける謂れはないはずなのですが、アメリカの場合と違って「党議拘束」が厳しく課せられているのが日本の現状です。

 

大西議員と高須院長の見解の相違を超えた次元で、もう一度「党議拘束」と議員一人一人の良心にあり方についての議論が始まれば素晴らしいのですが------

 

 

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コメント

小選挙区も党議拘束も間接民主主義を危うくするもので、アメリカでは小選挙区を基本としながらも、司法の独立性や党議拘束がないことなどと合わせて、最後の最後は民主主義に期待できるのではないかと感じますが、報道の自由度ランキングまで下がり続ける日本では絶望すら感じることがあります。

ただ、そんな政治状況でも日本は素晴らしいものが多く、それは単に地政学的なものだけではなく、遺伝的なものだけでもなく、ここに暮らす人々の良識と誠意であり、それだけに伸び代はまだまだあり、希望もあるのだとも思います。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。おっしゃる通り、権力を握る側が劣化し制度の面でもそれに釣られての改悪が続く中、それでもまだ希望が持てるのは市民の側の良識と誠意なのだと思います

東京中心の表現になってしまいますが、「江戸っ子」という言葉が伝えたかったのは、そんな庶民の心意気なのかもしれません。

まだ生まれていない未来の世代からの声を汲み取ることで、私たちもまだまだ踏ん張りなさいという、激励の声にも聞こえます。

2017年5月20日 (土)

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし ――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

核兵器禁止条約交渉に日本政府も参加すべし

――広島市と広島県が音頭を取って働き掛けて下さい――

 

2017519日、衆議院の法務委員会で自民・公明・維新は、「強行採決」によっていわゆる「共謀罪」新設法を可決しました。2015年の919日には参議院での強行採決によって「戦争法」が可決されたことを思い起すと、政府・与党は「19日」に特別の意味を持たせているのかもしれません。

 

一つの可能性ですが、彼らが多数を恃んで「強行採決」連発している事実を少しは疚しく思っているのだとしましょう。仮に強行採決の日にちが5日、12日、それに19日といった風にずれると抗議行動が毎週行われるような結果になります。それぞれ違った内容ですから、道行く人たちもさすがに、政府・与党が如何に酷いことをしているかに気付くではありませんか。

 

戦争法を廃止させるための行動を毎月19日に続けていた「戦争をさせない広島1000人委員会」は19日、「共謀罪」法案の強行採決への抗議と参議院での廃案を目指すというもう一つの目標も掲げて本通りの青山前で街頭行動を行いました。集まってくれたメンバーは60人を超えました。また、たまたま通り掛かった市民の方々の中からも、チラシを持ってアピールすることで私たちと行動を共にしてくれる新たな仲間も現れるなど、大変心強い一時間になりました。

 

               

Photo

             

街頭行動の一場面

 

このところ立て続けにニュースになっている、「2020年までの改憲」「高浜原発の再稼働」「加計学園への便宜供与」等、一見無関係のように見えますが、より大きな枠組みの中に置いてみると、底辺でしっかりつながっている様子がハッキリします。この点については改めて解説させて下さい。

 

また、共謀罪についての問題点は多過ぎて手短に説明するのは困難ですので、これも回を改めて詳しく論じたいと思います。

 

今回は街頭行動に先駆けて、広島県知事そして広島市長への申し入れを行いましたので、その報告をさせて下さい。

 

国連で3月から始まった核兵器禁止条約締結のための交渉ですが、日本政府は参加していません。アメリカをはじめとする核保有国も当然、参加していないのですが、世界の市民団体の多くの支持ならびに参加を得て、志を同じくする世界の圧倒的多数の国々が進めてきた核兵器禁止条約制定の動きは大きな流れを作りつつあります。今の会議で条約案が採択されれば、国連総会では圧倒的多数の賛成票によって正式に国連の認める条約として、各国の署名そして批准を待つことになります。

 

今の段階では、このような動きを無視している核保有国ならびに、日本、韓国、オーストラリア等の「核依存国」もやがてはこの条約に参加せざるを得なくなります。しかし、「唯一の被爆国」だと世界に向けて言い続けてきた日本政府が、この条約案の審議には参加していなかった、そして後になって渋々その存在を認めることになった、というのではあまりにも情けないではありませんか。

 

しかもそれが、爆心地を選挙区としている外務大臣の任期の最中の行われることになると、後世の人たちから呆れられても仕方がありません。

 

そんな事態にならないよう、6月に再開される禁止条約締結のための交渉に日本政府も参加するよう、再度翻意を求める要請を外務大臣と総理大臣にする予定です。

 

しかし、この気持はただ単に広島県原水禁に止まるものではありません。広島市民・県民全ての願いであるはずです。知事も市長もその点は理解してくれています。それぞれ外務大臣そして総理大臣にその旨の要請をしています。

 

しかし、その効果は挙っていないのです。被爆者は高齢化していますし、被爆地を代表する政治家が外務大臣を務めるという「好機」も半世紀に一度あるかないかの出来事です。その機会を生かすためには、市長・知事に音頭を取って貰い、「全ヒロシマ」の陳情団を組織して外務大臣と総理大臣の説得に当るくらいの覚悟が必要なのではないでしょうか。

 

その趣旨を簡明に記した市長への要請書を以下に掲げます。

 

要請書

「核兵器禁止条約交渉」不参加に抗議し政府の翻意を求める共同行動のお願い

 

730-0042

広島県広島市中区国泰寺町1丁目634

広島市長 

松井一實殿

 

私たちは、被爆者や平和を希求する広島市民・広島県民、さらに日本国民そして世界の圧倒的多数の声を無視して、日本国政府が国連で開催された「核兵器禁止条約交渉」不参加を決めたことを到底容認し難く強く抗議してきました。

それだけではなく、日本国政府には翻意を促してきています。すなわち、被爆者と世界の人々に対して、被爆国として果たすべき責任を再確認し、できるだけ早く「核兵器禁止条約交渉」に参加すること、さらにアメリカをはじめとする核保有国に対しても共同歩調を取るよう働き掛けることを日本国政府に求めてきました。

特に安倍総理大臣と岸田外務大臣がそれぞれ「被爆国」あるいは「被爆地」の代表としての責任を果すよう求めています。御参考までに両大臣への要請書を同封致します。松井市長・湯崎知事にも広島市民・広島県民の代表として総理大臣・外務大臣に対して同様の働きかけを行って頂くよう、できれば私たちの先頭に立ち、被爆者団体や平和団体等にも呼び掛けた上、「ヒロシマの声」を総理大臣ならびに外務大臣に直接届け要請する行動をオーガナイズして頂くようお願い申し上げます。

時間は迫っています。今行動しないと、被爆者の存命中の核兵器廃絶という目標に到達できないかもしれないという、瀬戸際です。

 

2017517

 

原水爆禁止広島県協議会

代表委員 秋葉 忠利   

代表委員 金子 哲夫

代表委員 佐古 正明

 

Photo_2

広島市の谷本市民局長に要請書を託す

 

 

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広島県の下崎課長に趣旨説明

 

 

 

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2017年5月19日 (金)

高浜原発再稼働抗議座込み―59名参加

 

関西電力高浜原発再稼働抗議と即時停止を求める慰霊碑前座込み

 

広島県原水禁が呼びかけた「高浜原発再稼働に抗議し、即時停止を求める」原爆慰霊碑前座り込みが、昨日午後0時15分から30分間実施されました。

広島県原水禁は、これまでも鹿児島県川内原発や愛媛県伊方原発の再稼働が強行されるたびに、抗議の座り込み行動を実施してきました。今回も、関西電力高浜原発再稼働のニュースが伝わった17日夜から連絡を取り合い、緊急行動として抗議の座り込みを実施することになりました。緊急の呼びかけにもかかわらず、被爆者や被爆二世、労働組合員、そして日ごろ脱原発運動を行っている市民グループの人たちも加わり、59名の参加者がありました。

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最初に主催者を代表し広島県原水禁の秋葉忠利代表委員があいさつ。秋葉さんは「東芝の経営破たんの原因は、アメリカの原発事業に手を付けたから。原子力産業は、利益を生み出す産業ではない。原発政策を進め、改憲を狙う安倍政治を辞めさせよう」と呼びかけました。

 

つづいて「脱原発へ!中電株主行動の会」の溝田さんが次のように訴えました。

「電力会社に脱原発の議案提案をし続けて24年になります。今年の6月28日の中国電力の株主総会にも、原発を止める議案をだしました。東芝の原発に関連して9000億円もの負債がでている。電力会社も原発をもって、金がかかる負担を負っている。中電は島根原発の安全対策費に5000億円がかけるという。これは新規の原発1基建設費用をはるかに超える。また、廃炉費用に約380億円をかけると言うが、これは積立金でまかなえる費用ではない。東海原発の廃炉費用は現時点で約890億円になっている。到底この金額では廃炉はすまない。関電が高浜原発を再稼働すると電気料金が下がるというが、一時のことだ。原発は巨額な費用がかかり、負債になっていく可能性が大きい。今、原発を止めるべきだ。それが、安全で健康な社会になる。再稼働は許せないし、原発は止めることだ。共に頑張りましょう」

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二人のあいさつの後は、無言の座り込み。

座込みの終了前に「高浜原発4号機の再稼働に抗議し、運転の即時停止を求めるアピール」を藤本講治県原水禁常任理事が読み上げ、全体の拍手で確認。アピールの要旨は、次の通りです。

「①昨年2月の再稼働以降も事故を繰り返す関西電力に運転の資格なし周辺自治体住民の不安は解消されていない危険なプルサーマル運転も計画されているひとたび事故が起これば大惨事となるにもかかわらず事故対策は不十分なまま再稼働は絶対認められない福島原発事故の現実としっかり向き合うべきだ原発事故が起これば、負担は国民に押し付けられる原発に絶対の安全はない再生可能エネルギーなどの開発で原発に頼らない社会を作ろう高浜原発4号機の再稼働に強く抗議するとともに、即時に運転を中止することを求めます。

そして全員で慰霊碑に黙とうをささげ、抗議行動を終えました。このアピール文は、関西電力に郵送されます。

 

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最後に溝田さんから抗議行動の感想が寄せられていますので、それを紹介して今日のブログを終えます。

 

「12時から、原爆慰霊碑前の坐り込みで、今日は気温がぐっと上がり暑かっです。修学旅行生も多く、その中で再稼働した原発に抗議して、原発は止めれるかと無力感を感じました。が、ふと核実験実施の後、座り込みをしていた森滝市郎さんのことが脳裏に蘇りました。

『座込んで何になるのかと聞かれると、核の連鎖反応に、人間の核廃絶の英知が勝らなければならない。』と静かに坐り込んだ姿を思い出したのです。小さな力でも『核絶対否定』の哲学で動かしていけると思い直し、平和公園の樹々の緑にいやされながら、原発を止めていこうと30分の座り込みをあとにしました。」

 

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コメント

我が家では洗濯機や冷蔵庫、掃除機など、厳選した結果で東芝製を購入し満足して使っており、テレビなども評価していますが、この期に及んで監査法人の承認すら得られない状況は残念です。

それにしても、何よりの原因は原子力という米国の「軍需産業」を抱えたことで、ここまでくると東京電力と同じで、存続させても本来責任をとるべき人たちが責任を免れ、国民の負担が増えるばかりではないか、と思います。

中部電力も浜岡原発を停止させて、原発抜きで利益を増加させていると報じられています。停止しても国民負担は続きますが、それでも一部の人たちの利益のために、国民に負担ばかりを強いる原発は最低でも即時停止しかないように思います。

工場長さま、コメントありがとうございます。
指摘されている通り、原発抜きでも十分に電力会社は利益を上げていますよね。それに、原発に頼らなくても、電力はまかなわれています。
原発によって、だれかがどこかで利益を得ているとしか考えられません。福島原発事故後もそうですが、結局、国民の負担が押し付けられるだけです。脱原発には、省エネ対策も重要な気がします。
もう一度「脱原発」の声を大きくするための努力をしなければと思っています。

2017年5月14日 (日)

大統領の弾劾(2) ――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

大統領の弾劾(2)

――トランプ大統領は三人目になるのか――

 

トランプ大統領が弾劾される可能性について考えてきましたが、先ずはアメリカの弾劾制度のお浚いです。大統領の弾劾はアメリカ憲法24条に定められています。

 

合衆国憲法第2条第4

 

大統領、副大統領及び合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪又はその他の重罪及び軽罪につき弾劾され、かつ有罪の判決を受けた場合は、その職を免ぜられる。

 

この手続きを発議するのは連邦の下院です。大統領の訴追は多数決で決められます。しかも、対象となる罪は大統領就任後の期間に限られていませんし、さらに特定の罪を犯した廉で有罪になっていない場合でも訴追される可能性はあります。

 

下院の訴追に続いて上院が弾劾裁判所として機能し、裁判が行われます。その際、大統領が弾劾された場合には最高裁判所の長官が弾劾裁判の指揮を執ります。ここで、3分の2の議決があると罷免されるのですが、罰則はありません。

 

とは言え、大統領を辞任した後では、大統領に与えられていた免責特権がなくなりますので、その時点で時効を迎えていない犯罪について罪を問われる可能性は残っています。

 

これまでの大統領で「弾劾」を受けたのは2人だけです。第17代のアンドリュー・ジョンソン大統領と第42代のビル・クリントン大統領です。前者は南北戦争後の国家再建についての南北の利害関係が元になっています。後者はセックス・スキャンダルが原因ですが、二人とも裁判の結果、罷免は免れています。

 

               

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アンドリュー・ジョンソン大統領

米国会図書館蔵 Image by Mathew Brady, Retouched by Mmxx

 

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ビル・クリントン大統領

By Bob McNeely, The White House[1] - http://www.dodmedia.osd.mil/DVIC_View/Still_Details.cfm?SDAN=DDSC9304622&JPGPath=/Assets/Still/1993/DoD/DD-SC-93-04622.JPG, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3164287

 

もしトランプ大統領が弾劾された場合、前の二人とは違って実際に罷免される可能性が大きいようにも思われます。それは、彼の罪状がこれまでの二人以上に広範かつ重いように見えるからです。

 

先ずは取り沙汰されているトランプ大統領や側近とロシアとの関係があります。今後の取り調べ次第でどうなるか分りませんが、最悪の場合、「国家反逆罪」にも問われ兼ねない性質のものです。また、就任後100日までに、134件の訴訟が起こされていることも重要です。この中には憲法違反の訴えも混じっていますが、それ以前のクリントン、ブッシュ、オバマの3大統領が訴えられた件数を合計したものの3倍以上の数字です。

 

また、大統領就任前、ビジネスマンとしても常識的な範囲を超える多くの係争事案を抱えていましたし、未だに解決していないものもあります。

 

さらに、「人道に対する罪」違反を問う人もいます。元々人道に対する罪とは、「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」ですが、その後、拉致も含む強制失踪やアパルトヘイト、性的奴隷や強制妊娠、強制断種も加えられ、ハーグの国際刑事裁判所が担当しています。

 

この「人道に対する罪」の中に、地球環境を破壊する温暖化を含めて考えるべきだとの主張が強くなっています。トランプ大統領の勧めている環境政策は、これに反していますので、これも弾劾の際には強力な理由になりそうです。

 

これだけ多くの問題の全てについて調べ上げれば、総体として弾劾の対象にはなるだろうと思いますが、政府機関でもない限りそれだけの時間も手間も割けないのが常識でしょう。しかし、今回のFBI長官の解任が脚光を浴び、世論が高まれば、ロシアとの関係 (ウォーターゲートに関連付けて、「ロシアゲート」とも呼ばれています) について、特別検察官を設置するという結果になるかもしれません。それを避けるためにトランプ大統領はさらなる過激かつ突然の手段を取らざるを得ないかもしれません。

 

時々刻々新たな言動でマスコミの脚光を浴び続ける作戦が何時まで持つものか疑問ですが、これも岡潔先生の指摘した「セックス・スクリーン・スポーツ」の内の「スクリーン」の一部だとすると、そんなことに時間を取られるのではなく、人類にとってより本質的な核兵器の廃絶や、温暖化防止にこそ直ちにかつ本腰を入れて取り組んで貰いたいと思うのは私だけでしょうか。

 

 

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2017年5月12日 (金)

大統領の弾劾(1) ――「土曜の夜の虐殺」から始まった――


大統領の弾劾(1)

――「土曜の夜の虐殺」から始まった――

 

アメリカ時間の59日、火曜日に、FBI長官のジェームズ・コミー氏が突然解任されました。長官の任期は10年、大統領はどのような理由であれFBI長官を解任できる権限を持っていますが、その力が一番最近使われたのは1993年、クリントン大統領の時代で、理由は公私混同等の倫理的なものでした。

 

今回は、表向き、クリントン元国務長官の私用メール問題の捜査における不手際だと発表されていますが、実は、トランプ大統領や側近たちとロシアとの関係についての捜査の本格化を妨害するためなのではないかと、多くのメディアが報道しています。

 

この解任劇が火曜日に起きたため、「火曜の夜の虐殺」と呼ばれていますが、それは、19731020日、土曜日に起きたもう一つの解任劇である「土曜の夜の虐殺」に準えて今回の事件を捉えている人が多いからです。

 

「土曜の夜の虐殺」では、ウォーターゲート事件の捜査のために「特別検察官」として任命されたアーチボルド・コックス氏が解任され、氏を特別検察官に任命したエリオット・リチャードソン司法長官とウィリアム・D・ラッケルズハウス副長官は、コックス氏の解任はできないと拒否して辞任をしています。そこまで司法当局を追い詰めたのは、自分自身が捜査の対象になっていた第37代のリチャード・ニクソン大統領でした。

 

           

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37代大統領リチャード・ニクソン氏の肖像画

 

今回も、FBIの捜査の対象になっているトランプ大統領が、捜査の責任者であるコミー氏を解任したのですから、この二つの事件の関連性に注目するのは当然でしょう。

 

1973年には「土曜の夜の虐殺」が引き金になって、ニクソン大統領の弾劾という大場面に近付くのですが、結局彼は弾劾されませんでした。大統領は、下院で訴追決議の行われる直前に辞任してしまつたのです。

 

「土曜の夜の虐殺」と「火曜の夜の虐殺」とが対になって出てくるのには、より大きな背景もあります。解任だけがニクソン氏とトランプ氏の共通点ではないのです。

 

ニクソン氏はウォーターゲート事件で悪徳政治家の代名詞にさえなった政治家ですし、彼のあだ名は「Tricky Dick」つまり、「悪賢いディック」が、一般的印象を良く表しています。さらに、歴史を遡って検証すると、ニクソン氏の政治的言動、特に権力を手に入れる手法、例えば嘘の吐き方等は、トランプ氏のそれと類似点があまりにも多過ぎるという指摘もあるほどです。ニクソン氏の政治手法が結局ウォーターゲートで破綻したように、トランプ氏の手法も、ニクソン氏の場合より早く破綻するだろう、あるいは弾劾されるだろうとの予測も、特に「火曜夜の虐殺」以降多くなりました。

 

次回は、アメリカの弾劾制度について、そしてその可能性がかなりあることを検証したいと思います。

 

 

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2017年5月 7日 (日)

総理大臣には憲法遵守義務があります ――しかし、私たちの想像以上に事態は深刻です――

 

総理大臣には憲法遵守義務があります

――しかし、私たちの想像以上に事態は深刻です――

 

2020年には改憲し新憲法を施行すると総理大臣が明言しました。主目的は9条に項目を追加して自衛隊を明文化することですが、自衛隊を合憲化するには、自衛隊の任務から軍事的側面を削除すれば良いことは、すでに述べた通りです。

 

それ以上に問題なのは、総理大臣がこのような発言をすること自体、憲法違反だということです。総理大臣だけではなく、全ての公務員は憲法遵守義務を負っています。この点については、昨年の憲法記念日にも言及していますが、改めて憲法遵守の規定である憲法第99条の条文を掲げます。


99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

ここで使われているのは「尊重」と「擁護」ですが、簡単に「遵守(じゅんしゅ)」とまとめて、「遵守義務」と書くことにします。これが大変重い規定であることはお分り頂けると思います。何しろ、天皇にまで憲法遵守義務があるのですから。

 

             

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文部省の『あたらしい憲法のはなし』から

 

自衛隊の「明文化」がそれほど重要なら、すでに明文化されている憲法99条の規定を忠実に守るべきはずなのですが、この点についての論理は一貫していません。

 

また憲法を「尊重し擁護する」ことイコール「改憲」では辻褄が合いません。改憲せずに憲法を「そのまま」尊重し擁護することだと読むのが自然なのではないでしょうか。

 

しかし、先日指摘したように、これまで憲法を蔑ろにしてきた人たちの常套手段は、憲法に明文化されていないこと、あるいは明文化されていることでもそれを無視して、戦争を正当化し軍国主義路線を実現することでした。自衛隊が明文化された暁には、まだ明文化されていないより大きな次の目標が待ち構えています。それは、核兵器を持つことです。そのための第一歩を踏み出す企みに同調することこそ無責任です。

そして戦争を美化し戦意を高揚、軍事路線こそが唯一の選択肢であるかのようなデマで多くの人々を洗脳するために自民党・公明党政権が恥も外聞も忘れて採用してきたのが、戦争放棄を謳った憲法第9条を無視し、軍隊を保持、さらには海外派兵まで可能にするシナリオでした。

 

しかし、これが憲法遵守を定めた99条違反であることは疑う余地もありません。しかし、「敵」もしたたかです。これも何回か指摘していることですが、憲法を遵守することは「法的義務」ではなく「道徳的要請」であるという判決が確定しています。

 

1977217日、水戸地方裁判所による百里基地訴訟の第一審判決では、「憲法遵守・擁護義務を明示しているが、これは、道義的な要請であり」法的義務ではない、との判断が示されていますし、198177日に東京高等裁判所による控訴審判決では、憲法99条は「憲法を尊重し擁護すべき旨を宣明したにすぎない」と述べられています。

 

こんな御託宣があれば、総理大臣が良心の呵責はほとんどなく、とは言え道徳的には問題のあることくらいは理解してくれていると思いたいのですが、期限付きの改憲を「宣明」できるのかもしれません。

 

事態がこれまで私たちが考えていた以上に深刻なことは御理解頂けたと思いますが、さてどうすれば良いのでしょうか。当面思い付くのは、既に多くの皆さんが行動に移していることです。

 

改憲を許さない野党が協力して統一候補を立て、次の選挙で勝利すること、そして安倍内閣を退陣に追い込むことが急務です。選挙に勝つための作戦を立て、できるだけ多くの市民が参加できる体制を作って、動き始めましょう。

 

 

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2017年5月 6日 (土)

憲法解釈の違いは何に由来するのか ――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

憲法解釈の違いは何に由来するのか

――リベラル派は理想の実現が可能だと考えている――

 

日米の憲法について、それぞれどのような点が問題になっているのかを比較して見ることで、立憲政治と民主主義の擁護について何らかの示唆が得られるかもしれないと思っていたのですが、「2020年までに改憲」という安倍発言から頭に浮んだ何点かを先ず文字にすることになりました。

 

そこで書き散らしたことを敷衍しながら整理すると、先ず、我が国では個人の自由を制限する特定秘密保護法や共謀罪の動きがあり、アメリカでも同様に、特定国の国民を入国させないといった方針が示されるなど、個人の基本的人権を狭める動きが顕著になっています。

 

同時に、トランプ大統領の誕生を可能にした条件の一つである2010年の最高裁判所の判断は、企業も表現の自由を持つことを確定しました。この判決も含めて企業の権利を大幅に広げる動きにも注目する必要があります。我が国でも、武器禁輸三原則が反故にされ防衛装備移転三原則が取って代るなど企業の権利をより大きくする方向の施策が取られています。

 

少し乱暴ですが、個人の権利は尊重し企業の権利は制限するという立場をリベラル派と呼ぶなら、正反対の立場、つまり個人の権利を制限し企業の権利を尊重するトランプ・安倍両政権は超保守派、あるいは反動派とでも呼べば良いのでしょうか。

 

リベラル派のもう一つの特徴は、知性を活用することによって人類の生きる環境を変え改善することができると信じていること、特に理想を目指す政治的な立場の持つ価値を重んじていることかもしれません。

 

その立場から、日米の憲法に関わる問題点をもう一度検証して見ましょう。

 

アメリカの最高裁が、「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」と判断した理由は、

  企業にも、個人と同様に「表現の自由」が与えられている。それは「表現」することが可能などのような主体についても、この自由が保障されているからである。

  巨額の資金が使われているという事実だけから、政府がそれを「腐敗」であると断定することはできない。つまり、いくら以上なら腐敗であり、それ未満ならそうではないという客観的な基準を設けることができないからである。

  支出額の制限を加えることは、市民の知る権利を侵害する可能性がある。情報を広げるのにはお金がかかるという理由で作られた規制によって、ある情報が隠されてしまうのは市民の知る権利の侵害になり得る。

だったのですが、仮に、この中の①、つまり、企業も表現の自由を持つことを認めたとしても、それを実現する手段として「企業が選挙に使う金額には上限を設けてはいけない」という結論にはならないのではないかと思います。

 

   1787年のアメリカ憲法署名式

 

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特に、②では、支出金額が多いからと言ってそれを腐敗として認めようとすると、その客観的な「線引き」ができないから、という理由が述べられています。

 

確かに、抽象的な議論をすればそれには一理あるのですが、現実の世の中では利益の追求を最優先する企業あるいはビジネスと、生活する主体としての個人との間には明確な違いがあり、それを対立関係と捉えられる場合の多いことも事実です。

 

そして、選挙の際にビジネス側が使える選挙資金と個人とが支出できる金額には大きな差があります。公正な選挙と表現の自由との間のバランスをどう取るのかの問題になりますが、個人の使える額には当然上限がありますので、それに見合った上限を企業・ビジネスに課すことこそ、民主的な政治を維持する上での重要事項の一つになるのではないでしょうか。

 

つまり、企業の使える金額の条件は抽象的レベルで「客観的」に決めるべき事柄ではなく、公正な選挙により民意ができるだけ忠実に反映されるためにはどの程度の支出なら許されるのかを、これまでの選挙についてのデータや今後の動きの推定を元に、「合理的」に決定すべきことなのではないでしょうか。

 

「自衛隊の明文化」についての考察も続けて行いたいと思います。

 

 

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2017年5月 5日 (金)

施行70年 いいね! 日本国憲法 平和といのちと人権を!5・3ヒロシマ憲法集会-1500人参加

施行70年 いいね! 日本国憲法

平和といのちと人権を!5・3ヒロシマ憲法集会-1500人参加

 

一日遅れとなりましが、5月3日中央公園ハノーバー庭園で開催された「平和といのちと人権を!5・3ヒロシマ憲法集会」の模様を報告します。

 

5月3日の憲法記念日に別々の護憲集会を開催してきた県内の各団体や市民が結集して昨年初めて共同開催された「5・3ヒロシマ護憲集会」が、今年も午後1時から「ストップ戦争法ひろしま実行委員会」の呼びかけで、好天に恵まれ1500人が参加して開催されました。

 

憲法違反の戦争法や特定秘密保護法を強行成立させ、さらに共謀罪の成立を目論む安倍政権が、声高に「改憲」を主張しているだけに、参加者の多くが「憲法の危機」を感ずる中での集会となりました。

 

若い女性弁護士依田有樹恵さんの司会でスタートした集会では、主催者を代表して広島県平和運動センター議長(県原水禁代表委員)の佐古正明さんが、「70年前の5月3日日本国憲法は動き始めました。安倍政治への怒りの声が大きくなっています。これまでの運動を上回る活動によって安倍政権を退陣に追い込みましょう。」とあいさつ。

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続いて歌手の二階堂和美さんによる歌のアピール。ただ一曲でしたが選ばれた歌は、美空ひばりさんが1974年に開催された「第一回広島平和音楽祭」で、この音楽祭のために作詞、作曲され歌った「一本の鉛筆」。二階堂さんは、美空ひばりさんが、横浜大空襲を体験したことに触れながらその思いを紹介し、「憲法はいま改めて見直されるとき。理想は掲げもっていかなければならない」と訴え、「一本の鉛筆」を熱唱。会場からは、共感の拍手が大きく広がった。「フラワーフェスティバルのメインテーマ曲として毎年うたわれるべき」との声も。

 

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いよいよ今日のメイン、日体大教授で「戦争させない1000人委員会事務局長代行、九条の会世話人」の清水正彦さんの「市民と野党共闘で安倍政権を止める!」と題した記念講演。

 

清水さんの講演は、「けんぽうと言っても少林寺拳法ではありません。」とユーモアを交えながら始まりました。

 

最初に、現憲法の根本を覆す自民党の改憲草案(①国家主義②人権規定➂平和主義)を厳しく批判。人権規定では、「大幅な規制」を加え「義務規定を拡大する」問題を指摘しながらも、私たちの人権意識への問題指摘も。いわく「こうした講演会の後にはよく懇親会が開かれるが、その会場に入ったとたんに他人の迷惑も考えずタバコを吸う人がいる。人権を言う人の中にも、本当に理解しているのかと考えてします。」と。

 

続いて「日本国憲法の平和主義の意義」を改めて強調。特に9条のみならず憲法前文の大切さが訴えられた。「平和主体は、日本国民だけに限っているのではない。全世界の人々の平和を訴えている」と。さらに「日本国憲法をぜひ読んでください」との呼びかけ。私の憲法講演会でも強調していることですから「そうだそうだ」と共感。

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さらに「戦争法反対運動の成果と課題」にテーマが移り、中央での主要な3団体の共闘の実態や組織の概要・活動内容、そしてその成果詳しく報告しながら「下からの積み上げが、なかなか動きが鈍かった国会議員動かした大きな力になった。」と運動の意義と役割を強調された。

その中で私の印象に残ったことは「1959年の安保闘争時は、組合の組織率は32.2%。でも今は、17.5%しかない。より広範な運動になっているといえる」と指摘しながらも「平和フォーラム(広島では平和運動センター)の果たして来た役割も大きかった」と話されたことです。私たち「戦争をさせない1000人委員会」が果たさなければならない役割を再確認しました。

 

清水さんは、さらに昨年参議院選挙の参議院選挙の一人区の市民との野党共闘の成果を消化し、「次期衆議院選挙で改憲勢力を3分の2以下に抑えるためには、野党統一候補の擁立がどうしても必要だ」と訴えられました。

 

終わりに、今後の課題として「自己満足にならずに、一人で来ないでください。そして若者に働きかけてください。その時は、上から目線でなく。」と言いながら「今日、だれか一人でもこの集会に誘いましたか」との問いかけ。

さらに社会に関心を持つことが大事だとし、東京新聞の記事を例に「選挙では、新聞を読んでいる人の投票率は、86.1%と高い」ことも紹介。そして最後に「安倍の反憲法の動きにNOを言わなければならない」ことを強調され講演は終わりました。

 

1時間余りの短い時間でしたが、滑舌よく、まとまりのある内容は、多くの参加者に共感を呼びました。

 

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集会の最後に、参加者全員で「アベ政治を許さない」をシュプレヒコールするとともにフライヤーを掲げて今後も共同してがんばる決意を固めました。

 

安倍首相は、同じ日に都内で開いた改憲集会にビデオメッセージを寄せ、2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と明言したそうです。

いよいよ私たちの護憲運動が、正念場を迎えました。決意を新たに運動の輪を広げたいと思います。

 

当日会場で集まったカンパ額は、306486円でした。ご協力をいただいた皆さんありがとうございました。

 

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