旅行・地域

2018年8月17日 (金)

飛行機の中でWi-Fiが使えます ――昔のサービスがようやく復活しました――


飛行機の中でWi-Fiが使えます

――昔のサービスがようやく復活しました――

 

地上ではWi-Fiの使える範囲がどんどん増えている上に、iPhoneのテザリングを使えば、先ずどこでも問題はなくなりましたので、残るは空の上そして船の上ということになりました。そして最近、飛行機の中でWi-Fiが使える、という昔のサービスが復活しました。

 

もう20年も前になるのだと思いますが、Boeing機の中、国際線では有料のWi-Fiサービスがありました。とても便利だったのですが、恐らく利用者が少なかったのでしょう、一二年で中止になりました。ボーイング社の幹部に知り合いがいたので、何とかならないか直訴したのですが、経済性の前には無力でした。

 

そのサービスがこのところ、ANAでもJALでも復活しました。しかも無料です。こんなことで社会全体の動きを予測しても意味はないのですが、社会が一度退化しても、やがてはそれ以上に良い形で進化する、と信じたいほどです。

 

但し、どのフライトでもこのサービスがある訳ではありません。サービスのある機体には、こんな標識が出ています。

 

Wifi_4

 

離陸してから恐らく1万メートルくらいに達した頃でしょうか、ANAWi-Fiページの左上の方に、「衛星通信可能」という文字が現れます。

 

Wifi_3

 

後は「インターネット接続はこちら」というエリアをタップするだけで良いのです。すると、画面は、次のように変ります。

 

Photo_2


後は、普通にWi-Fiを使えば良いだけですが、ついつい嬉しくなって、どうでも良い写真を送り付けてしまいました。国際会議出席のため、国際線に乗り継ぐフライトだったので機内食が出たのですが、その写真です。

 

Photo_3

 

飛行機の中でも仕事ができるようになったことを喜んではいるのですが、国内線の飛行時間は一時間一寸の場合が多いことも考えると、その間リラックスする方が時間の使い方としては賢明なのかもしれません。結論は先延ばしにするとして、取り敢えずは選択肢の増えたことを喜びたいと思います。

 

[2018/8/16 イライザ]

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2018年8月16日 (木)

手動式芝刈り機 ――昔懐かしい機械です――


手動式芝刈り機

――昔懐かしい機械です――

 

田舎の夏は、朝早くから始まります。まだ、陽が差さない内に、あちこちから草刈り機の音が聞こえて来るのです。「草刈り」の代りに「刈り払い」とも呼ばれるようです。田圃の畔は勿論のこと、田圃に降りる土手も、道路の縁まできれいに刈るのが決りになっているようです。公的スペースだと思われるところは、農事組合法人の仕事なのでしょうか、何人かの方からなるチームで素早く刈って行きます。頼もしい限りの姿です。その結果はこんな具合に美しい「田園」です。

 

Photo

 

ここまで本格的ではありませんが、我が家でも、庭とその周辺の草刈りは定期的にしています。少し伸び過ぎると、親切な御近所さんが「ついでに刈っておきましたよ」というようなことになってしまいますので、「あまり伸びない内に」が鉄則です。

 

刈り払い機の定番はエンジン式です。プロの皆さんは大体こちらを使っているようですが、それも、2サイクルか4サイクルかで使う燃料が違います。4サイクルはガソリン、2サイクルは混合油だそうです。しかも、エンジンですからスパークプラグ等が必需品ですし、メンテには手間が掛ります。

 

出来るだけ簡単な機械をということで、電動式、しかも充電式ではなく、コードで電源につなぐ有線方式のものを買いました。広い田圃の草刈りには使えませんが、我が家のような庭とその周辺では全く問題がありません。

 

というのは、実は強がりで、何年も使っていると、そして年を取ってくるとコードを引っ張っての草刈りが、ちょっと面倒臭くなってきます。面倒臭さの理由の一つは、機械の重さです。(写真を撮るためだけに持っていますので、コードはつないでありません。)

 

Photo_2

 

モーターを地面から少し離して持たなくてはなりませんので、その分の力が必要です。筋力増強も一つの解決法なのですが、それとは違う方式で欠陥を補える芝刈り機がありました。回転式、または手動式の芝刈り機です。

 

Photo_3

 

これを押すだけで、回転する刃が草を刈ってくれます。しかも、刃の部分を手で持つ必要はなく、両側にある車輪が支えてくれていますので、必要なのは押す力だけなのです。こんなにエレガントな古典的芝刈り機は、1950年代のアメリカ映画にも登場していたくらいの実績があります。

 

斜面に使えないという不便さはありますが、一番広い平面の部分は問題なく芝が刈れます。ということで、その部分は手動式を使っての家人の担当ということになり、御近所さんを心配させることなく、綺麗な芝生を楽しんでいます。

 

[2018/8/13 イライザ]

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2018年8月 1日 (水)

「アベノミクス」に騙されるな! (その2) ――「アベノミクス」の実態は「安倍のミス」――

 

「アベノミクス」に騙されるな! (その2)

――「アベノミクス」の実態は「安倍のミス」――

 

立命館大学の大田英明教授の2007年の論文「所得格差および税制と経済成長 ――中長期的影響:分配なくして成長なし――」のはしがきを御紹介しましたが、それをさらに敷衍した二つの論文が、「アベノミクス」の真実の姿を完膚なきまでに、白日の下に晒しています。

 

一つは、(I) Why the monetary easing under ‘Abenomics’ has been ineffective in   recovery of the Japanese economy?:  Integration of the markets between the US and Japan」です。「アベノミクス」の下に行われた金融緩和が何故日本経済の回復に効果を挙げなかったのか--日米の市場の一体化」とでも訳しておけば良いのでしょうか。

 

もう一つは、(II) Economic Growth through Distribution of Income in Japan: Road to Stable Growth with Progressive Income Tax System」です。大雑把に訳しておくと、「所得配分による日本の経済成長――累進課税制度を元にした安定的成長への道」です。

 

「アベノミクス」とは、「三つの矢」として①金融緩和政策、②財政政策、③構造改革の導入を柱としています。最初の金融緩和のみ過去5年以上継続していますが全く実体経済の回復には効果がありませんでした。また、二番目の財政支出は2013年度の最初のみ公共支出を拡大しましたが、その後、政府は一貫して緊縮政策(GDP比で前年比マイナス)を継続しています。これは景気回復には逆効果です。また、3番目の構造改革は労働市場の自由化(派遣法の自由化、労働関係法案など)や経済特区を外資誘致の柱にする(例:カジノ法案など)を導入するものであり、直接的に経済成長を促進するどころかむしろこうした規制緩和は勤労者の賃金水準はますます低下するような政策をとっており、事実上、アベノミクスは経済成長を促進するものではありません。むしろ富裕層と大企業を優遇することのみ力点を置いたものです。これは一連の資産課税の減免、法人税の軽減措置の導入などにも表れており、法人税収は過去20年間一貫して低下しています。

 

その結果として、前にも示した経済の基本的な体系の内、賃金の増加については、高齢者であれば、年金額の減少と税金や保険料の上昇で、「増加」したのは支出だけということは実感されていると思いますし、働いている皆さんの中では、実際に賃金が増加しているとは感じていない方々の方が多いのではないでしょうか。この背景には、アベノミクスの第3の矢にあたる規制緩和策の一環として労働市場の完全自由化に伴う非正規雇用の拡大があります。このため、労働賃金全体を大幅に抑制することとなり、現在では、求人広告の過半数は非正規雇用です。非正規雇用は正規雇用の年収の/1/3にしかすぎません。このため、こうした規制緩和は着実に一般勤労者の賃金水準を低下させてきました。また、日本はOECD諸国でも貧困層の比率は本も高い国の一つです。

 

金融緩和によって、市場に出回っているお金の量が増えれば、その中の一定の割合が投資に回されますので、「投資の拡大」につながるはずなのですが、大田論文の(I)では、それが起きていないことを証明しています。ただし、大田論文についての解釈はあくまで私の独断と偏見に依存していますので、誤りがあったり、誇張があったりすれば、それは私の責任ですので、その点についてお断りしておきます。

 

さて、マスコミには「マイナス金利」とか「質的・量的金融緩和」とか「異次元金融緩和」といった

難しい言葉が飛び交っていますが、基本的には、日銀の操作で「市場」、つまりお金のやり取りをする世界のことをこう呼んでいます。その中で扱われるお金の量が「異常に」増えているということです。それが、回り回って景気を良くして、賃金も上がるといった未来図を描いているのが「アベノミクス」なのですが、大田論文(I)では、この「金融緩和」は経済成長率や実体経済の回復にはほとんど効果がなかった(株価は成長率にほとんど関係ありません)という結論になっています。つまり、「アベノミクス」は失敗だったのです。特に2013年のアベノミクス導入の重要目標とされたインフレ目標の年2%は依然として達成せず、デフレ脱却には至っていません。

 

Photo

   

By Wiiii [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC BY-SA 3.0  (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], from Wikimedia Commons

 

その結論に至ったのは、BVARという統計手法を使って、日米の金融や経済指標に関連のある数字を、分り易いモデルに変換し、しかもいくつかの数値の間の因果関係もハッキリさせたからです。こうした高度の分析の結果、金融緩和によっては実質的に経済が上向きにはならなかったことを示しています。

 

他の経済学者の分析と違う点は、一つには、日本という国内だけに視野を限らずに、日米両方を同時に考察したことです。またその際、日米の金融緩和政策の時間的な差も考慮した上での分析になっているという点です。

 

確かに、金融緩和によって、日米にはお金の量が増えました。しかし、それはアメリカの都合に依って時期・量が決められていたので、アメリカの景気回復には役立ったけれど、日本の景気回復とはつながらなかった、というのが一つの結論です。具体的には、米国の量的緩和(QE)の終了した201410月に合わせて日銀は量的・質的緩和(QQE)も第二弾としてマネー供給を大幅に拡大してきており、それが国際資本移動に伴い米国市場に流入し、大半は米国市場など国外に流出してきたことがあります。すなわち、日本よりむしろ米国のために大量のマネーを日銀は供給してきました。

 

さらに、日銀の金融緩和によって増えたお金は、日米ともに、生産性を高める部門に使われたのではなく、短期的かつ投機的な使い方をされてしまいました。日本国内では特に(米国では株価上昇による資産効果で一般国民も消費を増やし、企業も設備投資を増加させる効果がみられましたが、日本ではそれは見られませんでした(日本では株保有は資金に余裕のある富裕層が中心で一般庶民は米国のように保有せず銀行預金という特徴があるからです。)つまり、「アベノミクス」が目的とした「投資の拡大」にはならなかったというのが、もう一つの結論です。

 

それでは、日本経済を復活させるためにはどうすれば良いのか、という問に答えてくれるのが大田論文(II)です。解決策は、経済学の基本に戻って、しっかりした累進課税制度を採用することです。つまり、お金持ちからは、貧乏人よりたくさんの税金を払って貰うという税制にしよう、ということです。そして、所得の少ない人に取っては、裕福な人よりも大きな犠牲を払わなくてはならない消費税の「逆進性」を改善することで、その結果として大多数の国民の中低しょててく層の消費拡大が見込めます。

 

大田論文(II)は、(I)より分り易いので、次回をお楽しみに。

 

[2018/7/30 イライザ]

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2018年7月31日 (火)

7月のブルーベリー農園(東広島市豊栄町)・作業など

7月のブルーベリー農園(東広島市豊栄町)・作業など

76日に安芸の郷のある広島市安芸区、安芸郡一円でかってない集中豪雨で河川の決壊、山崩れ、土砂くずれの災害が起きた。安芸の郷の2つ目の建物第2森の工房AMAも後ろの山から大量の土砂、岩、流木が建物と庭に押し寄せた。728日森の工房AMAのブルーベリーまつりも中止にして復旧作業と利用者の支援の日々が続いている(これらの日々の様子は安芸の郷のブログ「アキノサトの日記」に掲載)。

安芸の郷にブルーベリーを納品している農園のある場所には、住んでいる船越からは国道2号線、県道375号線を通るのだが、あちこちが寸断された。14日にようやく農園にいくことができて、早速周囲を巡回したが、畑の法面が23か所小さく崩れた程度で済んだ。723日からは安芸の郷と福富町のしゃくなげファームから摘み取りの研修、ボランティア、友人、知人のみなさんの摘み取りが始まるので農園の環境整備を急いだ。

1

714日。里山のブルーベリー園の草刈りと畑の防草シートを敷く作業を行う。

P7189279

718日。農園の家の前にテント設営、テーブルや椅子の設営。

P7219441

721日の農園から見る青空。豪雨の6日の翌日が梅雨明けでそれから暑い日が続いた。

 

P7289649

728日。安芸の郷のボランティアグループ「フレンドベリー」の皆さんや、農園の友人が摘みとりの援農にお見えになった。一年ぶりの農園訪問。籠を首にかけコンテナをもって摘み取りへ。

P7289658

728日。田んぼからブルーベリーに転作した畑が3段に分かれている。最初に一番下の畑にみんな入ってスタート。

P7289665

728日昼休み。畳の部屋で休む人、縁側やたたきで休む人。この日は台風12号の影響で風があり、雲もあってわりと涼しかった。収穫したブルーベリーを安芸の郷に納品できた。安芸の郷では選別した1キロパックの生食ブルーベリーとして主に販売される。

P7219451

夏の農園周囲の様子。

 青々とした田が広がる。721日。

 

P7229454

 ラビットアイ系のブルーベリーの青い実。722

P7189274

 農園の裏庭のホタルブクロ。718

Photo

 728日。山のブルーベリー園のワイヤーメッシュの間からのぞくヒオウギズイセン

                                                                                             2018731

社会福祉法人安芸の郷 理事長 遊川和良

 

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2018年7月28日 (土)

「防災省」設置案・その5   災害後の対応・その2

 

「防災省」設置案・その5

災害後の対応・その2

 

災害後に大きな力を発揮するのが、重機だということは、連日の災害現場からの報道を御覧になっている皆さんにはお分りだと思います。また医療等の専門的知識によって被災者の生命や健康を守る貴重な活動も忘れてはなりません。「防災省」の仕事の説明に当って、その他の活動にも触れたいのですが、今回は特にこの二つを中心に、 (E) について説明したいと思います。

 

[災害発生後に視点を移しての防災省の仕事]

(A) ()

(B) ()

(C) ()

(D) ()

(E) 災害救助のために必要な専門的知識、そのために使用する機器・重機等は、専門組織や民間の所有する機器等に依存せざるを得ない面が大きいため、消防団組織をモデルに、専門的なノウハウや重機を「ボランティア」として提供して貰う仕組みを、(D)で言及した3レベルそれぞれに対応する形で整備する。

 

《解説》

 災害救助に当って、多くの人手が必要ですが、消防の正規職員だけではとても数が足りません。「ボランティア」として普段から訓練を受け、適切な災害対応能力を持つ「消防団員」が活躍する場になるのと同じように、重機にしても正規に消防が保有しているものだけでは到底数が足りません。自衛隊や消防庁の持つ重機もありますが、それを加えてもまだまだ足りないのが大災害のケースです。その不足分は、被災地域の建設業を中心に日常業務で重機を使っている企業に協力を要請し、「災害出動」をして貰うことになります。

 地域の建設業関連の企業では、「○○市建設協会」(以下協会と略)といったような名称の団体を作って、その○○市と協定を結んで、災害時には重機や重機のオペレーターを提供することで大きな社会貢献をする仕組みを作っているケースが多く見られました。このような仕組みが円滑に機能するためには、行政と協会の緊密な連携が必要です。そして、災害時に利益を上げるような印象は避けたいのが人情ですから、「ボランティア」という側面が強調されます。善意の活動とは言え、企業側の負担が大きいことは言うまでもありません。

 災害時に助けて貰うことから、行政の側から考えると「恩がある」という気持が強くなり、企業側ではマイナスになった分をどこかでプラスにしたいという気持があります。これまでには、そこから出発した談合が発生したこともあったそうなのですが、その是非はともかくとして談合の背景にはこうした事情のあったことも理解しておくべきだと思います。近年では、このような事例は減少し、行政と企業との関係は透明化され、完全なボランティアに徹するか、適正な対価が払われる方向に変ってきているようです。

 ボランティアに徹した素晴らしい実践例として、NPO法人「未来の環境を考える会」を紹介しておきたいと思います。2005年に発足したNPOですが、以下の活動内容の説明は、ここで私が言いたかったことを簡潔にまとめてくれています。

 「地元中小建設業者は、常に大型・小型の重機を自社で所有しております。日頃は下水道、道路工事等では住民の方々にご迷惑をかけ、ご協力を願っておりますお蔭様で、企業として成り立っております。重機等を使用して危険な作業に毎日従事していますので、災害が発生すれば、直ちに経験と技術力を生かして地域のため人命救助、災害復旧に協力できる体制です。地震災害時の緊急救助体制を整え、救助用重機だけでなくジャッキ、ポンプ等の機材も保有しております。また、重機の動力源の補給がたいへん困難であったことも現地で身にしみておりますので、対応として会員が燃料タンク車を自費購入して常備することに致しました。私たちは重機及び車両の種類、台数、緊急時の連絡体制整えております。」

 

             

Photo

               

NPO法人「未来の環境を考える会」が提供できる重機の一例

 

 水道事業は自治体の仕事ですが、ここでも民間の協力は必要になりますし、ガスや電気は民間企業の守備範囲ですが、それでも、自社の正規職員以外の協力も必要になります。

 もう一つ、被災地で欠くことのできないサービスは医療です。そのために、2005年から都道府県単位で整備され始めた組織としてDMAT(ディーマット) があります。緊急時に立ち上がる一時的な組織ですが、ウィキペディアでは次のように紹介されています。

 「災害派遣医療チーム(さいがいはけんいりょうチーム)とは、医師、看護師、業務調整員(救急救命士・薬剤師・臨床工学技士・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・放射線技師・社会福祉士・コメディカル・事務員等)で構成され、地域の救急医療体制では対応出来ないほどの大規模災害や事故などの現場に急行する医療チーム」

 このように、行政と民間との協力が一体になって初めて機能するのが災害救助ですので、「防災省」が立ち上ったとすると、この「行政  民間」の間の協力関係をさらに密にする方向に進化させたいと思うのは人情なのではないでしょうか。そこで、注目したいのが、消防における消防団です。重機を提供する企業やそのオペレーターたちも消防団員と同じような位置付けで消防組織の一部として、実地訓練に参加し、災害の現場に参加し、同時に適正な報酬や手当を受け取れる仕組みを作れれば良いのではないかと思います。医療という専門集団については、DMATがかなりまとまった機能的活動ができるようになっていますので、それ以上を求める必要はないのかもしれませんが、消防団員についての次の心配を視野に入れると、違った対応があるかもしれないとも考えられます。

 それは、災害現場での活動には命の危険が伴う、という事実です。消防団員の場合には特にその点が心配なのですが、避難の勧告を個別に伝えたり、避難誘導をしたりしている際に土砂流に巻き込まれるケースなどがこれまでもありました。これは、二次災害なども視野に入れれば、DMATのメンバーにも当てはまります。「危険箇所には近寄らない」が鉄則ではあっても、必要かつ適正な保険制度等の整備も含めて、消防団の制度を改善した上で、改善版をモデルに、重機や専門的知見、そして善意を提供してくれる企業・団体・個人と行政との関係を整理することも「防災省」の任務の一つだと考えています。

 

[2018/7/27 イライザ]

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コメント

もう何年も前から石破さんが防災省の創設を掲げていますが、石破さんが首相になったら実現するでしょうか。

「自民糖」様

コメント有り難う御座いました。

石破氏には、この「公約」だけは実現して欲しいと思っています。でも、今、政権を担当している安倍内閣のときにこれだけ大きい自然災害によるダメージが出ているのですから、先ずは安倍内閣に、その反省を元に抜本的な災害対策を提示する責任があるのではないかと思います。

2018年7月27日 (金)

「防災省」設置案・その4   災害後の対応・その1

 

「防災省」設置案・その4

災害後の対応・その1

 

このシリーズに力は入っているのですが、どんどん長くなっています。切りがありませんので、少し端折りつつ、全体像が見えるように工夫をして行きたいと思います。ということで今回は災害発生後に焦点を合せ、まずは、人命救助の際にも復旧のためにも欠かせない重機その他の装備について考えて見たいと思います。

 

[災害発生後に視点を移しての防災省の仕事]

(A) ()

(B) ()

(C) ()

(D) 災害発生後は、それまでの予測を元に、また被害状況に照らして、都道府県単位で災害対策本部を立ち上げる。「防災省」直轄の実働部隊は、この対策本部の下に入り都道府県知事の指揮の下、災害救助や復旧・復興の仕事に当る。災害救助等の必要な装備については、「直轄」「都道府県」「市町村」という3つのレベルで整備する仕組みを作り、現在の消防制度を元に、市町村レベルでは整備し切れていない装備は、都道府県レベルで拡充整備する。「防災省」では、最新の装備についての研究を元に、世界的に貢献可能な高性能の装備の開発に当り、災害の予測モデルに従って、「直轄」「都道府県」「市町村」という3レベルに適切な装備を配置する。

(E) 災害救助のために必要な専門的知識、そのために使用する機器・重機等は、専門組織や民間の所有する機器等に依存せざるを得ない面が大きいため、消防団組織をモデルに、専門的なノウハウや重機を「ボランティア」として提供して貰う仕組みを、(D)で言及した3レベルそれぞれに対応する形で整備する。

 

《解説》

 大雨や台風についてのデータの収集や予報、地震や噴火についてのデータ等は、現在では気象庁や国土交通省等の担当ですが、それらについては基本的には現状をそのまま引き継ぐことにします。その中で「災害」そして「人命救助」という視点からのデータの整理や分析等は「防災省」が、各担当部署との連携の下に行うことにします。

 災害後の現地での対策は、「現場主義」を採用し、都道府県知事が指揮を執る形にします。その際、現在の都道府県の役割が、「中二階的」であるという批判を踏まえて、災害対応をその活動の中心に据えるような大改革をすることも視野に入れるべきだと思います。一般的なレベルでの詳細情報を持つ「防災省」と、現地での詳細情報を持つ都道府県が緊密な連携を取る必要は言うまでもありませんが、緊急を要する場合の最終判断は、現地を良く知る知事が行えるような権限を与えておくことが重要です。

 このような形での連携が上手く機能するためには、「防災省」と都道府県、そして基礎自治体である市町村とが、実地訓練を何度か経験しておく必要があります。また、経験値を考えると、各都道府県が災害を経験する頻度と、「防災省」が全国各地において災害救助に当たる頻度とを比較すると、後者の方が多いのですから、それを生かさなくてはなりません。当然、現場では、「防災省」の指揮官が知事に指示を出すという形の方が全体として上手く機能する場合も多いはずです。そのような経験値は当然生かすべきです。そのためには、知事が自分の権限を「防災省」と一時的に共有する宣言をすれば良い訳ですから、それもシステムに組み込みます。しかし、最終的に現地の判断が優先されなくてはならない場合もあり得ますので、「これは現地の判断で行います」という権限だけは、確保しておくことが大切になる、という意味なのです。

 愛称が「レッドサラマンダー」という、「全地形対応車」が、愛知県岡崎市に配備されています。朝日新聞の「キーワード」によると「全長8.7メートル、総重量12トン。最高速度は時速50キロ。搬送用の車両を含め、総額9765万円。10人乗りで、災害現場への人員、物資の輸送が役割。岡崎市への配備は、南海トラフ地震の発生が懸念▽日本のほぼ中心に位置する▽津波の心配がほとんどない▽高速道路のインターに近い、などの理由だったという」という説明です。約1億円のレッドサラマンダーですが、災害時に八面六臂の活躍をしてくれるのであれば、各都道府県に一台配備しても、一機280億円のオレプレイの台数を減らせば、十分にお釣りが来ますので、それも可能性として検討すべきでしょう。

 

                   

Photo

         

 

 しかし、東日本大震災後の2013年に急遽配備されたこのレッドサラマンダーは、これまで二度の災害現場でしか使われていないのです。昨年7月の九州北部豪雨の際に大分県日田市に出動しました。そして今回の西日本豪雨では、岡山県に入っています。この5年間にたった2度の出動実績には理由があるのでしょうが、可能性として考えられるのは、(a)災害現場で役に立たないから (b)出動して貰うには費用が掛り過ぎるから (c)要請すれば来てもらえることが周知されていないから (d)現地に到着するまでに時間が掛り、その間に他の手段で問題は解決されている場合が多いから、等です。こうした点についてもきちんと検証し、後に提案する国際災害救助隊の「サンダーバード」にも役立つような先進的な道具を整備するのも「防災省」の役割ですので、新装備開発の一助としてまずは全国で活用するための方法を考えるべきでしょう。

 

[2018/7/26 イライザ]

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2018年7月26日 (木)

「防災省」設置案・その3  事前の防災対策・その2

 

「防災省」設置案・その3

事前の防災対策・その2

 

[防災省の仕事内容]を続けます。前回、B)までは《解説》を付けましたが、今回はC)に移ります。その前にC)の内容に付け足しておきたいことがありました。それは、「災害弱者」に対する配慮です。修正後のC)は次の通りです。

 

A) ()

B) ()

C) 災害についての正確なハザードマップを作成・改訂し、危険箇所に住む人々には個別の面接を行い避難の必要性や具体的な避難経路も含めた避難可能な知識を伝達する。避難「命令」が可能になるような法的整備も行い、発令等についても全国的に知見を共有して、避難が遅れることのないようにする。避難訓練も定期的に様々な想定の下行う。また、「災害弱者」も特定し、避難の際に声を掛ける担当者を決めておくなどして避難ネットワークに組み込む。必要があれば、「事前避難」という概念を導入して「災害弱者」の救済に役立てる。こうした努力を通して、「防災意識」の定着を図る。

 

                 

Photo

           

もっと詳しいハザードマップが必要ですが、一例として御覧下さい。

 

《解説》

 ハザードマップの持つ効果は良く知られています。洪水や土砂災害の被害を少なくするため、特に人命が失われないように早目に避難することが大切なのですが、実際に役立っている事例を国土交通省の資料が示しています。

 

 

Photo_2

 

 例えば、1998 (平成10) 8月の阿武隈水害では、ハザードマップを見ていた人たちの方が、ピークで見ると一時間早く避難しています。この差が、被害の多寡に大きく影響する可能性もあります。また、2000 (平成12) 9月の東海豪雨では、甚大な被害があったにもかかわらず、ハザードマップを作成していた多治見市では人的被害がありませんでした。

 広島市でも、1999年の豪雨災害後、土砂災害防止法の施行とともに全市的にハザードマップの作成・普及に力を入れ、自主防災会やコミュニティー協議会等を中心に避難訓練を行いました。中でも安佐南区地区の自主防災会の活動は全国的にもお手本にされる等、レベルの高い内容でした。特筆されるべきことの一つには、子どもたちが自らハザードマップを作ることで内容をしっかり理解できるようになったことがあります。その後、自主防災会の活動も変化してきているようなのですが、良き伝統が守られ続けていることを祈っています。

 ハザードマップは全国的に作られていますが、問題は住民一人一人がそれを見ているかどうか、そして自宅の危険性について認識をし、万一の場合には避難する気持になっているかどうかです。地域毎に説明会を開いたりしている場合もあるようですが、出席率は必ずしも高くありません。説明会で、ハザードマップを見て貰うことで災害の危険性を知って貰う、ということが目的なのですが、ハザードマップを見ていない人には説明会に出席する意味が伝わり難いという悪循環に陥り勝ちだからです。そこで、ある程度の認識が全国的に広まるまで、個別に一軒一軒を担当者、あるいは自主防災会のボランティア等が訪問してハザードマップの説明をして歩く必要があると思います。

 その際、同時に災害弱者の確認も行い、どのようなヘルプが必要なのか、地域のネットワークに組み込まれているかどうか等についても記録し、避難勧告や指示の際にはだれがどう助けるのかの対策も立てておけば一石二鳥です。一例を挙げて追加しておきたいのですが、高齢者の場合、歩行困難な状況になっている方もいらっしゃいます。二階建ての家に住んでいても二階には行けないために、一階部分だけで生活しているケースがかなりあります。いざという時には「共助」の精神の下、近所の誰々が、この家に住む〇野□平さんを避難所まで誘導・引率する、という具体的なレベルでの合意とコミットメントが必要です。

 災害対策では「自助、共助、公助」のバランスが大切だと強調され続けてきました。一億人以上の人口のある国で、全ての災害について、国とか自治体が全ての人のお世話をすることは不可能だからです。「公助」に入るのか「共助」に入るのか良く分りませんが、ここで重要な役割を果しているのが「消防団」です。

 消防署に勤めている正規職員ではなく、自らの仕事の合間を縫って訓練を繰り返し、災害時には重要な任務を担い、正規職員と一体になって、消防活動や災害救助活動に従事している人たちです。中でも、人手の必要な災害時には大いなる役割を果していますが、通常「消防」としてカウントされていますので、脚光を浴びることが少ない存在でもあります。基本的にはボランティアですが、年額数万円の報酬があり、出動の度に数千円の手当があります。正規の消防職員が全国で約16万人いるのに対して、消防団員は85万人いますので、数だけからいっても彼ら/彼女らの重要性はお分り頂けると思います。「防災省」が設置されれば、消防団の存在もさらに重要になりますし、「共助」の部分のあり方も見直されることで、「ボランティア」のあり方と合わせて地域社会の担い手としての新たなアイデンティティーが生れることになると考えています。

 

 [2018/7/25 イライザ]

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コメント

こちらでも自主防災会が中心となり避難を促したため人的被害を免れた住民がいましたし、いくつかの地域で異口同音に聞いたのは「ハザードマップ通りに崩れた」ということで、いずれも重要であることを再確認しました。

ただ、広島市では「法律が変わったため」ということで今回の豪雨時にも南区は土砂災害のハザードマップがなく、4年前の土砂災害の時から市の方には早期の完成を要望していましたが、今回の土砂災害の時には市のホームページにも南区はないまま、県のホームページにあった古いマップもなくなっていました。さらに、今回、現状が大幅に変わったために作り直すということなので、その完成も大幅に遅れそうです。

私は避難指示は自治体のトップ、広島なら市長が自らの責任において顔を出して発令すべきだと思う。NHKのアナウンサーに「命を守る行動をとって下さい」と言われても、抽象的であり意味が分からない。そこは行政が責任をとるべきで、住民が避難をするというリスクも決して小さくはないのだから「早めの避難」を呼びかけるのも無責任で、市長自らが出て避難勧告や避難指示という行政用語ではなく誰にでも分かる言葉で具体的に何をすべきか言うべきである。その上で自主防災会などの役割が重要なことに異論はない。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

ハザードマップの重要性についての現場からの確認、有難う御座いました。

それと同時に、ハザードマップがあっても、自主避難訓練等の訓練も大切なのですが、以前は行われていたにもかかわらず、取り止めになってしまった地域もあると聞いています。災害に対する姿勢が根本的に変ってしまったのはとても残念です。

今回の豪雨災害を元に、市民の方から行政に対して問題提起をすることで、事態の改善を図れれば良いのですが--。

「武田」様

コメント有り難う御座いました。

市町村長が、直接避難を呼びかけることには大賛成です。それと同時に、「事前」の対策として、必要なら戸別訪問をすることで、また、自主防災会などが中心になって避難訓練をすることなどを通して、私たち一人一人がどの段階での「避難」をすべきなのかを理解した上で、自ら動ける準備をしておくことも大切だと思います。

2018年7月25日 (水)

「防災省」設置案・その2   事前の防災対策


 

「防災省」設置案・その2

事前の防災対策

 

「自衛隊 ⇒ 災害救助隊」という表現が分り易いので、これを何度も使っていますが、「防災省 (仮称)」設置の目的は、災害発生後の対応と同時に、災害による被害をできるだけ少なくするように、様々な施策を事前に立案・施行することにあります。それは、災害の種類によってそれぞれ違います。豪雨による洪水と、地震に対する事前の対応を比べれば、その違いは明らかです。防災省では、その全てについて対応策を策定・実行しなくてはなりません。

 

現在でもそれなりの「計画」はあり、実行するだけという段階のものもありますが、何度も強調しますが、自然災害による被害が大きいこと、それを軽減することを国家的事業の最優先事項の一つにしなくてはならないと、私たちが覚悟を決めて、政治を動かして行かなくてはなりません。

 

そのために、たまたま分り易いパワーポイントの資料を国交省が作ってくれていますので、それを使いながら説明したいと思います。

 

[防災省の仕事内容] 

A) 自然災害による被害を最小限に抑えるため、災害がどの程度の頻度で起きるのかを統計的に推定し、安全度を加えた上で、河川、山林、道路や鉄道、その他の建造物等について、例えば、数百年に一度の頻度で起きる災害による被害を一定のレベル以下に抑えるよう、規制を設け、計画を立てた上で、目標をクリアする。既に計画のできている分野については、「災害優先」という立場、そして個人の「被害」という立場を前面に出し、再検証を行う。

B) 台風や大雨、地震等について、どの程度の被害が生じるのかという予測はなされているが、被害の規模や財政的な損害等、天文学的な数字になっている場合もあり、十分な対策が取られているとは言えない。災害対策を日本という国家の最優先事項として、緊急20カ年計画を策定し、前半の10年間にはその中でも特に急がなくてはならないものを取り上げる。

C) 災害についての正確なハザードマップを作成・改訂し、危険箇所に住む人々には個別の面接を行い避難の必要性や具体的な避難経路も含めた避難可能な知識を伝達する。避難「命令」が可能になるような法的整備も行い、発令等についても全国的に知見を共有して、避難が遅れることのないようにする。避難訓練も定期的に様々な想定の下行う。

 

                 

Photo

           

国土交通省による総合治水対策の概念図

 

《解説》

 治水計画としては、国土交通省の立てた計画はあるものの、世界各国と比較すると大幅に低いレベルでの目標設定になっているため、特に近年に頻発している大雨の対策としては、不十分。具体的に数字を見ながら、緊急性を共有したい。

 まずは次のグラフを御覧頂きたい。治水による安全度がどのくらいのレベルかを国際比較したものである。

 

 

Photo_2

 

 オランダと言えば、海面より国土が低いことで知られている。小学校の教科書で、堤防から水が漏れていることに気付いたハンス少年が、水漏れを止めるために献身的な努力をした感動的な物語を覚えている方も多いはずだ。そのオランダは、一万年に一度の水害に対応出来るような治水工事を1985年には終えている。日本に状況が似ているフランスでも、100年に一度の水害対策ができている。

 でも日本の場合、その半分以下の30年から40年に一度の水害対策が目標になっていて、それも達成率は60パーセントほどだ。この統計が取られた2004年から14年経っているが、ウイキペディアでも同じ数字を使っている。前にも書いたように、事故ばかり起している役に立たないオスプレイを買う財源を防災費に回すだけでかなりの対策が可能になる。

 日本の治水対策の中では、100年に一度の災害に対応することがあたかも理想的であるかのような目標設定が行われているが、もう少しレベルをアップすること、そして達成率を向上させるために財源を確保することが焦眉の課題だ。

 地震については、建物の耐震性を高める必要が確認され、耐震性を持つ建造物が全体の9割ほどになっている点も評価すべきである。しかし、この「耐震性」で、建物にそれほど甚大な損傷が生じないのは、震度5レベルの地震なのである。政府が30年以内に起きる確率が80%だと言っている南海トラフ地震では、それを大幅に上回るはずだ。その被害額は土木学会の見積もりでは1400兆円(日本の国家予算は約37兆円)、死亡者は国の想定で32万人~33万人。立命館大学の高橋学教授の推定では47万人を超える。「それにもかかわらず。国、都府県、市町村の動きは極めて鈍く、今回の大阪北部地震を教訓に早急な対策が必要だろう。(高橋教授のコメント)

 子どもたちにも避難訓練をさせた北朝鮮からのミサイル攻撃で、何人の犠牲者が出ると安倍内閣が予測したのかは明らかにされていないが、まさか47万人を超えてはいなかったはずだ。そして、実際に攻撃がある確率をどの程度に見込んでいたのだろうか。80%以上ではないだろう。もしそれ以上なら、それは、明日にでも戦争が始まる可能性があり、単に「避難訓練」で対応できる話ではない。

 30年以内に80%、そして死者数は47万ということは、あれほど大騒ぎをした北朝鮮の核やミサイルを桁違いに大きくした話なのだ。災害対策こそ、安倍政権挙げて今すぐ対応しなくてはならない案件なのではないだろうか。

 こうした対応をすぐ実行に移せる組織として「防災省」が緊急に必要なのである。

 

[2018/7/24 イライザ]

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コメント

各国の治水整備率をみるとアメリカのミシシッピ川では8割、オランダは100%、英国のテムズ川も100%に対し、我が国では大和川でも5割、荒川でも6割、治水対策費も英米では2倍になっているのに日本では半減、これはコンクリートから人へなどと嘯いていた民主党政権のツケではないですか。

「自民糖」様

コメント有り難う御座いました。

日本の河川行政は1896年に制定された河川法が出発点になっていますが、その100周年に当って法改正が行われ、かなり方向性が修正されました。ソフト面なども考慮されるようになり、流域の意見も勘案されるなど、「民主的」な改革もされましたし、世界的な環境への関心への配慮も行われました。こうした改革が実現したのは、河川や環境に注目して活動した市民運動のお陰だと思います。

但し、全てが改革された訳ではなく、各国との目標ギャップなどは取り残されたままでした。こうした点については、「防災省」を作ることで改善できるのではないかと思います。

そして、民主党政権をかなり評価されてのコメントのように読ませて頂きました。でも大雑把に見ると、「最低県外」と約束した最重要の沖縄政策は実現できず、脱原発も腰砕けになり、結局、実現したのは、自民党の政策をそのまま実行することになった消費税の税率アップくらいのものです。民主党政権の残したものは、自民党政権の場合とあまり変らない、と見ることも可能なのではないかと思います。

2018年7月19日 (木)

無抵抗降伏論 ――豪雨災害からの教訓 (10)――


無抵抗降伏論

――豪雨災害からの教訓 (10)――

 

前回は、「非武装中立論」で今回は「無抵抗降伏論」と段々過激になってきていますし、「豪雨災害からの教訓」とは懸け離れて来ている感もありますが、もう少しで本論に戻りますので、お付き合い下さい。それに、今回取り上げる森嶋通夫著の『日本の選択』は痛快な一書ですので、溽暑の昨今、清涼剤としてもお勧めします。

 

Photo

 

切れ味の良い主張の主、森嶋通夫氏は、1923年に生まれ、2004年に亡くなりましたが、晩年は1988年の定年まで、世界的に有名なロンドン・スクール・オブ・エコノミクス (LSEと略されることが多い) の教授として「レオン・ワルラス、カール・マルクス、デヴィッド・リカード等の理論の動学的定式化に業績を残している」のですが、世俗的にはノーベル経済学賞の候補として何度も名前が挙っていたことでも知られています。

 

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Wikipediaから

 

『日本の選択』は、森嶋氏がロンドンから東京に帰る日航機の中で19789月に読んだ関嘉彦氏 (早大客員教授) のエッセイを読んでショックを受け、その反論として翌1979年に北海道新聞に書いた反論が元になっています。

 

それに対する関氏の再反論、さらには、この論争に加わった猪木正道、福田恆存氏とのやり取りも採録されています。森嶋氏の立派なところは、自らの主張に批判的な関、猪木、福田という三氏の言い分もきちんと取り上げて、真正面からの論争にしていることです。ラベル張りもされていますし、福田氏からは「大嘘つき」とまで言われながら相手が逃げられないようなリングに引っ張り出した上で、胸の空くような論破をしています。その力量とフェアな態度には、ただただ感心するばかりです。

 

その一端を「はしがき」から御紹介しましょう。

 

本書は私の国家論である。国家は防衛しなければならないが、核兵器の時代には、国家を武力で防衛すれば、たとえ国家は守れても、その国民は壊滅し、したがって国家も死滅するという形でしか守られない。このような問題に対する私自身の考えを、私は1979年に発表し、それを殆んどそのままの形で、本書第一部に収録した。それは冷戦中の作だが、冷戦がほぼ解消した現在でも私の考えは変っていない。

 

第二部は第一部の補論である。防衛論の論争相手は主として関嘉彦、猪木正道と福田恆存であったが、福田氏との論争は、私にとって最も楽しいものであった。第二部では、これら三氏に対する私の主張を、新たにかなり拡充、補強している。

 

第三部は、どのように国家は変化するかを考える。私の動学的国家論である。私は五十年前の敗戦により、日本の天皇制という国体は崩壊したと考える。したがって、結果論的には私たちは、天皇制を崩壊させるために戦っていたことになる。戦争に動員させられた若者の一人として、なぜあんな戦争をしたかを、私は長年にわたってしつこく追求してきた。第1章はその結論である。

 

戦後、平等教育が行われるようになったが、現実の社会が分業社会であるのに、平等に教育された男女を、社会に注入すれば、一方では苛烈な競争と、その結果である敗者の失業をひきおこす。同時に、他方では誰もが働きたがらない3K産業問題が生じる。平等教育を受けた子供は自己主義者として育つが、このような子供が会社という集団に属せば、集団は会社自己主義を主張し、このような日本の会社は、第2章で見るように、国際社会においては、国家自己主義者として行動する。

 

しかし巨大技術や先端技術の時代になると、これらの技術を駆使するには、国際協力が不可欠だし、これらの技術の効果も、多くの国でわかち合わねばならない。こうして国家自己主義は成立しなくなり、民族国家としての日本は、将来アジア経済共同体の中に発展的解消をすると私は考える。それまでに日本は国家自己主義を克服し、普遍的な思考が出来るようになっていなければならない。さもなくばアジア共同体の中で、日本の活躍は非常に限定される。このことを明らかにするのが、第3章の「国家変遷の唯物史観」である。

 

勝者も敗者も、私たちの世代のものは戦死した友人を何人かもっている。われわれは全員同じ思いで戦ったわけでないが、本書を書き上げて、国家問題に対する自分の考えを明らかにしたことにより、私は、死んだ彼らに対する「生き残った者の負い目」の幾分かを償えたような気がする。謹しんでご冥福を祈る。

 

続く第一部と第二部で森嶋氏が展開する「国防論」は、関氏が「ハードウェア」つまり、軍備を主軸に論じているのに対して、「ソフトウェア」つまり非軍事の外交、経済、文化、そして明示的には示していませんが、災害救助等を中心にした国防論です。

 

さらに、自分の主張通りのシナリオにならなかった場合、つまり「最悪のシナリオ」ではどう対処すべきなのかという点を、議論の大切な一部として取り上げていることからも説得力が抜群に増しています。

 

少しセンセーショナルに、森嶋氏の「Worst Case Scenario」をまとめると、もしソ連軍が日本に攻め入って来たら、毅然とそして冷静に降伏して被害を最小限にした上で、ソ連の占領下でも日本社会の強みを生かした、許容範囲の社会を作るということです。もしそうしなければ失われるであろう数十万から数百万の生命を考え、国土の荒廃や財産の逸失を考えると、より損失の少ない選択肢を選ぶべきだ、という結論です。

 

詳細に森嶋構想を説明するのは次回に回します。そして論争の出発点である関氏のエッセイ(サンケイ新聞の「正論」という欄のタイトルは、「"有事の対応は当然」) に対する反論も見事ですので、それにも触れたいと思います。

 

[2018/7/18 イライザ]

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コメント

ネトウヨがやたら使う論破という言葉は好きではない。和解や合意を考えるとき相応しくないし事実については共通認識を持った上で考え方の違いには賛同できなくても理解は示したい。

その上で申し上げたいのは生物においては短い個の命より長く続く種(群れ)の命を優先するということは良くあることで、ドイツに限らずアメリカなども皆殺しを行ってきた国だから彼らと対峙する時、個人より国を優先することは考え方の一つだと思う。開戦前の御前会議でどちらにしても地獄になるが生き残る日本国民のために戦いを選ぶというのは当時の状況では理解できる。

「武田」様

コメント有り難う御座いました。

誰がどのような状況でドイツやアメリカと「対峙」するのかが良く分りませんが、「地獄」と言っても誰に取っての「地獄」なのか、それがどの程度なのか等、もう少し前提を整理しないと話が通じないように思います。

2018年7月16日 (月)

土砂災害防止法と予算 ――豪雨災害からの教訓 (7)――


土砂災害防止法と予算

――豪雨災害からの教訓 (7)――

 

1999629日に広島地方を襲った豪雨災害の惨状を検証した結果、今後、同じような被害を繰り返さないようにという趣旨で土砂災害防止法として知られる法律が翌2000年に作られました。立法措置としてはかなり迅速に対応が行われた例ではないかと思います。

 

その概要ですが、次のようにまとめておきたいと思います。

 

この法律では、土砂災害を次の三つに分類しています。

 

Photo

国土交通省のホームページから (以下同様)

黄色で示してあるところが「警戒区域」、赤が「特別警戒区域」です。

 

急傾斜地の崩壊、地滑り、そして土石流です。国ならびに地方自治体は、これら三種類の危険のある地域について調査を行い、危険地帯の中でも深刻なケースについては次の二つの要警戒地域として指定するというのが、第一の段階です。二つとは、「土砂災害警戒区域」  (以下、警戒区域) と「土砂災害特別警戒区域」 (以下、特別警戒区域) です。

 

前者の指定をされた地域では、災害発生時に迅速に避難できるような体制を整備することが義務付けられています。つまり、「警戒区域」に指定された地域に住んでいる人たちにその事実を周知し、災害発生時の避難準備を日頃から心掛け、その結果として、いざという時には避難勧告や避難指示に従い、被害が最小限で済むようにする、ということが目的です。簡単にまとめると、「警戒区域」は、ソフト的な概念である避難に焦点を合せた考え方で、避難によって被害の軽減を図るために指定する、という意味があります。

 

「警戒区域」の周知はハザードマップによって行われています。ネット上のハザードマップを拡大して見ないと、特に「警戒区域」とそうでない区域の境界周辺では分り難いので、ネット情報を御覧になることをお勧めします。ちなみに我が家は、ギリギリのところで「警戒区域」から外れています。

 

それに対して、「特別警戒区域」は、「警戒区域」の中でも特に危険度が高い地域において、ハードに焦点を合せて事前に被害を少なくしようという目的を持っています。

 

つまり、この地域には新たに住居を建てる際には特別の規制があって、①土砂災害に対して一定の強度を持つ建物しか建築できないのです。②また、既にこの区域に建てられている建築物で、十分な強度を持たないものについては、強度を上げるような改修を行う、あるいは、その建物は諦めて、安全な地域に新たに建物を建築するといった対応を行うよう、行政が勧奨しそのための経済的・制度的な支援を行う、というものです。

 

 については、建築費用が区域外の場合より高くなるかもしれませんが、安全性のための投資ですから、それなりに納得して貰えるのではないと思います。

 

問題は②の場合です。現在の住宅の除却 (取り壊してゴミとして処理する) そして新たな住宅の新築にはかなりのお金が掛ります。しかも「特別警戒区域」外に住んでいれば全く必要のない支出なのですし、特に高齢者の場合、それだけの貯えのない人がほとんどだと思います。となると、行政からの「支援」のあるなしで、この施策の現実性が決ってくることになります。

 

では実際、いくらくらいの補助金が出るのか、広島市の場合を見てみましょう。

 

(a) 改修の場合――改修金額の23%までで、補助限度額は759,000円です。

(b) 今住んでいる住宅を除却し、安全な地域に新築する場合――除却費用としては、上限802,000円まで、そして新築の際には、建設費または購入費に充てる借入金の利子相当額に補助がでますが、通常は建物に対しては上限が319万円、土地に対しては96万円です。

 

結局、危険な区域に住んでいる人が借金をして危険でない場所に移住するという制度です。特に高齢者の場合、生きている内に借金を返せるかどうかという問題もあり、支援が基本的には利子だけにしかない、という制度ではほとんど使えないという結果になっています。

 

さらに、「長く住み続けてきた家からいまさら離れることは心理的にも難しい。万一の場合には、住み慣れた今の家で最期を迎える覚悟で住み続ける」とハッキリおっしゃった方もいました。

 

この補助金の利用者数等、具体的な数字を持ち合わせていませんし、担当部署に問い合わせるなどということは、一番忙しく重要な仕事をしている方々に、今の時期とてもお願いできることではありません。国土交通省の統計で、この法律・制度だけではなく、国が直接整備をした箇所も含めて、急傾斜地で危険な個所数とその中で整備が行われた箇所の割合を見ることで、全体的な傾向を推測してみましょう。

 

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ここで重要なのは、H9年、つまり1997年の広島の豪雨災害前、ということは土砂災害防止法施行以前と、H14年、つまり2002年、施行後2年経ってからの比較です。

 

1997年には、整備箇所は危険箇所の19.8%だったのですが、2002年には18.1%と比率で言えば整備がある意味では後退していることを示しています。新たな開発地などが増えたことと、土砂災害防止法に依って詳細な調査が進み、危険箇所は31%増えたことが大きいのかもしれませんが、それだけ危険なところに市民が住んでいる実態が分った訳ですから、政府としては、この時点で抜本的な土砂災害対策に乗り出すべきだったのではないでしょうか。

 

残念ながら、「抜本的な」見直しは行われず、予算措置も一向に進まず、不必要な軍事費や海外への大盤振る舞いだけは増え、市民生活を危険から解放するという、ごく当り前の、つまり「普通」の施策には至らなかった結果は前回お伝えした通りですし、また新たな情報をコメントとしても頂きました。

 

さて、どうすれば良いのか、答が自衛隊の改組であることは既にお知らせしていますが、こんなに素晴らしいアイデアを考え付いたのは、当然私が初めてではありません。これまでの提案も復習しながら考えて見たいと思います。

 

[2018/7/15 イライザ]

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コメント

 土砂災害危険区域に該当する地域の高齢者の場合は、老人ホームなど介護サービスを利用できるほどの介護度は無い、さりとて、日常生活に不便を感じておられる場合は多いと思います。マイホームの移転よりも、県や市で、安全な場所(なおかつ生活にそこそこ便利)の空き家を賃貸住宅で斡旋するのが良いかと思います。住宅セーフティネット法もできてはいるが、現実には、民間は高齢者に貸さない。となると、安全な場所の空き家を借り上げて公営住宅にする方式が落としどころだと思います。街頭演説等でもわたしは時々指摘しているのですが、さらに踏み込めば、日本の賃貸住宅政策の貧困(と裏腹の過剰なマイホーム主義)もこの問題の根本にあると思います。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。

御指摘のように、「マスホーム主義」に疑問を持たず、苦労して一戸建ての「我が家」を建てたのに、災害のために賃貸に移る、とスイッチを切り替えられる人は少数でしょう。

でも、その選択肢もあるのだという事実はきちんと提示し続ける必要があると思います。

すべての災害から、身だけでなく住居も守るのは無理があると思います。
たとえ、法に従って改築等をしても万全になるという保証はありえないでしょうね。
まずは、命を守る、そして災害によって被災したら、生活をもとに戻すために個人として必要となるお金がどれくらい少なくできるかが需要だと思います。
災害の危険地域に住宅を建設するときには、融資する方にもリスクを課せるべきですね。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

土砂災害救助法の目的はあくまでも人命救助です。助からないところに住む危険を減少する上で、住居の移転というラディカルな代替案を提示してまで、危険度を晒せるという側面もあります。そして、「setohiro」さんが指摘してくれたように、マイホーム主義をある意味変えられない、という制限の元に少しでも、事態を改善するのが目的です。

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