文化・芸術

2018年3月 7日 (水)

広島の音楽危機  ――良く考えると教育そのものの危機では?――


広島の音楽危機

――良く考えると教育そのものの危機では?――

 

ベンジャミン・フリス氏のリサイタル会場で音楽に関心のある人達の間で話題になったことの一つは、広島の音楽教育が危機的状況にあるのではないかということでした。

 

初めて広島に定住することになって驚きとともに発見したこと、かつ嬉しく思ったのは広島が音楽の盛んな街であるということでした。コンサートに出掛けたときにプログラムと共に手渡される公演のチラシの数は東京と同じくらいの枚数がありましたし、もちろん、広響の存在そのものが大きかったのですが、それ以上に広島の「本気」度が伝わってきたのは、音楽高校があり、音楽大学まであるという事実でした。

 

しかし、音高として親しまれてきた広島音楽高等学校は昨年休校するに至りました。また、伝統のあるエリザベト音楽大学もより幅広い分野での人材育成のための教育課程を創設するなど、音楽大学としての存在意義を踏まえた展開をして頑張ってはいるのですが、でも、ピアノとか声楽といった「専科」を専攻する人数は減っているとのことです。音楽以外の分野まで視野に入れれば、京大で哲学科がなくなり、数学科が数理科学科になってしまうことと同根なのかもしませんが、次の世代に活躍する音楽家を広島で養成し続けることは難しくなってしまっているのでしょうか。

 

             

Photo

               

エリザベト音楽大学のホームページから

 

確かに、部活としての吹奏楽やマーチング・バンド、そして合唱などの分野では頑張っている中高校、そして大学も多いのですが、正面から「専攻」するという形での若い世代の教育にもっと地域や国として力を入れることも大切なのではないでしょうか。その形を追求したいと考えている若者も多いはずなのですが、ネックの一つは就職です。

 

例えば、音楽大学を卒業しても、小・中・高の音楽の先生は余っていて、教師としての可能性は狭き門のようです。エリザベト音大でも、学生に幼稚園教諭の資格を取るためのコースを作りモンテッソーリ教育に力を入れたりと可能性を広げる努力はしています。さらに楽器店や一般企業への就職も広がっているようです。しかし、音楽専攻の強みが100パーセント生かされる選択肢をもっと増やす知恵をどなたかお持ちではないでしょうか。

 

この点を理解して頂くために、スポーツの世界と比べてみたいと思います。スポーツ専攻を正面に掲げた大学は日本体育大学くらいかもしれませんし、高校レベルでは部活が中心になっているのは、音楽と似たような状況なのかもしれません。しかし、大学のレベルでスポーツの専攻を選ばなくても、スポーツ関係の多くの部活が大学の存在の中でも重んじられています。そして卒業後は、スポーツとは全く関係のない職種の企業が、例えばヤマダ電機や天満屋などがすぐ頭に浮びますが、駅伝に出場できる程の層の厚い選手たちを雇用しスポーツ活動の支援をしています。

 

それ以上、あるいは同等の同じレベルの支援を音楽家にも、とまで言う積りはありませんが、企業も国も自治体も、そしてマスコミも、もう少しバランスの取れた支援策を採用したり推進したりはできないものでしょうか。

 

圧倒的多数の子どもたちがスポーツ選手を目指し、スポーツの面で芽の出ない若者たちはお笑い芸人を目指すような国にしてしまって良いとはとても思えないのですが―――。

 

さらに、もう少し幅広く考えて見ると、これは教育全てに関わる問題なのだということも分ります。それについては稿を改めて考えたいと思います。

 

[2018/2/17イライザ]

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コメント

バークレイ音楽院ではジャズもおしえているそうですが、
エリザベート音大では、ジャズだけでなく、ポップス、民謡、演歌も教えたらどうでしょうか。
漫画を教える大学もできてる時代です。
およそ音楽と名のつくものはなんでも教えたらいいと思いますし、
その発表会を8.6、8.9に開催したらどうでしょうか。

冬季オリンピックの種目も、
かって20種目くらいだったのが、
今では100種目を超えています。
おかげで選手層も極めて多様化しています。

「オンガク」様

コメント有り難う御座いました。

そうですね。多様化はエネルギーを得るための出発点ですから。

ボストンで羨ましいのは、バークリーはジャズに強く、New England Conservatory of Music はクラシックと、棲み分けができるほど層が厚いということかもしれません。その上、ハーバードやタフツ、MIT等の大学でも音楽で学士号が取れるような専攻科目が揃っていることです。

音楽大学だけの多様化ではなく、全ての大学での多様化が自然なのかもしれません。

音楽もそうですが、美術も同じような状況だと聞きます。
先日も東京芸大の受験者が減っていると聞いたばかりです。
東京芸大がそうなのだから、他の大学はもっと深刻でしょうね。
数年間をただただ芸術のために費やす…そんな余裕のようなものが
この国からなくなっていくような気がします。

「nancy」様

コメント有り難う御座いました。

美術でも同じことか起きているのは想像が付きます。予算がなくなるとまず切られるのは音楽や美術そして外国語、というのは世界共通の現象のようだからです。

一方、巨額の投資が行われているAIの分野では、将棋や碁のマスターを破るソフトが創られるのと同時に、藤井聡太6段のような俊才が現れています。

音楽や芸術の世界でも、バッハよりバッハ的な作曲をするAIソフトや、ミケランジェロよりうまくミケランジェロを描けるソフトなどについての報道はありますが、そうした存在を凌駕するような人間のしかも若き音楽家や美術家が躍り出て来ないように思えるのは何故なのでしょうか。

私が無知なだけかもしれませんので、どなたか御教示下さい。

ジャズ、ポップス、演歌等の新しいジャンルの音楽学部をつくるにあたっては、
スポンサーにシダックス、第一興商、ヤマハ、パナソニック、ヤマダ電機、RCC等にお願いし、
校舎には、今までの広島音楽高等学校の敷地、建物を活用するということも考えられますね。
「音楽で世界を平和に」というテーマのもと、
イライザさん、上村さんが呼びかけ人になって、狼煙をあげれば、
賛同者は世界中にひろがるのではないでしょうか。

憚りながら…
日本の大学の芸術教育が出発点が間違っているし、現在の多様性にまったく合っていないと私は思っています。そしてクラシックをなぞるだけでしたら、AIにすぐに凌駕されるでしょう。
そもそも芸術には優劣がないと思いますし、
真の芸術家の思考は未来から現在を見るという視点ですから
変化に寛容ですし、逆に今まで人間には不可能だったことをテクノロジーで補いながら、進化させていると思います。例えば本日私が紹介したBrad MehldauのAFTER BACHなど面白いちょっとした"事件"だと思います。路上アーティストのバンクシーなど、アナログで犯罪的でありながら、現代のネット社会で爆速で広がったことを思えば、面白い"事件"はこれからもどんどん出てくると思います。
一言でいうなら、日本の芸術に向き合う姿勢はあまりにもお上品でエリート的だからダメなんですよね。

「オンガク」様

コメント有り難う御座いました。

スポーツの世界では、誰かが呼び掛ける前に多くの企業が自発的に動いていますね。芸術の世界でも、そんな動きがもっと活発になっても良いと思うのですが。

「nancy」様

コメント有り難う御座いました。

「事件」として芸術を捉える感覚が凄いですね。ヨーコ・オノ的と言っても良いのでしょうか。それと重ねると、「芸術は爆発だ」といった岡本太郎の言葉の意味が、何となく分ってきたような気がします。「人生、即、芸術」も。

2018年2月25日 (日)

ベンジャミン・フリス・ピアノ・リサイタル  ――小規模リサイタルの魅力を満喫――


ベンジャミン・フリス・ピアノ・リサイタル

――小規模リサイタルの魅力を満喫――

 

音響の優れた大ホールで聴くオーケストラやオペラ、合唱や吹奏楽の魅力については言うまでもないのですが、小規模のアンサンブルや室内楽、こじんまりした会場での音の近さの魅力には独特の迫力があります。

 

今回、目の前で演奏を堪能する機会のあったベンジャミン・フリスさんのビアノ・リサイタルもその一つでした。


 

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6年前のイェルク・デムス先生のリサイタルでは、結果的には、最後に駆け付けてくれた萩原麻未さんのジョイント・リサイタルを聴いたことにもなったのですが、その時の感激を懐かしく思い出しながらの愉悦の一時になりました。

 

デムス・萩原ジョイント・リサイタルは、ピアノは一台でピアニストが二人だったのですが、今回は一人のピアニストが二台のピアノを弾くという趣向でした。一台は「明子さんのピアノ」と呼ばれる被爆ピアノで、もう一台は以前デムス先生が所有していたベヒシュタインです。

 

「明子さんのピアノ」は、1926年にアメリカのBaldwin社で作られたもので、ロスアンゼルス生まれの河本明子さんと同じ年。1933年に広島に帰ってきた河本家の皆さんと共に広島に。明子さんは良くショパンを弾いていたそうですが、194586日に被爆、翌日19歳の若さで亡くなられました。ビアノも、ガラスの破片が突き刺さるなど大きな傷を負いましたが、2005年、河本さんの御両親からこのピアノを譲り受けたHOPEプロジェクトの二口(ふたくち)先生と調律師坂井原浩氏の献身的な修復作業により復活し、その後、平和を奏でるピアノとして活躍しています。

 

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明子さんのピアノとフリスさん二口さん、そして、主催者の渡辺さん

 

M.C.S YOUNG ARTISTS主催、坂井原ピアノ調律事務所で開かれたリサイタルでは、前半、フリス氏がこのビアノで、スカルラッティ、フィールド、ショパンを弾いてくれました。その時点で吃驚したことがいくつかあったのですが、その一つは、このピアノでこんなに凄い音が出るのだという驚きです。Baldwinのアップライトはアメリカでも良くお目にかかりましたが、これほどのダイナミックさと繊細さとを聴けるとは思ってもいませんでした。フリスさんそして坂井原さんに脱帽です。

 

ジョン・フィールドを聴いたのは初めてでしたが、アイルランド出身でノクターンの創始者的な存在であるフィールドももっと聴いてみたいと思いましたし、ショパンと併せて聞くことで、ポーランドとアイルランドの対比をしたくなったり、私に作曲の才能があれば、ジャポネーゼのような雰囲気を出せたのかもしれないなどと妄想を膨らますことになり、より豊かなショパン鑑賞ができたような気がしています。

 

後半は、ベヒシュタインの力を存分に使いこなしてのプゾーニの『カルメン幻想曲』とベートーベンのソナタ「田園」でした。プゾーニの『カルメン幻想曲』も初めてでしたが、カルメンに羽根を付けて躍らせたら、ということはチョッピリ、コミカルな味も加えてピアノで演奏したらこうなる、という感覚で楽しめましたし、ベートーベンは文句なく陶酔の境地でした。

 

演奏後にフリスさん自身の言葉で、若い頃はベヒシュタインを弾いていたとの紹介がありましたが、それは、御両親がナイトクラブに置いてあったものを買ってくれたものだったというエピソードも披露してくれました。ベヒシュタインの素晴らしさは、音の多様性にあること、オーケストラの楽器が全て奏でられるほどの豊かさを持った楽器だという点を強調されていたことも印象的でした。

 

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 自分で弾いてその素晴らしさを味わえないのが残念ですが、「このベヒシュタインに出会えたことだけでラッキーだよ」と慰めてくれました。確かに、デムス先生所縁の一台には、家人もそうですが、多くの人に弾いて貰うことでまだまだ活躍して貰わなくてはなりません。

 

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そして、もう一つ、私は整理の付かないほど多くのLPCDを持っていますが、ピアノ演奏のものはほとんどありません。特にCDで聞くピアノの音には大きな違和感があるのですが、その理由を改めて確認できました。ピアノは生で聴くべきなのです。仮にCDを聴くにしろ、先ずは生演奏の記憶があって、その記憶を脳内で再現するための助けとして使うのがCDの役割なのではないでしょうか。

 

となると、もっと身近に室内楽そしてビアノの演奏が聴ける場を探さなくてはなりません。かくして、またもう一つ、手掛けなくてはならないプロジェクトの誕生です。

 

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ハイファイと呼ばれるオーディオシステムに凝り、自宅に専用のリスニングルームまで作っていた知人が最後に辿り着いたのが、「音楽を聴くものではない」と馬鹿にしていたラジカセでした。それはヨーロッパなどにも頻繁に行って「生の音が頭に蓄積された結果だ」と言っていたことを思い出しました。

映像もハイビジョンから4Kに移り、更に8K時代も目前ですが、風景などは、どんなに精緻な映像でも、実際に自分の目で見た記憶の量によって感じるものが随分違うということを、特に最近になって思うようになりました。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

人間が実人生で経験することの大切さを改めて噛み締めています。音の世界、色の世界もそうですが、言葉の世界もあり、さらには心の世界まで広げて考える必要もありそうですね。

それが原因で、高校生の時に写真を撮るのを止めたことがあります。今でもそれは、正しい判断だったと思っています。

2018年2月 1日 (木)

2018新年互礼交流会 ――弾いて、歌って、踊って、唸って楽しく♪―


2018新年互礼交流会

――弾いて、歌って、踊って、唸って楽しく♪―

 

今年も、ひろしま音楽芸能文化懇話会主催の新年互礼交流会が、アークホテル広島南駅前で、開かれました。この会を主宰する上村和博さんは、このブログでも何回か取り上げさせて頂いています。昨年は、2017新年互礼会開催時に、そしてその前には、二葉あきこ歌碑建立一周年記念イベントの際にも登場して頂きました。

 

             

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上村さん挨拶

 

二葉あきこさんは、多くの方も御存知だと思いますが、広島の生んだ歌謡界の大スターです。上村さんは二葉さんの歌碑建立のためにリーダーとして活躍されましたが、それだけではなく、音楽や芸能の分野を中心に、多くの方々の活躍の場を拓き若手を育成するという、縁の下の力持ち的な役割を長く務めて来られました。

 

今年も120人以上の参加者が、一日たっぷりと音曲の世界を展開してくれて、楽しい一時を過すことができました。そして、今まで私の胸の中で何となく「未解決問題」の中に振り分けていたことに、「なるほど」と納得できる答が見付かりました。

 

そのためにも、まずは今年の会のメイン・ゲスト浪曲師の真山隼人さんの紹介が必要です。隼人さんは、真山一郎の孫弟子です。真山一郎の名前を憶えている方もだんだん少なくなってきていますが、浪曲師としてまた「演歌浪曲」とも呼ばれたジャンルを立ち上げ一派を率いたことで有名です。従来の浪曲は、曲師として三味線の伴奏で語るのが定番だったのですが、真山はオーケストラ伴奏のみで浪曲を語ったのです。

 

隼人さんの演目は『刃傷松の廊下』でしたが、浪曲としてもまた歌としても真山一郎の十八番の一つです。「刃傷松の廊下」は、映画にもなっていますので、ストーリーは皆さん御存知だと思います。浪曲ですから当然映像はありません。また伴奏は三味線を復活させ、沢村さくらさんが担当、真山流の『刃傷松の廊下』ではありますが、真山隼人さんの若さも十分に生かされ、聞き応えのある「古典芸能」の一場を作ってくれました。

 

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真山隼人さんと沢村さくらさん

 

映画や舞台でも必ず使われる、一夜での畳替えや大紋立烏帽子に着換えるシーンなど、浪曲や講談を通して伝わる迫力にも改めて気付かせてくれました。

 

その真山隼人紹介の弁が最初にあったのですが、その中で上村さんについての「未解決問題」が解決したのです。実は、上村さんはとても歌の上手い方です。最近はあまり歌われませんが、以前、何曲か聞かせて貰った時には、プロかと思うくらい別格の歌唱力でした。とにかく強烈な印象が残っています。「何故こんなに上手いのか?」というのが当時からの疑問だったのです。この日に上村さんが披露してくれたのは、彼が実は真山一郎の弟子だったこと、そして芸名が「真山二郎」だったことです。プロかと思ったのは失礼な話で、プロだったのです。

 

しかし、ジャーナリストとしての道を捨てることはなかった上村さんの人生を、出来れば若い人も交えて一度ゆっくりと聞かせて頂きたいと思いました。私たちの糧になることは間違いないはずです。

 

 

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お忙しいところ寒い中お越し下さり、心温まる激励のご挨拶、素晴らしい歌声を届けて頂きありがとうございました!歌がお上手になられたですねと好評でした。

コメント有り難う御座いました。

いつも、とても楽しい会になるのは、やはり上村さん、いや、真山二郎さんのお人柄そして実力故です。弟子入りするのにはどうすれば良いのでしょうか。

2018年1月 2日 (火)

『開運!なんでも鑑定団』に出品の掛け軸 ――お正月には欠かせません――


『開運!なんでも鑑定団』に出品の掛け軸

――お正月には欠かせません―

 

お正月の親戚の集まりの際、家人の実家T家の床の間には必ず元浅野藩主浅野長勲の書が掛けられます。実は、この掛け軸はずいぶん前に『開運!なんでも鑑定団』で鑑定して貰ったことのある由緒ある一品です。

 

               

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当時、仕事の関係でこの番組への出演を打診され、妻の実家からこの掛け軸を借りることになりました。そして、東京の事務所まで鑑定のために来てくれたのが、鑑定士として大人気の安河内眞美さんと、今や『笑点』の司会者として大活躍している春風亭昇太さんでした。今にして思うと色紙でも書いて貰えば良かったのですが、そこまで頭が回りませんでした。鑑定結果は最後にして、とても助かったのは、この軸の読み方が分ったことです。

 

「礼をもって己を処し、恕をもって物を持す」だったと思うのですが、きちんとメモを取っておかなかったので、うろ覚えです。「礼」とは、法とか、規則、物事の理(ことわり)等の意味だそうですし、「恕」とは思いやりや情を意味しますので、自分の身の処し方、そしてその他の存在や社会との付き合い方として、「情理を尽す」必要性を説いているのではないかと考えています。正確な意味を御存知の方がいらっしゃれば、是非御教示下さい。

 

そして署名は「源長勲」です。「源」が本姓、「浅野」が苗字、「長勲」が名という説明がありました。

 

この掛け軸は廃藩置県の際に藩主長勲公から数代前のT家の当主に下賜されたものですので、これが本物であることは分っていました。ただし、『開運!なんでも鑑定団』では掛け軸で高額の値が付くものは余りありませんでしたし、全国的に超有名な人の書でもありませんので、相談の上、「一万円」と「本人評価額」を決めたのですが、結果は、「本物」そして「三万円」でした。長勲の書が多いことと、政治家の書はそれほど高くは評価されないという理由だったのですが、保存状態が良かったことは評価されました。。

 

評価額はともかく、私たちにとってはお正月になくてはならない伝統ですので、これからも大切に、この書を鑑賞して行きたいと思っています。

 

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2017年12月26日 (火)

大人のためのクリスマス会 ――多彩なプログラムでした――


大人のためのクリスマス会

――多彩なプログラムでした――

 

道草懇話会とLC生涯学習教養講座主催の「大人のためのクリスマス会」がANAクラウンプラザホテル広島で開かれました。

 

まずは日本福音ルーテル大江教会の立野泰博牧師によるクリスマス礼拝から始まりました。讃美歌も交えて、クリスマスの意味を聖書の言葉を中心に、讃美歌も交えての祈りの一時でした。

 

                 

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改めて心打たれたのは、アッシジの聖フランシスコによる「平和の祈り」です。

 

主よ、私たちを平和の使者として送り出し、

憎しみのあるところに愛を、

争いのあるところに赦しを

分裂のあるところに一致を

疑いのあるところに信仰を

絶望のあるところに希望を

闇のあるところに光を

哀しみのあるところに喜びを伝える者にして下さい。

私は、慰められることよりは慰めることを

理解されることよりは理解することを

愛されることよりは愛することを求めます。

それは赦すが故に赦され、死するが故に永遠のいのちに生きるからです。

 

その後、石原有希子さんとジュニアマリンバアンサンブルのメンバーによる、「くるみ割り人形メドレー」とクリスマスに因んだ曲、最後にはコーヒー・ルンバの演奏がありました。もう長い間、演奏を聴いてきたマリンバアンサンブルですが、そのメンバーの一人である石原さんがこんなに成長していることを目の当たりにして、感慨一入でした。

 

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そして、恒例になったジャズシンガー木本いず美さんの歌で締め括られました。スタンダードな「Over the Rainbow」や「Tea for Two」の他に圧巻だったのは、「越天楽」そして「美しい青い地球(ほし)」でしたが、最後に「きよしこの夜」を合唱しました。

 

 

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1225日は、やはり美しい言葉と音楽に触れるのが一番です。

 

おっと、美味しいランチも忘れてはいけません。

 

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2017年11月28日 (火)

続々閉店するカラオケ店 ――「ゆったりランチ」が楽しみだったのですが――


続々閉店するカラオケ店

――「ゆったりランチ」が楽しみだったのですが――

             

Photo

             

「絶滅種」になってしまうのか心配な「シダックス」。

これは本通りクラブ。

(グーグルマップ)

 

唯一の趣味とも言えるカラオケなのですが、その趣味を続けられるのかどうか心配しています。これまで足繁く通っていたシダックスの店舗が次々と閉店になっているからです。

 

最初に閉ったのは、シダックス流川クラブでした。それまでウォーキングの目的地として重宝していました。実は、長い間、朝起きてすぐウォーキングをしていたのですが、勤めが変って、朝早くから東広島での講義をしなくてはならなくなりました。朝のウォーキングをするためにはとんでもない時間に起きなくてはなりません。でも昼過ぎの時間はありますので、その時間帯を生かそうと考えていた時に、シダックスに「ゆったりランチ」というプログラムのあることを知りました。

 

午後の一時間、部屋代とメニューのランチと合わせて580円というサービスです。ランチだけでも580円なら安いものですし、カラオケの練習もできるのですから使わない手はありません。しかも、当時住んでいた場所からは歩いて片道30分です。ウォーキングの代りにもなるのですから一石三鳥です。ゆったりランチの時間帯に流川クラブに通うこと約二年、スタッフの皆さんとも仲良くなったのですが、ある日突然、「閉店」ということになりました。

 

その後は近くの本通りクラブにも通っていましたが、田舎に引っ越すことになりました。一番近くのカラオケ店はシダックスの五日市クラブ。ここでも「ゆったりランチ」のサービスがありました。ただし、田舎から出てきますので、片道車で30分掛ります。とは言え、買い物もありますので、スーパーや酒屋、薬屋等々と合わせると、少なくともガソリン代の節約にはなります。

 

でも、料金は580円から620円に値上げされ、それも仕方ないと諦めて通っていたのですが、今年の831日をもって閉店になりました。流石にショックでした。仕方なく、自宅に、精密な採点機能のあるカラオケシステムを導入できないか検討中です。

 

それには、もう一つの目的が関係しています。一人で歌う時のインセンティブは、カラオケ機の採点機能を使って、少しでも上手くなるための努力をすることです。それも、例えば「95点を出す」という目標を決めて頑張ることなのですが、最新の機械のあるカラオケボックス店が近くになくなってしまい、このままだと当分、お預けになってしまいそうだからです。

 

 

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コメント

業界でダントツトップであったシダックスの大量閉店ですが、カラオケ業界は微増が続いているので業界再編成のようにも思え、「絶滅」ではなく「進化」になるのかも知れません。

ところで町内会の忘年会も例年は設備にある古いカラオケマシンではなく最新機種を業者からレンタルしていましたが、今年はスマホで「DAM」のアプリか、Wiiで「JOYSOUND」のどちらかを使うことを検討しています。

また知人は「Sing!」というカラオケのSNSのようなアプリで、世界中の人とデュエットを楽しんでいます。
https://www.smule.com/songs

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。以前「DAM」のアプリを使ってみたのですが、曲名の入力に時間が掛って、諦めました。せめて、50音が一つの表になって出てくると助かるのですが--。

Singはダウンロードしましたので、使ってみます。有難う御座いました。

町内会で使うカラオケについては、いくつか試してみてもらっていますが、DAMもJOYSOUNDもスマホなら音声入力できるので、カラオケ店のリモコンより使い易いと言われています。スマホのアプリはアップデートが頻繁にありますから、以前のバージョンとは違うかも知れません。

ちなみに、JOYSOUNDはスマホからのテレビ出力に制限がかけてあったため、DAMが候補になっていますが、個人利用ならJOYSOUNDのアプリだけでも何種類ものアプリがあり、選ぶのも大変そうでした。

「工場長」様

再度のコメント有り難う御座いました。

DAMを使って、出力はテレビ画面と独立のスピーカーという組み合わせで使えるのでしょうか。リモコンはスマホで、しかも音声入力も使えるということだと便利ですね。

DAMの現在のバージョンでは、テレビ画面はミラーリングになるので、演奏中にスマホをリモコンとして使って予約をすることはできませんし、曲が始まる前の再生準備画面が長いのが不評でした。

JOYSOUNDもミラーリングになるのは同じですが、再生は早かったものの、スマホ版は録画を防ぐために外部出力を禁止しているので、テレビに出せるWii版が候補になっています。

他に、SmartKaraoke(スマカラ)というアプリでは、スマホをリモコンのように使え、テレビ画面で演奏しながら、スマホの方で予約操作などが可能でした。

ただ、スマホのアプリはいずれもバージョンアップが頻繁に行わるので、それぞれにまだまだ変わっていくようにも思いますし、他にもありますので、色々試されると良いと思います。

また、私がみた Sing! では、若い女性はiPhone付属のマイク付きイヤホンで歌っている人が多く、男性はスマホに繋がるマイクで歌っている人が多いように思いました。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。スマホを使ってのカラオケについても詳細な情報を有難う御座いました。カラオケボックスには良く行くのですが、その知識を元にネットでのカラオケを楽しもうとしていたので、奥の深さに驚いています。

もう少し勉強して、歌っている画像をアップしたいと思います。

2017年11月13日 (月)

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 ――第142回定期演奏会に「ブラボー」――


慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団

――第142回定期演奏会に「ブラボー」――

 

1111日東京芸術劇場で開かれた、通称ワグネルの第142回定期演奏会を堪能してきました。昨年とは違った魅力を見付けたり、一人一人の団員の一生といった視点から演奏を聴けたことなど、自己流ではあってもワグネルを通しての合唱と音楽への理解がチョッピリ膨らんだような気がしています。

 

                 

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コンサート開始前の大ホール

 

まず、プログラムですが、前半は日本の詩人3人の詞に合唱のための曲が付けられた形の作品でした。これで、3つのステージ。そして後半、最後のステージはオーケストラと共にワーグナーの『タンホイザー』からの抜粋です。

 

 

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会場で渡されたプログラムには、ステージ毎に、団員の手になる分り易いかつ専門的な解説が掲載されています。ということは曲、詞、そして演奏についての立体的なイントロだということですので、実はそれをお読み頂きたいのですが、少しでも雰囲気をお伝えするために、私にとって印象に残った曲二つ三つを取り上げたいと思います。

 

1ステージの高野喜久雄作詞、高田三郎作曲の『ひたすらな道』の歌詞は、とても幾何学的な雰囲気を持っていると思ったのですが、高野が数学教諭でもあることを知って納得が行きました。例えば、I.「姫」ですが、「池」という入り口を通して、こちら側とあちら側との間とに通路があり、その通路は無限の彼方でつながっているというイメージで考えると、池に投げ込んだ石が私の中に没する比喩も分るような気がします。そして、曲にもそんな幾何学的なフレーズがあるように聞こえたのですが、どうでしょうか。常任指揮者の佐藤正浩、ピアノ伴奏の前田勝則、ヴォイス・トレーナーの小貫岩夫の日頃からの指導力を最初から実感することができました。

 

2ステージの『吹雪の街を』の最後の曲、VI. 『吹雪の街を』は、男声合唱の美しさと優しさ、切なさが「歩いて来たよ 吹雪の街を。」というレフレーンを軸として胸に響いてくる曲ですし詞なのですが、平田亮学生指揮者が、旭川の出身ではなく、例えば沖縄やハワイの出身だったらこんな風には聞こえなかったのではないかと、思わず考えてしまいました。それほど冬と雪、吹雪と19歳の乙女とが一体になった曲に仕上がっていました。

 

3ステージ、『Enfance finie~過ぎ去りし少年時代』は、私の好きな詩人三好達治の詩に木下牧子が男声合唱曲の組曲として作曲したものですが、ここでもしっかり伝わってきたのは客演指揮者・清水敬一の技量でありパッションでした。それは、三好が振り返る過去が、今ここにいる若き団員たちの過去、そしてこれからの未来にいくばくかの時を過した後に振り返る過去をも重ねつつ、人の生きる道程を音として聞かせたくれたからなのではないでしょうか。

 

そして第4ステージのタンホイザーは文句なく楽しませて貰いました。ソプラノの小川里美、バリトンの谷口伸の素晴らしさは言うまでもないのですが、オーケストラがワグネル・ソサィエティー・OBオーケストラ、賛助出演が慶應義塾ワグネル・ソサィエティー・OB合唱団と慶應義塾志木高等学校ワグネル・ソサィエティー男声合唱団という豪華編成で、常任指揮者の佐藤正浩の下、現役のワグネリアンたちの日頃の練習の成果が遺憾なく発揮されました。

 

現役の合唱団が約70名であるのに、OB合唱団の参加者は200人にもなり、また高校生も交じっての、老・壮・青の多世代の合唱には感動するばかりでした。

 

最近は子どもたちの部活を中心に吹奏楽を聴くことが多かったのですが、改めて合唱の意味も、世代を超えての多層性を目の前にして、新たな視点が加わりました。それは、私が「歌詞」と「曲」の2項対立では、「歌詞」派であること、そして今回の演奏会の「歌詞」にこれまで以上の親近感を持ったこととも関係があります。さらに昨年の演奏会では、多言語を跨いでの歌詞を記憶して暗譜した上での演奏だったことも思い起こしながらの感慨でもあります。

 

自分の子どもが団員だからなのですが、「ワグネルの団員たちは何て幸せなのだろうか」というつぶやきが出発点なのですが、美しい歌詞を覚え、それに付けられた心を揺さぶる曲とともに歌うことは、「歌詞」つまり「詩」の心を内面化することに他なりません。若い時代にこのような機会を与えられることで、その後の人生はどれほど豊かになるのかを考えると、その答が、背後で歌っていたOB団員たちそのものなのです。

 

こうして現在から未来へのベクトルが豊かになるのと同時に、ある時点から過去を振り返ることで、これまで辿った道の豊かさにもそれが重なり、同時に非可逆的な時の過酷さもあの世とこの世との境界の曖昧さにも思いが至るのですが、しかし、これまでの人類の来し方からの教訓は、それでも希望はあるということになるような気がします。

 

そんなことさえ考えながら帰途に就いた池袋には、少し季節を先取りした木枯しが吹いていました。

 

 

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終演後のエスカレーターから

 

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コメント

あのダークダックスもワグネルソサエティのOBですよね。
ワグネルソサエティの実力はプロれべるだといわれていますが、
それだけ練習も凄まじいのではないでしょうか。
早稲田にはグリークラブがありますが、
友人はほとんど授業に出てきませんでした。
頑張ってください。

「ゲン」様

コメント有り難う御座いました。

今回の独唱者、バリトンの谷口伸三もワグネル出身です。確かに練習は大変なようですが、大学でも部活を通して良い友達のできることは素晴らしいと思います。

2017年11月12日 (日)

関東の魅力は富士山 ――たまたま日没前と日没後の美しさを記録できました――


関東の魅力は富士山

――たまたま日没前と日没後の美しさを記録できました――

 

今回上京したのは、1111日東京芸術劇場で開かれた慶應義塾ワグネル・ソサエティー男声合唱団第142回定期演奏会のためですが、その感想は明日アップしたいと思っています。

 

今日、お届けしたいのは近くのホテルから見た日没前と日没後の富士山の画像です。赤く丸い夕日の像が撮れればと思っていたのですが、それは無理でした。日没直前はこちらです。

 

                 

20171112_8_57_43

           

 

これも美しいのですが、日没後の富士山のシルエットはそれ以上です。でも時間的にはこの姿をゆっくり楽しむ余裕のある人は少ないのかもしれません。

 

 

20171112_9_00_12

 

でも短時間ではあっても、朝夕に富士山を眺められる環境は、大袈裟に言えば人生観に影響を与えているのかもしれません。高校大学と、総武線で通学していた時に、ラッシュ時に西側の吊革が確保でき、空気がきれいで富士山が見えたときの嬉しさは、その日の初めにあるいは一日の締めくくりに新たなエネルギーになりました。

 

瀬戸内の多島美を日常的に目にしながら育った広島の皆さんとの違いは、大袈裟に言えば、東日本と西日本の違いといったことにまとめられるのかもしれません。これについては以前、「同じお題で」のお誘いに書かせて頂きました

 

そして、美しさについてのこんな思いの延長線上にワグネルのコンサートがピッタリ収まりました。若さの素晴らしさ、そして多様性の創り出す豊かさについて、咀嚼しながら過ごした一夕の報告は次回に。

 

 

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コメント

同じお題でをご紹介くださります、ありがとうございます。
また参加してください。よろしくお願いいたします。

「⑦パパ」様

コメント有り難う御座いました。

「同じお題で」にはできるだけ参加したいと思っています。いつも楽しいお題を有難う御座います。

2017年10月28日 (土)

キャノン・ハーシー展示会「未来樹」 ――彼のプロジェクトが始まりました――


キャノン・ハーシー展示会「未来樹」

――彼のプロジェクトが始まりました――

 

一月に二度にわたってお伝えした、キャノン・ハーシー氏のプロジェクトが始まりました。第一弾は彼と、藤元明氏による展示会「未来樹:Resilience」です。場所はコマチ・アート・プレースでした。

 

その展示会で私にとって一番印象深かったのが、キャノン氏による二枚のシルクスクリーンでした。

 

                 

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私には、川のように見えたのですが、真ん中の少し黒みがかっているのは、被爆樹の映像です。冬に写した写真を元にしているので、葉っぱがほとんどついていません。それが、川を中心にした広島の地図のように見えたのですが、キャノン氏がここに切り取った形の持つ意味が、その二重性にあるような気がしてきました。

 

樹も川も水の通路という性格を持っています。そして194586日には、その川は、水を求める人たちに一時の安らぎを与えました。その後私たちはその川に灯篭を浮かべ、水を求めて亡くなられた人を初め多くの被爆者の霊を慰めるのと同時に、川を見つめ、川の畔に佇みながら、核のない世界を創る決意を新たにしてきました。

 

被爆樹は、原爆にも負けずにそこに立ち続け、木陰に涼を取る私たちを慰め、大きく茂る枝と葉を見上げる私たちに新たなエネルギーを与え続けてくれました。また、地中から吸い上げた水を糧に種を生み、その種が広がることで、過去を未来につなげています。

 

三次元的存在である樹木を地面に射影した結果が地図のように見えるのは、両者に共通している「水」そして水の創る生命の力の投影であるように私には感じられました。

 

科学や数学においては、このような「多義性」のある解釈は許されません。それはそれで大切なのですが、被爆体験を元にした未来へのメッセージをもっと多くの人に伝える上で、芸術の持つ多義性も大きな力を発揮するだろうことを確信できる一時になりました。

 

 

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2017年10月27日 (金)

「高齢者 = カナリア」説 ――危機的状況に一番敏感に反応しているのかもしれません――


「高齢者 = カナリア」説

――危機的状況に一番敏感に反応しているのかもしれません――

 

今回の選挙で有り難かったことや元気を貰ったことはいくつもあるのですが、その一つが高齢者からの熱い応援でした。千葉に住んでいる中学の同級生や高校時代、一緒に留学した仲間たち、その他、多くの高齢者からの激励のメッセージの真剣さ、そしてそこに込められていた切迫感は尋常ではありませんでした。

 

私も高齢者ですので、ただ単に私の友人・知人たちが熱心に応援してくれただけではないのかという可能性もあります。でもこれまで何度も経験してきた選挙とは次元が違っていた、というのが率直な気持ちです。そして、友人・知人たちが寄せてくれたメッセージは、今回私が立候補しなくてはならないと感じた思いとピッタリ重なっていました。

 

枝野代表の言葉を借りれば、「右や左からのメッセージではなく、今の危機を回避して、前、つまり未来を確保すること、そして輝ける平和な未来を創るために、過去の知恵を生かすという決意」とまとめられるような気がします。

 

勿論、枝野・福山チームがその象徴であるように、若い世代が成長し同様のメッセージを発信してくれていることを心強く思いますし大きな期待を持っています。しかし、私たちの世代との違いは、第二次世界大戦との距離ですし、残された時間です。

 

被爆者の言葉を使えば「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」ですが、戦争の残虐さ悲惨さを次の世代には絶対にさせてはならないという強い思いは、私たちの世代が共有している基本的な価値観です。また、高齢期に達し、友人たちが幽明境を異にする経験も増えている私たちの立場は、今の内に、出来るだけ効果的に私たちのメッセージを伝えておかなくては、という「使命感」に基づいています。

 

そう考えながら思い出したのが、かつてカート・ボネガット氏や大江健三郎氏が必死に唱えていた「文学者はカナリアだ」という言葉です。昔、炭坑内での有毒ガスをできるだけ早く検知するために、微量のガスにも反応するカナリアを籠に入れて坑内に持ち込んだことを元に、芸術家の役割、小説家の役割をカナリアに準えたのです。

 

                 

Gelber_kanarienvogel

           

By 4028mdk09 (Own work) [CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], via Wikimedia Commons

 

それを今の状況に当て嵌めると、高齢者の果している役割は、炭坑内のカナリアに他なりません。「国難選挙」の結果は、小選挙区制という歪を生む装置によって与党が大勝しました。しかし、ここで諦めてしまっては全てがお終いです。安倍政権、そして彼らの目指す改憲こそ「国難」、つまり有毒ガスなのだと懸命に囀っている高齢者の声に耳を傾けることで、戦争への道を突っ走っている日本という国を、まっとうな国へ方向転換することはまだ可能だと信じています。

 

 

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