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2018年7月17日 (火)

『きみはサンダーバードを知っているか』 ――豪雨災害からの教訓 (8)――


『きみはサンダーバードを知っているか』

――豪雨災害からの教訓 (8)――

 

自衛隊を災害救助隊に進化させるというアイデアを聞いて、多くの人が思い浮べるのが、「サンダーバード」だったとしても不思議ではありません。それは、26年前、当時、広島大学で大活躍をしていた、現早稲田大学教授の水島朝穂さんが、「同志」とともに世に問うた、『きみはサンダーバードを知っているか』のお陰です。

 

Photo

 

この本は、今やこの分野における古典的な存在にまでなっていますが、その理由はハッキリしています。まず、その基本的考え方は誰にでも理解できるストレートさを持ち、しかもテレビの人気番組のコンセプトをそのまま現実世界に移植していることから、子どもたちにも親しみを持って受け入れられたからです。

 

私と同じように、そもそも「サンダーバード」とはと、聞かなくてはならない人のための解説ですが、ここでも水島先生御自身の言葉で語って頂きましょう。昨年11月、『きみはサンダーバードを知っているか』発刊25周年を迎えて、先生の「直言」というブログにアップされた一文からの引用です。

 

1964年に英国で制作された連続テレビ人形劇で、2026年の近未来を舞台に、大事故や災害から人命を救い出す国際救助隊の活躍を描いたもの。日本では1966410日(日)18時からNHK総合テレビで初放映された。私は中学1年生だったが、毎日曜、生でみていた。その後、民放でも繰り返し再放送されている。

 

サンダーバードそのものの説明は、水島ゼミ21期生の菅野仁啓さんによる簡潔な説明が、同じブログ内にありましたので、それを引用させて頂きます。

 

サンダーバードは、近未来の世界において、大金持ちのトレーシー一家が世界のどこかにある孤島、トレーシー・アイランドを拠点とした「国際救助隊」を組織し、各種のスーパーメカを使って、世界中で起きるさまざまな災害に立ち向かい、世界の人々のために身元を隠して活動するという人形劇である。CGのない時代だったが、最高級の撮影テクニックを駆使しており、半世紀が過ぎたいまみても、不思議なまでのリアリティーを感じる。彼らの使うメカは多種多様で、深海から太陽直近まで活動をするという圧倒的な性能を持ち、また独特なメカニックデザインが光るといったもので、メカ好きの私にとってはたまならなかった。何よりも「国際救助隊」の活動の目的は誰かを「倒す」ことではなく、「救う」ことなのである。この点は、それまで私がみていたテレビ番組とは決定的に違っていた。

 

このサンダーバードを現実の世界で、日本という国家のイニシャティブにより、しかも平和憲法の目指す方向の具現化として、自衛隊という組織を進化させる形で実現するというのが水島先生たちの考えでした。そこの根底のあったのは、災害救助そのもののあり方の問い直しでした。それを踏まえて、『きみはサンダーバードを知っているか』執筆の目的を水島先生は次のように述べています。

 

自衛隊の「余技」としての災害派遣ではなく、この国の災害救助組織のあり方を再考することである。

 

このような「再考」が、1990年代に行われていれば、今回の豪雨災害後の国や自治体の動きが大きく変っていたのではないでしょうか。でも今からでも遅くはありません。私も「サンダーバード」の世界について少し勉強した上で、災害救助隊についての検討を進めたいと思っています。

 

[2018/7/16 イライザ]

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コメント

あらま、水島朝穂教授のファンでありながら、
先に、サンダーバード構想に言及されていたとは😢😢
片仮名大好き日本人、どうして飛びつかぬ。

確かに豪雨災害の場面は多かったですね。
未だに国際救助隊が来てくれたらと思う自分の感覚はおかしいのかと思っていたら,あながちそうでもなさそうで安心しました(笑)

今日、「サンダーバード」ねたをボランティア活動後に行った街頭演説で早速使わせていただきました。「サンダーバード」の歌もちょっと歌いました。はっとしてこっちをご覧になる人が多数・・。

「硬い心」様

コメント有り難う御座いました。

自衛隊を評価している人の多くは、災害救助の際の自衛隊の活躍を評価しているようですので、それから「サンダーバード」に思いが発展しても良さそうに思います。

「ふぃーゆパパ」様

コメント有り難う御座いました。

日本には高度の技術があり、お金も人手も十分にある、と思い込まれてしまっているのでしょうか。

「hiroseto」様

コメント有り難う御座いました。

「サンダーバード」の歌、聞いてみたいです。

2017年5月21日 (日)

憲法51条も忘れないで下さい ――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

憲法51条も忘れないで下さい

――大西健介議員、高須克弥院長の言い分は別にして――

 

2017517日の衆議院厚生労働委員会で民進党の大西健介議員の次の発言が波紋を呼んでいます。

 

「(美容外科の)CMも陳腐なものが多いんですね。皆さんよくご存じのように、例えば『イエス○○』とクリニック名を連呼するだけのCMとか」

 

これに対して、名指しも同然に例示された高須クリニックの高須克弥院長が「まったく無関係で、僕が悪者の仲間みたいになっちゃうから、怒りますよ」と反発し(Sanspo記事)、大西議員、民進党、同党の蓮舫代表、そして国を相手取って名誉棄損の訴えを起しました。

 

双方の言い分は、HUFFPOSTが引用していますので、それをお読み頂くのが簡単だと思いますが、このニュースから私がすぐ思い出したのは、憲法51条です。


〔議員の発言表決の無答責〕

51両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 

大西議員の言い分も分りますし、事実関係についての高須院長の主張が正しければ、大西議員の発言が誤解を生みかねないという趣旨の院長の言い分も分ります。しかし、それとは別次元のもう一つ大切な点があります。それが憲法51条です。

 

この条文の大切さを理解して貰うために、アメリカの例を引きたいと思いますが、それは劇的な形で議員の良心を賭けた行動が保証される大切さを示しているからです。

 

1941年、対日戦争の開戦を認め、宣戦布告を承認する決議案に、下院議員の中でただ一人反対票を投じたのが、共和党のジャネット・ランキン議員でした。

 

Jeannette_rankin_portrait_2

                             

Rankin's portrait, by Sharon Sprung, in the House of Representatives Collection 

                 

また、2003年の対イラク戦争開戦に下院議員としてただ一人反対票を投じたのは、民主党のバーバラ・リー議員でした。リー議員には何度かお会いしたことがありますが、彼女の勇気ある行動がアメリカ市民だけではなく世界中の多くの人に感動を与え、彼女に続く多くの若者がいることもお伝えしました。

 

現在の日本の政治状況では、与党議員にこのような勇気と良識を求めること自体ナンセンスなのかもしれませんが、その一因になっているのが、「党議拘束」と呼ばれている慣行です。政党が決めた方針に背いてでも自分の良心に従って行動すると、党則によって何らかの懲戒処分を受けることを指しています。

 

政党は憲法51条の規定の中にある「院外」の存在ですから、そこで処罰を受ける謂れはないはずなのですが、アメリカの場合と違って「党議拘束」が厳しく課せられているのが日本の現状です。

 

大西議員と高須院長の見解の相違を超えた次元で、もう一度「党議拘束」と議員一人一人の良心にあり方についての議論が始まれば素晴らしいのですが------

 

 

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コメント

小選挙区も党議拘束も間接民主主義を危うくするもので、アメリカでは小選挙区を基本としながらも、司法の独立性や党議拘束がないことなどと合わせて、最後の最後は民主主義に期待できるのではないかと感じますが、報道の自由度ランキングまで下がり続ける日本では絶望すら感じることがあります。

ただ、そんな政治状況でも日本は素晴らしいものが多く、それは単に地政学的なものだけではなく、遺伝的なものだけでもなく、ここに暮らす人々の良識と誠意であり、それだけに伸び代はまだまだあり、希望もあるのだとも思います。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。おっしゃる通り、権力を握る側が劣化し制度の面でもそれに釣られての改悪が続く中、それでもまだ希望が持てるのは市民の側の良識と誠意なのだと思います

東京中心の表現になってしまいますが、「江戸っ子」という言葉が伝えたかったのは、そんな庶民の心意気なのかもしれません。

まだ生まれていない未来の世代からの声を汲み取ることで、私たちもまだまだ踏ん張りなさいという、激励の声にも聞こえます。

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