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2018年6月 2日 (土)

被爆建物「中国地方総監府」ってどこ?=なぜ広大理学部が=

被爆建物「中国地方総監府」ってどこ?=なぜ広大理学部が=

 

広島には、少なくなったとはいえ、まだまだ被爆建物が残されています。

先日、「被爆建物の案内をしてほしい」と頼まれ、このグループが私の出身県島根県の浜田市三隅の高齢者のグループだったので、安易に「いいですよ」と引き受けてしまいました。送られてきた行程表の中に「中国地方総監府」というのがありました。原爆ドーム前からスタートして日銀広島支店、広島市役所、そして次に記載されていたのが「中国地方総監府」、さらに「広島電鉄変電所」と続いていました。全部で9か所です。

「えっー、中国地方総監府ってどこだろう」すぐにピーンときません。依頼者に電話で問い合わせました。話していると「広大理学部」ということが判明しました。

「どうして広大理学部跡が中国地方総監府になるんだろう」。もちろん、広大理学部跡が、被爆建物であることは十分承知していました。というよりも「広大理学部跡」としか認識していませんでした。ですから「中国地方総監府」といわれてもすぐには思い浮かばなかったのです。

「きちんと調べておかなければ案内者としての役割が果たせない」といろいろと調べてみると、すぐにその理由が判明しました。

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    戦前の広島文理大学(現旧理学部1号館)(広島市公文書館より)

広島に原爆が投下される約2か月前の1945年6月10日に中国5県の国の出先機関や県庁を統括するために中国総監府が、3階建ての広島文理科大学の建物(その後広大理学部1号館)の2階と3階に設置されたのです。大学が自由に使用できたのは、1階部分だけだったようです。これで私の疑問は解けました。被爆時の「中国地方総監府」の被害の状況は、1973年に発行された「中国地方総監府誌原爆被災記録」によれば、「出勤時間が午前9時だったため、この場所での被害は、即死者はいなかったが、当日の死亡者が本省関係10人、県から出向の職員8人、負傷者が本省関係7人、県からの出向者17人」と記載されています。

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今日の主題は、「中国地方総監府」のことだけではありません。今回の「被爆建物の案内」をするにあたって、改めて調べなおしてみると意外なことがわかりました。

実は、国の機関が既存の施設を我が物顔で使用していたのは、広島文理科大学だけではなかったのです。現在は、原爆ドームと呼ばれる広島産業奨励館も1944年3月31日にその業務が廃止されて以降に、国の機関である「内務省中国四国土木出張所」として使用され、原爆の日を迎え、多くの犠牲者を出しています。さらに、日本銀行広島支店の3階には広島財務局が移ってきていたのです。被爆当日、1階2階で仕事をしていた日銀は、シャッターを下ろしていたため、12名中5名即死、重軽傷者7名という被害だったようですが、シャッターを開けたまま仕事をしていた3階の財務局職員は、120名中93名の犠牲を出したと記されています。

広島文理科大学の敷地には、大学の建物以外に広島高等師範学校など多くの建物があったようですが、そのほとんどは木造建築で、大学と付属国民学校のみが鉄筋コンクリートで建てられており、そこが選ばれたということです。ここで示した事例は、いずれも「堅牢な建物なら空襲でも大丈夫だろう」として、国の機関が移ってきたということです。しかし当然のことですが、いずれも原爆の被害から逃れることはできませんでした。

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       耐震化工事がすでに終わっている広島市中区役所

今、公的な建物の耐震化工事が進められていますが、聞くところによるとこれらの工事は、いずれも公的機関が優先され、最も大切にされるべき小中学生が通う校舎は後回しになっているようです。いつの時代のも変わらぬ、思想が見えてきます。

(2018.6.1 いのちとうとし)

 

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コメント

理学部I号館でも仕事していたことがあります、ほとんどII号館でしたけれど。調べないとわからなかったことですね。お調べ頂き有難うございました。勉強になりました。

「呉のかつら」さま
コメントありがとうございます。今回の被爆建物に関わる話もそうですが、被曝問題を調べているといつも新しい情報に出会います。その度に、原爆被害の大きさを実感します。

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