「大飯原発4号機の再稼働」抗議と福島原発ひろしま損害賠償請求訴訟
「大飯原発4号機の再稼働」抗議と福島原発ひろしま損害賠償請求訴訟
昨日関西電力は、3月14日に再稼働した大飯原発3号機に引き続き、4号機の再稼働を強行しました。この大飯原発4号機の再稼働に抗議、即時停止を求める座込みが、広島県原水禁の呼びかけで、平和公園・慰霊碑まで午後5時45分から30分間、31名が参加し、「抗議のアピール」を採択し終了しました。
大飯原発4号機が設置されている福井県では、すでに高浜原発の2機が稼働しており、わずか10kmしか離れていない場所に4機もが稼働するという状況になっています。こうした集中的に原発が立地する地域ですから、当然複数の原発で事故が起きることを想定した避難対策が求められることになります。ところが関西電力は、今度も住民の避難計画は置き去りのまま再稼働を強行しました。これだけでも原発の再稼働が認められないのは、当然のことではないでしょうか。
ふたたび安全神話を振りまきながら、再稼働を次々と強行することで、国民の間に「再稼働慣れ」ともいえる状況を作り出そうとしているように思えます。だからこそ、私たちも粘り強く「原発再稼働反対の意思表示を続けることが必要だ」とこの抗議の座り込み行動を続けています。
ところで再稼働した原発での事故が続いています。3月23日に再稼働した九州電力・玄海原発3号機は、わずか1週間後の30日に屋外の配管の上部からの蒸気漏れ事故が発生しています。さらに四国電力でも、5月9日の日付で「伊方発電所3号機、充てんライン圧力計元弁付近からの1次冷却漏えいについて」という事故報告がされています。たまたま定期点検中だったため、大きな事故にはなっていませんが、こんな事故があいつで発生しているのです。この事故報告を読んでちょっと笑ってしまったのは「伊方原発」とは記載されるべきが、「伊方発電所」となっていることです。もっとびっくりしたのは、玄海原発の事故に対する原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長の発言です。更田委員長は、4月4日の定例会見で、「放射性物質に接しない2次系で起きたこのトラブルについて、『安全上のインパクトに関わるような話ではない』と述べた。」と報道されています。「ちょっと待ってよ」と言いたいです。「事故をそんなに軽んじていいのですか」と。そして「じゃー伊方原発の場合は、1次系だけど、こっちはどうなの?」と問いたいです。「のど元過ぎれば」ということわざがありますが、再び安全神話への道を突き進んでいるように思えてなりません。
そうした原発推進側の姿勢は、昨日午後3時から広島地裁で行われた、福島原発事故で広島に避難してきた被災者の方が生活の保障と賠償等を求めて起こされた「福島原発ひろしま損害賠償請求訴訟」の公判でもはっきりと表れていました。昨日の公判は、被告国側による「国の責任論」に対する反論の主張でした。同種の裁判で、東京や京都などで敗訴している国の主張でしたが、相変わらずの責任回避の主張に終始し、そこには、事故を起こした責任に対する反省もないどころか、福島原発事故によって被害を受けた人たちに対する思いもひとかけらも見ることができませんでした。そこにあったのは、原発事故を風化させようとする国と電力会社の姿勢だけです。
原告団長の渡辺美和さん(左から二人目)と弁護団
公判閉廷後の報告会で原告団長の渡辺美和さんは、次のように訴えました。「今日も原告の参加が少なかったです。みんな親や兄弟の介護のために福島に帰ったり、体調を悪くしている。パートで休めない。7年経って、健康、金銭、精神的にも大変な状況になっています。原告の意見陳述書も作らなければなりませんが、『自分の夢や希望を失ったこと』を書かなければと思うのですが、でも『夢も希望もこれからも持ちたいという思い』があります。その葛藤の中で、どう書こうかと迷っています。それが実態です」と。重い言葉でした。
「フクシマを忘れてはならない」「再び原発事故を繰り返させてはならない」改めて強く感じた一日でした。
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