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2018年5月16日 (水)

5・15事件と『父と暮せば』 ――道草懇話会のテーマ――


515事件と『父と暮せば』

――道草懇話会のテーマ――

 

詩人・作家で教育者の平塩清種さんが主宰する道草懇話会が、昨515日に開かれました。気の合う仲間と昼食を共にして、折角の機会ですので、どなたかの話を聴く、あるいは演奏を楽しむという趣旨の会ですが、今回は井上ひさしさんの『父と暮せば』を天野達志さんが一人芝居として演じるプログラムがメインでした。

 

Photo

平塩清種主宰者

 

でも、私たちの世代に取って、515日は、515事件の日であり、沖縄の日本復帰の日でもあります。その日に『父と暮せば』を鑑賞するのには何か意味があるのではないかと思っていたのですが、私なりの結論を5分ほどで皆さんに披露させて頂くことになりました。

 

515事件とは、1932515日に起きた海軍の青年将校たちによる反乱事件で、「話せば分る」と説得を試みた犬養毅総理大臣が殺害されるという結果になりました。海軍刑法には反乱罪の規定もありましたので、それに従って検察側は首謀者たちに死刑を求刑しました。しかしながら、世界大恐慌の影響もあり多くの国民が貧困に喘いでいた当時、政治不信が広まっていたため、若手将校たちに共感する人々による熱心な嘆願運動が起き、判決は禁固以下の刑罰でした。

 

海軍刑法があまりにも緩く解釈された結果だと考える人も多く、その結果、政治問題を軍人が直接、武力行使によって解決することへの抵抗感が薄まりました。この風潮が226事件誘発の一因になったと論じる人たちも多くいます。

 

その226事件は、1936226日に起きました。陸軍の青年将校を中心に下士官や兵たちも巻き込んでのクーデター未遂事件です。総理大臣の岡田啓介は難を逃れることができましたが、5人が死亡しました。

 

側近の政治家が殺されたことで天皇は激怒し、この事件の裁判は、陸軍刑法の枠をはみ出して、非公開で、弁護士は付けられず、上訴もできないという異例のものになりました。当然、首謀者たちは死刑に処せられました。515事件では、陸・海軍刑法の解釈が甘い方向に揺れて文字通りの適用がされず、226事件では、厳しい方向に揺れて陸・海軍刑法を逸脱した適用が行われました。

 

こうした背景を前に、1941年には陸軍大臣東条英機が戦陣訓を示達します。その中で有名なのは「生きて虜囚の辱めを受けず」です。陸・海軍刑法では、軍人が敵に投降することを奨励してはいませんが、その可能性のあることを認めるという前提での規定が設けられています。しかるに、戦陣訓では投降を認めず、自決せよとの方針が、しかもこれは天皇の意思であるというようなニュアンスで強力に伝えられました。

 

しかも、この価値観を強制されたのは、軍人だけではなく、沖縄の多くの民間人・非戦闘員も、この言葉に縛られて、アメリカ軍に捕われないために身投げまでしたケースが多くあったことは、多くの皆さん御存知の通りです。

 

こうして、515事件と沖縄とは切っても切れない関係にあるのですが、その515日に、井上ひさしさんの『父と暮せば』を観る意味は何でしょうか。一言でまとめると、「政治は言葉だ」ということです。

 

法律は、言葉によって社会を律することを大前提にした法治主義の根幹です。公平・公正に法律を遵守することから逸れて、権力者の意向に屈したり、ポピュリズムに流されて大甘の判断をすることは許されません。増してや、政治の最高責任を託されている人々が、平気で嘘を吐き、時間の経過によってその嘘さえ忘れ去られていくことが当り前だと考えている風潮は、私たち全ての未来を危機に陥れます。

 

言葉を大切にして、今を、そして過去を通して未来を考える上で、素晴らしい仕事を残した井上ひさしさんの作品に今日触れることの意味は、そこにあります。

 

天野達志さんの一人芝居は、中村敦夫さんの『線量計が鳴る』を彷彿とさせる迫力がありましたし、会場の一同、涙なしでは聞けいほどの感動を与えてくれました。


Photo_2

 

毎日新聞の英語版The Mainichiによる、『父と暮せば』の英語訳を読んでのエッセイ・コンテスト等も含めて様々な形で、井上さんの作品がこれからも国内外で多くの人々に政治の本質、人間の生きる意味を伝え続けてくれることを期待できた一時でした。

 

[2018/5/15 イライザ]

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コメント

秋葉忠利さま
昨日は、“ひとり読み語りしばい”『父と暮せば』をご覧頂きましてありがとうございました。その上、秋葉さまのブログにもご紹介頂き、感謝の念に堪えません。今後も応援して頂けるよう精進して参ります。どうぞ宜しくお願い致します。
松風の会 天野達志
matsukazenokai.com

憲法改正反対の方にお伺いしたい

個人的には自衛隊が憲法9条2項に違反してるのは紛れも無い事実であると思っているし、自衛隊を合憲と主張する人ですら自衛隊の存在がグレーであるという事は認めている
政府は国民の生命財産を守るために明らかに違憲だと分かっていても、そして嫌でも合憲だと言い貼らなければならないのは理解するが2項の文を読んだ時に今の自衛隊が戦力に当たらないとするのは不可能であるのは誰でも理解できよう
だからこそ自衛隊の違憲を解消するために改憲するべきだと思っている
この問題に関しては違憲の自衛隊を解隊するか9条2項を改正及び削除の二者択一になると思っているわけだが…

国民に対する自衛隊のアンケートでは自衛隊は必要ないという回答は2%にも満たなかった
つまり憲法改正反対派のほぼすべての人間が9条はそのままにするべきだが自衛隊も必要だと考えている事になる
ここが分からない
9条と自衛隊のような矛盾した関係はむしろ憲法の力を弱めてしまうものであって憲法について力説している改憲反対派はこのような憲法を蔑ろにした現状を解消する為に積極的に自衛隊解隊について主張するのが筋だと思うのだが何故か憲法改正反対派の中からは自衛隊を解隊という声は聞いた事がない
これはアンケートからも見て取れるだろう
普段は憲法を守れ!と声を高らかに上げているがこと自衛隊に関しては9条に違憲の可能性が非常に高い自衛隊を放置する事を何故自ら選んでいるのかが分からない

「松風の会 天野達志」様

コメント有り難う御座いました。

感動した点はいくつもありましたが、裸足の力強さには圧倒されました。

「セビキャン」様

コメント有り難う御座いました。

整理されたコメントから、冷静な議論をしたいという気持が伝わってきて感心しています。

短いコメント欄で全ての点を網羅できないのが残念ですし、専門家の説得力ある説明もありますので、基本的な問題はそちらに任せるとして、東大の石川先生の講演の要約は、以前に紹介しています。参考にして頂ければ幸いです。

http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-85b4.html

改憲について、法治主義についてですが、5・15事件の教訓の一つは、十分に議論されていない案件について多くの人々がある方向に流されたとしても、それで法律を曲げてはならない、ということです。

また、戦陣訓からは、人類史的な世界の流れを見ずに、ある方向に捉われて法を曲げることの愚かさが浮び上ります。

また、自衛隊が必要である、あるいはその存在意義があるという意見を持っている人たちの多くは、災害救助等の面での自衛隊を評価しているのではないかと思います。自衛隊を災害救助を中心に活動する組織に改組することは、それほど問題があるようには見えませんし、9条に手を加える必要もありません。

戦争をするための軍隊、海外に出て行って武力行使をするための軍隊が必要だと言っている人たちの多くは、戦争の実態を知らないのではないかと思います。「セビキャン」さんはその中に入らないと思いますが、そんな無知を元にして戦争のできる装置の良し悪しを論じるのは論外です。

イライザ様 ご返信いただきありがとうございます

平成30年1月に行われた自衛隊・防衛に関する世論調査では「自衛隊の防衛力を増強した方が良いか?」との質問に対し[増強した方が良い]が30%、[今の程度で良い]が59%、[縮小した方が良い]が4.5%という結果でした。
つまり、この世論調査から見て取れることは憲法改正反対派のほとんどの方が「自衛隊は必要である」と考えると同時に「防衛力は現状維持が望ましい」と考えている事が見て取れます。
先のコメントで申し上げた通り今日の自衛隊を9条2項に違憲ではないとするのはあまりにも無理があり、またそれが通るのであればアメリカ軍ですら戦力には当たらないと言える日が来てもおかしくないレベルです。
本来このような状況は異常であり9条と自衛隊が同時に存在しているような矛盾している状況はどんどん憲法の空洞化、そして憲法の力を弱めていくことに他ならず、むしろ憲法について敏感である左派の人達が率先して改憲の動きを見せてもおかしくないと思っているくらいです。

イライザ様の場合は自衛隊の防衛力を縮小するべきだとお考えのようですので憲法改正反対である事に疑問は抱かないのですが、世論調査を見る限り、憲法改正反対派は何故憲法についてあれだけ敏感であるのに9条、自衛隊の問題を自ら放置しそして自ら憲法を蔑ろにしようとするのかが理解できないのです。

「セビキャン」様

コメント有り難う御座いました。

確かに、改憲反対の人たちがこのように答えているとすると、かなりの矛盾になりますね。

しかし、世論調査が誰によってどんな目的のために行われたのか、そしてこの問が全体の中でどんな位置付けになっているのかも把握した上でないと説得力のあるコメントをするのは難しいような気がします。

この問だけからの印象ですので、間違っている可能性はありますが、「自衛隊の存続を前提として」とか「自衛隊が合憲だと考えている方に伺いますが」というような、文章の後の質問のように読めてしまうのですが--。

「嘘と大ウソと統計」という言葉があるくらい、世論調査や統計は恣意的に使われてきましたので、これまでの経験上からの心配です。

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松風の会 天野達志
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憲法改正反対の方にお伺いしたい


個人的には自衛隊が憲法9条2項に違反してるのは紛れも無い事実であると思っているし、自衛隊を合憲と主張する人ですら自衛隊の存在がグレーであるという事は認めている
政府は国民の生命財産を守るために明らかに違憲だと分かっていても、そして嫌でも合憲だと言い貼らなければならないのは理解するが2項の文を読んだ時に今の自衛隊が戦力に当たらないとするのは不可能であるのは誰でも理解できよう
だからこそ自衛隊の違憲を解消するために改憲するべきだと思っている
この問題に関しては違憲の自衛隊を解隊するか9条2項を改正及び削除の二者択一になると思っているわけだが…

国民に対する自衛隊のアンケートでは自衛隊は必要ないという回答は2%にも満たなかった
つまり憲法改正反対派のほぼすべての人間が9条はそのままにするべきだが自衛隊も必要だと考えている事になる
ここが分からない
9条と自衛隊のような矛盾した関係はむしろ憲法の力を弱めてしまうものであって憲法について力説している改憲反対派はこのような憲法を蔑ろにした現状を解消する為に積極的に自衛隊解隊について主張するのが筋だと思うのだが何故か憲法改正反対派の中からは自衛隊を解隊という声は聞いた事がない
これはアンケートからも見て取れるだろう
普段は憲法を守れ!と声を高らかに上げているがこと自衛隊に関しては9条に違憲の可能性が非常に高い自衛隊を放置する事を何故自ら選んでいるのかが分からない

「松風の会 天野達志」様

コメント有り難う御座いました。

感動した点はいくつもありましたが、裸足の力強さには圧倒されました。

「セビキャン」様

コメント有り難う御座いました。

整理されたコメントから、冷静な議論をしたいという気持が伝わってきて感心しています。

短いコメント欄で全ての点を網羅できないのが残念ですし、専門家の説得力ある説明もありますので、基本的な問題はそちらに任せるとして、東大の石川先生の講演の要約は、以前に紹介しています。参考にして頂ければ幸いです。

http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-85b4.html

改憲について、法治主義についてですが、5・15事件の教訓の一つは、十分に議論されていない案件について多くの人々がある方向に流されたとしても、それで法律を曲げてはならない、ということです。

また、戦陣訓からは、人類史的な世界の流れを見ずに、ある方向に捉われて法を曲げることの愚かさが浮び上ります。

また、自衛隊が必要である、あるいはその存在意義があるという意見を持っている人たちの多くは、災害救助等の面での自衛隊を評価しているのではないかと思います。自衛隊を災害救助を中心に活動する組織に改組することは、それほど問題があるようには見えませんし、9条に手を加える必要もありません。

戦争をするための軍隊、海外に出て行って武力行使をするための軍隊が必要だと言っている人たちの多くは、戦争の実態を知らないのではないかと思います。「セビキャン」さんはその中に入らないと思いますが、そんな無知を元にして戦争のできる装置の良し悪しを論じるのは論外です。

イライザ様 ご返信いただきありがとうございます

平成30年1月に行われた自衛隊・防衛に関する世論調査では「自衛隊の防衛力を増強した方が良いか?」との質問に対し[増強した方が良い]が30%、[今の程度で良い]が59%、[縮小した方が良い]が4.5%という結果でした。
つまり、この世論調査から見て取れることは憲法改正反対派のほとんどの方が「自衛隊は必要である」と考えると同時に「防衛力は現状維持が望ましい」と考えている事が見て取れます。
先のコメントで申し上げた通り今日の自衛隊を9条2項に違憲ではないとするのはあまりにも無理があり、またそれが通るのであればアメリカ軍ですら戦力には当たらないと言える日が来てもおかしくないレベルです。
本来このような状況は異常であり9条と自衛隊が同時に存在しているような矛盾している状況はどんどん憲法の空洞化、そして憲法の力を弱めていくことに他ならず、むしろ憲法について敏感である左派の人達が率先して改憲の動きを見せてもおかしくないと思っているくらいです。

イライザ様の場合は自衛隊の防衛力を縮小するべきだとお考えのようですので憲法改正反対である事に疑問は抱かないのですが、世論調査を見る限り、憲法改正反対派は何故憲法についてあれだけ敏感であるのに9条、自衛隊の問題を自ら放置しそして自ら憲法を蔑ろにしようとするのかが理解できないのです。

「セビキャン」様

コメント有り難う御座いました。

確かに、改憲反対の人たちがこのように答えているとすると、かなりの矛盾になりますね。

しかし、世論調査が誰によってどんな目的のために行われたのか、そしてこの問が全体の中でどんな位置付けになっているのかも把握した上でないと説得力のあるコメントをするのは難しいような気がします。

この問だけからの印象ですので、間違っている可能性はありますが、「自衛隊の存続を前提として」とか「自衛隊が合憲だと考えている方に伺いますが」というような、文章の後の質問のように読めてしまうのですが--。

「嘘と大ウソと統計」という言葉があるくらい、世論調査や統計は恣意的に使われてきましたので、これまでの経験上からの心配です。

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