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2018年1月11日 (木)

気になる日本語 ――不必要な一文字、二文字――


気になる日本語

――不必要な一文字、二文字――

 

新年はやはり年賀状から始まる、と言う人が多いのではないかと思います。その最初に目にするフレーズについて、「新年あけましておめでとうございます」は誤用だという点を、池上彰・林修の両権威を引いて一年ほど前に強調しました。

 

           

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これほどの知名人がハッキリ述べていてくれるのですから、今年は正しい用法が広まっていると思いきや、「正しい挨拶の仕方、ビジネスレターの書き方を教えます」という趣旨の複数のサイトで、例文として「新年あけましておめでとうございます」を採用しています。一例を示しておきます。

 

 

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「教える」立場なのですから、せめてこの程度の誤用を避けるくらいの勉強は必要不可欠なのではないでしょうか。

 

「不必要な二文字」から始まってしまいましたが、不必要な一文字が散見されたのは、暮に頂いた喪中はがきです。その中の一例です。

 

「○○が永眠いたしました。故人生前中にひとかたならぬご厚情を頂きましたこと厚く御礼申し上げます」

 

これも良く使われていますので、慣例としては許されているのかもしれませんが、「生前中」は「生前」のことではないでしょうか。事実、辞書の定義は「その人が生きていたとき。死ぬ前。在世中。しょうぜん。」です。それに「中」を付けると「在世中中」になってしまいます。「中」が不必要な一文字です。

 

新年会や就職活動の面会等で、若い人の自己紹介に多用される表現も気になります。「若輩者ですが、宜しくお願い申し上げます。」といった種類の言葉です。「若輩者」は一時マスコミ関係者がとにかく良く使っていたという記憶があるのですが、それはともかく、「者」は不必要な一文字です。

 

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「若輩」の「輩」の意味は、「なかま。ともがら。やから。 「同輩・先輩・後輩・年輩・軽輩・俗輩・我輩(わがはい)・余輩・弱輩・朋輩(ほうばい)・末輩(まっぱい)」」で、「若輩」の意味は、「1 年が若い者。2 未熟で経験の浅いこと。また、そのさま。自分を卑下していう語。他人に用いれば軽蔑の意になる。」なのです。

 

ネット上のビジネス用の言葉の使い方では、「2」の意味を強調しているのですが、若者が使っているのは主に「1」の意味です。となると、「年が若い者」者、と重なってしまいます。

 

さらに、「先輩」という使い方は、先輩に呼び掛けるときにも使いますし、何々さんは先輩ですとか、○○君は後輩です、という感じでも使います。つまりこれらの単語は既に「人」についての言葉なのです。「我輩」も自分のことですから、それに「者」は付けません。と考えると、「者」は不必要な一文字です。

 

言葉遣いくらいに一々文句を言うな、自分の好きな言葉を使って何が悪い、という反論もあって当然ですし、誤った使い方から言葉が豊かになった例も多くあります。ですから言葉の使い方の正誤は絶対的なものではないのですが、言葉の成り立ちを知って、先人たちの、つまり先輩の培ってきた感性を受け継ぐのも私たちの役割の一つなのではないでしょうか。そして、若者たちには、私たちの受け継いだ美しい日本語を引き継いで貰えるよう、肌理細かな指導をする必要もあるのではないでしょうか。

 

 

その「肌理細か」ですが、最近は「肌理細やか」という表現が広く使われています。これは、誤用です。「や」は不必要なのです。「肌理細か」の「肌理」とは「木目」とも書くのですが、「もくめ」のこと、つまり年輪です。「木目の細かい」に対して「木目の粗い」という言葉がありますので、対で覚えておけば間違わないのですが、混同されるにはそれなりの理由があります。

 

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「肌理細か」の意味は、「配慮が行き届いており懇切丁寧な様子」なのですが、「細やか」の方は、「細部まで行き届いているさま。特に気遣い・配慮がすみずみまで届いている様子。「細やかな配慮」などのように言うことが多い。」のですから、意味が似通っていることから混同され易いのだと思われます。

 

しかし、元々の意味を考えて使い分けるくらいの「木目細か」な配慮をすることが、巡り巡って、政治の世界の目茶苦茶な言葉の乱用を抑えることにさえつながるような気がしています。

 

 

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