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2017年9月10日 (日)

フォトジャーナリスト・豊崎博光さん (2) ――拓殖大学での講義「科学・技術と社会」です――


フォトジャーナリスト・豊崎博光さん (2)

――拓殖大学での講義「科学・技術と社会」です――

 

フォトジャーナリスト・豊崎博光さんの紹介を続けます。かつて私も同じようなタイトルで講義をしたことがありますが、豊崎さんの講義のテーマは「核」です。授業計画を見て私も聴講したくなるような内容でしたが、豊崎さんからお送り頂いた授業用の資料を是非お読み頂きたいと思います。まず目的からですが、概要を見るだけで豊崎さんの熱意が伝わってきます。

 

               

Photo

             

拓殖大学正門 (同大学ホームページより)

 

講義題目――科学・技術と社会 (Science/Technology and Society)

講師豊崎博光 (TOYOSAKI  Hiromitsu)  文京キャンパスにて開講

(A) 授業の目的

世界はいま、科学技術が生みだした核兵器と原子力発電(原発)が併存する核の時代ですが、核実験や原発事故の放射能による被ばくの時代でもあります。本授業では、核兵器と原発の実像と被ばく被害の実相を深めます。

(B) 授業の到達目標

核兵器や原発の開発、被ばく被害を世界や日本の歩みの中で考えることで多角的に見る能力、議論できるカを得ることです。また、小論文を書くことで自分の意思を伝える力を養うことができるようになることです。

(C) 授業計画

 ガイダンス

授業の進め方、成績評価の方法について説明後、今日の世界と日本の核、原子力の時代、被曝被害を学ぶ問う授業の意義について解説します。

 原爆の投下と報道管制

広島、長崎への原爆投下による衝撃、原爆投下を日本や海外のメディアがどのように伝え、何が報道されなかったなどを検証し、原爆投下の実相について学びます。

 核軍拡競争のはじまり

第二次世界大戦後のアメリカとソ連(ロシア)についでイギリスも始めた核兵器開発と実験、核軍拡競争とそれによる影響について学びます。

 水爆の登場と原水爆禁止運動

原爆の1000倍以上の威力がある水爆の開発、アメリカの水爆実験によるマグロ漁船第五福竜丸などの被災事件をきっかけに始まった日本と世界の原水爆禁止運動について学びます。

 部分的核実験禁止条約の意義

米ソ英についでフランス、中国の核実験による”死の灰による地球規模の被害と、部分的核実験禁止条約成立の意義について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 ウラン採掘と核兵器製造、原子力発電

核兵器や原子炉の核燃料の製造はウラン鉱石の採掘から始まります。採掘から精錬、濃縮、核兵器や核燃料製造、核廃棄物の処理までの工程の被害や影響について学びます。

 原子力発電

原子力発電(原発)の始まりとその実像、原発が日本と世界に広がった政治的、社会的背景、そして核拡散防止条約などによる原子カの国際管理について学びます。

 原発事故の衝撃

アメリカのスリーマイル島原発、ソ連のチェルノブイリ原発と福島第一原発事故から原発事故被害とその影響の実相について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 反核・非核運動と反原発運動

米ソの中距離核ミサイル配備から始まったョーロッパの反核運動、太平洋の人々の非核運動と原発事故をきっかけに始まった反原発運動について学びます。

 被爆者からヒバクシャ

広島、長崎の原爆被爆者のほかにウラン採掘や核実験、原発の運転や事故などで生みだされる放射線被ばく者(ヒバクシャ)とそれらの入々に対する補償法について学びます。

 核が生みだす差別

核兵器開発や原発事故の被害、核廃棄物の処分などを世界の先住民族の人々に押しつけるニュークリア・レイシズムという事実、人権を無視した放射能人体実験について学びます。

 地球被ばく

核実験の死の灰や核兵器製造施設、チェルノブイリ原発や福島第一原発事故などで放出された放射能による地球規模の被害と影響について学びます。課題の小論文の提出を求めます。

 兵器廃絶の道

国際司法裁判所の核兵器違法判決、全面的核実験禁止条約の採択、非核地帯化条約の成立など眼に見える核兵器廃絶の道について検証し、核なき未来について学びます。

 核の負の遺産

核兵器の開発や実験、原発事故による被害、大最の核廃棄物の処分、放置される被ばく者など核開発の負の遺産について検証し、改めて核兵器、原発について考えます。

 まとめ

これまでの核兵器の開発と実験と製造、原発の運転と事故などとその被害の授業内容を振り返り、核・原子力ユネルギー利用の将来について討論します。

(D) 授業の方法

講義形式で進めます。各回の授業のキーワードを示して関心を持ってもらい、私が撮影した写真や取材で得た資料、新聞や雑誌の記事などをパワーポイントで見て学ぶことで各回の授業のテーマの理解を深めます。

(E) 予習・復習

授業の冒頭で、次回授業の課題と内容を提示し、参考図書や資料映像などを明示します。また、授業後はリアクションペーパーの提出を求め、リアクションペーパーの質間や疑問に答えることで理解度を深めます。

(F) 成績評価の方法

講義の内容に関して3回、課題の小論文の提出を求めます。成績評価は、小論文の内容についての評価が80パーセント、リアクションペーパーの内容評価が20パーセントです。

(G) 教科書・参考書

教科書は使用しない。授業ごとに講義内容を要約したプリントを配布し、その中で適宜、参考図書や参考文献などを紹介し、また資料映像の視聴を勧めます。

 

被爆体験と被爆者の哲学をできるだけ正確に後世に残すため、広島市では国内外の多くの大学と協力して「広島・長崎講座」の開講のお手伝いをしてきましたが、豊崎さんのコースは、そんな講座の一つのお手本として、もっと多くの大学に広まって欲しい内容です。

 

さらに、こんな内容の教科書、しかも豊崎さんの写真やデータもふんだんに使ってあるものが出版されれば、それを使って授業をしたいと考える人も増え、「広島・長崎講座」によって、次の世代への継承に勢いが付くのではないでしょうか。

 

「凄い人」シリーズは、不定期に続きます。

 

 

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