私たちの生きる意味 ――広島を問い、憲法を問うことと同じです――
私たちの生きる意味
――広島を問い、憲法を問うことと同じです――
8月6日夜、「広島を語る会」に集まった8人で共有できたことの一つは、奇しくも、7月22日に開かれた講演会で、講師の石川健治教授の問い掛けと同じでした。それは、「私たちの生きる意味とは何か」です。石川教授の言葉を要約すると、「物語として憲法がその意味を伝えてくれている」と要約できるように思います。
Where Do We Come From? What Are We? Where Are We
Going?
(我々はどこから来たのか?我々は何なのか?我々はどこに行くのか?)
ポール・ゴーギャン作
[By Paul Gauguin - Museum of Fine Arts Boston,
Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36264337]
フォトジャーナリストと御紹介しましたが、「核ジャーナリスト」としても知られているT氏からの問題提起も石川教授と軌を一にしていました。T氏は、被爆・被曝を合わせて「被ばく」と書いていますので、ここでもそれに倣います。広島・長崎の被ばく者、福島やチェルノブイリ等の原発事故での被ばく者、原発労働者、原水爆実験の被害者、その中には、南太平洋諸島で被ばくした人たちもいれば、「アトミック・ソールジャー」として、アメリカ本土での核実験で被ばくした兵士たち、また、核実験の風下に住んでいたために被ばくした「ダウン・ウインダー」たちもいます。さらにウラン鉱の採掘に駆り出されて被ばくした先住民たち等々、核被害を受けた人々は世界のいたるところに住んでいますし、被害の受け方も多種多様です。
2015年に明治学院大学で開かれた講演会でT氏は、被ばくを4層に分けてその本質を説明しています。
① Nuclear Colonialization (核の植民地化)――政治的・経済的支配という面から被害を理解する。
② Nuclear Racism (核による人種差別)――ウランの採掘・精錬の75パーセントは先住民の住む土地で行われ、主要核保有国の核実験は全て先住民の住む土地で行われた。
③ Nuclear Refugee (被ばく難民)――被ばくさせられた上に、難民として自分たちの住む土地から追い出されている。
④ Nuclear Violation (被ばく被害は人権、生存権の侵害)――被ばく者を生むこと自体が人権侵害であり、その対応も人権という視点から考えるべきだ。
被害の受け方も、受けた場所や日時も違い、それぞれが置かれていた「被ばく」当時の状況も戦争中だったり、あるいは核実験のモルモットとしてだったりという差もある。労働者として、あるいは平穏な日常に起きた事故等、こうした背景の違いをも視野に入れると、被害者としての、そして運動としての連帯を育む上で、結局は「私たちの生きる意味」を問うという一番基本的な立場に立つことが、鍵になるのではないか。
最後に、ジャーナリストのI氏による、8月6日の広島レポートが、「リベラル21」というブログに掲載されています。優れたレポートですので一読をお勧めします。
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 竹林の八賢 ――恒例の「広島を語る会」で盛り上がりました―― | トップページ | 盆灯籠 ――関東では見ることのできない美しい伝統です―― »
「ニュース」カテゴリの記事
- 自動車運転の安全性を高めるために (2) ――2019年版「交通安全白書」―― (2019.06.22)
- 日本語「無支援」の外国籍の子どもたち ――一万人以上います―― (2019.05.08)
- 生前退位と憲法(2019.05.04)
- 朝見の儀と憲法(2019.05.03)
- 災害対策予算の大幅増額を! ――豪雨災害からの教訓 (6)――(2018.07.15)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 「無責任」の論理構造 (2) ――総理大臣も、主権者たる私たちの「使用人」―― (2020.06.11)
- 『テニアン』の著者・吉永直登さんにお会いしました ――熱い思いを聞かせて頂きました―― (2019.07.15)
- 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (3) ――何故「数学書」として読みたいと思ったのか―― (2019.07.12)
- 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (2) ――前口上も楽しさ一杯です―― (2019.07.11)
- 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 ――いよいよ発売です―― (2019.07.10)
「言葉」カテゴリの記事
- 「無責任」の論理構造 (2) ――総理大臣も、主権者たる私たちの「使用人」―― (2020.06.11)
- 日本のテレビは「いじめ」を助長している ――みんなで声を上げましょう―― (2019.07.19)
- 「いじめ」をなくそう (3) ――テレビ番組の役割―― (2019.07.18)
- 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (3) ――何故「数学書」として読みたいと思ったのか―― (2019.07.12)
- 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (2) ――前口上も楽しさ一杯です―― (2019.07.11)
「平和」カテゴリの記事
- 『テニアン』の著者・吉永直登さんにお会いしました ――熱い思いを聞かせて頂きました―― (2019.07.15)
- 扇ひろ子さんのコンサート・二葉あき子さんの歌碑(2019.07.06)
- 「ファクトチェック」と「論理チェック」(2019.07.04)
- 『ファクトチェック最前線』を読んで「ファクトチェッカー」になろう(2019.07.03)
- あけび書房から労作『テニアン』が発売されます(2019.07.02)
「歴史」カテゴリの記事
- 1964年東京オリンピック ――同じお題で書きましょう―― (2019.07.20)
- 『テニアン』の著者・吉永直登さんにお会いしました ――熱い思いを聞かせて頂きました―― (2019.07.15)
- 扇ひろ子さんのコンサート・二葉あき子さんの歌碑(2019.07.06)
- 「論理チェック」と公務員の知的誠実さ(2019.07.05)
- 「ファクトチェック」と「論理チェック」(2019.07.04)
「生活」カテゴリの記事
- 8月一杯お休みします ――大きな仕事を抱えています―― (2019.08.10)
- インゲンとトウモロコシを収穫 ――サルと日照時間の影響―― (2019.07.21)
- 「いじめ」は世界的問題です (2) ――データで国際比較をしよう―― (2019.07.14)
- 自然の驚き ――トウモロコシの知恵に頭を垂れました―― (2019.07.08)
- 我が家に咲いている花 ――コスモス、向日葵、トウモロコシ―― (2019.07.01)
「健康」カテゴリの記事
- 8月一杯お休みします ――大きな仕事を抱えています―― (2019.08.10)
- 風邪をひいてしまったので、しばらく休みます(2019.07.25)
- The Outletsの「たかお」もお勧めです(2019.06.13)
- 認知機能検査の結果(2019.06.10)
- 電動歯ブラシの効用(2019.05.28)
「脱原発」カテゴリの記事
- 被爆73周年原水爆禁止世界大会・長崎大会のまとめ ――核を巡る「現在」がコンパクトに分ります――(2018.08.11)
- 被爆73周年原水爆禁止世界大会・広島大会のまとめ ――今年も、とても勉強になる大会でした――(2018.08.09)
- 「大飯原発4号機の再稼働」抗議と福島原発ひろしま損害賠償請求訴訟(2018.05.10)
- 4・26 チェルノブイリ・デーの座り込み(2018.04.27)
- 「第33回 4・9反核燃の日全国集会」-青森(2018.04.11)
« 竹林の八賢 ――恒例の「広島を語る会」で盛り上がりました―― | トップページ | 盆灯籠 ――関東では見ることのできない美しい伝統です―― »
コメント