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2017年8月27日 (日)

アメリカでの銃砲規制強化についての賛否 ――様々な問題が複雑に絡んでいます――

アメリカでの銃砲規制強化についての賛否

――様々な問題が複雑に絡んでいます――

 

 

               

Handgun_control

             

Gun Control、銃規制のシンボル

 

版権: 77sch / 123RF 写真素材

社会的に重要な問題についての賛成と反対の意見両方を、比較対照するサイト、「ProsCons.org」に掲載されている、賛成と反対の意見を紹介します。

 

Proconorg_2

ProsCons.orgのホームページから

 

それぞれ13項目あるのですが、全ての項目の詳細を訳して紹介するとなるとスペースも時間もかかりますので、銃の規制強化反対派の意見の見出しを以下、列挙します。説明が必要な点には簡単な解説を付けますし、争点を理解する上で必要があれば、賛成派の意見やデータも援用します。

 

 アメリカ憲法の修正第二条によって、個人が銃を保有する権利は守られている。

 

修正第二条は「規律ある民兵組織は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない」です。その意味については、日本の憲法9条の解釈と似たような憲法解釈の問題になっています。私も含めて多くの人は、国家の軍隊ではない民兵、州兵が身近なのですが、という組織、しかもそれが「規律ある」という条件の下で武力の保有が許される条項だと読んでいます。この点は規制強化賛成の争点⑭に掲げられています。

 

 銃の規制強化によって犯罪は減らない。銃の保有こそが犯罪を減らしている。

 銃の規制は個人の持つ自衛権を侵害している。さらに人々の安心感を奪っている。

 銃規制、特に「assault weapons(日本語訳はアサルト武器のようです)を禁止することは、個人が狩猟や競技のための銃を保有する権利を侵害する。

 銃の規制は、犯罪者が銃を持つことや違法行為を犯すことを防げない。

 銃の規制は政府に過度の力を与えることになり、独裁政治にさえつながる。その結果、市民から全ての銃を奪う結果になりかねない。

 銃の購入・登録の際に、購入・登録者の背景調査をしたり、銃の特定のためのマイクロ・スタンピングと呼ばれるレーザーによる刻印を行ったりすることはプライバシーの侵害である。

 銃規制の強化が不必要なもう一つの理由は、銃による死者は比較的少数だという事実があるからだ。

 銃の規制強化や個人所有の銃の数が減っても、自殺数は減らない

 

ここで、反対派が根拠にしているのは、次のような数字です。数字が並んで分り難いと思いますが、アメリカの数字を中心に読んで頂ければと思います。まずは表にまとめましたので御覧下さい。

 

                             
 

 
 

銃の保有率

 
 

自殺率

 
 

リトアニア

 
 

0.7

 
 

45.06

 
 

日本

 
 

0.6

 
 

18.41

 
 

韓国

 
 

1.1

 
 

12.63

 
 

アメリカ

 
 

88.8

 
 

12.3

 

 

リトアニアは100人当たりの銃保有数は0.7と世界で最低レベルなのに、1999年には、10万人当たりの自殺者数は45.06と、この種の統計が存在する世界71か国の内、最も多かった。また日本は、銃の保有率は100人中0.6と最低レベルだが、自殺率は、18.41だ。韓国は、銃の保有の面では、1.1だが、銃による自殺率は、10万人当り12.63と一番高い。それに対して米国は、銃の保有率では88.8と世界最高だが、自殺率は、12.3で世界で26位と、上記の国々と比べると低くなっている。

 

これに対しての規制強化賛成派の主張は正反対です。賛成の理由⑬です。(読み易くするために略記しますが、「保有率」は100人当りの銃の保有数ですし、「他殺率」や「自殺率」は、10万人当たりの数字です。)

 

                               
 

 
 

銃保有率

 
 

殺人率

 
 

自殺率

 
 

スイス

 
 

45.7

 
 

0.31

 
 

3.29

 
 

フィンランド

 
 

45.3

 
 

0.4

 
 

4.19

 
 

アメリカ

 
 

88.8

 
 

4.19

 
 

5.76

 

 

スイスとフィンランドは銃の規制が厳しい国だ。そしてスイスの保有率は45.7で、世界で三番目に高い。しかし、銃による殺人数は2009年に24(殺人率は0.31)、自殺数は253(自殺率は3.29)だ。フィンランドの銃保有率は、45.3で世界4位だが、2007年の殺人数は23 (率としては0.4)、自殺数は172(率は4.19)だ。

 

対してアメリカは、保有率88.8、他殺件数は12,632、他殺率は4.19、自殺数は17,352 (率は5.76)2016年の比較では、人口の多い、経済的に豊かな他の国々に比べてアメリカは、殺人率は25.3倍高く、銃による自殺は2010年の統計で8倍だった。

 

さらに、これらの国々での全殺人を分類した上で比較すると、女性の被害の90%はアメリカで起きていた。また0から14歳の被害の91%15歳から24歳までの被害の92%、そして全殺人の82%はアメリカで起きていた。

 

これらは、銃の規制の厳しさの違いの反映だと考えられる。

 

また、賛成派の主張⑨では、銃規制の強化は自殺の減少につながることを示す研究結果を引用しています。2014年の研究では、銃の保有数が減ると、自殺数も減ることが確認されています。また2009年の研究では、銃へのアクセスが州法により制限されると、男性の自殺の減ることが確認されています。特に影響のあったのは、銃保有を許す免許証がないと保有できない制度のあること、そして未成年者への販売禁止だったということです。また、自殺願望を持つ人間が銃を手に入れられないとき、毒物や刃物によって自殺を実行することは考えられないという調査結果も示されています

 

反対派の主張に戻ります。

 

 銃規制の強化は不必要。銃についての教育、また銃を安全に扱うことについての教育によって銃による事故死を防ぐことができる。

 銃規制の強化は、市民が海外から侵略された場合に身を守る機会を奪う。

 銃規制の強化はメキシコで実施されているが効果は現れていない。アメリカでも同じことになる。

 銃規制は人種差別的だ。

 

歴史的に、何か事があるとマイノリティーが銃を持つことに対する規制が強化されて来たという事実があります。

 

 憲法修正第二条は、健康で丈夫な男性が銃を持ち、必要であれば民兵としての活動を通して平和を維持し国を守ることを意図している。

 銃規制の努力は、これまでに効果を示すことができなかった。

 

最後に我が国の状況をまとめておくと、高度成長期だった1970年代後半には、100万丁以上の銃が民間で保有されていましたが、最近では40万以下にまで減っています。

 

 

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