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2017年6月 2日 (金)

5月31日は世界禁煙デー ――5月31日から6月6日までは禁煙週間です――

 

531日は世界禁煙デー

――531日から66日までは禁煙週間です――

 

2020年を目標年に、国際オリンピック委員会や世界保健機構(WHO) は、日本政府に国の主導で「屋内全面禁煙」を実施するよう勧告しています。それに対して、厚生労働省は「喫煙室」を設ければ「分煙」を認めるという立場を取り、自民党内の喫煙支持派は、飲食店などの判断を尊重する立場のようです。つまり、どちらも屋内全面禁煙には反対ということです。

 

しかし、塩崎泰久大臣は、自民党の強硬派に対して26日、閣議後の記者会見で「建物内の原則禁煙という前提を譲るのは、なかなか難しい」と強調するなど、それなりに頑張っています。「原則禁煙」の「原則」が曲者ですが、恐らく厚生労働省官僚たちの言いなりになれば、そのまま自民党案を飲むことにもなり兼ねないような気がしますので、そんな環境下、大臣が頑張っていると考えるのは、贔屓目に過ぎているでしょうか。

 

でも、これまでの厚労省が喫煙問題に如何に後ろ向きだったのかの歴史を振り返ると、こう考えたくなる気持もお分り頂けるように思います。そのために、毎年WHOが世界禁煙デーに発表する煙草についてのスローガンと、厚労省が禁煙週間に発表するテーマとを比較してみましょう。世界禁煙デーのスローガンは英語ですが、その下のカッコの中の訳は、2017年と2016年は日本禁煙学会によるもの、2015年以前は厚労省によるものです。

 

2017 Tobacco – a threat to development

              (たばこは成長の妨害者)

2016 Get ready for plain packaging

             (プレーン・バケッジを目指そう)

 

2017年の標語は、いわゆる先進国では禁煙が進んでいるために、たばこ産業は開発途上国を新たな市場として煙草を売り込んでいる状況に対する言葉です。2016年のスローガンは、たばこの箱には健康被害を正確に伝える表現以外のどんなメッセージも使ってはいけない、もちろん色も使わないプレーンなものにすることで、たばこを魅力的なものであるというメッセージを伝えないようにしましょう、という呼び掛けです。

 

この2年とも、厚労省は次のスローガンを採用しています。

 

              2020年、受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~

 

                     

Photo

       

 

オリンピックを念頭に置くと理解できなくはないのですが、2015年より前の対比とも関連付けると、別の意図も見えてきます。そしてこの標語は、恐らく2020年まで変えない積りなのだと思いますが、「目指して」は「実現します」ではなくあくまで目指せばそれで良いのですから、強い決意は伝わってきません。「屋内全面禁煙」にならなくても、約束違反にはならないのです。

 

2015 Stop illicit trade of tobacco products

 (たばこ製品の不正な取引をなくそう)

 

[日本政府] 2020年、スモークフリーの国を目指して ~東京オリンピック・パラリンピックへ向けて~

 

日本社会ではあまり知られていませんが、世界的に売られているたばこの1割は不正な取引によるものだと推計されています。税を払わない分だけ安くなること、法律には従わないパケッジなので健康上の問題が表記されていないなどの弊害があります。

 

2014 Raise taxes on tobacco

 (たばこ税の引き上げを!)

 

[日本政府]  オールジャパンで、たばこの煙のない社会を

 

この辺りから、日本政府の本音が見えてきます。元々は、国有の会社なのですから、税を上げるのは簡単なはずですし、その効果についても十分分っている日本政府が音頭を取って税の引き上げをするのは簡単なことです。でも、「目指して」という緩やかな形さえ取らずに「無視」です。

 

2013 Ban tobacco advertising, promotion and sponsorship

 (たばこの広告、販売促進、スポンサーシップを禁止しよう)

 

[日本政府]  たばこによる健康影響を正しく理解しよう

 

確かに、広告や販売促進、スポンサーシップを禁止する目的の一つは健康被害の正確な理解ですが、具体的に何をすれば良いのかを提案しているのがWHOのメッセージです。それを薄めて、これまた日本政府がその気になれば明日からでもできる提案を抽象的なお題目に摩り替えています。

 

2012 Stop Tobacco industry interference

 (たばこ産業の干渉を阻止しよう)

 

[日本政府]  命を守る政策を!

 

『たばこ産業の干渉』とは、WHOが発行したパンフレットです。この中で、WHOは世界のたばこ産業が、たばこについての規制をさせないように、様々な形で干渉していることを報告しています。そのような干渉を止めさせようという呼び掛けです。「干渉」とは次のような行為を指しています。

 政治的あるいは立法についてのプロセスを乗っ取ろうと企んでいる。

 たばこ産業の経済的な重要性を誇張している。

 たばこに正統性があるかのように装うための世論操作をしている。

 やらせの団体等を使って、たばこ支持派がいると見せかけている。

 確立された科学的事実の信頼を損なうようなことをしている。

 規制しようとする政府を訴訟によって、あるいは訴訟を起こすと脅すことで圧力を掛けている。

 

これまた、日本政府がその気になれば、かなりの改善がすぐにできることなのですが、この年の禁煙週間で厚労省は「平成24年度においては、喫煙及び受動喫煙による健康被害等についての普及啓発に加え、今年度の世界禁煙デーのテーマである「たばこ産業の干渉を阻止しよう」についても、普及啓発を積極的に行うものである」と述べ、その年に開いたシンポジウムで取り上げられたテーマは、たばこ産業の干渉には触れていません。

「政府における主なたばこ対策」

「次期健康日本21と受動喫煙対策(仮)」

「命を守る政策を!(仮)」

「パネルディスカッション「受動喫煙からみんなの命を守るために(仮)」

 

簡単に比較が終り、納得して貰えると思っていたのですが、結構長くなってしまいました。実は、これ以前にはもっと酷い乖離があるのですが、それは次回に回します。


そしてもう一つ大切なのは、この傾向を逆の方向から見ると、つまり、昔は酷かったけれど今はそれほどでもない、と読むと、厚労省のたばこに対する施策や考え方が少しは改善されている、ということにもなるのです。そして塩崎大臣はその傾向を加速化させ、真面目にたばこ対策に取り組もうとしているように私には見えるのですが、それは私が贔屓目に見過ぎているからなのでしょうか。そのどちらであっても、大臣にはもっと頑張って貰わなくてはなりません。そのために何ができるのかも考えて見たいと思います。

  

 

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コメント

日本は食べるものに関する規制は厳しいが、大気汚染に関しては甘いと言われています。私は喘息なので気象庁が出しているPM2.5などの予測データを見て暮らしていますが、花粉や黄砂の情報は広報しても、より命に関わるPM2.5については非常に消極的な公開に留まっているように感じます。

福島の原発事故後は放射線についてもそうですが、食中毒などに比べ「直ちに影響のない」大気汚染については規制も緩い上に、情報も十分ではなく、かかりつけの呼吸器科の医師も、いつも憤っています。

日本の大気汚染は世界でも上位であり、WHOの調査でも、日本で大気汚染のために死亡する人の数は交通事故死の5倍以上で年間2万5千人と言われています。

肺に毒物を入れることが如何に危険なことなのか、基本的な認識=教育から必要な気がします。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

私たちは胃に入れるものについては敏感でも、肺になると鈍感だという基本的な違いを御指摘下さり、有難う御座います。なぜ日本社会がそんな価値観を持つに至ったのかも知りたいと思います。その辺も含めて、一度、ブログで論じて頂けるとさらに有り難いのですが。

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日本は食べるものに関する規制は厳しいが、大気汚染に関しては甘いと言われています。私は喘息なので気象庁が出しているPM2.5などの予測データを見て暮らしていますが、花粉や黄砂の情報は広報しても、より命に関わるPM2.5については非常に消極的な公開に留まっているように感じます。

福島の原発事故後は放射線についてもそうですが、食中毒などに比べ「直ちに影響のない」大気汚染については規制も緩い上に、情報も十分ではなく、かかりつけの呼吸器科の医師も、いつも憤っています。

日本の大気汚染は世界でも上位であり、WHOの調査でも、日本で大気汚染のために死亡する人の数は交通事故死の5倍以上で年間2万5千人と言われています。

肺に毒物を入れることが如何に危険なことなのか、基本的な認識=教育から必要な気がします。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

私たちは胃に入れるものについては敏感でも、肺になると鈍感だという基本的な違いを御指摘下さり、有難う御座います。なぜ日本社会がそんな価値観を持つに至ったのかも知りたいと思います。その辺も含めて、一度、ブログで論じて頂けるとさらに有り難いのですが。

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