「Xデー」に何が起きるか ――4月15日午後9時時点では大事に至ってはいませんが――
「Xデー」に何が起きるか
――4月15日午後9時時点では大事に至ってはいませんが――
4月15日は北朝鮮では金日成生誕105周年イベントが開かれ、韓国では大統領選挙の候補者登録、そしてアメリカの空母カール・ヴィンソンが北朝鮮を睨む公海に展開といった緊迫した状況下、この日を「Xデー」とみる予測が目立ちました。
空母カール・ヴィンソン
(米海軍省のホームページから)
北朝鮮が核実験をするあるいはミサイルを発射する、アメリカが北朝鮮に対して攻撃を行う等の可能性の指摘でしたが、幸いなことに15日の午後9時時点ではこれらの可能性のどれも現実にはなっていません。
とは言え、一触即発の状態であることは論を俟ちません。以前も御紹介した平和活動家のジョン・ハラン氏は最悪のシナリオとして次のような可能性のあることを、発信しています。
北朝鮮が核実験を行いそれに反応してアメリカが北朝鮮を攻撃、さらにそれに対抗して北朝鮮が①通常兵器でソウルを攻撃する、あるいは②核兵器で、ソウル、上海、東京あるいはその距離にある他都市を攻撃する、という可能性を指摘しています。それに対してアメリカ、中国、あるいはロシアが何らかの対応をすることになり、北朝鮮が全面的に破壊される結末を迎えるという、絶対に起きては欲しくないシナリオです。
軍事行動とともにアメリカが歴史的に手を染めてきたのは、「暗殺」ですが、それを踏まえて考えると、「緩和ケア医」さんの予想にはそれなりの説得力があるように思います。とは言え、それで「問題解決」ということにはにはなりそうもありません。
しかし、北朝鮮はICBMの「保有」を誇示するという愚を続けていますし、対するアメリカ側は軍事力や経済力で相手を捻じ伏せようという姿勢を変えていません。
しかし、こんな時だからこそ頭を冷やして、ことによると億の単位の人たちが被害を受けるシナリオを、ハラン氏の表現を借りれば「正気の洪水」によって元に戻す努力をしなくてはならないのではないでしょうか。
東京新聞の4月12日の社説で、半田滋氏が説いているのも正にこの点です。
「トランプ米政権は北朝鮮に対する先制攻撃を否定していないが、日本や韓国が受ける被害はだれが攻撃しても変わりない。日本がとるべき道は米国に対し「北朝鮮との対話に乗り出し、その過程で核・ミサイルの放棄を求め、見返りに平和協定を結んで北朝鮮に『米国は攻撃しない』という保障を与えるべきだ」と強く進言することである。」
今の時点で対話の必要性を説いても手遅れだ、と言われるかもしれません。でも、まだ手の打てるときにでさえ何もして来なかった付けが今になって回ってきたのですから、これ以上の被害が出る前に、事態を平和裡に解決する努力をしても罰は当らないはずです。
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コメント
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コメント
恥ずかしながらコメントいたします。
nancyです。
「正気の洪水」によって元に戻す努力をしなくてはならない。
本当にその通りだと思います。
戦争も経済も環境問題も
その根幹は人の心が
国や民族や宗教で分断され
バランスを失っているから起こること。
命も心もつながっているイメージを持つことが大事なのではないかな…
と思っています。
甘い夢想家だと笑われるかもしれませんが…
「Nancy」様
コメント有り難う御座いました。おっしゃる通りです。
9mm Parabellum Bulletというロックバンドも、Wanderlandという曲の中で同じことを歌っています。
「正気の洪水」が世界を包み込むよう、頑張りましょう。
「正気の洪水」。その手でしたね!
ついつい、「狂気」を批判することにばかり、エネルギーを取られてしまうので、反省です。
「hiroseto」様
コメント有り難う御座いました。「言うは易し」という側面もありますが、言い続けることの大切さを噛み締め、小さな波作りのための努力から始めましょう。
私たちが勘違いしていることは、北朝鮮は中国やロシア以外にもたくさんの国と国交があることです。国際的に孤立していないのですね。
どうしても戦いたいのなら、中国も含めて兵糧攻めしかないのでしょうが。
トランプ政権で北朝鮮対策が強行的になっているように感じますが、私はそれ以前から強化されていたと思ってます。それは岩国基地の在日米軍の強化です。
その岩国基地の強化を岩国市民が選挙で選んだことで、岩国市はミサイルの標的になってしまってますね。
軍事強化は、平和への道のりには含まれないということですね。
戦争で利益を得るのは、軍需産業とその株主だけであり、北朝鮮にも韓国にも日本にも国民にはなんの利益はないでしょうね。
今回の件で日本とアメリカの利害は一致してますね。戦争をすることでなくその危機を煽ることで、トランプ大統領と安倍首相は絶対政権を作ることに。
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。
沖縄の負担を軽くするために、米軍の一部を沖縄から岩国に移すのだという説明もされていますが、総量は多くなっていることを隠すために使われていてもおかしくはありません。
かつて、「列強」が「帝国主義」で先頭を切っていることだけを見て、「追い付け追い越せ」で頑張った日本が、時代の変化を読み取れずに周回遅れの破滅に陥ったのと同じことを今また繰り返していることに気付かず、同じ轍を踏んでいるのは残念ですね。
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恥ずかしながらコメントいたします。
nancyです。
「正気の洪水」によって元に戻す努力をしなくてはならない。
本当にその通りだと思います。
戦争も経済も環境問題も
その根幹は人の心が
国や民族や宗教で分断され
バランスを失っているから起こること。
命も心もつながっているイメージを持つことが大事なのではないかな…
と思っています。
甘い夢想家だと笑われるかもしれませんが…
投稿: nancy | 2017年4月16日 (日) 18時53分
「Nancy」様
コメント有り難う御座いました。おっしゃる通りです。
9mm Parabellum Bulletというロックバンドも、Wanderlandという曲の中で同じことを歌っています。
「正気の洪水」が世界を包み込むよう、頑張りましょう。
投稿: イライザ | 2017年4月16日 (日) 22時37分
「正気の洪水」。その手でしたね!
ついつい、「狂気」を批判することにばかり、エネルギーを取られてしまうので、反省です。
投稿: hiroseto | 2017年4月17日 (月) 11時16分
「hiroseto」様
コメント有り難う御座いました。「言うは易し」という側面もありますが、言い続けることの大切さを噛み締め、小さな波作りのための努力から始めましょう。
投稿: イライザ | 2017年4月18日 (火) 13時51分
私たちが勘違いしていることは、北朝鮮は中国やロシア以外にもたくさんの国と国交があることです。国際的に孤立していないのですね。
どうしても戦いたいのなら、中国も含めて兵糧攻めしかないのでしょうが。
トランプ政権で北朝鮮対策が強行的になっているように感じますが、私はそれ以前から強化されていたと思ってます。それは岩国基地の在日米軍の強化です。
その岩国基地の強化を岩国市民が選挙で選んだことで、岩国市はミサイルの標的になってしまってますね。
軍事強化は、平和への道のりには含まれないということですね。
戦争で利益を得るのは、軍需産業とその株主だけであり、北朝鮮にも韓国にも日本にも国民にはなんの利益はないでしょうね。
今回の件で日本とアメリカの利害は一致してますね。戦争をすることでなくその危機を煽ることで、トランプ大統領と安倍首相は絶対政権を作ることに。
投稿: やんじ | 2017年4月24日 (月) 09時17分
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。
沖縄の負担を軽くするために、米軍の一部を沖縄から岩国に移すのだという説明もされていますが、総量は多くなっていることを隠すために使われていてもおかしくはありません。
かつて、「列強」が「帝国主義」で先頭を切っていることだけを見て、「追い付け追い越せ」で頑張った日本が、時代の変化を読み取れずに周回遅れの破滅に陥ったのと同じことを今また繰り返していることに気付かず、同じ轍を踏んでいるのは残念ですね。
投稿: イライザ | 2017年4月24日 (月) 13時53分