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2016年11月 9日 (水)

トランプかクリントンか   トランプ人気の背景を考える


トランプかクリントンか

トランプ人気の背景を考える

 

今アメリカでは大統領選挙が進行中です。トランプ、クリントン両候補の接戦だと報道されていますが、「常識」的に考えるとこんなことが起きるとは、数年前には考えられなかったと言えると思います。ビル・クリントン大統領の妻としての、つまり「ファースト・レディー」としての知名度があり、上院議員や国務長官も歴任、政治家としての信頼度もある人に対して、お金持ち、そしてビジネスマンとしては名が売れてはいても政治には全くの素人のトランプ候補が、クリントン候補と互角の選挙戦を展開したこと自体が驚きです。極端に短くまとめましたが、両候補の履歴を考えるとクリントン候補が圧倒的に優勢だったとしても全く不思議ではない選挙なのです。

 

「アメリカの強硬な姿勢は危機感の表れ? それとも選挙対策?にコメントを頂いた「支離滅裂」さんも「デブカ」さん、そして「広島 緩和ケア医のブログ」でも、トランプ候補をある意味評価する考え方や予測を紹介して下さいました。

 

それでは、何故、クリントン候補の人気に影が差し、トランプ候補が善戦しているのでしょうか。

 

分り易い理由を5点リストしたいと思います。

 

 クリントン候補の「スキャンダル」暴露の本が多くの人に読まれた。事実かどうかは別にして、「女性」の代表、それ故に「弱者の見方」、「清廉潔白」等の価値と結び付いていたクリントン候補のイメージが損なわれた。

 トランプ候補にデマゴーグ(煽動政治家)としての素質があった。デマゴーグとして成功する上で効果的なのは、論理を放棄すること。(この点については、機会を改めて説明します。)

 結果として、「変革」というイメージを作ることに成功。実は、悪いことは全てオバマ政権をスケープゴートにして攻撃。「破壊」つまり「ぶっ壊す」という発言が受けた。

 対してクリントン候補は、民主党政権をターゲットにはできなかった。受け身での「防戦」に。

 トランプ候補についての「スキャンダル」も多く暴露されたが、元々「善人」あるいは「清廉潔白」のイメージで売り出したわけではなく、ダメージは小さかった。

 

 

最初の点ですが、クリントン候補批判本として目に付いた何冊かの表紙です。

 

Clintons_war_on_women

             

Guilty_as_sin

     

Clinton_cash

 

Crisis_of_character

   

 ここで、クリントン批判書をいくつも示したのは、これだけの批判があればそれまでの実績や事実とは別の次元での世論が動き始めるというメカニズムを理解して頂きたいからです。

 

第二の点です。日本でも同じことなのですが、デマゴーグがデマゴーグである所以は、事実や真実は一切無視して、多くの人が事実だったら好いなと思っていることを「事実」としてばら撒くこと。そして、そんな不満を変える、つまりぶっ壊すと宣言することです。

 

アメリカ社会の大きなトレンドとして、1980年代のレーガン時代から、父と息子のブッシュ政権に引き継がれた共和党路線の影響が大きいことを挙げておきましょう。その間にクリントン政権がありましたが、実はブッシュ家とクリントン家は家族レベルでも大変親しく、クリントン政権では建前はともかく、実質では共和党路線を辿っていたと考えている識者もいるくらいです。その間に、社会的・経済的格差は広がり、その不満が、歴史的なオバマ政権の誕生につながったと考えると、何となく納得できるのではないでしょうか。

 

しかし、共和党にコントロールされた議会の力で、オバマ政権は自らの政策を十分に実行することができず、「共和党的」な傾向に拍車がかかり、社会的な不満は増大していたという背景があったと見ても良いでしょう。「その不満はオバマのせいだ。それを解消するのは共和党の俺だ」という呼び掛けが功を奏した背景です。

 

日本での成功例としては小泉政権を思い起こしていらっしゃる方も多いと思いますが、その傾向が強まるアメリカでトランプ候補が勝つのか、少なくとも建前では民主党政策を推進する姿勢、それも守りのキャンペーンになってしまったクリントン候補が勝つのか、結果は、日本時間9日の昼頃を目処に分ります。どちらが勝っても、トランプ候補の人気を抜きにしてこれからの政策を推進することは考えらませんので、今日の一言になりました。

  

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コメント

不謹慎かもしれませんが、トランプがなれば、彼が言っているような
メキシコに壁を作ったり、移民を禁止したり、また在日米軍の日本の
負担を更に大きくする等が、本当に出来るのか見てみたい気がして
います。

「⑦パパ」様

コメント有難う御座いました。

昼頃の情報では、鍵になるオハイオ州もトランプ候補を選んだようです。下院は共和党ですので、あと上院で民主党がどのくらい勝てるのも問題です。

トランプ候補が勝利しても、言っていること全ては実現できない、あるいは事実誤認も多いので、その必要がないという結果になると思います。加えて、メキシコの壁以上に、官僚の壁や軍産複合体の壁なども強固ですから。

官僚や軍産複合体の壁も高いとは思いますが、そうした壁にはヒラリー・クリントンよりはドナルド・トランプの方が戦えるように感じますが、いかがでしょうか。

また、アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており、国民が選んだわけでもない首相が、憲法まで好き勝手にするようなことはないと思いますが、どうでしょうか。

それにしても、今回の大統領選挙の直前になってのFBI の動きには、とても興味があります。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。御指摘の点、その通りだと思います。

メールについてのスキャンダルは、クリントン側では全ての記録を破壊した積りだったのに、そうではなかったことから、捜査をし直さなくてはならなくなったということなのだと思います。

ニクソン大統領が、秘密裡に録音していた音声テープが命取りになったように、今回は、情報時代の技術管理の甘さが命取りになったのではないかと思います。

この記事がそうだというわけではありませんが、トランプ人気の説明にポピュリズム(大衆迎合)を持ち出すことには違和感があります。
大衆の否定は民主主義の否定であり、民意が正しいという前提でなければ、専制君主制に戻るしかありません。
人間は常に未熟で間違いを犯すものです。しかしそれでもみんなで考えれば少しでも正しい結論に達するという体制にしなければならない、というのが民主主義ではないでしょうか。
それに大きく関わってくるのがマスコミですが、今回の大統領選挙でみれば、マスコミの攻撃はクリントンに対するものよりトランプに対するものの方が遥かに酷く、テレビ討論会でも司会は完全にヒラリー側に有利な質問やコメントが目立ちました。
そうした逆風の中でトランプ大統領は誕生したということを重くみるべきだと思います。

 米大統領選挙の迫った重要な時期にFBIは「メール問題」の捜査再開を発表したが、FBIは民主党オバマ政権の命令下にあり「大統領府に何の連絡もせず捜査再開を議会に通報してしまった」などあり得ない。その後数日間沈黙したオバマは「不十分な証拠しかないのに捜査を再開してはならない」とFBIを批判してみせたが、実はオバマがクリントンの捜査に積極的な捜査官らを支援し選挙直前の捜査再開につなげたことは間違いない。

 それからブログで紹介されているような本には、クリントンが国務長官時代に米金融界やサウジアラビアや中国など海外の勢力から献金をもらい、その見返りに相手側の要望を聞いたり、国務長官として得た情報を流していた疑惑も書かれていて、これらの書籍をもとに内偵を進めた現場の捜査官たちが「クリントン基金を立件できる十分な証拠が集まった」として正式な捜査開始を要望したところ、上層部はそれを止めたが、最後はオバマの支援が功を奏した。

 そして最後はマスコミの誇張された世論調査が、クリントンの支持率が実態に近づき期日前の投票も進んだ土壇場で「訴追することはない」と発表してトドメは刺さなかったところなど、まさにオバマの演出の見事なところと言わざるをえない。

「大衆」様
「FBH」様

コメント有難う御座いました。市民の持つ力について、またオバマ大統領の果した役割についての明快な解析にお礼を申し上げます。

オバマ大統領の役割については私も情報を集めてみますが、今回の選挙を左右したことについては次回取り上げていますので、お読み頂ければ幸いです。

メキシコとの壁は、トランプ大統領が就任する前に、メキシコの方が先に作るようですね。
なかなか面白い展開です。
日本もトランプ大統領に言われる前に、米軍に撤退して頂きましょう。
沖縄にとっては数%の経済効果しかないくせに70%を占領する米軍がいなくなれば、より安全になるだけでなく、経済的にも豊かになり日本からも独立できます。

「先手必勝」様

コメント有り難う御座いました。メキシコの方はともかくとして、おっしゃるように、在日米軍には撤退して貰う、という方針を早急に我が国が採用すべきですね。Change.orgでの署名運動でも始めると良いかも知れません。

 「アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており」ではあるが、大統領令やオバマの意思表明によって決まった政策もある。オバマが議会上院を迂回して大統領権限で批准したパリ条約やイランとの核協定そして尖閣諸島を安保条約の範囲内とすることなどだ。
 当然のこととして中国は尖閣への領海侵犯を強めて米国の行動をみるだろう。日本にTPPや温暖化対策よりも大きな課題になりそうだが、安倍政権はこれ幸いに思うかも知れない。

「FBH」様

コメント有り難う御座いました。議会の権限とは別に大統領の権限として実行できることは確かに多いと思います。

同時に、トランプ氏が糾弾したエスタブリッュメントの中には、共和党の議員もいれば民主党議員もいますし、マスコミのかなりの部分も入っています。さらに矛盾した「約束」をしてきたトランプ氏が、今後、そのいくつかを実現しようとし、それ以外のものは無視したり捨てたりする過程で、様々な利害関係が衝突して混乱が生じる可能性はかなり高いのではないかと思います。いくつか可能なシナリオが考えられますが、続いて一緒に考えられれば、と思っています。

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不謹慎かもしれませんが、トランプがなれば、彼が言っているような
メキシコに壁を作ったり、移民を禁止したり、また在日米軍の日本の
負担を更に大きくする等が、本当に出来るのか見てみたい気がして
います。

「⑦パパ」様

コメント有難う御座いました。

昼頃の情報では、鍵になるオハイオ州もトランプ候補を選んだようです。下院は共和党ですので、あと上院で民主党がどのくらい勝てるのも問題です。

トランプ候補が勝利しても、言っていること全ては実現できない、あるいは事実誤認も多いので、その必要がないという結果になると思います。加えて、メキシコの壁以上に、官僚の壁や軍産複合体の壁なども強固ですから。

官僚や軍産複合体の壁も高いとは思いますが、そうした壁にはヒラリー・クリントンよりはドナルド・トランプの方が戦えるように感じますが、いかがでしょうか。

また、アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており、国民が選んだわけでもない首相が、憲法まで好き勝手にするようなことはないと思いますが、どうでしょうか。

それにしても、今回の大統領選挙の直前になってのFBI の動きには、とても興味があります。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。御指摘の点、その通りだと思います。

メールについてのスキャンダルは、クリントン側では全ての記録を破壊した積りだったのに、そうではなかったことから、捜査をし直さなくてはならなくなったということなのだと思います。

ニクソン大統領が、秘密裡に録音していた音声テープが命取りになったように、今回は、情報時代の技術管理の甘さが命取りになったのではないかと思います。

この記事がそうだというわけではありませんが、トランプ人気の説明にポピュリズム(大衆迎合)を持ち出すことには違和感があります。
大衆の否定は民主主義の否定であり、民意が正しいという前提でなければ、専制君主制に戻るしかありません。
人間は常に未熟で間違いを犯すものです。しかしそれでもみんなで考えれば少しでも正しい結論に達するという体制にしなければならない、というのが民主主義ではないでしょうか。
それに大きく関わってくるのがマスコミですが、今回の大統領選挙でみれば、マスコミの攻撃はクリントンに対するものよりトランプに対するものの方が遥かに酷く、テレビ討論会でも司会は完全にヒラリー側に有利な質問やコメントが目立ちました。
そうした逆風の中でトランプ大統領は誕生したということを重くみるべきだと思います。

 米大統領選挙の迫った重要な時期にFBIは「メール問題」の捜査再開を発表したが、FBIは民主党オバマ政権の命令下にあり「大統領府に何の連絡もせず捜査再開を議会に通報してしまった」などあり得ない。その後数日間沈黙したオバマは「不十分な証拠しかないのに捜査を再開してはならない」とFBIを批判してみせたが、実はオバマがクリントンの捜査に積極的な捜査官らを支援し選挙直前の捜査再開につなげたことは間違いない。

 それからブログで紹介されているような本には、クリントンが国務長官時代に米金融界やサウジアラビアや中国など海外の勢力から献金をもらい、その見返りに相手側の要望を聞いたり、国務長官として得た情報を流していた疑惑も書かれていて、これらの書籍をもとに内偵を進めた現場の捜査官たちが「クリントン基金を立件できる十分な証拠が集まった」として正式な捜査開始を要望したところ、上層部はそれを止めたが、最後はオバマの支援が功を奏した。

 そして最後はマスコミの誇張された世論調査が、クリントンの支持率が実態に近づき期日前の投票も進んだ土壇場で「訴追することはない」と発表してトドメは刺さなかったところなど、まさにオバマの演出の見事なところと言わざるをえない。

「大衆」様
「FBH」様

コメント有難う御座いました。市民の持つ力について、またオバマ大統領の果した役割についての明快な解析にお礼を申し上げます。

オバマ大統領の役割については私も情報を集めてみますが、今回の選挙を左右したことについては次回取り上げていますので、お読み頂ければ幸いです。

メキシコとの壁は、トランプ大統領が就任する前に、メキシコの方が先に作るようですね。
なかなか面白い展開です。
日本もトランプ大統領に言われる前に、米軍に撤退して頂きましょう。
沖縄にとっては数%の経済効果しかないくせに70%を占領する米軍がいなくなれば、より安全になるだけでなく、経済的にも豊かになり日本からも独立できます。

「先手必勝」様

コメント有り難う御座いました。メキシコの方はともかくとして、おっしゃるように、在日米軍には撤退して貰う、という方針を早急に我が国が採用すべきですね。Change.orgでの署名運動でも始めると良いかも知れません。

 「アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており」ではあるが、大統領令やオバマの意思表明によって決まった政策もある。オバマが議会上院を迂回して大統領権限で批准したパリ条約やイランとの核協定そして尖閣諸島を安保条約の範囲内とすることなどだ。
 当然のこととして中国は尖閣への領海侵犯を強めて米国の行動をみるだろう。日本にTPPや温暖化対策よりも大きな課題になりそうだが、安倍政権はこれ幸いに思うかも知れない。

「FBH」様

コメント有り難う御座いました。議会の権限とは別に大統領の権限として実行できることは確かに多いと思います。

同時に、トランプ氏が糾弾したエスタブリッュメントの中には、共和党の議員もいれば民主党議員もいますし、マスコミのかなりの部分も入っています。さらに矛盾した「約束」をしてきたトランプ氏が、今後、そのいくつかを実現しようとし、それ以外のものは無視したり捨てたりする過程で、様々な利害関係が衝突して混乱が生じる可能性はかなり高いのではないかと思います。いくつか可能なシナリオが考えられますが、続いて一緒に考えられれば、と思っています。

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