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2016年11月

2016年11月30日 (水)

森の工房AMAのクリスマスコンサート

森の工房AMAのクリスマスコンサート

 

安芸の郷の建物、森の工房AMAで今年もクリスマスコンサートが行われる。

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12月9()の夜。演奏は午後6時15分から始まる予定だ。

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3つの障害福祉サービス事業所に通う利用者がいったん作業を終えて帰ったのちに再度夜に家族やガイドの方々とともにコンサートを楽しみに訪れる。(2015年のコンサートの様子。会場となるのは食堂)

 

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コンサート当日の準備。利用者が帰ったあとで、急いで机を他の場所に移動させて椅子を並べる。近年では毎回、その年に安芸の郷で実習体験をした専門学校や大学の学生の皆さんがボランティアとして会場設営、販売を手伝って頂いている。(写真は2011年)

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食堂をライブハウスにしつらえて演奏者の近くで一緒に演奏を楽しむ。利用者も家族と一緒に静かに聞き入る。地域の方も参加するので毎回200人近い人でいっぱいになる。(2008年)

 

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外の様子。会場には庭のキャンドルロードを通って入る。2008年ころまではローソク。(2008年撮影)

 

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この準備はコンサート当日、キャンドルを利用者とともに並べていく。(2013年)

 

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2011年からはLED照明に変わった。(2013年撮影)

 

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右がライブ会場、左がカフェと授産製品の販売会場(2015年撮影)

 

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コンサートのもう一つの楽しみ。販売とカフェのコーナー。コンサートが始まる前と休憩時間はちょっと立て込むが、焼き立てパンやケーキなど好みのものを手にお腹を満たして頂く。(2015年撮影)

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色々なケーキもあるし、(2013年作るのは森の工房みみずく・食品班のみなさん)

 

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パンも焼き立てが味わえる。(コンサート中にもグラタン入りの焼き立てパンをせっせと作る職員。2013年)

 

このコンサートは森の工房AMAが開所した2003年から始まり今年で14回目を迎える。途中から安芸区民文化センターの協力を得るようになり、センターにある「安芸クラッシックコンサート実行委員会」のメンバーの方々の中から23人がお見えになって演奏して頂いている。

 

何よりも利用者と家族が安心して気軽に聞ける場所として定着してきた。だから、安芸の郷と2つの家族会で実行委員会を結成して毎回より良いコンサートにするよう話し合いながら続けてきている。地域の方にも参加してほしいのでチラシの配布やホームページでのお知らせなどをしている。

 

今回の演奏者は

 

 大田 響子 ヴァイオリン 

 

 平福 知夏 ソプラノ

 

 三島 良子 ピアノ

 

の皆さんに出演頂く。

 

 

20161130

 

社会福祉法人安芸の郷 

 

理事長 遊川和良

 

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2016年11月29日 (火)

アメリカ社会は変ったのか(5) [オバマ効果] > [トランプ効果] ?


アメリカ社会は変ったのか(5)

[オバマ効果] > [トランプ効果] ?

 

かなり長いシリーズになりましたが、続けて読んで頂ければ幸いです。

 

前にも「オバマ効果」と銘打った記事を何度か書きましたが、改めて「オバマ効果」をまとめると、次のようなことになると思います。

      (1)自ら持つ「絶対性」を使って

(2) アメリカ社会の持つ信念の「絶対性」、つまり「原爆投下は正しかった」という命題の権威を否定し、

(3) 一人一人の人間の持つ内なる声、”the better angles of our nature”を引き出した

(4) 結果として、プラハ演説で自ら掲げた目標を、プラハ演説によって実現した。

 

対して「トランプ効果」とはその逆で、

(1) 多くの人たちの持つ「本音」、それも心の中では否定したい気持ちもある「本音」を、大統領の持つ「絶対性」で「絶対化」し、

(2) 「本音」で発言し行動しても良い、というメッセージを「絶対化」して発信し、

(3) 「怒り」「憎しみ」「暴力」といったマイナス面を引き出した。

とまとめられるのではないかと思います。となると、残された疑問は

(4) The Better Angels of Our Nature」はどこへ行ったのか?

になります。 


The Better Angels of Our Nature」は健在です。ハーバード大学のスティーブン・ピンカー教授の著書「The Better Angels of Our Nature」は、何回か取り上げていますが426日の記事が最初です

その後、731日にも再度取り上げました。そこにも引用したのが、1946年以来の世界が平和になっていることを世界情勢に照らして説明しているリストです。重複を厭わずに再度掲載しましょう。

  

「平和」を示す戦争関連の歴史的事実 (1946年以降)

 

l 核兵器は使われていない

l 冷戦で対立した二つの国が戦争はしなかった

l 「大国」間の戦争もなかった(中国が大国になったのは、朝鮮戦争後と解釈)

l 1953年から数えて、紀元前2世紀のローマ以来、最も長い期間、大国間での戦争がなかった時期

l 西ヨーロッパの国同士での戦争もなかった

l 1人当たりの所得が最も高い44か国の間での戦争はこの間、1956年のハンガリーへの侵略を除いてゼロだった

l 先進国が、他国を侵略して領土を拡張することもなかった

l 多くの国が独立した

l 国際的に認められていた国が侵略により独立を失うこともなかった

 

アメリカ国内に限って犯罪率を見ても、1994年以来、ハッキリ減少傾向を示しています。

                  

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 60年代から上昇した背景は別に分析が必要ですが、最近の傾向は「非暴力的になっている」です。しかし、世論調査の結果を見ると、多くの人が「犯罪は増えている」と信じているという結果になっています。

 

仮に「本音」として表現されているのは、誤った認識によって多くの人が持つに至った不安だと考えられるなら、犯罪率が減っているという「事実」が広まることによって、「本音」も現実を反映したものになるのではないでしょうか。つまり長期的には「オバマ効果」が「トランプ効果」に勝つという傾向です。その結果、社会がより非暴力的になり、世界が平和になるというシナリオもあり得る、いやそうなるだろうと予測するのは楽観的過ぎるでしょうか。

 

 

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2016年11月28日 (月)

アメリカ社会は変ったのか(4) 「世界の警察官」は止める


アメリカ社会は変ったのか(4)

「世界の警察官」は止める

 

前回は、「僅差」でアメリカは良くなっていること、またそう考えている根拠をいくつか挙げておきました。「良くなっている」と表現しましたが、それは「力の支配」から「法の支配」へと基本的な価値観がシフトしていることを指すと言っても良いように思います。それも社会全体から見ると「僅差」でそんな状況になっていると言った方が正確かもしれません。前回のリストの6項目について説明することで、分って頂けると良いのですが――。

 

 総得票数では、クリントン勝利。

改めて指摘するまでもなく、民意を測るのであれば、総得票数が一番忠実に民意を反映しています。いやそれ以前の問題として、「民意」とは「国民の過半数の意見や考えていること」と定義すべきなのだと思います。さて、クリントン候補とトランプ候補とを比較して、クリントン候補の方が、力に依存しない立場、少なくとも、ヘイト・クライムやヘイト・スピーチを誘発する立場ではなかったことは認めざるを得ないと思います。しかし、それぞれ6,000万程の得票数中の200万票くらいの差ですから、「僅差」です。

              

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 アル・ゴアも総得票数では勝っている。

これが2000年の選挙でした。しかし、その後の8年間はブッシュ大統領の時代になりました。アメリカの政治は保守一色に染められてしまったとも言えるほどだったのですが、その結果としてとまでは言えなくても、2008年には黒人のしかもリベラルなオバマ大統領が誕生したのですから、社会全体のリベラル傾向はブッシュ時代にも生き残っていたと考えて良いように思います。そして今回の選挙ではそれが反転した形になって現れました。つまり、アメリカ社会の中の保守的な勢力や差別を助長する価値観もオバマ時代を通じて生きていたのです。では、オバマ政権はどのような役割を果したのでしょうか。

 

 議会に阻まれて、100パーセントの成果は残せなかったが、オバマ政権の遺産は長く残る。

一つだけ、「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度の改革を挙げておきましょう。先進国の中で、アメリカやカナダは国民皆保険制度のない国です。自前で健康保険に入るのですが、その結果、貧しい人々は経済的な理由で適切な医療を受けられないという現実がありました。これに対する救済措置として、高齢者のためのメディケア、低所得者のためのメディケイドという制度もあるのですが、複雑かつ民間の保険会社に依存する必要等があり、上手く機能していません。

 

「オバマケア」は、日本のような、国による保険ではありませんが、健康保険への加入率を増やして、低所得層にも医療を提供しようという画期的なプログラムです。それがようやく軌道に乗ったのが2014年ですから、まだまだ全ての人が恩恵を受けている訳ではありません。その効果は長期的に見て初めて理解されてくるのだと思います。しかし、人間の命より企業の利益を優先し続けてきた社会が、限られた形ではあっても、人間の命優先に舵を切り替えた事実は、社会全体を変えるためのエネルギーになり得ると思います。

 

 中でも、「原爆投下は正しかった」と考える人たちの数が減っていることは、その柱の一つ。

この点については「核先制不使用宣言(オバマ効果その3)でも触れていますが、アメリカが「世界の警察官」を自任して、「力の支配」構造のトップとして君臨してきた背景には、「パール・ハーバー」と「原爆投下」という、「勧善懲悪」のモデルがあります。

http://kokoro2016.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/3-b0b5.html

 

多くのアメリカ人にとっては「絶対零度」的な悪の象徴である真珠湾攻撃に対して、その下手人である日本を原爆によって懲らしめたことで、「原爆投下は正しかった」が「善なるアメリカ」の象徴になっていました。しかし、「原爆投下」を正当化する声が過半数を割ったことは、アメリカの世界観が大きく変わることを意味します。

 

その結果として、「世界の警察官」という立場の無謬性にも疑問符が付き、「力の支配」という原理で世界を考える傾向も変ってくるはずです。「力の支配」の信奉者であるトランプ氏が「世界の警察官」は止めると主張している理由は、経済的な負担ということが大きいのかもしれませんが、全く正反対の立場から、同一の解決策が出てくることも不思議です。それを皮肉だと考えるのか、より大きな真実が顕在化したと考えるのか分れるところですが、この方向そのものの正しさは疑う余地がありません。ですから次の結論になります。

 

 その結果として、「世界の警察官」は止めると考える方向は正しい。

第二次世界大戦後、アメリカが世界に君臨してきた枠組みとも言える考え方が崩れるのですから、これほど大きな変化はないと言うべきでしょう。しかし、トランプ氏の世界観は、今まで以上に「力の支配」を強調しているように見えます。折角のパラダイム転換がまた元に戻る可能性はないのでしょうか。オバマ大統領に象徴される世界像とトランプ流のそれとはどう違うのでしょうか。それが次の項目のテーマですが、長くなりましたので、次回に。

 

 さらにこれは人類史的な傾向の一部その傾向はSteven Pinker著の”The Better Angels of Our Nature” に詳述されている

 

 

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2016年11月27日 (日)

アメリカ社会は変ったのか(3)    トランプ勝利とアメリカの保守化


アメリカ社会は変ったのか(3)

トランプ勝利とアメリカの保守化

 

前回は、エスタブリッシュメントの基本的な考え方が30年以上、共和党に牛耳られていた結果として、世論に反映される社会の価値観が保守的になったのか、あるいは社会の保守化が、このようなエスタブリシュッメントを実現させてきたのかは兎も角として、長期的な保守化の傾向の行き着く先として、トランプ政権の誕生につながったと見ることも可能であることを指摘しました。

 

しかし、それだけでは説明できない重要な事実がいくつかあることにも注目したいと思います。一番分り易いのは、大統領選挙での総得票数はクリントン候補の方が多かったという事実です。

 

それでも、トランプ候補が勝ったのですが、それは保守派の力が大きかったからなのでしょうか。「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」を再検証することでこの点を考えて見ましょう。そのためにマイケル・ムーア氏が掲げた5項目をお浚いしておきましょう。

 

1.) 中西部の票読み。

2.) 怒れる白人、最後の抵抗。

3.) ヒラリー問題。

4.) 意気消沈したサンダース支持者票。

5.) ジェシー・ベンチュラ効果。

            

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1.)4.)は、選挙戦術に属する問題で、社会全体の動きと関連はあるものの、保守化の傾向あるいはリベラル化しているかどうかという次元とは違ったレベルでの動きです。確かに、2.)は、リベラル化している社会への反発ですから、保守的な人たちの声を反映しています。しかし、対等な立場からの反対というよりは少数派になった危機感の顕在化と見た方が良さそうにも思えます。3.)は、クリントン候補が本来はリベラルな立場を取るべきなのに、エスタブリッシュメントの一員としてお金の問題、信頼性の問題、力の政策等、保守派の立場に依り過ぎているという批判が主ですので、保守派の力を示している事情ではありません。そして5.)は、変革を求める人たちの声の反映ですので、これもこれまでの共和党政権批判と見るべきなのだと思います。

 

マイケル・ムーア氏の分析を元に何故トランプ氏が選挙に勝ったのかを考えるとき、アメリカ社会が保守化しているからだと総括するのは早計だと考えられます。つまり、総得票数でクリントン候補が勝ったのは、アメリカ社会が徐々にではあってもリベラル化しているからだと断定できないにしろ、少なくとも、リベラル化しているという仮説とは矛盾しないと言っても良いのではないでしょうか。

 

それだけではなく、圧倒的な差がある訳ではないのですが、「僅差」でアメリカは良くなっていると主張したいと思っています。その理由をいくつか挙げておきましょう。

 

 総得票数では、クリントン勝利。

 アル・ゴアも総得票数では勝っている。

 議会に阻まれて、100パーセントの成果は残せなかったが、オバマ政権の遺産は長く残る。

 中でも、「原爆投下は正しかった」と考える人たちの数が減っていることは、その柱の一つ。

 その結果として、「世界の警察官」は止めると考える方向は正しい。

 さらにこれは人類史的な傾向の一部。その傾向はSteven Pinker著の”The Better Angels of Our Nature” に詳述されている

 

詳しくは次回に。

 

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2016年11月26日 (土)

アメリカ社会は変ったのか(2) マイケル・ムーア氏の観察よりは「保守的」なのかもしれません


アメリカ社会は変ったのか(2)

マイケル・ムーア氏の観察よりは「保守的」なのかもしれません

 

前回は、「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」の導入部で、マイケル・ムーア氏が「文化戦争」で左派が勝ったと断定できる根拠として挙げている7項目の内五つを、世論調査の結果等を元に再検証しました。

 

7項目は次の通りです。

 ゲイやレスビアンの結婚は合法

 男女同一賃金

 人工中絶は合法

 より強力な環境保護法が必要

 銃規制はもっと厳しく

 マリワナを合法化

 社会主義者が22州で勝利

 ①「ゲイやレスビアンの結婚は合法」については、アメリカの50州全てで合法化され、同性間の結婚を合法化することに賛成する人が60パーセント、反対が37パーセントというギャラップ社の世論調査結果があります。長期的なトレンドを見ると、賛成の増え方は社会全般の理解が進んだ結果だと結論付けて良いように思えます。ムーア氏の観察と一致しています。


次に、②「男女同一賃金」ですが、圧倒的多数の人が、男女同一賃金を支持しています。この点についてもムーア氏の観察の正確であることが分ります。

 

三つめの③「人工中絶は合法」ですが、80パーセント近くの人が、中絶は合法だという考えの持ち主ですが、自分が中絶賛成派なのか、あるいは中絶反対派なのか、という問に対しては五分五分の回答になっています。長期的にもこの傾向は変わっていません。

 

具体的に中絶を合法化するための法律案が審議されている場合、その法案の中身によっては多くの人が支持する可能性は高いものの、法律案を出すのは選挙で選ばれた議員です。(日本の場合は地方議会でも、行政の提案がほとんどですが、アメリカは違います。) その議員を選ぶ際には、「中絶賛成」「中絶反対」という大きな括りでの選択になるでしょうから、事実上社会がどう動くのかを一つの指標にした場合には、「左派の勝ち」という結論にならない可能性もあるということになります。ムーア氏の観察は、一応「△」にしておきましょう。

 

次は④「より強力な環境保護法が必要」ですが、かつての7119に比べると、かなり後退して、5637になっています。ここ56年は環境保護派が巻き返している感があるものの、社会全体が内向きになってもその傾向が続くのかは心配になります。これも「△」ということにしておきましょう。

 

最後に⑤「銃規制はもっと厳しく」ですが、ピュー・リサーチ・センターの調査結果についての訂正をしておきます。初めの原稿では、グラフの解釈が逆でした。正しくは、2000年には銃規制派が3分の2あったのが、最近では過半数を割り、銃規制反対派が過半数を占めるまでに勢いを増しているのです。この点に関する限りムーア氏の観察は、ちょっぴり不正確なのではないかと思います。一応「×」です。

 

もう一つ、前回最後に掲げたグラフを再掲します。アメリカ社会を一つのグラフで表すとしたら、このグラフになる可能性も十分ある、所得格差を示すグラフです。赤は、高額所得のトップ10パーセントの人たちの所得、青は、大半の人が属するボトム90パーセントの人たちの所得です。

                  

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 これと連動して考えたいのが、アメリカの大統領は共和党、民主党どちらの政党の政策を実現してきたかという点です。1980年のレーガン氏以降の大統領で見てみましょう。それは、アメリカ社会で貧富の格差が極端に大きくなった時期と重なっています。

 

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民主党のビル・クリントン氏とバラック・オバマ氏の二人が大統領になっていますので、32という割合で共和党と民主党の政策が交互にアメリカを動かしてきたと考えるのが常識なのかもしれません。

 

しかし、実際はそうではないという考え方もあります。例えば、クリントン家とブッシュ家とは大変仲が良く、家族ぐるみの付き合いがあるそうですし、クリントン政権の政策のかなりの部分は共和党政権そのまま、あるいはそれ以上に問題があったことも指摘されています。それは例えば、アメリカの歴史学者ハワード・ジン教授の『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史〈下〉1901~2006』などに詳しく述べられています。

 

多くの事例から一つを挙げておくと、「Antiterrorism and Effective Death Penalty Act of 1996(反テロリズムと効果的死刑法)では、合法的な移民でも、過去に犯罪を一度でも犯していれば、それがかなり昔の犯罪でも、またアメリカ人と結婚して子どもたちもアメリカの市民である場合でも国外追放できる、という内容が盛り込まれているとジン氏は述べています。これはトランプ氏の非合法移民を国外追放するという考え方以上に、「移民」に取っては厳しい内容です。

 

同様に、オバマ政権でも議会は共和党にコントロールされていたのですから、大統領の意向がどうであろうと、多くの場合に共和党の政策が実現されてしまいました。でも、その責任は大統領にあるという主張も行われてきました。

 

どちらが鶏でどちらが卵なのかは良く分りませんが、アメリカ社会の中の不満は共和党の政策や議会そして行政のコントロールによって起きたとも考えらます。エスタブリッシュメントの基本的な考え方が30年以上、共和党に牛耳られていたのであれば、世論に反映される社会の価値観が保守的になっても不思議ではありません。あるいは社会の保守化が、このようなエスタブリシュッメントを実現させてきたのかもしれません。

 

このように長期的な保守化の傾向の行き着く先として、トランプ政権の誕生につながった、と見ることも可能です。しかし、その他の解釈も成り立つのは社会が複雑だからなのか、分析力が弱いのか、次回をお読み頂ければ幸いです。

 

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2016年11月25日 (金)

アメリカ社会は変ったのか(1) 大統領だけで未来が決るのではない

アメリカ社会は変ったのか(1)

大統領だけで未来が決るのではない

 

アメリカの大統領選挙でトランプ氏勝利の原因は奈辺にあったのか、またトランプ政権の今後にはどのような可能性があるのかについて考えてきましたが、焦点を合わせたのは次期大統領のトランプ氏でした。もちろん、強大な権力を持つのですからそれは当然なのですが、それと同時に、アメリカ社会自体の「今」そして今後に焦点を合わせて考えておくことも大切です。特に、日米の市民同士が連携して、核兵器の廃絶その他の課題に取り組んで行くことで新たな方向性を打ち出し、それに呼応して力を発揮してくれる政権を誕生させるためにも、シャープで冷静な分析が必要です。「アメリカ」という大きな器の話ですから、これまでの論考と重なる部分もありますが、「切り口」で違う姿が見えてくることを期待しています。

 

そのために、「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」の導入部で、マイケル・ムーア氏が「文化戦争」で左派が勝ったと断定できる根拠として挙げている7項目を、もう少し詳しく見て見たいと思います。

 

 既に「本音と建前   アメリカと日本そして世界はどうなる?でも、分析は試みていますが、もう少しデータを増やしたり丁寧に比較したりということでもう一度考え直したいと思っています。

 

さてムーア氏の言葉を要約すると、「文化戦争」で左派が勝ったと言えるのは、世論調査その他の指標で、ほとんどのアメリカ人がリベラルな姿勢を示しているからだと言って良いように思います。個別に挙げられていたのは7つの項目です。それらは、

 ゲイやレスビアンの結婚は合法

 男女同一賃金

 人工中絶は合法

 より強力な環境保護法が必要

 銃規制はもっと厳しく

 マリワナを合法化

 社会主義者が22州で勝利

でした。第⑥は、カリフォルニア州の住民投票で実現されましたし、⑦は民主党の予備選挙での実績ですので、これはそのまま受け止めましょう。最初の五つを見てみましょう。

 

 

最初の、①ゲイやレスビアンの結婚は合法、については、次のグラフが示すようにアメリカの50州全てで合法化されました。それは2015年の最高裁判所の判決の結果です。

 

Photo

                             

その背景として、同性間の結婚を合法化することに賛成する人が60パーセントいることが、ギャラップ世論調査の結果から分ります。しかし、37パーセントの人たちは、最高裁の判決があるにもかかわらず反対の意思表示をしています。社会が分断されていると感じるには十分な数だと考えられます。

 

Same_sex_marriage_opinion_polls_gal

 次に、②男女同一賃金ですが、次のグラフを御覧下さい。

 

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圧倒的多数の人が、男女同一賃金を支持しています。そして「企業が同一賃金を払うことを義務化すべき」という意見が多いことからは、「一般論」としては同一賃金賛成、しかし、払う側の抵抗が大きくて実現していないという現実が浮び上ります。

 

三つめの③人工中絶は合法、ですが、まずは一番上の線から、「どんな状況でも中絶は合法」「一定の条件を満たした場合には合法」「どのような場合にも非合法」という三つめの線まで、三つの選択肢の中から選んだ場合の結果です。ギャラップ社の調査です。

 

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 「どのような場合にも合法」と「一定の条件下で合法」を合わせると80パーセント近くの人が、中絶は合法だという考えの持ち主です。でも次のグラフも見て下さい。

  

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 「プロ・チョイス」つまり中絶賛成派なのか、あるいは「プロ・ライフ」つまり中絶反対なのか、と問われた場合にはほとんど差がありませんし、時間的にも大きな変動はありません。一見相反するように見える世論調査の結果をどう見るのかが大切です。

 

次は④より強力な環境保護法が必要、ですが、ギャラップ社の調査結果を御覧下さい。問は「環境保護が優先されるべき」「経済成長が優先されるべき」の二つのどちらを選ぶかです。直近の5637という数字ですが、かつての7119に比べると、かなりの後退です。

 

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 最後に⑤銃規制はもっと厳しく、です。ピュー・リサーチ・センターの調査結果です。

 

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2000年には銃規制派が3分の2あったのに、最近では、銃規制反対派が過半数を占めるまでに勢いを増しているのです。

 

もう一つ、アメリカ社会を一つのグラフで表すとしたら、このグラフになる可能性も十分ある、所得格差を示すグラフです。赤は、高額所得のトップ10パーセントの人たちの所得、青は、大半の人が属するボトム90パーセントの人たちの所得です。

 

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随分長くなりました。説明と分析は続編を御覧下さい。

 

 

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2016年11月24日 (木)

500人が参加し原爆ドーム世界遺産登録20周年記念行事を開催

500人が参加し原爆ドーム世界遺産登録20周年記念行事を開催

 

昨日紹介した「原爆ドーム世界遺産登録20周年記念行事」は、500名が参加し開催されました。午後3時から始まった「記念フォーラム」は、実行委員長の久光博智連合広島会長が、国連での「核兵器禁止条約」の採決で日本政府が、反対したことに触れながら「危機的な状況の中で、広島に生きる私たちの責任は重い。原爆ドーム世界遺産化実現に努力した私たちが、きちんと原爆ドームからのメッセージを次世代につなぐ責任がある」と開会のあいさつを行いスタートしました。続いて中下副知事、松井広島市長、そして連合の山根木組織局長が来賓としてのそれぞれの立場から「原爆ドーム」への思いを込めた挨拶がありました。

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続いて記念講演に移り、原田浩元原爆資料館館長は「20年まえ広島市の事務方の責任者をしていた」ことに触れながら、「署名活動の実行団体の一つ一つが大きな力を発揮したことで、行政だけでは、出来なかったことを実現させることができた」と市民の力が実現の大きな力になったことを紹介し、さらに「原爆ドームは、写真で紹介される原子雲の下で何が起こったかという重要なことを今に示している」とその役割の大きさを改めて強調されました。ちょうど同じ年に出された「ICJ(国際司法裁判所)の原爆投下に対する勧告的意見」を紹介しながら、「『核兵器をなくすこと。原爆の惨禍を伝えたい』との思いが、わずか5カ月間に165万人の署名となった」と当時の市民の思いに触れ「これから原爆ドームと共にヒロシマの継承や被爆者の思いを伝えることが非常に重要だ」と強調された。最後に「市民とともに平和事業、行政が推進されなければならない」と署名運動から学ぶべき課題を訴えられた。

 

その後、6人の若い人たちからのアピールが行われました。今年の夏ジュネーブの国連欧州本部を訪れた高校生平和大使の3人は、現地での活動を報告しながら「立場や主張を明確にすること」の大切さを学んだことと「私たちには大きな力はないが、私たちの声をみんなしっかりと受け止めてくれた」「あきらめずに活動を続けたい」と決意を述べました。原爆ドームの横でガイドを続けている村上正晃さん(23歳)は、「ガイドを始めるまでは原爆ドームをただシンボルだとしか思えなかったが、今はとても大事なものになっている」、そして被爆者の話を聞きながら「広島はまだ終わっていない」ことを実感している。ガイドをしながら「ポケモン探しに来た人たちなどをみると広島の人こそ原爆を知らないのではないか?と思う。どんな年月が経ってもここで起きたことは変わらない。そのことを原爆ドームは語っている」と自らの体験の中から学んだことを報告してくれました。続いて長崎からの若者のアピールが続きました。

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「記念フォーラム」の最後は、「原爆の子の像」のモデルとなった 佐々木禎子の甥で被爆二世のシンガーソングライター佐々木祐滋さんトークライブがありました。佐々木さんは、禎子さんの生涯を紹介し、禎子さんがおったオリヅルをアメリカの人々に届ける活動を通じて「平和」を訴えていることを語りながら、禎子の思いを綴った楽曲「INORI」などを披露しました。

 

「記念フォーラム」終了後、会場を原爆ドームに移し「平和アピール行動」を行いました。代表による献花、献水を行い、「核兵器廃絶と世界恒久平和実現のため、無言で訴え続ける『原爆ドーム』と共に連帯の輪を広げて行動することを誓う」平和ピールを採択し、最後に片山孝恵さんのリード歌唱によって「翼をください」を全員で合唱し、午後7時に全ての行事を終了しました。

 

 

私も副実行委員長の席に座りながら、署名活動がスタートした1993年当時、実行団体の一つ広島県原水禁の事務局次長として参加し、正直なところ私自身は「本当に署名で政治の壁を破ることができるだろうか」と思いつつスタートした活動でしたが、多くの人たちの努力により驚くほどの勢いで広がり、ついに市民の力で「政治」を動かすことができたことを改めて振り返り、広島が果たすべき役割の重さと市民の力を痛感し、決意を新たにしました。

 

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2016年11月23日 (水)

カープ 原爆ドーム保存のため1億円寄付―世界遺産登録20周年―

カープ 原爆ドーム保存のため1億円寄付―世界遺産登録20周年―

 

一昨日(21日)広島東洋カープが、「長年応援してくれた市民に少しでも恩返ししたい」と総額5億円を広島市に寄付したと発表しました。そのうち1億円については、「原爆ドームの保存」に使用するように望んでいるとのことです。私にとっては、大げさではなくカープの優勝と同じくらいのうれしいニュースです。今年は、原爆ドームが世界遺産に登録されて20周年という節目の年ですので、より大きな意義があると思います。

 

実は、今日(23日)午後3時から広島国際会議場と原爆ドーム前を会場にして、核兵器廃絶広島平和連絡会議(連合広島など12団体)の主催する「原爆ドーム世界遺産登録20周年記念行事」が開催されます。

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記念行事は、原田浩(元資料館館長)さんの記念講演や若者たちのメッセージを中心とする「記念フォーラム」と原爆ドームへの献花、献水などによる「平和アピール行動」が行われます。世界遺産登録は、20年前の1996年12月7日に実現しましたが、会場の都合により今日の開催となりました。広島県原水禁も実行団体の一つとして、この記念行事に参加します。

 

20周年を迎えた改めて、「原爆ドーム」のユネスコ世界遺産登録を実現させた大きな力は、多くの市民や県民が一体となって取り組んだ国会請願の署名活動だったことを思い起こします。当時を振り返ると、1993年6月「原爆ドーム世界遺産を進める会」が結成され、わずか4か月で100万人を超え、10月の国会への請願提出時には134万5700人、そして最終的には165万人の署名が集まり、その力が国会や政府を動かし、世界遺産登録への道を切り開きました。特に、それまで世界遺産登録申請のネックとなっていた「文化財指定基準」(当時もっとも新しいものでも明治中期以前)を変更させたことにより、1995年6月27日「原爆ドーム」が史跡指定され、国内条件が整ったのです。この署名活動がなければ、世界遺産登録へ道はもっと遠いのもとなっていたと思います。

 

原爆ドームは、この世界遺産登録だけでなく、幾度か行われた保存工事における市民カンパにもみられるように、市民の力によって守られてきました。多くの市民が原爆ドームに求めてきたことは、「建築物としての文化的評価」ではなく、「原爆ドーム」に刻まれた被爆者の慟哭、死者たちへの鎮魂と追悼そして被爆の実相を世界の人々に伝え、核兵器を世界のだれにも使用させてはならないという警鐘鳴らし続け、一日も早い核兵器の廃絶を実現させることです。

 

そのため世界遺産登録された原爆ドームをただ単に「守る」ということにとどまらず、それを保護すべき「バッファゾーン」(緩衝地帯)を平和公園など幅広く設定し、「原爆ドーム」がその役割を果たせるよう良好な環境を保全することとしています。

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しかし、原爆ドームとそのバッファゾーンをめぐっては、この20年間マンション建設問題などいくつかの課題が、惹起してきました。最近では、「かき船」移転や「オリヅルタワー」などに対して、市民や被爆者の間から、疑問の声が上がるなど、「世界遺産原爆ドーム」の世界的価値をどう守り継承するのかが問われることになっています。「原爆ドームの価値」を未来の世代にきちんと引き継ぐために、世界遺産登録20周年を迎えた今、原爆ドームを保護すべき広島市や国が、市民とともに改めて考えることが求められているといえます。「かき船」問題には、私も深く関わっていますが、この問題についてはまた機会を改めて触れたいと思います。

 

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今月18日から始まった「ひろしまドリミネーション2016」でも、今年初めて「原爆ドーム」が20年前同時に世界遺産登録された「厳島神社」と共に登場しています。一度行ってみてください。

 

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2016年11月22日 (火)

11月のブルーベリー農園

11月のブルーベリー農園

 

夏のブルーベリーの実の摘み取りでは安芸の郷の支援をして頂いている方々や利用者、職員、農園の友人、知人の援農で事故もなく収穫の喜びを共有させていただいた。そして、たくさんの実を安芸の郷に納品することができた。

 

晩秋のブルーベリーはマツダスタジアム並みに赤く染まっている。


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11月も中旬に入り、ブルーベリーは様相を一変させて一気に紅葉を始めた。今年は少し早いようだ。

 

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畑から農園の家を望む。

 

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逆に農園の家の庭からサザンカ越しにブルーベリー畑を望む。

 

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列の間隔は2.5mある。ブルーベリーの紅葉のトンネル。以前、収穫の時期に安芸の郷の職員がちいさな子どもを連れてきたことがあり、その子がブルーベリーのこの通路を走って行ったり来たりして遊んでいたことがあった。アニメ「となりのトトロ」に出てくる妹のメイがトトロを追いかけて森のトンネルをかけていくシーンが思い出された。宮崎駿監督の目の付け所はすごいなと思ったものだ。

 

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紅葉に染まりながらも農作業を行う。毎年この時期にもみ殻をブルーベリーの木の下に敷き詰めるので近所の農家から頂いたもみ殻を袋詰めにして畑の中に運ぶ。今日で運搬は終わったので次は木の下にまく作業が待っている。無潅水栽培なのでもみ殻が水分蒸発を防いでくれる。

 

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運搬中なぜか赤とんぼがとまりに来る。畑に起きてある袋に数匹とまりにくる。中にはビニール袋で足を滑らせながらとまろうとするトンボもいてつい微笑んでしまう。

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ブルーベリーの花芽がずいぶん膨らんできた。このひとつの芽から花が前に押し出すように10個くらい咲く。だから結実すると10個くらいの実が実ることになる。

 

ところでブルーベリーの紅葉は主としてアントシアニン色素によるものだが「紅葉は、紅葉の後に続く落葉に備えて、葉内の栄養分、糖類や無機成分を枝に転流した後の状態ともいえます」そして「落葉は一種の生理現象で、やがて来る冬季の厳しい低温から枝や芽を守るための準備です」(ブルーベリーの観察と育て方より:玉田孝人、福田俊共著、創森社より)。きっちり順番にそって季節を刻んでいくところが偉い、と思ってしまう。

 

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ブルーベリーの畑に1本だけムラサキシキブが生えている。落葉したあとの晩夏の実の色は少し銀色をおびてどこかすごみがある。

 

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無造作に束ねて咲かす隣の農家の畑の菊が満開。


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9月に稲刈りが終わった田んぼ。このまま冬を越す。

 

 

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社会福祉法人安芸の郷 理事長 遊川和良

 

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2016年11月21日 (月)

Wi-Fi に接続しただけで情報が盗まれる?    対抗手段は信頼できるWi-Fiを使う


Wi-Fi に接続しただけで情報が盗まれる?

 対抗手段は信頼できるWi-Fiを使う 

 

ラズパイゼロを使っての「Poison Tap」対策は、USBが使えないようにすることも効果的ですが、ラップトップの場合、誰でもアクセスできるようなところに放置しない、ということかもしれません。また、(盗難の危険がなくて)、ラップトップから離れなくてはならない場合は、電源を切って、再起動にはパスワードか指紋認証が必要になるようセットしておいても大丈夫だと思います。

 

もう一つ、最近報道されたのは、上海交通大学、南フロリダ大学、マサチューセッツ大学ボストン校の研究者が、10月にウィーンで開かれたコンピュータ・セキュリティーの学会で報告したもので、Wi-Fiに接続してあるコンピュータやスマホのシグナルを盗んでパスワードやPINコードを手に入れることが可能になる方法です。「Wind Talker」という名前が付けられています。サイトには学会報告のYouTube動画もあります。

 

               

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これが可能になるためには、まず、盗人ハッカーが、あなたの接続しているWi-Fiをコントロールしていることが必要ですが、例えば街中で使える「Free Wi-Fi」の一つを盗人ハッカーが、全く無害のWi-Fiを提供していると装う、というような前提が必要になります。と言うことで、現段階ではそれほど警戒しなくても大丈夫なのかもしれませんが、どんなメカニズムなのかも一応理解しておいた方が対策もし易いかもしれませんし、自分自身を守るためには、何をすれば良いのかという知識を持つためにも参考になるかも知れません。

 

スマホの場合で単純化して説明すると、画面で番号を押したり、スワイプしたりすると、それがWi-Fiの電波に影響を与えてコミュニケーションが行えるのですが、仮にその数値が暗号化されていても、別の階層のシグナルから手の動きや画面を覆う範囲等を推測することができ、そこから、どの番号を押したのかといった情報を復元できることが分ったということなのです。中国の現金決済サイトでの実験では、6桁のPINコードを盗むことができたとのことですが、現在のレベルでは信頼度が68%くらいのようですので、盗人ハッカーが明日から使おうということにはならない状態です。

 

その理由の一つは、Free Wi-Fiの多くは、暗号化をしていませんので、そのWi-Fiにアクセスして、他人の情報を比較的簡単に盗むことが可能だからです。

 

 

Free Wi-Fiが暗号化されていないことの対策として、VPN(Virtual Private Network)を通すことは知っていたのですが、今回試しに接続しようとしたら、つながりません。iOS10からはつながらないようになったらしいのですが、これについてもどなたか教えて頂ければ幸いです。

 

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コメント

セキュリティについてはまとめて記事を書こうと思っていますが、取り敢えず、iOS 10 のVPNについてだけ書いておきます。

VPN接続には様々なプロトコルがありますが、iOS 10 から対応しなくなったのは、PPTPというもので、以前から、お気楽VPNと揶揄され、できれば避けるべきとされていたガードの甘いプロトコルです。

これはiOSの最大のデメリットを言われながらもセキュリティ上の理由から頑としてFlashを認めず、HTML5など安全なものへの移行を促したAppleらしい対応で、Appleの最新OSである iOS 10 や macOS Sierra で使えるVPNプロトコルは安全を確保できるL2TP、IKEv2、Cisco、あるいはApple製のものに限られました。

また、それに伴ってVPNの設定のメニューも変わっていますし、設定情報も残っているので、PPTPで接続していた場合は、再設定が必要となります。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。iPhoneでVPNにつなごうと試みたのですが、上手く行きません。L2TPにセットして、サーバーは筑波大学のリストから日本のものを選び、後は「vpn」と入力しても、「L2TP-VPNサーバーが応答しませんでした」というプロンプトしか返ってきません。数カ所違うサーバを試して見ましたが、同じです。サーバの許可を得るといった手続きが必要なのでしょうか。

広島大学では、大学のIDを持っている人だけにこのサービスを提供しています。

おそらくファイアウォールなどのネットワーク環境が L2TP を通さないのだと思いますので、その場合は OpenVPN プロトコルを用いて VPN Gate への接続が可能になると思います。

iOS では OpenVPN Client として、OpenVPN Connect などのアプリがありますので、それをインストールして使ってみてください。

念のために追記しておきます。
OpenVPNの設定は L2TP/IPsecより面倒ですが、筑波大学の説明は以下にあります。

http://www.vpngate.net/ja/howto_openvpn.aspx

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。Open VPNを設定してみます。

「工場長」様

お陰様でOpenVPN接続ができました。有り難う御座いました。L2TPで試みたのと比べると、アプリをダウンロードする手間が増えたということだけの違いでした。

2016年11月20日 (日)

第二回原水禁学校-似島を学ぶ、似島から考える - (日本のサッカー発祥の地-捕虜収容所から拡がったサッカー)


今回は、このブログのもう一人のスター・ライターの登場です。広島県原水禁常任理事の中谷悦子さん。被爆二世として「ノーモア・ヒバクシャ」「ノーモア・ウォー」等の運動を続けてきた人ですが、被爆者の高齢化が進む中、被爆者のメッセージを継承し新たなエネルギー創出のため、在外被爆者支援にも取り組むなど、今「旬」の活動を続けています。

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第二回原水禁学校-似島を学ぶ、似島から考える-

(日本のサッカー発祥の地-捕虜収容所から拡がったサッカー)

 

第一検疫所

小雨が心配される中、第二回原水禁学校で似島を訪れた。似島を学び、軍都広島の隠された歴史や被爆の惨状を追体験するフィールドワークに県内から老若混じえて39名が参加した。今日の講師は、地元の似島で郷土の歴史を探究しボランティアガイドをされている宮崎佳都夫(みやざきかずお)さん。似島のことについて尋ねるならば彼をおいて他にないと言われる人だ。

 

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 秋葉学校長の挨拶の後、早速フィールドワークが始まった。まずは19856月1日に開所された陸軍第一検疫所の遺構を訪ねた。小雨も気にならず講師の後に続いた。残念なことに似島の検疫所の遺構は次々と壊され、当時を物語る物は少なくなっているということだ。まずは弾薬庫を見た。宮崎さんによると、「弾薬庫は第一検疫所桟橋からずっと海岸に沿って続いていた。しかし国有地なので財務局が売りに出し、遺構を撤去したため当時を偲ぶものは写真しかない」と残念そうに語られた。聞く私たちも歴史の生き証人として残して欲しかったと思った。

 当時の物としては水路が残っていた。明治期の石組みは水平に済んであるのが特徴だ。なるほど長い水路は全て水平に石組みされていた。この後、似島学園の敷地を脱け海岸に出た。そこから見える景色は対岸の宇品、そして目の前に第一検疫所の二つの桟橋。一つ   にはクレーンの台座らしきものが当時のままで残っていた。そして目をこらせば煉瓦で美しく積み上げられた焼却炉の煙突。ここで参加者から質問が飛ぶ。「ドイツ兵の死体を焼いたと聞いたのですが?」それに対して宮崎さんからは「ここは観戦物や汚染物を焼いた焼却炉です。私の父など古老から死体焼却炉は別にあったと聞きました」という返事が返ってきた。これに限らず戦前の状況について思い込みも多くあるのではと感じた。ここでもキーワードは水平の石積み。明治期の職人の気持ちを推し量ってみた。

 

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  海岸線にそって学園の周囲をまわった。すると校庭に大きな銅像があった。後藤新平の銅像だ。東京市の市長、台湾総督府の 辣腕の行政マンとして有名だが、この陸軍検疫所の構想を練り、僅か2ケ月で開所した人物だ。元々は医学者だ。宮崎さんによると検疫という未知の考え方を現実化したのが後藤新平。汚染から消毒後までの導線までがしっかりと計算されていたということや大型の高圧蒸気式消毒釜を設置したことからもその見識がうかがえた。ただ、後藤新平については台湾時代に作ったアヘン漸減法については評価が分かれている。

 

近辺の施設-監視所・弾薬庫跡 

第一検疫所跡に隣接しているのが弾薬庫の跡と監視所だ。この辺りで雨はほとんど止んで歩きやすくなった。アリの行列のように細い階段を登り弾薬庫の土塁を歩いた。する

と小高くなって木に覆われた一画にタイムスリップしたような監視所が表れた。ここから見下ろすと広島湾を行き交う船の様子が一望できたということだ。しかし、見るからに狭い。Aさんが入ってみた。すると以外に広かった。 

 弾薬庫は近年まで残っていたが財務局の売り出しによって壊されてしまった。最近、戦争の遺構が次々と壊されていく。戦争の愚かさを語ってくれた方たちの訃報も多く聞く。「今が戦前だ」と言われる今日この頃、こうした遺構が姿を消していくことが残念でならない。遺構は物言わぬ証人だ。

 

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 第二検疫所  ドイツ人捕虜との交流  

澄み渡った海を眺めながら第二検疫所跡に向かった。今は広島平和養老舘という老人福祉施設となっている。ここにも3つの桟橋があり、被爆者は主に第三桟橋から検疫所に運び込まれた。船から積み降ろされて検疫所に入る迄に多くの人が息絶えてしまったという。またたく間に検疫所は埋め尽くされ収容スペースが無くなったそうだ。どの位の人が運び込まれたのか色々な説があるが1万人、いやそれ以上と言われている。ここには救護にあたった暁部隊6165部隊の有志が建立した慰霊碑がある。

また、平和養老舘の前には日本一長いと言われた宇品駅のプラットホームが一部移設されている。これは似島と宇品が常に連動して戦争に関与してきたことを忘れないために移設したという。軍港宇品と検疫所似島。日本の戦争の歴史そのものだ。

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ここでは馬匹焼却場の一部を移設いた遺構を見た。市営アパートの建て替えに伴い、地元の人がここを発掘してほしいという要望に応えて掘り起こしてみると確かにバケツ4050杯くらいの遺骨が現れた。焼却温度が高いのでばらばらになってしまった。似島には未だに多くの原爆の犠牲社が眠っているのではないかと思った。検疫所には大量の水が欠かせない。この辺りは「清水の窪」と呼ばれていた所。いい田や畑があったのだろうか。初めて第二検疫所の井戸をじっくり見させてもらった。煉瓦で丸くしっかりと組まれていた。2003年から献水の水となっている名水だ。この水で多くの被爆者の喉が潤されたのだろうか。被爆者の「水!水!」といううめき声が聞こえてきそうだった。

 

この後、芝生広場に出て第一次大戦のドイツ人捕虜の話となった。ドイツ人捕虜との交流でバームクーヘンの焼き方が伝わり、職員と捕虜の交流で日本で初めてサッカーの試合が行われたそうだ。バームクーヘンはカール・ユーハイムが当時の広島県物産陳列舘《原爆ドーム》で行われた博覧会に出品し人気を博したという歴史を持つ。広島県はサッカー強豪県として有名だった。社会人も高校も全国に名を轟かせた。広場に目をやると、雨上がりの爽やかな天気の中で子どもたちが無心にサッカーに興じていた。


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 昼食後、午後のフィールドワークに出発する時、爽やかな音楽が聞こえてきた。なんと少年自然の家のスタッフの皆さんが音楽とパフォーマンスで私たちを見送ってくださった。何となく有り難く、何となく心が和む。

 

 慰霊碑と千人塚    

慰霊碑前に向かう途中大きな防空壕が目についた。コンクリートで厚く覆われた防空壕には悲しい歴史がある。各地で亡くなった被爆者の遺体が似の島に運ばれ、荼毘に付されることなく防空壕に投げ込まれたり穴に埋められたという話がある。人間の尊厳とは程遠い扱いだ。戦争は人権・尊厳を踏みにじって遂行される。今では許されない行為だが戦争の名の下に許された。

慰霊碑の前で千人塚やその周辺の遺骨の発掘について詳しくお話を聞いた。ここに遺体が眠っているという人の証言で発掘にとりかかったが民有地の壁にはばまれてしまったことや、中学のグラウンドを造成する時に出てきた遺骨の発掘状況の写真を見せていただいた。ネームプレートが出てきて遺族が名乗りをあげられた事例はあるが殆どが身許不明で改めて荼毘に付され平和公園の供養塔に納められたと聞くと犠牲者の無念が伝わってくるようだった。宮崎さんは「原爆の投下も戦争時に行われた。全てを捉えていくことが大切」と話してくれた。改めて肝に銘じたい。「ノーモアヒバクシャ!ノーモアウォー」。宮崎さん、有難うございました。

 

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2016年11月19日 (土)

あらゆるPC/Macから情報を盗める5ドルのラズパイ・デバイス   対抗手段はUSBポートをセメントで固めること


あらゆるPC/Macから情報を抜き取れる5ドルのラズパイ・デバイス

対抗手段はUSBポートをセメントで固めること 

 

このところ、コンピュータやiPhoneから情報を抜き取ってしまう、いや「盗む」とんでもないデバイスについての報告が目に付きましたので、どなたかに詳しい説明をして頂けたらと願いつつ簡単な紹介をしたいと思います。

 

まずは、Raspberry Pi Zero (ラズパイゼロと呼ばれているようです)という、元々の値段は5ドルという低価格の簡単なコンピュータを使って作られた、どんなPCからも、情報を盗み出すことが可能なデバイスです。Poison Tap と名付けられています。

                

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Samy Kamkar氏のサイトに掲載されている「Poison Tap


ハッカーのSamy Kamkar氏がこのデバイスを作りソースコードも公開しています。英語ですが、かなり分り易く書かれています。日本語ではPCWatch に掲載されていますので、それをお読み頂ければと思います。このデバイスをPCUSBポートに差し込むだけでそのPCの情報を盗み取れる能力を持っているそうです。

つまり、Samy Kamkar氏のサイトからコードを読み取って、自分のデバイスを作れば、誰でも他人のPCから情報を盗めるという、恐ろしい環境ができてしまったということです。しかもコストはたったの5ドル。

 

どんな仕組みなのか、そしてどのようなステップを踏んで情報が盗み出されるのかは技術的に結構難しいので、「工場長」さんに御登場頂ければ幸いです。

 

このデバイスを使っての被害に遭わないためにSamy Kamkar氏が勧めているのは、例えば、コンピュータを使っていないときには必ずブラウザーを閉じること、USBを使えないようにすること、スリープ状態になるときには暗号を使ってメモリーを開くようにしておくことです。しかし最終的には、USBポートにセメントを流し込んでポートが使えないようにするという、半分ジョークのような解決方法が示されています。御丁寧に、Amazonのセメント売り場までのリンクも貼られています。また、単にコンピュータにロックを掛けておくだけでは効果がないことも説明されています。

 

それで思い出したのが、1980年に当時MITのコンピュータ科学研究所の所長だったマイケル・ダートゥーゾス教授に伺った話です。『顔を持ったコンピュータ』にもインタビューが載っています。「ネットワークの一部になっているコンピュータを守るための究極的な手段は、物理的にそのコンピュータをネットワークから切り離すことだ」という考え方なのですが、それは今も生きているようです。

 

それ以上に心配しなくてはならない技術も開発されています。Wi-FiにつながっているスマホやPCから、仮に暗号化されていても入力時に情報を盗む技術です。それは次回に。

 

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コメント

まず、この警告は一般ユーザー向けというよりは、サーバーなどに対するもので、スパイ映画やSF映画でも端末のパソコンやサーバーのUSBにチップを差し込んで情報を盗んだりサーバーを乗っ取るシーンがありますが、まさにそうしたことへの警告です。

USBは非常に利便性の高いものですが、それゆえのリスクもあり、サーバーはもちろん、端末になるパソコンでもUSBの使用を禁止している組織は多く、セメントで固めるまでもなく、物理的あるいはソフト的にロックされているケースも少なくありません。

こうしたセキュリティの専門家にとっては常識的なことがネット専業銀行では行われていても、大手地銀などでは全く無視されており、4年前のSNSに「某銀行とバトル」として書いたことがあります。

一般的なパソコンの利用者としては、こうしたものより、日常的なネット上のリスク、例えばJRのホームページを見ただけでウィルス感染するというようなことがあり、それを防ぐのはセキュリティ対策ソフトよりOSのアップデートですが、Windows10の強制的なアップデートが大きな問題になったほど、WindowsユーザーやAndroidユーザーにはアップデートに対する拒否反応が強く、理由があることとはいえ、Apple以外のパソコンやスマホのメーカーには悩ましい問題です。

また、Mac(Apple社のパソコン)の最新機種にはUSBポートは存在しませんし、公開されたソースコードはx86PCに対するものだったと思うのでiOS(iPhoneやiPad)は対象外のはずです。USBポートに差し込むだけで物理的にPCを破壊するというものも50ユーロで販売されていますが、MacBookは壊せないということでした。

ちなみに私が使っているパソコン(Mac)は、私が指紋認証したiPhoneと繋がっているAppleWatchによって制御されるようになっており、私がパソコンから離れればロックされ、パソコンの前に座ればロックが解除されるようになっています。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。ユーザー側として心配しなくてはならない点を主に解説下さり、いつものことながら勉強になります。

ちょっと心配になったのは、Samy Kamkar氏の「Poison Tapに対する安全対策」のところでは、最初に「サーバー側の安全対策」次に「Desktop側の安全対策」と二つに分けられていて、「Desktop側の安全対策」には、本文中に列挙したようなことが掛かれている上に、例えば「コンピュータを離れる際にはいつもブラウザーを閉じる。しかしそれは実行するのが難しいだろう」というようなコメントが付け加えられていたことです。

人の情報を盗める装置を自分で作っておいて、しかもそのコードまで公開し、さらには、それに対する対策としてこんなことを書くのは、倫理的に問題があると思います。しかし、それに対する防衛策は私たちの方で取らざるを得ませんので、どのレベルの脅威にどう対応するのかについて、常に勉強しておく必要があるのだと思います。

そのために、「工場長」さんが何時も適切な情報や対策を提供して下さることに心から感謝しています。

今回のソースコードの公開が罪だと思うのは、これを真似して使ってみようとする人達が決して少なくないだろうと思われることです。

Raspberry Pi Zeroは1年前に発売され世界的にも話題になったシングルマザーコンピュータで、一時期は入手も難しいほど売れましたが、一通り遊んで、次に使い途もなく、次に行うことを探していたマニアも多くいます。

そうしたところに、こうした「使い途」が提示されれば、喰いつくマニアは少なくないはずです。

パソコンを自作し、プログラミングまで出来るようなマニアが身近にいる人は、しばらくは注意を怠らないようにした方が良いかも知れません。アカウントに簡単には分からないパスワードを付けて、離れる時はブラウザーを閉じてロックすることは、それほど難しいことではないと思います。

「工場長」様

再度のコメント有り難う御座いました。

できるだけパソコンから離れないこと、離れる際には、電源を切り、再起動にはパスワードか指紋認証を使うといった習慣をつけておくことも大切なのかもしれません。

2016年11月18日 (金)

#safetypin 安全ピン運動


#safetypin 安全ピン運動

 

 

トランプ氏当選後のアメリカで、安全ピンを身に着ける運動が広まっています。人種差別、女性差別、GLBT差別、外国人差別、障碍者差別等を公然と行う輩が増えてきたことの結果として、身の危険を感じるマイノリティーの人たちも多くなり、「ここは安全ですよ」「私は友人です」「私は差別しません」というメッセージを伝えることが目的です。

 

ハフポストファッションスナップの記事として大きく扱われています。


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発祥は、EU離脱後のイギリスで、離脱決定によって移民や難民に対する差別が目立つようになり、それに対抗するための意思表示として安全ピンを身に着けそれをネットで公開する行動が取られるようになりました。

 

トランプ氏の大統領選挙当選後、アメリカでも同様にヘイト・クライムや暴力的な行動が急激に増えているようです。CNNの報道を御覧下さい。

 

元々は「ここは安全な場所です」という意味だったのが、より一般的に「私は差別しません」、「差別反対」の意思表示として、「差別はしない」こと「ヘイト・スピーチや暴力に反対」「ヘイト・クライム反対」といったメッセージの発信、そして反差別の立場を取る人たちとの連帯の印としても使われるようになりました。

 

そこで提案です。私たちも「安全ピン運動」に参加しましょう。日本でも各地で見られる「ヘイト・スピーチ」を初め様々な差別に反対し、差別のない社会、マイノリティーの人たちの権利が尊重される社会を私たちが目指していることをアピールしましょう。

 

そしてできれば、安全ピンを身に着けた写真や動画を「#safetypin」のハッシュタグを付けて、自分のメッセージとともにSNSに投稿しましょう。

 

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2016年11月17日 (木)

オバマ大統領への手紙—その1


オバマ大統領への手紙その1

 

大統領選挙後、世界が次期大統領に注目するのは当然ですが、オバマ大統領の任期は短いとは言えまだ残っています。もう2か月とちょっとですが、でもその間にもできることはいくつもあります。最後まで期待すると言えるかもしれませんし、プレッシャーをかけ続けるという気分なのかもしれません。同じようなことを感がる人は世界中にいるでしょうから実際に読んで貰える可能性は低いのかもしれません。でも、スタッフの中のだけかの目に止ったり、たまたま大統領本人の手に渡るという僥倖に恵まれるかもしれません。しかし、何もしなければ可能性はゼロです。しかも、手紙を出す手間もお金も微々たるものです。出さない手はありません。

                

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ホワイトハウスのホームページから

         
   

 広島県原水禁では10月の末に、最後までオバマ大統領に頑張って貰いたいという趣旨の手紙をホワイトハウスに出しました。安倍総理大臣と岸田外相にも、私たちの意向をオバマ大統領に伝えるよう要請しました。湯崎知事と松井市長にも、同様の働きかけをして欲しいと要請しました。

 

勿論、オバマ大統領の手紙では広島を訪問してくれたことへの感謝の言葉から始めましたが、英語ですので、ここでは岸田外務大臣への要請書を貼り付けます。趣旨はこの要請書から御理解頂けると思います。

 

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要請書

オバマ大統領が、残された3か月の間に核政策を転換するよう働き掛けて下さい

 

岸田文雄外務大臣殿

来年一月の任期まで3か月を切ったオバマ大統領は、プラハそしてヒロシマでの演説で約束した核政策の転換を図るべく検討を続けているという報道があります。残された時間は少なくなりましたが、「唯一の戦争被爆国」という認識を持つ日本政府として、次の項目について、日本国民ならびに日本政府がオバマ大統領の政策転換を心から支持する旨、米国のみならず世界に発信するよう要請します。既に、安保理事会の決議によって、CTBT(核実験禁止条約)と同様の効果を持つ核実験禁止の措置を取るというイニシャティブは、少し妥協した形ではありますが、実行済みですので、以下の項目についてお願いします。

 安保理事会の決議によって、5つの常任理事国のすべてが核兵器の先制不使用を宣言する。

 米議会が可決した核兵器の近代化計画の縮小を大統領令で実現する。

 同様に大統領令で、LRSO(限定核戦争を想定した新型ミサイル)開発の延期を行う。

 また、ロシアとの間の新START条約を5年間延期する旨ロシアに通告する。

 OEWGが国連総会に提出する提案、すなわち2017年中に核兵器禁止条約締結のための交渉を始めるという提案、を全面的に支持し、リーダーとして交渉の場に着く。

 

これに関連して、米国の核先制不使用宣言についての日本政府が表明したとされる内容には問題がありますので、この際、きちんとした姿勢を示すことを求めます。報道によると、米国が核先制不使用宣言をあきらめた理由の一つは、不使用宣言をすれば、その結果、日本政府が核兵器の所有を検討する可能性があるからというものです。これは、どこかの時点で日本政府が米国政府に対して、この趣旨を伝えた結果としか考えられません。

 

しかし、「非核三原則」を堅持する立場の日本政府がこのような意思を表明することは、国民の意思を代表してはいません。米国政府に対して、仮に米国が核不使用宣言をしたとしても核武装を検討することなどあり得ないこと、さらに、米国の核先制不使用を支持する旨の声明を出して頂きたい。

 

すなわち、仮に米国が核兵器の先制不使用を宣言したとしても、あるいは上記のどの項目についても米国が実行する決意を持つのであれば、日本国民そして日本政府はそれを歓迎する旨、明確に伝えるべきです。米国の核先制不使用宣言がなされたとして、その結果として、日本政府が核兵器の開発や実験、所有等を実際に行うこと、またそのような政策採用の検討をすることさえ、国是である「非核三原則」に反する、従って、検討さえあり得ないことを改めて国際社会に宣言すべきです。

 

それは、被爆地選出の外務大臣として貴職には、日本政府の核政策に被爆地の意思特に被爆者の意向を国際的な場で忠実に反映させる使命があるからですし、「唯一の戦争被爆国」としての人類史的な役割だからです。このことを再確認し、その旨の声明を発する責任があります。

 

オバマ大統領は、プラハと広島の演説でも核なき世界の追及を最優先事項として掲げるだけでなく、実際にアメリカ大統領として初めて広島を訪問するほど、この問題についてのコミットメントは揺るぎません。歴代大統領の中で、これほど被爆者や被爆地の願いに沿って行動してきた人はいません。任期が残り少なくなったとはいえ、核廃絶に近付くための絶好の機会を最後まで生かすよう、貴職の決断と奮起に期待しています。

 

 

 

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2016年11月16日 (水)

待っているだけで良いのでしょうか?   予測も大切ですが、提言もしましょう


待っているだけで良いのでしょうか?

予測も大切ですが、提言もしましょう

 

個体発生と系統発生の比喩を採用したのは、トランプ氏がこれからどう動くのかを予想するにあたっての枠組みとして使いたかったからでした。つまり、長く複雑なプロセスを経て出来上がったエスタブリッシュメントとトランプ氏がどう向き合うのかを、エスタブリッシュメントが出来上がるまでのプロセスを系統発生と考え、トランプ氏も恐らく同じような障害に遭遇しながら成長・進化して行くプロセスを個体の発生と捉えることです。系統発生という長く複雑なプロセスと同じことを、一人でしかも短時間で処理しなくてはならないという状況を前提として考えようという提案でした。

 

一番、無難なシナリオは、トランプ氏の調整能力が優れていて、エスタブリッシュメントとも余り摩擦を起こさずに成長するというシナリオですが、その結果は、トランプ氏がエスタ「ブリッシュメントに取り込まれた」という表現になるでしょう。

 

エスタブリッシュメントとの調整が上手く行かないと、その程度にもよりますが、エスタブリッシュメント側の力が強ければ、トランプ氏はそれに負けて、4年持たないかもしれません。これはマイケル・ムーア氏の予測と似ています。トランプ氏が負けずに、少なくとも互角に近い形で対応する場合を考えると、建設的なシナリオもありそうです。

 

もう一つは、トランプ氏の本質は根源的に「悪」だという仮定で考えることになりますが、使える手段は何でも使って自分の夢想する究極の世界を実現しようとする、というシナリオです。これには最高度の警戒が必要です。

 

さて、このところの進展では、人事についてオバマ大統領の批判が出てきましたが、そのオバマ大統領との会談とその後の対応は、殊勝な感じさえありましたので、これからも、可能性として上に掲げた三つのシナリオの内の一つだけを直走るのではなく、三者の間を揺れながらトランプ政治は進んで行くのではないかと思います。

 

さて、その際に日本とトランプ政権の関係はどうなるのでしょうか。取り敢えず、TPPは別に扱うとして、トランプ発言の主要な点は、米軍基地と日本の核武装についてのものでした。それは安倍総理大臣個人としても、彼を取り巻く戦前回帰願望派にしても「渡りに船」と言っても良いアイデアでした。

 

そんなことにしてはなりません。対応策を考えるために、まず安倍内閣がこれから打ち出す可能性のあるシナリオを考えて見ましょう。あくまでも一つの可能性です。

 

 安倍内閣が、これ以上、米軍に対しての支援を増やすことは国民感情が許さないから増額できない。米軍が撤退するのなら仕方がないと表明する。その結果、より多くの国民は安倍内閣を評価する。

 その評価が浸透し、米軍が撤退の準備を始めようとする辺りで、次の宣言をする。

 つまり、米軍が撤退すると日本は北朝鮮の核の脅威にさらされることになるから、日本も核武装する。

 当然、一悶着が起きますが、それで喧々諤々している間に、核武装の準備は始めておく。

 同時に、核武装をするくらいなら米軍には居続けて貰いたいという世論を誘導する。もちろん米軍への支援も増やす。

 一悶着が終息する頃には、日本の核武装も既成事実になっていたことが分る。

 

こんなシナリオは、私たち「ヒロシマの心」の立場からは到底許すことはできません。ではどうすれば良いのでしょうか。待っているだけでは何も起こりません。可能性がどのくらいあるかは別問題として、我々と一緒に行動するようトランプ氏を説得してみる、最低限、問題提起をするくらいはしたらどうでしょうか。

 

出発点は、トランプ氏が北朝鮮と話し合う用意があると述べたことです。北朝鮮との話し合いの中で、核兵器についてトランプ氏は何を言うのでしょうか。北朝鮮の核保有には賛成する、どんどん造って欲しいとは言わないでしょう。

 

その代りに何を言うのかで、トランプ氏が歴史上一番評価されるアメリカの大統領になりますよ、という説得の仕方はできないでしょうか。

 

 

北朝鮮には、当然のことながら核開発は止めろ、核兵器も廃棄しろと言うのです。その際に北朝鮮が安心して核廃棄に「YES」と言うためには、日本も韓国も核兵器は持たない、周辺の核保有国、つまり中国、ロシア、アメリカは日本、韓国、北朝鮮には核兵器を使わないことを保障する、という約束をするのです。これは北東アジア非核地帯条約を提唱してきた人たち、例えば民主党核軍縮促進議員連盟や長崎市、市民団体のPeace Depot、が長い間PRしてきたことの内容です。しかも、この筋書きなら北朝鮮も乗って来る可能性は高いと思います。

              

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 その結果、世界中で緊張の一番高い地域の一つ、北東アジアには安定的な平和のバランスができることになります。となると、次は中東の核問題についてどうしようという形で進展する可能性が出て来ます。それにも成功すれば、トランプ氏は歴史に残る大仕事を達成したことになります。

 

誰が猫の首に鈴を付けるのかですが、自分たちの意図と正反対のことを安倍政権には期待できません。となると、私たち市民、それも世界中の市民が提案し世界の都市が圧力を掛ける、というくらいしか手立てはないように思えます。

 

そして、このような問題提起をしてそれが上手く行かなかったとしても、失われるものは何もありません。

 

 

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コメント

トランプ氏はビジネスマンですから損得勘定が一番なのではないでしょうか。だから、駐留米軍の経費は100%日本が持てばいいのです。つまり、今の駐留米軍を25%縮小するということです。
世界の警察官はもうやめようと言う事ですから50%縮小でもいいのかもしれません。であれば日本の負担分はもっと減ります。

「損得勘定」様

コメント有難う御座いました。なるほど、そちらに合わせるという手もありますね。安倍総理はどちらを選ぶのでしょうか。また、それ以外の選択肢もあるのかもしれませんが--。

2016年11月15日 (火)

個体発生は系統発生を繰り返す?   アメリカと日本そして世界はどうなる?


個体発生は系統発生を繰り返す?

アメリカと日本そして世界はどうなる?

 

論理を捨て、エスタブリッシュメントを攻撃し、言いたい放題の無茶を続け、仕事やお金のない多くの人たちの心をつかんだトランプ候補でしたが、「次期大統領」というタイトルが付くや、少しは慎重に行動するようになっていると言っても良いように思います。

 

現時点ではまだ大統領の持つ強大な権力は行使できませんし、憲法等によって大統領に課せられている制約や義務、責任等に縛られることもありませんが、「次期大統領」が「大統領」に準じた言動を取るべきだということくらいは当然、御本人も認識しているからなのだと思います。

 

「地位が人間を作る」という言葉もあるくらいですから、大統領になれば全く問題なくその仕事を全うするようになるのかもしれません。これはあくまで抽象的な可能性としての話ですので、現実はかなり厳しいというのが大方の予想です。例えば、マイケル・ムーア氏の予測は「任期の4年間は持たないだろう」です。

 

私も感覚的にはそれに近い感想を持っているのですが、それを「個体発生」と「系統発生」との反復という形で整理できたらと思っています。

            

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大統領が憲法を遵守しなくてはならないことは既に述べました。法律や制度等、罰則を伴う形で存在している事柄も当然守らなくてはなりません。いくらトランプ氏でもこれらのことを蔑ろにはできないはずです。でもその枠組みの中にも多くの考え方の違いがあり、利害関係や権限等の調整が行われてきたのが政治一般の歴史です。その結果として安定的かつ利益の享受者から見ればバランスの取れた形で整理され稼働しているのが「エスタブリッシュメント」と呼ばれる構造であり、それに属する団体や個人だと考えられます。かなり複雑なプロセスですが、その内容に具体的に立ち入るのではなく、大きく括って、現在までのエスタブリッシュメントの歴史を「系統発生」に準えたいと思います。

 

そうすると、「エスタブリッシュメント」を否定して、自らの価値観と勝手気ままな課題をつまみ食いしてきたトランプ氏が大統領職に就き、新たに「個人」として関わること、つまり「個体の発生」とも言えるトランプ氏のこれからの変化、成長と「系統発生」を比較することにも意味はありそうです。生物の進化と同じく、「個体発生」は「系統発生」を繰り返すのか、あるいは全く別の進化の過程になるのかという点が問題です。別の視点から同じことを述べれば、「本音」から出発して、「建前」に配慮しながら、どのような進化を遂げるのかが問われていることになります。

 

 可能性の少ないシナリオから考えて見たいのですが、ある意味「功成り名を遂げた」今、純粋にアメリカ国民、特に貧しい人々、社会から取り残されたり周辺化されている人々、エスタブリッシュメントから疎外されてきた人たちのためを考え、周りと妥協しながら、それでも完全にはエスタブリッシュメントには取り込まれずに社会改革を行い偉大な大統領の一人として任期を全うする。

 それよりはもう少し現実的、つまり「自己中心的」だと評される彼の性格を少し付け加えて考えて見ると、大統領としての実質的な権力は共和党や議会の主流派に任せて、専ら儀典的な役割を果すことで満足する。もうお金も権力もいらないけれど、大統領として大切にされ、国を代表して世界の王侯貴族との交流に力を入れる。

 もう少し現実的なシナリオを考える上で、トランプ氏が現実に沿った形で様々な施策を実現しながらエスタブリッシュメントと上手く取引することは可能でしょうか。彼が言いたい放題の中で「約束」してきたことはかなりたくさんありますので、その全てを円滑に実現するということは考えにくいので、どこかでぶつかるというシナリオを考えて見ましょう。

(ア) ぶつかるときには、どのような問題についてになるのでしょうか。一例として、高額所得者の税率を上げて中・低額所得者の税率を下げる、という可能性はどうでしょう。これまでのアメリカのエスタブリッシュメントは、高額所得者への優遇措置を取って来ましたので、それに対する直接的な挑戦です。しかし、「自己中心的」で、自分自身が高額所得者であるトランプ氏が、敢えてこのような政策を取ることは考えられないでしょう。

(イ) トランプ氏はオバマケアで既に妥協をしました。となると他の妥協もあり得ます。「法と秩序」についてもこれまでのエスタブリッシュメントの施策をしっかり理解すると、これ以上踏み込むことの是非には気付くはずです。金融・経済政策も、自分のビジネスが不利益になることは避けるでしょうから、これまでの政策を変える可能性は少なくなります。

(ウ) となると、残されてくるのは、防衛・外交の面での政策です。「世界の警察官」「移民」「他国への負担要求」「自由貿易の制限」等々、貿易については国内にも大きな影響を与えますので外国との交渉だけではありませんが、それでも、他国に対する厳しい姿勢で国内の「約束不履行」という声から逃れようとすることは十分考えられます。しかし、外交面ではほとんど素人に近いトランプ氏がこれらの課題をこなすためには、例えばかつてのキッシンジャー氏のような辣腕の専門家が必要です。その他の分野でも、エスタブリッシュメントに妥協したとは思われないような、しかし、専門的にはエスタブリッシュメント内でも力を発揮できるような人を登用できるのかどうかがカギになりそうです。

 トランプ氏の今までの動きからは、幅広い人脈のある人のようには見えません。それ以上に家族に限られた人的資源を元にこれから幅を広げることになりそうです。連邦政府の政治的なアポイントメントだけでも数千人の人が必要になる今、その全てを完全にはコントロールするのは難しいはずです。それに付け入る人も出て来るでしょう。マイケル・ムーア氏だけではなく、反トランプ派の動きももっと大きくなる可能性もあります。そんな混沌とした状況の中、今は抑え始めたそしてこれからも抑えなくてはならない「自己中心的」な衝動が破裂する可能性も大きくなるでしょう。そうなれば、マイケル・ムーア氏の予言通り、4年を待たずして退陣ということになる可能性も出てきます。

進化論と切っても切り離せないのが、突然変異です。「自己中心的」という範囲でトランプ氏の言動を解釈すると、これまでのようなシナリオが考えられますが、多くの人が指摘しているような女性蔑視、人種差別、人権無視、暴力崇拝、ファシスト等がトランプ氏の本質なのかもしれません。そうなると、「系統発生」をモデルにしてトランプ氏のこれからを考えるのではなく、全く違った視点から、例えばかつてのヒトラーの辿ったようなシナリオを元に考えることも必要です。ヒトラーの場合の特徴の一つは国内的にも暴力によって口封じをしたことですが、警察や州兵そして軍隊全てを味方につけることが短期的には難しくても、他国に戦争を仕掛けるとか、大統領になった途端に核兵器使用をちらつかせるといったシナリオはあるのかもしれません。これを阻止するという目的で多くの人がデモに参加しているのでしょうからこちらの可能性こそ心配しなくてはならないのかもしれません。特に我が国に対する基地や核兵器関連の発言にも注目すべきだと思いますが、これも稿を改めて考えて見たいと思います。

 

トランプ氏について、マスコミ報道、ネットの情報だけで判断せざるを得ないのですが、不確定要素ばかりの予測は危険です。しかし世界的に影響力のあるアメリカ大統領のこれからの動きについて、できるだけ冷静に考え、その分析を元にヒロシマの平和な世界を創るための努力をどう続けるのかを再検討し、具体的な対策を練っておくことも必要だと思います。その点についても、考えて見たいと思います。

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2016年11月14日 (月)

八の日平和行動と12・8平和を考える女たちのつどい

八の日平和行動と12・8平和を考える女たちのつどい

アメリカの大統領選挙は、クリントン候補の敗北によって「初の女性大統領誕生」は、残念ながら先送りとなりました。女性が大統領候補となり、実現も夢ではない時代を迎えたアメリカに比べ、日本の女性の地位は、144カ国中101位と、総理大臣候補に女性がなるどころか、余りにもお粗末な状況です。そんな中でも、女性の地位向上のために頑張っている「なかおやすみ」さんから、以下のような原稿が寄せられました。

 

「八の日平和行動」というのをごぞんじですか?

 

 1980年12月7日、軍事化路線、有事立法体制を強める自民党政治に抗議しようと、東京山の手教会に1,500人の女性たちが集まり、「戦争への道を許さない女たちの集会」が開催されました。

 

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それを機に平和を求める女性たちの連帯行動として「八の日平和行動」が提起されました。1941年12月8日、日本が真珠湾攻撃した日を再び繰り返さないため、八日を「不戦の日」として、全国に拡がりました。広島でも、1981年3月広島駅前で街宣ビラまきを始めました。以後、広島市、尾道市・府中市・福山市・竹原市へと運動が拡がりました。

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竹原市では1985年1月から女性会議(旧日本婦人会議2003.4名称変更)竹原支部が街頭ビラくばりをはじめ、1988年1月からは地区労・部落解放同盟竹原市協女性部・日本婦人会議竹原支部で「八の日平和行動 女たちの会」を結成し、人権・平和・民主主義を柱に部落差別をはじめとするあらゆる差別、労働、くらし、教育、環境など女性をとりまく課題をテーマに学習し、市民に問題点をビラで訴えています。

 

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まず、ビラの担当を毎月決め、学習会で意見交換をしています。世代を超えての意見交換は若い人から学ぶことが多くあります。時には、若い担当者が教え子ということも珍しくありません。


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竹原市には「地図から消された島 おおくのしま」の存在を見過ごすことができません。また、原爆投下後、広島から逃げてきた被爆者の救援や、身内が被爆し探しに行き入市被曝をした人もたくさんいます。

 

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そうした、歴史を共有する市民に訴え続ける中「ああ、今日は八の日だね」「ごくろうさま」と都会では見られない、暖かい気持ちでビラを受け取ってもらっています。また、数年前、30代の男性からは「こんなことを地道に続けているなんて知らなかった」と声をかけられたことがあります。先日も「30年も続けて表彰もんじゃねえ」とビラを受け取ってくれた市民がいました。

 

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そして、1987年12月8日第1回「12・8平和を考える女たちのつどい」を開催し、今年は29回目になります。

 

年に一度、「八の日平和行動」の1年のしめくくり、女性解放の視点から平和を考える集会、戦争は最大の人権侵害であり環境汚染につながるということから人権・環境から平和を考えることをテーマに毎年、企画運営をしています。

 

時には集会の前に、街宣車を繰り出して、街頭演説をしたり街中を宣伝して回ったこともあります。震える手で準備した原稿とマイクを持ちながらの生まれて初めての街頭演説はよい経験です。

 

女性たちの小さな経験が、自信となってたくさんのことを考え、話していく力をつけていきたいものです。

 

 

広島県原水禁常任理事 なかお やすみ

 

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2016年11月13日 (日)

本音と建前   アメリカと日本そして世界はどうなる?


本音と建前

アメリカと日本そして世界はどうなる?

 

トランプ当選後のアメリカ、日本そして世界はどうなるのかが心配ですが、いくつかのシナリオを考える前にトランプ氏の言動について評価できる点を挙げておきたいと思います。それは、エスタブリッシュメント批判をする中で、政治や社会的な問題についてエスタブリッシュメント側なら絶対に取り上げないような根本的な問題について、玄人の立場ではなく政治や社会について深くは考えていない人々、でも何かがおかしいと思っている人々のレベルからの疑問を呈したことです。「世界の警察官」「核兵器」「移民」等、言っていることが変化し、その内容も人権や法律無視、下品でファシストっぽいものでしたが、それでも社会の根本に関わっていることから、多くの人たちの側からプラスかマイナスの激しい反応を引き出したのではないでしょうか。

 

クリントン氏も現代社会の根本テーマの一つ「女性」に焦点を合わせましたが、それに賛同する人たちが多かった半面、「女性大統領」以上に「大統領」になりたい自己中心的な権力欲を「建前」で覆い隠しているのではないかと考えた人たちには、トランプ氏以上の説得力がなかったのかもしれません。

 

結果として、クリントン氏は総得票数ではトランプ氏を破りましたが、選挙人獲得数ではトランプ氏の勝ちになりました。制度が悪い、直接選挙の結果で大統領が決まるようにすべきだ、という主張には大賛成です。今回間に合わなかったのは残念ですが、これも別の視点から考えて見たいと思います。「本音」と「建前」です。

 

クリントン氏が建前では勝ち、トランプ氏は本音レベルで勝った、と言ってしまって良いように思います。

 

この点を説明するために、最近のアメリカ社会の大きな変化に焦点を合わせましょう。数例を見て貰うだけで全体の傾向は分ります。最初は「原爆投下は正しかった」と考えている人の割合です。次のグラフを見て下さい。2009年には67パーセントだったのが、2016年には45パーセントに減っています。「オバマ効果」です。


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その他の例は、「工場長」さんが紹介してくれた、マイケル・ムーアのブログ「トランプ候補が勝利する5つの理由」でも取り上げています。

 

その一つは、「同性間の結婚」です。2015年の最高裁判所の判断で、同性同士の結婚を禁止することはできなくなりました。つまり完全に合法化されました。

             

Procon

               

ProCon.org, "State-by-State History of Banning and Legalizing Gay Marriage, 1994-2015," ProCon.org. Last modified February 16, 2016. http://gaymarriage.procon.org/view.resource.php?resourceID=004857

 

男女間の賃金格差についても、「同一であるべき」が80%、人工中絶を支持する人も過半数以上です。マリワナの合法化も、カリフォルニア州では大統領選挙と同時に行われた住民投票で「YES」が勝っています。しかし、マイケル・ムーアが多数派の意見として挙げている銃規制は、賛否が拮抗し最近は銃規制を「しなくても良い」が増えていますし、地球温暖化についての危機感もかなり減っています。

 

マイケル・ムーアの指摘通りの世論、いわゆる「リベラル」な価値が広範に共有されていることを示す世論、であれば、クリントン氏が総得票数でも、選挙人数でも圧倒的に勝って良かったはずなのですが、銃規制や環境の面に徐々に現れている社会全体の流れ、保守への回帰なのだと思いますが、が今回の大統領選挙そして上下両院の選挙に反映されたように思います。

 

それが端的に現れたのが、「ラスト・ベルト」、つまり工場や企業が閉鎖され工場や機械が錆びてしまった地域での選挙結果です。トランプ候補が注力した地域、州としてはミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシンです。

 

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日経電子版から

 

ミシガンが好い例ですが、予備選挙ではバーニー・サンダース候補が勝った地域ですので、その票がクリントン候補に流れ、女性票も上積みされれば勝てた要素はあった地域です。しかし、その後の運動で作られたトランプ陣営との違いは、かつてのサンダーズ支持者が仮にクリントン候補に一票を入れたにしろ、朝早くから友人知人を叩き起こして選挙に行ってヒラリーに入れようと呼び掛けるほどの情熱にはならなかったことだと、マイケル・ムーアは分析しています。

 

本音で一票を入れたのか、建前で一票を入れたのかの差だと言えるのではないでしょうか。

 

ニューヨークで勝利宣言を行ったドナルド・トランプ次期大統領のお行儀の良さに多くの人が驚いているようですし、オバマ大統領との会談後、医療保険制度について選挙中の「約束」を変える発言をしていることにも困惑している人が多数です。今までは、言いたい放題、本音で喋っていたのが、いざ大統領に就任する段になって「建前」も尊重するようになった、と捉えても良いように思います。その「建前」の中には論理的な整合性も入ってきます。こうした「建前」という枠組みの中で、本音をどう修正して行くのか、どんなシナリオがあり得るのか、次に考えたいと思います。

 

 

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コメント

「トランプ候補が勝利する5つの理由」として紹介したマイケル・ムーアの「5 REASONS WHY TRUMP WILL WIN」を日本語訳したサイトがありましたので、お知らせしておきます。

「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」
http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

また、以下に最新のインタビュー動画があります。
http://www.msnbc.com/all-in/watch/michael-moore-get-out-and-protest-807194691516

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。二つのサイトお教え下さり感謝しています。マイケル・ムーア氏は毎日デモにも参加しているようですね。私たちも見習えればと思います。

先週末あたりから、アメリカのいくつかのサイトで、1922年のニューヨークタイムズの記事が取り上げられています。

それは「ヒトラーは反ユダヤ主義を大衆の支持を得るために利用しているに過ぎない」と楽観的な論評であった、というものです。

当時とは状況も違いますし、人類はより平和的に進歩しているとも思いますが、楽観は許されないということですね。

http://boingboing.net/2016/11/11/hitlers-only-kidding-about.html

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。1922年のニューヨーク・タイムズ記事は、ヒトラーが反ユダヤ主義とは別の目的を達成するため、「大衆」を引き付けるための「餌」として反ユダヤ主義を用いている、つまりレトリックとしての過激な発言だという趣旨に取れましたが、「別の目的」が何なのか良く分りません。ニューヨーク・タイムズの事実認識が間違っていたということだと思います。

トランプ氏の過激な発言は恐らく本音かそれに近い、というのが多くの人たちの受け取り方だと思います。今はそれを少し曲げて、より多くの人の支持を取り付けようとしているようにも見えますので、ヒトラーの場合と事情は少し違うのかもしれません。

その理由の一つは、あれほど多くの人たちがトランプ反対デモをしているのですから、それを全く無視することは無理なのだと思います。また、トランプ氏の無知もありますし、エスタブリッシュメントも使うという姿勢なのだと思います。しかしながら、どこかで本性を現して無慈悲に非人道的、かつ人権無視の政策に走るのかもしれません。注意深く見守ることは最低限必要なのだと思います。

2016年11月12日 (土)

「戦争法発動反対!南スーダン自衛隊は撤退を! 11.11ヒロシマ集会」


「戦争法発動反対!南スーダン自衛隊は撤退を! 11.11ヒロシマ集会」

 

午後6時から原爆ドーム前での集会がありました。その後、金座街まで向かい、本通りを通って多くの皆さんにアピールしながら平和公園までのデモをしました。

            

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 集会とデモへの呼びかけ文です。

 

昨年9月19日に強行採決された「戦争法」を実体化するものとして、「駆け付け警護」「宿営地共同防衛」などの新任務を自衛隊南スーダンPKO派遣部隊に付与しようとしています。しかし、南スーダン国内は内戦が激化する深刻な情勢であり、もはや「PKO参加5原則」も成り立たない状況にあります。そして「駆け付け警護」は、かえってNGOメンバーを危険にさらすおそれがあります。11月派遣予定の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊(青森駐屯地)が所在する青森市内では、10月30日に「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ!」と反対・抗議集会が開かれます。こうした戦争法発動をめぐる情勢を受け、「ストップ!戦争法ヒロシマ実行委員会」で標記の集会を開催することになりました。

 

この集会での私の発言を整理したものです。

 

トランプ大統領が誕生しますが、彼が勝手気ままなことを言っている以上、私たちも彼の言葉を勝手気ままに解釈して、私たちが訴え実現したいと思い続けてきたことを前に進めるために「使おう」!

 

トランプは「世界の警察官は止める」と言っている。大賛成。もっと早くやめるべきだった。でもそうなると、自衛隊が南スーダンに行けば、現地にいるのは日本軍だけという事態になるかも知れない。それで良いのか。

 

トランプはTPPも駄目だと言っている。にもかかわらず、日本だけがTPPに居続ける? それはないでしょ。

 

(以下略)

 

「トランプかクリントンか」へのコメントで「先手必勝」さんが言っていたように、先手を取って、トランプを上手く使って、安倍内閣の暴走を止める、つまり「毒を以て毒を制す」運動を始められないものでしょうか。帰路、原爆ドームを見詰めながら、できることは何でも実行しよう!と、覚悟を新たにしました。

  

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コメント

日本でも社会党の党首が首相になったり、宇宙人が首相になったりしましたから、それに比べればトランプ大統領も驚くほどのことではないように思います(笑)

「変人」様

コメント有難う御座いました。おっしゃる通り意外な人がトップに座ることは、歴史的にも多くあります。

でも、御指摘の二人については、総理就任後に、一人は解散して民意を問う代りに多くの市民の意思を無視して自衛隊が合憲だと宣言して、それが解釈改憲への道を開いたという見方ができますし、もう一人は、命を懸けてでも守るべきだった「最低県外」という言葉をあっさり捨て去って、民主党離れその結果としての現在への道を作ったということを重く見たいと思います。

トップの言動によって国が変わってしまうことを端的に示しているように思います。

2016年11月11日 (金)

これからどうなる? トランプ大統領のアメリカそして世界は?


これからどうなる?

トランプ大統領のアメリカそして世界は?

 

一夜明けたアメリカで、映画監督のマイケル・ムーアが、「選挙に負けた今やるべき5つのこと」Facebookに投稿しました。その内容はHuffington Post のサイトで読めますので、紹介しておきます。日本語のサイトですので日本語訳もついています。

 

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また、「工場長」さんが紹介してくれた、彼のブログでの「トランプ候補が勝利する5つの理由」も必読です。

 

さて「これからどうなる?」ですが、マイケル・ムーア氏の「選挙に負けた今やるべき5つのこと」にも触発されて思い出したのが、2000年の選挙と翌年のブッシュ政権のスタート直後のアメリカの雰囲気でした。記録では2002年の秋ニューヨークを訪れているのですが、その前、2001年の春にもニューヨークで平和運動の関係者とのミーティングに出席した記憶があります。どちらなのか再度チェックしたいと思いますが、その時のアメリカのNGOの仲間たちは、救いようがないと見えるほど疲れていましたし、絶望感に打ちひしがれていました。ブッシュ大統領の打ち出す施策に対抗する術がなく、この先の希望も見出せないといった発言が続きました。

 

そこでの私の発言は良く覚えていますが、英語では「ペップ・トーク」、マイケル・ムーア氏の「選挙に負けた今やるべき5つのこと」が良い例なのですが、聞き手と問題を共有しながら、問題を単にネガティブに捉えるのではなく、プラス思考に転換するメッセージを伝えるスピーチです。そしてその時、目的は達成できたと思っています。

 

そこでは二つの歴史的な事例を持ち出して、絶望的とも思われる状況をプラスにしようと呼び掛けました。一つは、大統領に失望していても事態は必ず変わるという事例です。リンカーンが大統領になった時、彼は憲法に従って奴隷制度は認める立場になりました。奴隷解放論者に取っては大きな打撃でした。加えて当時、リンカーンは史上最悪の大統領だとさえ言われるほど評判が悪かったのです。しかし、そのリンカーンは奴隷解放宣言を出しアメリカ史上最も評価される大統領であり続けています。ブッシュ大統領に同じことは望めないかもしれないけれど、長期的に物事を捉えよう、そして理想を掲げ続けることの大切さを示す例になるのではないかと訴えたのです。

 

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そしてもう一つは、核兵器と言えばその原点ともいえる被爆者の人生です。被爆者たちの辿った人生を考えれば、政治状況が少しくらい悪くなったと言って絶望している暇はないはずだろう。被爆者が同じように諦めてしまっていたら、おそらく核兵器は再度使われ、我々は今ここにいないはずだ。我々がその意志を継がなくて誰が継げるのか。頑張る以外の道はない。それが広島からのメッセージだ。

 

事実、ブッシュ政権は二期8年続きましたが、2009年にはオバマ大統領の登場という世界史的な変革が実現したのです。トランプ政権が二期続くかどうかも分りませんが、少なくともこれからの4年間、アメリカそして世界の理想を具体化するためのさらなる努力を始める決意こそ今求められているのだと思います。

 

もう一つ、トランプ政権の今後を考える上で大切なのは、リンカーンの故事の中心にある憲法です。アメリカの大統領は就任にあたって宣誓をしなくてはならないことが憲法で決められています。当然トランプ氏もその宣誓をした上で大統領になるのです。宣誓の言葉は、

 

「アメリカ合衆国の大統領という職務を忠実に執行し、私の能力が許す限りの最大の努力をして、合衆国憲法を維持し、擁護し、防衛することを厳粛に誓います」です。

 

選挙中には憲法を無視する発言を続けてきたとしても大統領としては、リンカーンと同じように憲法を遵守しなくてはなりません。また国際法にも縛られます。選挙運動中の景気の良い発言も、憲法や国際法の観点から検証すると実行不可能なものが多くあります。だから何もしなくても良いという意味ではなく、憲法や法律を生かして暴走を止める準備を直ちに始める必要があるのではという問題提起です。安倍内閣の解釈改憲の危険性は、このような歯止めも解釈改憲で無効にできる結果をもたらすからです。

 

選挙運動では、デマゴーグとして論理を無視し、発言の整合性などお構いなしに言いたい放題をしていたとしても、大統領は全ての事柄について最終責任を持たなくてはなりません。そしてそれは予算という形で具体化されます。予算がなければ何もできないという制約も当然付きまといます。低所得者の税金を安くした上に、高額所得者にも好い顔をしようとしても、そのためにはお金が必要です。このほかにもいくつもの例で示すことは可能ですが、こんな矛盾が現れた時にどうするのかが問われます。つまり、トランプ候補に投票した低所得者や失業者を最後まで守る覚悟があるのかどうかが問われる時が来ます。その他にも、様々なグループ間の利害関係が衝突する案件も多くあります。国際的なことを考えても、全ての国と11の関係つまり条約をたくさん作って、その全てが満足の行く形になることは考えられません。その先をどうするのか、次回考えたいと思います。

 

  

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2016年11月10日 (木)

トランプ大統領誕生   これからどうなる?


トランプ大統領誕生

これからどうなる?

 

                 

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アメリカの大統領選挙はトランプ候補の当選で終りました。何故トランプ候補が勝利したのか、そしてこれからのアメリカと世界はどうなるのか、詳細な分析は追ってアップしたいと思いますが、第一印象的にまとめておきたいと思います。

 

クリントン候補が負けたのは、一言で要約すると、「エスタブリッシュメント」つまり「既得権者」あるいは「既得権を持ち、そこから利益を得てきた人たち」の「傲り」が原因です。

 

それを最も端的に示しているのが、我が国の総理大臣官邸の反応です。官邸、ということは我が国の外務省はという意味ですが、トランプ勝利を全く考えていなかったという報道が平気でなされています。従来の日米関係という枠組みだけを既定の路線として考え、それ以外の可能性は「下らない」こととして拒否してきた体質が、こんな「傲慢」な考え方を取らせているのだと思います。外務省が準備していただろう新大統領への「祝辞」には、このことがもろに現れています。クリントン勝利を想定して作った原稿の候補の名前をクリントンからトランプに変えただけの内容としか思えません。例えば、日米両国をつなぐ価値として、「人権」と「法の支配」「自由」「民主主義」等を掲げていますが、これまでのトランプ候補の言動を考えると、「人権」と「法の支配」のチャンピオンとしてのトランプ候補というイメージの浮かぶはずはないからです。

 

その「傲慢」さのアメリカ側の典型がクリントン候補です。だからこそ外務省は、クリントン候補に勝って欲しいと思い、その気持が強過ぎたためにトランプ候補には負けない、と信じ込むことになってしまったのでしょう。

 

「エスタブリッシュメント」の「傲慢」さとは何かを示すより、トランプ候補が、どんなグループに属していないのか、それも多くあるのですが、いかに「一匹オオカミ」であるのかを見た方がより的確に状況を理解できると思います」

 

マスコミは、これまで公職の経験もなく軍隊でのキャリアーもない初めての大統領という表現を使っていますが、それは取りも直さず、軍産複合体とは無縁だということを表しています。つまり、軍隊という巨大な利権を持つ集団とも、軍産複合体の一部である官僚組織とも無縁であることを示しています。また、ビジネスマン、不動産王という経済的な側面はあるにしても、不動産業は基本的にローカルなビジネスです。世界中に武器を売るとか、種を売って軍事面や農業面での利益を得ている経済界のエスタブリッシュメントとは結び付いていないことも納得が行きます。

 

こうした利権とは関係がないからこそ、「世界の警察官でいることはできない」そして「TPPには反対」という立場を簡単に取れたのだと思います。そして、面白いことに、この二つの結論は、私たちが主張してきたことそのままではありませんか。

 

また核兵器についても、もしアメリカが核兵器を持ち続けるという前提で考えると、それは自国の安全保障のためという正当化があっての話ですから、それなら、他の国も核兵器を持つべきだという主張につながります。彼の論理はそれとは違いますが、こちらの解釈なら極めて論理的です。もっとも、トランプ候補は全ての国が核兵器を持つべきだとは言っていませんし、力の支配を単純に信じていることも明らかですので、一つの解釈が成り立つからと言って全てが許容される訳ではありません。

 

政界、経済界のエスタブリッシュメントには属していないことはこれで分かって頂けたとして、マスコミからも酷い攻撃をされていますので、マスコミのエスタブリッシュメントにも属していないことが分ります。

 

国際関係についての発言の中で目立っているのは、彼が無知だということです。例えばメキシコからの移民はこのところ減少傾向にあることは知らないようですし、在日米軍への過大な「思いやり予算」についても無知だと言って良いでしょう。それは、大学や研究所等の知的なエスタブリッシュメントともあまり関係がないことを示していますし、外交官を含む国際的なネットワークとも無縁であることを示しています。

 

実は、このような特性がアメリカの一般市民、特に経済的なレベルでは恵まれない層の人々を特徴付けていることそのものだと言っても良いのです。唯一の違いは、トランプ候補がとてつもないお金持ちであること、そして良い仕事に就いていることです。

 

しかしその一匹狼のお金持ちが、自分たちが日頃思っていても上手く言語化できない気持を短くズバリと代弁してくれた上に、税金は安くします、仕事は作ります、アメリカを偉大にします、と言ってくれるのですから、言葉だけで実質の伴わないエスタブリッシュメントの「約束」や、同じく貧困や失業に喘ぐ仲間の愚痴とは違う意味を持ちます。

 

残念なことに、こうした庶民の感情を十分に理解できなかったクリントン候補が守勢に転じざるを得なかったことは、自然の流れだったのだと思います。しかし、民主党が掲げ続けてきた理想を基盤にして次の政権でもより良い政治を創るべきだと考えた多くの市民がいたことも事実です。さらに、共和党候補二人の内の一人を選ぶことを拒否して、第三の候補を支持した市民も少なからずいたことにも注目しておく必要があります。今回は実現しませんでしたが、長い目で見ると、社会そして世界を本質的に動かしてきたのは、理想を信じ希望を捨てずに地道な努力を続けてきた多くの市民の力だからです。

 

アメリカの政治の今後を見る上でもう一つ大切なのは議会の勢力分布です。今回の選挙で上院・下院両方とも共和党が過半数を占めましたので、その意味ではこれまでの政治がドラスチックには変わらないとも言えますが、「これから」については、稿を改めて論じたいと思います。

 

 

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コメント

昨日は、とても悪いことがあったよ。
ドナルド・トランプのような男が大統領になったんだ。

でも、とても良いこともあったよ。
ヒラリー・クリントンのような女が大統領にならなかったんだ。

「ジョーク」様

コメント有難う御座いました。言い得て妙ですね。

トランプ氏が
核を持つことも、戦いをすることも、儲からないから
ヤーメタ
といってくれると、いいですね。

延長線上にでなく、changeに可能性を見る
それがアメリカンドリームなのでしょうね。

ヒラリー・クリントンを応援していたマイケル・ムーアですが、この夏に書いた「トランプが勝利する5つの理由」があります。このブログ記事とも重複するところもありますが、あらためて感心します。

http://michaelmoore.com/trumpwillwin/

「元安川」様

コメント有難う御座いました。期待薄かもしれませんが、それでも夢は持ち続けましょう。

「宇品灯台」様

コメント有難う御座いました。8年前に黒人の大統領が誕生したことも驚くべき出来事でしたが、今回の大統領選挙の結果も御指摘のように大きな変化です。それを選んだアメリカ国民がこれからどう行動するのか、不安もありますが、良い方向が出てくることを祈りたいと思います。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。マイケル・ムーアの現実を見る目の確かさは凄いですね。同時に理想を捨てないところがさらなる魅力です。

マイケル・ムーアのブログまで日常的に読んでいる「工場長」さんも凄いと思います。

クリントンから、女性というキーワードを外しても、大統領として選ぶべき人物だったでしょうか?
メール問題も、日本では重要視されてないように感じますが、重大な過失であり、軽はずみな行動をする人に、国を任せれないと思います。
また、自ら進めてきたTPPを、簡単に反対と言う政治家の何を信じてよいのでしょうか。
トランプの過激な発言には、良い印象はまったくなかったですが、選挙が終わってからの両候補の選挙活動の報道を見ると、トランプは勝つべくした勝ったように感じます。
アメリカの格差は、日本で感じる以上に酷いのでしょうね。

「やんじ」様

コメント有難う御座いました。鋭い御指摘、その通りだと思います。メール問題は「過失」ではなく、「故意」に行ったことのようです。経済格差はジニ係数で見ることができますが、アメリカの格差が大きいことは客観的事実です。

ただ、総得票数ではクリントン候補が勝っていますので、慎重な評価が必要だと思います。

2016年11月 9日 (水)

トランプかクリントンか   トランプ人気の背景を考える


トランプかクリントンか

トランプ人気の背景を考える

 

今アメリカでは大統領選挙が進行中です。トランプ、クリントン両候補の接戦だと報道されていますが、「常識」的に考えるとこんなことが起きるとは、数年前には考えられなかったと言えると思います。ビル・クリントン大統領の妻としての、つまり「ファースト・レディー」としての知名度があり、上院議員や国務長官も歴任、政治家としての信頼度もある人に対して、お金持ち、そしてビジネスマンとしては名が売れてはいても政治には全くの素人のトランプ候補が、クリントン候補と互角の選挙戦を展開したこと自体が驚きです。極端に短くまとめましたが、両候補の履歴を考えるとクリントン候補が圧倒的に優勢だったとしても全く不思議ではない選挙なのです。

 

「アメリカの強硬な姿勢は危機感の表れ? それとも選挙対策?にコメントを頂いた「支離滅裂」さんも「デブカ」さん、そして「広島 緩和ケア医のブログ」でも、トランプ候補をある意味評価する考え方や予測を紹介して下さいました。

 

それでは、何故、クリントン候補の人気に影が差し、トランプ候補が善戦しているのでしょうか。

 

分り易い理由を5点リストしたいと思います。

 

 クリントン候補の「スキャンダル」暴露の本が多くの人に読まれた。事実かどうかは別にして、「女性」の代表、それ故に「弱者の見方」、「清廉潔白」等の価値と結び付いていたクリントン候補のイメージが損なわれた。

 トランプ候補にデマゴーグ(煽動政治家)としての素質があった。デマゴーグとして成功する上で効果的なのは、論理を放棄すること。(この点については、機会を改めて説明します。)

 結果として、「変革」というイメージを作ることに成功。実は、悪いことは全てオバマ政権をスケープゴートにして攻撃。「破壊」つまり「ぶっ壊す」という発言が受けた。

 対してクリントン候補は、民主党政権をターゲットにはできなかった。受け身での「防戦」に。

 トランプ候補についての「スキャンダル」も多く暴露されたが、元々「善人」あるいは「清廉潔白」のイメージで売り出したわけではなく、ダメージは小さかった。

 

 

最初の点ですが、クリントン候補批判本として目に付いた何冊かの表紙です。

 

Clintons_war_on_women

             

Guilty_as_sin

     

Clinton_cash

 

Crisis_of_character

   

 ここで、クリントン批判書をいくつも示したのは、これだけの批判があればそれまでの実績や事実とは別の次元での世論が動き始めるというメカニズムを理解して頂きたいからです。

 

第二の点です。日本でも同じことなのですが、デマゴーグがデマゴーグである所以は、事実や真実は一切無視して、多くの人が事実だったら好いなと思っていることを「事実」としてばら撒くこと。そして、そんな不満を変える、つまりぶっ壊すと宣言することです。

 

アメリカ社会の大きなトレンドとして、1980年代のレーガン時代から、父と息子のブッシュ政権に引き継がれた共和党路線の影響が大きいことを挙げておきましょう。その間にクリントン政権がありましたが、実はブッシュ家とクリントン家は家族レベルでも大変親しく、クリントン政権では建前はともかく、実質では共和党路線を辿っていたと考えている識者もいるくらいです。その間に、社会的・経済的格差は広がり、その不満が、歴史的なオバマ政権の誕生につながったと考えると、何となく納得できるのではないでしょうか。

 

しかし、共和党にコントロールされた議会の力で、オバマ政権は自らの政策を十分に実行することができず、「共和党的」な傾向に拍車がかかり、社会的な不満は増大していたという背景があったと見ても良いでしょう。「その不満はオバマのせいだ。それを解消するのは共和党の俺だ」という呼び掛けが功を奏した背景です。

 

日本での成功例としては小泉政権を思い起こしていらっしゃる方も多いと思いますが、その傾向が強まるアメリカでトランプ候補が勝つのか、少なくとも建前では民主党政策を推進する姿勢、それも守りのキャンペーンになってしまったクリントン候補が勝つのか、結果は、日本時間9日の昼頃を目処に分ります。どちらが勝っても、トランプ候補の人気を抜きにしてこれからの政策を推進することは考えらませんので、今日の一言になりました。

  

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コメント

不謹慎かもしれませんが、トランプがなれば、彼が言っているような
メキシコに壁を作ったり、移民を禁止したり、また在日米軍の日本の
負担を更に大きくする等が、本当に出来るのか見てみたい気がして
います。

「⑦パパ」様

コメント有難う御座いました。

昼頃の情報では、鍵になるオハイオ州もトランプ候補を選んだようです。下院は共和党ですので、あと上院で民主党がどのくらい勝てるのも問題です。

トランプ候補が勝利しても、言っていること全ては実現できない、あるいは事実誤認も多いので、その必要がないという結果になると思います。加えて、メキシコの壁以上に、官僚の壁や軍産複合体の壁なども強固ですから。

官僚や軍産複合体の壁も高いとは思いますが、そうした壁にはヒラリー・クリントンよりはドナルド・トランプの方が戦えるように感じますが、いかがでしょうか。

また、アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており、国民が選んだわけでもない首相が、憲法まで好き勝手にするようなことはないと思いますが、どうでしょうか。

それにしても、今回の大統領選挙の直前になってのFBI の動きには、とても興味があります。

「工場長」様

コメント有難う御座いました。御指摘の点、その通りだと思います。

メールについてのスキャンダルは、クリントン側では全ての記録を破壊した積りだったのに、そうではなかったことから、捜査をし直さなくてはならなくなったということなのだと思います。

ニクソン大統領が、秘密裡に録音していた音声テープが命取りになったように、今回は、情報時代の技術管理の甘さが命取りになったのではないかと思います。

この記事がそうだというわけではありませんが、トランプ人気の説明にポピュリズム(大衆迎合)を持ち出すことには違和感があります。
大衆の否定は民主主義の否定であり、民意が正しいという前提でなければ、専制君主制に戻るしかありません。
人間は常に未熟で間違いを犯すものです。しかしそれでもみんなで考えれば少しでも正しい結論に達するという体制にしなければならない、というのが民主主義ではないでしょうか。
それに大きく関わってくるのがマスコミですが、今回の大統領選挙でみれば、マスコミの攻撃はクリントンに対するものよりトランプに対するものの方が遥かに酷く、テレビ討論会でも司会は完全にヒラリー側に有利な質問やコメントが目立ちました。
そうした逆風の中でトランプ大統領は誕生したということを重くみるべきだと思います。

 米大統領選挙の迫った重要な時期にFBIは「メール問題」の捜査再開を発表したが、FBIは民主党オバマ政権の命令下にあり「大統領府に何の連絡もせず捜査再開を議会に通報してしまった」などあり得ない。その後数日間沈黙したオバマは「不十分な証拠しかないのに捜査を再開してはならない」とFBIを批判してみせたが、実はオバマがクリントンの捜査に積極的な捜査官らを支援し選挙直前の捜査再開につなげたことは間違いない。

 それからブログで紹介されているような本には、クリントンが国務長官時代に米金融界やサウジアラビアや中国など海外の勢力から献金をもらい、その見返りに相手側の要望を聞いたり、国務長官として得た情報を流していた疑惑も書かれていて、これらの書籍をもとに内偵を進めた現場の捜査官たちが「クリントン基金を立件できる十分な証拠が集まった」として正式な捜査開始を要望したところ、上層部はそれを止めたが、最後はオバマの支援が功を奏した。

 そして最後はマスコミの誇張された世論調査が、クリントンの支持率が実態に近づき期日前の投票も進んだ土壇場で「訴追することはない」と発表してトドメは刺さなかったところなど、まさにオバマの演出の見事なところと言わざるをえない。

「大衆」様
「FBH」様

コメント有難う御座いました。市民の持つ力について、またオバマ大統領の果した役割についての明快な解析にお礼を申し上げます。

オバマ大統領の役割については私も情報を集めてみますが、今回の選挙を左右したことについては次回取り上げていますので、お読み頂ければ幸いです。

メキシコとの壁は、トランプ大統領が就任する前に、メキシコの方が先に作るようですね。
なかなか面白い展開です。
日本もトランプ大統領に言われる前に、米軍に撤退して頂きましょう。
沖縄にとっては数%の経済効果しかないくせに70%を占領する米軍がいなくなれば、より安全になるだけでなく、経済的にも豊かになり日本からも独立できます。

「先手必勝」様

コメント有り難う御座いました。メキシコの方はともかくとして、おっしゃるように、在日米軍には撤退して貰う、という方針を早急に我が国が採用すべきですね。Change.orgでの署名運動でも始めると良いかも知れません。

 「アメリカは、議会も司法も日本よりは機能しており」ではあるが、大統領令やオバマの意思表明によって決まった政策もある。オバマが議会上院を迂回して大統領権限で批准したパリ条約やイランとの核協定そして尖閣諸島を安保条約の範囲内とすることなどだ。
 当然のこととして中国は尖閣への領海侵犯を強めて米国の行動をみるだろう。日本にTPPや温暖化対策よりも大きな課題になりそうだが、安倍政権はこれ幸いに思うかも知れない。

「FBH」様

コメント有り難う御座いました。議会の権限とは別に大統領の権限として実行できることは確かに多いと思います。

同時に、トランプ氏が糾弾したエスタブリッュメントの中には、共和党の議員もいれば民主党議員もいますし、マスコミのかなりの部分も入っています。さらに矛盾した「約束」をしてきたトランプ氏が、今後、そのいくつかを実現しようとし、それ以外のものは無視したり捨てたりする過程で、様々な利害関係が衝突して混乱が生じる可能性はかなり高いのではないかと思います。いくつか可能なシナリオが考えられますが、続いて一緒に考えられれば、と思っています。

2016年11月 8日 (火)

霜月の第九も優雅です


霜月の第九も優雅です

 

鎌倉から向かった先は川崎のミューザ川崎シンフォニーホールです。川崎を音楽の街にしたいという思いから建設され、音響の良さでは定評があるのと同時に、東京交響楽団桂冠指揮者秋山和慶氏率いる東京交響楽団のフランチャイズホールです。秋山氏は、広島交響楽団音楽監督/常任指揮者としても有名ですが、東響そして川崎市との関わりも深い方です。ミューザ川崎の夜景です。

 

             

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そこで104日に開かれたのは、慶應義塾大学ワグネル・ソサイエティーの創立115周年記念コンサートです。御存知ない方のために説明しておくと、「ワグネル」とは音楽の巨匠「ワーグナー」のドイツ語読みに由来しています。

  

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ワグネル・ソサイエティーは1901年に創設された学生による音楽団体で、ワグネル・オーケストラ、ワグネル男声合唱団、ワグネル女声合唱団の三つのグループがそれぞれ学生レベルではトップに数えられる活動を続けています。そして5年に一度、この三つのグループが合同でコンサートを開くのですが、今回がちょうど5年目に当り、演目はベートーベンの交響曲第9番でした。

 

演奏までに時間があったので、地下のレストランの下調べをしました。あるレストランの前で、以前とてもお世話になった方の奥様、お嬢様と20年ぶりの再会。「今日はどちらへ」に対して「うちの息子がワグルネル合唱団のメンバー」そして「うちも」。陳腐な表現になりますが、本当に世の中は狭いということを実感しました。

 

さて、演奏中は写真が取れませんので、会場の写真です。入口の階段そして演奏前のホールです。

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 大学のオーケストラ、あるいは合唱団、それぞれ別々の公演は聞いたことはありましたが、オーケストラと男女の合唱団一緒というのは初めてでした。暮の第九よりちょっと早かったのですが、十分に楽しむことができました。素晴らしいパーツや、上手いプレーヤーに恵まれていることに加えて、若さ溢れる演奏とこれからが期待できる可能性にも感動した一時でした。

 

バスとして歌い尽した感もあったのかもしれませんが、息子は別の部活の翌日の全国大会参加のため、公演直後、荷物だけ私たちに預けて静岡県富士市に向かいました。5日と6日には、第26回全国大学新人アルティメット選手権大会が開かれるからです。場所は富士川緑地公園です。

 

全日本大学アルティメット選手権大会について、また「アルティメット」という競技については9月にアップしましたが、今度は、一年生二年生からなるチームの「新人戦」です。

 

息子たちのチームは予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントに出場。6日の午後決勝戦では大阪体育大学を6対3で破り見事全国優勝! 親戚一同盛り上がりました。両チームとも素晴らしいプレーだったのですが、プレー中の写真は、中継カメラの位置が遠いこともあり、動画でないとスピードとエネルギーが伝わってきません。試合後の両チームです。

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2016年11月 7日 (月)

釈迦牟尼は美男におわす秋の夕暮れ?


釈迦牟尼は美男におわす秋の夕暮れ?

 

高校までは、子どもたちの部活や体育祭、文化祭等には気軽に参加できましたが、大学となると上京しなくてはなりません。折角の機会ですので、近場の鎌倉に大仏様の拝観に行きました。テレビでよく見る江ノ電にも乗りましたが、残念なことに新型の車両でした。

                

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長谷駅で降りて徒歩10分ほどで大仏様の鎮座まします高徳院です。妻は初めてですが、私は何度も見ています。何度見ても見飽きませんし、恐らく禅の修行をしているのであろう外国人の青年が五体投地の礼拝をしている姿もあって、ここが観光の場だけではないことを再確認できました。

 

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その俗世と仏教をつないで、大仏様の美しさを表現したのが与謝野晶子です。彼女の名歌「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におわす夏木立かな」を刻んだ歌碑が大仏様の背後にありました。もう夏木立の季節ではなく、夕暮れの美しい時ですが、与謝野晶子の読んだ美しさに変りはありません。

 

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歌そのもののコピーと楷書体の「訳」も傍にありました。

 

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ここで問題です。与謝野晶子の歌には間違いがあるのですが、それは何でしょう。

 

鎌倉の大仏様は、「釈迦牟尼」ではなく、高徳院の御本尊である「阿弥陀如来」なのです。後にそれに気付いた晶子が歌を直したという説もありますが、歌碑を造るにあたり、高徳院では、元の「釈迦牟尼」のままで良いという判断をしたようです。

 

続いてすぐ近くの長谷観音へ。十一面観音菩薩が御本尊ですが、写真撮影は禁止でした。その隣にある阿弥陀如来像は大丈夫のようでしたので、そちらの写真です。

  

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これまで見たことのなかった弁天窟も見学して、大仏様そして長谷寺を回っただけで心が洗われた気持になりました。

 

実は、大仏様、長谷寺で、アメリカのケネディー大使一行を見掛けました。ジャズ・ピアノその他で有名な音楽家の小曽根真さんが熱心に案内をしていました。

 

鎌倉を後にして川崎に向かいましたが、写真が中心のエントリーになりましたので、その先は次回に。

 

 

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2016年11月 6日 (日)

カープ優勝パレードと自衛隊パレード

カープ優勝パレードと自衛隊パレード

 

雲一つない青空のもと、カープの優勝パレードが行われました。優勝パレードのテレビの放送が始まると、我が家でも、何となくそわそわした気分になり、「やっぱり現地で見ようや」と急きょ支度をして、午前10時5分妻と二人で平和大通りを目指しました。NHK広島放送局の向かい側に着くと、すでに多くの人が集まり、今や遅しとパレードの到着を待っていました。空を飛び交うヘリコプターに向けて小旗を振る人たち。10時30分沿道のスピーカーから「カープ優勝パレードがスタートしました」の声が聞こえました。隣でパレードを待つ人と会話が弾む。「今朝三次を7時過ぎに出て、家族とともに来ました。」そんな会話を楽しみながら待つこと15分余り。先頭のテレビ中継車の姿が見えてきました。周りの声も大きくなります。

 

いよいよ選手の登場。カープのマスコット「スラィリー」が乗ったオープンカーを先頭に次々と目の前を通り過ぎていきました。4台目のオープンカーは、黒田投手と新井選手の二人。ひときわ大きな声が上がりました。一生懸命にスマホのシャッタを押し、写っていたのが次の一枚。

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次々と続く、選手の姿。周りからは、お気に入りの選手の名前を呼ぶ声が、次々と上りました。目の前を通り過ぎた時間は、先頭から最後まで、5分余りでしたが、周りの人とともに、改めて「カープの優勝」を実感するとともに、平和を感ずる楽しい時間でした。

 

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そんな中、パレードといえば、思い出すことがあります。1964年から被爆地広島では、自衛隊の市中パレードが実施されていました。1965年には、今回「カープ優勝パレード」が行われた平和大通りで実施する計画が持ち上がったようですが、原水禁など平和団体の抗議によって、さすがに「平和大通り」での実施は変更されたそうです。しかし「自衛隊パレード」そのものは継続されました。ようやく1972年になって「自衛隊パレード反対」の声が上がり始めました。そして、翌1973年には、「被爆地広島を軍靴で汚すな」の声が更に大きくなり、「自衛隊パレード」の中止を求めて様々な抗議行動が取り組まれました。パレード当日の10月28日には、抗議する市民1万2千人が、県庁前に集まり、激しい抗議行動を展開しました。「優勝パレード」とは違い「自衛隊パレード中止」を求める怒号の中を、戦車はスピードを上げて通り過ぎました。こうした抗議行動が実り、翌年、被爆地広島での「自衛隊パレード」は、中止に追い込まれ、その後の実施はできなくなりました。41年前(1975年)に実施された「カープ初優勝パレード」の数年前まで、被爆地広島で「自衛隊パレード」が実施されていたのです。この「自衛隊パレード阻止の行動」は、広島の平和運動にとっては、忘れることのできない出来事です。ちょうど同じ年1973年7月には、今に続く「核実験抗議の座りこみ」が開始されています。私にとって、平和運動の出発点となった出来事です。

 

今回の「優勝パレード」では多くの子どもたちの姿を見ることができました。こうした光景は、これからも何度でもあって欲しいと願わずにいられませんが、再び「自衛隊パレード」が行われるような時代を決して迎えることがないように、今できることに全力で取り組んでいきたいと改めて感じました。

 

 

 

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2016年11月 5日 (土)

小さな神社の300年祭と鬼 

小さな神社の300年祭と鬼 

 

広島市安芸区船越の字名竹浦地区にある小さな神社の大年神社の造営300年のまつりのその2

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300年祭のスタートは朝9時、写真右の細い道を獅子が笛、鉦、太鼓のお囃子で舞いながら練り歩くところから始まる。獅子の右側に赤、青と夜叉面の鬼が獅子舞の先導を務める。かぶっているのは青年団の人たち。

ぐっと近くによって撮影をお願いした。地元の人たちの愛称でつけられた名前は。

 

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          「赤」の鬼。阿形。

 

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              「青」の鬼。吽形

 

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          「やまん」の鬼。夜叉の形相。

私の娘の経験ではこの「やまん」が一番怖いそうで、多くの子どもたちの一致するところらしい。3匹の鬼の中で一番小さいお面だ。真鍮の眼が鋭い。1年に1回のまつりの時に青年団の人が磨き粉でピカピカに磨くところを小さい時にまじかで見ていた記憶がある。作られたのは江戸時代らしい。

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大年神社の前まで来た。鬼は沿道の人たちに道を開けるように先頭しながらすすむ。

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大年神社の前まで来た。鬼は沿道の人たちに道を開けるように先頭しながらすすむ。

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鬼には金棒だが、その代わりに上下に鉄の蓋をはめた木製の長い棒を必ず持つ。棒をひこずって歩くのでまつりの日、こどもたちはガラガラと響くこの音を聞くと鬼が近くにいることを知って、見る前から怖がる。

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青とやまんのツーショット。面をかぶっているのは実は親子で300年祭りらしく鬼も和やかムード。

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獅子の奉納舞が終わって境内で獅子に健康を願って子どもの頭をやさしく噛んでもらうのもずっーと続いてきた風景。

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怖い鬼だが祭りの終わりの餅まきに3匹がそろって餅をまく。鬼の棒を持たずに餅をまく姿はどこかコミカルで愛らしい。

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獅子舞の衣装には昭和6年(1931年)とある。85年前になる。私は生まれていない。

それにしても行われた300年祭の時の長さを思うとき、原発の「核のゴミ」の行く末を考えさせられる。このゴミが安全になるのに10万年かかる。300年の333倍プラス100年の時を刻むことになるが、地域の人たちに愛され支えられることのない「核のゴミ」が安全に維持していけるわけはないと思ってしまう。あらためて「核絶対否定」の認識を新たにした300年の祭りだった。

 

※獅子や鬼、神輿の出る毎年の祭りは10月の第3週の土日に岩滝神社で行われている。

 

113日 

 

社会福祉法人安芸の郷 理事長 遊川和良

 

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2016年11月 4日 (金)

アメリカの強硬な姿勢は危機感の表れ?  それとも選挙対策?


アメリカの強硬な姿勢は危機感の表れ?

それとも選挙対策?

 

プラハから始まり、広島で改めて「核なき世界」を創る決意を述べたオバマ大統領の率いるアメリカは、「核兵器禁止条約を締結するための交渉を来年から始める」という決議案に反対しまた。多くの人の心を打ったオバマ大統領のプラハ・ヒロシマ演説は口先だけのことだった、アメリカもその大統領も信用できないとまで言う人もいます。確かに矛盾に満ちている行動ですが、それは、アメリカ社会もそして世界も矛盾に満ちていて、その矛盾にできるだけ合理的に対応しようとした結果なのかもしれません。

 

それを読み解くためのキーワードの一つは「危機感」です。今回の決議の出発点は、8月にジュネーブの「公開作業部会(OEWG)」で採択された報告書の中の勧告ですが、このOEWGにアメリカは参加していません。しかし、その「代理」として行動したのがオーストラリアや日本なのですが、その結果は核保有国や核依存国の危機感を増大させるものになりました。

               

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この報告書は、意見のまとまらない点については「両論併記」という形を取り、最終的にはコンセンサス方式で採択するという「合意」ができていました。その中には、来年から核兵器禁止条約についての交渉を始めるという勧告に広範な支持があったこと、またそれに反対する国のあったことも明記されていました。

 

しかし、土壇場になってオーストラリアが前言を翻し、採決によって決着をつけることを要求した結果、採決に付されることになりました。その際に、グアテマラが発言、「コンセンサスで採択されるという前提なら、それなりの妥協には応じるが、採択するのなら元通りのより強い表現を盛り込んだ報告書にしたい」と修正案を提出しました。その結果、賛成多数で採択された報告書の内容は、核保有国や依存国にとっては、より不本意な内容になってしまいました。彼らの危機感はさらに大きくなったのです。

 

その危機感が元になってアメリカは、ニューヨーク時間1027日に、国連の第一委員会で採択された「核兵器禁止条約交渉2017年開始決議」に、できるだけの圧力を掛け、できれば「脅し」とも受け止められる強硬な態度を示した、と考えることも可能です。

 

朝日新聞の電子版は、アメリカの言い分として「安全保障体制を下支えしてきた長年の戦略的安定性を損ねかねない」を挙げており、アメリカがNATO諸国や核依存国に文書でこの決議案に反対するよう要求したことも報じています。

 

つまり、アメリカの核政策は最低限現状維持、かつ今後の近代化・最新化計画も膨大な予算とともに変えない、という態度表明としか考えられません。となるとオバマ演説とは正面衝突です。

 

しかし、今年は大統領選挙の年です。しかも共和党のトランプ候補と民主党のクリントン候補が、あと一週間も残っていない今、全てを賭けての選挙戦が続いています。民主党の一員であるオバマ大統領にとっても、民主党勝利のためにあらゆる手立てを講じなくてはならない時です。特に、トランプ陣営の言い分は、オバマ政権は軟弱だった、その軟弱外交を「強いアメリカ」に戻す、といったことですから、今オバマ大統領として示さなくてはならないのは、「危機感」に代表される考え方の人たちの主張そのままに、「強いアメリカ」を打ち出すことです。選挙対策としてはそれしか考えられないほど、アメリカ社会の大勢は、「愛国」「強さ」といった価値観に左右されてしまっています。

 

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選挙に勝つためには何でもするという考え方が如何に強いものであるかは改めて強調するまでもないと思いますが、多くの市民が日常的に影響を受ける国内の政策より、外交面での「強いアメリカ」をアピールすることが一番効果的なのですから、仮にオバマ大統領の意思とは違っていてもここは「妥協」せざるを得ないところでしょう。

 

しかし、118日の投票日後では話が違ってくるかもしれません。オバマ大統領の任期は来年の119日ですから、それまで2か月とちょっとあります。マスコミも世間も新大統領に注目するでしょうから、現職とはいえあまり任期の残っていない大統領が、ある程度自由に自分のしたいことを淡々と行うことも可能な時期です。そうなるかどうか、今の時点で保障はできませんが、人情として期待してみたくなる気持ちもお分かり頂けるのではないかと思います。

 

 

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コメント

 米大統領選挙も最終局面に入った次期に突如ヒラリー・クリントンのアキレス腱と言われる「メール問題」の捜査再開が発表され、これは明らかにオバマ大統領の承認のもとに行われている。
 表向きはヒラリーを支持するしかないオバマだが、内心では軍産ベッタリのヒラリーを支持しているわけはない。世界平和という観点では明らかにトランプの方がベターチョイス。
 マスコミがこれだけトランプを叩きネット(Google、facebook、Twitter)ですら検索結果を操作しランダムなはずの世論調査で明らかに民主党支持者の割合が多い(オーバーサンプリング)世論調査ですら支持者は拮抗しており実態は明らかにトランプ有利だ。
 ABCワシントンポストの世論調査では先週まで50%対38%でヒラリー優位だったが11月1日には46%対45%でトランプが優勢になった。
 トランプ陣営が主張しているように集票に不正がなければトランプ大統領の誕生は間違いない状況だが、土壇場になってマスコミの誇張された優勢がはがれ落ちる劇が演じられ、実勢に近いところへと世論調査も軟着陸している状況をみると、軍産複合体の抵抗もここまでなのかも知れない。
 現状では世界平和にとってヒラリーよりトランプの方がベターだが、トランプも決して平和主義者ではない。トランプが大統領になれば、来年は株価の下落、円高ドル安、金地金高になり、国際政治面でも、巨大な地殻変動が起こる。
 政治というのは科学技術のようにリニアな進歩はない。

「支離滅裂」様

コメント有難う御座いました。大変複雑かつ微妙なアメリカ社会の本質的な部分を鋭く、分り易くまとめて下さり有難う御座います。

それに、長期的には大きく変わりつつあるアメリカ社会の基本的な価値観も合わせて考えると、余りにも変らない日本の政治、それどころか、周回遅れを先頭だと誤認しているリーダーたちに政治を任せるしか選択肢がないと思い込んでしまっている人たちに活を入れたい気持です。

 最近よく観るサイトに「トランプが大統領になると、ロシアのプーチン、中国の習近平との間で、これからの世界秩序に関するサミットと米露中の影響圏の再配置が行われるだろう」という予測がある。つまり「新ヤルタ体制」と呼ぶべき新たな世界秩序である。

http://www.debka.com/article/25751/Clinton-and-Trump-offer-diverse-ME-scenarios

 イスラエルは米国の同盟国でありながら、最近はロシアに擦り寄っており、英首相官邸もトランプ陣営と会合の場を持っている。新ヤルタ体制において英国は協力者であり、独仏(EU)は米国の強い影響下からの離脱を進め、EUの軍事統合と対露和解によりNATOを有名無実化し、豪州や韓国は中国に更に近づく。一方で日本政府は相変わらず何が起きているのかも把握できず茫然自失的な無策による自滅が続く。

「デブカ」様

コメント有難う御座いました。面白い予測ですね。軍事面あるいは地政学的な側面抜きに世界情勢は語れませんが、それだけに限定した分析にも限界があるように思います。

市民的な視点やより長期的なトレンドの整合性も合わせて考えると、違った予測もできるのではないかと思っています。如何でしょうか。

2016年11月 3日 (木)

「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省


「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省

 

昨日に続いて、日本政府と外務省の言い分こそ、「亀裂を深めている」こと、それが不誠実かつ暴論に依っていることを検証したいと思います。

 

菅官房長官の言うとおり、核保有国と非核保有国との間に亀裂のあるのは問題です。そこで問題点は二つに分けられます。一つ目は、その亀裂を解消させるためにはどうすれば良いのか、そしてもう一つは、そんな亀裂を作ったのは誰なのか、です。

            

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 一つ目の答は簡単です。核兵器を廃絶すること、つまり核保有国をなくすことです。しかし、その正論が分らない核保有国が、核不拡散条約で自ら約束した「誠実な交渉義務」を果さないことが亀裂の原因です。亀裂をなくすためには、誠実に交渉をすれば良いだけの話ですし、国連の第一委員会で、わざわざ決議までして来年2017年から交渉を始めますとお膳立てをしてくれたのですから、それに参加すれば良いだけの話です。

 

繰り返すと、「亀裂を深めている」のは核保有国です。来年交渉を開始しましょうという内容の決議ではありません。何がテーマではあっても、交渉つまり「話し合い」が「亀裂」を深めるという認識そのものが常識に反しています。非常識な反対票を入れた日本政府は、それだけではなく、自らが「亀裂を深めている」ことには気付かず、あるいは気付いていても気付かない振りをしているのかもしれませんが、決議そして決議に賛成した国々を非難しています。

 

今回は、日本政府が「亀裂を深めている」こと、そして核兵器の廃絶に反対していることをハッキリ示しているもう一つの事実を復習しておきたいと思います。既に、In Good Faith (誠実に)――RMI提訴の却下と「白紙領収書」――」で説明しましたが、「亀裂を深めている」という視点から再度日本政府の言動をおさらいしておきたいのです。

 

何度もお浚いをすることの理由ですが、同じ事実でもまとめ方が違うと新たな景色が見えることが多くあるからです。また視点が変わっていても、何が事実なのかということから始めるという順序も大切だと思いますので、お付き合い下さい。

 

まず、核兵器の廃絶に関連して存在する唯一の条約が「核不拡散条約(NPT)」ですので、これが出発点です。日本も批准していますからこの条約に縛られます。また核保有国の中では、旧来の核保有五カ国、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国も批准しています。当然この条約の遵守義務があります。

 

その他の核保有国、つまりインド、パキスタン、北朝鮮、それに疑惑国イスラエルはNPTには加盟していませんが、国際慣習法という観点からは、この条約の考え方、さらにそれをちょっぴりですが強めた国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見(1996)等には縛られます。

 

その中でも、第6条の「誠実な交渉義務」が重要です。今回の決議でも、マーシャル諸島共和国(RMI)による提訴でも、この点がカギなのです。その内容は昨日も掲げましたので、ごく簡単に言ってしまえば、核兵器を禁止する条約締結のための多国間交渉に全ての締約国は誠実に参加しなくてはならない、というものです。

 

核保有9カ国が、この第6条違反をしているという廉でマーシャル諸島共和国が、ICJへの提訴に踏み切りました。詳しくは、「マーシャル諸島共和国の勇気と日本政府の情けなさ」をお読み下さい。

 その結果は、「マーシャル諸島共和国の提訴は却下 でも判事の評価は8:8」で報告したように、「却下」でしたが、日本政府の代表は「却下」に一票を投じました。それも極めて人工的かつ技術的な理由であることは、In Good Faith (誠実に)――RMI提訴の却下と「白紙領収書」――」で説明したとおりです。極端なことを言えば「反対のための反対」です。

 

逆に、「提訴を取り上げる」方に一票を入れ、その立場を貫いていれば、RMIの主張は、その後の審議でも認められることになったはずです。つまり、「核保有国は核兵器禁止条約締結に至る交渉に応じなさい」、という結論になった可能性が高いのです。「被爆国」と自らの立場を国際社会で規定してその結果としてかなりの影響力を行使している日本が、事もあろうにRMIの提訴についての、可否を握る一票を手にしながら、NPT条約の規定を守らず、被爆者の意思も無視するという暴挙に出たのです。

 

そして「亀裂を深めている」という視点から考えると、裁判という手段ではあってもそれは両サイドが、意見は対立していても、話し合いに応じることですから、亀裂を修復するプロセスだと考えられるのではないでしょうか。

 

では日本政府は「亀裂を深めている」状態改善のために何をしているのでしょうか。罪状を読み上げるだけでも時間が掛かりますが、一つだけ挙げておけば、オバマ政権が核の先制不使用を宣言しようとしたときにそれに反対したこと、その理由というより、脅しとして使ったのは、アメリカが核不使用宣言をすれば日本は核武装も辞さない、という日本政府の「本音」をちらつかせることです。アメリカに現状維持を迫る、仮にそれが駄目なら、核廃絶とは正反対の「核武装」をするという選択肢の提示は、まさに「亀裂を深めている」ことに他なりません。

 

当然アメリカの姿勢も問題です。

 

 

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コメント

お誕生日おめでとうございます。cake

「ふぃーゆパパ」様

御祝辞有難う御座います。

何時も、法曹の現場からの貴重な報告や感想有難う御座います。とても勉強になります。

2016年11月 2日 (水)

外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか


日本政府・外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか

 

「核兵器禁止条約締結への大きな一歩」 (1030)の一番最後に問題提起をしましたが、その続きです。


因果関係を無視した発言、妄想を事実と報道するメディア、それを簡単に信じてしまう市民と、3拍子が揃ってしまうと、何度も書きますが、「周回遅れ」が「二周遅れ」「三周遅れ」になってしまいます。もう一度、核兵器だけに限っても仕方がありませんが、何が事実であり、人類が生存し続けるためにその事実に基づいた選択ができるよう、一から考え直さなくてはならないと思います。

 

その中でも日本政府の反対理由を取り上げましたが、より正確に、産経新聞の電子版から引用しておきましょう。菅官房長官の言葉としての報道が一番分り易いと思いますので、その部分です。

          

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菅義偉官房長官は28日の記者会見で、国連総会第1委員会(軍縮)が採択した「核兵器禁止条約」制定交渉開始の決議に日本政府が反対した理由について「核兵器のない世界を実現するには核兵器国の協力が必要だが、作成段階から核兵器国が関与していない」と指摘した。その上で「このようなアプローチでは核兵器国と非核兵器国の亀裂をさらに深め、核兵器のない世界の実現を遠のかせてしまう」との懸念を示した。

 

菅氏は「わが国は核兵器国と非核兵器国の橋渡しをして協力を進める観点から、核兵器国も取り得る現実的で実践的な核軍縮措置を推進している」

 

日本政府の発言に対する「国際法遵守」の立場からの反論です。これは、マーシャル諸島共和国の勇気ある行動とも関わっていますので、関連した記事、「マーシャル諸島共和国の勇気と日本政府の情けなさ」、またIn Good Faith (誠実に)――RMI提訴の却下と「白紙領収書」――そして「マーシャル諸島共和国の提訴は「却下」でも、判事の評価は 8 : 8もお読み下さい。

 

さて、菅官房長官の発言に戻って、「作成段階から核兵器国が関与していない」のは事実です。でもそれは、核保有国が公開作業部会には参加しない、その他の多国間交渉の場にも出ない、と頑なに「国際協力」を拒否してきたからです。「核兵器国と非核兵器国の亀裂をさらに深め」は、認識が正反対です。この発言では、「亀裂」を生んだ原因がすっぽ抜けているのでこんな変てこな結果になっています。そもそも「亀裂」が生じたのは、核保有国が核不拡散条約(NPT)の違反を続けてきたからです。そんな因果関係を無視して、あたかも客観的な事実であるがのごとく「亀裂が深まる」はないでしょう。

 

何度も繰り返しますが、NPTの第6条の要旨です。

 

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 そして、今回の決議はその「亀裂」を解消させるために、「交渉」を始めるという内容です。しかもそれは、NPTができた時から全ての締約国が約束し、条約締結国同士がお互いに課してきた義務なのです。

 

核保有国と非核保有国の協力を促すこと、それ自体は抽象的に考えると問題はないように思えます。しかし、一方は法律違反をしている、他方は法律遵守を求める、という立場の違いのある二つのグループの対立です。法律違反をしているグループと同じ行動を取ってしまっては、いじめ集団の一員になるのと同じではありませんか。「法の支配」という大前提を認めるのであれば、「法律遵守」グループと同一行動を取る以外の選択肢はあり得ないのです。

 

喩えとして適切かどうかは皆さんの判断に俟ちたいと思いますが、仮にある集団Uがあったとしましょう。その中には、いじめをしているグループAがあり、いじめられているグループBがあったとします。さらに、グループAが怖くてお先棒を担いでいるグループCがあったとします。グループBは勇敢にも、いじめを止めるための話し合いをしようという提案を集団Uの中に行ったとしましょう。

 

そのときに、グループCの一員が、「いや元々、グループAがその提案に関わっていないから、おかしい。それに、その提案に賛成すると、グループAとグループBの亀裂が深くなるから話し合いをするのは反対だ」というのが日本政府の立場です。

 

日本政府がこんな態度を取り続ける理由の一つは、アメリカからの圧力です。そして「核抑止論」です。さらに、日本は一応、民主主義国家ですから、私たち有権者、市民がこのような政治を変えなくてはなりません。どうすれば良いのか、皆さんからの提案も是非、伺いたいのですが、一緒に考えられればと思います。

 

続きます。

 

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2016年11月 1日 (火)

二葉あき子歌碑建立一周年記念イベント


二葉あき子歌碑建立一周年記念イベント

 

最初はクイズです。

 

次のリストを見て、二葉あき子さんが歌ってヒットした曲はどれとどれでしょう。(正解は最後に)

 蘇州夜曲

 岸壁の母

 祈り舟

 瞼の母

 水色のワルツ

 十三夜

 夜のプラットホーム

 長崎の鐘

 新妻鏡

 フランチェスカの鐘

 

お分りの方も多いと思いますが、「岸壁の母」を選んだ方もいらっしゃるような気がします。「岸壁の母」は二葉百合子さんが歌ってヒットした曲ですが、「二葉」が共通しているためか、しばしば間違えられるのだそうです。

 

二葉あき子さんの本名は加藤芳江。191522日に東区の二葉の里で生まれました。広島の旧名である「安芸」と合わせて、「二葉あき子」という芸名になりました。東京音楽学校在学中にプロ歌手としてのスタートを切って以来、戦前から戦後にかけて日本を代表する歌手の一人として活躍してきました。

 

 

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2011年に96歳で亡くなりましたが、彼女の戦後の活動の原点は、194586日、芸備線で布野に向かう途中、中山トンネルの中で被爆したものの、一命を取り止めたことです。それが彼女の人生を決定付け、平和と故郷への思い、家族や友人たちとの絆を大切にしたことでも知られています。

 

代表曲には、「夜のプラットホーム」「フランチェスカの鐘」「水色のワルツ」「さよならルンバ」「新妻鏡」「恋の曼殊沙華」「祈り舟」等があります。

 

二葉さんの歌と人生を後世に伝えるために、昨2015117日に、彼女の歌碑が完成、除幕されました。歌碑には「二葉あき子の平和への思いを込めて歌い続けた意志を讃え生誕100年・被爆70年を記念して歌碑を建立した」と刻まれています。


歌碑建立の詳細については上村和博さんが、3年前に書かれた記事をお読み下さい。

 

二葉さんの歌は、美しく感動的なのですが、歌いこなすのに難しい曲もあるため、もっと多くの皆さんに親しんで貰い、カラオケ等でも歌って貰いたい、という思いで歌碑建立委員会の事務局長・上村和博さんが1029日に、「二葉あき子歌碑建立一周年記念イベント」を開催しました。

 

音楽愛好家の菊波勇さんが長い間集めたSPレコードを息子の琢さんが引き継ぎ、貴重な二葉さんのSPレコードを蓄音機で聞かせてくれました。アナログの世界に浸って二葉ソングを聞くのも乙なものです。

 

その後、多くの歌うまの皆さんが、二葉さんの歌、自分の持ち歌等を熱唱、休憩時間の後には、紙芝居「二葉あき子物語」の公演がありました。この作品に接することで二葉さんの人生を理解して、新たな二葉ファンが増えるだろうな、と嬉しく鑑賞させて貰いました。

 

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 この紙芝居の企画は上村和博さん、脚本は上村さんと公演者の阿部さん、絵は東区地域おこし課の福本英伸さん、公演はヒロシマ紙芝居村の村長阿部頼繁さんですが、とにかくお勧めです。機会があれば、是非御覧になって下さい。

 

さてクイズの答ですが、「祈り舟」、「水色のワルツ」、「夜のプラットホーム」、「新妻鏡」、「フランチェスカの鐘」の5曲です。

 

参考までに、「蘇州夜曲は」李香蘭(山口淑子)が歌うために作られたのですが、渡辺はま子・霧島昇のコンビでヒットしました。「岸壁の母」は二葉百合子。「瞼の母」は二葉百合子の浪曲が有名ですが、中村美津子も歌っています。「十三夜」は小笠原美都子、「長崎の鐘」は藤山一郎です。

 

正解の方には何か小さな「賞品」をと思ったのですが、良い「賞品」を思い付きませんでした。何かアイデアをお持ちの方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。


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コメント

先日はお忙しいところ長時間ご臨席下さりありがとうございました。クイズを入れたブログ、さすがです。このブログを読まれた皆さんに二葉あき子さんの歌に込めた想いを知って頂き、広島市東区二葉の里にある歌碑を訪れて頂ければ幸いです。 上村和博

「上村和博」様

コメント有難う御座いました。歌碑を訪れた後には、カラオケでもどんどん歌って頂けたらと思います。

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