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2016年8月20日 (土)

核先制不使用宣言 その3


 

核先制不使用宣言 その3


 

前回見たように、アメリカが核の先制攻撃をする可能性は実質的にほとんどないのですが、思考実験として、仮に何らかの理由で、アメリカが北朝鮮に核を使ったとしましょう。その結果、どんなことが起るでしょうか。

 

前提として、北朝鮮は核を持っているにもかかわらず使っていないという点を再確認しましょう。仮に、その北朝鮮が飛んでもない理不尽なことをしたとしましょう。しかもそれは、アメリカが核を使わざるを得ないほど酷いことだったと仮定しましょう。とは言えそれが、一方的な核の先制使用以上に非人道的かつ残虐なものである可能性はないだろうことは、既に述べました。つまり、1945年のアメリカ世論のように、「悪い奴に好く核を使って懲らしめた。あっぱれ、あっぱれ」という世界の世論ができるような可能性は考えられないのです。

 

同時に核の非人道性についての認識は世界に広まっています。被爆者の努力、広島・長崎の情報の共有、科学的知識の普及、オバマ大統領の広島訪問等、様々な理由がありますが、その結果としてアメリカ国内でさえ、「原爆投下は正しかった」と考える世論が半分以下になっているのです。そのような状況下、世界の世論が、一方的な先制核攻撃を賛美しないまでも、許容するでしょうか。核攻撃を受けた現場の状況はマスコミを通じて世界に届き、それを見た人たちは、「こんな恐ろしいことが起こるのだから核は廃絶しよう」と訴えてきた人たちの予測通りの惨状を目の当たりにするのです。世界のそしてアメリカの世論でさえ、何故、これほど酷いことをしたのかと感じるでしょうし、その結果、一方的核使用を糾弾することになるはずです。

 

そんなときに、仮に日本政府が、アメリカによる核の使用は正しかった、と言ったとすれば、日本が世界から孤立することにもなりかねません。そして、どんな状況でも自国は正しいと信じたい人たちは多いのですから、スケープゴートを探そうとする力が働いて、アメリカの世論の中に、日本が悪いという声が上ってもおかしくはありません。オバマ大統領の提案に難癖を付けて、「先制使用」を挑発したのは日本だという理由くらい簡単に考え付くでしょう。そこで持ち出されるのは、「パール・ハーバーをしたくらいの国だから」、そんな非常識な考え方をするんだ、というアメリカ弁護のための都合の良い理屈を裏付ける歴史として「パール・ハーバー」が使われてもおかしくはありません。

 

こんな結果になることが分っていて、それでも核による先制攻撃を勧めるのでしょうか。冷静に考える必要があることは御理解頂けたと思います。

 

アメリカが北朝鮮に対して核の先制使用をしたとして、もう一つの可能性も考えておきましょう。どのくらいの大きさの何個の核を使うかも依りますが、核爆発の影響は、北朝鮮の国境内に留まる訳ではありません。

 

陸続きの韓国への放射線による影響、その中には「黒い雨」に代表される放射線被害、また「核の冬」や「核飢饉」のように、核爆発の結果、成層圏まで届く大量の粉塵その他の遮蔽物による気候の変動等の結果も特に近隣諸国には大きな影響を与えます。

 

また、核攻撃の結果、どの程度の軍事力が残るのかにもよりますが、恐らく「これで我が国は終った」と考える人達は圧倒的多数になるでしょう。その人たちが直ちに戦意をなくして「降伏」する可能性もありますが、「最後に一矢を報いてから」と考える人達がいてもおかしくはありません。

 

「一矢を報いる」相手はどこになるのでしょうか。同胞の国である韓国よりは、「先制核使用」を主導した元凶である日本に向く可能性の方が大きいとも考えられます。その中で、核を実際に使ったアメリカの基地のある沖縄を標的にするでしょうか。そんなことはないでしょう。少ない人数で最大の被害を与えられる標的としては、軍隊が集まっている軍事基地ではなく、民間の施設を考えるのが普通なのではないでしょうか。

 

 

1998

古いですが、1998年の原発分布地図

 

その場合、日本海を隔てて、すぐ反対側に集中している原発を攻撃することは、当然考えられます、原発を一つでも破壊できれば、「一矢を報いる」結果が、最大になることくらいは計算するはずだからです。

 

「安倍首相は、北朝鮮のような国々に対する抑止力が弱体化するとして、彼の懸念をハリス・アメリカ太平洋軍司令官に伝えた」そうなのですが、「核先制使用」をした場合に起こり得る、ここで指摘したような様々な可能性について検証し、大きな被害を受けるであろう確率や蓋然性についても最新の知見を用いて計算した上で、「先制不使用」を否定したのでしょうか。そうとは思えないことは、御理解頂けたと思います。それどころか、安倍総理の短慮によって、我々が普段考えないような深刻な結果をもたらす可能性にもお気付き頂けたことを願っています。

 

憲法の解釈改憲も私たちの未来を奪う暴挙でした。安倍総理の重ねての暴挙を撤回させ、「核先制使用」を変えて、オバマ大統領のアメリカが「不使用宣言」を採用するよう、再度、私たちが大きな声を上げるときなのではないでしょうか。

 

 

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