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2016年5月 3日 (火)

憲法第99条

憲法第99

 

20160502_22_12_04

 

憲法記念日ですので、憲法を守ることについて簡単に触れておきたいと思います。憲法遵守の規定は憲法第99条です。条文は次の通りです。

 

99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 

ここで使われているのは「尊重」と「擁護」ですが、簡単に「遵守(じゅんしゅ)」とまとめて、「遵守義務」と書くことにしますが、これが大変重い規定であることはお分り頂けると思います。何しろ、天皇にまで憲法遵守義務があるのですから。

 

そうではあるのですが、ちょっと不満です。それはアメリカの大統領が負っている義務と比べると、内容が薄められているような気がするからです。テレビで御覧になったことがあると思いますが、アメリカの大統領就任式では、聖書に手を載せて宣誓をします。そのときの言葉は次の通りです。

 

「アメリカ合衆国の大統領という職務を忠実に執行し、私の能力が許す限りの最大の努力をして、合衆国憲法を維持し、擁護し、防衛することを厳粛に誓います。」

 

憲法についての部分は、「憲法を維持し、擁護し、防衛する」と三つの約束をしています。それぞれの英語は「maintain, protect, defend」です。

 

憲法を「維持」することは今まで通り憲法を変えないということですし、それを保護あるいは擁護するイメージとしては、母親が身体を覆って雨から子供を守るような感じです。そしてdefend とは、攻撃を加える敵に対して、こちらも力を使ったり闘ってでも守るイメージです。法律的には、それぞれ、意味のある言葉のはずですが、イメージとしてはかなり強烈な義務なのです。defendの訳として「防衛」という言葉を使ったのも、これほど強い意味があるのだという点を伝えたかったからです。

 

99条の「尊重」と「擁護」はこれに比べて、かなり緩い義務のように感じられますが、それでも「遵守」という言葉で表現できるだけの義務は課していると思います。

 

問題はそこではなく、憲法で規定している義務が、解釈によって義務ではなくなってしまっている点です。

 

その理由は裁判所がそのような判決を出しているからです。昔、百里基地訴訟と呼ばれる裁判があったのですが、その第一審の判決(1977年、水戸地方裁判所)と控訴審の判決(1981年、東京高等裁判所)での判決では、99条は「法的義務」ではなく「道徳的要請」だということが確定しています。

 

私は法律の専門家ではありませんが、法律的に様々な解釈があるだろうことは分ります。でもそこは専門家、特に憲法学者の皆さんにお任せして、純粋に論理的に話を進めると、憲法を守ることが法的義務ではなく道徳的要請なら、それは憲法の全ての義務に適用されるはずです。となると、特に、30条の「納税の義務」も「道徳的要請」になるはずです。「万歳」と言って良いかどうか分りませんが、税金は払わなくて良くなってしまうのです。

 

ここを出発点にいろいろと議論ができるのですが、それはまたの機会に譲るとして、今日は、「公務員」の皆さんへのお願いという形で終りたいと思います。それは次のようにまとめられます。

 

上の議論をまとめると、解釈によって国務大臣や国会議員、裁判官その他の公務員が憲法を守らなくても良いという判断を下すと、その見返りとしてとんでもないペナルティーが付いてくるということなのです。「公務員」の皆さん、つまり政治的権力を様々なレベルでお持ちの皆さん、憲法を守らない等ということは夢にも思わず、99条をしっかりと遵守する決意を、改めて憲法記念日にはして下さい。

 

改めて憲法を勉強したいとお考えの皆さんにお勧めしているのは宮澤俊義・国分一太郎共著の『新書 わたくしたちの憲法』(有斐閣選書)です。

 

 

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コメント

ずっと不思議に思っていましたが、国民の三大義務の一つとして勤労の義務がありますが、それを具体的に書かれた法律はあるのでしょうか。資産 家で働いていない人は多く、子供も専業主婦もそうですし、高齢者にも働いていない人は多くいます。なんかそれを根拠に徴兵なんて怖いことにならないかが心 配です。

「ケン」様

コメント有難う御座いました。鋭い指摘、大切な点だと思います。

そして、こちらの義務も、99条と同様に「義務を宣明している」に過ぎないと解釈するのが普通らしいです。

でも、敢て「数学的に読む」と銘打って、純粋に論理的にこの義務の解釈をしてみたのてすが、とても興味深い結論に至りました。近い内に、世に問いたいと思っています。

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