現地でしか見られない説明文
4月19日の熊本支援街頭募金では、短時間でしたが、善意の合計は12,244円でした。早速中国新聞社会事業団を通じて、被災地のお役に立てていただく手続きを取りました。中学生から高齢者まで多くの皆さん、御協力有難う御座いました。
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現地でしか見られない説明文
「誤った国策」―国立広島原爆死没者追悼平和祈念館―
今日の中国新聞の32面に「外国人入館 最多33万人」の見出しで、被爆70周年を迎えた2015年度の原爆資料館の入館者が2年ぶりに増加したことが報道されている。その記事の後段では、同じ平和記念公園内にある国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の入館者も増加したと報道されている。
早速平和公園を訪れてみた。雨の中、目につくのは外国人観光客と修学旅行生の姿ばかり。
雨の平和公園
私が、平和公園を訪れたのは、このブログの17日のコメントで紹介した国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(http://www.hiro-tsuitokinenkan.go.jp/index.php)の説明文を見るため。
地下1階から地下2階に設けられた「平和祈念・死没者追悼空間」につながるスロープの右側の壁に6枚に分割された銘板がはめ込まれている。
6枚目の銘板
その最後の6枚目の銘板には、次のように書かれている。
ここに、原爆で亡くなった人々を心から追悼するとともに、誤った国策により犠牲となった多くの人々に思いを致しながら、その惨禍を二度と繰り返すことがないよう、後代に語り継ぎ、広く内外に伝え、一日も早く核兵器のない平和な世界を築くことを誓います。
「誤った国策」が明記されている。
当時、厚生労働省の「祈念館開設準備検討会」(座長・森亘日本医学会会長、9人)では、「誤った国策」は、「主観的すぎる」として削除する修正案が検討された。しかし、「国の戦争責任」を重く考える広島の多くの被爆者の粘り強い努力によってこの文言が入ったことを、忘れることはできない。
もう一つ、被爆者たちが努力したのが、3枚目の銘板に書かれた次の言葉を入れることであった。
原爆が投下された時、広島には35万人前後の人々がいたと推定されます。これらの人々には、当時日本の植民地であった朝鮮半島の出身者が多数あり、また、中国出身者も含まれており、その中には半強制的に徴用された人々もいました。中国や東南アジアなどの留学生、アメリカ軍捕虜も含まれていました。
と、植民地支配、強制的徴用などの歴史についても、記載されている。過去の歴史を修正しようとする動きが強まっている今、このことも非常に重要なことだと思っている。
これらの銘板は、壁の切込みの中にはめられているため、見逃してしまいそうだが、ぜひこの追悼祈念館を訪れた際には、気を付けてみてほしい。
注意しないと見逃してしまう説明文
銘板に刻まれた説明文は、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館ホームページでも、受付におかれた案内の資料にも記載されていない。全文を読もうとすれば、現地を訪れるしかない。残念に思うのは、私だけだろうか。
銘文に広島の、被爆者の思いを入れるために努力した人たちの一人に、故近藤幸四郎さん(広島県被爆者団他連絡会議事務局長)がいた。近藤さんは、私に被爆者問題の本質を一から教えてくれた大先輩でもある。
国立広島原爆死没者追悼平和祈念館には、原爆死没者の遺影が、登録され、誰でも見ることができるようになっているので、見学の最後に近藤さんの遺影を検索して、久しぶりの対面をした。
故近藤幸四郎さん
金子哲夫 (広島県原水禁代表委員・元衆議院議員)
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