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2016年4月20日 (水)

大統領の謝罪 No. 1 (「和解」の力 その3)

大統領の謝罪

(「和解」の力 その3)

 

どこの国の誰であっても、個人として広島を訪れるべきだ――これは「「和解」の力」で説明した通りです。それに追加したいのですが、その結論は、原爆投下についてそれなりの理解ある人たちだという前提を設けるべきでした。広島に来る人たちの中には、「原爆投下は正しかった」と頑なに信じている人たちもいます。その人たちが広島に来ても、資料館を出た途端に、その考え方を変えるとは考えられません。

 

そんな人たちには、広島訪問は意味がないのでしょうか。そんなことはありません。全ての人に広島に来て欲しいという「真実」に変わりはありません。それはもう一つの「真実」である、被爆の実相と被爆者のメッセージの力です。つまり「和解」の力です。広島でこの真実に触れた人たちの心の中に、本人が意識してはいないかもしれませんが、必ず残ります。そして、いつの日か内面化され、その力が発揮されます。

 

このプロセスを信じられるのは、人類史を振り返ると、そのプロセスの生きていることが分るからです。この点については、機会を改めて取り上げさせて頂きます。

 

さて、原爆投下をどう考えるかにかかわらず、広島訪問は誰にでも勧められることを確認しましたが、だからと言って、自動的にアメリカの大統領が広島を訪問することにはつながりません。その他に考えなくてはならない問題があるからです。それを説明したいのですが、大きく変わりつつあるアメリカの状況にも注目です。

 

G7 G7外相会合

 

先ず、アメリカのメディアはケリー長官の来広を好意的に報道しました。それに輪を掛けたのが、ニューヨーク・タイムズ(NT)とワシントン・ポスト(WP)の社説でした。アメリカを代表するニ紙が、12日と15日の社説で「オバマ大統領は、伊勢志摩サミットに合わせて広島を訪問すべきだ」と主張したのですから、早とちりすれば、これでオバマ大統領の広島訪問は「決まり」です。

 

もっとも、一筋縄で行かないのが現実です。実は、NTWPも、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)と比べると「リベラル」だと考えられており、2009年のプラハ演説後にWSJはオバマ大統領を「国賊」扱いしているくらいだからです。

 

その背景には、未だにアメリカ人の過半数は原爆投下が正しかったと信じている事実があります。過半数の人たちにとっては、大統領が広島あるいは長崎を訪問して「謝罪」などするのは以ての外なのです。

 

それに対してのNTWPの考え方は、原爆の悲惨さを世界に訴えてきた被爆者や日本人に敬意を表することと、原爆投下の正非とは、切り離して考えるべきだし、考えられるというものです。ケリー長官の広島訪問が成功したことも、それを「証明」していると考えられています。広島での彼の言動を「謝罪」だからけしからん、あるいは日本に対して「弱腰だった」という批判は、WSJも含めてほとんど見られなかったからです。

 

とは言え、今年は大統領選挙の年です。特にアメリカの大統領選挙は、金の力に物を言わせて誹謗中傷合戦になる傾向が顕著です。誹謗中傷合戦で有利になるためには、単純で多くの人の深層意識に植え込まれている「疑う余地もない真実」を上手く使うことが有効です。そして過半数のアメリカ人の深層心理には、「卑劣極まりない真珠湾攻撃」「原爆投下は正しかった」が、しっかり刻み込まれています。そんな合戦に引き込まれないで選挙戦を戦えるのかが、オバマ大統領サイドの一つの重要な判断材料になるはずです。

 

Photo_5 真珠湾攻撃

Photo_6

原爆投下

 

こうした側面まで慎重に考慮した上で、オバマ大統領が広島を訪問することに決めたとしましょう。その際に、一緒に付いてくる結論は、オバマ大統領は広島で「謝罪」はしないということですし、「謝罪」と取られる言動も一切ないだろうということです。ケリー長官の際にこれは試験済みです。

 

長くなりましたので、次回に続きます。

 

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