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2016年4月27日 (水)

4月26日を思う

426日は、チェルノブイリの原発事故から30周年でした。世界的に様々なイベントがありました。広島でも座り込みや講演会等の行事があったのですが、それについては明日の報告をお読み頂ければと思いますが、同時に風化の危機に曝されていることも事実です。今日は、ベルリンからドイツでさえ風化を心配しなくてはならない状況があることを「ふくもとまさお」さんが報告して下さいました。

 

ふくもとさんは、ベルリンやポツダムに「ヒロシマ広場」を設置するために多大な御尽力をされた方で、ベルリンを中心に現在も活発に平和や環境、原発の問題に取り組み活動されています。

 

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ポツダム宣言の出されたポツダム市の「ヒロシマ広場」です。背景の建物は、米、英、ソの代表が会談を開いたトルーマン・ハウスです。

 

 

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4月26日を思う

 

今から30年前の426日、ぼくは東ドイツの首都ベルリンで働いていました。その数日後、西側の報道によってチェルノブイリで大きな原発事故があったことを知ります。5月1日をはじめとして、ベルリンには2回放射性物質を含んだ黒い汚染雲が飛散しています。西ドイツでは、子どもを砂場で遊ばせるな、牛乳を飲ませるななどの警告が流れ、これまで体験したことのない原発の大惨事に、社会はほとんどパニック状態でした。

 

しかし東ドイツでは、事故情報が一切流れません。普段と変わらない状況でした。まもなくして、西ドイツに輸出するために栽培されたレタスが東ドイツの学校給食に出るようになりました。汚染されている可能性があるので、西ドイツで受け取ってもらえなかったからです。東ドイツ市民にとっては、普段ほとんど食べることのできない新鮮な野菜。それが、原発事故で食べることができるようになったのでした。

 

このチェルノブイリ事故をきっかけに、東ドイツ社会が変化していきます。事故情報を隠蔽してきた独裁国家に対して、市民の中に不信が生まれていきました。国のいっていることは正しくない。市民には正確な情報は伝えられない。市民の将来を国にだけ任せておくわけにはいかない。市民がこう気づきはじめます。この市民の意識変化が、東ドイツ社会の一つの大きな転機になりました。

 

それが、ベルリンの壁の崩壊からソ連の崩壊、冷戦終結へと歴史を変えた一つの大きな基点となったのでした。チェルノブイリ事故はさらに、ドイツが脱原発を決める大きな要因ともなりました。

 

こうして、歴史は変わったのです。しかしドイツの南部バイエルン州を中心として、ドイツでは今もチェルノブイリ事故の汚染が続いています。バイエルン州の森では、今も1キログラム当たり40,000から60,000ベクレルの土壌汚染があると推定されています。ドイツで市販されているキノコの一部やイノシシの肉、ブルーベリージャムなどの食品は、今も汚染されています。チェルノブイリ事故は、まだ終わっていないのです。

 

そのドイツにおいても、事故から30年経った現在、一般市民の中では事故のことは忘れられようとしています。今もまだ食の安全が回復していないこと、ドイツにおいてさえも健康影響があったことは、ほとんど知られていません。

 

チェルノブイリ事故の25年後、日本の東電福島第一原発で再び原発の大惨事が起こりました。事故直後、ドイツではたくさんの市民が反原発デモに集まります。しかし現在、反原発デモをしてももう市民はあまり集まらなくなってしまいました。

 

でも、脱原発で原発問題が片付いてしまったわけではありません。廃炉、核のゴミの最終処分の問題を考えると、原発の問題はまだ数万年も、数十万年も続きます。

 

世界の状況は、どうでしょう。世界各地ではそれにも関わらず、原発の建設計画が持ち上がっています。チェルノブイリ事故どころか、5年前の福島第一原発事故さえも忘れたかのように。

 

ぼくたちは今、チェルノブイリ事故をはじめとして原発事故の記憶を風化させてはなりません。原発事故の悲惨さとなぜ原発が必要ないのかを、しっかりと若い人たちに伝えていかなければなりません。過去の過ちを二度と繰り返さないために。

 

さらにぼくたちは今、人にやさしく、環境にやさしい自然エネルギーに投資していかなければなりません。自然エネルギーの普及に必要な資金を、ぼくたち原発を利用してきた世代が負担します。原発後に残った核のゴミを処分する負担を負わなければならない次の世代のために。

 

ぼくたちが今自然エネルギーによって原発のない社会造りをはじめないことには、負の遺産を次の世代に押し付けていくだけになってしまいます。

 

ベルリンから、ふくもとまさお

 

 

用語の解説(朝日新聞DIGITALによる)

[ベクレル]  

ベクレルは放射能の量を表す単位。原子核が1秒間に1回崩壊して放射線を出す場合を1ベクレルという。放射性物質の濃度は「1キロあたり何ベクレル」などと示す。

 

[食品衛生法上の暫定規制値] 

放射性物質で汚染された食品の販売を規制する基準。国内では、水や牛 乳、野菜などに含まれる放射性物質の量の上限が決められている。規制値は放射性ヨウ素で飲料水・牛乳1キロあたり300ベクレル、野菜類が同2千ベクレル。放射性セシウムで飲料水・牛乳200ベクレル、野菜類・穀類・肉など500ベクレル

 

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コメント

当時、私もドイツにいました。食品は相当に制限され、牛乳などは日本に帰国するまで何ヶ月も飲めませんでした。
福島の原発が爆発した時には東京にいました。東京と福島の距離は、チェルノブイリとドイツに比べると十分の一くらい、まさに間近です。ところが、当時のヨーロッパに比べると、日本ではあまりに緊張感がなく驚きました。
暫定基準値も酷いものです。ドイツの水道の基準は0.5ベクレル(Bq/L)ですが、日本では爆発前でも10ベクレル、それが一気に300ベクレルになりました。
本来なら医療放射線天国と言われる日本では、他国より低い基準であるべきですが、何もかもが緩いのです。日本国政府はヒロシマやナガサキのある日本人は放射線に強いとでも言うのでしょうか。
日本でもやっと電力自由化も一歩ですが進みました。多くの人が自然エネルギーによる発電を選び、状況を変える責任があるように思います。

コメントありがとうございます。
実は現在、食品の汚染基準値はドイツのほうが俄然高いのです。一般食品の基準値は日本が100ベクレル/kg、ドイツが600ベクレル/kgです。牛乳も日本が50ベクレル/kg、ドイツが370ベクレル/kgです。ドイツの基準値はヨーロッパの基準値です。
ドイツのほうが安全だとして、3.11後にドイツにいらした方もいらっしゃいますが、現実はそうでもないのです。
CTスキャンに関しては、こどもの頭部CTはドイツではしません。大人でも避けるほうが多いですね。
電力全面自由化によって、市民は電源を自分で選択できる権利を得ました。それによってまだまだですが、日本でも市民が電力に関して消費者主権を持てるようになりました。特に日本の自由化では、グリーン電力販売業者がかなり不利になると見られますので、市民がしっかり支えていきたいと思います。

横から失礼します。ドイツの場合、放射線防護に対する基準は複雑で、確かにドイツ政府の基準値=ヨーロッパの基準値が原則ですが、実際には一般的な基準値と許容される最大値と事故により発動されるものと、運営する団体で実際に適用している基準が違うことの多く、海外で起きた事故の場合は輸入元によっても基準が変わります。石川さんが「水道」として例示したものはドイツ水道協会の基準だと思いますが、このように実際の運用基準は法的な基準とは桁違いに低いのが一般的です。それから医療分野ではPET-CTなどのように被曝量の多い検査が健康診断目的で使われるようなこともありません。

チェルノブイリ事故についていいますと、事故当時はまだ食品の基準値がなく、事故後急遽いろいろな基準値が出ていました。それから、(西)ドイツの場合は自治体毎に基準値を出したりして、その基準値に大きな差があったので、市民を混乱させてしまいました。
現在欧州ではEUROATOMの枠内で基準値を統一しています。3.11後は日本からの輸入食品に関しては6月末までの期限付きでセシウムの基準値が一般食品で1250ベクレル/kg、飲料が1000ベクレル/kgに引き上げられました。これは、原発事故後基準値を上げないと食品供給が減ることを考慮して、チェルノブイリ原発事故後に規定されたものです。チェルノブイリ事故後発の適用でした。しかし、ドイツ政府などの反対で取り下げられています。
なお日本が基準値を引き下げた時は、日本からの輸入食品に関しても日本の基準値に合わせて引き下げています。
チェルノブイリの教訓からいいますと、ドイツではその後環境モニタリングの枠内で、州毎に食品や水、土壌のベータ核種(ストロンチウム90など)やアルファ核種(プルトニウム239など)の測定も行なわれています。
ウクライナやベラルーシは、チェルノブイリ事故数年後から食品のストロンチウム90の基準値を規定していますね。
残っているドイツの食品汚染データを見ると、セシウム137とストロンチウム90の半減期にそれほど差がないのに、食品内の汚染を見ると、年月が経っても、ストロンチウム90の減り方のほうが鈍いのですね。
ストロンチウム90は骨にいくだけに要注意なんですがね。日本では注意されていないのが気になります。

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